IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和電器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電源タップ 図1
  • 特許-電源タップ 図2
  • 特許-電源タップ 図3
  • 特許-電源タップ 図4
  • 特許-電源タップ 図5
  • 特許-電源タップ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】電源タップ
(51)【国際特許分類】
   H01R 25/00 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
H01R25/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018041347
(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公開番号】P2019160433
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000208477
【氏名又は名称】大和電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143546
【弁理士】
【氏名又は名称】押久保 政彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】特許業務法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】半田 昌暖
(72)【発明者】
【氏名】大島 聡
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-270277(JP,A)
【文献】特開2005-056758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 25/00
H01R 27/00-31/08
H01R 35/00-35/04
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源プラグの栓刃を接続可能な一対のプラグ挿入口がX方向に配列された刃受ユニットが、基端側から前方に向けてY方向に複数配列され、隣接する前記刃受ユニットがY方向に延びる回転軸を中心に所定角度回転可能に設けられ、基端部に位置する前記刃受ユニットに活線側及び接地側の一対の電源コードが接続された電源タップであって、
前記刃受ユニットは、活線側電源コードに接続される活線側刃受金具と、接地側電源コードに接続される接地側刃受金具とを備え、
隣接する前記活線側刃受金具は、前記回転軸を中心として回転可能な活線側軸受部により接続され、
隣接する前記接地側刃受金具は、前記回転軸を中心として回転可能な接地側軸受部により接続され、
隣接する前記刃受ユニットは、360°未満の最大回転角度を超えて互いに回転しないように回転抑止機構が設けられ
前記活線側軸受部は、隣接する前記活線側刃受金具の一方から延びる活線側軸部が、他方に設けられた活線側軸受穴に挿入されて抜け止めされて連結され、
前記接地側軸受部は、隣接する前記接地側刃受金具の一方から延びる接地側軸部が、他方に設けられた接地側軸受穴に挿入されて抜け止めされて連結されていることを特徴とする電源タップ。
【請求項2】
請求項に記載の電源タップであって、
前記活線側軸受部は、前記活線側軸部が前記活線側軸受穴を貫通して突出しており、
前記活線側軸受部に、隣接する前記活線側刃受金具を挟持し、突出した前記活線側軸部を係止する活線側係止部が設けられた活線側挟持部材が装着され、
前記接地側軸受部は、前記接地側軸部が前記接地側軸受穴を貫通して突出しており、
前記接地側軸受部に、隣接する前記接地側刃受金具を弾性により挟持し、突出した前記接地側軸部を係止する接地側係止部が設けられた接地側挟持部材が装着されていることを特徴とする電源タップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電源タップであって、
前記活線側刃受金具及び前記接地側刃受金具は、Y方向に一方のみ軸受部が形成された片軸刃受金具と、Y方向の基端側及び前方に軸受部が形成された両軸刃受金具とから構成され、前記片軸刃受金具及び前記両軸刃受金具を組み合わせて構成されることを特徴とする電源タップ。
【請求項4】
請求項に記載の電源タップであって、
前記活線側刃受金具は、基端部に前記片軸刃受金具が配置され、前方に1又は複数の前記両軸刃受金具が連結され、
前記接地側刃受金具は、前方端部に前記片軸刃受金具が配置され、基端側に向けて1又は複数の前記両軸刃受金具が連結されていることを特徴とする電源タップ。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の電源タップであって、
前記刃受ユニットはそれぞれ合成樹脂製の筐体を備えており、
前記回転抑止機構は、前記筐体に設けられていることを特徴とする電源タップ。
【請求項6】
請求項に記載の電源タップであって、
前記筐体には、隣接する前記刃受ユニットが前記最大回転角度となった際に、隣接する前記刃受ユニットの前記活線側刃受金具と前記接地側刃受金具が短絡しないように両者の
間に介在する短絡防止部が設けられていることを特徴とする電源タップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源タップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の電源プラグを差し込むことが可能なように、複数のプラグ挿入口を有する電源タップが知られている。また、このような電源タップにおいては、電源コードが延びる方向(電源タップの長手方向)に複数のプラグ挿入口を配置した電源タップも周知である。
【0003】
この種の複数のプラグ挿入口を有する電源タップにおいては、例えばACアダプタ等の大きさが大きい電源プラグ等のように、形状によっては隣接するプラグ挿入口に他の電源プラグを差し込めない状態となる。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に開示された電源タップのように、円柱状に形成された電源タップであって、長手方向に複数配置されたプラグ挿入口を長手方向の軸を中心に回転可能とした構成が提案されている。
【0005】
また、特許文献2に記載された電源タップのように、電源タップの長手方向に複数のユニットを連結させ、それらのユニットを隣接するユニットに対して360°回転可能とした電源タップも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-023740号公報
【文献】特開2014-072159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、電源プラグの形状によらず、隣接するプラグ挿入口に電源プラグを差し込むことを可能にしたいという課題は存在しており、それは、特許文献1及び2を見ても明らかである。
【0008】
一方で、特許文献1及び2に記載の電源タップは、長手方向に複数のユニットを連結し、それぞれのユニットを隣接するユニットに対して回転可能にしたものであるが、各ユニット及びその内部の刃受金具等の構成を見ても、単なるアイデアレベルに止まっており、およそ実用性がないことは明らかである。
【0009】
本発明は、上記不都合を解消するために、隣接するプラグ挿入口の角度を可変として、電源プラグの形状に左右されずにプラグ挿入口に差し込むことを可能にする電源タップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の電源タップは、電源プラグの栓刃を接続可能な一対のプラグ挿入口がX方向に配列された刃受ユニットが、基端側から前方に向けてY方向に複数配列され、隣接する前記刃受ユニットがY方向に延びる回転軸を中心に所定角度回転可能に設けられ、基端部に位置する前記刃受ユニットに活線側及び接地側の一対の電源コードが接続された電源タップであって、前記刃受ユニットは、活線側電源コードに接続される活線側刃受金具と、接地側電源コードに接続される接地側刃受金具とを備え、隣接する前記活線側刃受金具は、前記回転軸を中心として回転可能な活線側軸受部により接続され、隣接する前記接地側刃受金具は、前記回転軸を中心として回転可能な接地側軸受部により接続され、隣接する前記刃受ユニットは、360°未満の最大回転角度を超えて互いに回転しないように回転抑止機構が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の電源タップによれば、各刃受ユニットは、活線側刃受金具と接地側刃受金具とを備えており、隣接する刃受ユニットは、隣接する活線側刃受金具同士、及び隣接する接地側刃受金具同士が回転軸を中心に回転可能に接続された構成となっている。また、各刃受ユニットは、回転抑止機構により、360°未満の最大回転角度を超えて互いに回転しない構成となっている。当該構成により、隣接する活線側刃受金具同士、及び隣接する接地側刃受金具同士が確実に電気的に接続される。また、前記回転抑止機構により、各活線側刃受金具と隣接する刃受ユニットの接地側刃受金具との接触を防止することができる。
【0012】
また、本発明の電源タップにおいて、前記活線側軸受部は、隣接する前記活線側刃受金具の一方から延びる活線側軸部が、他方に設けられた活線側軸受穴に挿入されて抜け止めされて連結され、前記接地側軸受部は、隣接する前記接地側刃受金具の一方から延びる接地側軸部が、他方に設けられた接地側軸受穴に挿入されて抜け止めされて連結されている。
【0013】
隣接する活線側刃受金具同士を回転可能に接続する場合、リベット等を用いて接続することができるが、隣接する活線側刃受金具の一方から延びる活線側軸部を、他方に設けられた活線側軸受穴に挿入し、抜け止めして連結することにより、少ない部品点数で活線側刃受金具同士を接続することができる。また、同様に接地側刃受金具同士を安定した接圧で接続することができる。
【0014】
また、本発明の電源タップにおいて、前記活線側軸受部は、前記活線側軸部が前記活線側軸受穴を貫通して突出しており、前記活線側軸受部に、隣接する前記活線側刃受金具を挟持し、突出した前記活線側軸部を係止する活線側係止部が設けられた活線側挟持部材が装着され、前記接地側軸受部は、前記接地側軸部が前記接地側軸受穴を貫通して突出しており、前記接地側軸受部に、隣接する前記接地側刃受金具を弾性により挟持し、突出した前記接地側軸部を係止する接地側係止部が設けられた接地側挟持部材が装着されていることが好ましい。
【0015】
当該構成によれば、活線側軸受部が活線側挟持部材によって挟持されているため、隣接する活線側刃受金具同士が確実に接続される。また、接地側軸受部も同様に、接地側挟持部材によって確実に接続される。これにより、隣接する金具同士の接触不安定による接触不良、発熱等の電気的な問題を抑制することができる。また、挟持部材は弾性を有するため、隣接する金具同士の動きによって発生する傾きや金具の変形、或いは摩耗等が生じた場合でも、隣接する金具の接触圧力を一定に保つことができる。
【0016】
また、本発明の電源タップにおいて、前記活線側刃受金具及び前記接地側刃受金具は、Y方向に一方のみ軸受部が形成された片軸刃受金具と、Y方向の基端側及び前方に軸受部が形成された両軸刃受金具とから構成され、前記片軸刃受金具及び前記両軸刃受金具を組み合わせて構成されることが好ましい。
【0017】
当該構成によれば、刃受ユニットの基端部と前方端部は、それぞれ軸受部は不要であるため、片軸刃受金具を用いることができる。この片軸刃受金具は、両軸刃受金具よりもY方向に短くすることができるため、電源タップのY方向の長さを短くすることができる。また、活線側刃受金具と接地側刃受金具を共通の刃受金具の組み合わせで構成することができる。
【0018】
また、当該構成において、前記活線側刃受金具は、基端部に前記片軸刃受金具が配置され、前方に1又は複数の前記両軸刃受金具が連結され、前記接地側刃受金具は、前方端部に前記片軸刃受金具が配置され、基端側に向けて1又は複数の前記両軸刃受金具が連結されていることが好ましい。
【0019】
当該構成によれば、活線側刃受金具と接地側刃受金具を同一の構成でY方向の前後(前方側と基端側)を逆転させた構成とすることができる。このため、電源タップの製造時において、刃受金具の部品の種類を少なくすることができる。
【0020】
また、本発明の電源タップにおいて、前記刃受ユニットはそれぞれ合成樹脂製の筐体を備えており、前記回転抑止機構は、前記筐体に設けられていることが好ましい。このように、合成樹脂製の筐体に回転抑止機構を設ける場合は、成形により任意の形状で回転抑止機構とすることができるので、筐体の形状や大きさに応じて適宜回転抑止機構を形成することができる。
【0021】
また、本発明の電源タップにおいて、前記筐体には、隣接する前記刃受ユニットが前記最大回転角度となった際に、隣接する前記刃受ユニットの前記活線側刃受金具と前記接地側刃受金具が短絡しないように両者の間に介在する短絡防止部が設けられていることが好ましい。当該構成によれば、隣接する刃受ユニットが強い力で互いに回転させられた場合であっても、活線側刃受金具と接地側刃受金具との短絡を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、隣接するプラグ挿入口の角度を可変として、電源プラグの形状に左右されずにプラグ挿入口に差し込むことを可能にする電源タップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A)~(C)は、本発明の実施形態の一例である電源タップの外観を示す説明図。
図2図1の電源タップの内部構造を示す説明図。
図3】本実施形態の電源タップの刃受金具の構造を示す説明図。
図4】本実施形態の電源タップの軸受部の構成を示す説明図。
図5】本実施形態の電源タップの筐体を構成するボディの形状を示す説明図。
図6】本実施形態の電源タップの筐体を構成するキャップの形状を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態である電源タップ1について説明する。本実施形態の電源タップ1は、図1(A)に示すように、電源コード2から電源が供給される電源タップ1であって、基本的形状が六角柱であり、基端側に設けられ電源コード2が接続されるベースユニット10と、このベースユニット10から前方に複数配列された(本実施形態では3個)第一刃受ユニット20、第二刃受ユニット40、及び第三刃受ユニット60を備えている。
【0025】
第一刃受ユニット20、第二刃受ユニット40、及び第三刃受ユニット60には、電源プラグ3の栓刃4を差込可能な一対のプラグ挿入口21,41,61が設けられている。ここで、一対のプラグ挿入口21,41,61が配列されている方向をX方向、ベースユニット10から第三刃受ユニット60まで、各刃受ユニットが配列されている方向をY方向とする。また、電源タップ1の六角柱の軸方向の中心を通る線を回転軸Rとする。
【0026】
本実施形態の電源タップ1は、第二刃受ユニット40及び第三刃受ユニット60が、ベースユニット10及び第一刃受ユニット20に対して、図1(A)の状態から回転軸Rを中心としてそれぞれ240°まで自由に回転可能に形成されている。図1(B)においては、第二刃受ユニット40を反時計方向に60°回転させた状態を示しており、図1(C)では、第三刃受ユニット60を反時計方向に120°回転させた状態を示している。
【0027】
また、第二刃受ユニット40及び第三刃受ユニット60は、時計方向にも120°回転させることができるため、合計で240°回転させることができる。本実施形態においては、この240°が最大回転角度となる。なお、以下の説明において、電源コード2を活線側電源コード2aと接地側電源コード2bに分けて説明するが、これらの配置は任意であり、図面における配置に限定されない。
【0028】
次に、図2図4を参照して、本実施形態の電源タップ1の内部構造を含めた構造について説明する。本実施形態の電源タップ1において、ベースユニット10、第一刃受ユニット20、第二刃受ユニット40、及び第三刃受ユニット60は、それぞれ合成樹脂製の筐体であるキャップとボディを備えている。ベースユニット10は、ベースボディ12及びベースキャップ13、第一刃受ユニット20は、第一ボディ22及び第一キャップ23、第二刃受ユニット40は、第二ボディ42及び第二キャップ43、第三刃受ユニット60は、第三ボディ62及び第三キャップ63を備えている。
【0029】
また、第一刃受ユニット20、第二刃受ユニット40、及び第三刃受ユニット60は、それぞれ電源プラグ3の栓刃4を接続可能な刃受金具を備えている。これらの刃受金具は、第一刃受ユニット20内の第一刃受金具24、第二刃受ユニット40内の第二刃受金具44、及び第三刃受ユニット60内の第三刃受金具64となっている。図2においては、後述する挟持部材85を各刃受金具から分離した状態を示している。
【0030】
第一刃受金具24は、図2及び図3に示すように、活線側電源コード2aに接続される第一活線側刃受金具25と、接地側電源コード2bに接続される第一接地側刃受金具26とを備えている。同様に、第二刃受金具44は、第二活線側刃受金具45及び第二接地側刃受金具46を備えており、第三刃受金具64は、第三活線側刃受金具65及び第三接地側刃受金具66を備えている。
【0031】
図4に示すように、本実施形態において、各刃受金具は、金具の種類としては片軸刃受金具Sと両軸刃受金具Dの2種類の金具を組み合わせて用いている。図2及び図3に示すように、第一刃受金具24の第一活線側刃受金具25は片軸刃受金具Sを用いており、第一接地側刃受金具26は両軸刃受金具Dを用いている。第二刃受金具44は、第二活線側刃受金具45及び第二接地側刃受金具46共に両軸刃受金具Dを用いている。前方端部に設けられた第三刃受金具64の第三活線側刃受金具65は両軸刃受金具Dを用いており、第三接地側刃受金具66は片軸刃受金具Sを用いている。
【0032】
片軸刃受金具Sは、図4に示すように、電源プラグ3の栓刃4と接触する刃受部S1と、刃受部S1からY方向の一方に延びる接続端子部S2と、刃受部S1からY方向の他方に配置されてX方向に折り曲げられた軸受板S3とを備えている。また、軸受板S3には、回転軸Rを中心とする円形の軸受穴S4が形成されている。また、軸受板S3には、電源コード2の端子を接続可能な端子接続部S5が設けられている。さらに、軸受板S3には、後述する挟持部材85を係合してその位置決めを行う係合溝S6が設けられている。
【0033】
両軸刃受金具Dは、電源プラグ3の栓刃4と接触する刃受部D1と、刃受部D1からY方向の一方に延びると共に斜めに屈曲され、さらにX方向に折り曲げられた迂回軸受板D2と、刃受部D1からY方向の他方に配置されてX方向に折り曲げられた軸受板D3とを備えている。また、この軸受板D3にも、軸受穴D4、端子接続部D5、及び係合溝D6が設けられている。なお、片軸刃受金具Sの軸受板S3と、両軸刃受金具Dの軸受板D3は、同一の形状に形成されている。
【0034】
迂回軸受板D2は、隣接する刃受金具の軸受穴S4に挿入可能で、軸受穴S4に挿入された際に軸受板を貫通して突出する円筒状の軸部D7が形成されている。この軸部D7は、迂回軸受板D2の板状の部分をプレス加工することにより形成されている。
【0035】
また、軸部D7は、図3に示すように、活線側軸受部81の場合には活線側軸部D7a、接地側軸受部83の場合には接地側軸部D7bとなる。同様に、軸受穴S4も、活線側軸受部81の場合には活線側軸受穴S4a、接地側軸受部83の場合には接地側軸受穴S4bとなる。
【0036】
図2及び図3に示すように、第一活線側刃受金具25と第二活線側刃受金具45は、回転軸Rを中心として所定角度回転可能な活線側軸受部81により接続され、第二活線側刃受金具45と第三活線側刃受金具65は活線側軸受部82により接続されている。同様に、第一接地側刃受金具26と第二接地側刃受金具46は接地側軸受部83により接続され、第二接地側刃受金具46と第三接地側刃受金具66は接地側軸受部84により接続されている。
【0037】
本実施形態の電源タップ1においては、第二活線側刃受金具45、第三活線側刃受金具65、第一接地側刃受金具26、及び第二接地側刃受金具46が両軸刃受金具Dであり、一方の側の軸受板が迂回軸受板D2となっており、隣接する軸受部を迂回して接続されている。このため、第二刃受金具44及び第三刃受金具64がそれぞれ回転した場合であっても、隣接する軸受部に接触して短絡することがない。
【0038】
次に、活線側軸受部の詳細について図4を参照して説明する。活線側軸受部81,82及び接地側軸受部83,84は、いずれも同じ構造であるため、以下、第一活線側刃受金具25と第二活線側刃受金具45における活線側軸受部81を例にして説明する。活線側軸受部81は、図4(A)~(D)に示すように、第一活線側刃受金具25の軸受板S3と第二活線側刃受金具45の迂回軸受板D2との接続となる。
【0039】
この活線側軸受部81は、図4(A)に示す状態から、迂回軸受板D2に設けられた軸部D7を、軸受板S3に設けられた軸受穴S4に挿入して、図4(B)に示すように迂回軸受板D2と軸受板S3とを接触させる。この状態から、図4(C)に示すように、弾性を有するクリップ形状の挟持部材85を活線側軸受部81に装着して迂回軸受板D2と軸受板S3とを押し付けながら保持する。
【0040】
この挟持部材85には軸部D7を抜け止めするための係止穴86(係止部)が設けられているため、挟持部材85は迂回軸受板D2と軸受板S3から外れることはない。また、軸受板S3には係合溝S6が設けられており、挟持部材85が装着された際にこの係合溝S6に係合されるため、挟持部材85が軸受板S3に位置決めされる。
【0041】
この挟持部材85は、図2に示すように、活線側軸受部81に装着される場合は活線側挟持部材85aとなり、接地側軸受部83に装着される場合は接地側挟持部材85bとして用いられる。また、係止穴86は、挟持部材85が活線側軸受部81に装着される場合は活線側係止穴86a(活線側係止部)となり、接地側軸受部83に装着される場合は接地側係止穴86b(接地側係止部)となる。
【0042】
この活線側軸受部81は上記構成となっているため、図4(D)に示すように、第一活線側刃受金具25と第二活線側刃受金具45は、回転軸Rを中心に回転自在となっている。本実施形態においては、後述する回転抑止機構により、最大で片側120°、両側で240°の回転が可能となっている。なお、この回転角度は、各金具や筐体の構成により回転可能な角度が異なるため、360°未満の任意の角度とすることができる。
【0043】
活線側軸受部82、接地側軸受部83及び接地側軸受部84についても、上記活線側軸受部81と同様の構成となっているため、各軸受部では、接続された隣接する刃受金具が、回転軸Rを中心として回転自在に保持される。
【0044】
また、図2に示すように、第一刃受ユニット20、第二刃受ユニット40、及び第三刃受ユニット60には、その内部に第一刃受カバー27、第二刃受カバー47、及び第三刃受けカバー67が内蔵されている。これらの刃受カバーは、第一刃受ユニット20、第二刃受ユニット40、及び第三刃受ユニット60を、取付ネジ5によってそれぞれの第一キャップ23~第三キャップ63に固定する部材である。また、取付ネジ5は、ネジキャップ6によって頭部が塞がれる。
【0045】
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態の電源タップ1の筐体について説明する。図5(A)は、ボディ側の部材であり、図において左側からベースボディ12、第一ボディ22、第二ボディ42、及び第三ボディ62となっている。図5(B)はベースボディ12の裏面の構造を表している。ベースボディ12は、図5(A)に示すとおり、第一ボディ22に連結される。
【0046】
図5(B)に示すように、ベースボディ12には、後述する第一ボディ22の第一スリーブ29aが挿入固定される半円形のベース開口14aが形成されている。また、その中央部には、後述する第一嵌合穴34aに嵌合する嵌合突起15aが設けられている。
【0047】
次に、図5(C)を参照して、第一ボディ22の構成について説明する。第一ボディ22は、六角形の筒状部材を半分に分割した形状の第一ボディ本体28aと、円筒を半分に分割した形状の第一スリーブ29aとを有しており、第一ボディ本体28aの図5(C)における下方には、第二ボディ42の第二スリーブ49aが装着される第一開口30aが設けられている。また、第一開口30aの近傍には、第一開口30aと並行して円弧状に形成された第一リブ31aが設けられている。
【0048】
第一ボディ本体28aには、電源プラグ3の栓刃4が挿通される第一プラグ挿入口21が形成されている。この第一プラグ挿入口21には、第一刃受カバー27の一部が挿入される。第一スリーブ29aには、上端部に第一回転抑止突起32a(回転抑止機構)が設けられ、高さ方向の中間部に第一ガイド突起33aが設けられている。また、第一スリーブ29aには、その中央部近傍に第一嵌合穴34aが設けられ、その上方に第一ガイド突起35aが設けられている。
【0049】
第一ボディ本体28aの内部には第一開口30a及び第一リブ31aの近傍に、後述する第二回転抑止突起52aと共に回転抑止機構を構成する第一制止突起36aが設けられている。第一制止突起36aは、第一刃受ユニット20に対して第二刃受ユニット40を回転させた際に、両ユニットが互いに所定角度(本実施形態では240°)を超えて回転しないようにする部材である。また、図6に示すように、第一キャップ23にも第一制止突起36bが設けられている。
【0050】
また、第一ボディ本体28aの内部には、第一スリーブ29aの裏面に第一短絡防止部38aが設けられている。この第一短絡防止部38aは、断面が略三角形状の突起であり、図4(D)に示す状態において、迂回軸受板D2が当接し、隣接する刃受金具同士が接触して短絡するのを防止する部材である。
【0051】
次に、図6を参照して、ベースキャップ13、第一キャップ23、第二キャップ43、及び第三キャップ63について説明する。図6(B)はベースキャップ13の裏面の構造を表している。ベースキャップ13は、図6(A)に示すとおり、第一キャップ23に連結される。
【0052】
図6(B)に示すように、ベースキャップ13には、後述する第一キャップ23の第一スリーブ29bが挿入固定される半円形のベース開口14bが形成されている。また、その中央部には、後述する第一嵌合穴34bに嵌合する嵌合突起15bが設けられている。また、ベースキャップ13の中央近傍には、取付ネジ5が挿通され、ネジキャップ6が装着されるベースネジ穴16が設けられている。
【0053】
次に、図6(C)を参照して、第一キャップ23の構成について説明する。第一キャップ23は、六角形の筒状部材を半分に分割した形状の第一キャップ本体28bと、円筒を半分に分割した形状の第一スリーブ29bとを有しており、第一キャップ本体28bの図5(C)における下方には、第二キャップ43の第二スリーブ49bが装着される第一開口30bが設けられている。また、第一開口30bの近傍には、第一開口30bと並行して円弧状に形成された第一リブ31bが設けられている。
【0054】
第一キャップ本体28bには、取付ネジ5が挿通され、ネジキャップ6が装着される第一ネジ穴37が設けられている。その他は、基本的に第一ボディ22と同様の構成を有しており、第一スリーブ29b、第一回転抑止突起32b、第一ガイド突起33b、第一嵌合穴34b、第一ガイド突起35b、及び第一短絡防止部38bが設けられている。
【0055】
次に、第二ボディ42、第二キャップ43、第三ボディ62、及び第三キャップ63について説明する。第二ボディ42及び第二キャップ43は、第一ボディ22及び第一キャップ23と同一の部材を用いている。
【0056】
具体的には、第二ボディ42は、第二ボディ本体48aと、第二スリーブ49aと、第二開口50aと、第二リブ51aと、第二回転抑止突起52aと、第二制止突起56aと、第二短絡防止部58aを有している。また、第二キャップ43は、第二キャップ本体48bと、第二スリーブ49bと、第二開口50bと、第二リブ51bと、第二回転抑止突起52bと、第二制止突起56bと、第二短絡防止部58bを有している。
【0057】
同様に、第三ボディ62は、第三ボディ本体68aと、第三スリーブ69aと、第三開口70aと、第三回転抑止突起72aと、第三短絡防止部78aを有している。また、第三キャップ63は、第三キャップ本体68bと、第三スリーブ69bと、第三開口70bと、第三回転抑止突起72bと、第三短絡防止部78bを有している。なお、第三ボディ62及び第三キャップ63は、それぞれリブ及び制止突起は設けられていない。
【0058】
また、第三ボディ62及び第三キャップ63は、第三開口70a及び70bの形状が第一開口30a及び30bと異なっている。第三開口70a及び70bは、開口の形状が六角形であり、六角形の蓋部材78が装着される。
【0059】
ここで、図2に戻って、本実施形態の電源タップ1について説明すると、ベースユニット10は、ベースボディ12とベースキャップ13が、電源コード2を内蔵した状態でベースネジ穴16から挿入される取付ネジ5により結合され、ベースネジ穴16にはネジキャップ6が装着される。
【0060】
また、同様に、第一刃受ユニット20は、第一ボディ22と第一キャップ23が、第一刃受金具24及び第一刃受カバー27を内蔵した状態で第一ネジ穴37から挿入される取付ネジ5により結合され、第一ネジ穴37にはネジキャップ6が装着される。第二刃受ユニット40及び第三刃受ユニット60も同様である。
【0061】
ここで、ベースユニット10と第一刃受ユニット20は、ベースユニット10のベース開口14a及び14bによって形成される開口に、第一刃受ユニット20の第一スリーブ29a及び29bが挿入されている。また、第一刃受ユニット20の第一スリーブ29aに設けられた第一嵌合穴34aに嵌合突起15aが嵌合し、第一スリーブ29bに設けられた第一嵌合穴34bに嵌合突起15bが嵌合している。このため、ベースユニット10と第一刃受ユニット20は、互いに回転しないように固定されている。
【0062】
第一刃受ユニット20と第二刃受ユニット40は、第一開口30a及び第一開口30bにより形成される開口に、第二刃受ユニット40の第二スリーブ49a及び49bにより形成される円筒状のスリーブが回転自在に装着されている。このとき、第一開口30aの近傍に設けられている第一リブ31aの前後に第一ガイド突起33a及び33bが摺動自在に当接しているため、第一刃受ユニット20に対して第二刃受ユニット40が回転自在となる。
【0063】
一方で、第二スリーブ49a及び49bには、第二回転抑止突起52a及び52bが設けられており、第一刃受ユニット20には第一制止突起36a及び36bが設けられているため、第二刃受ユニット40は、第一刃受ユニット20に対して最大で240°の角度まで回転し、それを超える回転は行われない。第二刃受ユニット40に対する第三刃受ユニット60についても、上記と同様に最大で240°の角度まで回転し、それを超える回転は行われない。
【0064】
また、隣接する刃受ユニットを最大角度で回転させた際には、第一短絡防止部38a,38b、第2短絡防止部58a,58b、及び第三短絡防止部78a,78bによって、隣接する刃受金具同士の接触が阻止されるので、各刃受金具同士の短絡が防止される。
【0065】
なお、上記実施形態においては、電源タップ1として、第一刃受ユニット20、第二刃受ユニット40及び第三刃受ユニット60の3個の刃受ユニットを有する例について説明したが、これに限らず、刃受ユニットは1個でもよく、4個以上設けてもよい。
【0066】
また、電源タップ1の形状は、上記実施形態のように六角柱である必要はなく、他の多角柱としてもよく、楕円を含む円柱であってもよい。また、上記実施形態では、ベースユニット10を備えた例を示しているが、ベースユニット10を省略して第一刃受ユニット20に直接電源コード2を接続してもよい。
【0067】
また、活線側軸受部81,82及び接地側軸受部83,84においては、軸部D7を迂回軸受板D2に設け、軸受穴S4を軸受板S3に設けたが、これに限らず、軸部D7を軸受板S3に設け、軸受穴S4を回軸受板D2に設けてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…電源タップ、2…電源コード、2a…活線側電源コード、2b…接地側電源コード、3…電源プラグ、4…栓刃、10…ベースユニット、20…第一刃受ユニット、21…第一プラグ挿入口、22…第一ボディ、23…第一キャップ、24…第一刃受金具、25…第一活線側刃受金具、26…第一接地側刃受金具、32a,32b…第一回転抑止突起、36a,36b…第一制止突起、38a,38b…第一短絡防止部、40…第二刃受ユニット、41…第二プラグ挿入口、42…第二ボディ、43…第二キャップ、44…第二刃受金具、45…第二活線側刃受金具、46…第二接地側刃受金具、52b…第二回転抑止突起、56b…第二制止突起、58a,58b…第二短絡防止部、60…第三刃受ユニット、61…第三プラグ挿入口、62…第三ボディ、63…第三キャップ、64…第三刃受金具、65…第三活線側刃受金具、66…第三接地側刃受金具、78a,78b…第三短絡防止部、81,82…活線側軸受部、D7a…活線側軸部、83,84…接地側軸受部、D7b…接地側軸部、85…挟持部材、85a…活線側挟持部材、85b…接地側挟持部材、86…係止穴、86a…活線側係止穴、86b…接地側係止穴。


図1
図2
図3
図4
図5
図6