IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パロマの特許一覧

<>
  • 特許-ガスコンロ 図1
  • 特許-ガスコンロ 図2
  • 特許-ガスコンロ 図3
  • 特許-ガスコンロ 図4
  • 特許-ガスコンロ 図5
  • 特許-ガスコンロ 図6
  • 特許-ガスコンロ 図7
  • 特許-ガスコンロ 図8
  • 特許-ガスコンロ 図9
  • 特許-ガスコンロ 図10
  • 特許-ガスコンロ 図11
  • 特許-ガスコンロ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/08 20060101AFI20220712BHJP
   F24C 3/02 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
F24C3/08 Z
F24C3/02 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018155911
(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2020029993
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々 ▲琢▼磨
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140929(JP,A)
【文献】特開2014-190521(JP,A)
【文献】特開昭54-149034(JP,A)
【文献】実公昭38-008659(JP,Y1)
【文献】実開昭57-200848(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0136395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/08
F24C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口が形成される底壁部と、第2開口が形成される後壁部と、を有し、内部にガスバーナが設けられる筐体部と、
前記筐体部内に固定され、前記第1開口の開口領域に面する第1ガス入口と、前記第2開口の開口領域に面する第2ガス入口と、前記ガスバーナに通じる内部配管が接続されるガス出口と、を有するガスアダプタと、
前記後壁部に固定される固定部と、前記固定部から前方に向かって延びるガード部と、前記固定部から下方に向かって延びる閉塞部と、を有し、前記固定部、前記ガード部、および前記閉塞部が一体的に形成されるガード部材と、
を備え、
前記固定部が前記後壁部に固定された状態において、前記閉塞部が前記第2開口を前方から閉塞するとともに、前記ガード部が前記ガスアダプタを上方から覆う
ガスコンロ。
【請求項2】
前記ガード部材は、前記固定部の下側において、前記閉塞部の少なくとも一部を前記固定部に対して折り曲げ又は切り離すための弱め線が形成されている
請求項1に記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のガスコンロは、筐体本体内に、ガスバーナに供給する燃料ガスを機器本体内に取り入れるガス取り入れ部と、ガス取り入れ部から取り入れた燃料ガスを複数の分岐管に分岐する分岐部と、を備えるガスアダプタが設けられている。ガス取り入れ部は、筐体本体の底面(下面)に固定されている。分岐部は、上側の第1面に第1挿入口が形成され、上方向に分岐する外部機器用ガス供給管が挿入される。また、分岐部は、第1面と略直行する側方の第2面に第2挿入口が形成され、第1分岐管の分岐方向と直行する横方向に分岐するバーナ用ガス供給管が挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-140929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなガスコンロは、通常、ガスアダプタのガス取り入れ部に下側からガス供給用の配管が接続されるが、ガスコンロの下側にオーブン等の外部機器が設置される場合には、筐体本体の背面に形成された開口を介して第1挿入口にガス供給用の配管が接続される。そして、ガスコンロの下側にオーブン等の外部機器を設置しない場合もあるため、出荷時において、筐体本体の背面に形成された開口が閉塞板によって閉塞されるようになっている。
【0005】
一方で、このようなガスアダプタを備えるガスコンロでは、ガスアダプタに筐体本体等から伝わる煮汁等が付着した場合、腐食が生じてガス漏れ等の原因となる問題があった。そのため、ガスアダプタに対して、上方から覆う煮汁カバー等が設けられている。
【0006】
しかしながら、一般に閉塞板と煮汁カバーは、それぞれが一部品として構成されるため、部品点数の増大を招いてしまう問題がある。そこで、閉塞板と煮汁カバーとを一体化することが考えられるが、筐体本体の背面に形成された開口を介して第1挿入口にガス供給用の配管を接続する場合に、煮汁カバーも取り外されてしまうことになる。この場合、アダプタに対する煮汁等の付着の問題を解消することができなくなる。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであり、筐体部の底壁部に形成された第1開口及び後壁部に形成された第2開口に面するようにガスアダプタを配置しつつ、第2開口を閉塞することができ、且つガスアダプタを上方から覆うことができるガスコンロを、部品点数の低減を図りつつ実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つであるガスコンロは、
第1開口が形成される底壁部と、第2開口が形成される後壁部と、を有し、内部にガスバーナが設けられる筐体部と、
前記筐体部内に固定され、前記第1開口の開口領域に面する第1ガス入口と、前記第2開口の開口領域に面する第2ガス入口と、前記ガスバーナに通じる内部配管が接続されるガス出口と、を有するガスアダプタと、
前記後壁部に固定される固定部と、前記固定部から前方に向かって延びるガード部と、前記固定部から下方に向かって延びる閉塞部と、を有し、前記固定部、前記ガード部、および前記閉塞部が一体的に形成されるガード部材と、
を備え、
前記固定部が前記後壁部に固定された状態において、前記閉塞部が前記第2開口を前方から閉塞するとともに、前記ガード部が前記ガスアダプタを上方から覆う。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つである上記ガスコンロは、ガード部材の一部をなす閉塞部が後壁部に形成された第2開口を前方から閉塞する。このような構成であるため、第2開口の利用を望まない場合(即ち、第2開口を介して第2ガス入口へガスを供給しない場合)には、閉塞部が第2開口を閉塞した基本構造を維持すれば、第2開口を閉塞したまま使用を継続することができる。しかも、ガード部がガスアダプタを上方から覆う構成であるため、ガスアダプタの上方から煮汁等が滴下しても、その煮汁等をガード部によって受けることができ、煮汁等がガスアダプタに付着したり流れ込んだりすることを効果的に防ぐことができる。更に、固定部、ガード部、および閉塞部が一体化した形でガード部材が構成されるため、「第2開口を閉塞する部材」と「ガスアダプタを上方から覆う部材」とを別々に設ける必要がなく、部品点数の低減を図りつつ上記効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1のガスコンロを概略的に例示する正面図である。
図2】実施例1のガスコンロの背面図である。
図3】実施例1のガスコンロにおいて天板部、前面パネル、および左壁部等を取り外した状態を例示する平面図である。
図4】実施例1のガスコンロにおいて天板部、前面パネル、および左壁部等を取り外した状態を例示する斜視図である。
図5図3のA-A断面を示す断面図である。
図6図3のB-B断面を示す断面図である。
図7】実施例1のガード部材の平面図である。
図8】実施例1のガード部材の左側面図である。
図9】実施例1のガード部材における閉塞部および固定部の一部を示す正面図である。
図10】実施例1のガスコンロにおいて、図4に示す状態からガード部材を省略した構成を説明する斜視図である。
図11】実施例1のガスコンロにおいて、閉塞部の一部を切り離す工程を説明する斜視図である。
図12】実施例1のガスコンロにおいて、図4に示す状態から閉塞部の一部を切り離した状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい形態を以下に例示する。但し、本発明は以下の例に限定されない。
【0012】
ガード部材は、固定部の下側において、閉塞部の少なくとも一部を固定部に対して折り曲げ又は切り離すための弱め線が形成されていてもよい。これにより、弱め線に沿って閉塞部の少なくとも一部を折り曲げ又は切り離すことができる。その上で、弱め線が固定部の下側に形成されているため、固定部が後壁部に固定されてガード部によってガスアダプタを上方から覆った状態のままで、閉塞部による第2開口の閉塞状態を解除することができる。そのため、第2ガス入口を介してガスバーナにガスを供給しようとした場合に、ガス供給のための外部配管を第2ガス入口に接続することを可能としつつ、ガード部によってガスアダプタへの煮汁等の滴下を防ぐことができる。
【0013】
<実施例1>
本発明の実施例1に係るガスコンロ1について、図面を参照しつつ説明する。
1-1.ガスコンロの概要
まず、ガスコンロ1の概要を説明する。図1図2に示すガスコンロ1は、例えば、調理鍋等の調理器具を加熱可能なビルトインコンロとして構成され、複数のこんろ部6A,6B,6Cを備えるとともに、器内にグリル庫10を内蔵してなる。このガスコンロ1は、装置本体1Aに天板部4が取り付けられた構成をなす。装置本体1Aは、ガスコンロ1から天板部4や五徳9A,9B,9Cなどを除いた部分であり、ガスコンロ1の外殻をなす筐体部2と、筐体部2内に収容される様々な部品(グリル庫10、ガスアダプタ20、およびガード部材30等)とを有してなる。天板部4は、筐体部2の上端部に固定されている。ガスコンロ1には、天板部4から露出するように、左こんろ部6A、右こんろ部6Bが夫々設けられ、その左右のこんろ部6A,6Bの間で後方寄りに小こんろ部6Cが設けられている。左こんろ部6Aには、ガスバーナ8Aが設けられ、右こんろ6Bには、ガスバーナ8Bが設けられ、小こんろ部6Cには、ガスバーナ8Cが設けられている。ガスバーナ8A,8B、8Cは、公知のガスバーナとして構成され、後述する内部配管24を介してガスが供給される構成をなし、それぞれの一部が天板部4の上方側に配置されるようになっている。ガスバーナ8A,8B,8Cの周囲には、天板部4に載置された状態で五徳9A,9B,9Cがそれぞれ組み付けられている。天板部4の下方において装置本体1Aの内部中央付近にはグリル庫10が設けられている。
【0014】
1-2.筐体部の構成
次に、筐体部2について詳述する。筐体部2は、図1に示す前面パネル2Aと、図2に示す後壁部2Bと、左壁部2Cと、右壁部2Dと、図3図4に示す底壁部2Eと、を備えている。なお、図3では、筐体部2の内部構成を一部のみ簡略的に示している。筐体部2は、前後左右の壁部によって部品の収容空間が囲まれた構成をなし、部品の収容空間の下方側は底壁部2Eによって閉塞される。筐体部2は、上端側が開放した構成をなす箱状形態をなしており、グリル庫10などの各種部品を収容する。グリル庫10の後端部には、後壁部2Bに沿って上向きに開口する排気筒11が形成されている。天板部4は、筐体部2の上端側に構成される開口部を閉塞する構成で筐体部2に取り付けられる。
【0015】
なお、本明細書では、天板部4の厚さ方向(板厚方向)を上下方向とし、天板部4の表側を上方側とし、裏側を下方側とする。また、前面パネル2Aと後壁部2Bとが対向する方向を前後方向とし、左壁部2Cと右壁部2Dとが対向する方向を左右方向とする。
【0016】
底壁部2Eには、図4に示すように、左後方側の角の近傍において、半円球状に膨出する膨出部2Fが形成されている。図11に示すように、この膨出部2Fの上端部には、円形で上下方向に貫通する第1開口2Gが形成されている。第1開口2Gには、後述するガスアダプタ20が固定されている。第1開口2Gは、筐体部2内に下方側から外部のガス供給管25(図5図6参照)を導入するための導入口である。後壁部2Bには、図4図10に示すように、略円形の第2開口2Hが形成されている。第2開口2Hは、筐体部2内に後方側から外部のガス供給管26(図12参照)を導入するための導入口である。第2開口2Hは、図10に示すように、上縁部が左右方向に沿って延びている。第2開口2Hの上縁部には、前方へ延出する連結片2Iが形成されている。連結片2Iは、略四角形の薄板状である。連結片2Iには、孔2Jと、ネジ穴2Kと、が形成されている。孔2Jは、連結片2Iにおける後端部寄りの位置において、連結片2Iを上下方向に貫通するように形成されている。ネジ穴2Kは、連結片2Iにおける前端部寄りの位置において、連結片2Iを上下方向に貫通するように形成されている。
【0017】
1-3.ガスアダプタの構成
次に、ガスアダプタ20について詳述する。ガスアダプタ20は、T字状の管路を有する配管接続具である。ガスアダプタ20は、図4図6に示すように、下側管路21と、前側管路22と、後側管路23と、を備えている。下側管路21の上端は、前側管路22の後端と、後側管路23の前端と、に接続されている。下側管路21は、例えば膨出部2Fにおける第1開口2Gの外周部分にねじ止めによって固定されている。下側管路21は、図11に示すように、下端に第1ガス入口21Aが形成されている。第1ガス入口21Aは、下方に位置する第1開口2Gの開口領域AR1に面している。ここで、開口領域AR1は、底壁部2E(具体的には膨出部2F)において第1開口2Gによって囲まれた領域である。これにより、第1ガス入口21Aは、第1開口2Gを介して底壁部2Eの下側に開放されている。
【0018】
前側管路22は、図11に示すように、前端にガス出口22Aが形成されている。前側管路22は、ガス出口22Aで、ガスバーナ8A,8B,8Cに通じる内部配管24に接続されている。内部配管24は、図4に示すように、前方へ引き回されており、前面パネル2Aの後方でUターンした状態でグリル庫10の後方へ引き回されている。
【0019】
後側管路23は、図11に示すように、後端に第2ガス入口23Aが形成されている。第2ガス入口23Aは、後方に位置する第2開口2Hの開口領域AR2に面している。ここで、開口領域AR2は、後壁部2Bにおいて第2開口2Hによって囲まれた領域である。これにより、第2ガス入口23Aは、ガード部材30によって第2開口2Hが閉塞されていない状態(図10図11の状態)において、第2開口2Hを介して後壁部2Bの後方側に開放されている。
【0020】
1-4.ガード部材の構成
次に、ガード部材30について詳述する。なお、本明細書では、図8に表れるガード部材30の上下方向の向きをそのまま上下方向と定義する。前後方向は、図8に表れるガード部材30の左右方向の向きを前後方向と定義し、固定部31に対してガード部32が形成される側が前側であり、それとは反対側が後側である。左右方向は、上下方向および前後方向に直交する方向であり、図8の延出片31Cが形成される側が左側であり、延出片32Fが形成される側が右側である。
【0021】
ガード部材30は、例えば金属によって構成され、図7図9に示すように、折曲板状に形成されている。ガード部材30は、固定部31と、ガード部32と、閉塞部33と、を備えている。固定部31、ガード部32、および閉塞部33は、一体的に形成されている。固定部31は、後壁部2Bに固定される部分である。固定部31は、側面視V字状の板形状であり、第1板部31Aと、第2板部31Bと、を備えている。第1板部31Aは、長方形の板状であり、後端で閉塞部33につながり、前端で第2板部31Bの後端につながっている。第1板部31Aには、左側の縁部に下方に延出する略四角板状の延出片31Cが形成されている。第2板部31Bは、長方形の板状であり、前端でガード部32の後端につながっている。
【0022】
ガード部32は、ガスアダプタ20を上方から覆うように機能する。ガード部32は、図7に示すように、平面視台形状であり、固定部31の前端から前方に向かって延びている。ガード部32は、平面視でガスアダプタ20よりもサイズが大きい。ガード部32は、底板部32Aと、左後壁部32Bと、左前壁部32Cと、前壁部32Dと、右壁部32Eと、を備えている。底板部32Aは、台形の板状であり、図8に示すように、左側から右側に向かうにつれて低位置となるように傾斜して、固定部31の第2板部31Bの前端につながっている。底板部32Aは、右側の縁部の前端から下方に延出する略四角板状の延出片32Fが形成されている。左後壁部32B、左前壁部32C、前壁部32D、および右壁部32Eは、底板部32Aの各縁部から上方に延出し、上端が内側に折れ曲がっている。右壁部32Eは、底板部32Aの右側の縁部において、前端部を除く位置(延出片32Fが形成される部分を除く位置)に形成されている。そのため、前壁部32Dと右壁部32Eの間には、延出片32Fに相当する大きさのすき間が形成されている。
【0023】
閉塞部33は、第2開口2Hを前方から閉塞(遮蔽)するように機能する。閉塞部33は、図8に示すように、固定部31の後端から下方に向かって延び、片持ち状の延出形態をなしている。閉塞部33は、下端の左右両角が丸みを帯びた四角板状である。閉塞部33は、図9に示すように、上端部よりも僅かに下方の位置(固定部31の下側)に、左右方向に延びる弱め線33Aが形成されている。弱め線33Aは、3つのスリット33B,33C,33Dによって構成されている。スリット33Bは、前後方向に貫通するように、閉塞部33の左端部から右側に僅かに延びる切り込み部分である。スリット33Dは、前後方向に貫通するように、閉塞部33の右端部から左側に僅かに延びる切り込み部分である。スリット33Cは、スリット33Bとスリット33Dの間において、これらのスリット33B,33Dと所定間隔おいて、前後方向に貫通するように左右方向に延びる切り込み部分である。弱め線33Aの領域(即ち、スリット33B,33C,33Dの開口領域、及びこれらのスリット間の領域)は、この領域に隣接する弱め線33A外の領域よりも強度が低下した部位になっている。
【0024】
ガード部材30は、図7,9に示すように、閉塞部33と固定部31(具体的には第1板部31A)を跨るように、板厚方向に貫通する孔30Aが形成されている。孔30Aは、左右方向に長い長孔である。孔30Aは、弱め線33Aに対して所定間隔おいて上方の位置に形成されている。孔30Aの前縁部の中央位置には、下方に延出する爪部30Bが形成されている。また、図7に示すように、固定部31の第1板部31Aには、孔30Aの前方において、上下方向に貫通する円形の孔30Cが形成されている。
【0025】
また、ガード部材30は、図7に示すように、ガード部32と固定部31とに跨るように、上方に突出する絞り部30D,30Eが形成されている。絞り部30D,30Eは、前後方向に長い長手状である。絞り部30Dは、ガード部32および固定部31のそれぞれにおける左縁部側に形成されている。絞り部30Eは、ガード部32および固定部31のそれぞれにおける右縁部側に形成されている。
【0026】
ガード部材30は、図4~6に示すように、筐体部2に組付けられている。具体的には、ガード部材30を、孔30Aに筐体部2の連結片2Iを入り込ませるようにして、後壁部2Bの前面に配置する。このとき、爪部30Bが、孔2Jに嵌まり込み係止する。また、孔30Cに挿通させたネジをネジ穴2Kに螺合させる。このようにして、固定部31が後壁部2Bに固定されている。そして、固定部31が後壁部2Bに固定された状態において、閉塞部33が第2開口2Hを前方から閉塞(内貼り)するとともに、ガード部32が片持ち状に延びた構成でガスアダプタ20を上方から覆っている。
【0027】
1-5.ガード部材の作用
次に、ガード部材30の作用について説明する。まず、ガスコンロ1がキッチンのキャビネットに組付けられ、オーブンがキャビネット内でガスコンロ1の下側に設けられない場合について説明する。このような場合、第1ガス入口21Aは、図5図6に示すように、第1開口2Gを介して、ガスコンロ1の下方に設けられるガス供給管25に接続される。
【0028】
そして、ガード部材30は、図4図6に示すように、固定部31が後壁部2Bに固定された状態において、閉塞部33によって第2開口2Hを前方から閉塞(内貼り)するとともに、ガード部32によってガスアダプタ20を上方から覆う。そのため、第2開口2Hを介して第2ガス入口23Aへガスを供給しない場合には、筐体部2にガード部材30を固定して、第2開口2Hを閉塞することができる。また、ガード部32によってガスアダプタ20が上方から覆われるため、煮汁等が上方から伝ってきた場合に(例えば、排気筒11の周囲から浸入した煮汁等が後壁部2Bや天板部4を伝って落ちてきた場合に)、ガード部32が煮汁等を受けることで、ガスアダプタ20に滴下することを防ぐことができる。そして、煮汁等が多い場合でも、ガスコンロ1が鉛直方向と直交する水平面上に載置された場合において、底板部32Aにおける固定部31側よりも先端側(延出片32F側)の方が低位置となり、かつ、底板部32Aにおいて右側の方が低位置(つまり、横方向において延出片32Fが設けられていない側よりも設けられた側の方が低位置)となるように傾斜しているため、底板部32Aに溜まった煮汁等が前壁部32Dと右壁部32Eの間から延出片32Fを伝わり、ガスアダプタ20よりも右側の底壁部2E上に滴下することになる。そのため、ガスアダプタ20に煮汁等が付着することを防ぎ、腐食が生じてガス漏れ等の原因となることを回避することができる。
【0029】
特に、ガスアダプタ20は、固定部31、ガード部32、および閉塞部33が一体的に形成される構成であるため、第2開口2Hを閉塞する部材と、ガスアダプタ20を上方から覆う部材と、を別々に設ける必要がなく、部品点数の低減を図ることができる。したがって、ガード部材30によって、部品点数の低減を図りつつ、筐体部2の後壁部2Bに形成される第2開口2Hを閉塞するとともに、ガスアダプタ20を上方から覆うことができる。
【0030】
また、例えば、排気筒11の周囲から浸入した煮汁等が後壁部2Bを伝ってきた場合であっても、ガード部材30の固定部31によって受け止めることができる。また、煮汁等の量が多い場合であっても、固定部31の左右方向に流れ、延出片31C等を伝って、ガスアダプタ20の後方側の底壁部2E上に滴下することになる。したがって、ガスアダプタ20に煮汁等が付着することを防ぐことができる。
【0031】
次に、オーブンがキャビネット内でガスコンロ1の下側に設けられる場合について説明する。このような場合、第1開口2Gの下方にはオーブンが位置しており、第1開口2Gを介して、第1ガス入口21Aにガス供給管25(図5図6参照)を接続することができなくなる。そのため、図12に示すように、第2開口2Hを介して第2ガス入口23Aに、オーブンから延びるガス供給管26を接続する。このとき、ガード部材30において、図11に示すように、閉塞部33の下端側の一部(弱め線33Aよりも下方側の部分(切り離し部33E))を切り離す。具体的には、弱め線33Aに沿って閉塞部33の下端側を前方に折り曲げて、上端側から分断する。
【0032】
このように、弱め線33Aに沿って閉塞部33の一部を切り離すことができ、ガード部32によってガスアダプタ20を上方から覆った状態のままで、閉塞部33による第2開口2Hの閉塞状態を解除することができる。そのため、第2ガス入口23Aを介してガスバーナ8A,8B,8Cにガスを供給しようとした場合に、ガス供給のためのガス供給管26を第2ガス入口23Aに接続することを可能としつつ、ガード部32によってガスアダプタ20への煮汁等の滴下を防ぐことができる。
【0033】
そして、オーブンからのガス供給管26が、閉塞部33による閉塞が解除された第2開口2H(図12参照)から導入されて、第2ガス入口23Aに接続される。また、第1ガス入口21Aは閉塞される。
【0034】
ここで、本構成の効果を例示する。
本構成のガスコンロ1は、ガード部材30の固定部31が後壁部2Bに固定された状態において、閉塞部33によって筐体部2の第2開口2Hが前方から閉塞される。そのため、第2開口2Hを介して第2ガス入口23Aへガスを供給しない場合には、筐体部2にガード部材30を固定して、第2開口2Hを閉塞することができる。また、ガード部材30の固定部31が後壁部2Bに固定された状態において、ガード部32によってガスアダプタ20が上方から覆われる構成である。そのため、煮汁等が滴下してきた場合に、ガード部32が煮汁等を受けることで、ガスアダプタ20に付着することを防ぐことができる。特に、固定部31、ガード部32、および閉塞部33が一体的に形成される構成であるため、第2開口2Hを閉塞する部材と、ガスアダプタ20を上方から覆う部材と、を別々に設ける必要がなく、部品点数の低減を図ることができる。したがって、ガード部材30によって、部品点数の低減を図りつつ、筐体部2の後壁部2Bに形成される第2開口2Hを閉塞するとともに、ガスアダプタ20を上方から覆うことができる。
【0035】
また、本構成のガスコンロ1は、ガード部材30において、固定部31の下側に、閉塞部33の一部を固定部31に対して切り離すための弱め線33Aが形成されている。
これにより、弱め線33Aに沿って閉塞部33の一部を切り離すことができ、ガード部32によってガスアダプタ20を上方から覆った状態のままで、閉塞部33による第2開口2Hの閉塞状態を解除することができる。そのため、第2ガス入口23Aを介してガスバーナ8A,8B,8Cにガスを供給しようとした場合に、ガス供給のための外部配管を第2ガス入口23Aに接続することを可能としつつ、ガード部32によってガスアダプタ20への煮汁等の滴下を防ぐことができる。
【0036】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施例や後述する実施例の特徴は矛盾しない範囲でどのように組み合わせてもよい。
【0037】
実施例1では、第2開口2Hの閉塞状態を解除する場合に、閉塞部33の下端側の一部(切り離し部33E)を弱め線33Aに沿って切り離す構成を示したが、閉塞部33の下端側の一部を弱め線33Aに沿って折り曲げる構成であってもよい。具体的には、閉塞部33における弱め線33Aよりも上方側の部分に対して、下端側の一部(図9の切り離し部33Eに相当する部分)を前方に折り曲げる構成である。このような構成であっても、閉塞部33による第2開口2Hの閉塞状態を解除して、ガス供給管26を第2ガス入口23Aに接続することを可能としつつ、ガード部32によってガスアダプタ20への煮汁等の滴下を防ぐことができる。
【0038】
実施例1では、第1開口2Gおよび第2開口2Hは、円形の開口部分であったが、形状は円形に限らない。例えば、第1開口2Gおよび第2開口2Hは、四角形状等の開口部分であってもよい。
【0039】
実施例1では、ガード部材30は、閉塞部33における上端部よりも僅かに下方の位置において弱め線33Aが形成されていたが、固定部31の下側であれば、その他の位置に形成されていてもよい。例えば、弱め線33Aは、固定部31と閉塞部33との間の境界部分に形成されていてもよい。また、実施例1では、弱め線33Aが、3つのスリット33B,33C,33Dによって構成されていたが、その他の形状であってもよい。具体的には、他の領域よりも厚さが小さくされた強度低下部位、又は、貫通孔や切り欠き部とされた強度低下部位が、連続的又は断続的に線状に形成されていればよい。例えば、弱め線33Aは、ミシン目のように切り込みが入っている構成であってもよい。あるいは、弱め線に隣接する領域よりも弱め線の領域の方が厚さが小さくなるように溝状に構成されていてもよい。
【0040】
実施例1では、固定部31が後壁部2Bに直接的に固定される例を示したが、固定部は、他部材を介して間接的に後壁部2Bに固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…ガスコンロ
2…筐体部
2B…後壁部
2E…底壁部
2G…第1開口
2H…第2開口
8A,8B,8C…ガスバーナ
20…ガスアダプタ
21A…第1ガス入口
22A…ガス出口
23A…第2ガス入口
24…内部配管
30…ガード部材
31…固定部
32…ガード部
33…閉塞部
33A…弱め線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12