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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】作物収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 61/00 20060101AFI20220712BHJP
   A01D 45/22 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A01D61/00 301Z
A01D45/22 Z
A01D61/00 301E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018077363
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019180328
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 将人
(72)【発明者】
【氏名】大宮 達也
(72)【発明者】
【氏名】丸山 義貴
(72)【発明者】
【氏名】守山 千仁
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 草太
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-051219(JP,A)
【文献】特開2000-201519(JP,A)
【文献】実開昭52-050935(JP,U)
【文献】特公昭40-000067(JP,B1)
【文献】実開昭55-152942(JP,U)
【文献】特開平06-133626(JP,A)
【文献】特開2009-201429(JP,A)
【文献】特開2006-121938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00-61/04
A01D 45/00-45/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜め向きの上下方向に沿った軸芯周りに回転駆動されて、圃場の作物を右側及び左側から挟持して圃場から持ち上げ、持ち上げた作物を起立姿勢に維持しながら斜め上側の後側に搬送する右及び左の第1搬送体と、
左右方向の軸芯周りに回転駆動されて、前記第1搬送体の搬送終端部から後側に延出された第2搬送体と、
前記第2搬送体の上側に沿って後側に延出されたガイドレールとが備えられて、
前記第1搬送体の搬送終端部から横倒れ姿勢に姿勢変更された作物の株元が、前記第2搬送体と前記ガイドレールとの間に挟持されて、前記第2搬送体により後側に搬送され、
前記第2搬送体の右又は左側に配置されて、前記第2搬送体により搬送される作物から実を分離する分離部が備えられて、
右及び左の前記第1搬送体の互いに対向して接触する部分から前記第1搬送体の搬送方向に沿って延出された仮想線に対して、平面視で前記第2搬送体の搬送始端部の左右中央部が前記分離部に近い側の位置に変位するように、前記第2搬送体が配置され
前記ガイドレールにおける前記分離部に近い側の側面が、平面視で前記第2搬送体における前記分離部に近い側の側面と遠い側の側面との間に配置され、
前記ガイドレールにおける前記分離部から遠い側の側面が、平面視で前記第2搬送体における前記分離部から遠い側の側面に対して、前記分離部から遠い側に配置されている作物収穫機。
【請求項2】
前記第1搬送体の搬送終端部と前記第2搬送体の搬送始端部とが、平面視で重複して配置され、
前記第2搬送体の搬送始端部が、側面視で前記第1搬送体の搬送終端部の下側の位置に配置されて、
前記ガイドレールの搬送始端部が、前記第1搬送体の搬送終端部の後側の位置に配置されている請求項に記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記第2搬送体の搬送始端部において、前記第2搬送体における前記分離部から遠い側の側面に沿って配置されて、作物の株元が前記第2搬送体の搬送始端部から離れるのを防止する株元ガイド部が備えられている請求項に記載の作物収穫機。
【請求項4】
作物の株元を下側から受け止めて後側に案内する株元支持部が、前記第2搬送体の搬送始端部に対して、平面視で前記分離部から遠い側の位置に配置されている請求項2又は3に記載の作物収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫する作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
作物収穫機の一例である枝豆収穫機では、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。特許文献1では、圃場の作物を右側及び左側から挟持して圃場から持ち上げて後側に搬送する右及び左の第1搬送体と、横倒れ姿勢の作物の株元を保持して後側に搬送する第2搬送体と、第2搬送体により搬送される作物から実を分離する分離部とが備えられている。
【0003】
これにより特許文献1では、第1搬送体により圃場の起立姿勢の作物が挟持されて持ち上げられ、作物が第1搬送体により搬送されながら徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更される。
第1搬送体の搬送終端部において、作物は横倒れ姿勢となっており、横倒れ姿勢の作物が、第1搬送体の搬送終端部から第2搬送体の搬送始端部に受け渡される。第2搬送体により作物が横倒れ姿勢で後側に搬送されるのであり、第2搬送体により作物が搬送されながら、分離部により作物から実が分離されて、分離された実が回収される。
【0004】
特許文献1によると、第1搬送体の搬送始端部が、上下方向の軸芯周りに回転駆動されており、圃場の起立姿勢の作物が第1搬送体により挟持される。第1搬送体の搬送終端部が、左右方向の軸芯周りに回転駆動されており、第1搬送体の搬送終端部において、作物が横倒れ姿勢に姿勢変更されているように構成されている。
【0005】
これにより、第1搬送体の搬送始端部及び搬送終端部において、第1搬送体が回転駆動される軸芯が直交する状態となっており、第1搬送体が搬送始端部から搬送終端部に亘って捩じられるような状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-201519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、第1搬送体により作物が搬送される場合、作物が後側に搬送されると同時に、作物が起立姿勢から横倒れ姿勢に姿勢変更されるので、第1搬送体による作物の挟持及び搬送が、安定して行われない可能性がある。
【0008】
前述のように、第1搬送体により作物を挟持して搬送する場合、作物の挟持が確実に行われるようにする為に、第1搬送体の作物の挟持部分を作物の反対側から支持するローラーやガイド等を設ける必要がある。
【0009】
しかしながら、特許文献1のように、第1搬送体が搬送始端部から搬送終端部に亘って捩じられるような状態になっていると、前述のローラーやガイド等を設けることが困難になる。前述のローラーやガイド等が少ないと(設けられないと)、第1搬送体による作物の挟持及び搬送が、安定して行われない可能性がある。
【0010】
本発明は、第1搬送体及び第2搬送体、分離部が備えられた作物収穫機において、第1搬送体による作物の挟持及び搬送が安定して行われるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の作物収穫機は、
斜め向きの上下方向に沿った軸芯周りに回転駆動されて、圃場の作物を右側及び左側から挟持して圃場から持ち上げ、持ち上げた作物を起立姿勢に維持しながら斜め上側の後側に搬送する右及び左の第1搬送体と、
左右方向の軸芯周りに回転駆動されて、前記第1搬送体の搬送終端部から後側に延出された第2搬送体と、
前記第2搬送体の上側に沿って後側に延出されたガイドレールとが備えられて、
前記第1搬送体の搬送終端部から横倒れ姿勢に姿勢変更された作物の株元が、前記第2搬送体と前記ガイドレールとの間に挟持されて、前記第2搬送体により後側に搬送され、
前記第2搬送体の右又は左側に配置されて、前記第2搬送体により搬送される作物から実を分離する分離部が備えられて、
右及び左の前記第1搬送体の互いに対向して接触する部分から前記第1搬送体の搬送方向に沿って延出された仮想線に対して、平面視で前記第2搬送体の搬送始端部の左右中央部が前記分離部に近い側の位置に変位するように、前記第2搬送体が配置され
前記ガイドレールにおける前記分離部に近い側の側面が、平面視で前記第2搬送体における前記分離部に近い側の側面と遠い側の側面との間に配置され、
前記ガイドレールにおける前記分離部から遠い側の側面が、平面視で前記第2搬送体における前記分離部から遠い側の側面に対して、前記分離部から遠い側に配置されている。
【0012】
本発明によると、右及び左の第1搬送体により、圃場の起立姿勢の作物が右側及び左側から挟持されて圃場から持ち上げられ、作物は起立姿勢に維持されながら後側に搬送される。
【0013】
起立姿勢の作物が第1搬送体の搬送終端部に達すると、第1搬送体の搬送終端部から第2搬送体の搬送始端部への受け渡し部分において、起立姿勢の作物が横倒れ姿勢に姿勢変更されて、第2搬送体の搬送始端部に受け渡される。
横倒れ姿勢に姿勢変更された作物が第2搬送体により搬送されて、第2搬送体により搬送される作物から、分離部により実が分離されて、分離された実が回収される。
【0014】
以上のように本発明によると、第1搬送体により圃場の起立姿勢の作物が圃場から持ち上げられた後、作物は起立姿勢に維持されながら後側に搬送されるので、第1搬送体による作物の挟持及び搬送が安定して行われる。これにより、作物収穫機の収穫性能を向上させることができる。
【0015】
本発明によると、第1搬送体が搬送始端部から搬送終端部に亘って捩じられるような状態ではないので、第1搬送体の作物の挟持部分を作物の反対側から支持するローラーやガイド等を、無理なく設けることができる。この点においても、第1搬送体による作物の挟持及び搬送が安定して行われるようにする為に、有利なものとなる。
【0016】
本発明によると、左右方向の軸芯周りに回転駆動される第2搬送体に対して、ガイドレールが第2搬送体の上側に沿って延出されており、第2搬送体とガイドレールとの間に、横倒れ姿勢の作物の株元が挟持されて、第2搬送体により作物が搬送される。
【0017】
本発明によると、右及び左の第1搬送体の互いに対向して接触する部分に対して、第2搬送体が分離部に近い側(分離部側)に少し変位して配置されている。
これにより、第1搬送体の搬送終端部から分離部側に横倒れ姿勢に姿勢変更された作物に対して、第2搬送体が左右方向で作物の株元から外れるようなことがなく、第2搬送体とガイドレールとによる作物の株元の挟持の確実性を向上させることができる。
【0019】
本発明によると、上側のガイドレールが、下側の第2搬送体に対して分離部から遠い側(分離部の反対側)に変位している。
これにより、第1搬送体の搬送終端部から第2搬送体の搬送始端部への受け渡し部分において、作物の株元に対して作物の上部が少し高い位置となるような斜めの姿勢に作物がなっても、上側のガイドレールが下側の第2搬送体よりも作物の上部から離れる側に変位する状態であることにより、斜めの姿勢の作物の株元が第2搬送体とガイドレールとの間に無理なく挟持されるようになって、第2搬送体とガイドレールとによる作物の株元の挟持の確実性を向上させることができる。
【0020】
本発明において、
前記第1搬送体の搬送終端部と前記第2搬送体の搬送始端部とが、平面視で重複して配置され、
前記第2搬送体の搬送始端部が、側面視で前記第1搬送体の搬送終端部の下側の位置に配置されて、
前記ガイドレールの搬送始端部が、前記第1搬送体の搬送終端部の後側の位置に配置されていると好適である。
【0021】
本発明によると、第1搬送体の搬送終端部と第2搬送体の搬送始端部とが平面視で重複している点、及び、第2搬送体の搬送始端部が側面視で第1搬送体の搬送終端部の下側の位置に配置されている点により、作物が第1搬送体の搬送終端部から第2搬送体の搬送始端部に受け渡される際に、作物が第1搬送体の搬送終端部及び第2搬送体の搬送始端部の両方に接触する状態を得ることができる。これにより、第1搬送体の搬送終端部から第2搬送体の搬送始端部への作物の受け渡しの確実性を向上させることができる。
【0022】
この場合、本発明によると、ガイドレールの搬送始端部が、第1搬送体の搬送終端部の後側の位置に配置されているので、第1搬送体の搬送終端部とガイドレールの搬送始端部との接触を避けながら、前述のように第1搬送体の搬送終端部及び第2搬送体の搬送始端部を無理なく配置することができる。
【0023】
本発明において、
前記第2搬送体の搬送始端部において、前記第2搬送体における前記分離部から遠い側の側面に沿って配置されて、作物の株元が前記第2搬送体の搬送始端部から離れるのを防止する株元ガイド部が備えられていると好適である。
【0024】
前述のように、ガイドレールの搬送始端部が第1搬送体の搬送終端部の後側の位置に配置されていると、第2搬送体の搬送始端部において、ガイドレールの存在しない部分が生じる。
【0025】
本発明によると、第2搬送体の搬送始端部において、株元ガイド部により作物の株元が第2搬送体の搬送始端部から離れる状態が防止されるので、作物が第2搬送体の搬送始端部に受け渡されてから、作物の株元が第2搬送体とガイドレールとの間に挟持されるまでにおいて、作物の搬送の安定化を図ることができる。
【0026】
本発明によると、株元ガイド部が第2搬送体における分離部から遠い側の側面に沿って配置されているので、株元ガイド部は、作物が分離部側に横倒れ姿勢に姿勢変更される際の妨げにはならない。
【0027】
本発明において、
作物の株元を下側から受け止めて後側に案内する株元支持部が、前記第2搬送体の搬送始端部に対して、平面視で前記分離部から遠い側の位置に配置されていると好適である。
【0028】
本発明によると、作物が分離部側に横倒れ姿勢に姿勢変更される際において、株元支持部により作物の株元を受け止めて下がらないようにすることができるので、作物の横倒れ姿勢への姿勢変更が促進されるようになって、第1搬送体の搬送終端部から第2搬送体の搬送始端部への作物の受け渡しの確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】枝豆収穫機の左側面図である。
図2】枝豆収穫機の平面図である。
図3】エンジンから各部への伝動系を示す概略図である。
図4】収穫部の平面図である。
図5】収穫部の後部及び分離部の付近の平面図である。
図6図5におけるVI-VI方向から見た断面図である。
図7図5におけるVII-VII方向から見た断面図である。
図8】第1搬送体の搬送終端部及び第2搬送体の搬送始端部、姿勢変更部、防塵カバーの付近の左側面図である。
図9】第1搬送体の搬送終端部及び第2搬送体の搬送始端部、姿勢変更部の付近の平面図である。
図10】第1搬送体及び姿勢変更部の伝動系を示す縦断背面図である。
図11】第1搬送体の搬送終端部及び第2搬送体の搬送始端部、防塵カバーの付近の斜視図である。
図12】第1搬送体の搬送終端部及びガイドレールの搬送始端部の付近の平面図である。
図13】第2搬送体の搬送始端部及びガイドレールの搬送始端部の付近の縦断背面図である。
図14】第2搬送体及びガイドレールの付近の縦断背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図14に、作物収穫機の一例である枝豆収穫機が示されている。
図1図14において、Fは機体1の「前方向」を示し、Bは機体1の「後方向」を示し、Uは機体1の「上方向」を示し、Dは機体1の「下方向」を示している。Rは機体1の「右方向」を示し、Lは機体1の「左方向」を示している。
【0031】
(枝豆収穫機の全体構成)
図1及び図2に示すように、右及び左のクローラ型式の走行装置2により、機体1が支持されており、機体1の前部の左部に収穫部3が設けられ、機体1の前部の右部に運転部4が設けられている。機体1の後部に分離部5が設けられ、機体1の右部に支持台6及び作業デッキ7が設けられている。
【0032】
(枝豆収穫機における収穫の流れの概要)
図1及び図2に示すように、収穫部3に、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P1,P2周りに回転駆動される右及び左の第1搬送体11が備えられている。
【0033】
機体1の前進に伴って、収穫部3において右及び左の第1搬送体11により、圃場の起立姿勢の作物Aが右側及び左側から挟持されて、右及び左の第1搬送体11により作物Aが引き抜かれ持ち上げられて、作物Aが起立姿勢に維持されながら収穫部に3に沿って斜め上側の後側に搬送される。
【0034】
分離部5の左側に、左右方向の軸芯周りに回転駆動される第2搬送体12が、第1搬送体11の搬送終端部11bから後側に延出されており、第2搬送体12に沿ってガイドレール13が配置されている。
【0035】
作物Aが第1搬送体11の搬送終端部11bに達すると、第1搬送体11の搬送終端部11bから第2搬送体12の搬送始端部12aへの受け渡し部分において、起立姿勢の作物Aが分離部5側の横倒れ姿勢に姿勢変更されて、第2搬送体12の搬送始端部12aに受け渡される。
横倒れ姿勢の作物Aの株元A1(図5及び図8参照)が、第2搬送体12とガイドレール13との間に挟持(保持)され、第2搬送体12により作物Aが後側に搬送される。
【0036】
図1,5,6,7に示すように、分離部5に、左右方向の軸芯周りに回転駆動される上下2組の回転体8及び上下2組の回転体9と、回転体8,9の下側に前後方向に沿って配置された回収コンベア10と、回収コンベア10の後部の下側に左右方向に沿って配置された搬送コンベア14と、回収コンベア10の後部から後側に所定間隔を開けて配置された排出コンベア15と、回収コンベア10の下側に配置された唐箕16とが備えられている。
【0037】
第2搬送体12により横倒れ姿勢の作物Aが後側に搬送されると、作物Aは先ず上側及び下側の回転体8の間を通るのであり、回転体8の回転により作物Aから実A2が分離され、分離された実A2が回収コンベア10に落下する。
【0038】
作物Aは次に上側及び下側の回転体9の間を通るのであり、回転体9の回転により作物Aから実A2が分離され、分離された実A2が回収コンベア10に落下する。実A2が分離された作物Aは、第2搬送体12の搬送終端部12bから圃場に放出される。回転体8,9により作物Aから実A2が分離される際、葉等の屑も一緒に回収コンベア10に落下する。
【0039】
回収コンベア10が後側に向けて回転駆動されており、回収コンベア10に落下した実A2及び屑は、回収コンベア10により後側に搬送され、回収コンベア10の後部から搬送コンベア14に落下する。
【0040】
唐箕16の搬送風が回収コンベア10の下側から後側に流れ、回収コンベア10と排出コンベア15との間を通って、排出コンベア15の上側を後側に流れている。
実A2及び屑が回収コンベア10の後部から落下する際に、実A2は唐箕16の搬送風に抗して搬送コンベア14に落下する。屑は唐箕16の搬送風により飛ばされて排出コンベア15に乗るのであり、排出コンベア15に乗った屑が、排出コンベア15により後側に搬送されて圃場に放出される。
【0041】
図2及び図5に示すように、搬送コンベア14は支持台6側に向けて回転駆動されており、多数の回収箱17が支持台6に乗せられている。搬送コンベア14に落下した実A2は、搬送コンベア14により支持台6側に搬送されて、搬送コンベア14の搬送終端部に位置する回収箱17に投入される。作業デッキ7の補助作業者は、搬送コンベア14の搬送終端部に位置する回収箱17が満杯になると、空の回収箱17と入れ換える。
【0042】
(エンジンから各部への伝動系の構成)
図3に示すように、運転部4の下部にエンジン18が支持されている。機体1の前部の左右中央にミッションケース19が支持されており、静油圧式の無段変速装置20がミッションケース19に連結されている。
【0043】
エンジン18の動力が、伝動ベルト21を介して無段変速装置20の入力軸に伝達されて、無段変速装置20の動力が、ミッションケース19の内部の副変速装置(図示せず)等を介して、走行装置2に伝達される。無段変速装置20の動力が、ギヤ伝動機構22、伝動ベルト23、伝動軸24及び伝動ベルト25を介して、伝動軸26に伝達され、伝動軸26から収穫部3及び姿勢変更部62(後述の(姿勢変更部の構成)参照)に伝達される。
【0044】
エンジン18の動力が、伝動ベルト27、伝動軸28、伝動ベルト29、伝動軸30及び伝動ベルト31を介して、駆動機構32に伝達され、駆動機構32により第2搬送体12が回転駆動される。
【0045】
伝動軸28の動力が、伝動ベルト34、ギヤ型式の伝動機構35及び伝動ベルト36を介して、回収コンベア10及び排出コンベア15に伝達されて、回収コンベア10及び排出コンベア15が回転駆動される。
回収コンベア10の動力が、伝動ベルト37、ベベルギヤ型式の伝動機構38及び伝動チェーン39を介して、搬送コンベア14に伝達されて、搬送コンベア14が回転駆動される。
【0046】
伝動軸28の動力が、伝動ベルト33を介して唐箕16に伝達されて、唐箕16が回転駆動される。伝動軸28の動力が、伝動ベルト34、伝動軸40及び伝動ベルト41,42を介して回転体8,9に伝達されて、回転体8,9が回転駆動される。
【0047】
(収穫部(第1搬送体)の構成)
図1,2,4に示すように、収穫部3において、右及び左の直線状の支持フレーム43が設けられており、支持フレーム44が、右及び左の支持フレーム43の下側に亘って連結されている。
【0048】
右及び左の支持フレーム43の前部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P1周りに、右及び左の従動プーリー45が回転自在に支持されている。右及び左の支持フレーム43の後部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P2周りに、右及び左の駆動プーリー46が回転自在に支持されている。この場合、軸芯P1と軸芯P2とは、互いに平行である。
【0049】
右の従動プーリー45及び右の駆動プーリー46に亘って、ゴムベルト製の右の第1搬送体11が取り付けられている。左の従動プーリー45及び左の駆動プーリー46に亘って、ゴムベルト製の左の第1搬送体11が取り付けられている。
【0050】
右及び左の第1搬送体11が、支持フレーム43の全長に亘って合わせられている。支持フレーム43に、多数のローラー47が回転自在に支持されており、ローラー47により第1搬送体11の合わせ部分(作物Aの挟持部分)の反対側が支持されている。
右及び左の支持フレーム43の前部に、右及び左のデバイダ48、サブソイラ49が取り付けられている。
【0051】
右及び左の支持フレーム43が左右方向で等間隔を維持して、支持フレーム43の前部が下側で、支持フレーム43の後部が上側となるように、側面視で斜めの姿勢で、支持フレーム43が、機体1の前部の左部に前後方向に沿って支持されている。
【0052】
第1搬送体11において、従動プーリー45の付近が搬送始端部11aであり、駆動プーリー46の付近が搬送終端部11bである。これにより、右及び左の第1搬送体11が、第1搬送体11の搬送始端部11aから搬送終端部11bに亘って、捩じられることなく、直線的に斜め上側の後側に向けて延出されている。
【0053】
(収穫部の駆動系の構成)
図5,8,9に示すように、右の第1搬送体11の搬送終端部11bの上側に、駆動ケース50が支持され、左の第1搬送体11の搬送終端部11bの上側に、駆動ケース51が支持され、駆動ケース51の上側に姿勢変更部62(後述の(姿勢変更部の構成)参照)が支持されている。
【0054】
駆動ケース50,51に駆動軸52が軸芯P2に沿って支持されて、駆動軸52の下部に駆動プーリー46が連結されている。駆動ケース50,51に伝動軸53が横向きに支持されており、駆動軸52のベベルギヤ52aと、伝動軸53のベベルギヤ53aとが咬合している。
【0055】
伝動軸26(図3参照)が、第1搬送体11の搬送終端部11bの下側に左右方向に沿って配置されており、伝動軸26のプーリー26aと、伝動軸53のプーリー53bとに亘って、伝動ベルト54が取り付けられている。
【0056】
以上の構成により、伝動軸26の動力が、伝動ベルト54及び伝動軸53を介して駆動軸52に伝達されて、右の駆動軸52(右の駆動プーリー46)が回転駆動されて、右の第1搬送体11が図4及び図5の反時計方向に回転駆動される。左の駆動軸52(左の駆動プーリー46)が回転駆動されて、左の第1搬送体11が図4及び図5の時計方向に回転駆動される。
【0057】
(第2搬送体の構成)
図1,2,3,8に示すように、機体1の左部に駆動機構32が支持されており、駆動機構32に、左右方向の軸芯周りに回転駆動される駆動スプロケット32aが備えられている。機体1の左部の前部に、回転輪55,56が左右方向の軸芯周りに回転自在に支持され、機体1の左部の後部に、回転輪57が左右方向の軸芯周りに回転自在に支持されている。
【0058】
駆動機構32の駆動スプロケット32a及び回転輪55,56,57に亘って、第2搬送体12が取り付けられている。第2搬送体12は、金属製のチェーンであり、外側に向けて、側面視で三角形状の凸部が備えられている。駆動機構32の駆動スプロケット32aにより、第2搬送体12が図1及び図8の時計方向に回転駆動される。
【0059】
第2搬送体12は、第1搬送体11の搬送終端部11bから後側に延出されて、機体1の左部に前後方向に沿って配置されており、第2搬送体12の右側に分離部5が配置されている。第2搬送体12において、回転輪55と回転輪56との間の部分が搬送始端部12aであり、回転輪57の付近が搬送終端部12bである。
【0060】
図1及び図8に示すように、第2搬送体12の搬送始端部12aの前部分(回転輪55の部分)が、第搬送体11の搬送端部11bの後部分(回転輪56の部分)よりも下側の位置に配置されて、第2搬送体12の搬送始端部12aが、第1搬送体11の搬送終端部11bに沿って斜め上向きの傾斜姿勢に配置されている。
第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)から搬送終端部12bに亘る部分が、側面視で略水平姿勢に配置されている。
【0061】
(ガイドレールの構成)
図1,8,11,14に示すように、機体1の左部の上部に、前後方向に沿って支持フレーム58が支持されており、支持フレーム58に、多数の支持ロッド59が上下動自在に支持されている。
【0062】
ガイドレール13は、短いチャンネル状部材が、開放側を下向きにして前後方向に沿って一列状に配置され、隣接する前後のチャンネル状部材が、上下方向に曲がるようにピンにより互いに接続されている。
【0063】
ガイドレール13が、第2搬送体12の上側に沿って後側に延出されている。支持ロッド59の下部に、ガイドレール13のチャンネル状部材を接続する前述のピンが支持されており、ガイドレール13(チャンネル状部材)が上下動自在に支持されている。支持ロッド59を下側に付勢するバネ60が備えられて、ガイドレール13が第2搬送体12に押圧されている。
【0064】
ガイドレール13において、第2搬送体12の搬送始端部12a側の先頭のチャンネル状部材が搬送始端部13aである。ガイドレール13の搬送始端部13aが、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)よりも少し後側に位置している。
【0065】
以上の構成により、後述の(第1搬送体の搬送終端部から第2搬送部の搬送始端部への受け渡し部分における作物の状態)に記載のように、作物Aの株元A1が第2搬送体12とガイドレール13との間に挟持されると、作物Aの株元A1により、ガイドレール13が折れ曲がるようにして上側に持ち上げられるのであり、バネ60の付勢力によって第2搬送体12とガイドレール13との間に、作物Aの株元A1が十分な挟持力によって挟持される。
【0066】
(案内部材の構成)
図8,11,12,14に示すように、丸棒材により構成された案内部材61が備えられている。ガイドレール13の搬送始端部13aにおける分離部5に近い側の側面13a1に、案内部材61が取り付けられており、案内部材61が第2搬送体12に沿って前向きに延出されている。
【0067】
案内部材61が、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)から、側面視で斜め上向きの前向きに延出されている(図8参照)。
案内部材61が、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)から、平面視で左の第1搬送体11に向けて斜め左向きの前向きに延出されている(図12参照)。
【0068】
案内部材61がガイドレール13の搬送始端部13aに取り付けられていることによって、案内部材61はガイドレール13の搬送始端部13aと一体で上下動する。
【0069】
(第1搬送体、第2搬送体及びガイドレールの位置関係)
図5,8,9に示すように、第1搬送体11の搬送終端部11bと第2搬送体12の搬送始端部12aとが、平面視で重複して配置されており、第2搬送体12の搬送始端部12aが、側面視で第1搬送体11の搬送終端部11bの下側の位置に配置されている。
【0070】
右及び左の第1搬送体11の互いに対向して接触する部分から第1搬送体11の搬送方向に沿って延出された仮想線B1に対して、平面視で第2搬送体12の搬送始端部12aの左右中央部12cが、分離部5に近い側(右側)の位置に変位するように、第2搬送体12が配置されている。
【0071】
図12及び図14に示すように、ガイドレール13における分離部5に近い側(右側)の側面13a1が、平面視で第2搬送体12における分離部5に近い側(右側)の側面12a1と、遠い側(左側)の側面12a2との間に配置されている。
【0072】
ガイドレール13における分離部5から遠い側(左側)の側面13a2が、平面視で第2搬送体12における分離部5から遠い側(左側)の側面12a2に対して、分離部5から遠い側(左側)に配置されている。
【0073】
図5及び図8に示すように、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)が、側面視で、第1搬送体11の搬送終端部11bの後側の位置に配置されている。案内部材61及びガイドレール13の搬送始端部13aが、側面視で、第1搬送体11の搬送終端部11bの後側の位置に配置されている。
【0074】
第1搬送体11の搬送終端部11bが、側面視で案内部材61の前端部と、第2搬送体12の搬送始端部12aとの間に入り込む状態となっており、案内部材61の前端部が側面視で第1搬送体11の搬送終端部11bの上側の位置に配置されている。
【0075】
(姿勢変更部の構成)
図1及び図2に示すように、第1搬送体11の搬送終端部11b(駆動ケース51)の上部に、姿勢変更部62が取り付けられている。
【0076】
図8,9,10に示すように、姿勢変更部62に、ガイド部63、無端回動体64及び爪体65が備えられている。
ガイド部63は、上側及び下側の2組備えられており、第1搬送体11の搬送終端部11b(駆動ケース51)から第2搬送体12の搬送始端部12aに向けて、平面視で分離部5に近い側(右側)に斜めに傾斜して配置されている。ガイド部63において、分離部5に近い側(右側)の辺部が、案内部63aとなる。
【0077】
駆動ケース51において、駆動軸52が上側に延出され、ガイド部63における軸芯P2の位置に伝動軸66が回転自在に支持されており、駆動軸52と伝動軸66とが連結部材67を介して連結されている。
【0078】
上及び下のガイド部63の間に、駆動スプロケット68が回転自在に支持されており、伝動軸66のスプロケット66aと駆動スプロケット68とに亘って、伝動チェーン69が取り付けられている。
【0079】
上及び下のガイド部63の間に、従動スプロケット70が回転自在に支持され、伝動軸66に、従動スプロケット71が相対回転自在に外嵌されている。上及び下のガイド部63の間において、チェーン状の無端回動体64が、駆動スプロケット68及び従動スプロケット70,71に亘って取り付けられている。
【0080】
これにより、駆動軸52の動力が、伝動軸66及び伝動チェーン69を介して駆動スプロケット68に伝達されて、駆動スプロケット68が回転駆動されて、無端回動体64が図9の時計方向に回転駆動される。
【0081】
爪体65は、無端回動体64の移動方向に沿って所定間隔を開けて無端回動体64に取り付けられている。爪体65は、無端回動体64から外側に突出する作用姿勢、及び無端回動体64に沿うように倒れる非作用姿勢に姿勢変更自在に、無端回動体64に取り付けられている。
【0082】
爪体65が無端回動体64と一体で図9の時計方向に回転駆動される場合、爪体65が駆動スプロケット68に達すると、爪体65は非作用姿勢に操作され、駆動スプロケット68から従動スプロケット70を少し過ぎる付近から作用姿勢に操作される。
爪体65は、従動スプロケット70を少し過ぎて作用姿勢に操作されると、作用姿勢に維持されながら従動スプロケット71から駆動スプロケット68に移動し、駆動スプロケット68に達すると非作用姿勢に操作される。
【0083】
(姿勢変更部と第1搬送体及び第2搬送体との位置関係)
図1及び図8に示すように、姿勢変更部62は、側面視で第1搬送体11の搬送終端部11b(駆動ケース51)の上側の位置と、第1搬送体11の搬送終端部11b(駆動ケース51)から後側に離れた位置とに亘って配置されている。
【0084】
図1及び図8に示すように、姿勢変更部62は、第1搬送体11の搬送終端部11b(駆動ケース51)の上側の位置から、側面視で斜め上向きに配置されており、図2及び図9に示すように、平面視で第2搬送体12の搬送始端部12aと重複している。
【0085】
図2及び図9に示すように、姿勢変更部62においてガイド部63の案内部63aは、第1搬送体11の搬送終端部11b(駆動ケース51)から第2搬送体12の搬送始端部12aに向けて、平面視で斜めに分離部5に近い側(右側)に傾斜して配置されている。
【0086】
無端回動体64は、上下方向に沿った軸芯周りに回転駆動されて、ガイド部63の案内部63aに沿って、第1搬送体11の搬送終端部11b(駆動ケース51)側から、第2搬送体12の搬送始端部12a側に、駆動スプロケット68の位置まで移動する状態となっている。
【0087】
(姿勢変更部及び第1搬送体への伝動系の位置関係)
図10に示すように、左の第1搬送体11の搬送終端部11bと姿勢変更部62との間の位置に、分配伝動部72が配置された状態となっており、分配伝動部72に、駆動ケース51、駆動軸52のベベルギヤ52a及び伝動軸53のベベルギヤ53aが備えられている。
【0088】
第1搬送体11により作物Aを挟持する部分に対して左の外側の位置から、分配伝動部72に動力を伝達する伝動部73が備えられており、伝動部73に、伝動軸53、伝動軸53のプーリー53b及び伝動ベルト54が備えられている。
【0089】
分配伝動部72に伝達された動力を、分配伝動部72の下側に位置する左の第1搬送体11に伝達する下側伝動軸が、駆動軸52である。分配伝動部72に伝達された動力を、分配伝動部72の上側に位置する姿勢変更部62に伝達する上側伝動軸が、伝動軸66である。
【0090】
右の第1搬送体11の搬送終端部11bの上側の位置に、伝動部74が配置された状態となっており、伝動部74に、駆動ケース50、駆動軸52のベベルギヤ52a及び伝動軸53のベベルギヤ53aが備えられている。
【0091】
第1搬送体11により作物Aを挟持する部分に対して右の外側の位置から、伝動部74に動力を伝達する伝動部75が備えられており、伝動部75に、伝動軸53、伝動軸53のプーリー53b及び伝動ベルト54が備えられている。
伝動部74に伝達された動力を、伝動部74の下側に位置する右の第1搬送体11に伝達する下側伝動軸が、駆動軸52である。
【0092】
(株元支持部の構成)
図8,11,13に示すように、第2搬送体12の搬送始端部12aに対して、平面視で分離部5から遠い側(左側)の位置に、作物Aの株元A1を下側から受け止めて後側に案内する平板状の株元支持部76が配置されている。株元支持部76は、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)から、第2搬送体12の搬送始端部12aに沿って斜め下向きの前側に延出されている。
【0093】
(株元ガイド部の構成)
図8,11,12,13に示すように、第2搬送体12の搬送始端部12aにおいて、第2搬送体12における分離部5から遠い側(左側)の側面12a2に沿って、株元ガイド部77が配置されており、株元ガイド部77は、作物Aの株元A1が第2搬送体12の搬送始端部12aから離れるのを防止する。
【0094】
株元ガイド部77は丸棒状に形成されている。株元ガイド部77の後端部が、ガイドレール13の搬送始端部13aの近傍に配置されており、株元ガイド部77が第2搬送体12の搬送始端部12aに沿って前側に延出されている。第2搬送体12の搬送始端部12aの前部分(回転輪55の部分)から前側において、株元ガイド部77は第2搬送体12の搬送始端部12aから離れる側(左側)に延出されている。
【0095】
株元ガイド部77の前端部に、左右方向に向く支持軸77aが連結されている。機体1に取り付けられた支持部78に、株元ガイド部77の支持軸77aが左右方向にスライド自在に支持されており、株元ガイド部77の前端部を第2搬送体12の搬送始端部12a側(右側)に付勢するバネ79が、株元ガイド部77の支持軸77aに取り付けられている。
【0096】
株元ガイド部77の後端部に、上下方向に向く支持軸77bが連結されている。支持フレーム58の前部に、株元ガイド部77の支持軸77bが上下方向にスライド自在に支持されており、株元ガイド部77の後端部を第2搬送体12の搬送始端部12a側(下側)に付勢するバネ80が、株元ガイド部77の支持軸77bに取り付けられている。
【0097】
(茎部ガイド部の構成)
図4,8,11,12,13に示すように、側面視で第1搬送体11の搬送終端部11bと姿勢変更部62との間の位置に、作物Aの茎部を第2搬送体12の搬送始端部12a側(右側)に案内する茎部ガイド部81が備えられている。
【0098】
茎部ガイド部81は丸棒状に形成されており、茎部ガイド部81が、左の第1搬送体11の搬送終端部11bの上部に沿って配置されて、収穫部3に取り付けられている。
茎部ガイド部81の前部81aが、第2搬送体12の搬送始端部12aの前部分(回転輪55の部分)よりも前側に位置しており、平面視で左の第1搬送体11の搬送終端部11bから離れる側(左側)に延出されている。
【0099】
茎部ガイド部81の後部81bが、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)の上側近傍に位置しており、平面視で第2搬送体12の搬送始端部12a側(右側)に延出されている。
【0100】
(上部ガイド部の構成)
図1,2,8,9に示すように、側面視で、姿勢変更部62の上側の位置に、作物Aの上部を第2搬送体12の搬送始端部12a側に案内する上部ガイド部82が備えられている。
【0101】
上部ガイド部82は、平板状に成されており、姿勢変更部62において上のガイド部63の案内部63aに沿って、上のガイド部63に取り付けられている。上部ガイド部82は、上のガイド部63に取り付けられる部分から上側の部分ほど、平面視で右の第1搬送体11の搬送終端部11b側(右側)に向くように、斜め姿勢に設定されている。
【0102】
(後部ガイド部及び防塵カバーの構成)
図1,8,11に示すように、支持フレーム58の前端部に、後部ガイド部83が連結されている。後部ガイド部83は、平板状に形成されており、平面視で左の第1搬送体11の搬送終端部11b側(左側)に向くように、斜め姿勢に設定されている。
【0103】
図1,2,8,11に示すように、姿勢変更部62の右側に位置するように、防塵カバー84が機体1に取り付けられている。防塵カバー84は板材により箱状に形成されており、防塵カバー84の左部(姿勢変更部62側の部分)に、開口部84aが開口されている。
【0104】
(第1搬送体の搬送終端部から第2搬送体の搬送始端部への受け渡し部分における作物の状態)
第1搬送体11の搬送終端部11bから第2搬送体12の搬送始端部12aへの受け渡し部分において、起立姿勢の作物Aが横倒れ姿勢に姿勢変更されるのであり、第1搬送体11の搬送終端部11bから横倒れ姿勢に姿勢変更された作物Aの株元A1が、第2搬送体12とガイドレール13との間に挟持される。
前述の状態での作物Aの流れについて、以下のように説明する。
【0105】
図1,2,4に示すように、収穫部3において、デバイダ48が圃場に接して、サブソイラ49が圃場に入り込んだ状態で、機体1を前進させると、圃場の作物Aがデバイダ48により分けられ、サブソイラ49により圃場が崩されながら、圃場の起立姿勢の作物Aが右及び左の第1搬送体11の搬送始端部11aに入る。
【0106】
右及び左の第1搬送体11により、圃場の起立姿勢の作物Aが右側及び左側から挟持されて、右及び左の第1搬送体11により作物Aが引き抜かれ持ち上げられて、作物Aが起立姿勢に維持されながら収穫部に3に沿って斜め上側の後側に搬送される。
【0107】
図8,9,11,12に示すように、起立姿勢の作物Aが第1搬送体11の搬送終端部11bに達すると、作物Aの株元A1が株元支持部76により下側から受け止められながら、作物Aの株元A1の左部が株元ガイド部77に接触して、作物Aの株元A1が第2搬送体12の搬送始端部12aに案内される。
【0108】
次に、右及び左の第1搬送体11により作物Aが挟持された状態において、作物Aの株元A1が、第2搬送体12の搬送始端部12aと株元ガイド部77との間に挟持されて、第2搬送体12の搬送始端部12aに接触する状態となり、作物Aの株元A1が株元支持部76により下側から受け止められる状態となる。
【0109】
右及び左の第1搬送体11により作物Aが挟持された状態において、作物Aの茎部が、茎部ガイド部81に接触して、第2搬送体12の搬送始端部12a側(右側)に案内される。
姿勢変更部62の爪体65(無端回動体64)の回転により、作物Aの上部が爪体65の間に入り込むのであり、上部ガイド部82が作物Aの上部に接触する。
【0110】
これにより、右及び左の第1搬送体11により作物Aが後側(第2搬送体12側)に搬送され、第2搬送体12の搬送始端部12aによって作物Aの株元A1が搬送される状態となり、作物Aの株元A1が少し横倒れ姿勢となる。
【0111】
姿勢変更部62の爪体65(無端回動体64)が回転駆動されることにより、作物Aの上部が、爪体65によりガイド部63の案内部63aに沿って、第1搬送体11の搬送終端部11bから、第2搬送体12の搬送始端部12aに向けて、押し操作される状態となる。
【0112】
ガイド部63の案内部63a及び爪体65は、第1搬送体11の搬送終端部11bからの作物Aを、作物Aの実A2が付いている部分が作物Aの株元A1に対して分離部5に近い側(右側)となる横倒れ姿勢に姿勢変更する。上部ガイド部82は、前述の作物Aの横倒れ姿勢への姿勢変更を補助する。
【0113】
次に図8,9,13に示すように、作物が第1搬送体11の搬送終端部11bから後側に離れると、作物Aは姿勢変更部62により横倒れ姿勢に姿勢変更されている。
第1搬送体11の搬送終端部11bから横倒れ姿勢に姿勢変更された作物Aの株元A1が、第2搬送体12の搬送始端部12aと株元ガイド部77との間に挟持されて、第2搬送体12の搬送始端部12aに乗る状態となる。
【0114】
これと同時に、作物Aの上部が、倒れ込むようにして防塵カバー84の開口部84aに入るのであり、作物Aの上部が後部ガイド部83により防塵カバー84の開口部84aに向けて案内される。
【0115】
次に、横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、案内部材61により第2搬送体12とガイドレール13の搬送始端部13aとの間に案内され、第2搬送体12とガイドレール13との間に挟持されるのであり、て、第2搬送体12とガイドレール13とにより作物Aが横倒れ姿勢で後側に搬送される。
【0116】
(発明の実施の別形態)
機体1の前部の右部に収穫部3(第1搬送体11)、第2搬送体12及びガイドレール13を設けてもよい。この構成によると、第2搬送体12及びガイドレール13の左側に分離部5が設けられることになる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、枝豆収穫機ばかりではなく、大豆等の作物Aを収穫する作物収穫機に適用できるのであり、圃場の作物Aを引き抜くのではなく、圃場の作物Aの株元A1の付近をカッター等で切断して、根部を圃場に残しながら作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できる。
【符号の説明】
【0118】
5 分離部
11 第1搬送体
11b 第1搬送体の搬送終端部
12 第2搬送体
12a 第2搬送体の搬送始端部
12a1 側面
12a2 側面
13 ガイドレール
13a ガイドレールの搬送始端部
13a1 側面
13a2 側面
76 株元支持部
77 株元ガイド部
A 作物
A1 作物の株元
A2 作物の実
B1 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14