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  • 特許-多層複合材料および製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】多層複合材料および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/02 20060101AFI20220712BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20220712BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20220712BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220712BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20220712BHJP
   A41D 31/102 20190101ALI20220712BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20220712BHJP
【FI】
B32B9/02
B32B5/02 A
B32B5/28 A
B32B27/32 Z
A41D31/02 A
A41D31/102
A41D31/00 502Z
A41D31/00 503E
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019530090
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2017084245
(87)【国際公開番号】W WO2018122125
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/440,014
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ハッチャー, ウェスリー, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アダムス, クリストファー, マイケル
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/113637(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0282544(US,A1)
【文献】国際公開第2014/160483(WO,A1)
【文献】特表2013-514206(JP,A)
【文献】特表2014-504315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08J 5/04
B29C 70/00-70/88
A41D 31/02
A41D 31/102
A41D 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堅い特徴を有しかつその表面の少なくとも90%が構造的多層複合材(S)である複合材であって、第1の単層(20)と接触する、厚さが0.5~6mmの範囲である革の層(10)を含み、前記第1の単層(20)が、第1の繊維方向に整列された平行なUHMWPE繊維および少なくとも3MPaの剛性を有する第1のマトリックス材料を含み、前記表面の表面積の10%未満に可撓性が残っており、
構造的多層複合材(S)の構造的特徴が、構造的多層複合材を水平面上に位置付け、水平面の端から支えられていない状態で20cmはみ出させたときに、構造的多層複合材の支えられていない部分の外縁が3センチメートルを超えて下に曲がらない特徴として定義される、複合材。
【請求項2】
前記UHMWPE繊維が、これらの繊維の単一フィラメントのタイターが10デニール未満であるポリエチレンフィラメントからなる、請求項1に記載の多層複合材。
【請求項3】
前記第1の単層(20)と接触する第2の単層(30)をさらに含み、前記第2の単層(30)が、第2の繊維方向に整列された平行な繊維および第2のマトリックス材料を含み、それによって、90度まで前記第1の繊維方向に対して前記第2の繊維方向がオフセットされるように、前記第1の単層(20)が、前記複合材における前記第2の単層(30)に対して回転される、請求項1に記載の多層複合材。
【請求項4】
平行な繊維の追加の単層をさらに含み、それぞれの単層が平行な繊維およびマトリックスを含み、前記追加の単層の1つの単層が前記第2の単層と接触し、それによって連続するそれぞれの単層が、連続するそれぞれの層において繊維方向がオフセットされるように隣接する単層に対して回転されるように、前記単層が前記多層複合材において積み重ねられ、配列される、請求項に記載の多層複合材。
【請求項5】
前記革の層の厚さが0.7~2.8mmの範囲である、請求項1に記載の多層複合材。
【請求項6】
前記複合材の外部層を形成するように、単層と接触するポリマーフィルム(100)をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層複合材。
【請求項7】
前記フィルムが防水性/通気性である、請求項に記載の多層複合材。
【請求項8】
前記繊維の強度が少なくとも0.5GPaである、請求項に記載の多層複合材。
【請求項9】
前記繊維の強度が少なくとも2.5GPaである、請求項に記載の多層複合材。
【請求項10】
前記UHMWPE繊維が、少なくともdl/gの固有粘度を有する、請求項に記載の多層複合材。
【請求項11】
少なくとも1つのマトリックス材料が、ポリアクリレート、アクリレート基で官能基化されたポリマー、およびポリウレタンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層複合材。
【請求項12】
いずれか1つの単層における前記繊維密度が、1~50グラム/平方メートルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層複合材。
【請求項13】
堅い特徴を有しかつその表面の少なくとも90%が構造的多層複合材である、請求項1~12のいずれか一項に記載の複合材を製造する方法であって、革の層;平行な整列繊維および少なくとも3MPaの剛性を有するマトリックス材料を含む少なくとも1つの単層;ならびに任意選択的に、少なくとも1つのポリマーフィルム層;を含むアセンブリを提供する工程であって、前記アセンブリが2つの外面を有し、1つが前記革の層である工程と、圧力6~300バールおよび温度35~120℃にて前記アセンブリの少なくとも90%を圧縮する工程と、を含む方法。
【請求項14】
5バール未満の圧力にて前記アセンブリの10%未満を圧縮する工程と、それによって、その表面の少なくとも90%が構造的多層複合材を含み、かつその表面の10%未満が可撓性複合材を含む複合材が製造される工程と、をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記外面の少なくとも1つが、前記圧縮中にカバーと接触し、前記カバーがそれから任意選択的に除去可能である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
履物、スポーツ衣料品、衣類、鞄、動物の革製品、バッグおよび鞄、帽子、ジャケット、財布、小銭入れ、バッグ、椅子張り材料およびグローブの製造における、請求項1~12のいずれか一項に記載の構造的多層複合材の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は一般に、弾道ブランケット(ballistic blanket)として使用可能な多層複合材料、特に化学繊維の単層と接触する革の層を含む多層複合材料、ならびにそれを製造する方法に関する。
【0002】
弾道ブランケットは、警察および軍隊において世界中で使用されている弾道装備の一部である。弾道ブランケットは特に、爆弾爆発の保護用カバーとしての使用が見出される。弾道ブランケットは、例えば、Carterらによって米国特許第7,389,718号明細書に開示されている。この文書には、外部ハウジングに入れられた内部弾道コアを包含する弾道ブランケットが開示されている。内部弾道コアは、内部カバーで覆われている。内部弾道コアは、アラミドまたは超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)などの高性能繊維をベースとし得る。Carterはさらに、内部弾道コアとしてのアラミドパネルの使用、およびその内部カバーがナイロン製であり得ることを開示している。さらにCarterは、外部ハウジングが織物、ビニル、革または他の柔軟な材料で製造され得ることを教示している。
【0003】
この文書には許容される特性を有する製品が開示されているが、弾道ブランケットなどのさらに向上した多層複合材製品の開発に絶え間なく打ち込んでいる。
【0004】
本発明の開示内容の種々の実施形態において、強度対重量比の更なる向上、厚さの低減、および付加的な美しさを有する多層複合材料が記述されている。この開示内容において、本発明の製品は、構造的多層複合材料と呼ばれる。
【0005】
一般に、その開示内容では、革の層と、革の層と接触する単層と、を含む構造的多層複合材を提供する。単層は、マトリックス材料と共に単一繊維方向に整列された平行な繊維を含み得る。単層は、一方向性(unidirectional)層とも呼ばれる。一部の態様において、多層複合材は、その上に接合された1つまたは複数の更なる単層を含み得て、外部層の革層と層のスタックを形成する。1つの単層における平行な繊維が、隣接層における平行な繊維に対して異なる角度にあるように、連続するそれぞれの単層は、90度までの角度にて隣接する単層に対してオフセットされ得る。このように、多くの単層を使用し、繊維方向は決して重ならず、あるいは一部の箇所で層の繊維方向が、スタックのずっと下方の単層と重なるまで、いくつかの単層は、互いにオフセットされ得る。
【0006】
連続するそれぞれの単層は、マトリックス材料中に平行な繊維を含み得る。単層のそれぞれのマトリックス材料は、異なる組成または同じ組成の材料であり得る。種々の実施形態において、革層と、1つまたは複数の単層と、を含む多層複合材はさらに、複合材の外部層を形成するように、いずれか1つの単層と接触する少なくとも1つのポリマーフィルムを含み得る。このように、単層のスタックは、2つの露出した外部層として革層およびフィルム層を有する複合材のコアを含み得る。様々な例において、1つまたは複数のフィルム層は、防水性/通気性フィルム、または防水性および非通気性フィルム、または水分受動的(moisture passive)と蒸気受動的(vapor passive)のいずれかの組み合わせであり得る。
【0007】
種々の実施形態において、1つまたは複数の単層で使用される繊維は、少なくとも0.5GPaの強度を有し得る。他の実施例において、繊維は、少なくとも少なくとも2.5GPaの強度を有する。繊維は、UHMWPEまたはいくつかの他の合成繊維を含み得る。例えば繊維は、少なくとも4dl/gの固有粘度を有するUHMWPE繊維を含み得る。
【0008】
多層複合材内の1つまたは複数の単層それぞれは、繊維がコーティングされるか、または埋め込まれたマトリックス材料を含み得る。マトリックス材料の例としては、ポリアクリレート、アクリレート基で官能基化されたポリマー、およびポリウレタンが挙げられる。マトリックス材料は、少なくとも3MPaの剛性を有し得る。
【0009】
いずれか1つの単層における繊維密度は、1~50グラム/平方メートル(g/mまたは「gsm」)であり得る。
【0010】
本発明の開示内容はさらに、革の層;平行な整列繊維およびマトリックス材料を含む少なくとも1つの単層;ならびに任意選択的に、少なくとも1つのポリマーフィルム層;を含むアセンブリを提供する工程であって、そのアセンブリが2つの外面を有し、1つが革の層である工程と、少なくとも5バールの圧力で、好ましくは少なくとも6バールの圧力で、かつ温度35~120℃でアセンブリを圧縮する工程と、を含む多層複合材を製造する方法を提供する。
【0011】
圧縮プロセス中に、カバーが外部層の一方または両方に配置され得て、そのカバーは、圧縮工程後に多層複合材から除去可能である。かかるカバーは表面テクスチャを有し得て、したがって、カバー上のパターンまたは模様は、複合材の外部層のいずれか、または両方にインプリントされ得る。
【0012】
本明細書に記載の構造的多層複合材は、履物、スポーツ衣料品、衣服、鞄、動物の革製品、バッグおよび鞄、帽子、ジャケット、財布、小銭入れ、バッグ、椅子張り材料およびグローブの製造での使用が見出される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、(10)革の層;(20)第1の単層;(30)任意の第2の単層;(40)任意の第3の単層;(90)任意の第n(4<n<8)単層;および(100)フィルム層を含む、本発明による構造的多層複合材(S)の実施形態を断面で示す。
図2図2は、折り線の領域に低い圧力(5バール未満)をかけることによって形成される折り線(500)を含む、構造的多層複合材(S)の実施形態を透視図で示す。
【0014】
本発明による構造的多層複合材料は、第1の単層(20)と接触する革の層(10)を含み、その単層は、平行な整列繊維およびマトリックス材料を含む。当技術分野において、平行な整列繊維およびマトリックス材料を含むかかる単層は、一方向性層とも呼ばれる。例えば、本明細書における単層は、マトリックス材料に埋め込まれた平行繊維を含み得る。
【0015】
本発明の文脈において革とは、種々の動物起源の天然の革を意味し、天然源を意味する場合が多い。本発明の代替の実施形態において、本発明の構造的多層複合材料は、天然革の代わりに、人工または人造の革を含む。
【0016】
本明細書における構造的多層複合材で使用される革は、動物の、通常牛の生皮に由来するが、爬虫類、鳥類または他の動物からも供給され得る。一般に使用される革のタイプは、牛、子牛、羊およびバッファローに由来する。よりエキゾチックな革は、サケおよびウナギの皮などの魚由来であり得るか、または例えば、蛇、クロコダイル、ワニ、カンガルー、鶏または象に由来し得る。天然革としては、グレインレザー、例えばフルグレイン、トップグレインおよびヌバック(サンドペーパーで磨かれた、またはバフで磨かれたトップグレインの牛革)、および真皮、例えばスウェード、および(仕上げ)スプリットレザーも挙げられる。その革は、例えばタニング、カラーリング、コンディショニング、ワックス、サンディング、バフ磨き、工具による仕上げまたはエンボスなどの処理を受けていてもよい。本発明の好ましい実施形態において革は、本発明の構造的多層複合材料の形成後または形成中にエンボス加工される。代替方法として、革のエンボス加工は、複合材の形成前に行われ得る。革は、アニリン、セミアニリンまたは顔料技術によって着色され得て、かつワックス仕上げまたはワックスポリッシュなどのトップコートを含み得る。
【0017】
本明細書で使用される革層は、どんな厚さであってもよい。種々の実施形態において、一般的な厚さは、0.5~6mmの範囲である。好ましくは、革の厚さは0.7~4mmの範囲であり、さらに好ましくは0.7~2.8mmの範囲である。
【0018】
本発明による好ましい構造的多層複合材料は、革層として子牛革を含み、子牛革は好ましくは、厚さ0.7~2.4mm、さらに好ましくは0.7~1.6mmを有する。これらの厚さで、最良の構造的多層化複合材が提供されることが判明している。
【0019】
本発明は、革代替品および人工もしくは人造革、例えば、ケルプから作られたいわゆる海洋革、樹皮または樹皮布、通常コルクガシに由来するコルク革、天然繊維をベースとする代替物、例えば竹およびパイナップルなどのいくつかの原料に由来するセルロース繊維、MuSkinのようなマッシュルームをベースとする材料、および艶出し綿(glazed cotton)を含む構造的多層複合材料においても適用することができることを当業者は理解されよう。
【0020】
人工革としては、例えばポリウレタン、ビニルおよびアクリルベースの人工革、およびその組み合わせが挙げられる。さらに、レザーレット(leatherette)およびポリエステルベースの革代替物、例えば再生ポリエステル(PET)分解性ポリウレタン、Alcantara(登録商標)およびUltrasuede(登録商標)は、本明細書での使用が見出される。
【0021】
本来の(人造)革材料と比べて本発明による複合材の利点は、高いコンシステンシーであり、それによって製品が元の形状およびをより良く維持し、かつたるみを受けにくい。さらに、その材料は耐久性が高く、例えば小さな曲げ半径、例えば5mm以下で縁端で曲げられた場合に、その形状をより良く維持することができることを意味する。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態は、革の代わりに紙材料をベースとする複合材に関する。この紙は、羊皮紙としても知られるレザーペーパーであってもよいが、印刷用紙、筆記用紙、製図用紙、写真用紙、および厚紙であってもよい。紙は、重量/表面積60グラム/mおよび200グラム/m(これらの条件下で24時間最初にコンディショニングした後に、周囲条件23℃/相対湿度50%にて決定される)、好ましくは70~160グラム/m、さらに好ましくは80~120グラム/mとしばしば表される厚さを有し得る。
【0023】
紙の特別な実施形態は、紙幣用紙に関する。これらはしばしば、綿/リネンベースを含むが、以下の本明細書におけるこの開示内容に記載のポリマー、例えばポリマーフィルムで作られていてもよい。本発明の開示内容の種々の実施形態において、本明細書における構造的多層複合材は、紙幣用紙を含む。本明細書における多層複合材の構造を有する紙幣用紙は、通常の紙幣用紙よりも耐引裂性が高く、パリパリした手触りを有する。
【0024】
本発明の他の好ましい実施形態は、革の代わりに綿、羊毛またはリネン層をベースとする複合材に関する。綿、羊毛またはリネン層は、織物構造であり得る。種々の実施形態において、ペインティング用のカンバスが、かかる複合材をベースとする。かかるカンバス上のペインティングの塗料は、50年以上の時間の後でさえ、時間の経過による亀裂を生じにくい。
【0025】
構造的多層複合材における革層は任意選択的に、その露出面、つまり第1の単層と反対の面が、以下でさらに説明されるフィルム層でカバーされ得る。フィルム層の代替物は、真空蒸着により塗布される材料など、コーティングまたはその代替物であり得る。複合材に特別な外観を与えるため、かつ例えば、海塩などの過酷な屋外条件に対して、または汚れから革を保護するために、外部革層上にフィルム層を使用することができる。
【0026】
本発明による構造的多層複合材料は、平行な整列繊維およびマトリックス材料を含む第1の単層を含む。
【0027】
例えば、繊維ロビンフレームから多くの繊維またはヤーンをコーマ(comb)上に引くことによって、1つの平面に平行に多数の繊維を配向させ、配向前、配向中、配向後に当業者に公知の方法で繊維をマトリックス材料で含侵することによって、単層が得られる。このプロセスにおいて、例えば取り扱い中に繊維を保護するために、または単層のプラスチック上に繊維をより良く付着させるために、プラスチックマトリックス材料以外の少なくとも1つの成分またはポリマーで繊維に仕上げを施しておいてもよい。好ましくは、仕上げなしの繊維が使用される。繊維を仕上げする前、または繊維をマトリックス材料と接触させる前に、繊維を表面処理しておいてもよい。かかる処理は、酸化剤またはエッチング剤などの化学薬剤での処理を含み得るが、好ましくはプラズマまたはコロナ処理を含む。
【0028】
1つの単層における繊維の量は一般に、1~50グラム/平方メートルである。繊維の量は、層の繊維密度とも呼ばれる。好ましくは、1つの単層における繊維の量は、2~30グラム/平方メートル、さらに好ましくは3~20グラム/平方メートルである。これらの範囲内の繊維密度は、本発明による構造的多層複合材料の可撓性を維持する助けとなることが判明している。
【0029】
単層で使用されるマトリックス材料は好ましくは、熱可塑性材料を含む。特に適しているのは、適用前に水に分散することができるマトリックス材料である。適切なポリマー材料の例としては、限定されないが、ポリアクリレート、ポリウレタン、変性ポリオレフィンおよびエチレンコポリマー、例えば弾道抵抗性物品の分野で公知のSEBSおよびSISポリマーなど、およびエチレン酢酸ビニルが挙げられる。
【0030】
好ましくは、マトリックス材料は、ポリウレタンのタイプを含有する。例えば、ポリウレタンは、広い温度範囲にわたって良好な性能を提供するポリエーテルジオールをベースとするポリエーテル-ウレタンを含み得る。他の実施例において、ポリウレタンは、広い温度範囲にわたって良好な性能を提供するポリエーテルジオールをベースとするポリエステル-ウレタンを含み得る。
【0031】
特別な実施形態において、ポリウレタンまたはポリエーテル-ウレタンは脂肪族ジイソシアネートをベースとし、これはさらに、その色彩安定性などの製品性能を向上させるためである。単層に使用されるこれらのマトリックス材料の100%モジュラスは、好ましくは少なくとも3MPaである。さらに好ましくは、100%モジュラスは少なくとも5MPaである。
【0032】
100%モジュラスは一般に、500MPa未満である。
【0033】
他の好ましい実施形態において、適切な代替マトリックス材料は、水性分散液から適用されるクレイトン(Kraton)(登録商標)であり得る。
【0034】
また更なる好ましい実施形態において、マトリックス材料は、アクリルベースの樹脂、またはアクリレート基を含むポリマーを含み得る。
【0035】
更なるタイプのマトリックス材料は、エチレンおよび/またはプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーを含み、そのポリマー樹脂は、ISO1183に準拠して測定される、860~930kg/mの範囲の密度、40~140℃の範囲のピーク融解温度および少なくとも5J/gの融解熱を有する。
【0036】
マトリックスシステムおよび一方向性繊維を有する単層の更なる詳細は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,470,632号明細書に記載されている。
【0037】
1つの単層におけるマトリックス材料の量は通常、10~95重量%、好ましくは20~90重量%、さらに好ましくは30~85重量%、さらに好ましくは35~80重量%である。これによって、革および/または単層と他の構成要素との適切な接着強度が確保され、それによって、屈曲サイクルが繰り返された後の複合材の早期の層間剥離の確率が低減される。
【0038】
第2の単層および次の単層におけるマトリックス材料は、第1の単層における材料と同じであり得るが、異なっていてもよい。種々の実施形態において、構造的多層複合材は、第1のマトリックス材料中に平行な繊維を含む第1の単層と、第2のマトリックス材料中に平行な繊維を含む第2の単層と、を含む。
【0039】
本明細書で使用される、「繊維」という用語は、モノフィラメントだけでなく、特にマルチフィラメント糸またはテープも含むことを意味する
【0040】
テープは、固体状態ポリマー加工、ゲル技術および繊維融着などの様々な公知の技術によって製造することができる。テープは、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、さらに好ましくは少なくとも100、および最も好ましくは少なくとも1000の幅対厚さ比を有する。
【0041】
本発明による構造的多層複合材料において使用される適切な繊維は、炭素繊維であり得る。
【0042】
本発明による構造的多層複合材料において使用される特に適切な繊維としては、例えば、ポリアミド6および6.6などのポリアミドをベースとする繊維;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリプロピレンおよびポリエチレンが挙げられる。さらに好ましい繊維としては、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維とも呼ばれることが多い)、特にポリ(p-フェニレンテレフタルアミド);液体結晶質ポリマーおよびはしご状ポリマー繊維、例えばポリベンゾイミダゾールまたはポリ(1,4-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)(PBO)などのポリベンゾキサゾール、またはポリ(2,6-ジイミダゾ[4,5-b-4’,5’-e]ピリジニレン-1,4-(2,5-ジヒドロキシ)フェニレン)(PIPD;M5とも呼ばれる);ポリエーテルエーテルケトンなどのポリアリールエーテルケトン、および例えば、ゲル紡糸プロセスによって得られる繊維など、高度に延伸されたポリオレフィン、ポリビニルアルコール、およびポリアクリロニトリルの繊維;が挙げられる。高度に配向されたポリオレフィン、アラミド、PBOおよびPIPD繊維、またはその少なくとも2つの組み合わせが、好ましくは使用される。高度に配向されたポリオレフィン繊維としては、ポリプロピレンおよびポリエチレン繊維が挙げられ、少なくとも1.5GPaの引張り強さを有する。
【0043】
本明細書で使用されるのは、例えばGB2042414 Aまたは国際公開第01/73173号パンフレットに記載のプロセスなど、ゲル紡糸プロセスによって製造されたポリエチレンフィラメントからなる、高延伸または配向ポリエチレン繊維とも呼ばれる高性能ポリエチレン繊維である。これらの繊維の利点は、軽量と非常に高い引張り強さを併せ持ち、そのため非常に薄い層で使用するのに特に適している。好ましくは、少なくとも5dl/gの固有粘度を有する超高モル質量ポリエチレンのマルチフィラメント糸が利用され、さらに好ましくはこれらのポリエチレンヤーンは、少なくとも8dl/gの固有粘度を有する。
【0044】
これらの繊維またはヤーンの単一フィラメントのタイターは一般に、10デニール未満、好ましくは5デニール未満、さらに好ましくは3デニール未満、またさらに好ましくは、これらの繊維の単一フィラメントのタイターは2デニール未満である。この結果、繊維分布が良くなり、それによって本発明の構造的多層複合材料の剛性が高くなる。
【0045】
本発明の構造的多層複合材料における繊維は通常、少なくとも0.5GPa、好ましくは少なくとも0.6GPa、さらに好ましくは少なくとも0.8GPaの引張り強さを有する。好ましい実施形態において、繊維、好ましくはポリエチレン繊維の強度は、少なくとも3.0GPa、好ましくは少なくとも3.5GPa、さらに好ましくは少なくとも4.0GPaおよび最も好ましくは少なくとも4.5GPaである。経済的な理由から、繊維の強度は好ましくは、5.5GPa未満である。繊維は好ましくは、3.1~4.9GPa、さらに好ましくは3.2~4.7GPa、および最も好ましくは3.3~4.5GPaの引張り強さを有する。
【0046】
第2の単層および次の単層における繊維は、第1の単層における繊維と同じであってもよいが、単層ごとに異なっていてもよい。
【0047】
代替の一実施形態は、上記の繊維の少なくとも2つが、1つの単層および同じ単層で使用される層内ハイブリッドに関する。
【0048】
図1を参照すると、本発明による構造的多層複合材料はさらに、第1の単層(20)と接触する、平行な整列繊維およびマトリックス材料を含む第2の単層(30)を含み得る。かかる2つの単層が平行な繊維を有する構造的多層複合材において、第2の単層(30)の繊維方向は、(隣接)第1の単層(20)の繊維方向に、例えば0度を超え、最大で90度の最小角度に回転または「オフセット」され得る。
【0049】
構造的多層複合材料の特性をさらに精密に調整するために、隣接単層と接触し、かつ繊維方向にオフセットするために隣接単層に対して回転される、第3の単層(40)および次の単層をnまでの単層に加えることが決定され得る。種々の実施形態において、単層の総数nは、約4~約8(4<n<8)であり得る。用途に応じて、nの値は、特定の用途に合うように選択され得る。本発明による多層構造複合材料において、単層はそれぞれ、前の単層に対して回転され得る。
【0050】
単層に加えて、構造的多層複合材料はさらに、スクリム層を含み得る。スクリム層は、構造的多層複合材料に好ましくは積層される、繊維の糸目幅の粗い織りを有する非常に軽い生地であり、付加的なねじり安定性を付与し得る。
【0051】
本発明の他の好ましい実施形態は、平行な整列繊維およびマトリックス材料を含む第1の単層と接触する第1の革層の第1の外部層と、第1の単層に対して回転される少なくとも1つの次の単層と、革の第2の外部層と、を含む多層構造化複合材料を含む。これによって、存在する複合材の特性から依然として利益をもたらすと同時に、外側がすべて革である製品が得られる。
【0052】
本発明の好ましい実施形態は、平行な整列繊維およびマトリックス材料を含む第1の単層と接触する革層と、次の3つの単層と、20グラム未満/平方メートルの繊維を有する単層のうちの少なくとも1つと、を含む多層構造化複合材料を含む。好ましくは、単層のうちの少なくとも2つは、20グラム未満/平方メートルの繊維を有する。任意選択的に、この多層構造化複合材料は、革層の反対側の外側にフィルムを有する。隣接する単層の繊維方向は、0度を越え、かつ最大で90度の最小角で回転される。
【0053】
図1を引き続き参照して、本発明による構造的多層複合材料はさらに、ポリマーフィルム(100)を含み得る。好ましくは、かかるポリマーフィルムは、革層と反対側の最外単層と接触して配置される。このようにして、革の層およびフィルム層は、本発明による構造的多層複合材料の外部層を形成する。
【0054】
使用されるフィルムは、例えば、商標Stamylex(登録商標)で市販されている直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエステルフィルムを含み得る。
【0055】
好ましい実施形態において、フィルムは、二軸延伸ポリオレフィンフィルムである。その例は、二軸延伸高密度ポリエチレンおよび二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
【0056】
本発明による構造的多層複合材料で使用される他のタイプのフィルムは、金属箔または金属被覆フィルム、織布または不織布である。
【0057】
更なる好ましい実施形態において、ポリマーフィルムは防水性/通気性(W/B)フィルムである。W/Bフィルムは、材料を通して、液体の水の移動ではなく、水蒸気などの気体の移動を可能にする遮断層として機能する。かかるフィルムとしては、コアテックス(Gore-Tex)(登録商標)およびeVent(登録商標)と商標が付けられたECTFEおよびEPTFE、脂肪族ポリウレタン、芳香族ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、PVF、PEN、UHMWPE膜で特別設計されたもの、例えばSolupor(登録商標)膜、および微孔質ポリプロピレン膜が挙げられる。
【0058】
本発明における特別な実施形態は、織布の形態をとり、かかる織布はマトリックス材料で被覆されるか、またはマトリックス材料で(一部)含侵されて、そのW/B特性が可能となる。
【0059】
本発明におけるW/Bフィルムの他の特別な実施形態は、不織布の形態をとり、かかる不織布は、マトリックス材料で被覆されるか、またはマトリックス材料で(一部)含侵されて、そのW/B特性が可能となる。不織布の一般的な例としては、フエルトが挙げられる。
【0060】
これらのフィルムの厚さは一般に、1~50マイクロメートル、好ましくは2~25マイクロメートルである。
【0061】
かかる(W/B)ポリマーフィルムの利点は、革の表面が汚れるのを防ぎ、かつ革、モノフィラメントおよびマトリックス層が付加しないであろう遮断性を付加し得ることである。さらに、フィルムは、触れると柔らかい手触りを付加し、または耐摩耗性を付加し得る。
【0062】
本発明による構造的多層複合材料は適切には、必要とされる革の層と、単層と、上記の任意の層と、を積み重ね、かつ少なくとも5バールの絶対圧力、好ましくは少なくとも6バールの圧力および温度35~120℃にてこれらを圧縮することによって製造され得る。好ましくは、スタック層は、6~300バール、好ましくは17~200バールの絶対圧力、さらに好ましくは18~150バールの絶対圧力で圧縮される。圧縮は適切には、オートクレーブなどの静的プレス(static press)で行われ得る。静的プレスにおいて、シートは最終製品の形状に圧縮することができる。本発明に従って高圧にて圧縮されたスタックの表面積のパーセンテージによって、構造的多層材料を含む最終複合材のパーセンテージが決定される。例えば、スタックの表面積の少なくとも約90%が本発明に従って高圧で圧縮されて、構造的多層複合材料からなる少なくとも90%を有する複合材料が得られる。さらに好ましくは、複合材料は、構造的多層複合材料のその表面の少なくとも95%からなる。最も好ましくは、複合材料は、構造的多層複合材料のその表面の少なくとも98%からなる。これらの条件下での圧縮は、オートクレーブなどの静的プレスで達成される。好ましくは、連続的プレスは、カレンダーまたは連続ベルトプレスの形で使用される。代替方法として、連続的プレスをカレンダーまたは連続ベルトプレスの形で使用してもよい。連続的な製造後、複合材は、適切なサイズのシートに切断され得る。圧縮中の温度は、好ましくは35~120℃である。さらに好ましくはプレス中の温度は、40~100℃であり、最も好ましくはプレス中の温度は45~90℃である。これによって、複合材の構造的特性をさらに強調する、堅い特徴を有する複合材が得られる。本発明によるかかる複合材の更なる利点は、その形状を容易に調整できることである。例えば、かかる堅いシートは、例えばシートをV形に縁に沿って曲げることによって上向きに曲げることができ、その曲げられたシートは、その形状をより良く維持する。
【0063】
特定の領域、例えば表面積約10%未満が、絶対圧力5バール、好ましくは4バール未満、さらに好ましくは1.5~3.5バールの低圧を受けるように、圧縮を行ってもよい。前記低圧にさらされる複合材料の部分は、構造特性を獲得せず、代わりに可撓性は残る。これによって、折り線、パターンまたはヒンジを導入する機会が作られる。このようなことは、包装材料および鞄およびバッグにおいて有益であり得る。これらの前記低圧をかける可能性のある方法は、例えば連続的に前駆材料として「ロール上に」最初に製造される複合材料を使用することによる方法である。次いでこの材料を本発明の圧縮条件に従ってさらに加工して、本発明による構造的多層複合材料を得ることができる。したがって、種々の態様において、その少なくとも90%が構造的多層複合材である複合材を製造する方法は、革の層;平行な整列繊維およびマトリックス材料を含む少なくとも1つの単層;ならびに任意選択的に、少なくとも1つのポリマーフィルム層;を含むアセンブリを提供する工程と、それが2つの外面を有し、1つの外面が革の層であるようなアセンブリを積み重ねる工程と、そのアセンブリの少なくとも90%を、圧力6~300バール、温度35~120℃にて圧縮する工程と、を含み得る。本発明に従って高圧で圧縮されていないアセンブリの部分は、これらの領域を構造的ではなく可撓性に維持するために低い圧力にて(高圧圧縮前または後に)圧縮され得る。つまり、上記の方法はさらに、圧力5バール未満でアセンブリの10%未満を圧縮することを含み得る。このように、いずれの順序でも、低圧での特定の領域の圧縮および高圧での他の領域の圧縮によって、複合材の少なくとも約90%が構造的複合材を含み、かつ複合材の約10%以下が可撓性複合材を含む、複合材を製造することができる。可撓性領域は、構造的複合材の領域間に配置されるヒンジまたは折り曲げ可能な領域であり得る。
【0064】
圧力および温度処理の時間は、意図する最終用途によって異なり、簡単な試験および誤差実験によって最適化することができる。プレスの一般的な時間は30秒~30分と様々である。
【0065】
多層構造化複合材料を製造する方法の特別なバージョンにおいて、複合材の外面両方のうち少なくとも少なくとも1つが、圧力および温度処理中に、好ましくは除去可能なカバーと接触する。そのカバーは、繊維ガラス強化PTFEシートであってもよいし、あるいは例えば、連続ベルトプレスにおいて、例えばシリコン処理紙の形で剥離層を任意選択的に有する鋼ベルトであり得る。
【0066】
多層構造化複合材料を製造する方法は、除去可能なカバーと接触して革層を配置することを含み得て、その除去可能なカバーは、圧力および温度処理でのその製造中に、多層構造化複合材料の革表面層をエンボス加工またはテクスチャ加工するためのプリセットデザインに従ったパターンを有する。エンボス加工は、本発明による複合材の外部層両方に対して行ってもよい。この方法では、本発明によるさらに向上した多層構造化複合材料が得られ、その表面がテクスチャ加工されているため、様々な用途分野でのその使用が見出され得る。
【0067】
本発明による多層構造化複合材料を得るための圧力および温度処理後に、材料はさらに、最終用途に必要な特性を達成するために後処理され得る。かかる後処理としては、例えば上記の折り線を形成する代替方法として、ラインに沿って複合材料を折り曲げることが挙げられる。かかる折り曲げは、小さな半径2~5mmにわたり折り曲げることによって適切に行われ得る。
【0068】
本発明による構造的多層複合材ならびに本発明によるテクスチャ加工された構造的多層複合材は適切には、履物、スポーツ衣料品、衣服、鞄;動物の革製品、例えばサドル、バッグおよび鞄の製造において使用することができる。さらに、帽子/ジャケット、財布、小銭入れ、バッグ、椅子張り材料及、スポーツグローブなどのグローブ、例えば野球のグローブ等において使用される。
【0069】
[試験法]
本明細書で言及される試験法は以下のとおりである。
【0070】
UHMWPEの固有粘度(IV)は、異なる濃度で測定される粘度を濃度ゼロまで外挿することによって、ASTM D1601に準拠してデカリン中で135℃にて決定され、溶解時間は16時間であり、酸化防止剤としてDBPCが2g/l溶液の量で使用された。
【0071】
引張り特性(25℃で測定):引張り強さ(または強度)、引張弾性率(またはモジュラス)および破断点伸びが、繊維の公称ゲージ長500mm、クロスヘッド速度50%/分を用いて、ASTM D885Mで指定されるマルチフィラメント糸について定義され、かつ決定される。測定された応力-ひずみ曲線に基づいて、モジュラスが、ひずみ0.3~1%の勾配として決定される。モジュラスおよび強度を計算するために、繊維10メートルの重量によって決定されるタイターで、測定される引張力を割る;Gpaの値は、密度0.97g/cmと想定して計算される。薄い膜の引張り特性は、ISO1184(H)に準拠して測定されるべきである。
【0072】
マトリックス材料のモジュラスは、ISO527に準拠して測定されるべきである。100%モジュラスは、長さ100mm(クランプ間の自由長)および幅24mmのフィルムストリップで決定された。100%モジュラスは、ひずみ0~100%で測定された割線係数である。
【0073】
融解熱およびピーク融解温度は、加熱速度10K/分にてDSC標準法ASTM E 794およびASTM E 793にそれぞれ準拠して、第2の加熱曲線について測定され、無水試料で窒素下にて行われている。
【0074】
本発明による複合材の構造的特徴は、以下のとおりに決定される。複合材のシートを例えばテーブルの水平面上に位置付け、シートは、水平面の端から支えられていない状態で20cmはみ出す。複合材の支えられていない部分の外縁は、本発明による構造複合材として認定するためには、3センチメートルを超えて下に曲げてはいけない。折り線なしのシートで試験を行うべきである。
図1
図2