(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】日用品製作キット
(51)【国際特許分類】
A63H 33/42 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
A63H33/42 B
(21)【出願番号】P 2020136916
(22)【出願日】2020-08-14
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】509303361
【氏名又は名称】株式会社増田
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】増田 信秀
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0031030(KR,A)
【文献】特開平06-278755(JP,A)
【文献】実開昭48-004105(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0219347(US,A1)
【文献】おしゃれでおすすめのレザークラフトキット人気ランキング![初心者にも],モノナビ[online],2020年04月10日,https://komono.me/105892,特に本文、図を参照。[検索日2021年11月9日]
【文献】[レザークラフト]斜め漉きの手順とコツを解説!コバを薄くして作品をスマートな印象にしよう!,初心者でも出来る!レザークラフトを趣味にしよう![online],2020年05月10日,http://tools-leathercraft.com/2020/01/07/post-3710/,特に本文を参照。[検索日 2021年11月9日]
【文献】パッチワークバッグの製作過程,ongan 手作りの旅[online],2015年01月21日,http://ongan00.blog53.fc2.com/blog-entry-324.html,特に本文、図を参照。[検索日2022年5月27日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日用品を簡易に製作するための日用品製作キットであって、
柔軟性を有する複数の平面的なピースを有し、
互いに
平面方向において隣接させた前記ピースの縁部同士を縫合することにより日用品を製作できるように構成し、
前記ピースは生地状に形成され、
前記ピースの周縁部には、縫合針が通る複数の孔が等間隔に設けられており、
前記ピースの周縁部は、それ以外の部分と比較して薄厚であって、
隣接して接合する前記ピースの隅部を厚さ方向に重ねて縫合する場合に相互の前記ピースの隅部に干渉することのないように、前記ピースの隅部は平面方向において斜めにカットされていることを特徴とする日用品製作キット。
【請求項2】
前記複数のピースには、
正方形の複数のピースが含まれることを特徴とする請求項1記載の日用品製作キット。
【請求項3】
前記複数のピースには、
長方形の複数のピースが含まれることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項記載の日用品製作キット。
【請求項4】
前記複数のピースには、
四分円形の複数のピースが含まれることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の日用品製作キット。
【請求項5】
前記複数のピースには、
鞄の手持ち部に適した細長のピースが含まれることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項記載の日用品製作キット。
【請求項6】
前記ピースには、本革又は合成皮革のピースが含まれることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項記載の日用品製作キット。
【請求項7】
縫合糸と縫合針とを有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項記載の日用品製作キット。
【請求項8】
前記ピースは、鞄を製作するためのパーツであることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項記載の日用品製作キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日用品を簡易に製作するための日用品製作キットに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な形状のパーツを相互に接続して任意の形態を作り出すことが可能なブロック玩具は公知である(たとえば特許文献1-4)。例えば、直方体を基本形状とするブロック玩具としては、レゴブロック(登録商標)がよく知られている。その他に、メガブロック(登録商標)、ダイヤブロック(登録商標)、ナノブロック(登録商標)、LaQ(登録商標)、等も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-99651号公報
【文献】特表2001-500412号公報
【文献】特表昭62-500128号公報
【文献】実公昭46-22682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したブロック玩具はいずれも、立体的な硬いパーツを相互に接続して任意の形態を作り出すものであるため、鞄など柔らかさが求められる日用品の製作には適さない。
【0005】
本発明は、柔らかさが求められる日用品を簡易に製作することができる日用品製作キットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の日用品製作キットは、 日用品を簡易に製作するための日用品製作キットであって、
柔軟性を有する複数の平面的なピースを有し、互いに平面方向において隣接させた前記ピースの縁部同士を縫合することにより日用品を製作できるように構成し、前記ピースは生地状に形成され、
前記ピースの周縁部には、縫合針が通る複数の孔が等間隔に設けられており、前記ピースの周縁部は、それ以外の部分と比較して薄厚であって、隣接して接合する前記ピースの隅部を厚さ方向に重ねて縫合する場合に相互の前記ピースの隅部に干渉することのないように、前記ピースの隅部は平面方向において斜めにカットされていることを特徴とする日用品製作キット。
【0007】
請求項1の日用品製作キットによれば、互いに隣接させた柔軟性を有する平面的なピースの縁部同士を縫合していくことにより、柔らかさが求められる日用品を簡易に製作することができる。
【0008】
また、ピースの周縁部には、縫合針が通る複数の孔が等間隔に設けられているので、互いに隣接させたピースの孔同士を重ね、その孔に縫合針を通すことにより、互いに隣接させたピースの縁部同士を簡単に縫合することができる。
【0009】
また、ピースの周縁部は、それ以外の部分と比較して薄厚であるので、互いに隣接させたピースの縁部同士の重なった部分が厚くなりすぎないようにすることができる。
【0010】
また、請求項1の日用品製作キットによれば、互いに隣接させたピースの隅部同士を縫合した場合に、隅部同士の干渉を抑制し、隅部同士の縫合部分が厚くなりすぎないようにすることができる。
【0011】
請求項2の日用品製作キットは、請求項1の日用品製作キットにおいて、前記複数のピースには、正方形の複数のピースが含まれる。
【0012】
請求項2の日用品製作キットによれば、互いに隣接させた正方形のピースの縁部同士又は互いに隣接させた正方形のピースとその他の形状のピースの縁部同士を縫合することにより、柔らかさが求められる日用品を簡易に製作することができる。
【0013】
請求項3の日用品製作キットは、請求項1又は2のいずれかの日用品製作キットにおいて、前記複数のピースには、長方形の複数のピースが含まれる。
【0014】
請求項3の日用品製作キットによれば、互いに隣接させた長方形のピースの縁部同士又は互いに隣接させた正方形のピースとその他の形状のピースの縁部同士を縫合することにより、柔らかさが求められる日用品を簡易に製作することができる。
【0015】
請求項4の日用品製作キットは、請求項1~3のいずれかの日用品製作キットにおいて、前記複数のピースには、四分円形の複数のピースが含まれる。
【0016】
請求項4の日用品製作キットによれば、互いに隣接させた四分円形のピースの縁部同士又は互いに隣接させた四分円形のピースとその他の形状のピースの縁部同士を縫合することにより、柔らかさが求められる日用品を簡易に製作することができる。
【0017】
請求項5の日用品製作キットは、請求項1~4のいずれかの日用品製作キットにおいて、前記複数のピースには、鞄の手持ち部に適した細長のピースが含まれる。
【0018】
請求項5の日用品製作キットによれば、手持ち部を有する鞄を簡易に製作することができる。
【0019】
請求項6の日用品製作キットは、請求項1~5のいずれかの日用品製作キットにおいて、前記ピースには、本革又は合成皮革のピースが含まれる。
【0020】
請求項6の日用品製作キットによれば、互いに隣接させたピースの縁部同士を縫合していくことにより、本革又は合成皮革製の日用品を簡易に製作することができる。
【0021】
請求項7の日用品製作キットは、請求項1~6のいずれかの日用品製作キットにおいて、縫合糸と縫合針とを有する。
【0022】
請求項7の日用品製作キットによれば、柔軟性を有する複数のピースと、縫合糸と、縫合針とが予め用意されるので、ユーザは、他に何も用意することなく、柔らかさが求められる日用品を簡易に製作することができる。
請求項8の日用品製作キットは、請求項1~7記載の日用品制作キットにおいて、前記ピースは、鞄を製作するためのパーツである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の日用品製作キットによれば、柔らかさが求められる日用品を簡易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】日用品製作キットの構成を例示する平面図である。
【
図2】
図1に示す日用品製作キットの正方形ピースの拡大図である。
【
図3】
図1に示す日用品製作キットの長方形ピースの拡大図である。
【
図4】
図1に示す日用品製作キットの四分円形ピースの拡大図である。
【
図5】
図1に示す日用品製作キットの手持ち部ピースの要部拡大図である。
【
図6】
図1に示す日用品製作キットにより製作した日用品(鞄)を例示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の日用品製作キットの実施形態について説明する。
【0026】
[構成]
図1に例示する日用品製作キット10は、
図6及び
図7に例示する鞄(日用品)100を簡易に製作するための日用品製作キットである。
【0027】
日用品製作キット10は、柔軟性を有する平面的な、複数(この例では34枚)のピース20と、縫合糸30、縫合針40とを有して構成され、互いに隣接させたピース20の縁部同士を、縫合針40と縫合糸30とを使用して縫合していくことにより鞄100を製作できるように構成されている。
【0028】
複数のピース20には、正方形の複数(この例では26枚)のピース(以下、正方形ピースと称す)21と、長方形の複数(この例では2枚)のピース(以下、長方形ピースと称す)22と、四分円形の複数(この例では2枚)のピース(以下、四分円形ピースと称す)23と、鞄100の手持ち部110に適した複数(この例では4枚)の細長のピース(以下、手持ち部ピースと称す)24とが含まれる。本実施の形態にあっては、ピース20は皮革生地により構成されている。
【0029】
図6及び
図7に示すように、正方形ピース21は、鞄本体120の上段部120a、中段部120b、下段中央部120c及び底中央部120dに使用される。長方形ピース22は、鞄本体120の底両端部120eに使用される。四分円形ピース23は、鞄本体120の鞄本体120の下段両側部120fに使用される。
【0030】
正方形ピース21の一辺の寸法は約100mmである。長方形ピース22の長辺の寸法は約160mm、短辺の寸法は約100mmである。四分円形ピース23の直辺の寸法は約100mm、円弧辺の寸法は約160mmである。
【0031】
図2~
図5に示すように、ピース20の周縁部には、縫合針40が通る複数の孔20aが等間隔に設けられている。孔20aは、直径が約2mmで、ピース20の周縁から約5mm離れた位置に、約5mm間隔で設けられている。ピース20の周縁部は、それ以外の部分と比較して薄厚になっている。
【0032】
図2~
図4に示すように、正方形ピース21、長方形ピース22及び四分円形ピース23の隅部20bは斜めにカットされている。
【0033】
手持ち部ピース24は、2枚一組で使用される。すなわち、手持ち部ピース24の裏面同士を合わせて縁部を縫合することにより、手持ち部110が作成される。
図5に示すように、手持ち部ピース24の両端部には、手持ち部110を鞄本体120に強固に縫合するための複数の孔20cが設けられている。
【0034】
縫合糸30には、例えば、ポリエステル製のワックスコード(ロウ引き紐)が用いられる。このようなワックスコードを使用することにより、孔に挿入しやすく、かつ抜けにくい状態を形成することができ、製作作業を容易にすることができる。また、製品化された場合の耐久性にも優れている。
【0035】
縫合針40には、例えば、簡易的には、商品タグを取り付ける際に使用される合成樹脂製の細幅で剛性を有する紐部材(商品名「VLOX」)を切断して針状にし、ワックスコードに先端部に接合固定することにより縫合糸30として使用することもできる。
【0036】
[作用効果]
上記のように構成された日用品製作キット10によれば、互いに隣接させたピース20の縁部同士を縫合していくことにより、柔らかさが求められる日用品の一例である本革製の鞄100を簡易に製作することができる。
【0037】
具体的には、互いに隣接させた正方形ピース21の縁部同士を縫合することにより、鞄本体120の上段部120a、中段部120b、下段中央部120c及び底中央部120dが形成される。中段部120b及び下段中央部120cの正方形ピース21の縁部と四分円形ピース23の直辺の縁部とを互いに縫合することにより、鞄本体120の下段両側部が形成される。
【0038】
この場合、
図6及び7に示すように、正方形ピース21、長方形ピース22及び四分円形ピース23の隅部20bは斜めにカットされていることから、各ピースを接合して縫合する場合に、複数枚のピース、特に、正方形ピース21の
隅部20bを、隣接して接合する正方形ピース21の
隅部に対して、厚さ方向に重ねた場合でも、相互のピースの
隅部に干渉することなく、容易に縫合糸40により縫合することが可能となる。その結果、各ピースの
隅部における接合状態の外観品質を良好なものとすることが可能となる。
【0039】
そして、四分円形ピース23の円弧辺の縁部と長方形ピース22の長辺の縁部とを互いに縫合するとともに、底中央部の正方形ピース21の縁部と長方形ピース22の短辺の縁部とを互いに縫合することにより、鞄本体120の底両端部が形成される。
このようにして鞄本体120を作成した後、鞄本体120に手持ち部110を縫合して取り付けることにより、手持ち部110を有する鞄100が完成する。
柔軟性を有する複数のピース20と、縫合糸30と、縫合針40とが予め用意されるので、ユーザは、別途に特別に製作ツールを用意する必要がなく、鞄100を簡易かつ迅速に、過程を楽しみつつ、模型製作感覚で製作することができる。
【0040】
また、日用品製作キット10によれば、ピース20の周縁部に、縫合針40が通る複数の孔20aが等間隔に設けられているので、互いに隣接させたピース20の孔20a同士を重ね、その孔20aに縫合針40を通すことにより、互いに隣接させたピース20の縁部同士を簡単に縫合することができる。
【0041】
また、ピース20の周縁部は、それ以外の部分と比較して薄厚であるので、互いに隣接させたピース20の縁部同士の重なった部分が厚くなりすぎないようにすることができる。
また、ピース20の隅部20bが斜めにカットされているので、互いに隣接させたピース20の隅部20b同士を縫合した場合に、隅部20b同士の干渉を抑制し、隅部20b同士の縫合部分が厚くなりすぎないようにすることができる。
【0042】
その結果、ピース20同士を接合し縫合してバッグを製作した場合であっても、各ピース20の縁部において厚さ寸法が大きくなり、バッグとして形成した場合に、バッグ本体を構成する片部全体の見栄えが悪くなる、という事態を回避することが可能となり、ハンドクラフト、手作りでありながら、外観品質に優れたバッグを手軽かつ楽しみながら製作することが可能となる。
【0043】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されない。たとえば、上記実施形態の日用品製作キット10は、長方形ピース22、四分円形ピース23及び手持ち部ピース24を備えているが、これらを備えず、複数の正方形ピース21と、縫合糸30と、縫合針40とを備えたキット構成を採用することもできる。また、縫合糸30と縫合針40の少なくとも一方を備えていないキット構成を採用することもできる。
【0044】
また、日用品製作キット10を作成する際のピース20同士を縫合する順序及び縫い方は任意である。また、上記実施形態で説明したピース20の形状及び寸法は例示であり、その他の形状及び寸法を採用してもよい。
例えば、本実施の形態にあっては、
図6及び7に示すように、皮革製のピース20の表革部を外方に表出するようにして作製しているが、ピース20の裏革部を外方へ表出するようにして相互に接合してもよい。また、例えば、隣接するピース20を表革部と裏革部とを交互に接合させた場合には、非常に趣向性に富んだ、デザイン性の高いバッグを、ハンドクラフト感覚で容易に作製することができる。
【0045】
さらに、
図6及び7に示すバッグにあっては、各ピース20同士の各縁部を互いに重ねて厚さ方向に貫通して縫合糸40で縫い、その結果、縫合糸40が外方へ露出するようにして、デザイン的なアクセントとして構成しているが、例えば、互いに隣接する各ピース20の縁部同士をバッグ内方へ折り込み、内方で各孔位置を合致させた状態で、縫合糸40を外方へ露出させることなく内方のみで縫合することもでき、様々な縫合方法が可能であり、バッグとして構成した場合の全体としてのデザインを適宜、変化させることもできる。
【0046】
また、上記実施形態の日用品製作キット10は、ピース20に本革を使用しているが、ビニール等の合成皮革を使用してもよい。本革のピース20と合成皮革のピースとを混在させたキット構成を採用してもよい。また、各ピースの平面形状に関しては、本実施の形態には限定されず、三角形、台形、各種多角形、各種方形の形状を適用することができる。
また、鞄製作業者においては、市販の鞄を製造する際に余った皮革をピース20として利用できることから、鞄製作にあたって、生地としての皮革を非常に効率よく、廃棄することなく利用することが可能となる。
【0047】
また、上記実施形態では日用品として鞄100を例示したが、本発明の日用品製作キットによれば、鞄以外の日用品、例えば、収納箱、サイコロ、等を製作することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の日用品製作キットは、鞄、小型の収納箱、収納袋、ペンケース、サイコロ、サッカーボール等、種々の日用品をパッチワーク、ハンドクラフト感覚で、楽しみながら製作できる平面的ピース縫合玩具に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 日用品製作キット
20 ピース
20a 孔
20b 隅部
20c 孔
21 正方形ピース
22 長方形ピース
24 手持ち部ピース
23 四分円形ピース
30 縫合糸
40 縫合針
100 鞄(日用品)
110 手持ち部
120 鞄本体