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特許7103647伸縮装置を備えた道路の補修構造、及び補修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】伸縮装置を備えた道路の補修構造、及び補修方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/02 20060101AFI20220712BHJP
   E01D 19/06 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
E01C11/02 A
E01D19/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019025460
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020133163
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-01-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 登録日:平成30年10月11日 アドレス:http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/Search/NtDetail1.asp?REG_NO=KT-180064&TabType=&nt=nt
(73)【特許権者】
【識別番号】517181081
【氏名又は名称】ライノジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】緒方 修一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 敦見
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0040889(KR,A)
【文献】特開2009-235829(JP,A)
【文献】特開2003-064613(JP,A)
【文献】特表2013-506070(JP,A)
【文献】特開2014-080854(JP,A)
【文献】特開2018-204265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00-17/00
E01D 1/00-24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の通行方向に所定間隔の継手遊間を設けて対向配置される一対の継手部材を有する伸縮装置と、前記通行方向と交差する横断方向の両端部から夫々立ち上がる高欄と、を備えた道路の補修構造であって、
上面が前記各継手部材の上面よりも低い位置又は同等の高さ位置となるように前記継手遊間内に埋設されるバックアップ材と、
ポリウレア樹脂の吹き付け面に塗布されたプライマーと、
前記両継手部材間に跨がって前記伸縮装置の上面と前記各高欄の上面とにかけて前記横断方向の全体に連続的に塗布される前記ポリウレア樹脂により形成される塗膜防水層と、を備え
前記塗膜防水層には前記通行方向の端部から中央部に向かって膜厚が漸増する傾斜面が形成されており、前記塗膜防水層と前記バックアップ材とが接着しないように構成されていることを特徴とする伸縮装置を備えた道路の補修構造。
【請求項2】
前記塗膜防水層は、前記両継手部材間に止水性を有する排水路を形成することを特徴とする請求項1に記載の伸縮装置を備えた道路の補修構造。
【請求項3】
前記バックアップ材の上面は、下方に凹陥した湾曲面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮装置を備えた道路の補修構造。
【請求項4】
前記バックアップ材の上面は、平坦面であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮装置を備えた道路の補修構造。
【請求項5】
前記バックアップ材と前記塗膜防水層との間に両者間の接着を防止する縁切り材が設置されていることを特徴とする請求項4に記載の伸縮装置を備えた道路の補修構造。
【請求項6】
車両の通行方向に所定間隔の継手遊間を設けて対向配置される一対の継手部材を有する伸縮装置と、前記通行方向と交差する横断方向の両端部から夫々立ち上がる高欄と、を備えた道路の補修方法であって、
上面が前記各継手部材の上面よりも低い位置となるように前記継手遊間内にバックアップ材を埋設する工程と、
ポリウレア樹脂の吹き付け面にプライマーを塗布する工程と、
前記両継手部材間に跨がって前記伸縮装置の上面と前記各高欄の上面とにかけて前記横断方向の全体に連続的前記ポリウレア樹脂を塗布して塗膜防水層を形成する工程と、を有し、該工程においては、前記塗膜防水層に、前記通行方向の端部から中央部に向かって膜厚が漸増する傾斜面を形成することを特徴とする伸縮装置を備えた道路の補修方法。
【請求項7】
車両の通行方向に所定間隔の継手遊間を設けて対向配置される一対の継手部材を有する伸縮装置と、前記通行方向と交差する横断方向の両端部から夫々立ち上がる高欄と、を備えた道路の補修方法であって、
上面が前記各継手部材の上面と同等の高さ位置となるように前記継手遊間内にバックアップ材を埋設する工程と、
前記バックアップ材の上方に縁切り材を設置する工程と、
ポリウレア樹脂の吹き付け面にプライマーを塗布する工程と、
前記両継手部材間に跨がって前記伸縮装置の上面と前記各高欄の上面とにかけて前記横断方向の全体に連続的前記ポリウレア樹脂を塗布して塗膜防水を形成する工程と、を有し、該工程においては、前記塗膜防水層に、前記通行方向の端部から中央部に向かって膜厚が漸増する傾斜面を形成することを特徴とする伸縮装置を備えた道路の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路橋等の継ぎ目部分に設置される伸縮装置を備えた道路の補修構造、及び補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路橋等の橋梁は、車両等の通行方向に伸びる橋桁の通行方向両端部が橋台又は橋脚に設置された支承により支持された構造を有する。橋桁は、気温の変化により伸縮変形し、又は、車両等が通行する際に発生する振動や歪み等の影響により湾曲変形するため、橋桁の変形に追従して伸縮する伸縮装置が橋桁同士の間又は橋桁と橋台との間に設置されている。伸縮装置を設置することにより、橋桁の変形を吸収して橋梁の破損を防止すると共に、車両等の通行上の不具合の発生を防止している。
近年、橋梁の長寿命化を図るため、伸縮装置の非排水化が進められている。非排水化とは、道路上の空間と橋桁間に形成される遊間部とを非連通状態(水密状態)に維持する止水手段を設置することである。伸縮装置を非排水化することにより、伸縮装置の隙間から土砂や雨水等が浸入することを防止でき、土砂や雨水等に起因する支承、橋台、及び橋脚の腐食或いは劣化を防止可能となる。
【0003】
特許文献1には、縦板(ウェブプレート)間に形成される遊間を覆う止水手段としてのシール材を横板(フェースプレート)の直下に設置した伸縮継手が記載されている。しかし、長年の使用によりシール材に亀裂部や破損部が発生したり、シール材自体が脱落する等の要因により、止水機能を発揮できなくなる場合がある。
特許文献2には、横断面視概略U字形状のステンレス製の排水用樋の表面に伸縮性と止水性を有する合成樹脂層を形成して、排水用樋の亀裂部や破損部からの雨水の漏出を防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-64614号公報
【文献】特開2003-64613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2においては、合成樹脂液を排水用樋の下面に吹き付けて合成樹脂層を形成する。一般的に橋梁の遊間部は狭隘、且つ閉鎖的な空間であるため、橋梁の遊間部に設置された各種の設備に対して下方から合成樹脂液を吹き付ける方法は施工性が悪く、作業手順が複雑化し、コストの増大を招くという問題がある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、施工性の向上、作業手順の簡素化、及びコスト低減を図りつつ、橋梁の長寿命化を図ることが可能な補修構造及び補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、車両の通行方向に所定間隔の継手遊間を設けて対向配置される一対の継手部材を有する伸縮装置と、前記通行方向と交差する横断方向の両端部から夫々立ち上がる高欄と、を備えた道路の補修構造であって、上面が前記各継手部材の上面よりも低い位置又は同等の高さ位置となるように前記継手遊間内に埋設されるバックアップ材と、ポリウレア樹脂の吹き付け面に塗布されたプライマーと、前記両継手部材間に跨がって前記伸縮装置の上面と前記各高欄の上面とにかけて前記横断方向の全体に連続的に塗布される前記ポリウレア樹脂により形成される塗膜防水層と、を備え、前記塗膜防水層には前記通行方向の端部から中央部に向かって膜厚が漸増する傾斜面が形成されており、前記塗膜防水層と前記バックアップ材とが接着しないように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施工性の向上、作業手順の簡素化、及びコスト低減を図りつつ、橋梁の長寿命化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】道路の継ぎ目部分の基本的な構造を示した一部断面斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る伸縮装置の補修構造を示した横断面図である。
図3】(a)、(b)は、伸縮装置の補修構造の排水路部分を拡大して示した横断面図である。
図4】伸縮装置の補修構造の排水路部分を拡大して示した横断面図である。
図5】ポリウレア樹脂を対象物に吹き付ける吹付装置の一例を示す模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係る補修手順を示したフローチャートである。
図7】道路を横断方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0010】
〔道路構造1〕
図1は、道路の継ぎ目部分の基本的な構造を示した一部断面斜視図である。
図示する道路10(道路橋)は、車両の通行方向(橋軸方向)に所定の間隔Tの遊間11を設けて対向配置される道路本体13、13と、道路本体13、13上に所定厚さにて施工された舗装17、17と、道路本体13、13の間に配置される伸縮装置100を備える。なお、ここでいう道路本体13、13には、車両の通行方向に沿って伸びる主桁によって支持された床版等の床構造体と、上部に設置した支承により主桁の通行方向両端部を支持する橋台とを含む。
遊間11は、道路本体13、13の温度変化に伴う伸縮や、道路本体13、13の通行方向側端部の上下動等、道路本体13、13の変形を許容するために設けられた隙間であり、道路10の横断方向に伸びる。
図示する各道路本体13、13の橋軸方向の遊間11側端部には、道路本体13、13の他の部位よりも低く形成された段差部15、15を備える。
以下、伸縮装置100が橋軸方向と直交する橋軸直角方向に伸びるように設置されているものとして説明する。
【0011】
〔伸縮装置の基本構造〕
伸縮装置100は、道路10の継ぎ目部分に設置され、道路本体13、13等の変形を吸収する装置である。
伸縮装置100は、車両の通行方向に所定の間隔を設けて対向配置される一対の継手部材110、110と、継手部材110、110間に形成される継手遊間101内に充填(嵌合、或いは埋設)されて、道路本体13の下方に位置する主桁や支承等への漏水を阻止する一次止水手段120と、継手部材110、110の下部又は下方に配置されて道路の横断方向(橋軸直角方向)に沿って伸びる樋状のゴムシートからなる二次止水手段130と、継手部材110、110を道路本体13、13に固定する後打ちコンクリート140、140等を備える。後打ちコンクリート140、140は、その上面が舗装17の上面と同等の高さ位置となるように道路本体13、13に形成された段差部15、15に施工される。
【0012】
各継手部材110、110は、上面が道路上に露出すると共に横断方向に沿って伸びるフェースプレート111と、フェースプレート111の短手方向の適所から下方に垂下するウェブプレート113とを備える。本例に示すウェブプレート113はフェースプレート111の短手方向の中間部適所から下方に垂下しており、各継手部材110、110は、通行方向に沿った横断面視にて概略T字形状を有する。
【0013】
フェースプレート111及びウェブプレート113は所定の厚さを有した鋼材により形成される。本例に示す伸縮装置100は、いわゆる荷重支持型の伸縮装置であり、フェースプレート111、111同士が対向する側の端部には、長手方向に沿って凹部111aと凸部111bとが順次形成されている。継手部材110、110は、一方のフェースプレート111の凸部111bと他方のフェースプレート111の凹部111aとが、所定間隔の隙間115を有して対向するように配置される。隙間115は、フェースプレート111、111の長手方向に沿って波状に、ジグザグ状に、或いは蛇行するように形成される。
なお、道路本体13、13の段差部15、15には、一部が道路本体13、13に埋設・固定されたアンカーが配置されており、各継手部材110、110はアンカーに対して溶接された後、後打ちコンクリート140、140が施工されることにより、道路本体13、13に固定、一体化される。
【0014】
フェースプレート111、111の直下、且つウェブプレート113、113の間には、一次止水手段120が配置される。一次止水手段120は、伸縮装置100の非排水化手段であり、フェースプレート111、111上部の空間とフェースプレート111、111下部の空間とを非連通状態(水密状態)に維持する手段である。一次止水手段120は、フェースプレート111、111の直下に挿入又は充填される一次シール材121と、一次シール材121の下方に配置され、一次シール材121の高さ位置を調整する一次バックアップ材123とを備える。
一次止水手段120には、継手部材110、110の接近又は離間移動に追従する弾性を有した材料が使用される。例えば、一次シール材121には、ゴムやウレタン等が使用され、一次バックアップ材123には発泡ポリエチレンやウレタン等が使用される。
【0015】
二次止水手段130は、一次止水手段120を構成する材料の経年劣化や、フェースプレート111、111の隙間115から侵入した土砂等の堆積物により、一次止水手段120が損傷或いは脱落して、止水機能を発揮できなくなった場合に、発生した漏水を受け止めて主桁や支承等へ到達することを阻止する手段である。
本例に示す二次止水手段130は、長手方向の両端部が閉塞されたゴム性の樋により構成されており、樋の適所に接続されたドレンパイプから漏水を排水して、橋梁の各構造体の漏水による劣化を防止する。なお、二次止水手段130は任意で設置される。
【0016】
一次止水手段120は、長年の使用による材料の劣化や、フェースプレート111、111の隙間115内に堆積した土砂等が車両の通行時に押し込まれること等により、損傷或いは脱落して、本来の機能を発揮できなくなる場合がある。また、古い橋梁のように止水手段が設置されていない場合や、継手部材110、110の下方に設置した排水用の樋が排水機能を発揮できなくなっている場合もある。このような場合には、伸縮装置100の継手遊間101(本例ではフェースプレート111、111間に形成された隙間115)から遊間11内に浸入した雨水が主桁や支承等に到達し、長期に渡って滞留する結果、橋梁の各構造体を腐食させたり劣化させたりする要因となるため、補修が必要となる。
【0017】
〔伸縮装置の補修構造〕
図2は、本発明の一実施形態に係る伸縮装置の補修構造を示した横断面図である。図3(a)、(b)は、伸縮装置の補修構造の排水路部分を拡大して示した横断面図である。
補修構造200は、継手部材110、110間に設けられた継手遊間101内、特に本例ではフェースプレート111、111間に形成された隙間115内に埋設されるバックアップ材210と、両継手部材110、110間に跨がって伸縮装置100の上面に塗布されるポリウレア樹脂により形成される塗膜防水層220と、を備える。塗膜防水層220は、バックアップ材210の表面形状に応じて、継手部材110、110間に継手部材110、110同士の間隔変動に追従する伸縮性と止水性を有する排水路230を形成する。
【0018】
<バックアップ材、排水路>
バックアップ材210は、その上面210aが、継手部材110、110のフェースプレート111、111の上面111c、111cよりも低い位置又は水平位置(同等の高さ位置)となるように隙間115内に埋設される。
ここで、上面210aが上面111c、111cよりも低い位置とは、上面210aの一部(最下部)が上面111c、111cに対して低い位置にある場合と、上面210aの全体が上面111c、111cに対して低い位置にある場合の双方を含む。なお、上面210aの一部(最下部)が上面111c、111cに対して低い位置にある場合には、上面210aを下方に凹陥した湾曲面とすることにより、上面111c、111cに対して階段状の段差を形成しない場合を含む。
上面210aが上面111c、111cと同等の高さ位置にある場合、上面210aは上面111c、111cと共に概ね平坦面を形成する。
【0019】
排水路230は、図3(a)に示すように、バックアップ材210の上面210aのみによって形成される溝部内に形成されてもよい。この場合、バックアップ材210の上面210aを下方に凹陥した湾曲面とする。
或いは、排水路230は、図3(b)に示すように、バックアップ材210の上面210aとフェースプレート111、111の対向面111d、111dとによって形成される溝部内に形成されてもよい。この場合においても、図3(a)と同様にバックアップ材210の上面210aを下方に凹陥した湾曲面としてもよい。バックアップ材210の上面210aを下方に凹陥した湾曲面とすれば、隙間115の拡縮に伴って発生する、上面210aと対向面111d、111dとの切り替わり部分における塗膜防水層220への機械的負荷を軽減することができる。また、塗膜防水層220が収縮時に上方(路面よりも上方)へ飛び出すことを防止できる。
【0020】
バックアップ材210は、塗膜防水層220の高さ方向における形成位置を調整するため、即ち、排水路230の深さを調整するために挿入される。また、バックアップ材210は、排水路230の形状を調整するために挿入される。
【0021】
バックアップ材210には、隙間115の間隔変動、即ち、継手部材110、110の接近又は離間移動に追従して変形可能な弾力性を有した材料が使用される。バックアップ材210は、隙間115の間隔変動が発生した場合であっても、対向面111d、111dへの密着状態を維持する。
バックアップ材210は、固体バックアップ材211と固体バックアップ材211上に充填されるコーキング材213とにより構成される。
固体バックアップ材211には、所定の横断面形状、例えば矩形状の横断面形状を有した固体のシリコン系材料、発泡ポリエチレン材、又はウレタン材等が使用される。固体バックアップ材211は、弾性変形前において隙間115の間隔よりも幅広であり、幅方向(通行方向)に圧縮された状態にて隙間115に挿入される。
コーキング材213は、初期状態においては隙間115内に充填可能な一定の流動性を有し、時間の経過と共に固体状に変化し、変化後においても弾性変形が可能である。コーキング材213は、隙間115内に充填された後にヘラ等を用いて所定形状の上面210aに整形される。排水路230を形成する場合、コーキング材213の表面は円錐形のコテ等を用いて、例えば下方に凹陥した湾曲形状の上面210aに整形される。排水路230を形成しない場合、コーキング材213の表面はヘラ等で均されて、フェースプレート111、111の上面111c、111cと共に平坦面を形成する上面210aに整形される。
【0022】
<縁切り材>
図4は、伸縮装置の補修構造の排水路部分を拡大して示した横断面図である。
バックアップ材210の上面210aを、フェースプレート111、111の上面111c、111cと同等の高さ位置となるように設置する場合は、必要に応じて上面210a及び上面111c、111cと、塗膜防水層220との間に縁切り材215を設置する。縁切り材215は、塗膜防水層220が上面210a及び上面111c、111cに対して接着することを防止して、伸縮装置100の伸縮量に応じた塗膜防水層220の伸び代を確保する。
【0023】
縁切り材215は、塗膜防水層220の形成前に、バックアップ材210上に設置される。縁切り材215は、塗膜防水層220を構成するポリウレア樹脂の伸縮を阻害しない材料から構成される。縁切り材215は、例えばマスキングテープ、養生テープ、及びビニールシート等を適宜用いて作製される。縁切り材215は、塗膜防水層220の伸縮に追従して伸縮する必要はなく、最終的には断裂しても構わない。
【0024】
ここで、隙間115の標準間隔をW0、施工時における隙間115の伸縮量を2W1とした場合に、施工時における隙間115の間隔W2は「W2=W0-2W1」と表される。但し、道路本体13が伸長したときの伸縮量W1を正の値とし、道路本体13が収縮したときの伸縮量W1を負の値としている。
【0025】
縁切り材215の幅W(通行方向における長さ)は以下のように決定される。
W2=W0のとき、縁切り材215の幅W=0とする。即ち、縁切り材215を設置しない。
W2>W1のとき、縁切り材215の幅W=W2とする。
W2<W1のとき、縁切り材215の幅W=W1とする。
縁切り材215は、バックアップ材210上において、継手部材110の長手方向に沿って直線的に設置される。縁切り材215をフェースプレート111、111間に跨がらせる場合は、縁切り材215が両上面111c、111cに対して均等幅で重なるように、縁切り材215を継手部材110、110の短手方向の中央部に配置する。なお、縁切り材215を隙間115の蛇行に沿って設置してもよい。
【0026】
縁切り材215を設置することにより、塗膜防水層220の伸び代を確保し、縁切り材215の設置部位における塗膜防水層220の自由な伸縮を許容する。
即ち、気温に応じた道路本体13の伸縮に伴って、隙間115の間隔は夏季において最小となり、冬季において最大となる。施工時における隙間115の伸縮量W1及び間隔W2に基づいて縁切り材215の幅Wを決定し、上面210a及び上面111c、111cに対する塗膜防水層220の非接着部位を設けることによって、施工時季に応じて適切な量の塗膜防水層220の伸び代を確保できる。従って、伸縮に伴う塗膜防水層220への機械的負荷を軽減すると共に、ポリウレア樹脂の性能を最大限に発揮できる。
また、フェースプレート111には、その短手方向に対して傾斜した端縁を有する凹部111aと凸部111bとが順次形成されている。そのため、継手部材110上に直接に塗膜防水層220を形成した場合、塗膜防水層220にはフェースプレート111の凹凸形状に応じた斜め方向の応力(短手方向に対して傾斜した応力)が作用する。このように、フェースプレート111に付着した塗膜防水層220に対しては継手部材110の短手方向に沿った単純な伸縮力が働くわけではない。
一方、本実施形態のように、ポリウレア樹脂の付着面の一部に縁切り材215を挿入することにより、縁切り材215の挿入部位については他の部材の影響を受けずにポリウレア樹脂単独で自由に伸縮することができる。従って、伸縮に伴う塗膜防水層220への機械的負荷を軽減すると共に、ポリウレア樹脂の性能を最大限に発揮できる。
【0027】
<塗膜防水層、ポリウレア樹脂、吹付装置>
塗膜防水層220は、両継手部材110、110のフェースプレート111、111間に跨がって形成される。本例では、塗膜防水層220は、後打ちコンクリート140、140間に跨がって形成される。ポリウレア樹脂は、継手部材110、110の接近又は離間移動に追従して弾性変形する。
以下、塗膜防水層220を形成するポリウレア樹脂について説明する。
図5は、ポリウレア樹脂を対象物に吹き付ける吹付装置の一例を示す模式図である。
ポリウレア樹脂は、ポリイソシアネート化合物(主剤)と活性水素を持つアミン化合物(硬化剤)とをスプレーガンで衝突混合させて化学反応させることにより生成される。吹付装置20は、ポリイソシアネート化合物とアミン化合物を衝突混合させてミスト状にして対象物に吹き付ける装置である。
【0028】
吹付装置20は、ポリイソシアネート化合物を収容した第一タンク21a、アミン化合物を収容した第二タンク21b、第一タンク21aから化合物を送り出す第一ポンプ22a、第二タンク21bから化合物を送り出す第二ポンプ22b、化合物に十分な圧力をかけて所定量を送り出す高圧定量ポンプ23、輸送される化合物を加熱するヒータ24、化合物の温度を保持するヒータ付ホース25、及び、両化合物を衝突混合させてミスト状態で射出するスプレーガン26を備えている。また、吹付装置20は、高圧定量ポンプ23を制御して両化合物の混合割合を可変させたり、ヒータを制御して加熱温度等を可変させる反応制御装置等も備えている。
第一タンク21aと第二タンク21bに収容されたポリイソシアネート化合物とアミン化合物は、それぞれ第一及び第二ポンプ22a、22bにより送液され、高圧定量ポンプ23により所定の圧力に加圧されて所定量が送り出される。両化合物は、ヒータ24により所定の温度に加熱されヒータ付ホース25により所定の温度に保持されたままスプレーガン26に送られる。スプレーガン26は、両化合物を衝突混合させると共に、ミスト状にして射出する。両化合物は化学反応によりポリウレア樹脂を生成し、吹付対象物の表面において固化し、塗膜を形成する。
【0029】
<塗膜防水層の両端部の形状>
図2に示すように、本例においては、後打ちコンクリート140、140間に跨がって塗膜防水層220を形成する。特に本例においては、後打ちコンクリート140の通行方向の全体に塗膜防水層220を形成する。そのため、塗膜防水層220の通行方向両端部には、舗装17の上面17aとの間における段差の発生を極力防止するため、通行方向の端部から中央部に向かって膜厚が漸増する傾斜面221を形成する。なお、傾斜面221は、平坦面でも湾曲面でもこれらを組み合わせて形成される面でもよい。傾斜面221は、ポリウレア樹脂を吹き重ねる回数(又は吹付時間)を適宜調整することにより形成できる。傾斜面221を設けることにより、車両の通行による塗膜防水層220の剥離を防止でき、長期に渡って性能を維持することができる。また、後打ちコンクリート140と舗装17との間に階段状の段差が形成されないため、車両の走行時における振動を抑制できる。
【0030】
<変形例>
塗膜防水層220の通行方向における長さは、ポリウレア樹脂が伸縮装置100に対して十分な接着性を発揮できる長さに設定される。従って、塗膜防水層220は継手部材110の上面のみに施工されてもよいし、後打ちコンクリート140の上面を含んで施工されてもよい。また、塗膜防水層220は、継手部材110の上面の全体に施工されてもよいし、上面のうち継手部材110同士が互いに対向する側の端部にのみ施工されてもよい。同様に、塗膜防水層220は、後打ちコンクリート140の上面の全体に施工されてもよいし、上面のうち継手部材110側の端部にのみ施工されてもよい。
【0031】
本発明に係る伸縮装置100の補修構造200において、塗膜防水層220は少なくとも対向配置された2つの継手部材間に跨がって形成される。塗膜防水層220は、継手部材110、110の形状に応じて、伸縮装置100の上面の何れの部分に形成されるかが決定される。例えば、補修構造200は、フェースプレート111を実質的に備えない伸縮装置に対して適用することも可能であり、この場合は、塗膜防水層220の形成箇所に後打ちコンクリート140の上面を含む。なお、伸縮装置100を構成する各継手部材は互いに異なる形状を有してしてもよく、この場合、塗膜防水層220の施工箇所は各継手部材の形状に応じた最適な箇所に設定される。
【0032】
〔伸縮装置の補修手順〕
図6は、本発明の一実施形態に係る補修手順を示したフローチャートである。
なお、伸縮装置100の補修に当たっては、事前に施工箇所を確認し、伸縮装置100、継手遊間101、及び、後打ちコンクリート140の状態、並びに伸縮装置の伸縮量(2W1)を確認し、必要に応じて断面修復等を実施しておく。また、施工空間の確保、素地調整時における粉塵の飛散、及びポリウレア樹脂の吹き付け時における飛散を防止するため、飛散防止ネットを設置しておく。
【0033】
ステップS1においては、既設の一次シール材121の一部又は全部を、伸縮装置100(継手部材110、110)を損傷させないようにして撤去する。本工程においては、バックアップ材210の設置やポリウレア樹脂の吹き付け時等、ステップS2以降の工程において障害となりうる一次シール材121部分を撤去すれば足り、ステップS2以降の工程で一次シール材121の存在が障害とならない場合は、本工程を省略することができる。
ステップS2においては、ポリウレア樹脂の吹き付け対象となる部位の表面状態を調整する。具体的には、ディスクサンダー等を用いて、フェースプレート111の上面111cに発生した錆を除去し、後打ちコンクリート140、140表面に付着した付着物や劣化部分を除去する。
ステップS3においては、塗膜防水層220の形成部と非形成部との仕切り線を明確化するため、マスキングテープ、養生テープ、及びビニールシート等を用いてポリウレア樹脂の吹き付け対象範囲外をマスキングする。
ステップS4においては、隙間115上に形成する塗膜防水層220の形状に応じて、バックアップ材210の設置位置及び形状を決定する。バックアップ材210の上面をフェースプレート111、111の上面111c、111cよりも低い位置とする場合(ステップS4にて凹形状)はステップS5以下の工程が実施される。バックアップ材210の上面をフェースプレート111、111の上面111c、111cに対して水平位置とする場合(ステップS4にて平面形状)はステップS6以下の工程が実施される。
【0034】
ステップS5においては、伸縮装置100の隙間115内の所定の深さ位置にバックアップ材210を設置する。まず、固体バックアップ材211を隙間115内の所定の深さ位置に挿入した後、コーキング材213を充填する。その後、例えば、図3(a)に示すように上面210aが下方に凹陥した湾曲面となるように円錐形状のコテ等を用いて整形する。上面210aはポリウレア樹脂の吹付面となる。
【0035】
ステップS6においては、設置する縁切り材215の幅Wを、施工前に測定した隙間115の間隔W2と伸縮装置100の伸縮量W1とに基づいて決定する。
【0036】
ステップS7においては、伸縮装置100の隙間115内の所定の深さ位置にバックアップ材210を設置する。まず、固体バックアップ材211を隙間115内の所定の深さ位置に挿入した後、コーキング材213を充填する。その後、例えば、図4に示すように上面210aが上面111c、111cに対して水平となるようにコーキングヘラ等を用いて整形する。上面210aはポリウレア樹脂の吹付面となる。
ステップS8においては、マスキングテープ、養生テープ、及びビニールシート等を用いた縁切り材215を設置する。なお、ステップS6において縁切り材215の幅「W=0」となった場合、本工程は省略される。

【0037】
ステップS9においては、ポリウレア樹脂の吹付面に、プライマーをムラが出ないように均一に塗布し、乾燥硬化させる。
ステップS10においては、吹付装置20(図5参照)を用いて、ポリウレア樹脂をムラが出ないように所定の厚みになるまで吹付面に均一に塗布し、塗膜防水層220を形成する。本工程により、継手部材110、110間に伸縮性と止水性を有する排水路230が形成される。
ステップS11においては、ステップS3にて設置したマスキング材を撤去し、所定の時間以上(例えば1時間以上)養生する。
ステップS8においては、目視、指触などにより、塗膜防水層220の硬化状態やピンホールの有無等を確認する。また、膜厚計を用いて塗膜防水層220が所定の膜厚を有しているかを確認する。
【0038】
〔道路構造2〕
図7は、道路を横断方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
図示する道路10は、例えば紙面の奥側から手前側に向かって車両が走行する二車線道路であり、道路10の横断方向両端部には防護柵18(高欄)が設置されている。道路10には、横断方向の一端部から他端部に向かって下り勾配が付されており、道路10上に降下した雨水等は横断方向の他端部に向かって流れる。
本発明の実施形態に係る伸縮装置100の補修方法は、図2に示すように車両の通行方向に離間して配置された一対の継手部材110、110間に、所定厚さのポリウレア樹脂による止水性が付与された排水路230を形成する。道路10の横断方向に沿って伸びる排水路230は、雨水等を道路勾配に従って横断方向の他端部に向かって排水する。雨水等は、最終的に図7に示される路肩部19の走行方向の適所に設置された集水枡から道路10外へと排水される。
このように、本実施形態においては、補修により伸縮装置100の止水性能を復活させるだけではなく、伸縮装置100の表面にポリウレア樹脂層を連続的・一体的に形成して防水・止水することによって、伸縮装置100上に排水路を形成することができる。従って、伸縮装置100上に降下した雨水を効果的に排水することができる。
また、伸縮装置100の表面だけではなく、防護柵18、18の上面、道路10に面した防護柵18、18の表面、及び伸縮装置100に跨がって一体的な継ぎ目のない塗膜防水層220を形成することにより、主桁や支承等への漏水を効果的に阻止し、主桁や支承の腐食を防止して、道路の長寿命化を実現できる。
【0039】
〔ポリウレア樹脂の特性〕
<基本特性>
塗膜防水層220を形成するポリウレア樹脂には、ライノ・ライニングス社のポリウレア樹脂「ライノ・エクストリーム」を使用することができる。ライノ・エクストリームの特性は、以下の通りである。
【0040】
【表1】
【0041】
<耐候性試験結果>
ライノ・エクストリームについて、平成30年2月13日、東京都立産業技術研究センターにて耐候性試験を実施した。試験結果は以下の通りである。
【0042】
【表2】
【0043】
ライノ・エクストリームは、WOM2、500時間(屋外暴露10~15年相当)後も表面に亀裂、クラックなどの発生は見られなかった。本試験の結果から、ライノ・エクストリームは、本発明の実施形態に係る伸縮装置の補修方法に問題なく使用できる耐候性を有していることが確認された。
【0044】
<耐候性試験後の引張・せん断試験>
ライノ・エクストリームについて、平成30年2月19日、東京都立産業技術研究センターにて、耐候性試験後の引張試験、及びせん断試験を実施した。試験には株式会社島津製作所製の「オートグラフAG-100KNXplus」を使用した。試験結果は以下の通りである。
【0045】
【表3】
【0046】
引張試験では、初期値(未処理試験片)に対し、耐候性試験後の試験片の応力保持率は、約53%であった。せん断試験では、初期値(未処理試験片)に対し、耐候性試験後の試験片の応力保持率は、約112%であった。本試験の結果から、ライノ・エクストリームは、本発明の実施形態に係る伸縮装置の補修方法に問題なく使用できる応力保持率を有していることが確認された。
【0047】
〔効果〕
本実施形態によれば、伸縮装置の表面全体にポリウレア樹脂を吹き付けて塗膜防水層を形成するため、作業手順の簡素化を図れる。
本実施形態によれば、耐久性、耐候性に優れたポリウレア樹脂(例:ライノ・エクストリーム)を使用することにより、高寿命な塗膜防水層を形成することができるため、伸縮装置の安全性が長く維持される。
スプレー塗装機器による吹き付け作業により塗膜防水層を形成するので、橋梁上面から安定した施工作業ができる上、伸縮装置が複雑な形状でも施工が容易になり、施工性の向上が図れるとともに、より高品質な防水塗膜の形成が可能となる。
速硬化性のあるスプレー吹き付け型のポリウレア樹脂を使用することにより、必要十分な性能を発揮できる所定量のポリウレア樹脂の吹付が、1回の吹き付け作業で完了する。このため、作業手順を簡素化でき、また養生時間も短時間で済むので工期短縮を図れる。この結果、労務費を大きく削減できるため、経済性が大幅に向上する。
ポリウレア樹脂は、カドミウム等の有害性物質を含まず、かつ、無溶剤で揮発性有機化合物(VOC)を含まないため、周辺環境に与える影響を小さくでき、かつ作業員の安全も確保される。
【0048】
〔本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様は、車両の通行方向に所定間隔の継手遊間101(隙間115)を設けて対向配置される一対の継手部材110、110を備えた伸縮装置100の補修構造であって、上面210aが継手部材110の上面111cよりも低い位置又は同等の高さ位置となるように継手遊間(隙間)内に埋設されるバックアップ材210と、両継手部材間に跨がって伸縮装置の上面に塗布されるポリウレア樹脂により形成される塗膜防水層220と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、施工性の向上、作業手順の簡素化、及びコスト低減を図りつつ、橋梁の長寿命化を図ることが可能となる。
【0049】
<第二の実施態様>
本態様に係る伸縮装置100の補修構造において、塗膜防水層220は、両継手部材110、110間に止水性を有する排水路230を形成することを特徴とする。
本態様によれば、止水性を有する排水路を形成するため、排水路内に降下した雨水を道路に付された勾配に沿って路肩部側に排出することができる。
【0050】
<第三の実施態様>
本態様に係る伸縮装置100の補修構造において、バックアップ材210の上面210aは、下方に凹陥した湾曲面であることを特徴とする。
本態様によれば、塗膜防水層220への機械的負荷を軽減することができる。
【0051】
<第四の実施態様>
本態様に係る伸縮装置100の補修構造において、バックアップ材210の上面210aは、平坦面であることを特徴とする。
本態様によれば、バックアップ材の設置が容易となる。
【0052】
<第五の実施態様>
本態様に係る伸縮装置100の補修構造において、バックアップ材210と塗膜防水層220との間に両者間の接着を防止する縁切り材215が設置されていることを特徴とする。
本態様によれば、塗膜防水層の伸び代を確保でき、塗膜防水層への機械的負荷を軽減できる。
【0053】
<第六の実施態様>
本態様は、車両の通行方向に所定間隔の継手遊間101(隙間115)を設けて対向配置される一対の継手部材110、110を備えた伸縮装置100の補修方法である。
本補修方法は、上面210aが継手部材110の上面111cよりも低い位置となるように継手遊間内にバックアップ材210を埋設する工程(ステップS5)と、両継手部材間に跨がって伸縮装置の上面にポリウレア樹脂を塗布して塗膜防水層220を形成する工程(ステップS10)と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、施工性の向上、作業手順の簡素化、及びコスト低減を図りつつ、橋梁の長寿命化を図ることが可能となる。
【0054】
<第七の実施態様>
本態様は、車両の通行方向に所定間隔の継手遊間101(隙間115)を設けて対向配置される一対の継手部材110、110を備えた伸縮装置100の補修方法である。
本補修方法は、上面210aが継手部材110の上面111cと同等の高さ位置となるように継手遊間内にバックアップ材210を埋設する工程(ステップS6)と、バックアップ材の上方に縁切り材215を設置する工程(ステップS8)と、両継手部材間に跨がって伸縮装置の上面にポリウレア樹脂を塗布して塗膜防水層220を形成する工程(ステップS10)と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、施工性の向上、作業手順の簡素化、及びコスト低減を図りつつ、橋梁の長寿命化を図ることが可能となる。また、塗膜防水層の伸び代を確保でき、塗膜防水層への機械的負荷を軽減できる。
【符号の説明】
【0055】
10…道路、11…遊間、13…道路本体、15…段差部、17…舗装、17a…上面、18…防護柵、19…路肩部、20…吹付装置、21a…第一タンク、21b…第二タンク、22a…第一ポンプ、22b…第二ポンプ、23…高圧定量ポンプ、24…ヒータ、25…ヒータ付ホース、26…スプレーガン、100…伸縮装置、101…継手遊間、110…継手部材、111…フェースプレート、111a…凹部、111b…凸部、111c…上面、111d…対向面、113…ウェブプレート、115…隙間、120…一次止水手段、121…一次シール材、123…一次バックアップ材、130…二次止水手段、140…後打ちコンクリート、200…補修構造、210…バックアップ材、210a…上面、211…固体バックアップ材、213…コーキング材、215…縁切り材、220…塗膜防水層、221…傾斜面、230…排水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7