(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】導波管アセンブリおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01P 3/12 20060101AFI20220712BHJP
H01P 1/04 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H01P3/12
H01P1/04
(21)【出願番号】P 2019506392
(86)(22)【出願日】2017-08-07
(86)【国際出願番号】 GB2017052323
(87)【国際公開番号】W WO2018029455
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-08-03
(32)【優先日】2016-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512276430
【氏名又は名称】エアバス ディフェンス アンド スペイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】モリス、イアン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、デレク
(72)【発明者】
【氏名】ゴレッキ、イアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー、マイク
(72)【発明者】
【氏名】ハマー、モーリス ジョセフ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-159901(JP,A)
【文献】特開2015-201770(JP,A)
【文献】実開平04-080102(JP,U)
【文献】米国特許第09306254(US,B1)
【文献】米国特許第06005458(US,A)
【文献】米国特許第03230482(US,A)
【文献】特開昭57-127301(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105119033(CN,A)
【文献】特開昭59-004301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)信号ネットワークのための複数の導波管を備える導波管アセンブリであって、前記複数の導波管のうちの少なくとも2つは互いに一体的に形成されており、
前記複数の導波管のうちの第1の導波管の壁の一部は
前記複数の導波管のうちの第2の導波管の壁の一部と共通であり、前記導波管アセンブリはさらに、
1または複数の導波管コネクタを備え、各導波管コネクタは
前記複数の導波管のうちの少なくとも
3つの導波管に連結されており、且つ、フランジおよび
少なくとも3つのポートを有し、各ポートは
前記少なくとも3つの導波管のうちの1つとそれぞれインタフェースを取るように構成されて
おり、前記フランジは、前記少なくとも3つの導波管と一体的に形成されている、導波管アセンブリ。
【請求項2】
前記複数の導波管の各々は、互いに一体的に形成されている、請求項1に記載の導波管アセンブリ。
【請求項3】
前記複数の導波管のうちの少なくとも1つは、前記複数の導波管のうちの少なくとも他の1つに対し、機械的支持を提供する、請求項1または2に記載の導波管アセンブリ。
【請求項4】
前記複数の導波管のうちの少なくとも1つの一部が、長方形または楕円形の断面を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の導波管アセンブリ。
【請求項5】
前記複数の導波管のうちの少なくとも1つは、可変の断面を有し、および/または、可撓性である、請求項4に記載の導波管アセンブリ。
【請求項6】
前記複数の導波管のうちの少なくとも1つ
の壁は、前記導波管に対し機械的強度を提供するための
補強部分を有し、および/または、前記複数の導波管のうちの少なくとも1つは、前記導波管からの熱放射を容易にするための
放射体を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の導波管アセンブリ。
【請求項7】
別の導波管アセンブリとのインタフェースを取るための手段を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の導波管アセンブリ。
【請求項8】
複数の構成要素を有するRF信号ネットワークをさらに有し、前記複数の導波管のうちの少なくとも1つは、前記RF信号ネットワークの
前記複数の構成要素のうちの1つの構成要素と一体的に形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の導波管アセンブリ。
【請求項9】
前記フランジは、さらなる導波管コネクタに連結するための
固定器具を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の導波管アセンブリ。
【請求項10】
前記導波管アセンブリと、1または複数の前記フランジまたはそれぞれの1または複数の導波管コネクタとは、一体的に形成されている、請求項
9に記載の導波管アセンブリ。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の導波管アセンブリを1または複数含む、RF信号ネットワークを備える、衛星ペイロード。
【請求項12】
無線周波数(RF)信号ネットワークのための導波管アセンブリを製造する方法であって、複数の導波管のうちの少なくとも2つが互いに一体的に形成されるように、前記複数の導波管を製造する段階を備え、第1の導波管の壁の一部は第2の導波管の壁の一部と共通であり、前記方法はさらに、
1または複数の導波管コネクタを
形成する段階であって、各導波管コネクタは
前記複数の導波管のうちの少なくとも
3つの導波管に連結されており、且つ、
前記少なくとも3つの導波管と一体的に形成されているフランジおよび
少なくとも3つのポートを有し、各ポートは、前記
少なくとも3つの導波管のうちの1つとそれぞれインタフェースを取るように構成されている、段階を備える、方法。
【請求項13】
前記複数の導波管は、付加製造法(AM)を用いて製造される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
無線周波数(RF)信号ネットワークを製造する方法であって、
ネットワーク機器をパネルに配置する段階と、
前記ネットワーク機器間の接続性を定義する段階と、
定義された前記接続性を達成すべく、請求項
12または13に記載の方法を用いて、1または複数の導波管アセンブリを製造する段階であって、第1の導波管の壁の一部は第2の導波管の壁の一部と共通しており、前記1または複数の導波路アセンブリはさらに1または複数の導波路コネクタを備え、各導波管コネクタは
前記少なくとも3つの導波管と連結され、
前記少なくとも3つの導波管と一体的に形成されているフランジおよび複数のポートを有し、各ポートはそれぞれの導波管とのインタフェースを取るように構成されている、段階と、
前記1または複数の導波管アセンブリを、前記ネットワーク機器に接続する段階と、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管アセンブリ、特に、無線周波数(RF)信号のための導波管アセンブリの設計および製造並びに導波管アセンブリのためのインタフェースフランジに関するが、これらに限られない。
【背景技術】
【0002】
導波管は、所望の経路に沿って波をガイドするために広範囲の用途において、一般的に用いられている。例えば、通信衛星において、受信したマイクロ波信号を再送信する前に、当該信号を複数の構成要素(例えば、増幅器、フィルタ、マルチプレクサ)を通過させるために導波管が必要となる可能性がある。この場合、電磁導波管が、1つの構成要素から次の構成要素へと信号を搬送すべく用いられてよい。
【0003】
多数の構成要素を含み、且つ、多数の相互接続される導波管を必要とする従来のシステムにおいては、システムのための必要なすべての信号経路が物理的に収容され得ることを保証すべく、システムの設計は特に複雑となる可能性がある。複数の他のネットワーク構成要素または導波管の下方、上方および周囲でのルーティングを可能にすべく、長い導波管が必要とされる可能性があり、複数の導波管は、離間して配置される必要がある可能性があり、多くの空間的な層の上に配置される必要がある可能性がある。
【0004】
複雑な導波管が、所望のRF性能を達成すべく、厳しい機械的公差を有するので、従来の製造プロセスは、システム設計者の自由度に対し制約を課す。従って、このような性能が達成されることを可能にする態様で導波管が物理的に構築され得ることを保証する必要がある。例えば、導波管のシステム構成要素(別の導波管のインタフェースフランジ、または導波管スイッチ等)への取り付けは、連結ポイントにおける信号損失、信号反射(反射損失)、またはパッシブ相互変調(Passive Intermodulation:PIM)積の導入を最小化する態様で行われる必要があり、従って、アセンブリツールが導波管およびシステム構成要素に適切に適用されることを可能にするための連結ポイントへのアクセス容易性が望まれる。従って、このようなアクセス容易性は、システム設計に対し、追加的な空間要件を課すことになる。
【0005】
従来、導波管は、個々に設計、製造および供給されており、固定ツールを用いて、導波管ネットワークにおいて手動で組み立てられている。各導波管の設計が、その性能に関し、およびその導波管を通過するRF信号に示される送信特性に関し最適化されることを可能にすべく、このアプローチが取られている。
【0006】
より高い信号帯域幅および改善された性能の要件により推進され、システム要件が進展するに伴い、ますます複雑なシステム設計が必要とされており、例えば、必要な導波管の収容に関連付けられた空間的および重量的ペナルティが、ますます顕著になっている。複雑な信号ネットワークが、例えば、マルチビームミッションでの衛星ペイロードの電子機器において用いられるべき場合、このようなペナルティは特に不利である。
【0007】
導波管アセンブリに関連するサイズおよび製造時間を低減する従来のやり方は、導波管アセンブリの簡素化を必要としており、そこでは、導波管はより小さく、より短い長さおよび/または直径で作成される。また、例えば、より少ない導波管を必要とするにも関わらず、後続のデマルチプレクサの処理負荷を上げ、より少数の信号に情報が多重化できる、より複雑な信号処理スキームを設計することが可能であってよい。
【0008】
導波管ネットワーク等の、より大型の導波管アセンブリ、または導波管セクションを構築すべく、特定の導波管、導波管セクション、または特定の導波管のアセンブリが、コネクタを介して、1または複数の追加の導波管、導波管セクションまたは導波管アセンブリとのインタフェースを取ってよい。上記の通り、導波管インタフェースの性質は、性能に大きな影響を有する可能性がある。その結果、性能を最適化すべく、導波管コネクタの設計を最適化するニーズが存在する。
【0009】
通常、導波管コネクタは、フランジを用いて構築される。導波管フランジは、当該フランジを、別の導波管セクションに取り付けられた対応するフランジに連結するために用いられる機械的固定手段を含む。フランジは、中空部を有し、当該中空部を通して、信号がインタフェースを越えて通過し、各中空部は、それぞれの導波管セクションの内部とのインタフェースを取る。このようにして、2つの導波管セクションが、それらセクションの各フランジの連結により接続されてよく、故に、インタフェース越しの信号送信に関する導波管インタフェースの性能は、フランジの連結に依存する。
【0010】
従来、導波管セクション間の連結を容易にするためのインタフェースフランジの設計を最適化する必要性が、個々の導波管に対し別個のインタフェースフランジを用いることにつながっており、各フランジは特定のインタフェースに対し適切となるように具体的に構成されている。また、このようなアプローチが、インタフェースフランジへのアクセス容易性を促進させる。
【0011】
本発明は、RF信号ネットワークのための改善された導波管アセンブリ、およびこのような改善された導波管アセンブリを製造する方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一態様によると、無線周波数(RF)信号ネットワークのための、複数の導波管を有する導波管アセンブリが提供され、上記複数の導波管のうちの少なくとも2つは、互いに一体的に形成されている。
【0013】
いくつかの実施形態において、複数の導波管の各々は、互いに一体的に形成されてよく、導波管アセンブリの設計をさらに改善する。
【0014】
複数の導波管のうちの少なくとも1つは、上記複数の導波管のうちの少なくとも他の1つに対し、機械的支持を提供してよく、導波管アセンブリを自己指示型構造にすることを可能にする。
【0015】
複数の導波管のうちの少なくとも1つの一部が、長方形または楕円形の断面を有してよい。
【0016】
複数の導波管のうち少なくとも1つは、可変の断面を有してよい。
【0017】
複数の導波管のうちの少なくとも1つは可撓性であってよく、これにより、インタフェースの荷重を改善してよく、インタフェース平面の小さな調節が組み立てを容易にすることを可能にしてよい。
【0018】
複数の導波管のうちの少なくとも1つが、導波管に機械的強度を提供するための構造を備えてよい。
【0019】
複数の導波管のうちの少なくとも1つが、導波管からの熱放射を容易にするための構造を備えてよい。
【0020】
導波管アセンブリは、別の導波管アセンブリとのインタフェースを取るための手段を備えてよい。
【0021】
複数の導波管のうちの少なくとも1つが、RF信号ネットワークの構成要素と一体的に形成されてよく、これにより、コンパクトな導波管ネットワークの設計をさらに可能にしてよい。
【0022】
複数の導波管は、RF信号ネットワークの接続性を提供するために必要な複数の導波管の経路長が、導波管アセンブリの質量および/またはコストおよび/または製造時間を最小化するように配置されてよく、および、複数の導波管の充填密度を最大化してよい。
【0023】
導波管アセンブリは、さらに、1または複数の導波管コネクタを備えてよく、各導波管コネクタは、フランジおよび複数のポートを有し、フランジは、さらなる導波管コネクタに連結するための手段を含み、複数のポートの各ポートは、導波管アセンブリのそれぞれの導波管とのインタフェースを取るように構成されている。
【0024】
導波管アセンブリ、およびそれぞれの1または複数の導波管アセンブリの1または複数のフランジは、一体的に形成されてよい。
【0025】
複数のポートおよび連結手段は、導波管コネクタとさらなる導波管コネクタとの間のインタフェースを越えて複数のポートを通るRF信号の送信を最適化する構成において、導波管コネクタの周りに分配されてよい。
【0026】
インタフェースを越えるRF信号の送信の最適化は、複数のポートの各々により、当該複数のポートを通過するRF信号に示される送信特性が、実質的に互いに等しくなるものであってよい。
【0027】
インタフェースを越えるRF信号の送信の最適化は、信号損失が最小化されるものであってよい。
【0028】
さらなる導波管コネクタへの連結手段は、導波管コネクタがさらなる導波管コネクタに接続される場合、連結圧力が、導波管コネクタのフランジにわたり実質的に一様であるように構成されてよく、これにより性能を最適化してよい。
【0029】
固定手段は、Vバンドクランプまたは複数のボルトを備えてよい。
【0030】
複数のポートは、導波管コネクタの周りに対称的に分配されてよい。
【0031】
複数のポートのうちの1または複数は、楕円形の断面を有してよく、および/または、複数のポートのうちの1または複数は、長方形の断面を有してよい。
【0032】
複数の第1の導波管が、1対の上記の導波管コネクタを用いて、複数の第2の導波管に接続されてよい。
【0033】
複数の第1の導波管、複数の第2の導波管および1対の導波管コネクタは一体的に形成されてよい。
【0034】
本発明の別の態様によると、上記の導波管アセンブリのうちの1または複数を含むRF信号ネットワークを有する衛星ペイロードが提供される。
【0035】
本発明の別の態様によると、無線周波数(RF)信号ネットワークのための導波管アセンブリを製造する方法が提供され、当該方法は、複数の導波管のうちの少なくとも2つが互いに一体的に形成されるように、複数の導波管を製造する段階を有する。
【0036】
複数の導波管は、付加製造法(Additive Manufacturing:AM)を用いて製造されてよい。
【0037】
方法は、複数の導波管の充填密度を最大化すべく、複数の導波管を配置する段階を備えてよい。
【0038】
方法は、RF信号ネットワークの接続性を提供するために必要な複数の導波管の経路長を最小化すべく、複数の導波管を配置する段階を備えてよい。
【0039】
方法は、RF信号ネットワークの接続性を提供するために必要な複数の導波管の経路長が、導波管アセンブリの質量および/またはコストおよび/または製造時間を最小化するように、複数の導波管を配置する段階を備えてよい。
【0040】
本発明の別の態様によると、無線周波数RF信号ネットワークを製造する方法が提供され、当該方法は、パネル上にネットワーク機器を配置する段階と、ネットワーク機器間の接続性を定義する段階と、上記の方法を用いて定義された接続性を達成すべく、1または複数の導波管アセンブリを製造する段階と、1または複数の導波管アセンブリを、ネットワーク機器に接続する段階と、を備える。
【0041】
2つ以上の導波管を一体形成することは、単一のアセンブリの設計および製造に相当し、これにより、複雑な構成を非常にコンパクトな態様で設計できるようにし、個々の導波管のアセンブリへアクセスする必要性を全体的に低減またはなくす。また、機械的支持構造および熱ハードウェアを、単一のアセンブリへシームレスに統合することを可能にする。
【0042】
本発明の実施形態は、いくつかの個々の導波管を、より少数の導波管アセンブリのブロックと置き換えることに基づいており、当該ブロックは、アセンブリとして設計および調達した後、信号ネットワークパネルに接続する前に組み立てることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、専ら例示として説明される。
【
図1】部分的に設計されたRF信号ネットワークの設計図の例を示す。
【
図2】本発明の一実施形態により構成された導波管アセンブリを用いた、部分的に設計されたRF信号ネットワークの設計図の一部を示す。
【
図3】本発明の実施形態により構成された2つの導波管アセンブリの一部の例示である。
【
図4】本発明の実施形態において用いられる導波管コネクタの断面図を示す。
【
図5】本発明の実施形態による2つの導波管コネクタ間のインタフェースの拡大図である。
【
図6A】本発明の実施形態によるVバンドクランプを用いた、2つの導波管コネクタの連結を示す。
【
図6B】本発明の実施形態によるVバンドクランプを用いた、2つの導波管コネクタの連結を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[好ましい実施形態の説明]
【0045】
図1は、部分的に設計されたRF信号ネットワーク10の設計図を示す。設計図は、独立して製造、供給および組み立てられた導波管14を介して接続された、複数の異なるネットワーク構成要素12を示す。ネットワーク構成要素12は、信号増幅器、フィルタ。スイッチ等を含んでよい。
【0046】
図1からわかるように、要求される導波管ネットワーク10は複雑であり、一部の導波管セクションは、特に長い経路長を有している。各導波管に対する、および別の導波管またはネットワーク構成要素へのその連結ポイントに対するアクセス容易性の要件は、複数の導波管が離間して配置される必要があること、および、当該複数の導波管がネットワーク全体にわたり構成されるとき、要求される導波管のルーティングは、大きな空間フットプリントを有すること、を意味する。
図1の設計により、ネットワークを構築する間、第1の導波管は、第2の導波管を第1の導波管の周囲にルーティングし、その後、第3の導波管を、第1の導波管および第2の導波管等の両方の周囲にルーティングする(同様の処理が続く)ための十分な空間を残して、それぞれのネットワーク構成要素に接続されてよい。
【0047】
図2は、
図1の機能と同様の機能を有するが、本発明の実施形態により構成された導波管アセンブリを用いたRF信号ネットワークの設計図の一部を示す。
図2に示す設計図と比較すると、RF信号ネットワーク設計図の空間フットプリントを大きく低減することが可能である。図示目的のための点線で分離された2つの導波管アセンブリ22、24が存在する。説明のために、アセンブリの設計は、ネットワーク構成要素のグループに対応する信号ネットワークの部分に重ねて配置されている。各導波管アセンブリ22、24は、特定のグループのネットワーク構成要素に接続するよう設計されており、2つの導波管アセンブリ22、24は、互いにインタフェースを取り合う。これについては、
図3を参照してより詳しく説明する。
【0048】
従って、
図2のRF信号ネットワークの設計においては、特定のブロックのネットワーク構成要素との接続に必要な導波管ルーティングのすべてが、空間フットプリントの観点から、そのブロックのネットワーク構成要素に対応する導波管アセンブリ22、24のコンパクトな構造によって表される。信号ネットワーク全体に必要な信号ルーティングを構築するために、
図2に示すような導波管アセンブリ22、24同士が接続され、
図1に示す構成のように、個々の導波管が複数のネットワーク構成要素を横断することは必要としない。
【0049】
各導波管アセンブリの設計22、24は、異なる形状の複数の導波管を含み、それらの一部は直線状であり、他の一部は1または複数の屈曲部を含む。複数の導波管は互いに交差してよく、互いに下方または周囲を通ってよい。また、複数の導波管は、全体的質量を低減すべく、共通の壁を共有してよい。導波管アセンブリは、個々の導波管のルーティングの設計を通して構成され、その結果、最小の空間フットプリントを設計図上で有する。一般的に言うと、導波管アセンブリが設置されるべき、衛星ペイロード等の環境により課される空間制約の観点から、各導波管アセンブリのレイアウトは、3次元におけるその空間構成を最適化するように設計される。
【0050】
導波管が構築されると、RF信号が信号ネットワークを通ってルーティングされ得、且つ他のネットワークおよび/または導波管アセンブリ(不図示)に伝達され得るように、導波管はネットワーク構成要素に接続される。
【0051】
図3は、本発明の実施形態により構成された、
図2の2つの導波管アセンブリ22、24の部分の例示である。2つのアセンブリは、インタフェースフランジ26を介して接続され、当該インタフェースの左にある複数の導波管が一方の導波管アセンブリ22を表わし、一方で当該インタフェースの右にある複数の導波管が他方の導波管アセンブリ24を表わす。インタフェースフランジ26は、ボルト等の固定手段を含み、当該固定手段は、インタフェースを越えて導波管を通る信号送信が最適化されるように、フランジ同士を圧力で連結する。
【0052】
インタフェースフランジ26に加え、導波管アセンブリ22、24は、導波管スイッチ等の構成要素とのインタフェースを取るための構成要素連結用フランジ28を含む。さらなる導波管アセンブリ(不図示)への接続を可能にするための追加のインタフェースフランジ30が図示されている。
【0053】
図3から、導波管の経路および形状は、複数の導波管の間で、および、同一の導波管の異なるセクション間でも、形状およびサイズが異なることがわかる。導波管は、他の導波管の上方、下方、または周囲を通ってよい。2つ以上の導波管の一体形成を示すアセンブリの自己支持型セクションが観察できる。
【0054】
図4は、本発明の実施形態による導波管アセンブリのためのインタフェースフランジとして用いられる、導波管コネクタの断面を示す。
【0055】
図4に示す形態の導波管コネクタを用いて、
図2および3に示す導波管アセンブリ22、24の導波管を、後述のように当該アセンブリのインタフェースの箇所において互いに連結してよい。
【0056】
導波管コネクタ30は、フランジ31および3つのRF信号ポート32、33、34を含む。フランジは、導波管コネクタ30を別の導波管コネクタに連結するための手段を表わす複数のボルト35を含む。本実施形態においては、ポート32、33、34およびボルト35は、導波管コネクタ30の周りに対称的に分配されているが、これは必須要件ではない。
【0057】
図4に示す導波管コネクタ30は、第1のグループまたは3つの別個の導波管セクションから成るアセンブリを、
図5に示すような第2のグループまたは3つの別個の導波管セクションから成るアセンブリに連結するために好適である。導波管コネクタ30は、第1のアセンブリ40の3つの導波管セクション41、42、43の各々に連結され、一方で、対応する導波管コネクタ36が、第2のアセンブリ45の3つの導波管セクション46、47、48の各々に連結される。本実施形態においては、第1のアセンブリ40の導波管コネクタ30は、ボルト44等のオス型固定構成要素を含み、一方で、第2のアセンブリ45の導波管コネクタ36は、ボルト44を受け入れるためのネジ穴49、またはボルトが通過し、そこにナットが取り付け可能な穴等のメス型固定用構成要素を含む。しかしながら、他の実施形態においては、2つの導波管コネクタ30、36の各々は、オス型およびメス型固定手段の組み合わせを含んでもよい。
【0058】
図5中、簡単にするため、導波管セクション41、42、43、46、47、48は直線状のセクションとして示されているが、もちろん、上述の通り、導波管セクションが曲線状にされたり、互いに交差したりすることも可能である。
【0059】
2つの導波管コネクタ30、36は、固定ボルト44を介して互いに連結され、3対の導波管セクション41:46、42:47、43:48間のインタフェースを確立させ、RF信号がインタフェースを越えて伝搬され得る。銅または他の材料で作成されたワッシャまたはシムが、2つの導波管コネクタ30、36間に配置されてよく、それは、1つの導波管コネクタ30の各ボルト44と、対向する導波管コネクタ36のフランジとの間、または、全体として、2つのフランジ間の単一のワッシャ若しくはシム若しくはガスケットとしてである。フランジの対向する表面は、実質的に平坦であってよいが、さらなる変形例においては、各導波管コネクタのフランジは、連結を容易にする表面テクスチャ特徴を含んでよく、または、フランジの周囲に、溝および突起等の追加の固定手段を含んでよい。
【0060】
このようにして、複数の導波管セクションを互いに結合することで、複数の導波管アセンブリ間に特定のインタフェースを実装するために必要な導波管コネクタの数を低減する。例示した実施形態については、6つの導波管セクション41、42、43、46、47、48が、2つのコネクタ30、16のみを用いて接続されてよいことがわかるが、他の実施形態においては、1対の導波管コネクタごとに、より多くの導波管セクションが4つ以上のポートを介して接続されてよいことが理解されるだろう。さらなる実施形態においては、各導波管コネクタは、2つのポートのみを含んでよい。
【0061】
本発明の実施形態により、導波管ポートおよび固定手段の特定の配置が、導波管コネクタを用いて実装される導波管インタフェースの性能に影響を与えてよい。性能は、インタフェース箇所における信号損失および信号反射、またはPIM積の導入の観点から測定されてよく、本発明の実施形態において用いられる導波管コネクタは、信号損失および信号反射が最小化され、インタフェースの性能を最適化できるように構成されている。
【0062】
いくつかの実施形態において、このような最適化は、2つの導波管コネクタ間の連結圧力を、1対の導波管コネクタの対応するフランジ同士を互いにできるだけきつく固定することにより最大化させることで達成される。上述の実施形態においては、連結はボルトを用いて達成され、当該ボルトは、単一の導波管を連結するための導波管フランジに通常用いられるものより大きくてよい。
【0063】
コネクタの周りへのボルトおよびポートの分配は、連結力が複数のポートにわたり均等に付与されるように設計されてよく、これにより、2つの導波管コネクタフランジ間の連結圧力が、インタフェースを越えて2つの導波管コネクタ間で均一にし得るという、さらなる最適化をもたらしてよい。このようにして、各ポートによりRF信号に示される信号送信特性が互いに実質的に等しくされ得、このため、インタフェースの性質を標準化でき、このことは有利であってよい。
【0064】
個々の導波管コネクタがそれぞれの導波管インタフェースに設けられる従来型の配置とは対照的に、各導波管コネクタを手動で調整して、同一の連結力を達成する必要がないので、異なるポートを通る信号の伝搬を標準化させることで、性能が改善できる。
【0065】
いくつかの実施形態において、固定ボルトの最適な分配の一例は、対称配置であり、そこでは、コネクタの複数のポートも、対称的に配置される。しかしながら、他の実施形態においては、ポートの各々のサイズ(互いに等しくある必要はない)等のファクタ、および、導波管コネクタが導波管ネットワークに配置される場合の他の物理的制約により、非対称的な分配がより適切であってよい。
【0066】
本発明の他の実施形態においては、コネクタフランジに用いられる材料および存在するポートの数により、フランジ同士をできるだけきつく固定することは望ましくないことがある。理由は、これにより、フランジが固定点において、屈曲または変形した場合に、フランジに不均一性をもたらし得、引いてはそれが固定点から離れて屈曲または変形させることにつながる可能性があるからである。このような場合においては、フランジを変形させずにできるだけきつくなる固定圧力が望ましくてよい。代替的な実施形態においては、固定ボルトは、「Vバンド」クランプまたは「Vクランプ」に置き換えられてよい。通常、Vクランプは円形であり、クランプの内周がV字であり、円の中心から離れた向きにVの頂点を持つ。V字の内周は、ベベルエッジを有するフランジを受け入れる。Vクランプを締め付けると、V字の内部のエッジが、ベベルエッジを押し、フランジを共に引っ張る。
【0067】
このような連結の例が
図6Aおよび6Bに示されており、本発明のさらなる実施形態に係る導波管アセンブリを結合するために用いられる配置を示す。
図6Aは、Vクランプ50により連結された2つのフランジ52、53、および関連付けられた導波管54、55、56、57、58の斜視図である。Vクランプは、連結の締め付けを制御するための調節手段51または調節ゲージを含む。
図6Bは、線XYに沿った
図6Aのインタフェースの断面図である。
図6Bは、2つのインタフェースフランジ52、53および関連付けられた導波管54、56、57、58並びにVクランプ50のV字内部を示す。説明を簡単にするため、
図6Bは、フランジ52、53が完全に接合されていない構成を示す。フランジ52、53は、ベベルエッジ52a、53aを有し、Vクランプ50が調節手段51により締め付けられると、その内部がベベルエッジ52a、53aに向かって導かれ、2つのフランジ52、53を共に接合する。さらにVクランプ50が締め付けられると、フランジ52、53は、RF信号インタフェースを確立するために必要な圧力で共に接合される。
【0068】
上記の実施形態においては、フランジは、導波管ポートと交差した平坦なものとして記載されているが、他の実施形態においては、フランジがボルト締め領域の周りで、凹んだり、若しくは角度を付けられたり、または、Vクランプを用いる場合は、外縁に向かってテーパリングされることも可能である。このような構成が、RF導波管領域にわたって圧力が増大されることを可能にする。また、2つの導波管コネクタを連結するときに、フランジの面同士を互いにさらに閉じることを阻止させることで、特に圧力量を制御するためのニブを含めることも可能である。
【0069】
いくつかの実施形態において、フランジは、質量を最小化すべく、フランジ強度を保持するために必要な最小量の材料を含むよう構成されている。例えば、フランジがボルト締めされるべき場合、フランジの形状は、複数の導波管を捕獲し、且つ、固定ボルトを収容し、いかなる他の材料も除去させるのに十分な任意の形状を有してよい。
【0070】
各導波管アセンブリはその空間構成を最適化するように設計されており、2つ以上の導波管、およびいくつかの実施形態においては、アセンブリにおけるすべての導波管が互いに一体的に形成される態様で導波管アセンブリは構築される。導波管コネクタを用いて、他の導波管アセンブリとのインタフェースを取ることを可能にする場合、アセンブリの導波管およびそれぞれの1または複数の導波管コネクタの1または複数のインタフェースフランジは、一体的に形成されてよい。このような一体形成は、構成ファイルに基づく付加製造法(Additive Manufacturing:AM)を用いて達成されてよい。AMでは、導波管アセンブリは、ポリマー、セラミックまたは樹脂ベースの材料等のプラスチックまたは他の非金属材料等の材料の連続的な層を堆積させることで構築されるが、他の実施形態においては、AlSi10Mg合金またはチタニウム等の金属が用いられてよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、導波管アセンブリは、スイッチ等のネットワーク構成要素に接続されるべき、スタンドアロンの単一アセンブリとして構築される。他の実施形態においては、導波管およびネットワーク構成要素が、他のネットワークサブアセンブリまたは入力/出力インタフェースに接続するためのネットワークサブアセンブリとして一体的に形成されるように、スイッチ等の1または複数のネットワーク構成要素が導波管アセンブリの設計に統合される。
【0072】
導波管が個々に設計および組み立てられる従来のシステムと比較した場合、本発明の一体形成技術により、導波管アセンブリの全体的な物理的サイズが低減されている。
【0073】
サイズ低減の理由の1つは、導波管アセンブリ構造が自己支持型であることである。換言すると、1つの導波管は、別の導波管により、当該2つの導波管の間の一体的接続により支持されてよく、引いては、導波管のグループが、他の導波管のグループにより、同様に支持されてよい。故に、導波管アセンブリに、ブラケットおよび取り付け脚等の別個の支持構造を含める必要はない。2つの導波管の間の一体的接続は、2つの導波管が直接に物理的接触をする形態、または2つの導波管の各々と一体的な接続フィン等の材料を介して接続される形態を取ってよい。本発明の実施形態における一体的接続の別の形態は、2つ以上の導波管が1または複数の壁を共有するものである。
【0074】
別の理由は、AMプロセスで、層ごとに、導波管の各々の部分を同時に構築することで、導波管を他の導波管の周りにルーティングさせることが可能であることである。例えば、第1の導波管を設置し、その後、第1の導波管の周りに第2の導波管をルーティングさせ、その後、第1の導波管および第2の導波管の両方の周りに第3の導波管をルーティングさせる必要がない。このような一連のプロセスは、各段階で、後続の導波管ルーティングを可能にするための十分なスペースが残されることを必要とし、これが、構造全体のサイズを増大させることになる。これに対し、本発明の技術においては、このようなスペースは不要である。
【0075】
一般的に、導波管アセンブリを構成する従来技術は、所望のエンド・ツー・エンドネットワーク接続要件によって推進され、空間の利用可能性により制約を受ける。その結果、所望のネットワーク接続が達成され得るように、物理的に可能でさえあればどのような態様であれ、導波管がルーティングされる。一般的に、各導波管は個々に構成され、このアプローチは、通常、性能をさらに最適化し得る、特定の導波管の長さ方向に構造的変形を導入する可能性を考慮に入れることはしない。というのは、このことを達成しつつ、同時に導波管をネットワーク構成要素に接続するためのアクセス容易性、または追加の導波管の導入を実現することが不可能である可能性があるからである。
【0076】
1つの潜在的な構造の変形は、高温が予期され得る導波管の領域における、放熱等の熱効果を制御するための導波管の壁の厚みの変形であってよい。本発明の実施形態において、導波管アセンブリの設計に、このような熱構造を組み込むことが可能であり、いくつかの例においては、このような熱構造に機械的支持構造を一体化させることが可能である。他の構造の変形は、損失を低減すべく、銀めっき、または内部表面の円滑化を含めることに関するものであってよい。さらなる構造の変形は、機械的補強リブまたは熱放射体を含めることであってよい。さらなる構造の変形には、インタフェースの荷重を改善すべく、または、インタフェース平面の微調節が組み立てを容易にすることを可能にすべく、可撓性導波管セクションを導入することが含まれてよい。
【0077】
故に、アセンブリのサイズの低減に加え、RF信号送信の性能が改善されるように、有機的に設計された導波管のアセンブリを製造することが可能である。
【0078】
本発明の実施形態の導波管アセンブリで用いられるべき導波管は、長方形および/または楕円形の断面を有してよい。しかしながら、特定の用途、および最大許容量の信号損失等のパラメータ制約のために必要である場合、代替的な断面プロファイルが用いられてもよい。製造技術としてAMを用いると、異なる導波管の断面を用いることが容易になり、また、既製の導波管の典型的に固定された構造により制約されることなく、個々の導波管の異なる断面および長さ方向のサイズ間に遷移を導入することを可能にする。このような遷移は、充填密度を増大させること、および、経路長を低減させることを可能にすることにより、導波管アセンブリ全体が最適化されることを可能にしてよく、また、例えば、挿入ロスの低減により、性能が最適化されることを可能にしてもよい。同様に、導波管アセンブリは、特注の屈曲部、ねじれ部、他の構造を適切に導入することにより、最適化されてよく、要求される環境における機械的整合性を維持しつつ、アセンブリのサイズを最小化してよい。また、インタフェースにおいて用いられる材料(プラスチックまたは金属等、アルミニウム等)に連続性があるので、導波管とコネクタとの間のインタフェースにおける信号損失および信号反射も低減されてよい。
【0079】
上述の通り、AM等の技術を用いると、導波管の配置を最適化することを可能にし、その結果、導波管アセンブリは、小さな体積の中に収容可能になる。というのは、機械的固定を可能にすべく、アセンブリの部分へのアクセス容易性を保証するという従来の制約を回避できるからである。本発明の実施形態における導波管アセンブリのための導波管コネクタは、それらが、このような低減されたサイズの導波管アセンブリのインタフェース機能を保持しつつ、要求される物理コネクタ数を低減することが可能であるので、特に有利である。インタフェース構成要素の数の低減は、製造プロセスをさらに容易化させ、導波管アセンブリからの導波管ネットワークの組み立てを、より短時間で行うことが可能になる。
【0080】
図2に示す実施形態においては、本発明の導波管アセンブリは、このような構成要素に接続するために構成されてよく、または、1または複数の導波管が、1または複数の構成要素と「インライン」で一体的に形成されるように、製造されてよい。また、導波管が、例えば、サーキュレータまたはスイッチ本体のためのさらにいっそう複雑なハウジングまたはハウジング部分と一体的に作成されることも可能である。
【0081】
図7は、本発明の一実施形態による導波管アセンブリを製造する複数の段階を含む、RF信号ネットワークの製造方法を示す。
【0082】
方法は、段階S1で開始し、そこでは、RF信号ネットワークに必要な機器が、スペースクラフトパネル等のパネル上に配置される。段階S2で、特定の適用要件を満たすべく、機器の構成要素間の接続性が定義される。接続性は、データフローまたはシステムを定義するプロセスにおいて、または、電気回路ダイアグラムの構築において用いられるような論理的観点から定義されてよい。
【0083】
段階S3で、段階S1およびS2で、1または複数の導波管アセンブリの形態で定義したネットワーク接続性の具現化を最適化すべく、最適化プロセスが実行される。最適化プロセスとは、相互接続される導波管の経路長が、質量および/またはコストおよび/または製造時間を最小化しつつ、得られる空間領域内での導波管の密度の最大化を利用し、複数の層の導波管を3次元構造に構成するように、必要な導波管をグループまたはアセンブリとして配置するプロセスである。いくつかの実施形態において、最適化プロセスは、相互接続される導波管の経路長が最小化されるように構成することを含んでよい。空間の最適化に加え、最適化は、熱安定性および機械的安定性のための最適化をさらに含んでよい。上述の通り、後続の製造段階はAMに基づくので、所望の構造を製造できる能力が向上されていることにより、最適化プロセスを行うときに課される設計制約は低減される。
【0084】
段階S4で、上述の通り、1または複数の導波管アセンブリはAMを用いて製造され、1または複数のそれぞれのスタンドアロン構造を生産し、それらの各々では、少なくとも2つの導波管が一体的に形成される。AMに代わるものとして、ポリマー除去プロセスが用いられてよい。1または複数の導波管アセンブリを製造する代替例として、モールドを製造して、そこから特定の導波管アセンブリが得られてよいことも可能であってよい。
【0085】
導波管アセンブリの導波管の製造に加え、固定穴またはクランプ支持体等の適切な固定メカニズムを含め、導波管インタフェースフランジ等の付属的構成要素が、段階S4で製造されてもよい。また、製造プロセスは、導波管アセンブリに適用されるべき必要なめっき、またはペイントを含んでもよい。
【0086】
段階S5で、製造された1または複数の導波管アセンブリは、信号ネットワーク構成要素に接続すべく、および/または、他の導波管アセンブリとのインタフェースを取るべく、パネルに固定される。1または複数の導波管アセンブリは自己指示型構造であるので、
図1に示すような配置のように、別の導波管に対し各導波管をルーティングさせ、および構成する代わりに、アセンブリを、システム構成要素および/または他の導波管アセンブリへ接続することのみを行う必要がある。
【0087】
方法は、RF信号ネットワークの構築に関するこの段階で終了してよい。しかしながら、
図7に記載された複数の段階に加え、追加のテスト段階が実行されてもよい。例えば、導波管アセンブリ間のインタフェースが、標準設計の要件を満たすことを保証すべく、シミュレーションが実行されてよい。また、導波管が、特定のRF設計ガイドラインまたは機械的ストレス若しくは熱衝撃に耐えるための要件を満たすかどうかが評価されてよい。このようなシミュレーションは、宇宙等の環境での適合性のために、特定のネットワーク設計をテストすることに特に当てはまってよい。段階S4で導波管アセンブリが製造されると、AIT(Assembly,Integration and Test)プロセスの一環としてテストが行われてよい。
【0088】
上述の技術は、従来可能であってものに比べ、より迅速な調達およびより迅速な構築時間を可能にする。レイアウトはよりコンパクトであり、導波管ルーティングが従来困難としていた、大型で複雑なマルチビームミッションを容易化する。また、調達およびAITコストの節約も大きくなる可能性がある。
【0089】
本発明の実施形態に係る導波管アセンブリの典型的な宇宙ベースの適用は、KuバンドおよびKaバンドでの固定衛星業務(FSS)および放送衛星業務(BSS)である。他の適用は、マルチビームミッション(典型的にはKaバンド)である。しかしながら、また、本発明の技術に係る導波管アセンブリが、地上での適用および他の周波数帯域での適用を有することが可能であることも理解されたい。
【0090】
当業者は、特定の導波管アセンブリの特定の設計は、導波管アセンブリが意図する特定の適用、および導波管アセンブリが接続されるまたはインタフェースを取る特定の構成要素に依存することを理解されたい。プロセスおよび構築された導波管アセンブリが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲に属する限り、導波管アセンブリを構築するために用いられるべき特定の製造プロセスはそれに応じて選択されてよい。
【0091】
さらに、本発明の実施形態に係る導波管アセンブリのための導波管コネクタは、導波管ポートの数、特定の導波管アセンブリにおける導波管ポートへのアクセス可能性、および、通信されるべき信号の特定の周波数等の特定のシステム要件に応じ、多くの異なる方法で構成することが可能であることを、上記の説明から理解されたい。導波管コネクタの導波管ポートは、長方形、楕円形、または両方の種類の組み合わせの導波管、または他の断面の導波管を収容してよいこと、並びに、フランジは、固定要件およびアクセス容易性に応じて、ボルト、クランプまたは両方の種類の組み合わせを用いて連結されてよいことを理解されたい。また、本発明の実施形態に係る2つのコネクタで形成されるインタフェースを最適化するために必要な連結圧力を達成できるような異なる連結手段が用いられてもよいこと、並びに、クランプおよびボルトは例示に過ぎないことをさらに理解されたい。
【0092】
故に、特定のシステム要件に基づく、複数の異なる導波管コネクタの設計は、特許請求の範囲に属し、当業者は、上述の実施形態から特徴を組み合わせて用い、このようなコネクタで形成されるインタフェースを越えるRF信号送信の特性を測定することで、特定の構成を最適化できるであろう。故に、当業者は、経験則により、特定の導波管の連結力を調整できる。同様に、導波管コネクタ上の導波管ポートの構成も経験則により決定され得る。