(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】レール頭面測定装置
(51)【国際特許分類】
E01B 35/06 20060101AFI20220712BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20220712BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
E01B35/06
G01B7/00 101F
G01B21/00 R
(21)【出願番号】P 2018082143
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390041379
【氏名又は名称】株式会社山崎歯車製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 清水
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142574(JP,A)
【文献】特開平11-153424(JP,A)
【文献】特開2014-221984(JP,A)
【文献】特開2006-284289(JP,A)
【文献】特開2005-265445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 35/06
G01B 7/00
G01B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの測定区間に応じた長さを有するガイドプレートと、
前記ガイドプレートの前端部および後端部それぞれの外側に設けられ、前記ガイドプレートの前後をそれぞれレールに対し着脱可能に固定するレールクランプ機構と、
走行用モータが設けられ、前記ガイドプレートに沿って走行するキャリアと、
前記キャリアに設けられ、前記キャリアが前記ガイドプレートに沿って走行する際、レール頭面の変位量を非接触式で測定する非接触式変位量測定部と、を有
し、
前記キャリアには、さらに、前記非接触式変位量測定部を前記ガイドレールの長手方向に対し直交する方向にスライドさせる変位量測定部スライド機構が設けられていることを特徴とするレール頭面測定装置。
【請求項2】
請求項1記載のレール頭面測定装置において、
前記ガイドプレートおよび前記キャリアは、平面視ほぼ長方形状の箱状の本体ケースの中に設けられ、
前記本体ケース長手方向のケース前側面およびケース後側面それぞれの外側には、前記レールクランプ機構が設けられており、
前記レールクランプ機構は、それぞれ、
前記ケース前側面または前記ケース後側面それぞれに対し上下動する上下方向スライド板と、
前記ケース前側面または前記ケース後側面それぞれに固定され、前記上下方向スライド板の上下動を案内する上下動案内部が設けられたる上下動案内板と、
前記上下方向スライド板の左右両側にクランプ回動軸部を介し回動可能に支持され、回動してレールをクランプする左右一対のレールクランプ部と、
前記左右一対のレールクランプ部の内、一方のレールクランプ部の上端部にレバー有りリンク回動軸部を介し回動可能に連結され、作業者が掴むレバー部が設けられたレバー有りリンク部と、
前記左右一対のレールクランプ部の内、他方のレールクランプ部の上端部にレバー無しリンク回動軸部を介し回動可能に連結され、他端は前記レバー有りリンク部にリンク部同士連結回動軸部を介し回動可能に連結されたレバー無しリンク部とを有し、
前記上下方向スライド板には、前記レバー有りリンク部と前記レバー無しリンク部とを回動可能に連結するリンク部同士連結回動軸部の後端部が嵌り、当該リンク部同士連結回動軸部の上下動を案内する回動軸上下動案内用長孔が設けられた回動軸上下動案内部が設けられ、
前記上下方向スライド板は、上下スライド用スプリングによって前記取付け板の上下動案内部に従って上昇するように常に付勢されている一方、前記左右一対のレールクランプ部それぞれにおける前記クランプ回動軸部より上側同士を連結するトグル用スプリングによってレールクランプ部先端が常に開くように付勢しており、前記左右一対のレールクランプ部がレール頭部をクランプした状態では、前記レバー有りリンク回動軸部と前記レバー無しリンク回動軸部とを結ぶ直線よりも前記リンク部同士連結回動軸部が下方に位置して前記リンク部同士連結回動軸部の後端部が前記回動軸上下動案内部の回動軸上下動案内用長孔の下端部に当接するトグルの安定状態を維持するように構成されていることを特徴とするレール頭面測定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレール頭面測定装置において、
前記キャリアには、さらに、前記非接触式変位量測定部が測定したレール頭面の変位量の測定データに基づいて前記レールの頭面に対しマークを付けるマーキング部が設けられていることを特徴とするレール頭面測定装置。
【請求項4】
請求項1~
請求項3のいずれか一の請求項に記載のレール頭面測定装置において、
前記キャリアには、さらに、
着脱自在で交換可能なバッテリと、
前記キャリアの走行動作と前記非接触式変位量測定部によるレール頭面の変位量の測定作業を制御する本体制御部が設けられ、
当該本体制御部には、前記キャリアが前記ガイドプレートに沿って走行しながら少なくとも前記非接触式変位量測定部が測定した測定データを入力して書き込み、前記バッテリからの電流供給が無くなっても前記測定データを消失させずに記憶する着脱自在のメモリカードが装着可能なように構成されていることを特徴とするレール頭面測定装置。
【請求項5】
レールの測定区間に応じた長さを有するガイドプレートと、
前記ガイドプレートの前端部および後端部それぞれの外側に設けられ、前記ガイドプレートの前後をそれぞれレールに対し着脱可能に固定するレールクランプ機構と、
走行用モータが設けられ、前記ガイドプレートに沿って走行するキャリアと、
前記キャリアに設けられ、前記キャリアが前記ガイドプレートに沿って走行する際、レール頭面の変位量を非接触式で測定する非接触式変位量測定部と、を有し、
前記ガイドプレートおよび前記キャリアは、平面視ほぼ長方形状の箱状の本体ケースの中に設けられ、
前記本体ケース長手方向のケース前側面およびケース後側面それぞれの外側には、前記レールクランプ機構が設けられており、
前記レールクランプ機構は、それぞれ、
前記ケース前側面または前記ケース後側面それぞれに対し上下動する上下方向スライド板と、
前記ケース前側面または前記ケース後側面それぞれに固定され、前記上下方向スライド板の上下動を案内する上下動案内部が設けられたる上下動案内板と、
前記上下方向スライド板の左右両側にクランプ回動軸部を介し回動可能に支持され、回動してレールをクランプする左右一対のレールクランプ部と、
前記左右一対のレールクランプ部の内、一方のレールクランプ部の上端部にレバー有りリンク回動軸部を介し回動可能に連結され、作業者が掴むレバー部が設けられたレバー有りリンク部と、
前記左右一対のレールクランプ部の内、他方のレールクランプ部の上端部にレバー無しリンク回動軸部を介し回動可能に連結され、他端は前記レバー有りリンク部にリンク部同士連結回動軸部を介し回動可能に連結されたレバー無しリンク部とを有し、
前記上下方向スライド板には、前記レバー有りリンク部と前記レバー無しリンク部とを回動可能に連結するリンク部同士連結回動軸部の後端部が嵌り、当該リンク部同士連結回動軸部の上下動を案内する回動軸上下動案内用長孔が設けられた回動軸上下動案内部が設けられ、
前記上下方向スライド板は、上下スライド用スプリングによって前記取付け板の上下動案内部に従って上昇するように常に付勢されている一方、前記左右一対のレールクランプ部それぞれにおける前記クランプ回動軸部より上側同士を連結するトグル用スプリングによってレールクランプ部先端が常に開くように付勢しており、前記左右一対のレールクランプ部がレール頭部をクランプした状態では、前記レバー有りリンク回動軸部と前記レバー無しリンク回動軸部とを結ぶ直線よりも前記リンク部同士連結回動軸部が下方に位置して前記リンク部同士連結回動軸部の後端部が前記回動軸上下動案内部の回動軸上下動案内用長孔の下端部に当接するトグルの安定状態を維持するように構成されていることを特徴とするレール頭面測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール頭面(例えば、レール頭頂面やレール頭部側面等)の凹凸の変位量を測定するレール頭面測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レール頭面の凹凸の変位量を測定するレール頭面測定装置として、例えば、レール頭面に転がり接触するローラーと、このローラーの上下動に応じて揺動する記録ペン等を備えた接触式の変位量測定器を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-153424号公報
【文献】特開2012-18059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1,2に記載されたレール頭面測定装置は、レール頭面にローラーが接触し転がりながらレール頭面の変位量を測定する接触式のセンサを使用しているため、レールの繋ぎ目の遊間が大きい場合、センサがその遊間にはまり込まないようにセンサを浮かす作業が発生する等、作業者の負担が大きいという問題がある。
【0005】
また、上述の特許文献1,2に記載されたレール頭面測定装置は、作業者が手で変位量測定器をレールの長手方向に移動させて測定を行うため、作業者の負担が大きく、測定区間が長くなるほど作業者の負担が大きくなるという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、レールの繋ぎ目の遊間が大きい場合でも、センサを浮かす作業を行うことなく、また作業者がセンサを手で引く作業が不要で、作業者の負担を軽減することができるレール頭面測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るレール頭面測定装置は、レールの測定区間に応じた長さを有するガイドプレートと、前記ガイドプレートの前端部および後端部それぞれの外側に設けられ、前記ガイドプレートの前後をそれぞれレールに対し着脱可能に固定するレールクランプ機構と、走行用モータが設けられ、前記ガイドプレートに沿って走行するキャリアと、前記キャリアに設けられ、前記キャリアが前記ガイドプレートに沿って走行する際、レール頭面の変位量を非接触式で測定する非接触式変位量測定部とを有し、前記キャリアには、さらに、前記非接触式変位量測定部を前記ガイドレールの長手方向に対し直交する方向にスライドさせる変位量測定部スライド機構が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るレール頭面測定装置では、前記ガイドプレートおよび前記キャリアは、平面視ほぼ長方形状の箱状の本体ケースの中に設けられ、前記本体ケース長手方向のケース前側面およびケース後側面それぞれの外側には、前記レールクランプ機構が設けられており、前記レールクランプ機構は、それぞれ、前記ケース前側面または前記ケース後側面それぞれに対し上下動する上下方向スライド板と、前記ケース前側面または前記ケース後側面それぞれに固定され、前記上下方向スライド板の上下動を案内する上下動案内部が設けられたる上下動案内板と、前記上下方向スライド板の左右両側にクランプ回動軸部を介し回動可能に支持され、回動してレールをクランプする左右一対のレールクランプ部と、前記左右一対のレールクランプ部の内、一方のレールクランプ部の上端部にレバー有りリンク回動軸部を介し回動可能に連結され、作業者が掴むレバー部が設けられたレバー有りリンク部と、前記左右一対のレールクランプ部の内、他方のレールクランプ部の上端部にレバー無しリンク回動軸部を介し回動可能に連結され、他端は前記レバー有りリンク部にリンク部同士連結回動軸部を介し回動可能に連結されたレバー無しリンク部とを有し、前記上下方向スライド板には、前記レバー有りリンク部と前記レバー無しリンク部とを回動可能に連結するリンク部同士連結回動軸部の後端部が嵌り、当該リンク部同士連結回動軸部の上下動を案内する回動軸上下動案内用長孔が設けられた回動軸上下動案内部が設けられ、前記上下方向スライド板は、上下スライド用スプリングによって前記取付け板の上下動案内部に従って上昇するように常に付勢されている一方、前記左右一対のレールクランプ部それぞれにおける前記クランプ回動軸部より上側同士を連結するトグル用スプリングによってレールクランプ部先端が常に開くように付勢しており、前記左右一対のレールクランプ部がレール頭部をクランプした状態では、前記レバー有りリンク回動軸部と前記レバー無しリンク回動軸部とを結ぶ直線よりも前記リンク部同士連結回動軸部が下方に位置して前記リンク部同士連結回動軸部の後端部が前記回動軸上下動案内部の回動軸上下動案内用長孔の下端部に当接するトグルの安定状態を維持するように構成されていることも特徴とする。
また、本発明に係るレール頭面測定装置では、前記キャリアには、さらに、前記非接触式変位量測定部が測定したレール頭面の変位量の測定データに基づいて前記レールの頭面に対しマークを付けるマーキング部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るレール頭面測定装置では、前記キャリアには、さらに、着脱自在で交換可能なバッテリと、前記キャリアの走行動作と前記非接触式変位量測定部によるレール頭面の変位量の測定作業を制御する本体制御部が設けられ、当該本体制御部には、前記キャリアが前記ガイドプレートに沿って走行しながら少なくとも前記非接触式変位量測定部が測定した測定データを入力して書き込み、前記バッテリからの電流供給が無くなっても前記測定データを消失させずに記憶する着脱自在のメモリカードが装着可能なように構成されていることも特徴とする。
また、本発明に係るレール頭面測定装置では、レールの測定区間に応じた長さを有するガイドプレートと、前記ガイドプレートの前端部および後端部それぞれの外側に設けられ、前記ガイドプレートの前後をそれぞれレールに対し着脱可能に固定するレールクランプ機構と、走行用モータが設けられ、前記ガイドプレートに沿って走行するキャリアと、前記キャリアに設けられ、前記キャリアが前記ガイドプレートに沿って走行する際、レール頭面の変位量を非接触式で測定する非接触式変位量測定部と、を有し、前記ガイドプレートおよび前記キャリアは、平面視ほぼ長方形状の箱状の本体ケースの中に設けられ、前記本体ケース長手方向のケース前側面およびケース後側面それぞれの外側には、前記レールクランプ機構が設けられており、前記レールクランプ機構は、それぞれ、前記ケース前側面または前記ケース後側面それぞれに対し上下動する上下方向スライド板と、前記ケース前側面または前記ケース後側面それぞれに固定され、前記上下方向スライド板の上下動を案内する上下動案内部が設けられたる上下動案内板と、前記上下方向スライド板の左右両側にクランプ回動軸部を介し回動可能に支持され、回動してレールをクランプする左右一対のレールクランプ部と、前記左右一対のレールクランプ部の内、一方のレールクランプ部の上端部にレバー有りリンク回動軸部を介し回動可能に連結され、作業者が掴むレバー部が設けられたレバー有りリンク部と、前記左右一対のレールクランプ部の内、他方のレールクランプ部の上端部にレバー無しリンク回動軸部を介し回動可能に連結され、他端は前記レバー有りリンク部にリンク部同士連結回動軸部を介し回動可能に連結されたレバー無しリンク部とを有し、前記上下方向スライド板には、前記レバー有りリンク部と前記レバー無しリンク部とを回動可能に連結するリンク部同士連結回動軸部の後端部が嵌り、当該リンク部同士連結回動軸部の上下動を案内する回動軸上下動案内用長孔が設けられた回動軸上下動案内部が設けられ、前記上下方向スライド板は、上下スライド用スプリングによって前記取付け板の上下動案内部に従って上昇するように常に付勢されている一方、前記左右一対のレールクランプ部それぞれにおける前記クランプ回動軸部より上側同士を連結するトグル用スプリングによってレールクランプ部先端が常に開くように付勢しており、前記左右一対のレールクランプ部がレール頭部をクランプした状態では、前記レバー有りリンク回動軸部と前記レバー無しリンク回動軸部とを結ぶ直線よりも前記リンク部同士連結回動軸部が下方に位置して前記リンク部同士連結回動軸部の後端部が前記回動軸上下動案内部の回動軸上下動案内用長孔の下端部に当接するトグルの安定状態を維持するように構成されていることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るレール頭面測定装置では、走行用モータが設けられ、ガイドプレートに沿って走行するキャリアと、キャリアに設けられ、キャリアがガイドプレートに沿って走行する際、レール頭面の変位量を非接触式で測定する非接触式変位量測定部とを備えるため、レールの繋ぎ目の遊間が大きい場合でも、センサである非接触式変位量測定部を浮かす作業等が不要となり、作業者の負担を軽減することができる。また、キャリアが走行用モータでガイドプレートに沿って自走して非接触式変位量測定部が変位量を測定するため、作業者が非接触式変位量測定部を手で引く作業も不要となり、この点でも作業者の負担も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態1のレール頭面測定装置をレールに装着した状態および本体ケース内の構成を示す図である。
【
図2】本発明に係る実施形態1のレール頭面測定装置の本体ケース内の構造を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態1のレール頭面測定装置を構成する測定装置本体の本体ケースやガイドプレート等以外の構成を示す図である。
【
図4】本発明に係る実施形態1のレール頭面測定装置を構成する非接触式変位量測定部の内部構造を簡略化して示す断面図である。
【
図5】本発明に係る実施形態1のレール頭面測定装置のケース前側面およびケース後側面に設けたレールクランプ部がレールをクランプしている状態を示す図である。
【
図6】本発明に係る実施形態1のレール頭面測定装置のケース前側面およびケース後側面に設けたレールクランプ部がレールをクランプせず、レールクランプ部を収納した状態を示す図である。
【
図7】本発明に係る実施形態1のレール頭面測定装置のケース前側面およびケース後側面に設けたレールクランプ部によってレールをクランプする際の状態を示す図である。
【
図8】本発明に係る実施形態1のレール頭面測定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図8におけるステップS600の本体制御部におけるレール頭面の変位量測定処理を詳細に示すフローチャートである。
【
図10】(a)~(d)、それぞれ、ロータリエンコーダから出力されるA相のパルス信号およびB相のパルス信号、レール頭面の変位量(アナログ信号)、レール頭面測定部が測定したレール頭面の変位量の測定データ(ディジタル信号)の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】本発明に係る実施形態2のレール頭面測定装置をレールに装着した状態および本体ケース内の構成を示す図である。
【
図12】本発明に係る実施形態2のレール頭面測定装置におけるキャリアが始点に位置した状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係るレール頭面測定装置の実施形態1,2について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記に説明する実施形態1,2は、あくまで、本発明の一例であり、本発明は、下記に説明する実施の形態1,2に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜改変可能である。
【0011】
実施形態1.
<実施形態1のレール頭面測定装置1の構成>
実施形態1のレール頭面測定装置1は、例えば1m、2m、3m等の測定範囲に応じ例えば1.3m~3.3m程度の長さを有する測定装置本体11と、その測定装置本体11の本体ケース11aの前後側面に設けられ、測定装置本体11をレールRに固定するレールクランプ機構12,12と、測定装置本体11と有線または無線で接続され、測定装置本体11が測定した各種測定データを表示すると共に記憶や印刷したり、さらには各種測定データを各種データ処理して表示や記憶、印刷したり、さらには他のPCやタブレット等のデータ処理通信端末に転送や送受信可能なデータ処理通信端末13とを備えて構成されている。尚、印刷は、データ処理通信端末13では行えず、図示しないプリンタに有線または無線で接続して印刷させても勿論良い。
【0012】
<測定装置本体11>
測定装置本体11は、1.3m~3.3m程度の長さを有する本体ケース11aと、その本体ケース11aの中に設けられ、レールRの長手方向に長いガイドプレート11bと、ガイドプレート11bに沿って走行してレールRの長手方向に往復動するキャリア11cと、キャリア11cに搭載され、キャリア11cと共にレールRの長手方向に往復動する電源部11d、駆動部11e、始点位置検出センサ11f、終点位置検出センサ11g、非接触式変位量測定部11h、マーキング部11iおよび本体制御部11j等を備えて構成される。
【0013】
(本体ケース11a)
本体ケース11aは、レールRの測定区間に応じて例えば1.3m~3.3m程度の長さを有するアルミ等の軽量金属で構成した長尺で、底面には少なくとも変位量測定の始点から終点まで非接触式変位量測定部11hがレールR頭面の凹凸の変位量を測定したり、マーキング部11iがレールR頭面にマーキングできるようにレールRの長手方向に長い開口部が形成された平面視長方形状の箱状のもので、
図1や
図2等に示すようにレールRの長手方向に対し直交し、それぞれの外側にレールクランプ機構12,12が設けられるケース前側面11a1およびケース後側面11a2と、レールRの長手方向と平行に設けられるケース左側面11a3およびケース右側面11a4と、本体ケース11aの中を確認したり、バッテリ11d1の交換や本体制御部11jの設定や調整等が行えるように開閉可能な開閉可能蓋部11a5を備えている。尚、
図1では、本体ケース11aの中のガイドプレート11bやキャリア11c等の構成が認識できるようにケース右側面11a4と開閉可能蓋部11a5を省略して図示している。また、開閉可能蓋部11a5を省略して、蓋無しとしても良いし、着脱可能な蓋部を設けても勿論良い。
【0014】
(ガイドプレート11b)
ガイドプレート11bは、
図1に示すようにレールRの長手方向の測定区間に応じた、例えば1.3m~3.3m程度の長さを有する長尺で、かつ、
図2に示すように薄板状のもので、
図1に示すようにその両端部は本体ケース11aの長手方向のケース前側面11a1およびケース後側面11a2それぞれの内側面に設けられたガイドプレート支持部11k1,11k2に支持されている。
【0015】
ガイドプレート11bは、レール頭面測定装置1全体の軽量化を図ると共に、電源部11dや駆動部11e、本体制御部11j等が搭載された重量が重いキャリア11cが走行しても撓みが少なく、レール頭面の変位量の測定精度が向上するように、例えば、炭素繊維やケプラー等の高強度・高弾性率繊維や、アルミやジュラルミン等の軽量金属等から構成されている。
【0016】
そして、ガイドプレート11bの側面には、ガイドプレート11bに従ってその長手方向にキャリア11cが走行できるよう、上部に歯が設けられた素繊維やケプラー等の高強度・高弾性率繊維やアルミやジュラルミン等の軽量金属製等のラックギヤ11b1が設けられている。
【0017】
(キャリア11c)
キャリア11cは、上述したように電源部11d、駆動部11e、始点位置検出センサ11f、終点位置検出センサ11g、非接触式変位量測定部11h、マーキング部11iおよび本体制御部11j等を搭載してガイドプレート11bに沿って自走して往復動するもので、
図2に示すようにガイドプレート11bの四方を取り囲むように形成されている。
【0018】
そして、キャリア11c上側内側面とガイドプレート11b上側面との間、およびキャリア11c下側内側面とガイドプレート11b下側面との間には、それぞれ、
図2に示すように、キャリア11cがガイドプレート11bに沿って上下動することなく円滑に走行できるようにベアリング11c1等が設けられている。
【0019】
また、キャリア11c上側の左右内側面とガイドプレート11b上側の左右両側面との間、およびキャリア11c下側の左右内側面とガイドプレート11b下側の左右両側面との間には、それぞれ、
図2に示すように、キャリア11cがガイドプレート11bに沿って左右にズレることなく円滑に走行できるように板ばね11c2等が設けられている。
【0020】
(電源部11d)
電源部11dは、
図2や
図3に示すように、キャリア11cの外側にキャリア11cに対し着脱自在に設けられ、交換可能かつ充電可能なバッテリ11d1と、バッテリ11d1からの直流電流を駆動部11eや通信処理部11j4、本体制御部11j等に最適な電圧および電流に変換して供給するDC/DCコンバータ11d2と、電源スイッチ11d3等を備えており、電源スイッチ11d3のオンによってバッテリ11d1からの直流電流を駆動部11eや本体制御部11j等、測定装置本体11の各部に最適な電圧および電流に変換して供給する。
【0021】
(駆動部11e)
駆動部11eは、
図2や
図3等に示すようにガイドプレート11bの側面に設けられたラックギヤ11b1に噛合ってキャリア11cをガイドプレート11bに沿って走行させる駆動用ピニオンギヤ11e1と、駆動用ピニオンギヤ11e1を回転させる走行用モータ11e2と、本体制御部11jからの回転指令に基づいて走行用モータ11e2を正逆回転させたり停止させるモータドライバ11e3と、位置検出用ピニオンギヤ11e4と、位置検出用ピニオンギヤ11e4の回転角度および回転数等に応じてパルス信号を出力するロータリエンコーダ11e5等を備えており、本体制御部11jからの回転指令に基づいてラックギヤ11b1に噛み合う駆動用ピニオンギヤ11e1を回転させることによってキャリア11cをガイドプレート11bの長手方向に往復動させると共に、ラックギヤ11b1に噛み合う位置検出用ピニオンギヤ11e4の回転数に応じてロータリエンコーダ11e5がキャリア11cの位置を示すパルス信号を本体制御部11jに出力するように構成されている。
【0022】
(始点位置検出センサ11fおよび終点位置検出センサ11g)
始点位置検出センサ11fおよび終点位置検出センサ11gは、フォトセンサ等から構成されたもので、
図1に示すようにキャリア11cの前後に設けられており、ガイドプレート11bの両端部を支持するガイドプレート支持部11k1,11k2それぞれに設けられたドグ11k11,11k21を検出すると、その検出信号を本体制御部11jに出力して、測定区間の始点と終点とを検出するように構成されている。
【0023】
(非接触式変位量測定部11h)
非接触式変位量測定部11hは、キャリア11cの下面に設けられ、レールR頭面の凹凸の変位量を非接触で検出するもので、
図4に示すように、高周波電流が流れることによって高周波磁界を発生させる渦電流方式センサコイル11h1と、その渦電流方式センサコイル11h1に高周波電流を供給すると共に、渦電流方式センサコイル11h1が発生した高周波磁界に基づき電磁誘導作用によってレールR表面に磁束の通過と垂直方向の渦電流を流し渦電流方式センサコイル11h1のインピーダンスの変化に基づいてレールR頭面の凹凸変位量の測定データを測定し、本体制御部11jへ出力する渦電流方式センサ回路11h2とを基板11h3上に水平方向に配置したもので、渦電流方式センサコイル11h1と渦電流方式センサ回路11h2とを鉛直方向(上下方向)に直列に配置した従来の非接触式変位量測定部よりも鉛直方向(上下方向)の高さが低くなるように構成されている。
【0024】
(マーキング部11i)
マーキング部11iは、本体制御部11jからの印字指示に基づいてレールRの頭面に対しインク等を吹き付けたり、フェルト等のペン先(図示せず。)等をレールRの頭面に接触させる等してマークを印字するもので、後述するように非接触式変位量測定部11hによるレールR頭面の変位測定の結果、レールR頭面において削正する必要がある程、凸部分の変位量が大きい削正必要箇所にインク等でマークをするように構成されている。
【0025】
(本体制御部11j)
本体制御部11jは、メインメモリ11j2等に格納されたプログラムを実行することによってキャリア11c全体の動作、すなわち駆動部11eや非接触式変位量測定部11h、マーキング部11i等の動作を制御するCPU11j1と、CPU11j1にその制御動作や所定のデータ処理を実行させるためのプログラム等を格納したり、測定データ等を一時記憶するメインメモリ11j2と、本体制御部11jから取り外し可能で、かつ、バッテリ11d1からの電流供給が無くなっても記憶しているデータが消失させないSDメモリカードやコンパクトディスク、USBメモリ等のメモリカード11j3とを備える。
【0026】
そのため、測定の途中でバッテリ11d1の充電量がなくなり、本体制御部11jのCPU11j1や駆動部11eの走行用モータ11e2が動作を停止した場合でも、その動作停止前までに非接触式変位量測定部11hが測定したレールR頭面の凹凸変位量の測定データは消失されずにメモリカード11j3に記憶され、そのメモリカード11j3をデータ処理端末13や他のPC(図示せず。)等のメモリカードI/Fに装着すれば、そのメモリカード11j3に消失されず記憶されているレールR頭面の凹凸変位量の測定データを利用することができる。
【0027】
また、本体制御部11jは、非接触式変位量測定部11hが測定したレールR頭面の凹凸変位量の測定データや、駆動部11eのロータリエンコーダ11e5が出力したパルス信号に基づくガイドプレート11bにおけるキャリア11cの位置データ等をデータ処理通信端末13に通信ケーブル等の有線またはWi-Fi等の無線で送信する通信処理部11j4と、その変位量の測定データや位置データ等を表示する表示部11j5等も備える。また、図示していないが本体制御部11jに対し、各種設定を行うためのテンキーやキーボード等の入力部が設けられていても良い。
【0028】
<レールクランプ機構12,12>
レールクランプ機構12,12は、それぞれ、
図1や
図2に示すように本体ケース11aの長手方向両端のケース前側面11a1とケース後側面11a2とに設けられ、本体ケース11aに固定されたガイドプレート11bをレールRに着脱自在でワンタッチで固定する機構で、具体的には、
図5に示すように、本体ケース11aの長手方向両端のケース前側面11a1またはケース後側面11a2の左右両側に間隔を空けて固定され、後述する上下方向スライド板12bの上下動を案内する上下動案内部12a1,12a1が設けられた上下動案内板12a,12aと、その上下動案内板12a,12a間に設けられ、上下動案内部12a1,12a1に従って上下動する上下方向スライド板12bと、その上下方向スライド板12bの左右両側にクランプ回動軸部12c1,12c1を介し回動可能に支持され、回動してレールRをクランプする左右一対のレールクランプ部12c,12cと、一方のレールクランプ部12cの上端部にレバー有りリンク回動軸部12d1を介し回動可能に連結され、作業者が掴むレバー部12d2が設けられたレバー有りリンク部12dと、他方のレールクランプ部12cの上端部にレバー無しリンク回動軸部12e1を介し回動可能に連結され、他端はレバー有りリンク部12dにリンク部同士連結回動軸部12e2を介し回動可能に連結されたレバー無しリンク部12eとを有する。
【0029】
上下方向スライド板12bの中央には、レバー有りリンク部12dとレバー無しリンク部12eとを回動可能に連結するリンク部同士連結回動軸部12e2の後端部が嵌り、リンク部同士連結回動軸部12e2の上下動を案内する回動軸上下動案内用長孔12b2が設けられた回動軸上下動案内部12b1が設けられている。
【0030】
そして、各レールクランプ機構12,12には、それぞれ、さらに、本体ケース11aの長手方向両端のケース前側面11a1またはケース後側面11a2の左右両側に間隔を空けて上下スライド用引張りスプリング12f,12fが設けられており、上下スライド用引張りスプリング12f,12fの上端部は本体ケース11aの長手方向両端のケース前側面11a1またはケース後側面11a2に固定される一方、その下端部は上下方向スライド板12bに固定され、上下方向スライド板12bが常に取付け板12a,12aの上下動案内部12a1,12a1に従って上昇するように常に付勢している。
【0031】
また、レールクランプ部12c,12cにおけるクランプ回動軸部12c1,12c1よりも上側間同士をトグル用引張りスプリング12gによって連結して、そのトグル用引張りスプリング12gによってレールクランプ部12c,12c先端が常に開くように引張っており、
図5に示すようにレールクランプ部12c,12cがレールR頭部をクランプした状態や、後述する
図6に示すようにレールクランプ部12c,12cがレールR頭部をクランプしない格納状態では、レバー有りリンク回動軸部12d1とレバー無しリンク回動軸部12d1とを結ぶ直線よりもリンク部同士連結回動軸部12e2が下方に位置してリンク部同士連結回動軸部12e2の後端部が回動軸上下動案内部12b1の回動軸上下動案内用長孔12b2の下端部に当接するトグルの安定状態を維持するように構成されている。
【0032】
(データ処理通信端末13)
データ処理通信端末13は、無線通信機能を有する汎用のPCやタブレット等から構成され、以上のように構成された測定装置本体11の本体制御部11jと無線通信で測定データの送受信等を行うもので、図示はしないが、本体制御部11jと同様にCPUや、メインメモリ、通信処理部、表示部、着脱自在のメモリカードI/Fの他、キーボードやテンキー等の入力部やバッテリ等を備えている。
【0033】
<実施形態1のレール頭面測定装置1の動作>
次に以上のように構成された実施形態1のレール頭面測定装置1のレールRへの固定作業や動作等について説明する。
【0034】
(実施形態1のレール頭面測定装置1の収納時)
実施形態1のレール頭面測定装置1をレールRに固定しない収納状態では、
図6に示すように、本体ケース11aの長手方向両端のケース前側面11a1またはケース後側面11a2にそれぞれ設けたレールクランプ機構12,12の上下スライド用引張りスプリング12f,12fが縮んで、上下方向スライド板12bが取付け板12a,12aに対し上昇しており、またトグル用引張りスプリング12gがレールクランプ部12c,12cにおけるクランプ回動軸部12c1,12c1よりも上側間同士を常に引っ張ることによって、レバー有りリンク回動軸部12d1とレバー無しリンク回動軸部12d1とを結ぶ直線よりもリンク部同士連結回動軸部12e2が下方に位置してリンク部同士連結回動軸部12e2の後端部が回動軸上下動案内部12b1の回動軸上下動案内用長孔12b2の下端部に当接するトグルの安定状態(静止状態)にある。
【0035】
また、レールクランプ機構12,12の収納状態では、
図6に示すように、レールクランプ部12c,12c先端部(下端部)が本体ケース11aの下端よりも下方へ突出しているため、測定装置本体11が地面Gから浮いた状態となる。
【0036】
そのため、実施形態1のレール頭面測定装置1では、レールクランプ部12c,12cがレールRをクランプしていない収納時には、レールクランプ部12c,12c先端部(下端部)が本体ケース11a下端面よりも下方へ突出し、測定装置本体11が地面Gに接触しないので、本体ケース11a内の非接触式変位量測定部11hやマーキング部11i等を保護することが可能となる。
【0037】
特に、実施形態1のレール頭面測定装置1では、本体ケース11aの底面には少なくとも変位量測定の始点から終点まで非接触式変位量測定部11hがレールR頭面の凹凸の変位量を測定したり、マーキング部11iがレールR頭面にマーキングできるようにレールRの長手方向に長い開口部が形成されているため、非接触式変位量測定部11hやマーキング部11i等は本体ケース11aの下端に近い、すなわちレールR頭面に近い位置に設けられているので、非接触式変位量測定部11hやマーキング部11i等を確実に保護することができる。
【0038】
(実施形態1のレール頭面測定装置1のレールRへの固定作業)
次に、実施形態1のレール頭面測定装置1をレールRに固定する場合は、本体ケース11aをレールRの頭面に設置すると共に、作業者が例えば
図6に示すようなトグルの安定状態(静止状態)にある本体ケース11aの長手方向両端のレールクランプ機構12,12のレバー有りリンク部12dのレバー部12d2を掴んで引き上げることによって、
図7に示すようにレバー有りリンク回動軸部12d1とレバー無しリンク回動軸部12d1とを結ぶ直線よりもリンク部同士連結回動軸部12e2を上方に移動させると、トグルの安定状態が開放され、トグル用引張りスプリング12gの引張力によってレールクランプ部12c,12cの下端部(先端部)間がレールRの頭部幅よりも広がり、最終的にはリンク部同士連結回動軸部12e2後端部が回動軸上下動案内部12b1の回動軸上下動案内用長孔12b2の上端部に当接して、レールクランプ部12c,12cや上下方向スライド板12b等の上昇動作と、レールクランプ部12c,12cの下端部(先端部)間の開き動作が停止する。
【0039】
次に、作業者がレバー有りリンク部12dのレバー部12d2を掴んで上下スライド用引張りスプリング12f,12fに対抗して下端部間が開いた状態のレールクランプ部12c,12cや上下方向スライド板12b等を下方へ押し下げていき、リンク部同士連結回動軸部12e2の後端部が回動軸上下動案内部12b1の回動軸上下動案内用長孔12b2の下端部に当接すると、レールクランプ部12c,12cや上下方向スライド板12b等の下降は停止し、レールクランプ部12c,12cの下端部(先端部)は開いた状態でレールR頭部下方の首部(顎部)まで達する。
【0040】
そして、作業者がさらにレバー有りリンク部12dのレバー部12d2を押し下げると、レバー有りリンク部12dとレバー無しリンク部12dとがリンク部同士連結回動軸部12e2を中心に回転して次第に水平状態に移行し、レバー有りリンク回動軸部12d1とレバー無しリンク回動軸部12e1とを押し広げると共に僅かに引き上げて、レールRの頭部幅よりも開いていたレールクランプ部12c,12cの下端部(先端部)間を閉じながら引き上げ、最終的には
図5に示すようにレールクランプ部12c,12cでレールRの頭部をクランプすると共に、レバー有りリンク回動軸部12d1とレバー無しリンク回動軸部12d1とを結ぶ直線よりもリンク部同士連結回動軸部12e2が下方に移動してトグルの安定状態(静止状態)となる。
【0041】
また、それと同時に上下スライド用引張りスプリング12f,12fが縮もうとする力によってレールクランプ部12c,12cを上昇する方向に付勢して、
図5に示すようにレールRの首部(顎部)にレールクランプ部12c,12c先端の内側面が当接する。
【0042】
そのため、実施形態1のレール頭面測定装置1のレールクランプ機構12,12によれば、レバー有りリンク部12dの操作によってレールRにレール頭面測定装置1をワンタッチで簡単に固定することが可能となるので、レール頭面測定装置1をネジやボルト等でレールRに固定する必要がなくなり、作業性を向上させることができる。
【0043】
(実施形態1のレール頭面測定装置1によるレールR頭面の凹凸の変位量の測定作業)
以上のようにして実施形態1のレール頭面測定装置1をレールRに固定した後、レールR頭面の凹凸の変位量の測定作業を開始する。
【0044】
図8は、実施形態1のレール頭面測定装置1の動作を示すフローチャートである。
【0045】
図8に示すように、測定装置本体11と無線で接続されたデータ処理通信端末13の電源オンによりレール頭面測定装置1が動作を開始すると、データ処理通信端末13のCPU(図示せず。)は、測定装置本体11側の電源スイッチ11d3のオン待ち状態に入る(ステップS100)。
【0046】
そして、作業者が測定装置本体11の電源スイッチ11d3をオンすると(ステップS200“Yes”)、バッテリ11d1からDC/DCコンバータ11d2を介し最適な電圧の直流電流が駆動部11eや本体制御部11j等に供給され、本体制御部11jが所定の初期処理を行い、その初期処理の一処理として通信処理部11j4を介しデータ処理通信端末13とデータ通信可能か否か無線通信を試みる(ステップS300)。
【0047】
そして、測定装置本体11の通信処理部11j4がデータ処理通信端末13と正常に無線接続が完了した場合(ステップS400“Yes”)、本体制御部11jのCPU11j1は、ロータリエンコーダ11e5の回転数をリセットする等、各種データの初期化等のレールR頭面の測定準備作業を行い(ステップS500)、その後、次の
図9に詳細に処理を示すレールR頭面の凹凸の変位量の測定処理を実行する(ステップS600)。
【0048】
図9は、
図8におけるステップS600の本体制御部11jにおけるレールR頭面の変位量測定処理を詳細に示すフローチャートである。
【0049】
図8におけるステップS600のレールR頭面の変位量測定処理では、まず、本体制御部11jのCPU11j1は、データ処理通信端末13からの変位量測定開始信号を受信待ち状態に入る(ステップS605)。
【0050】
そして、作業者がデータ処理通信端末13を操作してデータ処理通信端末13から測定装置本体11に対し変位量測定開始信号が送信し、測定装置本体11側の本体制御部11jのCPU11j1が通信処理部11j4を介しその変位量測定開始信号を受信すると(ステップS610“Yes”)、本体制御部11jのCPU11j1は、まず、駆動部11eのモータドライバ11e3に対し、キャリア11cを測定区間の始点へ戻るよう走行用モータ11e2の回転指令を送る(ステップS615)。
【0051】
すると、モータドライバ11e3は、本体制御部11jのCPU11j1からの走行用モータ11e2の回転指令に基づいて走行用モータ11e2を回転して、ガイドプレート11b側面のラックギヤ11b1に噛合している駆動用ピニオンギヤ11e1を回転させ、電源部11dや駆動部11e、始点位置検出センサ11f、終点位置検出センサ11g、非接触式変位量測定部11h、マーキング部11iおよび本体制御部11j等を搭載して走行するキャリア11cを測定区間の始点へ向かって移動させる(ステップS620)。尚、
図1であれば、図上右方向に移動させる。
【0052】
そして、キャリア11cがガイドプレート11bに沿って移動している際、キャリア11cに設けられている始点位置検出センサ11fがガイドプレート11bの始点側のガイドプレート支持部11k1にドグ11k11に近接し、始点位置検出センサ11fがオンすると(ステップS625“Yes”)、キャリア11cが測定区間の始点へ到達したことになるので、本体制御部11jのCPU11j1は、駆動部11eのモータドライバ11e3に対し停止指令を送って走行用モータ11e2の回転を停止してキャリア11cの走行を停止させ(ステップS630)、非接触式変位量測定部11hから始点におけるレールR頭面の凹凸変位量を測定データとして取得する(ステップS635)。ここで、非接触式変位量測定部11hによるレールR頭面の凹凸変位量の測定方法は、従来と同じで周知の非接触式の渦電流方式で測定するため、説明は省略する。また、始点におけるレールR頭面の凹凸変位量の測定の際、キャリア11cの走行を停止させる必要がない場合は、ステップS630の処理は省略することができる。
【0053】
始点における非接触式変位量測定部11hによるレールR頭面の凹凸変位量の測定が完了すると、本体制御部11jのCPU11j1は、測定した始点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データをメインメモリ11j2および着脱自在のメモリカード11j3に記憶すると共に(ステップS640)、通信処理部11j4を介してデータ処理通信端末13へ送信させる(ステップS645)。尚、本体制御部11jのCPU11j1は、ステップS640およびステップS645の処理において、測定した始点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データと共に、始点においてロータリエンコーダ11e5が発生したパルス信号の数やそのパルス信号の数に基づく始点の位置データ等、他のデータも記憶したり送信するようにしても勿論良い。また、ステップS640の記憶処理では、始点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データをメインメモリ11j2には記憶せず、着脱自在のメモリカード11j3にのみ記憶するようにしても良い。
【0054】
次に、本体制御部11jのCPU11j1は、駆動部11eのモータドライバ11e3に対し測定区間の始点から終点に向かって移動開始指令を出力して、走行用モータ11e2を回転してキャリア11cを終点に向かって移動させる(ステップS650)。
【0055】
キャリア11cの移動の際、本体制御部11jのCPU11j1は、ロータリエンコーダ11e5から出力される位相のずれたA相およびB相のパルス信号(後述する
図10参照。)をカウントして(ステップS655)、キャリア11cの進行方向と始点からの移動距離を計測してキャリア11cが次の測定地点(測定ポイント)に達したか否かを判定する(ステップS660)。なお、ここでは、本体制御部11jのCPU11j1は、例えば、後述する
図10に示すようにロータリエンコーダ11e5から出力されるA相のパルス信号の3周期(例えば、30mm。)毎に測定地点となるように説明するが、本発明ではこれに限定されるものでない。
【0056】
そして、本体制御部11jのCPU11j1は、ロータリエンコーダ11e5から出力されるA相のパルス信号の3周期毎に測定地点(測定ポイント)であると判定すると(ステップS660“Yes”)、各測定地点において非接触式変位量測定部11hからレールR頭面の凹凸変位量を取得する(ステップS665)。
【0057】
図10(a)~(d)は、それぞれ、ロータリエンコーダ11e5から出力されるA相のパルス信号およびB相のパルス信号、レールR頭面の変位量(アナログ信号)、レール頭面測定部11hが測定したレールR頭面の凹凸変位量の測定データ(ディジタル信号)の一例を示すタイミングチャートである。
【0058】
上述したように、実施形態1のレール頭面測定装置1では、キャリア11cの移動の際、本体制御部11jのCPU11j1は、ロータリエンコーダ11e5から出力される
図10(a),(b)に示すような位相のずれたA相およびB相のパルス信号をカウントし、本体制御部11jのCPU11j1の制御に基づいて非接触式変位量測定部11hがA相のパルス信号の3周期(例えば、30mm。)毎に
図10(c)に示すように変位しているレールR頭面の凹凸変位量を測定し、
図10(d)に示すようにレールR頭面の凹凸変位量の測定データ(ディジタル信号)を得て、本体制御部11jのCPU11j1に出力する。
【0059】
本体制御部11jのCPU11j1は、非接触式変位量測定部11hから各測定地点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データ(ディジタル信号)を入力すると、各測定地点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データをメインメモリ11j2および着脱自在のメモリカード11j3に記憶すると共に(ステップS670)、通信処理部11j4を介してデータ処理通信端末13へ送信する(ステップS675)。尚、ステップS670およびステップS675の処理においても、ステップS640およびステップS645の処理と同様に、各測定地点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データと共に、各測定地点においてロータリエンコーダ11e5が発生したパルス信号の数やそのパルス信号の数に基づく各測定地点の位置データ等、他のデータも記憶したり送信するようにしても勿論良い。また、ステップS670の記憶処理では、各測定地点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データをメインメモリ11j2には記憶せず、着脱自在のメモリカード11j3にのみ記憶するようにしても良い。
【0060】
また、本体制御部11jのCPU11j1は、キャリア11cの走行中は、常にキャリア11cに設けられている始点位置検出センサ11fまたは終点位置検出センサ11gからオン信号が出力されないか否かを判定しており(ステップS680)、終点位置検出センサ11gからオン信号が出力されていない場合は(ステップS680“No”)、ステッププS655の処理に戻ってロータリエンコーダ11e5から出力される位相のずれたA相およびB相のパルス信号をカウントして、上述したステップS655~S680の処理を繰り返し行う。
【0061】
その一方、終点位置検出センサ11gからオン信号が出力された場合(ステップS680“Yes”)、キャリア11cが始点とは反対側の終点に到達したということなので、本体制御部11jのCPU11j1は、後述するステップ694の削正必要箇所のマーキング処理のため、駆動部11eのモータドライバ11e3に対し逆回転指令を送って走行用モータ11e2を逆回転してキャリア11cを始点まで戻させる(ステップS685)。
【0062】
これは、通常、実施形態1のレール頭面測定装置1のようなレール頭面測定装置によってレールR頭面の凹凸変位量を測定した後は、削正装置等によって当該レールR頭面の凸部分の削正作業を行うからである。
【0063】
そのため、実施形態1のレール頭面測定装置1では、本体制御部11jのCPU11j1は、レールR頭面の変位量測定作業後に、他の削正装置等によってレールR頭面の削正作業が円滑に行えるように、終点までのレールR頭面の凹凸変位量の測定処理の完了の後、メインメモリ11j2またはメモリカード11j3等に記憶した各測定地点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データに基づいて、始点から終点までの各測定地点においてレールR頭面の削正作業を行う必要がある程、変位量が大きい凸部分である削正必要箇所が存在するか否かを判定する(ステップS690)。
【0064】
削正必要箇所が存在するか否かの判定処理は、本体制御部11jのCPU11j1がメインメモリ11j2またはメモリカード11j3等に記憶した各測定地点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データと、例えばロータリエンコーダ11e5から出力されるパルス信号等に基づいて、各測定地点の測定データがロータリエンコーダ11e5から出力されるパルス信号の所定数以上連続して上昇し、その後、そのパルス信号の所定数以上連続して下降する場合には、測定データが上昇から下降に切替った測定地点またはその周辺に削正する必要がある程、凸部分の変位量が大きい削正必要箇所が存在すると判定できる。
【0065】
例えば、本体制御部11jのCPU11j1は、ロータリエンコーダ11e5から出力されるパルス信号の所定数として、例えば、“6”を設定した場合、
図10における地点αでロータリエンコーダ11e5から出力されるパルス信号が6パルス以上、レールR頭面の凹凸変位量の測定データが上昇し、かつ、下降しているので、地点αを必要箇所と判定できる。なお、ロータリエンコーダ11e5から出力されるパルス信号の所定数を適宜設定することにより、レールR頭面において削正する必要がある程、凸部分の変位量が大きい削正必要箇所と、削正する必要までもないレールR頭面において無視できる程度に凸部分の変位量が小さい微細な凸部分とを区別することができる。つまり、パルス信号の所定数として、例えば“6”を設定した場合には、そのパルス信号が6パルス以上、連続して上昇しない場合、例えば3パルスしか連続しない場合は、削正する必要までもないレールR頭面において無視できる程度に凸部分の変位量が小さい微細な凸部分と判別できる。
【0066】
そして各測定地点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データに基づいてレールR頭面に削正必要箇所が存在すると判定した場合(ステップS692“Yes”)、本体制御部11jのCPU11j1は、測定後に削正装置(図示せず。)等によってその削正必要箇所を削正できるよう、キャリア11cを始点から終点に向かって移動させながら、メインメモリ11j2またはメモリカード11j3等に記憶した測定必要箇所の位置データであるパルス信号とロータリエンコーダ11e5から出力されるパルス信号等に基づいて、マーキング部11iがその削正必要箇所の上方に到達した際にマーキング部11iに対し印字指令を出力して、当該削正必要箇所にインク等を吹き付けてマーキングさせる(ステップS694)。
【0067】
そして、ステップS694のキャリア11cを始点から終点に向かって移動させながら削正必要箇所のマーキング処理が完了すると、本体制御部11jのCPU11j1は、駆動部11eのモータドライバ11e3に対し逆回転指令を送って走行用モータ11e2を逆回転してキャリア11cを始点まで戻して(ステップS696)、ステップS600のレールR頭面の凹凸変位量の測定処理を終了する。
【0068】
尚、実施形態1のステップS696のレールR頭面の凹凸変位量の測定処理では、ステップ620の処理によってキャリア11cを始点へ移動させるので、ステップ685の処理では、キャリア11cを始点まで戻さず、始点近辺まで戻すだけでも良いし、さらには単に走行用モータ11e2の回転を停止させ、終点または終点近辺でキャリア11cを停止させても良い。
【0069】
また、本発明において削正必要箇所のマーキング処理は任意の処理であり、削正必要箇所のマーキング処理が不要である場合はマーキング部11iを省略すると共に、ステップS685~S694までの処理は省略しても良い。また、キャリア11cを終点から始点に戻す際にステップS694の削正必要箇所のマーキング処理を実行しても良く、キャリア11cを終点から始点に戻す際にステップS694の削正必要箇所のマーキング処理を実行する場合には、ステップS685のキャリア11cを始点に戻す処理において、ステップS690~ステップS694の処理を行って、ステップS696の処理は省略することになる。
【0070】
<実施形態1のレール頭面測定装置の主の効果>
以上説明したように、実施形態1のレール頭面測定装置1は、走行用モータ11e2が設けられ、ガイドプレート11bに沿って走行するキャリア11cと、キャリア11cに設けられ、キャリア11cがガイドプレート11bに沿って走行する際、レールR頭面の変位量を非接触式で測定する非接触式変位量測定部11hとを備えるため、レールRの繋ぎ目の遊間が大きい場合でも、センサである非接触式変位量測定部11hを浮かす作業等が不要となり、作業者の負担を軽減することができる。
【0071】
特に、実施形態1のレール頭面測定装置1では、キャリア11cが走行用モータ11e2でガイドプレート11bに沿って自走して非接触式変位量測定部11hが変位量を測定するため、作業者が手で非接触式変位量測定部11hをレールRの長手方向に移動させながらレールR頭面の凹凸変位量を測定する必要がなくなり、この点でも作業者の負担を軽減することができる。
【0072】
また、実施形態1のレール頭面測定装置1では、ガイドプレート11bおよびキャリア11cは、底面には少なくとも変位量測定の始点から終点まで非接触式変位量測定部11hがレールR頭面の凹凸の変位量を測定したり、マーキング部11iがレールR頭面にマーキングできるようにレールRの長手方向に長い開口部が形成された平面視長方形状の箱状の本体ケース11aの中に設けられ、本体ケース11a長手方向のケース前側面11a1およびケース後側面11a2の外側には、それぞれ、
図5に示すようにレールR頭部をクランプした状態や、
図6に示すようにレールR頭部をクランプしない格納状態の際に、レバー有りリンク回動軸部12d1とレバー無しリンク回動軸部12d1とを結ぶ直線よりもリンク部同士連結回動軸部12e2が下方に位置してリンク部同士連結回動軸部12e2の後端部が回動軸上下動案内部12b1の回動軸上下動案内用長孔12b2の下端部に当接して安定状態(静止状態)を維持するレールクランプ部12c,12cを設けている。
【0073】
そのため、実施形態1のレール頭面測定装置1によれば、レールクランプ機構12,12のレバー有りリンク部12dを下げたり、あるいは上げるワンタッチの簡単な操作によって、レールRにレール頭面測定装置1を固定したり、解除することが可能となるので、レール頭面測定装置1をネジやボルト等でレールRに固定する必要がなくなり、作業性を向上させることができる。
【0074】
また、実施形態1のレール頭面測定装置1では、キャリア11cには、さらに、非接触式変位量測定部11hが測定した変位量の測定データに基づいてレールの頭面に対し印字等してマークを付けるマーキング部11iを設けており、本体制御部11jのCPU11j1は、メモリカード11j3に記憶した各測定地点のレールR頭面の凹凸変位量の測定データに基づいて測定区間においてレールR頭面に削正必要箇所があると判定した場合、測定後に削正装置によってその削正必要箇所を削正できるようにマーキング部11iがその削正必要箇所を上方に到達した際に印字指令を出力して当該削正必要箇所にインク等でマーキングするように制御する。
【0075】
そのため、実施形態1のレール頭面測定装置1によれば、測定区間においてレールR頭面に削正必要箇所がある場合、マーキング部11iによってインク等でマーキングするため、レールR頭面の変位量測定後に、別装置である削正装置によってその削正必要箇所を削正する際、効率良く削正することができる。
【0076】
実施形態2.
上記実施形態1のレール頭面測定装置1では、レールRの長手方向に対し直交する方向、すなわちレールRの短手方向への非接触式変位量測定部11hの調整機構を設けなかったが、実施形態2のレール頭面測定装置1の測定装置本体11に対しレールRの短手方向への変位量測定部スライド機構11mを設けたもので、スライド機構11m以外の構成や作用、効果等は実施形態1のレール頭面測定装置1と同様である。
【0077】
図11は、実施形態2のレール頭面測定装置1をレールに装着した状態および本体ケース内の構成を示す図、
図12は、実施形態2のレール頭面測定装置1において非接触式変位量測定部11hや変位量測定部スライド機構11m等が設けられたキャリア11cが始点に位置した状態における断面図である。
【0078】
図11および
図12に示すように、実施形態2のレール頭面測定装置1では、ガイドプレート11bに沿って走行するキャリア11cの底面に変位量測定部スライド機構11mを設け、変位量測定部スライド機構11mに非接触式変位量測定部11hを取り付けている。
【0079】
変位量測定部スライド機構11mは、作業者が掴んで回転させることによって非接触式変位量測定部11hの位置をレールRの短手方向で調整する調整ツマミ11m1と、その調整ツマミ11m1の回転によって回転する調整ギヤ11m2と、その調整ギヤ11m2の回転によって回転して非接触式変位量測定部11hをレールRの短手方向へ移動させる送りネジ部11m3とを有する。
【0080】
また、実施形態2のレール頭面測定装置1では、非接触式変位量測定部11hや変位量測定部スライド機構11m等が設けられたキャリア11cは、四方が囲まれた本体ケース11aの中に設けられているので、実施形態2の本体ケース11aのケース右側面11a4における始点位置には、
図12に示すように、作業者が変位量測定部スライド機構11mの調整ツマミ11m1を掴んで回転させることができるよう調整ツマミ作業用開口部11a41が設けられている。
【0081】
従って、実施形態2のレール頭面測定装置1によれば、実施形態1のレール頭面測定装置1と同様に非接触式変位量測定部11hで変位量を測定するため、レールRの繋ぎ目の遊間が大きい場合でも、センサである非接触式変位量測定部11hを浮かす作業等が不要となり、作業者の負担を軽減することができると共に、キャリア11cが走行用モータ11e2でガイドプレート11bに沿って自走して非接触式変位量測定部11hが変位量を測定するので、作業者が手で非接触式変位量測定部11hを引く必要もなくなり、この点でも作業者の負担を軽減できる。
【0082】
また、実施形態2のレール頭面測定装置1でも実施形態1のレール頭面測定装置1と同様のレールクランプ機構12,12を有するので、レール頭面測定装置1をネジやボルト等でレールRに固定する必要がなくなり、作業性を向上させることができると共に、マーキング部11iも有するので、レールR頭面の変位量測定後における削正装置による削正作業を効率良く実行することができる。
【0083】
また、実施形態2のレール頭面測定装置1では、ガイドプレート11bに沿って走行するキャリア11cの底面に変位量測定部スライド機構11mを介して非接触式変位量測定部11hを取り付けため、非接触式変位量測定部11hをレールRの短手方向へ移動させる調整が可能となり、レールR頭頂面の中央部や左右いずれかの端部側の変位量をより正確に測定することができる。
【0084】
尚、上記実施形態1,2の説明では、電源部11dのバッテリ11d1の充電量がなくなって、キャリア11cがガイドプレート11b上で停止した場合について説明していないが、例えば、キャリア11cがレールRの頭面の測定を終了して始点まで戻る充電量がない場合には、図示しないLED等を点灯や点滅等させて作業者にバッテリ11d1の充電量が十分にないことや、バッテリ11dの交換を報知したり、キャリア11cがガイドプレート11bの始点から動かないようにしても良いし、さらには、キャリア11cがガイドプレート11b上で停止した際、キャリア11cをガイドプレート11bの始点に簡単に戻せるようにキャリア11cを手動で戻すための手動回転ギヤやワイヤ等をキャリア11cに設けるようにしても勿論良い。
【0085】
尚、上記実施形態1,2のレール頭面測定装置1では、測定装置本体11とは別に、データ処理通信端末13を設けて説明したが、本発明ではこれに限らず、データ処理通信端末13を測定装置本体11と一体に設けたり、あるいはデータ処理通信端末13を省略して、測定装置本体11の本体制御部11jで、データ処理通信端末13が行うデータ処理等を実行するようにしても勿論良い。
【0086】
また、上記実施形態1,2のレール頭面測定装置1では、レールR頭部の上面であるレールR頭面の凹凸の変位量を測定するように説明したが、本発明ではこれに限らず、例えば、キャリア11cを90回転させてレールR頭部の側面等の凹凸の変位量を測定するようにしても勿論良い。
【符号の説明】
【0087】
1 レール頭面測定装置
11 測定装置本体
11a 本体ケース
11a1 ケース前側面
11a2 ケース後側面
11a3 ケース左側面
11a4 ケース右側面
11a5 開閉可能蓋部
11b ガイドプレート
11b1 ラックギヤ
11c キャリア
11c1 ベアリング
11c2 板ばね
11d 電源部
11d1 バッテリ
11d2 DC/DCコンバータ
11d3 電源スイッチ
11e 駆動部
11e1 駆動用ピニオンギヤ
11e2 走行用モータ
11e3 モータドライバ
11e4 位置検出用ピニオンギヤ
11e5 ロータリエンコーダ
11f 始点位置検出センサ
11g 終点位置検出センサ
11h 非接触式変位量測定部
11h1 渦電流方式センサコイル
11h2 渦電流方式センサ回路
11h3 基板
11i マーキング部
11j 本体制御部
11j1 CPU
11j2 メインメモリ
11j3 メモリカード
11j4 通信処理部
11j5 表示部
11k1,11k2 ガイドプレート支持部
11k11,11k21 ドグ
11m 変位量測定部スライド機構
11m1 調整ツマミ
11m2 調整ギヤ
11m3 送りネジ部
12,12 レールクランプ機構
12a,12a 上下動案内板
12a1,12a1 上下動案内部
12b 上下方向スライド板
12b1 回動軸上下動案内部
12b2 回動軸上下動案内用長孔
12c,12c レールクランプ部
12c1,12c1 クランプ回動軸部
12d レバー有りリンク部
12d1 レバー有りリンク回動軸部
12d2 レバー部
12e レバー無しリンク部
12e1 レバー無しリンク回動軸部
12e2 リンク部同士連結回動軸部
12f,12f 上下スライド用引張りスプリング
12g トグル用引張りスプリング
13 データ処理通信端末