(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】レーザー探知機
(51)【国際特許分類】
G01S 7/495 20060101AFI20220712BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20220712BHJP
G01V 8/10 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G01S7/495
G01S7/481 A
G01V8/10 Z
(21)【出願番号】P 2021005320
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2020009817
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売により公開(販売日:2020年1月24日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの掲載 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%83%A0%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF-%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E5%8F%97%E4%BF%A1%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E6%8E%A2%E7%9F%A5%E6%A9%9F-%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E5%BC%8F%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E5%AF%BE%E5%BF%9C-%E5%B0%8F%E5%9E%8B%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AB%E5%AF%BE%E5%BF%9C-%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E6%B3%A2%E8%AD%98%E5%88%A5%E5%AF%BE%E5%BF%9C/dp/B083KQ51LG/ref=sr_1_1?_mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%82%B3%E3%83%A0%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF+%EF%BC%96%EF%BC%90%EF%BC%98&qid=1610580036&sr=8-1 (掲載年月日:2020年1月19日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの掲載 https://www.e-comtec.co.jp/0_radar/zero608lv.html(掲載年月日:2020年1月21日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの掲載 http://www.e-comtec.co.jp/manual/bestone/zero608lv.pdf(掲載年月日:2020年1月21日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの掲載 https://www.e-comtec.co.jp/0_radar/0_re_img/zero608lv/608lv_pk.jpg(掲載年月日:2020年1月21日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの掲載 https://www.e-comtec.co.jp/catalog/radar_202009.pdf(掲載年月日:2020年1月21日)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】荒川 昌太郎
(72)【発明者】
【氏名】李 東京
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175314(JP,A)
【文献】特開2013-200367(JP,A)
【文献】特開2018-156008(JP,A)
【文献】特開2001-312793(JP,A)
【文献】特許第6582186(JP,B1)
【文献】特開2020-193966(JP,A)
【文献】特開2020-169974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0265563(US,A1)
【文献】米国特許第8248292(US,B2)
【文献】米国特許第5990821(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/64
G01S 13/00-17/95
G01V 8/10
G08G 1/16
B60R 21/00-21/017
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー方式の速度取締装置であって水平方向にレーザー光を走査する前記速度取締装置を探知するレーザー探知機であって、
当該レーザー探知機の前後方向から見た形状が長尺形状であるフレネルレンズであって、当該フレネルレンズの長手方向が当該レーザー探知機の左右方向に沿うように設けられ
、当該レーザー探知機の筐体の外部に露出する前記フレネルレンズと、
前記フレネルレンズを透過したレーザー光を受光する受光部と、
前記受光部がレーザー光を受光すると、警報を行うための処理を実行する制御部と、
を備え、
当該レーザー探知機は、当該レーザー探知機の左右方向が前記水平方向に沿うように車両に設けられ、
前記受光部は、前記フレネルレンズを透過したレーザー光を受光面で受光すると、当該受光を示す信号を出力する受光素子を備え、
前記フレネルレンズは、複数の焦点を備える多焦点フレネルレンズであり、当該フレネルレンズに入射したレーザー光を、前記受光面の複数の位置であって当該レーザー探知機の左右方向において異なる複数の位置に当たるように屈折させ
、
前記フレネルレンズは、レーザー光が入射する入射面と、前記入射面に入射したレーザー光が出射する出射面と、を備え、
前記出射面は、前記フレネルレンズの光軸と平行な方向に突出している複数の領域を備える、レーザー探知機。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザー探知機であって、
前記フレネルレンズの光軸に垂直な方向に沿って前記フレネルレンズの焦点距離が変化する、レーザー探知機。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2に記載のレーザー探知機において、
前記フレネルレンズと前記受光部とを組として備える受光機能部を複数備え、
複数の前記受光機能部が前記車両の前方向を向くように当該レーザー探知機が前記車両内に設置されたときに前記複数の受光機能部が左右に並ぶように、前記複数の受光機能部が当該レーザー探知機において設置されている、レーザー探知機。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれか1項に記載のレーザー探知機において、
前記フレネルレンズは広角レンズである、レーザー探知機。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載のレーザー探知機において、
前記フレネルレンズは、前記速度取締装置のレーザー光の波長領域以外の波長領域のレーザー光の少なくとも一部を遮断可能な素材で構成されている、レーザー探知機。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のレーザー探知機において、
前記フレネルレンズは、当該フレネルレンズの光軸に平行な方向において焦点距離が異なる複数の焦点を備え、前記複数の焦点が同一の前記光軸上に位置する、レーザー探知機。
【請求項7】
請求項1から請求項
6までのいずれか1項に記載のレーザー探知機において、
当該レーザー探知機の前方側に表示部を備え、
前記フレネルレンズは、当該レーザー探知機の後方側に設けられる前記多焦点フレネルレンズである後方フレネルレンズであり、
前記受光部は、当該レーザー探知機の後方側から入射し、前記後方フレネルレンズを透過したレーザー光を受光し、
当該レーザー探知機の前方側に設けられる前記多焦点フレネルレンズである前方フレネルレンズと、
当該レーザー探知機の前方から入射
し、前記前方フレネルレンズを透過したレーザー光を反射し、前記受光素子に入射させる反射部材
と、
を更に備える、レーザー探知機。
【請求項8】
レーザー方式の速度取締装
置を探知するレーザー探知機であって
、
フレネルレンズと、
前記フレネルレンズを透過したレーザー光を受光する受光部と、
前記受光部がレーザー光を受光すると、警報を行うための処理を実行する制御部と、
を備え
、
前記受光部は、前記フレネルレンズを透過したレーザー光を受光面で受光すると、当該受光を示す信号を出力する受光素子を備え、
前記フレネルレンズは、複数の焦点を備える多焦点フレネルレンズであり、当該フレネルレンズに入射したレーザー光を、前記受光面の複数の位
置に当たるように屈折させ
、
前記フレネルレンズと前記受光部とを組として備える受光機能部を複数備え、
複数の前記受光機能部が車両の前方向を向くように当該レーザー探知機が前記車両内に設置されたときに前記複数の受光機能部が左右に並ぶように、前記複数の受光機能部が当該レーザー探知機において設置され、
前記複数の受光機能部のうち第1の受光機能部の前記フレネルレンズと、第2の受光機能部の前記フレネルレンズとが、当該レーザー探知機の筐体の一方の面の1つの窓において、左右に並ぶように配置されている、レーザー探知機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザー探知機に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を車両に向けて照射し、その反射光を受光することで車両の走行速度を測定するレーザー方式の速度取締装置が知られている。特許文献1には、レーザー方式の速度取締装置を車両に搭載し、計測対象車両の後方からレーザー光を照射することで当該計測対象車両の速度計測を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の1つの局面は、レーザー方式の速度取締装置を探知するレーザー探知機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、レーザー方式の速度取締装置を探知するレーザー探知機であって、フレネルレンズと、受光部と、制御部と、を備える。受光部は、フレネルレンズを透過したレーザー光を受光する。制御部は、受光部がレーザー光を受光すると、警報を行うための処理を実行する。受光部は、受光素子を備える。受光素子は、フレネルレンズを透過したレーザー光を受光面で受光すると、当該受光を示す信号を出力する。フレネルレンズは、複数の焦点を備える多焦点フレネルレンズであり、当該フレネルレンズに入射したレーザー光を、受光面の複数の位置に当たるように屈折させる。
【0006】
このような構成によれば、レーザー方式の速度取締装置を探知するレーザー探知機を提供できる。
本開示の一態様では、フレネルレンズの光軸に垂直な方向に沿ってフレネルレンズの焦点距離が変化してもよい。
【0007】
このような構成によれば、単一の焦点を有する通常の凸レンズを用いる構成と比較して、受光面におけるより多くの位置でレーザー光を受光できる。したがって、速度取締装置から照射されたレーザー光の受光感度を向上でき、速度取締装置を探知しやすくできる。
【0008】
また、本開示の一態様では、フレネルレンズは、入射面と、出射面と、を備えてもよい。入射面は、レーザー光が入射する面である。出射面は、入射面に入射したレーザー光が出射する面である。また、出射面は、同心円状の複数の領域を備え、複数の領域のそれぞれはフレネルレンズの光軸と平行な方向に突出していてもよい。
【0009】
本開示の一態様では、レーザー探知機は、受光機能部を複数備えてもよい。受光機能部は、フレネルレンズと受光部とを組として備える。そして、複数の受光機能部が車両の前方向を向くように当該レーザー探知機が車両内に設置されたときに複数の受光機能部が左右に並ぶように、複数の受光機能部が当該レーザー探知機において設置されていてもよい。
【0010】
速度取締装置がレーザー光を左右方向に走査(スキャン)する場合、上記構成によれば、レーザー光の走査方向に沿うように複数の受光機能部が配置されることになる。したがって、受光機能部を1つしか備えない構成と比較して、レーザー光の走査方向においてレーザー光を受光可能な受光面の面積が大きくなる。したがって、速度取締装置のレーザー光を受光する確率を向上させ、ひいては、速度取締装置を探知しやすくできる。
【0011】
本開示の一態様では、フレネルレンズは広角レンズであってもよい。このような構成によれば、比較的広範囲に位置する速度取締装置からのレーザー光をレーザー探知機が受光できる。ひいては、比較的広範囲に位置する速度取締装置をレーザー探知機が探知できる。
【0012】
本開示の一態様では、レーザー探知機は、当該レーザー探知機の前方側に表示部を備えてもよい。そして、レーザー探知機は、当該レーザー探知機の前方から入射するレーザー光を反射し、受光素子に入射させる反射部材を更に備えてもよい。
【0013】
このような構成によれば、レーザー探知機の前方が車両後方を向くようにレーザー探知機を設置する場合において、車両前方から入射するレーザー光に加え、車両後方から入射するレーザー光も受光することができる。したがって、例えば、速度取締装置を車両に搭載し、計測対象車両の後方からレーザー光を計測対象車両に照射することで計測対象車両の速度計測を行うような場合において、車両後方に位置する速度取締装置も探知することができる。
【0014】
本開示の一態様では、フレネルレンズは、速度取締装置のレーザー光の波長領域以外の波長領域のレーザー光の少なくとも一部を遮断可能な素材で構成されていてもよい。したがって、速度取締装置のレーザー光でない光による誤警報を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(a)は、速度取締装置と、レーザー探知機を搭載した車両と、を側方から見た図、
図1(b)は、速度取締装置と、レーザー探知機を搭載した車両と、を上方から見た図である。
【
図2】
図2は前方から見た場合のレーザー探知機の斜視図である。
【
図4】
図4は後方から見た場合のレーザー探知機の斜視図である。
【
図5】
図5は
図4におけるV-V断面図であって、フレネルレンズを図示省略し、受光部を露わに示した図である。
【
図6】
図6はレーザー探知機の内部に収容される基板を示す図である。
【
図7】
図7はレーザー探知機の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、フレネルレンズ及び受光部をレーザー探知機の側方から見た図であって、フレネルレンズを通過するレーザー光の軌跡を示す図である。
【
図9】
図9は、平凸レンズ及び受光部をレーザー探知機の側方から見た図であって、平凸レンズを通過するレーザー光の軌跡を示す図である。
【
図10】
図10は車両後方に位置する車載式の速度取締装置による取締りを説明する図である。
【
図11】
図11は第2実施形態のレーザー探知機の構成を説明するための図である。
【
図12】
図12は変形例のレーザー探知機の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1~
図7に示すレーザー探知機100は、レーザー方式の速度取締装置200を探知するための機器である。レーザー探知機100は、例えば、車両300のダッシュボード上、ルームミラー又はその他の場所に取り付けられる。
【0017】
速度取締装置200は、道路を走行する車両の取締り及び監視を行う装置である。速度取締装置200は、例えば路肩に設置される。速度取締装置200は、
図7に示すように、レーザー送受信部210と、速度計測部220と、を備える。
【0018】
レーザー送受信部210は、レーザー光を照射するとともに、照射されたレーザー光が走行中の車両に当たって反射した反射光を受信する。レーザー送受信部210は、
図1(b)に示すように、レーザー照射方向を水平方向(すなわち車両300の左右方向)に走査することで広範囲をスキャンするように構成される。
【0019】
図7に戻り、速度計測部220は、レーザー送受信部210によりレーザー光が照射されてから車両にて反射された反射光を受信するまでの時間差に基づき、その車両の速度を計測し、計測した速度を記憶する。
【0020】
速度取締装置200は、所定距離(例えば、70m)以内の車両との距離を測定し、さらに、当該速度取締装置200からそれよりも近い所定距離(例えば、20m)地点での車両の速度を測定する。
【0021】
一方、レーザー探知機100は、
図2~
図7に示すように、表示部110、スピーカ120、位置検出部130、通信部140、レーダーセンサ150、レーザーセンサ160、制御部170、基板180、及び、これらの構成を収容する筐体190を備える。
【0022】
表示部110は、画像を表示可能なディスプレイである。表示部110は、
図2に示すように、筐体190の一方の主面に設けられる。以下では、筐体190の表示部110が設けられている主面及びその反対側の主面をそれぞれ筐体190(すなわちレーザー探知機100)の前面及び背面という。また、表示部110が設けられている側の方向及びその反対方向をそれぞれ筐体190(すなわちレーザー探知機100)の前方及び後方という。また、レーザー探知機100の背面に面した状態(すなわち
図3に示す状態)において、右側及び左側をそれぞれレーザー探知機100の右側及び左側という。レーザー探知機100は、表示部110が車両後方を向くように車両300に設置される。換言すれば、レーザー探知機100は、当該レーザー探知機100の前方が車両300の後方を向くように車両300に設置される。
【0023】
一方、
図7に示すスピーカ120は、音を出力可能に構成される。
図6及び
図7に示す位置検出部130は、レーザー探知機100の位置を検出する。本実施形態では、位置検出部130は、GPS受信機である。なお、
図6は、レーザー探知機100の背面(
図3参照)を構成するカバー(筐体190の後半分)を取り外したときに露出する基板180及び当該基板180上に実装された各部品を示す。
【0024】
通信部140は、外部の装置と無線通信を行う。
レーダーセンサ150は、図示省略するレーダー式の速度取締装置から照射されたミリ波などの電波を受信し、当該受信を示す信号を制御部170に出力する。レーダー式の速度取締装置は、電波を使用して車両の速度を計測する速度取締装置である。
【0025】
レーザーセンサ160は、レーザー式の速度取締装置200が照射したレーザー光を受光し、当該受光を示す信号を制御部170に出力する。レーザーセンサ160の構成については後述する。
【0026】
制御部170は、CPU170aと、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下「メモリ」という。)170bと、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。
【0027】
制御部170は、レーダーセンサ150又はレーザーセンサ160から信号が入力される場合に、車両300のドライバに対し、警報を行うための処理である警報処理を実行する。具体的には、制御部170は、表示部110に所定の画像である警報画像を表示させたり、スピーカ120に所定の音である警報音を出力させたりする処理を警報処理として実行する。
【0028】
図6に示す基板180には、各部品が実装される。
筐体190は、各部品120,130,140,150,160,170,180等を内部に収容し、レーザー探知機100の外形を形成する。本実施形態では、筐体190は、略直方体状の箱状の部材である。
[1-2.レーザーセンサの詳細構成]
続いて、レーザーセンサ160の構成について説明する。
図7に示すように、レーザーセンサ160は、2つの受光機能部(第1の受光機能部161及び第2の受光機能部166)を備える。2つの受光機能部161,166は、同様の構成であるため、以下では第1の受光機能部161のみを詳細に説明する。
【0029】
第1の受光機能部161は、
図3~
図8に示すように、フレネルレンズ162及び受光部163を備える。つまり、第1の受光機能部161は、フレネルレンズ162及び受光部163の組を備える。なお、
図5では、フレネルレンズ162を図示省略し、受光部163を露わに示している。
【0030】
図8に示すように、フレネルレンズ162は、輪帯状に切削された形状を持つレンズであり、その断面はノコギリの歯を軸対称に配置したような形状を有する。すなわち、フレネルレンズ162は、球面レンズ又は非球面レンズを同心円状の複数の領域162a~162iに分割してレンズの厚みを減らしたレンズである。
【0031】
フレネルレンズ162は、入射面1621と出射面1622とを有する。入射面1621は、速度取締装置200からのレーザー光が入射する面である。出射面1622は、入射面1621に入射したレーザー光が出射する面である。本実施形態では、入射面1621は、平坦な面である。一方、出射面1622は、同心円状の複数の領域162a~162iを有する。複数の領域162a~162iは、フレネルレンズ162の光軸Xと平行な方向に突出している。つまり、複数の領域162a~162iのそれぞれは突出した凸部を有する。このように、出射面1622は、非球面状の曲面を有する。
【0032】
なお、
図8はフレネルレンズ162の模式図である。
図8では、フレネルレンズ162が9つの領域162a~162iを有するように図示しているが、フレネルレンズ162が有する領域の数は9つ以外であってもよい。
【0033】
フレネルレンズ162は、入射面1621が受光部163と反対側、出射面1622が受光部163の方向を向くように配置される。
本実施形態では、フレネルレンズ162は、
図3及び
図4に示すように矩形状の板状であるが、フレネルレンズ162の形状はこれ以外であってもよい。
【0034】
図3に示すように、フレネルレンズ162は、筐体190の背面の窓191に配置される。窓191は、外部のレーザー光を筐体190の内部に導くための開口部である。窓191は、例えば矩形であるが、これ以外の形状であってもよい。本実施形態では、窓191は、筐体190の背面における上方の隅(例えば右上の隅)に設けられているが、これ以外の場所に位置していてもよい。
【0035】
フレネルレンズ162は、窓191における左半分に位置している。また、窓191の右半分には、第2の受光機能部166のフレネルレンズ167が位置している。フレネルレンズ162及び167は形状及び大きさが同一である。2つのフレネルレンズ162,167は左右に並べたときのサイズは、例えば、左右方向の長さが16.8mm±0.1mm、上下方向の長さが6.3mm±0.1mm、厚みが1.95mm(±0.05mm)である。ただし、これ以外のサイズであってもよい。このように、フレネルレンズ162,167は筐体190の外部に露出している。
【0036】
なお、フレネルレンズ162,167は、その光軸X(
図8参照)がレーザー探知機100の前後方向に一致するように設けられる。ただし、フレネルレンズ162,167は、その光軸Xがレーザー探知機100の前後方向に一致しないように設けられてもよい。
【0037】
また、本実施形態のフレネルレンズ162は、速度取締装置200のレーザー光の波長領域(約910nm)以外の波長領域のレーザー光の一部を遮断可能な素材(例えばアクリル樹脂などの樹脂等)で構成されている。具体的には、フレネルレンズ162は、可視光の波長領域であって速度取締装置200のレーザー光の波長領域よりも短波長の波長領域のレーザー光の一部を遮断する。詳細には、フレネルレンズ162は、波長領域が380nm~780nmであるレーザー光を遮断する。なお、このようなレーザー光の一部を遮断可能な素材で構成されているため、フレネルレンズ162の色はほぼ黒色である。
【0038】
ただし、速度取締装置200のレーザー光の波長領域及びフレネルレンズ162が遮断する波長領域は上記のものに限られない。例えば、速度取締装置200のレーザー光の波長領域は、850nm、950nm、1900nm又はその他の波長領域であってもよい。また、フレネルレンズ162が遮断する波長領域は、これら以外の波長領域であってもよい。
【0039】
一方、
図5~
図8に示す受光部163は、フレネルレンズ162を透過したレーザー光を受光する。受光部163は、
図8に示すように、受光素子163aを備える。受光素子163aは、受光面163bを備える。
【0040】
受光面163bは、面状に形成される。受光面163bは、例えば矩形状であるが、その他の形状であってもよい。本実施形態では、受光面163bは、縦3mm、横3mmの正方形状である。
【0041】
受光素子163aは、フレネルレンズ162を透過したレーザー光が受光面163bで受光されると、当該受光を示す信号を制御部170に出力する。受光素子163aは、例えばフォトダイオードであることが望ましいが、フォトトランジスタ又はその他の受光素子であってもよい。
【0042】
本実施形態の受光部163は、レーザー光が受光面163bの中央部に入射した場合も受光面163bの周辺部に入射した場合も、入射位置に関係なく、同じ感度を持つように設計されている。
【0043】
図6に示すように、受光部163は、基板180において、フレネルレンズ162を透過したレーザー光が入射可能な位置に設けられている。本実施形態では、受光部163は、基板180における上方の隅(例えば右上の隅)に設けられているが、これ以外の位置に設けられていてもよい。受光部163及びフレネルレンズ162は、レーザー探知機100の前後方向に互いに重なるように平行に配置される。
【0044】
ここで、
図8に示すように、本実施形態のフレネルレンズ162は、複数の焦点を備える多焦点フレネルレンズである。詳細には、フレネルレンズ162は、光軸Xに平行な方向において焦点距離が異なる複数の焦点を有する。
【0045】
このフレネルレンズ162では、光軸Xに垂直な方向である光軸垂直方向Yに沿って焦点距離が変化する。具体的には、フレネルレンズ162の外側から内側に行くほど焦点距離が短くなっている。詳細には、フレネルレンズ162の中央部の領域162eの焦点は受光面163b上に位置し、周辺部の領域162a~162d,162f~162iの焦点は受光面163bよりも向こう側(レーザー探知機100の前方側)に位置する。換言すれば、周辺部の領域162a~162d,162f~162iの焦点距離よりも手前に受光面163bが位置する。なお、本実施形態では、複数の領域162a~162iの焦点距離は3mm~8mmの範囲内である。
【0046】
当該焦点距離の変化を実現するため、フレネルレンズ162の各領域162a~162iの曲率半径はそれぞれ異なるように設計されている。具体的には、フレネルレンズ162の外側から内側に行くほど各領域162a~162iの曲率半径は小さくなる。また、フレネルレンズ162の外側から内側に行くほど各領域162a~162iのピッチPは大きくなる。
【0047】
このフレネルレンズ162は、当該フレネルレンズ162に入射したレーザー光を、受光面163bの複数の位置に当たるように屈折させる。詳細には、
図8に示すようにレーザー光を複数の光線として示した場合、フレネルレンズ162の中心部からの距離であり光軸垂直方向Yに沿った距離hが異なる点に入射した光線を、受光面163bの異なる位置に当たるように屈折させる。
【0048】
つまり、フレネルレンズ162は、当該フレネルレンズ162における第1の入射点に入射した光線と、第1の入射点と距離hが異なる第2の入射点に入射した光線と、を受光面163bの異なる位置に当たるように屈折させる。
図8に示す例では、周辺部の領域162aに入射した光線R1と中央部の領域162eに入射した光線R2とは受光面163bの異なる位置P1,P2にそれぞれ当たるように屈折されている。以上が第1の受光機能部161の構成である。
【0049】
そして、本実施形態では、2つの受光機能部161,166が車両300の前方向を向くようにレーザー探知機100が車両300内に設置されるときに2つの受光機能部161,166が左右に並ぶように、2つの受光機能部161,166がレーザー探知機100において設置されている。ここで、「2つの受光機能部161,166が車両300の前方向を向く」とは、レーザー探知機100の背面に位置するフレネルレンズ162,167が車両300の前方向を向くことを意味する。
【0050】
具体的には、
図3に示すように、筐体190の背面において2つのフレネルレンズ162,167が当該レーザー探知機100の左右方向に位置する。そして、
図6に示すように、基板180におけるフレネルレンズ162,167と対応する位置において、2つの受光部163,168が当該レーザー探知機100の左右方向に並ぶように配置される。
【0051】
また、本実施形態では、フレネルレンズ162,167は広角レンズである。ここでいう広角レンズとは、例えば、水平方向(すなわち左右方向)におけるレーザー光を受光可能な角度が標準的なレンズよりも広いレンズである。
【0052】
一例として、フレネルレンズ162,167の水平方向におけるレーザー光の受光可能角度は100度以上(光軸を基準として右方向及び左方向にそれぞれ50度以上)であってもよい。具体的には例えば、フレネルレンズ162,167の水平方向におけるレーザー光の受光可能角度は114度(光軸を基準として右方向及び左方向にそれぞれ57度ずつ)であってもよい。
【0053】
なお、フレネルレンズ162,167の垂直方向(すなわち上下方向)におけるレーザー光の受光可能角度は特に限定されないが、例えば、垂直方向の受光可能角度は110度(光軸を基準として上方向及び下方向にそれぞれ55度ずつ)であってもよい。
【0054】
このように、フレネルレンズ162,167は広角レンズである。このため、
図1に示すように、レーザー探知機100の前方向及び後方向がそれぞれ車両300の後方向及び前方向に一致するようにレーザー探知機100を車両300に設置する。この場合において、車両300の前方向に対して左右方向にそれぞれ所定角度(例えば50度)以上の範囲内に位置する速度取締装置200からのレーザー光を受光可能であってもよい。すなわち、
図1において角度θは例えば50度以上(一例として57度)である。ここでいう角度θは、車両300の前方向を基準としたときのレーザー探知機100の右方向及び左方向におけるレーザー光の受光可能角度である。
【0055】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)本実施形態によれば、レーザー方式の速度取締装置200を探知するレーザー探知機100を提供できる。また、フレネルレンズ162を用いることで、通常のレンズ400を用いる場合と比較してレンズの厚みを抑えることができる。よって、レーザー探知機100を小型化及び薄型化することができる。さらに、広角なフレネルレンズ162を用いても通常のレンズ400のように出っ張らないためレーザー探知機100の見た目を美しくできる。
【0056】
(1b)本実施形態では、フレネルレンズ162は、複数の焦点を備える多焦点フレネルレンズであり、フレネルレンズ162に入射したレーザー光を、受光面163bの複数の位置に当たるように屈折させる。したがって、速度取締装置200から照射されたレーザー光の受光感度を向上でき、速度取締装置200を探知しやすくできる。
【0057】
すなわち、単一の焦点を有する通常の球面レンズ(例えば、
図9に示す平凸レンズ400)を用いる場合、当該焦点が受光部410の受光面410aに位置するように、レンズ400と受光部410とが設けられる。この場合、レンズ400を透過したレーザー光は、受光面410aの1つの位置P3で受光される。
【0058】
これに対して、本実施形態のレーザー探知機100では、多焦点フレネルレンズ162が用いられる。そして、フレネルレンズ162は、
図8に示すように、レーザー光を、受光面163bの複数の位置に当たるように屈折させる。つまり、通常の球面レンズ400と比較して、受光面163bにおけるより多くの位置でレーザー光を受光できる。したがって、速度取締装置200から照射されたレーザー光の受光感度を向上でき、速度取締装置200を探知しやすくできる。
【0059】
(1c)本実施形態では、レーザー探知機100は、複数の受光機能部161,166を備える。そして、複数の受光機能部161,166が車両300の前方向を向くようレーザー探知機100が車両300内に設置されるときに複数の受光機能部161,166が左右に並ぶように、複数の受光機能部161,166がレーザー探知機100において設置されている。
【0060】
一般に速度取締装置200はレーザー光を車両300の左右方向に走査する。したがって、本実施形態の構成によれば、速度取締装置200のレーザー光の走査方向に沿うように複数の受光機能部161,166が配置される。したがって、レーザー光の走査方向においてレーザー光を受光可能な受光面の面積が大きくなる。したがって、受光機能部を1つしか備えない構成と比較して、速度取締装置200のレーザー光を受光する確率を向上させ、ひいては、速度取締装置200を探知しやすくできる。
【0061】
(1d)本実施形態では、フレネルレンズ162,167は広角レンズである。したがって、比較的広範囲に位置する速度取締装置200からのレーザー光をレーザー探知機100が受光できる。具体的には、フレネルレンズ162,167が車両300の前方向を向くようにレーザー探知機100が車両300内に設置されたときに、水平方向において、比較的広範囲に位置する速度取締装置200からのレーザー光をレーザー探知機100が受光できる。ひいては、比較的広範囲に位置する速度取締装置200を探知できる。
【0062】
(1e)本実施形態では、フレネルレンズ162,167は、速度取締装置200のレーザー光の波長領域以外の波長領域のレーザー光の一部(波長領域が380nm~780nmであるレーザー光)を遮断可能な素材で構成されている。したがって、速度取締装置200のレーザー光でない光による誤警報を抑制することができる。
【0063】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0064】
前述した第1実施形態のレーザー探知機100は、車両300前方の速度取締装置200からのレーザー光を受信する。これに対し、
図10及び
図11に示す第2実施形態のレーザー探知機500は、車両300の前方の速度取締装置からのレーザー光に加え、車両300の後方の速度取締装置600からのレーザー光も受信できる点で、第1実施形態のレーザー探知機100と相違する。
【0065】
すなわち、
図10に示すように、レーザー式の速度取締装置600を車両700に搭載し、当該車両700の前方を走行する車両300にレーザー光を照射し、車両300の速度計測を行う場合がある。このような場合において、車両300の後方からのレーザー光もレーザー探知機で受光し、車両300の後方の速度取締装置600を探知したいというニーズが考えられる。第2実施形態のレーザー探知機500は、当該レーザー探知機500が搭載された車両300の前方からのレーザー光に加え、車両300の後方からのレーザー光も受光可能である。
【0066】
第2実施形態のレーザー探知機500は、第1実施形態のレーザー探知機100と基本的には同様の構成である。しかし、第2実施形態のレーザー探知機500は、
図11に示すように、第1実施形態の筐体190に代えて筐体510を備え、フレネルレンズ531,536と反射部材520とを更に備える点で、第1実施形態のレーザー探知機100と相違する。なお、
図11は、筐体510を透過し、筐体510内部の部品が見えるように図示している。
【0067】
筐体510は、第1実施形態の筐体190と同形状の略直方体状の箱状である。筐体510の背面には、第1実施形態の窓191と同じ位置に窓191と同じ形状の窓511が設けられている。窓511には、第1実施形態と同様のフレネルレンズ162,167が配置されている。また、筐体510内部の各部品130,140,150,180の配置は第1実施形態と同様である。
【0068】
一方、第2実施形態の筐体510では、当該筐体510の前面に更に窓512が設けられている。窓512は、レーザー探知機500の前方、すなわち、車両300の後方からのレーザー光を筐体510の内部に導くための開口部である。窓512は、左右方向において受光部163,168と同じ位置に、上下方向において受光部163,168よりもやや上方(反射部材520と同じ高さ)に設けられる。本実施形態では、窓512は、筐体510の前面における表示部110の上部であり、左右方向の隅(例えば右上の隅)に設けられる。
【0069】
窓512には、フレネルレンズ162,167と同様のフレネルレンズ531,536が左右に並べられて配置されている。窓512を通過するレーザー光はフレネルレンズ531又は536を通過して筐体510の内部に入射する。
【0070】
反射部材520は、レーザー探知機500の前方(すなわち、車両300の後方)から入射するレーザー光を反射し、受光部163,168に入射させるための部品である。反射部材520は、筐体510の内側の上部、より詳細には、受光部163,168よりも上方であって2つの受光部163,168よりもレーザー探知機500の後方側に設けられている。本実施形態の反射部材520は、多角柱状(例えば三角柱状)であり、鏡面である反射面520aを備える。
図11では、反射面520aは死角となっている。反射部材520は、反射面520aが受光部163,168の方向を向くように配置される。反射面520aは、レーザー探知機500の後方から前方に行くほど筐体510の上面に近づくように傾斜している。レーザー探知機500の前方側、すなわち、車両300の後方側から入射したレーザー光は反射面520aで反射し、受光部163,168に導かれる。
【0071】
[2-2.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1e)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0072】
本実施形態では、レーザー探知機500は、車両300の後方から入射したレーザー光を反射し、受光部163,168に入射させる反射部材520を備える。
したがって、車両300の前方の速度取締装置に加え、車両300の後方の速度取締装置600を探知することができる。特に、第1実施形態のレーザー探知機100と比較して、レーザー探知機100内部の部品の配置を大幅に変更することなく、車両300後方からのレーザー光を受光できる。
【0073】
また、レーザー探知機500では、車両300の前方からのレーザー光を受光する受光部163,168を用いて車両300の後方のレーザー光を受光する。したがって、車両300の後方のレーザー光を受光するための受光部を別途設けなくてもよい。よって、車両300の後方のレーザー光を受光するための受光部を別途設ける構成と比較して、部品点数を減らすことができ、レーザー探知機500の製造コストを低減できる。
【0074】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0075】
(1)上記第2実施形態では、筐体510の内側の上部に反射部材520が設けられるが、反射部材が設けられる位置はこれに限られない。例えば、レーザー探知機は、
図12に示すような構成であってもよい。
【0076】
図12に示すレーザー探知機800では、受光部163,168を基板180の側面に設置する。そして、反射部材820を、筐体810の側面810aの内側に設ける。本実施形態の反射部材820は、第2実施形態の反射部材520と同様、多角柱状(例えば三角柱状)である。反射部材820は、鏡面であってレーザー探知機800の後方側を向くように配置される反射面820aと、鏡面であってレーザー探知機800の前方側を向くように配置される反射面820bと、を備える。そして、反射部材820は、レーザー探知機800の後方、すなわち、車両300の前方から入射したレーザー光を反射面820aで反射して受光部163,168に導く。また、反射部材820は、レーザー探知機800の前方、すなわち、車両300の後方から入射したレーザー光を反射面820bで反射して受光部163,168に導く。
【0077】
詳細には、筐体810の前面には、表示部110の右側縁に縦長の窓811が設けられ、窓811にフレネルレンズ531,536が配置される。また、筐体810の背面には、左右方向及び上下方向において、窓811と同じ位置に窓812が設けられる。窓812にはフレネルレンズ162,167が配置される。フレネルレンズ162及び167は、2つの受光部163,168が上下に配置されることに応じて互いに上下に配置される。同様に、フレネルレンズ531及び536も互いに上下に配置される。
【0078】
そして、レーザー探知機800の後方、すなわち、車両300の前方からのレーザー光は、フレネルレンズ162,167を通過して反射面820aで反射され、受光部163,168で受光される。一方、レーザー探知機800の前方、すなわち、車両300の後方からのレーザー光は、フレネルレンズ531,536を通過して反射面820bで反射され、受光部163,168で受光される。
【0079】
このような構成によれば、車両300の前方の速度取締装置に加え、車両300の後方の速度取締装置600も探知できる。また、車両300の前方からのレーザー光を受光する受光部163,168を用いて車両300の後方のレーザー光を受光できる。したがって、車両300の後方のレーザー光を受光するための受光部を別途設ける構成と比較して、部品点数を減らすことができ、レーザー探知機800の製造コストを低減できる。
【0080】
なお、
図12に示す例では、2つの受光部163,168は上下に並べられて配置されるが、受光部163,168を配置する方法はこれに限られない。例えば、2つの受光部163,168はレーザー探知機800の前後方向に並べられて配置されてもよい。
【0081】
また、
図12に示す例及び上記第2実施形態では、車両300の前方からのレーザー光を受光する受光部163,168を用いて車両300の後方のレーザー光を受光するが、レーザー探知機の構成はこれに限られない。例えば、車両300の前方からのレーザー光を受光する受光部163,168とは別に、車両300の後方からのレーザー光を受光する受光部を別途設けてもよい。
【0082】
(2)上記各実施形態では、フレネルレンズ162の複数の焦点(すなわち、複数の領域162a~162iの焦点)は、光軸X上、つまり、同一軸上に位置する。しかし、複数の焦点の位置はこれに限られない。例えば、フレネルレンズの複数の焦点は、同一軸上に位置していなくてもよい。
【0083】
また、フレネルレンズの各領域162a~162iの焦点と受光面163bとの位置関係は上記各実施形態のものに限られない。フレネルレンズの各領域162a~162iの焦点の少なくとも1つは、フレネルレンズを基準として、受光面163bよりも手前側又は向こう側に位置してもよい。
【0084】
また、上記各実施形態では、フレネルレンズ162の外側から内側に行くほど焦点距離が短くなるが、フレネルレンズの焦点距離の変化はこれに限られない。例えば、フレネルレンズの外側から内側に行くほど焦点距離が長くなってもよい。同様に、フレネルレンズの各領域162a~162iの曲率半径及びピッチPは上記各実施形態以外の値であってもよい。
【0085】
(3)上記第2実施形態において、反射部材の形状は、多角柱状以外の形状であってもよい。例えば、反射部材は、板状の形状であってもよい。この場合、反射部材は、単なる鏡面であってもよい。
【0086】
(4)上記各実施形態では、フレネルレンズ162の入射面1621は平坦面であるが、入射面の形状はこれに限られない。例えば、入射面は、凸状や凹状などの曲面状であってもよい。
【0087】
(5)上記各実施形態では、レーザー探知機100,500,800は2つの受光機能部161,166を備えるが、受光機能部の数はこれに限られない。例えば、レーザー探知機は、1つ、又は、3つ以上の受光機能部を備えてもよい。つまり、フレネルレンズと受光部との組を1つ、又は、3つ以上備えていてもよい。また、レーザー探知機が3つ以上の受光機能部を備える場合において、3つ以上の受光機能部がレーザー探知機の左右方向に並べられて配置されてもよい。
【0088】
(6)上記各実施形態では、2つのフレネルレンズ162,167は互いに密着するように設けられるが、2つのフレネルレンズ162,167の位置関係はこれに限られない。2枚のフレネルレンズ162,167は互いに間隔を置いて設けられていてもよい。
【0089】
(7)上記各実施形態では、フレネルレンズ162,167,531,536は、可視光の波長領域であってレーザー方式の速度取締装置200,600のレーザー光の波長領域よりも短波長の波長領域のレーザー光の一部ではなくその全てを遮断してもよい。
【0090】
(8)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0091】
100,500,800…レーザー探知機、160…レーザーセンサ、
161,166…受光機能部、162,167,531,536…フレネルレンズ、
163,168…受光部、170…制御部、180…基板、190…筐体、
200,600…速度取締装置、520,820…反射部材。