(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】酸化ウランで汚染された部品からウランを回収する方法
(51)【国際特許分類】
G21C 19/42 20060101AFI20220712BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20220712BHJP
G21F 9/28 20060101ALI20220712BHJP
G21F 9/30 20060101ALI20220712BHJP
G21F 9/08 20060101ALI20220712BHJP
G21F 9/06 20060101ALI20220712BHJP
G01T 1/167 20060101ALI20220712BHJP
G01T 1/16 20060101ALI20220712BHJP
C22B 60/02 20060101ALI20220712BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20220712BHJP
C22B 3/22 20060101ALI20220712BHJP
C22B 9/02 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G21C19/42
G21F9/00 Z
G21F9/28 525A
G21F9/28 561E
G21F9/28 521E
G21F9/30 101
G21F9/08 511Z
G21F9/06 521B
G01T1/167 C
G01T1/16 A
C22B60/02
C22B3/44 101A
C22B3/22
C22B9/02
(21)【出願番号】P 2019551343
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2018057999
(87)【国際公開番号】W WO2018178192
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】102017107037.0
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518150493
【氏名又は名称】フラマトム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ロッペルト,アルフォンス
(72)【発明者】
【氏名】ホッペ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ベツォルト,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】アイスナー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ベルクマン,ノルベルト
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-132999(JP,A)
【文献】特開平09-315820(JP,A)
【文献】特開2002-055196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ウランで汚染された複数の部品(5)からウランを回収する方法であって、a)前記複数の部品(5)の酸化ウランを溶解するための洗浄溶液(8)を有する洗浄装置(9)を準備するステップと、
b1)1バッチの部品(5)を前記洗浄装置(9)内に装入することにより洗浄プロセスを実行するステップと、
b2)前記複数の部品(5)のウラン含有量を決定するための測定を実行するステップと、
b2.1)ウラン含有量に対する限界値を超えた場合、前記ステップb1)およびb2)を繰り返すステップと、
b2.2)ウラン含有量に対する限界値を下回った場合、このプロセスから前記部品(5)を取り出すステップと、
c)検査測定が前記洗浄溶液(8)の不十分な洗浄効果を示すまで、前記複数の部品(5)を複数回連続してバッチで前記
ステップb1)、b2)、b2.1)、および、b2.2)を実行するステップと、
d)不十分な洗浄効果が示されたら、前記洗浄溶液(8)中に溶解した酸化ウランを回収するステップと、を含み、
前記ステップb1)による洗浄プロセス中に前記洗浄溶液(8)が対流流れに曝され、その結果、前記洗浄溶液(8)は前記1バッチの部品(5)の周りを流れ、及び/又は、これを貫流し、
前記ステップb1)による洗浄プロセス中に前記1バッチの部品(5)が移送籠(7)に貯蔵され、
前記対流流れを実現するために、前記洗浄装置(9)の床と前記移送籠(7)との間にスペーサ(12)が設けられる、
方法。
【請求項2】
前記洗浄装置(9)が酸浴槽であるか、又は酸浴槽を含んでおり、さらに、前記洗浄溶液(8)が1種類の酸を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ウラン含有量の測定を実行するために測定装置(1)が準備され、前記測定装置(1)は測定ボックスを含み、前記測定ボックスが1つ又は複数のガンマ線検出器(2)、及び/又は、ウラン含有量を測定するための中央部の測定プローブ(3)を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
1バッチの部品(5)を前記洗浄装置(9)に装入する前に、ウラン含有量の第1回測定を行うために、前記1バッチの部品(5)が前記測定装置(1)に送り込まれることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1回測定中に、前記1バッチの部品(5)が移送・保管容器(4)に貯蔵されていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1回測定を実行するために前記中央部の測定プローブ(3)が前記移送・保管容器(4)の中心部に挿入されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記洗浄プロセス中に前記洗浄溶液(8)が加熱され、及び/又は、前記洗浄プロセス中に前記洗浄溶液(8)が超音波により活性化されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップb1)による洗浄プロセスの後で、前記1バッチの部品(5)が前記洗浄装置(9)から取り出され、脱塩浴槽(13)に送り込まれ、前記1バッチの部品(5)は予め決められた時間の間、前記脱塩浴槽(13)に留まることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記脱塩浴
槽(13)の後で前記1バッチの部品(5)が前記脱塩浴槽(13)から取り出され、水切りパン(15)に送り込まれ、前記1バッチの部品(5)は乾燥のために予め決められた時間の間、前記水切りパン(15)に留まることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記洗浄装置(9)に装入する前に前記1バッチの部品(5)が前記移送・保管容器(4)から前記移送籠(7)に移し替えられることを特徴とする、請求項5または6を直接的または間接的に引用する請求項5または6に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップb2)による測定の前に前記1バッチの部品(5)が測定容器(16)に移し替えられることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップb2)による測定を実行するために前記1バッチの部品(5)が前記測定装置(1)の前記測定容器(16)に送り込まれることを特徴とする、請求項3を直接的または間接的に引用する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記洗浄プロセスから取り出された前記部品(5)が前記測定容器(16)に貯蔵され、前記測定容器(
16)内で前記ステップb2)による測定を受け、この場合、前記測定容器(16)は密閉され、前記密閉された測定容器(16)が次の方法ステップまたは貯蔵に回されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記洗浄溶液(8)の不十分な洗浄効果を確定するための検査測定がpHテストを含んでいることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記洗浄溶液(8)の不十分な洗浄効果が示されたら、前記洗浄溶液は中和され、この場合、前記洗浄溶液(8)の中和後、ウランが前記中和された洗浄溶液(8)中に塩として、溶解して又は溶解せずに、存在することを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
溶解していないウラン塩がフィルタ分離され、及び/又は、溶解したウラン塩が蒸留によって得られることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタ分離されたウラン塩、及び/又は、前記蒸留により得られたウラン塩が気中で熱的に酸化ウランに変換されることを特徴とする、請求項15を引用する請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ウランで汚染された部品、例えば空になった被覆管または燃料被覆管、からウラン、特にウラン塩または酸化ウランの形態のウラン、を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力設備の解体ないし廃棄物処理に際して、例えば空になった被覆管または燃料被覆管のようなウランで汚染された部品を放射線に関して無条件で処分するためには、これらの部品を洗浄しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明の課題は、新しい方法、特に、酸化ウランで汚染された複数の部品から酸化ウランを除去することができ、引き続いて、酸化ウランを回収することができる方法、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は請求項1の特徴を備えた方法により解決される。好適な形態および展開形態はそれぞれ従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明による方法は、
a)複数の部品の酸化ウランを溶解するための、好適には部品の表面から酸化ウランを溶解するための、洗浄溶液を有する洗浄装置の準備するステップと、
b1)1バッチの部品を前記洗浄装置に装入することにより洗浄プロセスを実行するステップと、
b2)複数の部品のウラン含有量を決定するための測定を実行するステップと、
b2.1)ウラン含有量に対する限界値を超えた場合、ステップb1)およびb2)を繰り返すステップと、
b2.2)ウラン含有量に対する限界値を下回った場合、このプロセスから複数の部品を取り出すステップと、
c)検査測定が洗浄溶液の不十分な洗浄効果を示すまで、複数の部品を多数回連続してバッチして洗浄ステップb)を実行するステップと、
d)不十分な洗浄効果が示されたら、洗浄溶液中に溶解された酸化ウランを回収するステップと、
を含む。
【0006】
本発明の利点は特に、当該部品の再利用が可能であり、費用の掛かる廃棄物処理が不要となることにある。
【0007】
本発明の特に好適な展開形態によれば、この洗浄装置は酸浴槽であるか、又は酸浴槽を含んでおり、さらに、この洗浄溶液は1種類の酸を含んでおり、この酸が好適には硝酸であり、この硝酸の濃度は例えば1%から70%、好適には2%から60%、である。
【0008】
好適にはウラン含有量の測定を実行するために測定装置が準備され、この測定装置は測定ボックスを含み、この測定ボックスは1つ又は複数のガンマ線検出器、及び/又は、ウラン含有量を測定するための中央部の1つの測定プローブを有しており、これらのガンマ線検出器は好適には複数の側方領域内に、及び/又は、測定ボックスの複数の側壁に配設されている。これらの側壁にはこの測定ボックスの床および天井も含まれる。
【0009】
1バッチの部品を洗浄装置に装入する前に、ウラン含有量の第1回測定を行うために、この1バッチの部品を測定装置に送り込むことができる。この場合、この第1回測定が予め決められた時間内で、例えば1分から48時間で、好適には5分から24時間で、行われると好適である。
【0010】
さらに、上記の第1回測定中にその1バッチの部品を、移送及び/又は保管容器(以降では移送・保管容器と記す)、例えばドラム缶、に貯蔵することができる。この場合、この第1回測定を実行するために、この移送・保管容器が測定ボックス内に完全に収容されると好適である。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、第1回測定を実行するために、上述の中央部の測定プローブは移送・保管容器の中心に、好適には移送・保管容器が測定ボックス内に収容される前に、挿入される。
【0012】
洗浄プロセス中に、上述の洗浄溶液が例えば20℃から110℃の間の温度に、好適には30℃から100℃の間の温度に、好適には電気的に、加熱されると好適である。
【0013】
さらに、洗浄プロセス中に、この洗浄溶液を超音波により活性化することができる。好適には、この超音波は、洗浄装置の例えば床の表面に、又は床の下方に、設置されている超音波発生器により発生される。
【0014】
本発明の展開形態では、ステップb1)による洗浄プロセス中に洗浄溶液が対流流れに曝され、その結果、この洗浄溶液はそのバッチの部品の周りを流れる、及び/又は、これらを貫流することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態では、ステップb1)による洗浄プロセスの後で、その1バッチの部品が洗浄装置から、例えばクレーンを用いて、取り出され、脱塩浴に送り込まれる。この場合、この1バッチの部品は予め決められた時間、例えば1分から48時間、好適には5分から24時間、この脱塩浴に留まる。
【0016】
脱塩浴の後でこの1バッチの部品を、例えばクレーンを用いて、脱塩浴から取り出し、水切りパンに送り込むことができる。この場合、この1バッチの部品は乾燥のために予め決められた時間、例えば1分から48時間、好適には5分から24時間、この水切りパンに留まる。
【0017】
本発明の展開形態では、ステップb1)による洗浄プロセス中に、この1バッチの部品が移送籠、例えばステンレススチール製の移送籠、に貯蔵される。
【0018】
好適には、洗浄装置に装入する前に1バッチの部品が移送・保管容器から、例えば操作員による手動操作で、移送籠に移し替えられる。
【0019】
上述の対流流れを実現するために、洗浄装置の床と移送籠との間にスペーサを設けておくことができる。
【0020】
本発明の別の好適な実施形態では、ステップb2)による測定の前に、1バッチの部品が、好適には非金属の、測定容器に移し替えられる。
【0021】
ステップb2)による測定を実行するために、1バッチの部品を測定装置の測定容器に送り込むことができ、この場合、この測定容器が測定ボックス内に完全に挿入されると好適である。
【0022】
洗浄プロセスから取り出された部品は、ステップb2)による測定を受けた測定容器に貯蔵することができる。この場合、この測定容器は密閉され、この密閉された測定容器が次の方法ステップまたは貯蔵に回される。
【0023】
好適には、洗浄溶液の不十分な洗浄効果を確定するための検査測定がpHテストを含んでいる。
【0024】
本発明の展開形態では、洗浄溶液の不十分な洗浄効果が示されたら、その洗浄溶液は中和される。この場合、洗浄溶液の中和後、ウランはこの中和された洗浄溶液中に塩として、特に不飽和塩溶液として溶解して、又は、特に飽和した塩溶液として溶解せずに、存在する。
【0025】
溶解していないウラン塩はフィルタ分離することができる。これに代えて、又は、これに加えて、溶解したウラン塩を蒸留によって得ることができる。
【0026】
本発明の特に好適な展開形態では、フィルタ分離されたウラン塩、及び/又は、蒸留により得られたウラン塩が気中で熱的に、例えば50℃から650℃の間で、好適には100℃から600℃の間で、酸化ウランに変換される。
【0027】
ステップb2)による測定を実行するための、及び/又は、第1回測定を実行するためのこの測定装置を用いて、例えば次の方法を実行することができる:すなわち、
この測定はバックグラウンド放射線(Strahlenuntergrund)並びに部品の汚染量に応じて、例えば5分から24時間という時間にわたって行われる。
【0028】
全体の測定信号は、複数のガンマ線検出器と中央部の1つの測定プローブの測定信号を合わせたものから構成されている。測定されるのは、全てのガンマ線検出器と中央部の測定プローブの全ガンマ線エネルギスペクトルの合計計数率(integrale Zaehlrate)である(これはグロス計数率と理解される)。このグロス計数率から、事前に求められた平均背景放射量が差し引かれ、これによりネット計数率が得られる。これが校正ファクターで重み付けされる。この校正ファクターはそこにある検出器ジオメトリにおけるベクレル/カウントインパルスの比を表し、同様に事前に求められたものである。
【0029】
この重み付けされたネット信号がそのバッチの部品のウラン同位体であるウラン235およびウラン238の放射能に相当する。常に存在している同位体であるウラン234はウラン235とウラン238の比率から純粋に計算で求めることができる。
【0030】
複数部品の表面の全ウラン含有量は最終的に3つのウラン同位体の合計質量から求められる。
【0031】
以下に本発明をさらなる特徴および利点に関しても、1実施例の明細を基に、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、測定装置の上から見た断面および側面断面の模式図である。
【
図2】
図2は、1バッチの部品が装荷された移送籠の模式図である。
【
図3】
図3は、洗浄溶液が充填され、
図2の移送籠が内部に配置された洗浄装置の模式図である。
【
図4】
図4は、脱塩浴槽およびその内部に配置された
図2の移送籠の模式図である。
【
図5】
図5は、水切りパンおよびその内部に配置された
図2の移送籠の模式図である。
【
図6】
図6は、複数の部品が内部に設置された密閉された測定容器の模式図である。
【0033】
互いに対応する部分およびコンポーネントには図中で同一符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
初期状態では、酸化ウランで汚染された複数の部品5が、例えば放射性廃棄物用ドラム缶のような複数の移送・保管容器4に入れられており、それぞれの移送・保管容器4に1バッチの部品5が含まれている。
【0035】
第1ステップで、第1回測定を行うために1バッチの酸化ウラン汚染部品5が装荷された移送・保管容器が、
図1に示すように、準備された測定装置1内に完全に収容される。
【0036】
この測定装置1は1つの測定ボックスを含んでおり、この測定ボックスは多数のガンマ線検出器2、この例では6個のガンマ線検出器2、及び、ウラン含有量測定のための中央部の1つの測定プローブ3を有している。
図1に示すように、これらのガンマ線検出器2は測定ボックスの6つの側面に設けられている。
【0037】
第1回測定を行うために中央部の測定プローブ3は、移送・保管容器4が測定装置に収容される前に、この移送・保管容器4の中心部に挿入される。
【0038】
この測定は、背景放射量および当該部品の汚染含有量に応じて、5分から24時間の時間にわたって行われる。
【0039】
全体の測定信号は、複数のガンマ線検出器と中央の測定プローブの測定信号を合わせたものから構成されている。測定されるのは、全てのガンマ線検出器と中央の測定プローブの全ガンマ線エネルギスペクトルの合計計数率である(これはグロス計数率と理解される)。このグロス計数率から、事前に求められた平均背景放射量が差し引かれ、これにより、ネット計数率が得られる。これが校正ファクターで重み付けされる。この校正ファクターはそこにある検出器ジオメトリにおけるベクレル/カウントインパルスの比を表し、同様に事前に求められたものである。
【0040】
この重み付けされたネット信号がそのバッチの部品のウラン同位体であるウラン235およびウラン238の放射能に相当する。常に存在している同位体であるウラン234はウラン235とウラン238の比率から純粋に計算で求めることができる。複数部品の表面の全ウラン含有量は最終的に3つのウラン同位体の合計質量から求められる。
【0041】
ステップb1)による洗浄プロセスのために、ステップa)において、
図3に示すように、洗浄装置9に部品5の酸化ウランを溶解するための洗浄溶液8が供給される。この酸化ウランは部品5の表面に存在している。この洗浄装置9は酸浴であり、この洗浄溶液は1種類の酸を含んでいる。この酸は濃度が2%から60%の硝酸である。
【0042】
上記の1バッチの酸化ウラン汚染部品5が操作員6により手動操作で移送・保管容器4からステンレススチール製の位相籠7内に、
図2に示すように、移し替えられる。
【0043】
次に、ステップb1)による洗浄プロセスを実行するために、位相籠7の中のこの1バッチの部品5が、クレーンを用いて酸浴槽9内に装入される。
【0044】
この洗浄プロセスの間、洗浄溶液8は加熱器10によって30℃から100℃の温度に加熱され、さらに、超音波発生器11により発生された超音波により活性化される。
【0045】
ステップb1)による洗浄プロセスの間、この洗浄溶液8は対流流れに曝されるので、洗浄溶液8はこのバッチの部品の周りを流れ、及び/又は、これを貫流する。この対流流れ、すなわち、部品5を周回する流れ及びこれを貫流する流れ、を実現するために、洗浄装置9の床と移送籠7との間にスペーサ12が設けられている。
【0046】
この1バッチの部品5が装荷された移送籠7は、ステップb1)による洗浄プロセスの後でクレーンを用いて洗浄装置9から取り出され、残留している酸を洗い落とすために、
図4に示すように、脱塩浴槽13に移される。次に、このバッチの部品5は予め決められた5分から24時間の時間この脱塩浴槽に留まる。ここでも移送籠7と脱塩浴槽13との間のスペーサ12により、この液体の対流が可能となる。
【0047】
この1バッチの部品5は脱塩浴13の後で脱塩浴槽13から取り出され、移送籠7に入れられた状態でクレーンを用いて水切りパン15に移される。次に、この1バッチの部品5は乾燥のために、予め決められた5分から24時間の時間この水切りパン15内に留まる。
【0048】
乾燥後、ステップb2)による測定の前に、この1バッチの部品5は手動操作で移送籠7から非金属製の測定容器16に、
図6に示すように、移し替えられる。
【0049】
次いで、ステップb2)により、部品5のウラン含有量を決定するための測定が行われる。
【0050】
ステップb2)による測定を行うために、この1バッチの部品5は測定装置1の測定容器16に移される。
【0051】
この測定の結果、ウラン含有量に対する限界値を超えた場合には、ステップb2.1)の基準により、ステップb1)およびステップb2)が繰り返される。すなわち、ステップb1)およびステップb2)は必要な洗浄効果が得られるまで反復して繰り返される。
【0052】
この測定の結果、ウラン含有量に対する限界値を下回った場合には、ステップb2.2)の基準により、部品5はこのプロセスから取り出される。
【0053】
この洗浄プロセスから取り出された部品5は、ステップb2)による測定を受けた測定容器16に貯蔵される。この場合、この測定容器16は密閉され、この密閉された測定容器16は次の方法ステップまたは貯蔵に回される。
【0054】
この洗浄ステップb)は、ステップc)の基準により、検査測定が洗浄溶液8の不十分な洗浄効果を示すまで複数の部品5を多数回連続してバッチで実行される。洗浄溶液8の不十分な洗浄効果を確定するための検査測定はpHテストを含む。
【0055】
上述の不十分な洗浄効果が示されると、ステップd)により、洗浄溶液8中に溶解された酸化ウランが回収される。
【0056】
そのために、硝酸を含む洗浄溶液が中和される。この場合、中和後に、ウランは中和された洗浄溶液8中に塩として、不飽和な塩溶液として溶解して、または、飽和した塩溶液として溶解せずに、存在する。
【0057】
次いで、溶解していないウラン塩はフィルタ分離され、溶解しているウラン塩は最終塩溶液(Ausgangssalzloesung)の蒸留により得られる。
【0058】
フィルタ分離されたウラン塩および蒸留により得られたウラン塩は、次に気中で熱的に100℃から600℃で酸化ウランに変換され、そして回収される。
【符号の説明】
【0059】
1 測定装置
2 ガンマ線検出器
3 中央部の測定プローブ
4 移送及び/又は保管容器
5 部品
7 移送籠
8 洗浄溶液
9 洗浄装置
10 加熱器
11 超音波発生器
12 スペーサ
13 脱塩浴槽
15 水切りパン
16 測定容器