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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】塗装用ブラシ及び塗装方法
(51)【国際特許分類】
   A46B 5/00 20060101AFI20220712BHJP
   A46B 3/12 20060101ALI20220712BHJP
   B05D 1/28 20060101ALN20220712BHJP
【FI】
A46B5/00 C
A46B3/12
B05D1/28
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018025825
(22)【出願日】2018-02-16
(65)【公開番号】P2019141147
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】505307002
【氏名又は名称】株式会社壁紙革命
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】萩原 利男
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04134173(US,A)
【文献】米国特許第03629894(US,A)
【文献】実開昭60-164926(JP,U)
【文献】実開昭53-140763(JP,U)
【文献】特開2002-369717(JP,A)
【文献】米国特許第04244074(US,A)
【文献】米国特許第05822823(US,A)
【文献】米国特許第04882802(US,A)
【文献】特開2003-300006(JP,A)
【文献】米国特許第06088871(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 5/00- 5/06
A46B 3/12
B05D 1/28
B05C17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の毛が裏面に植設された基体と、
前記基体の表面に保持されるベースと、前記ベースに略垂直に立設される2つの支柱と、前記ベースに対向する位置に配置されて、前記2つの支柱に掛け渡されて前記基体の長手方向に沿って前記基体と略平行に延びる円筒状のグリップを有する把持体と、を備え、
前記ベースの長手方向における寸法は、前記基体の長手方向にける寸法より短く、
前記基体は、前記把持体を前記基体の長手方向に案内するガイド部を有し、
前記ガイド部は、前記把持体を位置調節自在に挟持し、
前記把持体は、前記基体の長手方向に着脱自在に設けられる
ことを特徴とする塗装用ブラシ。
【請求項2】
前記把持体は、前記基体に対する前記把持体の位置を調節可能なロック機構を有することを特徴とする請求項に記載の塗装用ブラシ。
【請求項3】
前記把持体を前記基体の中心から偏心した位置に調節して前記基体によって保持するステップと、
前記毛に塗料を含ませるステップと、
前記塗装用ブラシの姿勢を、前記基体の長手方向が鉛直方向になり、前記把持体が前記基体の中心より下方になるようにするステップと、
前記毛を被塗装体の鉛直面に当接させた状態で、前記塗装用ブラシを水平方向に移動するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の塗装用ブラシを用いた塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装用ブラシ及び塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柄と毛束構成部とを分離可能にした塗装用刷毛がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の塗装用刷毛は、柄と毛束構成部との位置関係が固定されているので、ユーザの体勢及び塗装できる範囲のそれぞれに限界があり、例えば、建築物の壁面等の鉛直面における高所を、楽な体勢で塗装することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-289627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであり、鉛直面における広範囲を容易に塗装できる塗装用ブラシ及び塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の塗装用ブラシは、複数の毛が裏面に植設された基体と、前記基体の表面に設けられ、前記基体の長手方向に沿う棒状のグリップを有する把持体と、を備え、前記把持体は、前記基体の長手方向に着脱自在に設けられる。
(2)上記(1)の構成において、前記基体は、前記把持体を前記基体の長手方向に案内するガイド部を有する。
(3)上記(2)の構成において、前記ガイド部は、前記把持体を位置調節自在に挟持する。
(4)上記(1)から(3)のいずれかの構成において、前記把持体は、前記基体に対する前記把持体の位置を調節可能なロック機構を有する。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの構成の塗装用ブラシを用いた塗装方法は、前記把持体を前記基体の中心から偏心した位置に調節して前記基体によって保持するステップと、前記毛に塗料を含ませるステップと、前記塗装用ブラシの姿勢を、前記基体の長手方向が鉛直方向になり、前記把持体が前記基体の中心より下方になるようにするステップと、前記毛を被塗装体の鉛直面に当接させた状態で、前記塗装用ブラシを水平方向に移動するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鉛直面における広範囲を容易に塗装できる塗装用ブラシ及び塗装方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る塗装用ブラシの斜視図である。
図2】基体と把持体とが分離した状態を示す説明図である。
図3】塗装用ブラシの正面図である。
図4】塗装用ブラシの左側面図である。
図5】塗装用ブラシの背面図である。
図6】塗装用ブラシの平面図である。
図7図3におけるA矢視断面詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る塗装用ブラシ100の斜視図である。図2は、基体20と把持体30とが分離した状態を示す説明図である。図3は、塗装用ブラシ100の正面図である。図4は、塗装用ブラシ100の左側面図である。図5は、塗装用ブラシ100の背面図である。図6は塗装用ブラシ100の平面図である。図7図3におけるA矢視断面詳細図である。
【0011】
塗装用ブラシ100は、例えば、建築物の壁面等の鉛直面を有する被塗装体Wを塗装する際に、ユーザによって用いられるブラシ(刷毛)である。塗装用ブラシ100は、特に、高所を有する被塗装体Wの鉛直面を塗装する際に有用である。
【0012】
図1に示すように、塗装用ブラシ100は、複数の毛10が裏面20bに植設された基体20と、基体20の表面20aに設けられ、基体20の長手方向Lに沿う棒状のグリップ31を有する把持体30と、を備える。
このように、棒状のグリップ31が基体20の長手方向Lに沿って設けられるので、ユーザは、棒状のグリップ31を握り、塗装用ブラシ100の姿勢を、その長手方向Lが鉛直方向(重力方向)になるように保ったまま、塗装用ブラシ100に対して鉛直面に向かう力と、鉛直面に沿う塗装したい方向、特に、水平方向への力とを、同時に加え易い。よって、ユーザは、塗装用ブラシ100の姿勢を、その長手方向Lが鉛直方向(重力方向)になるように保ったまま、塗装用ブラシ100の複数の毛10を被塗装体Wの鉛直面に当接させつつ、塗装用ブラシ100を鉛直面に沿って塗装したい方向へスライドでき、また、塗装する方向と塗装用ブラシ100の長手方向Lとを交差させて、一度の動作で広い範囲を塗装できる。よって、ユーザは鉛直面における広範囲を容易に塗装できる。
【0013】
また、図2に示すように、把持体30は、基体20の長手方向Lに着脱自在に設けられる。
このように、把持体30は、基体20に対して着脱自在であるので、複数の毛10が消耗されても、複数の毛10が植設された基体20ごとの交換が容易であるとともに、把持体30を繰り返し使用できる。また、把持体30の着脱する方向は、基体20の長手方向Lであるので、基体20に対して把持体30の位置を調節する方向と着脱方向とを同じ方向にできる。よって、塗装用ブラシ100の構造を単純にでき、ユーザは基体20に対して把持体30を簡単な動作で着脱できる。さらに、把持体30の着脱する方向は、棒状のグリップ31に沿っているので、基体20と把持体30とを着脱する際に着脱する方向に力を入れ易い。よって、ユーザは基体20に対して把持体30を簡単な動作で着脱できる。
【0014】
以下、塗装用ブラシ100を構成する各要素について、更に詳細に説明する。
【0015】
(基体20)
基体20は、図2又は図3に示すように、正面視において、長手方向Lを有する長方形状である。
【0016】
基体20の長方形状を構成する各辺のうち、少なくとも一辺(図6において左側の辺)は、基体湾曲部22Rとしてよい。基体湾曲部22Rは、図6に示すように、平面視において、表面20a側に向けて湾曲(裏面20b側に突出)しており、弾性変形可能になっている。なお、基体湾曲部22Rの弾性率は、第2基板22の厚みや材質で調節できる。
これにより、基体湾曲部22Rの裏面20bに植設された毛10を被塗装体Wの入隅角部(不図示)に押し付けた際に、基体湾曲部22Rが弾性範囲で変形し、入隅角部の湾曲した形状になじんだ形状になるので、入隅角部の塗装ムラを抑制できる。
なお、基体湾曲部22Rは、基体20の長方形状を構成する各辺のうち、左側と右側の両方の辺に設けてもよい。これにより、塗装用ブラシ100を上下反転させなくても、鉛直面を塗装しながら、入隅角部を塗装できる。
【0017】
基体20は、図6に示すように、第1基板21と、第2基板22とを備える。第1基板21は、第2基板22の表側面に固定されている。
【0018】
基体20における第1基板21の素材は、例えば、ポリプロピレン製等の熱可塑性樹脂である。
基体20における第1基板21は、把持体30を基体20の長手方向Lに案内するガイド部21Gを有する。
これにより、基体20に対して把持体30の位置を調節できる。したがって、塗装用ブラシ100は、例えば、通常の使用時では、基体20の長手方向Lにおける略中心の位置に把持体30を保持した状態に変形でき、特に鉛直面における高所等、ユーザを中心とする広範囲を塗装したい時では、基体20の長手方向Lにおける中心から偏心する位置に把持体30を保持した状態に変形できる。すなわち、塗装用ブラシ100が、基体20の長手方向Lにおける中心から偏心する位置に把持体30を保持した状態であると、基体20の長手方向Lにおける略中心の位置に把持体30を保持した状態と比べて、ユーザが把持体30のグリップ31を握った状態で手を上方に伸ばした時に、塗装用ブラシ100の先端(基体20の長手方向Lにおける先端に植設された毛10)を、より鉛直面における上方に到達させることができる。よって、塗装用ブラシ100を用いて、ユーザを中心とする広範囲を塗装できる。
【0019】
ガイド部21Gは、具体的には、基体20における左右両側の際において、基体20の長手方向Lに沿って、基体20の板面から突出するように立設されたリブである。両リブは、略平行であり、互いが向き合う溝をそれぞれ形成する。そして、リブによって形成された両溝に、把持体30のベース32が、リブをわずかに拡張するような状態で嵌ることにより、把持体30のベース32がリブの弾性によって挟持されるようになっている。すなわち、溝は、ベース32の両際における厚みより、狭い部分を有する。つまり、基体20のガイド部21Gは、把持体30を位置調節自在に挟持する。
また、このようにガイド部21Gによって形成された溝に把持体30のベース32が嵌った状態でも、ガイド部21Gからある程度の摩擦抵抗を受けながらも、基体20に対して把持体30をガイド部21Gに沿って移動可能である。さらに、基体20は、ガイド部21Gが基体20の板面から突出するように立設されているので、基体20の板厚が薄くても、基体20の曲げ剛性及びねじり剛性を向上させることができる。よって、塗装用ブラシ100を軽量及びコンパクトな構造にできる。
【0020】
これにより、基体20に対して把持体30の位置を調節できるとともに、基体20に対する把持体30の位置を、調節した位置で保持できる。よって、基体20に対して把持体30をガイド部21Gに沿ってスライドさせて所望の位置に調節した後、スライドを止めると直ぐに、ガイド部21Gが把持体30を挟持して保持できる。
【0021】
基体20における第2基板22の素材は、毛10を植設でき、毛10を保持でき、塗装用ブラシ100の使用時において、被塗装体Wの鉛直面が有する凹凸形状に追従して変形可能なクッション性を有するものであればよく、例えば、ウレタンフォールやセルロースフォームのような発泡樹脂(いわゆるスポンジ)である。なお、毛10は、基体20に対して直接的に植設されてもよく、基体20の裏面20bに貼付されるシート状体(不図示)に植設されてもよい。
また、第2基板22は、塗料を染み込ませて保持するため、連続気泡を有する発泡樹脂としてもよい。
【0022】
(毛10)
図6に示すように、毛10は、基体20における裏面20bの全面に亘って複数、密集して植設されている。また、毛10は、一端が基体20の第2基板22に植設され、他端が自由端である直線状のものであり、略均一の長さである。毛10は、直線状であるので、複数の毛10を密集させることができ、塗装ムラを抑制できるとともに、毛管現象により塗料を保持し易い。特に、直線状である毛10は、湾曲部10Rであっても、複数の毛10を密集させることができるので、入隅角部における湾曲した形状の部分の塗装ムラを抑制できるとともに、毛管現象により塗料を保持し易い。
【0023】
毛10の素材は、塗料を保持するのに適するものであればよく、例えば、ポリエステル繊維等の化学繊維又は獣毛等の天然繊維である。毛10は、塗料が付着されているかどうかを判りやすくするため、通常、白色、半透明又は透明であるが、色付けされていてもよい。
【0024】
なお、毛10は、基体20の裏面20bに対して、略垂直に設けられていてよい。また、毛10は、基体20の裏面20bの法線に対して、左方(湾曲部10R側)にのみ傾斜していてもよい。これにより、入隅角部の塗装ムラを軽減できる。また、毛10は、基体20の裏面20bの法線に対して、上方にのみ傾斜していてもよい。また、毛10は、基体20の裏面20bの法線に対して、正面から見て左斜め上向きに傾斜していてもよい。このように、毛10には、いわゆる毛並みがあるので、入隅角部の塗装ムラを軽減できるとともに、毛10が塗料を比較的長く保持できる。また、毛10は、単体の繊維であってよいが、撚線又は毛束であってもよい。毛10は、基体20からループ状に突出するループパイルであってもよい。
【0025】
(把持体30)
把持体30は、ユーザが塗装用ブラシ100を手で握って把持して使用できるようにしたものであり、例えば、熱可塑性樹脂等によって形成される。把持体30は、基体20のガイド部21Gに挟持されることにより、基体20の長手方向Lにおいて位置調節自在に設けられる。
把持体30は、ベース32と、ベース32から立設される2つの支柱33と、2つの支柱33に掛け渡されて固定されるグリップ31と、を備える。そして、把持体30は、図4に示すように、側面視において、片仮名のコ字状又はアルファベットのC字状となっている。
【0026】
ベース32は、基体20における第1基板21に設けられたガイド部21Gによって挟持されて保持される部分である。ベース32は、基体20に対して、適宜の位置に調節された後、後述するロック機構40(図7参照)によって固定可能である。また、ベース32の長手方向Lにおける寸法は、基体20の長手方向Lにおける寸法より短い。これにより、把持体30を軽量及びコンパクトにできる。
【0027】
支柱33は、ベース32の表側面に対して略垂直に立設されるものであり、被塗装体Wの鉛直面に対して使用する際に、立設する方向が水平になるように設けられる。
【0028】
グリップ31は、支柱33の立設する方向に対して略垂直であり、被塗装体Wの鉛直面に対して使用する際に、グリップ31の方向が鉛直方向になるように設けられる。
また、グリップ31は、直径が略30mm程度の円筒状の外形状を有する。これにより、ユーザは、手の全体を使ってグリップ31の外周をしっかりと握ることができ、掌を塗装用ブラシ100の移動方向である水平方向に向けられるので、ユーザの力を塗装用ブラシ100へと確実に伝えることができる。
【0029】
このように、把持体30は、側面視において片仮名のコ字状又はアルファベットのC形状であり(図4参照)、平面視においてアルファベットのI形状であり(図6参照)、正面視においてアルファベットのI形状(図3参照)である。よって、ユーザは、手の全体を使ってグリップ31の外周をしっかりと握ることができるので、塗装用ブラシ100を使用している際に、被塗装体Wからの摩擦等による反力で塗装用ブラシ100に対して上下左右方向に回転モーメントが生じても、小さな負担で抵抗して塗装用ブラシ100の姿勢を安定して保ちながら塗装できる。よって、塗装用ブラシ100が被塗装体Wの接する部分である塗装面が大きく、摩擦抵抗が大きくても、把持体30の位置が基体20の中心から偏心していても、塗装時におけるユーザの負担を軽減できるので、被塗装体Wを塗装し易い。
【0030】
(ロック機構40)
図3及び図7に示すように、把持体30は、基体20に対する把持体30の位置を調節可能なロック機構40を有する。
これにより、基体20に対する把持体30の位置を、調節した位置で強力に固定できる。よって、毛10を被塗装体Wに当接させた状態で、ユーザが把持体30を持って塗装用ブラシ100を基体20の長手方向Lにスライドしても、基体20に対する把持体30の位置を保持したまま、塗装できる。
【0031】
ロック機構40は、詳細には、図7に示すように、把持体30のベース32に設けられたロックネジ穴42と、ロックネジ穴42に対して螺着自在なロックネジ41とを備える。そして、ロックネジ41をロックネジ穴42に螺着して締め付けることにより、ロックネジ41の先端が第1基板21の表面20aに当接する力が強まることで、把持体30を基体20の長手方向Lへ動かそうとする力に対する摩擦抵抗力が高まり、基体20に対する把持体30の位置を固定できる。また、ロックネジ穴42に螺着されたロックネジ41を緩めることにより、ロックネジ41の先端が第1基板21の表面20aに当接する力が弱まり、基体20に対する把持体30の位置を調節可能になる。
【0032】
(塗装用ブラシ100の製造方法)
以下、塗装用ブラシ100の製造方法の一形態を説明する。
塗装用ブラシ100は、複数の毛10が裏面20bに植設された基体20と、基体20の表面20aに設けられた把持体30と、を備えるので、複数の毛10が裏面20bに植設された基体20と、把持体30とを分けて製造できる。
【0033】
なお、塗装用ブラシ100の寸法は、正面視において、例えば、横120mm×縦400mmである。基体20の表面20aから毛10の先端部までの厚みは、略10mm~20mmである。毛10の長さは略5mmである。毛10の湾曲部10Rの曲率半径は、略15mmである。基体湾曲部22Rの曲率半径は、略10mmである。各寸法は、±5mm程度の範囲で設計変更が可能である。
【0034】
塗装用ブラシ100の把持体30は、例えば、樹脂をモールド成形することにより製造する。
一方、塗装用ブラシ100の基体20は、例えば、次のように製造する。
まず、例えば、熱可塑性樹脂を押出成形し、適切な長さ(縦寸法)となるように押出方向の適切な位置で切断することにより、ガイド部21Gを有する第1基板21を製造する。
また、あらかじめ均一な長さの毛10を、第2基板22の裏面20bとなるスポンジ状の平板の片面に植設して、第2基板22を製造する。なお、この際、複数の毛10を第2基板22の裏面20bに直接植設してもよく、複数の毛10があらかじめ植設されたシート状体(不図示)を第2基板22の裏面20bに貼付してもよい。
次に、第2基板22と第1基板21とを接着等による貼り合わせ等の適宜の手段により一体化する。
最後に、第2基板22と第1基板21とが一体化された基体20のガイド部21Gによって形成された溝に、把持体30のベース32を嵌め込み、ベース32をガイド部21Gによって挟持させる。
このようにして、塗装用ブラシ100は簡単に製造できる。
【0035】
(塗装用ブラシ100を用いた塗装方法)
塗装用ブラシ100は、次のような塗装方法に用いられる。なお、ここでは、右利きのユーザが、塗装用ブラシ100を用い、被塗装体Wの鉛直面を塗装しながら入隅角部を塗装する場面を想定して説明する。
(A1)まず、把持体30を基体20の中心から偏心した位置に調節して基体20によって保持する(ステップA1)。
(A2)毛10に塗料を含ませる(ステップA2)。
(A3)続いて、塗装用ブラシ100の姿勢を、基体20の長手方向Lが鉛直方向になり、把持体30が基体20の中心より下方になるようにする(ステップA3)。
(A4)そして、把持体30のグリップ31を握り、毛10を被塗装体Wの鉛直面に当接させた状態で、塗装用ブラシ100の姿勢を維持したまま、塗装用ブラシ100を水平方向に移動する(ステップA4)。
このようなステップを含む、塗装用ブラシ100を用いた塗装方法によれば、被塗装体Wの鉛直面に対して、ユーザを中心とする広い範囲において、一度の移動で大きな面積を塗装できる。
【0036】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0037】
本発明の塗装用ブラシ100は、複数の毛10が裏面20bに植設された基体20と、基体20の表面20aに設けられ、基体20の長手方向Lに沿う棒状のグリップ31を有する把持体30と、を備え、把持体30は、基体20の長手方向Lに着脱自在に設けられるので、基体20と把持体30とを別体で製造でき、基体20と把持体30とを簡単に着脱でき、基体20に対する把持体30の位置を簡単に調節できる。よって、鉛直面における広範囲を容易に塗装できる。
【0038】
本発明の塗装用ブラシ100を用いた塗装方法は、把持体30を基体20の中心から偏心した位置に調節して基体20によって保持するステップと、毛10に塗料を含ませるステップと、塗装用ブラシ100の姿勢を、基体20の長手方向Lが鉛直方向になり、把持体30が基体20の中心より下方になるようにするステップと、毛10を被塗装体Wの鉛直面に当接させた状態で、塗装用ブラシ100を水平方向に移動するステップと、を含むので、被塗装体Wの鉛直面における高所に対してであっても、塗装用ブラシ100を介して、ユーザの力を十分に伝えながら塗装できる。よって、鉛直面における広範囲を容易に塗装できる。
【符号の説明】
【0039】
10 毛
10R 湾曲部
11 先端部
11c 湾曲面
11p 平坦面
20 基体
20 薄基体
20a 表面
20b 裏面
21 第1基板
21G ガイド部
22 第2基板
22R 基体湾曲部
30 把持体
31 グリップ
32 ベース
33 支柱
40 ロック機構
41 ロックネジ
42 ロックネジ穴
100 塗装用ブラシ
L 長手方向
W 被塗装体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7