(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】顎クラッシュゾーンを有するヘルメット及び一体式換気
(51)【国際特許分類】
A42B 3/28 20060101AFI20220712BHJP
A42B 3/20 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A42B3/28
A42B3/20
(21)【出願番号】P 2018566253
(86)(22)【出願日】2017-06-14
(86)【国際出願番号】 AU2017050593
(87)【国際公開番号】W WO2017214670
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-08
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】518441704
【氏名又は名称】フラック,ダリル ロドニー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】フラック,ダリル ロドニー
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-132604(JP,A)
【文献】実開昭58-34925(JP,U)
【文献】実開昭56-156834(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第2046581(GB,A)
【文献】特公昭40-1320(JP,B1)
【文献】仏国特許出願公開第2566632(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B3/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイザーを有するヘルメット用の顎バーであって、上部及び
底部を有する本体を備え、前記本体は、前記本体の前記底部に定義された開口から前記本体の前記上部に定義された開口まで延在する垂直な複数の通路を含み、
前記顎バーは前記バイザーの下端に配置され、前記ヘルメットを着用している人の顎を覆うように適合しており、前記通路は、前記ヘルメットの前記バイザーへの換気を提供するように構成されており、前記通路はクランプルゾーンを形成する、顎バー。
【請求項2】
前記通路はモザイク式パターンで配設される、請求項1に記載の顎バー。
【請求項3】
前記通路は断面が六角形である、請求項2に記載の顎バー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護ヘルメット、特に、クランプルゾーン及び改良された換気を組込む顎バーを有する、モータサイクル搭乗者に適するヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、改良された顎保護及び換気を有する保護ヘルメットに関する。ヘルメットは、毎日のモータサイクル搭乗に特に適するが、同様に、オンロード、オフロード、及びアドベンチャーモーターサイクリング;ロードレーシング、ドラッグレーシング、モトクロス、スーパークロス、エンデューロ、スピードウェイ、ダートトラック及びラリー、並びにモーターカーレーシングを含むモーターサイクルレーシング;サーキットレーシング、オーバルレーシング、ドラッグレーシング、スピードウェイ、オフロードレーシング、オートクロス、ドリフティング、ゴーカーティング及びラリー;マウンテンバイクライディング、マウンテンバイク及びBMXレーシング、スノースポーツ、クリケット、並びにホースライディング及びホースレーシングに適する。改良は、フルフェイスヘルメットとモジュール式フルフェイスヘルメットの両方に適用されることができる。
【0003】
フルフェイスヘルメットは、落下中の顎に対する保護を提供し、多くの顔面の擦りむき、下顎骨(顎骨)の擦りむき、歯科及び顔の損傷を防いできた。しかし、衝撃を与えられると、クランプルしエネルギーを吸収するように設計されるヘルメットの主要な部分と違って、フルフェイスヘルメットの顎バーは、通常、硬質であり、したがって、衝撃を与えられると、ショックを伝える。ショックは、頭蓋基底部に伝えられ、頭蓋底骨折に起因する多くの死の一因であると考えられている。モーターサイクリングコミュニティの一部のメンバーは、事故の場合に、顎のひどい擦りむき及び/又は顔面/下顎骨骨折の犠牲を払っても、こうした致命的損傷を防止するためにオープンフェイスヘルメットを装着することを選択する。
【0004】
換気は、バイザーが曇ることを防止するためにフィクスドフェイスヘルメットにおいて重要である。通常、三角形又は長方形通気穴が、バイザーの下でかつ顎バーの上部のヘルメットの縁の近くに含まれる。これらの穴は、衝撃中の容易な骨折経路を作成することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記問題を軽減するヘルメットを提供する又は大衆に有用な代替法を少なくとも提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、本体、上部、及び底部を備えるヘルメット用の顎バーを提供し、本体は底部から上部まで延在する垂直通路を含む。
【0007】
好ましくは、通路はクランプルゾーンを形成し、底部から上部までの空気流を可能にするサイズに作られる。
【0008】
選好において、底部は、通路に対する空気流を制御可能に制限する通気部を備え、上部は、通路の上に配設された少なくとも1つの拡散器を備える。
【0009】
好ましくは、通路はモザイク式パターンで配設され、断面が六角形である。
【0010】
上記で述べた態様の任意の1つの態様が、上記で述べた他の態様の任意の態様の特徴のうちの任意の特徴を含むことができ、適宜以下で述べる実施形態の任意の実施形態の特徴のうちの任意の特徴を含むことができることが留意されるべきである。
【0011】
本発明の好ましい特徴、実施形態、及び変形は、当業者が本発明を実施するのに十分な情報を提供する以下の詳細な説明から識別されることができる。詳細な説明は、本発明の先行する要約の範囲を制限するものといずれの点においても見なされない。詳細な説明は、次のように、幾つかの図面を参照することになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】底部通気部が開口した状態の吹き付け側からの顎バーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の以下の詳細な説明は、添付図面を参照する。可能であるところではどこでも、同じ参照数字が、同じ及び同様の部品を参照するために、図面及び以下の説明全体を通して使用されることになる。図面に示す或る部品の寸法は、明確さ又は例証のために修正及び/又は誇張されている場合がある。
【0014】
本発明は、垂直通路を組込むヘルメットの顎バー用のクランプルゾーンを提供し、垂直通路は、顎バーを通って上方に空気が通過することを可能にして、ヘルメットの設計完全性を損なうことなくバイザー用の換気を提供する。顎バーは、別個の又は完全一体化された構成要素として製造されて、顎バーの強度をよりよく維持し、顎バーに関する底速衝撃に起因するエネルギーをよりよく吸収し消散させ、それにより、搭乗者のための保護を改良する。六角形又はトリ六角形クランプルゾーンは、顎バーとの衝撃の場合に、改良されたかつ多方向のエネルギー管理を与えることになる。本発明の空気流システムは、顎バーの内部のクランプルゾーンの設計完全性を妨げることなく、フルフェイスヘルメットバイザーの曇りをとり、搭乗者に十分な酸素流を提供するのに役立つ。
【0015】
本発明を組込む顎バー10の外部図は、
図1において10として示される。顎バーは、従来の顎バーと同様であるように見えるが、空気を制御可能に受入れるための顎バーの底部30のヒンジ付き底部通気部32、及び、バイザーの内部表面上にかつ搭乗者の顔上に空気流を方向付けるための顎バーの上部40の拡散器42を含む。底部通気部32は、通気部開口、したがって、空気流の操作を補助するためのタブ/ハンドル34を含む。とりわけ、顎バーの外側シェル28は穴によって損なわれない。
【0016】
図2は、3つの主要な構成要素、本体20、底部30、及び上部40を備えることを見ることができる顎バー10の分解図を示す。顎バーの内部の詳細は、
図4の切り欠き図によって最もよく理解される。本体20は、内側シェル26と外側シェル28との間にコア22を備える。内側及び外側シェルは、従来のヘルメットのように、ガラス繊維モールド、ガラス繊維/炭素繊維/ケブラー/アラミド複合モールド、或いは、ポリカーボネート又は他のプラスチックベースヘルメットモールド等の材料から作られ得る。コア22は、同様に、ガラス繊維プラスチック、炭素繊維、アルミニウム合金、及び、他の合金、プラスチック、ナイロン、合成物質、及びウレタン等の種々の材料から作られ得、容易な交換を可能にするためにディスクリートユニットとして製造されることができる、又は、内側及び外側シェルと完全に一体化されることができる。コアは、エネルギー吸収用クランプルゾーン並びに空気が本体を通って流れるための経路を提供する垂直セル/通路24のアレイを含む。セル24は、好ましくは、モザイク式であり、図示するハニカム、トリ六角形パターン、又は種々の他の断面であることができる。底部セクション30は、チャンバー36を介して上方に出口アパーチャ38を通ってセル24の底部内に空気を方向付ける、底部の中央/前セクションに位置するヒンジ付き取込みスクープ32(
図3において開口した状態で示す)を含む。空気流は、セル24の上部を出て、拡散器42の入口アパーチャ44を通り、入口アパーチャ44から、空気流は、バイザー(図示せず)の内部表面にわたって方向付けられて、搭乗者の顔にわたって曇りをとる。
【0017】
クランプルゾーンを有する顎バー、及び、従来の空気流ポートの場合のようにクランプルゾーンの構造完全性を損なうことなく適切な酸素流を搭乗者及顔ポートに提供する一体化空気流システムを提供する本発明がここで理解されるであろう。ヘルメット顔ポートに空気流を流すためにクランプルゾーンセルを使用することによって、従来搭載式通気部を設置するためにクランプルゾーンの上側セクション及び外側顎バーを切込む要件は全く存在しない。拡散器は、バイザーの曇りとりと搭乗者用の全体的なエアレイションの両方を最適化する。ハニカムパターン又はトリ六角形パターンクランプルゾーンは、多方向衝撃ローディング及び変形を与えて、顎バーとの低速衝突における力をよりよく管理する。ハニカムパターンクランプルゾーン変形レートは、異なるヘルメットユーザ、成人、及び子供について、また、異なる環境;オンロードモーターサイクリング、オフロードモーターサイクリング/バイシクリング、モーターサイクルロードレーシング、モトクロス、スーパークロス、エンデューロ、及びラリー;並びに、モータースポーツ、スノースポーツ、クリケット、及びホースライディング/レーシングについて調整され得る。
【0018】
更なる利点及び改良は、本発明に対して本発明の範囲から逸脱することなく、大変うまく行われることができる。本発明は、最も実用的でかつ好ましい実施形態であると考えられるものにおいて示され述べられたが、本発明の範囲内でその実施形態からの逸脱が行われることができ、その逸脱が、本明細書で開示される詳細に限定されるのではなく、任意のまた全ての等価なデバイス及び装置を包含するために特許請求項の全範囲と見なされることが認識される。本明細書全体を通しての従来技術のいずれの議論も、こうした従来技術が、広く知られている、又は、本分野における共通の一般的な知識の一部を形成するという承認として決して考えられるべきではない。
【0019】
本明細書及び特許請求項において(もしあれば)、語「備えている(comprising)」並びに「備える(comprises)」及び「備える(comprise)」を含むその変形は、述べた整数のそれぞれを含むが、1つ又は複数の更なる整数の包含を排除しない。
【符号の説明】
【0020】
10 顎バー
20 本体
22 コア
24 セル
26 内側シェル
28 外側シェル
30 (顎バーの)底部
32 通気部
34 ハンドル
36 チャンバー
38 出口アパーチャ
40 (顎バーの)上部
42 拡散器
44 入口アパーチャ