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特許7103675模型移動体制御システム、模型移動体制御システムの動作方法及び模型移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】模型移動体制御システム、模型移動体制御システムの動作方法及び模型移動体
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/02 20060101AFI20220712BHJP
   A63H 17/00 20060101ALI20220712BHJP
   A63H 18/16 20060101ALI20220712BHJP
   A63H 30/00 20060101ALI20220712BHJP
   A63H 30/02 20060101ALI20220712BHJP
   A63H 18/10 20060101ALN20220712BHJP
【FI】
A63H18/02 D
A63H17/00 Z
A63H18/16 A
A63H30/00 A
A63H30/00 Z
A63H30/02 C
A63H30/02 D
A63H18/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020087678
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021180764
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2020-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】517111387
【氏名又は名称】株式会社SMALL WORLDS
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】阿蘇 武
(72)【発明者】
【氏名】尾沢 崇
(72)【発明者】
【氏名】坂本 敬洋
(72)【発明者】
【氏名】中野 文哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 賢史
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-247383(JP,A)
【文献】特開2015-198779(JP,A)
【文献】特開2012-045186(JP,A)
【文献】再公表特許第2004/031878(JP,A1)
【文献】特開2002-239258(JP,A)
【文献】特開2011-130829(JP,A)
【文献】特開2010-167148(JP,A)
【文献】特開2004-261237(JP,A)
【文献】特開2001-340663(JP,A)
【文献】特開2020-058751(JP,A)
【文献】特開2010-252955(JP,A)
【文献】TOMIX TNOS新制御システム|トミテックシステム|鉄道模型TOMIX公式サイト|株式会社トミテック,[online],日本,2020年04月30日,https://tomytec.co.jp/tomix/necst/5701tnos/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 18/00-18/16
A63H 17/00
A63H 30/00
A63H 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路下側に設けられた通信基板と、
前方にある物体との距離を測定するセンサを有する模型移動体と、
走行路上の赤外線通信用の貫通孔が設けられた板状部材、及び該板状部材の上面を覆う不透明シート部材を有する走行路と、
前記貫通孔及び不透明シート部材を通過する赤外線により、前記通信基板及び前記模型移動体が通信を行なうようしてあり、
前記模型移動体は、前記センサにより測定した距離が第1の閾値を超えている場合、加速し、前記距離が第1の閾値に達した後、前記距離に基づいて求めた速度で走行し、前記距離が第1の閾値未満となった場合、減速し、前記距離が第2の閾値以下となった場合、停止する
ことを特徴とする模型移動体制御システム。
【請求項2】
前記不透明シート部材は、路面を模した装飾が施されている
ことを特徴とする請求項1に記載の模型移動体制御システム。
【請求項3】
前記通信基板から前記模型移動体へ赤外線通信により、走行速度、方向指示器、前照灯又は尾灯に関する制御命令が送信されるようしてある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の模型移動体制御システム。
【請求項4】
前記走行路が形成された模型空間において、複数の前記模型移動体を制御するホストコンピュータと、
該ホストコンピュータからの指令に基づき、前記走行路に含まれる交差点を制御する中間制御ユニットとを含み、
該中間制御ユニットからの指令に基づき、前記通信基板は前記模型移動体へ制御命令を送信するようしてある
ことを特徴とする請求項3に記載の模型移動体制御システム。
【請求項5】
前記交差点には、前記模型移動体の走行方向に沿って、第1通信基板と、第2通信基板とが配置してあり、
前記第1通信基板は、前記模型移動体に加減速命令、方向指示器及び制動灯の点消灯命令を送信し、
前記第2通信基板は、前記模型移動体に発進停止命令を送信するようしてある
ことを特徴とする請求項4に記載の模型移動体制御システム。
【請求項6】
走行路下側に設けられた通信基板と、前方にある物体との距離を測定するセンサを有する模型移動体と、赤外線通信用の貫通孔が設けられた板状部材及び該板状部材の上面を覆う不透明シート部材を有する走行路とを備える模型移動体制御システムの動作方法であって、
前記貫通孔及び不透明シート部材を通過する赤外線により、前記通信基板及び前記模型移動体が通信を行なうようしてあり、
前記模型移動体は、前記センサにより測定した距離が第1の閾値を超えている場合、加速し、前記距離が第1の閾値に達した後、前記距離に基づいて求めた速度で走行し、前記距離が第1の閾値未満となった場合、減速し、前記距離が第2の閾値以下となった場合、停止する
ことを特徴とする模型移動体制御システムの動作方法。
【請求項7】
走行路下側に設けられた通信基板と、赤外線通信用の貫通孔が設けられた板状部材及び該板状部材の上面を覆う不透明シート部材を有する走行路とを備える模型空間を走行する模型移動体であって、
駆動部と、
走行速度、ランプを制御する制御部と、
走行路面に対向する発光素子及び受光素子を有する通信部と、
前方にある物体との距離を測定するセンサとを備え、
前記通信部が有する発光素子は、前記通信基板に設けられ、走行方向に並置された複数の受光素子に対して、走行中に赤外線信号を送信し、
前記通信部が有する受光素子は、前記通信基板に設けられ、走行方向に並置された複数の発光素子からの赤外線信号を走行中に受信し、
前記センサにより測定した距離が第1の閾値を超えている場合、加速し、前記距離が第1の閾値に達した後、前記距離に基づいて求めた速度で走行し、前記距離が第1の閾値未満となった場合、減速し、前記距離が第2の閾値以下となった場合、停止する
ことを特徴とする模型移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型空間を走行する模型移動体を制御する制御システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
模型移動体と走行路とを有する玩具が提案されている。特許文献1には、識別情報を記憶したメモリ及び応答器を有する模型移動体と、走行路に設置された質問器とを備える玩具セットが提案されている。当該玩具セットでは、走行する模型移動体の応答器が、質問器から質問に応答することで、模型移動体の走行時間が計測可能である。
【0003】
特許文献2には、模型移動体の位置又はその位置の変化を常時監視し、さらに模型移動体が走行路を正しく走行していない場合に、その状態を遊戯者に対して報知する監視システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-239258号公報
【文献】特開2006-122438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
模型移動体は玩具として提供されるもののほかに、模型空間において走行するものがある。模型空間において走行する模型移動体は、観者に現実感を与えることが求められる。しかし、従来技術においては、実現していない。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、模型空間の観者に現実感を持たせることが可能な模型移動体制御システム等の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る模型移動体制御システムは、走行路下側に設けられた通信基板と、前方にある物体との距離を測定するセンサを有する模型移動体と、走行路上の赤外線通信用の貫通孔が設けられた板状部材、及び該板状部材の上面を覆う不透明シート部材を有する走行路と、前記貫通孔及び不透明シート部材を通過する赤外線により、前記通信基板及び前記模型移動体が通信を行なうようしてあり、前記模型移動体は、前記センサにより測定した距離が第1の閾値を超えている場合、加速し、前記距離が第1の閾値に達した後、前記距離に基づいて求めた速度で走行し、前記距離が第1の閾値未満となった場合、減速し、前記距離が第2の閾値以下となった場合、停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、模型空間の観者に現実感を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】制御システムの構成例を示す説明図である。
図2】ホストコンピュータのハードウェア構成例を示す説明図である。
図3】中間制御ユニットのハードウェア構成例を示す説明図である。
図4】走行路及びゲートの構成例を示す分解斜視図である。
図5】車両のハードウェア構成例を示す説明図である。
図6】車両の下側から見た平面図である。
図7】分岐器の構造例を示す側断面図である。
図8】交差点の構成例を示す斜視図である。
図9】ポーリング処理の手順例を示すフローチャートである。
図10】ホスト処理の手順例を示すフローチャートである。
図11】中間処理の手順例を示すフローチャートである。
図12】前方監視処理の手順例を示すフローチャートである。
図13】前方監視処理の他の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は制御システムの構成例を示す説明図である。制御システム100は模型空間を走行する模型移動体の制御を行うシステムである。模型空間は現実世界又は架空世界をミニチュア模型で表現した空間である。模型移動体は模型空間を走行する乗用車、トラック等の模型車両である。以下、模型車両を単に「車両」という。
【0011】
制御システム100はホストコンピュータ1、複数の中間制御ユニット2、中間制御ユニット2と対応するゲート3、複数の車両4、分岐器5及び信号サブシステム6を含む。ホストコンピュータ1と中間制御ユニット2とはネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。各中間制御ユニット2には、複数のゲート3が対応付けされている。各中間制御ユニット2と対応する複数のゲート3とは、通信線を介して通信可能に接続されている。ゲート3は赤外線通信に用いる発光素子と受光素子とを備えている。車両4は赤外線通信に用いる発光素子と受光素子とを備えている。ゲート3は車両4の走行路の路面下に設置され、通過する車両4と通信を行う。分岐器5は走行路に含まれる交差点に設ける。分岐器5は磁気式操舵機構により、通過する車両4の進行方向を変更させる。信号サブシステム6は信号制御器61及び信号機62を含む。信号制御器61の制御により、信号機62を制御する。信号機62は自動車用信号機及び歩行者用信号機を含む。
【0012】
図2はホストコンピュータのハードウェア構成例を示す説明図である。ホストコンピュータ1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、計時部14、通信部15及び読み取り部16を含む。制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、計時部14、通信部15及び読み取り部16はバスBにより接続されている。ホストコンピュータ1はサーバコンピュータ、PC(Personal Computer)等で構成する。また、ホストコンピュータ1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成しても良い。さらに、ホストコンピュータ1の機能をクラウドサービスで実現してもよい。
【0013】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1Pを読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0014】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0015】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、地図DB131、ゲートDB132、信号機DB133、分岐器DB134、車両DB135及び車両位置DB136を記憶する。補助記憶部13はホストコンピュータ1に接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、ホストコンピュータ1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0016】
図DB131は、ノードとリンクからなる走行路のネットワークデータを記憶している。また、ゲート3、分岐器5、信号サブシステム6とノード又はリンクとの対応関係を記憶している。さらに、地図DB131は格納庫や充電ステーションの位置も記憶している。ゲートDB132は中間制御ユニット2とゲート3との対応関係、ゲート3と分岐器5又は信号サブシステム6との対応関係を記憶している。信号機DB133は信号機62の状態を記憶している。分岐器DB134は分岐器5の状態を記憶している。車両DB135は車両4の電池残量等を記憶している。車両位置DB136は車両4の現在の位置を記憶している。
【0017】
計時部14は時刻又はホストコンピュータ1が起動してからの経過時間等の時間を計時する。計時部14は制御部11からの求めに応じて、計時結果を制御部11に与える回路である。計時部14は、信頼できるNTPサーバとNTP(Network Time Protocol)を用いた通信を繰り返し行い、現在時刻を正確に保持することが望ましい。
【0018】
通信部15はネットワークNを介して、中間制御ユニット2と通信を行う。また、制御部11が通信部15を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0019】
読み取り部16はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0020】
図3は中間制御ユニットのハードウェア構成例を示す説明図である。中間制御ユニット2はシングルボードコンピュータ、PC等で構成する。中間制御ユニット2は、制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、計時部24、第1通信部25及び第2通信部26を含む。制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、計時部24、第1通信部25及び第2通信部26はバスBにより接続されている。
【0021】
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2Pを読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0022】
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0023】
補助記憶部23はSSD、フラッシュメモリ等であり、制御部21が処理を実行するために必要な制御プログラム2Pや各種データを記憶する。
【0024】
計時部24は時刻又は中間制御ユニット2が起動してからの経過時間等の時間を計時する。計時部24は制御部21からの求めに応じて、計時結果を制御部21に与える回路である。計時部24は、ホストコンピュータ1又は信頼できるNTPサーバとNTPを用いた通信を繰り返し行い、保持する現在時刻をホストコンピュータ1と同期させることが望ましい。
【0025】
第1通信部25はネットワークNを介して、ホストコンピュータ1と通信を行う。また、制御部21が第1通信部25を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
【0026】
第2通信部26は通信バスを介して、ゲート3と通信を行う。中間制御ユニット2とゲート3との通信は、例えばCAN(Controller Area Network)プロトコルを用いる。CANプロトコルの特徴は、シリアル通信であるため配線数が少ないこと、各ノードは対等であること、作動電圧方式により耐ノイズ性に優れていること、エラー処理等が規定されており信頼性の確保が容易であることである。CANプロトコルと同様な品質を有するのであれば、中間制御ユニット2とゲート3との通信に他のプロトコルを採用してもよい。
【0027】
図4は走行路及びゲートの構成例を示す分解斜視図である。走行路7は車両4が走行するものであり、道路の模型である。走行路7はシート部材71とベース板72とを含む。シート部材71は赤外線が透過可能な材質で構成する。当該材質は可視光の透過率が低く、赤外線の透過率がそれ以上であることが望ましい。当該性質を不透明と表現すると、シート部材71は不透明シート部材と言える。例えば、シート部材71は半透明の樹脂材や紙部材等で構成する。樹脂材としては、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、エラストマー、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(塩化ビニル樹脂)等が用いられる。シート部材71の上面は、視覚的に路面に見えるように形成されている。例えば、アスファルト舗装面、コンクリート舗装面、石畳舗装面等に見えるように、シート部材71の上面は塗装又は印刷による装飾が施されている。シート部材71の上面は舗装面だけでなく、ダートや砂利道等の未舗装道路の路面に見えるように塗装等を施してもよい。ベース板72は例えば中密度繊維板(MDF:medium density fiberboard、中質繊維板ともいう。)で形成される板状部材である。ベース板72を硬質プラスチックで形成してもよい。硬質プラスチックは、PP、高密度ポリエチレン(HDPE)、PET、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリメチルペンテン(TPX)等である。ベース板72には、ゲート3と車両4とで送受信される赤外線信号を通過させるために、貫通孔721、722が設けられている。
【0028】
ゲート3は基板31、複数の受光素子32、複数の発光素子33及び通信ケーブル34並びに図示しない制御部、通信部を含む。基板31はプリント基板である。各受光素子32はフォトダイオード等の赤外線検出素子である。受光素子32には外乱となる可視光をカットする光学フィルタが取り付けられてもよい。受光素子32は直線上に所定間隔で基板31に固定されている。発光素子33は、赤外線を発するLED(Light Emitting Diode)又はレーザダイオード等である。発光素子33は直線上に所定間隔で基板31に固定されている。複数の受光素子32が配置されている方向と、複数の発光素子33が配置されている方向とは、略平行となっている。
【0029】
複数の受光素子32が貫通孔721に挿入され、複数の発光素子33が貫通孔722に挿入されるように位置合わせされる。ゲート3はビス等を用いてベース板72に固定される。複数の受光素子32及び発光素子33の先端は、ベース板72の上面と面一、又は、ベース板72の上面からやや下がった位置となる。貫通孔721、722を覆うように、シート部材71がベース板72上に接着剤等により貼り付けられる。シート部材71により、受光素子32、発光素子33は視覚的に隠された状態となる。しかし、シート部材71は赤外線を透過可能であるから、受光素子32は外部からの赤外線信号を受光可能である。発光素子33が発した赤外線信号を外部に放出可能である。
【0030】
図5は車両のハードウェア構成例を示す説明図である。車両4は制御部41、主記憶部42、補助記憶部43、測距部44、通信部45、駆動部46、表示部47、監視部48及び充電池49を含む。制御部41は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部41は、補助記憶部43に記憶された制御プログラム4Pを読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0031】
主記憶部42は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部42は主として制御部41が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0032】
補助記憶部43はSSD、フラッシュメモリ等であり、制御部41が処理を実行するために必要な制御プログラム4Pや各種データを記憶する。
【0033】
測距部44は例えばレーザ測距センサを備える。レーザは視認できない赤外線レーザであることが望ましい。測距部44は、車両4の前方にある物体との距離を計測し、計測した距離を制御部41に与える。
【0034】
通信部45は発光素子451及び受光素子452を備える。発光素子451は、赤外線を発するLED又はレーザダイオード等である。発光素子451は外部へ赤外線信号を送信する。受光素子452はフォトダイオード等の赤外線検出素子である。受光素子452には外乱となる可視光をカットする光学フィルタが取り付けられてもよい。受光素子452は赤外線信号を外部から受信する。通信部45が備える発光素子451及び受光素子452は複数であってもよい。
【0035】
駆動部46はモータ、ギア、車輪、操舵機構、モータドライバ等、車両4が走行するために必要となるハードウェアを含む。表示部47は複数のLEDを備える。複数のLEDは車両4のヘッドランプ(前照灯)を表現するもの、ブレーキランプ(制動灯)を表現するもの、テールランプ(尾灯)を表現するもの、及びウィンカーランプ(方向指示器)を表現するものである。表示部47は緊急車両や特殊車両が備える回転灯を模したLEDを含んでもよい。回転灯の発色は、赤、黄、青、緑、紫等である。監視部48は充電池49が供給する電源電圧を監視し、電圧降下により充電池49の残量が少ないことを検知する。検知結果を制御部41へ与える。充電池49はニッケル水素充電池、リチウムイオン充電池又はニカド充電池等である。充電池49は制御部41等の制御系及び駆動部46等の機構系に電源を供給する。
【0036】
図6は車両4の下側から見た平面図である。図6は主として車両4の操舵機構の構造を示している。操舵機構はタイロッド462、固定リンク部材463、磁石464及び操舵部材465を含む。タイロッド462は棒状部材であり、長手方向中央部に磁石464が固定されている。タイロッド462の両端には操舵部材465が接続されている。操舵部材465には前輪461が回転自在に軸支されている。固定リンク部材463は車両4に固定されている。固定リンク部材463の両端には、操舵部材465が軸4631により軸支されている。操舵部材465は軸4631により、車両4の底面と平行な面内で回転可能となっている。操舵部材465は前輪461の回転軸よりも車両4の前方向に伸びるアーム4651が形成されている。アーム4651の先端は、軸4621によりタイロッド462の両端に軸支されている。アーム4651は軸4621により、車両4の底面と平行な面内で回転可能となっている。タイロッド462、固定リンク部材463、及び2つの操舵部材465により、四節リンク機構が構成されている。タイロッド462が車両4の左右方向に動くと、操舵部材465が軸4631を中心として回転し、前輪461が左右に操舵される。
【0037】
また、車両4の下側には発光素子451及び受光素子452が配されている。車両4は走行路7を走行している場合、ゲート3の上を通過する際、ゲート3と赤外線通信を行う。ゲート3の発光素子33からの赤外線信号を受光素子452で受信し、ゲート3の受光素子32に対して、発光素子451から赤外線信号を送信する。ゲート3は、複数の受光素子32及び発光素子33を車両4の走行方向に沿って配置してある。複数の受光素子32は同時に同じ信号を送信することにより、車両4は走行しながら赤外線信号を受信することが可能となる。
【0038】
図7は分岐器の構造例を示す側断面図である。図7Aは分岐器5の定常状態を示す。図7Bは分岐器5が車両4を操舵させる操舵状態を示す。分岐器5は固定金具51、可動金具52、リニアアクチュエータ53を含む。固定金具51は側面視横U字状をなしている。固定金具51は例えば、細長い平板状の金属板を折り曲げることにより形成する。横U状を構成する上板部には円形状及び矩形状の貫通穴が設けてある。横U字状を構成する下板部には矩形状及びU字状の溝部が設けてある。可動金具52は側面視横U字形状をなすU字部521とU字部521の上板から上方に延在する突出板部522を備える。可動金具52は例えば、細長い平板状の金属板を折り曲げることにより形成する。可動金具52は強磁性体材料、例えば鉄板で構成する。リニアアクチュエータ53はモータ部531及びシャフト部532を含む。モータ部531は例えばステッピングモータである。シャフト部532はモータ部531の上下から突出している。モータ部531の駆動により、上下の突出量が変動可能である。
【0039】
分岐器5は以下のように組み上げる。固定金具51の横U状を構成する上板部に設けられた矩形状の貫通孔に、可動金具52の突出板部522を挿通する。固定金具51の横U状を構成する下板部の矩形状の溝部に、可動金具52のU字部521の横板を嵌め込む。固定金具51の横U状を構成する下板部のU字状の溝部にリニアアクチュエータ53のモータ部531を固定する。可動金具52において、U字部521の上板と下板との間隔は、リニアアクチュエータ53のシャフト部532の軸長と略同一としてある。リニアアクチュエータ53のモータ部531を次のように固定する。シャフト部532の上端は、可動金具52のU字部521の上板と接し、シャフト部532の下端は、可動金具52のU字部521の下板と接するようにする。固定金具51の横U状を構成する上板部に設けられた円形状の貫通孔にビスを通し、走行路7のベース板72に固定する。走行路7のシート部材71及びベース板72には、突出板部522が挿通する貫通孔が設けてある。
【0040】
以上のように組み上げられた分岐器5は次のように動作する。図7Aに示すように、リニアアクチュエータ53において、シャフト部532の突出量が、モータ部531の下側で大きく、上側で小さい場合、可動金具52の突出板部522の先端は、走行路7の路面から下方に位置する。図7Bに示すように、シャフト部532の突出量が、モータ部531の上側で大きく、下側で小さい場合、可動金具52の突出板部522の先端は、走行路7の路面近傍となる。
【0041】
図8は交差点の構成例を示す斜視図である。交差点には信号機62が設置されている。信号機62は車両用信号機のみでなく、歩行者用信号機が含まれる。交差点には各車線に3つのゲート3が走行路7の下に設けてある。図8に示す例では、交差点の手前に2つのゲート3、交差点の先に1つのゲート3が設けてある。交差点の手前に設けられている2つのゲート3のうち、交差点から遠い方のゲート3(第1通信基板)は、通過する車両4を減速されるとともに、車両4が交差点に近づいたことをホストコンピュータ1に伝達する。車両4を減速させる際には、ブレーキランプを点灯させる。交差点から近い方のゲート3(第2通信基板)は、車両4を停止又は交差点への進入を制御する。ホストコンピュータ1は、中間制御ユニット2及び信号制御器61を介して信号機を制御する。信号機は現実世界と同様に、所定時間毎に青から赤、赤から青に点灯状態が切り替わるようホストコンピュータ1により制御される。ホストコンピュータ1は交差点において、車両4の進入を許可する走行路7を決定する。また、ホストコンピュータ1は信号機の点灯状態と、車両4の位置とから、車両4の走行を継続させるべきか停止させるべきかを判定し、判定結果に応じて交差点から近い方のゲート3を制御する。さらに、車両4を左折又は右折させる場合には、中間制御ユニット2及びゲート3を介して、分岐器5を制御して車両4を操舵させる。図7Bに示したように、ホストコンピュータ1は中間制御ユニット2及びゲート3を介して、可動金具52の突出板部522の先端を、走行路7の路面近傍まで移動させる。突出板部522に近づいた車両4の磁石464は突出板部522に吸引される。それによって、タイロッド462が左右方向に移動し、前輪461が操舵される。その結果、車両4は交差点を右折又は左折する。左折又は右折する車両4は、交差点から遠い方のゲート3により、ウィンカーランプを点滅するように点滅命令が送信される。交差点を通過した車両4は、交差点の先にあるゲート3を通過時に、ウィンカーランプを消灯するように消灯命令が送信される。また、ホストコンピュータ1は、車両4が指示通りに交差点を直進したか、右折したか、左折したかを検証する。
【0042】
なお、ゲート3は交差点の付近だけなく、直線の走行路7にも所定の間隔で設置し、車両4の位置を、ホストコンピュータ1が把握できるようにする。また、ゲート3及び分岐器5は、図8に示した四叉路のみでなく、三叉路、五叉路、ロータリー等の他の交差点にも設置される。なお、図8において、車両4が交差点へ侵入する前には、2つのゲート3で制御される構成となっているが、それに限らない。設置するゲート3は1つ又は3つ以上でもよい。また、車両4が交差点から道路へ進出したときに制御可能となるようゲート3が設置してあるが、当該ゲート3は必須ではない。
【0043】
次に、制御システム100が行う情報処理について説明する。図9はポーリング処理の手順例を示すフローチャートである。ポーリング処理は、ゲート3とゲート3を通過する車両4とが行う処理である。ゲート3は発光素子33より、問い合わせ信号を送信する(ステップS1)。車両4の制御部41は受光素子452を介して、問い合わせ信号を受信する(ステップS2)。制御部41は車両IDと、監視部48から得た充電池49の電池残量を、発光素子451を介して、ゲート3へ送信する(ステップS3)。ゲート3は受光素子32を介して、車両ID、電池残量を受信する(ステップS4)。ゲート3は制御コマンド(制御命令)を、発光素子33を介して、車両4へ送信する(ステップS5)。車両4の制御部41は受光素子452を介して、制御コマンドを受信する(ステップS6)。制御部41は制御コマンドを実行する(ステップS7)。制御コマンドは、走行速度の制御、並びに、ヘッドランプ、ブレーキランプ、テールランプ及びウィンカーランプの消灯・点灯制御等である。送信するコマンドは、予め中間制御ユニット2を介して、ホストコンピュータ1から受信している。制御コマンドは通過する全ての車両4宛のコマンド、又は特定の車両4宛のコマンドである。特定の車両4であるか否かは制御コマンドに含まれる車両IDで判断する。通過する車両4が特定の車両4に該当する場合、全ての車両4宛のコマンドは送信しなくともよい。ゲート3は車両ID、電池残量を中間制御ユニット2へ送信する(ステップS8)。ゲート3は処理を終了するか否かを判定する(ステップS9)。ゲート3は処理を終了しないと判定した場合(ステップS9でNO)、処理をステップS1へ戻す。ゲート3は処理を終了すると判定した場合(ステップS9でYES)、ポーリング処理を終了する。なお、ポーリング処理は、制御システム100が稼働中は常に実行されている。ステップS9で終了すると判定されるのは、一日の営業が終了したときやメンテンス等の目的で、ホストコンピュータ1から終了を指示されるような場合である。また、車両4は移動しながらゲート3と通信するため、通信が完了又は成功せずに、車両4がゲート3を通過してしまう場合がある。この場合、ゲート3は通信の失敗をホストコンピュータ1へ送信する。
【0044】
図10はホスト処理の手順例を示すフローチャートである。ホスト処理はホストコンピュータ1で行う処理である。ホストコンピュータ1の制御部11は、ゲート3から車両ID、電池残量、ゲートIDを受信する(ステップS21)。制御部11は車両ID及びゲートIDに基づき、車両位置DB136を更新する(ステップS22)。制御部11は全ての車両4の分布、車両4の電池残量に基づいて、制御対象の車両4を決定する(ステップS23)。例えば、車両4が集中している地域がある場合には、当該地域の一部の車両4を制御対象とし、他の地域へ向かうように制御する。電池残量が少ない車両4は制御対象とし、充電基地へ向かうように制御する。制御部11は車両4の走行速度を決定し、速度制御指令をゲート3へ送信する(ステップS24)。制御部11は方向指示、信号機制御指令をゲート3へ送信する(ステップS25)。制御部11は終了するか否かを判定する(ステップS26)。制御部11は終了しないと判定した場合(ステップS26でNO)、処理をステップS21へ戻す。制御部11は終了すると判定した場合(ステップS26でYES)、処理を終了する。なお、ホスト処理は、制御システム100が稼働中は常に実行されている。ステップS26で終了すると判定されるのは、一日の営業が終了し、走行している車両4が全て回収された後に、システム管理者等から終了コマンド等が入力された場合である。
【0045】
上述のステップS23からステップS25までの処理は、例えば次のような処理となる。制御部11は、車両位置DB136と地図DB131とに基づき、走行路7における車列の長さを算出する。車列の長さは車両4の台数で表現可能である。車両4が長くなっている場合、すなわち車列を構成する車両4の台数が所定の台数よりも多い場合、制御部11は、車列に含まれる数台の車両4を切り離す処理を行う。制御部11は、車両位置DB136から取得した車列と地図DB131とに基づき、車列が次に差し掛かる交差点を特定する。制御部11は、特定した交差点に対応する分岐器5及び信号機62を、ゲートDB132に基づいて特定する。制御部11は、特定したゲート3を管理する中間制御ユニット2に対して、分岐器5の制御を指示する。中間制御ユニット2は、制御指示をゲート3に転送する。制御部11からの指示に基づく分岐器5の動作により、車列を構成する数台の車両4は交差点で右折又は左折をすることにより、当該車列から切り離され車列の長さを短くすることが可能となる。
【0046】
また、制御部11は、信号機DB133に基づき、信号機62の状態を監視し、所定時間毎に信号機62の状態を変化させるように制御する。制御部11は、制御する信号機62を管理するゲート3をゲートDB132に基づいて特定し、特定したゲート3に対して、信号機62の制御指示を送信する。制御指示を受信したゲート3は信号制御器61に対して、制御指示を転送する。信号制御器61は、制御指示により信号機62の状態を変更する。それによって、信号機62は青から黄を経て赤へ、又は赤から青へ変化することにより、信号機62の動作に現実感を持たせることが可能となる。
【0047】
電池残量が少ない車両4について、充電ステーションまで戻るように誘導する。制御部11は車両DB135を定期的にポーリングし、各車両の電池残量を取得する。制御部11は電池残量が所定量以下(例えば10%以下)、車両4を特定する。制御部11は特定した車両4の位置を車両位置DB136に基づき、特定する。制御部11は車両4の位置と地図DB131とに基づき、車両4を充電ステーションまで誘導する経路を決定する。制御部11は決定した経路から、交差点における車両4の制御を決定する。決定した制御を行うように、中間制御ユニット2へ制御指示を送信する。中間制御ユニット2は制御指示をゲート3に転送する。ゲート3により分岐器5が制御され、車両4は充電ステーションまで誘導される。
【0048】
図11は中間処理の手順例を示すフローチャートである。中間処理は中間制御ユニット2が行う処理である。中間制御ユニット2の制御部21は第1通信部25又は第2通信部26からデータや指令を受信したか否かを判断する(ステップS41)。制御部21はデータや指令を受信していないと判定した場合(ステップS41でNO)、ステップS41を繰り返す。制御部21はデータや指令を受信したと判定した場合(ステップS41でYES)、車両情報(車両ID、電池残量及びゲートID)を受信したか否かを判定する(ステップS42)。制御部21は車両情報を受信したと判定した場合(ステップS42でYES)、車両情報をホストコンピュータ1へ送信する(ステップS43)。制御部21は処理をステップS48へ移す。制御部21は車両情報を受信していないと判定した場合(ステップS42でNO)、信号機制御指令を受信したか否かを判定する(ステップS44)。制御部11は信号機制御指令を受信していないと判定した場合(ステップS44でNO)、制御部21は受信した制御指令を該当するゲート3へ送信する(ステップS45)。制御部21は切替指令を該当するゲート3へ送信する(ステップS46)。制御部21は処理をステップS48へ移す。制御部21は信号機制御指令を受信したと判定した場合(ステップS44でYES)、信号機制御指令を該当する信号制御器61へ送信する(ステップS47)。制御部21は処理を終了するか否かを判定する(ステップS48)。制御部21は処理を終了しないと判定した場合(ステップS48でNO)、処理をステップS41へ戻す。制御部21は処理を終了すると判定した場合(ステップS48でYES)、中間処理を終了する。なお、中間処理は、制御システム100が稼働中は常に実行されている。ステップS48で終了すると判定されるのは、一日の営業が終了したときやメンテンス等の目的で、ホストコンピュータ1から終了を指示されるような場合である。
【0049】
図12は前方監視処理の手順例を示すフローチャートである。前方監視処理は車両4が実行する処理である。車両4の制御部41は測距部44から距離を取得する(ステップS61)。制御部41は取得した距離が第1閾値(第1の値)より大きいか否かを判定する(ステップS62)。制御部41は取得した距離が第1閾値より大きいと判定した場合(ステップS62でYES)、車両4の速度を規定速度まで加速する(ステップS63)。制御部41は取得した距離が第1閾値より大きくないと判定した場合(ステップS62でNO)、取得した距離が第1閾値と等しいか否かを判定する(ステップS64)。制御部41は取得した距離が第1閾値と等しいと判定した場合(ステップS64でYES)、車両4に現在の速度を維持させ(ステップS65)、処理をステップS61へ戻す。制御部41は取得した距離が第1閾値と等しくない、すなわち第1閾値より小さいと判定した場合(ステップS64でNO)、車両4を減速させる(ステップS66)。なお、車両4の速度が最低速度まで減速されている場合は、減速はしない。制御部41は取得した距離が第2閾値と等しいか否かを判定する(ステップS67)。制御部11は取得した距離が第2閾値と等しいと判定した場合(ステップS67でYES)、処理をステップS65へ移す。制御部41は取得した距離が第2閾値(第2の値)と等しくないと判定した場合(ステップS67でNO)、取得した距離が第2閾値より小さいか否かを判定する(ステップS68)。制御部41は取得した距離が第2閾値より小さいと判定した場合(ステップS68でYES)、ブレーキランプを点灯させる(ステップS69)。制御部41は車両4を停止させる(ステップS70)。制御部41は処理を終了するか否かを判定する(ステップS71)。制御部41は処理を終了しないと判定した場合(ステップS71でNO)、処理をステップS61へ戻す。制御部41は処理を終了すると判定した場合(ステップS71でYES)、前方監視処理を終了する。制御部41は終了と判定するのは、例えば充電ステーションや格納庫で停止し、通信部45を介して動作終了コマンドを受信した場合である。この場合、制御部41はシャットダウンプロセスを実行して、車両4の電源をオフとしてもよい。制御部11は取得した距離が第2閾値より小さくない、すなわち取得した距離が第2閾値より大きいと判定した場合(ステップS68でNO)、車両4を初速で発信させ(ステップS72)、処理をステップS61へ戻す。なお、第1閾値及び第2閾値は予め適切な値を設定し、補助記憶部43に記憶しておく。第1閾値は前方に他の車両4がない、又は前方の車両4までの距離が十分あるとしてよい距離である。第2閾値は前方の車両4に接近し、適切な車間距離示す値である。
【0050】
図13は前方監視処理の他の手順例を示すフローチャートである。車両4の制御部41は測距部44から距離を取得する(ステップS81)。制御部41は取得した距離が所定の閾値より大きいか否かを判定する(ステップS82)。制御部41は取得した距離が閾値より大きいと判定した場合(ステップS82でYES)、車両4の速度を更新する(ステップS83)。予め距離と速度との対応関係を定めておく。当該対応関係はテーブルとして補助記憶部13に記憶してもよいし、速度を目的変数、距離を説明変数とする関数を定めておき、当該関数を用いて速度を算出してもよい。制御部41は取得した距離に応じた速度と車両4の車両IDとを対応付けた速度指令を、中間制御ユニット2を介してゲート3に送信する。ゲート3は対象とする車両4が通過する際に速度を指示する。制御部41は処理をステップS86へ移す。制御部41は取得した距離が閾値より以下と判定した場合(ステップS82でNO)、ブレーキランプを点灯させる(ステップS84)。制御部41は車両4を停止させる(ステップS85)。制御部41は処理を終了か否かを判定する(ステップS86)。制御部41は処理を終了しないと判定した場合(ステップS86でNO)、処理をステップS81へ戻す。制御部41は処理を終了すると判定した場合(ステップS86でYES)、前方監視処理を終了する。
【0051】
速度制御を行なうにあたり、車両4に送信するのは速度そのものでなくともよい。例えば、駆動部46にDCモータを採用しPWM制御を行っている場合、デューティ比を変化させることにより速度制御が可能となる。このとき、車両4にはデューティ比を決定する変数の値を送信してもよい。すでに設定されているデューティ比よりも大きなデューティ比の送信は、車両4への加速命令となる。すでに設定されているデューティ比よりも小さなデューティ比の送信は、車両4への減速命令となる。デューティ比を0とする指令は、車両4への停止命令となる。停止している車両4へ0より大きいデューティ比を送信することは、車両4への発進命令となる。加速命令と減速命令とを合わせて加減速命令という。また、発進命令と停止命令とを合わせて発進停止命令という。
【0052】
本実施の形態は、以下のような効果を奏する。走行路7には、車両4と赤外線通信を行うゲート3が設置されており、ゲート3からの指示により、車両4の走行を制御することが可能である。走行路7のベース板72には、赤外線を通過させるための貫通孔721及び貫通孔722が設けてある。ベース板72の上面には、シート部材71を載置されている。シート部材71の上面は、視覚的に道路の舗装面に見えるように塗装がなされている。シート部材71は赤外線を透過する材質を選択している。以上により、車両4の制御はホストコンピュータ1で行っているにも関わらず、模型空間を鑑賞する観者は、車両4とゲート3との通信の仕組みが分からないので、制御システム100は、車両4は自律的に走行しているように、観者に思わせることが可能となる。
【0053】
交差点において、制御システム100は、分岐器5を制御し磁気操舵機構により、車両4を右折又は左折させることが可能となる。車両4を操舵させるための突出板部522は、シート部材71により観者から見えないように隠してしてある。それにより、模型空間を鑑賞する観者は、操舵機構が分からないので、制御システム100は、車両4は自律的に走行しているように、観者に思わせることが可能となる。
【0054】
ゲート3には、複数の発光素子33を車両4の走行方向に沿って配置してあり、複数の受光素子32は同時に同じ信号を送信することにより、車両4は走行しながら赤外線信号を受信することが可能となる。ゲート3には、複数の受光素子32を車両4の走行方向に沿って配置してあり、走行する車両4からの赤外線信号をゲート3は受信することが可能となる。
【0055】
制御システム100は、ゲート3からの制御信号により、交差点に差し掛かった車両4が赤信号により停止したように、動作させることが可能となる。制御システム100は、交差点に止まっている車両4を青信号により走行を再開したように、動作させることが可能となる。
【0056】
制御システム100は、ゲート3からの制御信号により、車両4が停止する場合は、ブレーキランプを点灯させる。車両4が右折又は左折する場合には、ゲート3からの制御信号により、ウィンカーランプを点滅させる。模型空間が夜間を表現している場合、制御システム100は、ゲート3からの制御信号(点灯命令)により、ヘッドランプを点灯させる。それにより、制御システム100は車両4の動作に現実感を持たせることが可能となる。点灯命令と上述の消灯命令とを合わせて、点消灯命令という。
【0057】
制御システム100は、各車両4の電池残量を収集し、電池残量が少ない車両4については、充電ステーションに誘導するように分岐器5を制御するので、走行路7を走行する車両4が電池切れで止まってしまうことを回避することが可能となる。
【0058】
車両4は前方監視処理により、前方の車両4に追随して走行することが可能となる。それにより、ホストコンピュータ1は、常に全ての車両4の走行を個別に制御する必要がなくなるため、ホストコンピュータ1の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0059】
以下のような効果により、制御システム100は模型空間における車両4の動作に現実感を持たせることが可能となる。その結果、制御システム100は、観者に興趣をわかせることが可能となる。
【0060】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
100 制御システム
1 ホストコンピュータ
11 制御部
12 主記憶部
13 補助記憶部
131 地図DB
132 ゲートDB
133 信号機DB
134 分岐器DB
135 車両DB
136 車両位置DB
14 計時部
15 通信部
1P 制御プログラム
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
2 中間制御ユニット
21 制御部
22 主記憶部
23 補助記憶部
24 計時部
25 第1通信部
26 第2通信部
2P 制御プログラム
3 ゲート
31 基板
32 受光素子
33 発光素子
34 通信ケーブル
4 車両
41 制御部
42 主記憶部
43 補助記憶部
44 測距部
45 通信部
451 発光素子
452 受光素子
46 駆動部
47 表示部
48 監視部
49 充電池
4P 制御プログラム
5 分岐器
51 固定金具
52 可動金具
521 U字部
522 突出板部
53 リニアアクチュエータ
531 モータ部
532 シャフト部
6 信号サブシステム
61 信号制御器
62 信号機
7 走行路
71 シート部材
72 ベース板
721 貫通孔
722 貫通孔
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13