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特許7103721搬送用カテーテル及び血管内留置具搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】搬送用カテーテル及び血管内留置具搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/95 20130101AFI20220712BHJP
【FI】
A61F2/95
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018101213
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2018202153
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2017111009
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白濱 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】村上 和範
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 弘樹
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-517677(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0125240(KR,A)
【文献】特表2014-516708(JP,A)
【文献】特開2009-268753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に留置される血管内留置具を搬送するための搬送用カテーテルであって、
可撓性を有し、先端側の部分を構成する複数の先端側構成部が互いに離間可能に構成されたカテーテル本体部と、
前記複数の先端側構成部どうしに架け渡されるように配設され、離間した前記複数の先端側構成部を離間していない状態に復元させるための復元手段と、
を備え、
前記復元手段は、前記カテーテル本体部における軸方向と略直交する径方向の長さが最も大きい最大径部分以外の部分であって、前記カテーテル本体部の先端側の凹部に、前記カテーテル本体部の軸方向に対して移動不可に配設されている搬送用カテーテル。
【請求項2】
前記復元手段は、前記カテーテル本体部における前記最大径部分の表面よりも軸心側に凹んだ前記凹部に配設されている請求項1に記載の搬送用カテーテル。
【請求項3】
前記復元手段は、
離間した前記複数の先端側構成部どうしに架け渡されるように配設され、当該複数の先端側構成部どうしを近付ける方向に付勢する弾性部材を含み、
前記カテーテル本体部における前記最大径部分以外の部分に前記弾性部材が配設された状態で、当該弾性部材の径方向の長さが前記最大径部分の径方向の長さよりも小さくなっている請求項1または2に記載の搬送用カテーテル。
【請求項4】
前記カテーテル本体部は、その内側に前記血管内留置具を収容し、
前記カテーテル本体部の先端側に、前記血管内留置具を血管内に放出するために当該先端側の部分を裂開させるための裂開部が設けられている請求項1~のいずれか一項に記載の搬送用カテーテル。
【請求項5】
血管内に留置される血管内留置具と、前記血管内留置具を搬送するための搬送用カテーテルと、を備える血管内留置具搬送装置であって、
前記搬送用カテーテルは、
可撓性を有し、先端側の部分を構成する複数の先端側構成部が互いに離間可能に構成されたカテーテル本体部と、
前記複数の先端側構成部どうしに架け渡されるように配設され、離間した前記複数の先端側構成部を離間していない状態に復元させるための復元手段と、
を備え、
前記復元手段は、前記カテーテル本体部における軸方向と略直交する径方向の長さが最も大きい最大径部分以外の部分であって、前記カテーテル本体部の先端側の凹部に、前記カテーテル本体部の軸方向に対して移動不可に配設されている血管内留置具搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用カテーテル及び血管内留置具搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステントグラフトや異物捕捉・回収用デバイス等の血管内留置具を血管内に留置する場合、シースイントロデューサーを血管内に導入し、そのシースを介して血管内留置具を搬送するための搬送用カテーテルを挿入するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-109881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1等のように、シースイントロデューサーを用いると、手技が複雑となるだけでなく、シースが搬送用カテーテルよりも大径のために切開創の幅が大きくなってしまう。一方、シースイントロデューサーを用いることなく搬送用カテーテルを血管内に導入する場合には、搬送用カテーテル全体の径を小さくするなどの制約が生じる。
【0005】
また、血管内に搬送用カテーテルを導入する際の抵抗の低減を図る上では、当該搬送用カテーテルの先端側の部分の表面は、滑らかで凹凸が少ない形状が好ましいと考えられる。さらに、血管内で搬送用カテーテルを進退させる際の抵抗の低減を図る上でも同様に、当該搬送用カテーテルの表面は、滑らかで凹凸が少ない形状が好ましいと考えられる。そのため、例えば、血管内留置具を放出するために搬送用カテーテルの先端側の部分を裂開可能とし、裂開した先端側の部分を元の形状に復元させるための復元手段が搬送用カテーテルの外面に設けられると、搬送用カテーテルの表面に凹凸が生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、搬送用カテーテルを血管内に導入したり血管内で進退させたりする際の抵抗の低減を図ることができる搬送用カテーテル及び血管内留置具搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様は、
血管内に留置される血管内留置具を搬送するための搬送用カテーテルであって、
可撓性を有し、先端側の部分を構成する複数の先端側構成部が互いに離間可能に構成されたカテーテル本体部と、
前記複数の先端側構成部どうしに架け渡されるように配設され、離間した前記複数の先端側構成部を離間していない状態に復元させるための復元手段と、
を備え、
前記復元手段は、前記カテーテル本体部における軸方向と略直交する径方向の長さが最も大きい最大径部分以外の部分であって、前記カテーテル本体部の先端側の凹部に、前記カテーテル本体部の軸方向に対して移動不可に配設されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の他の態様は、
血管内に留置される血管内留置具と、前記血管内留置具を搬送するための搬送用カテーテルと、を備える血管内留置具搬送装置であって、
前記搬送用カテーテルは、
可撓性を有し、先端側の部分を構成する複数の先端側構成部が互いに離間可能に構成されたカテーテル本体部と、
前記複数の先端側構成部どうしに架け渡されるように配設され、離間した前記複数の先端側構成部を離間していない状態に復元させるための復元手段と、
を備え、
前記復元手段は、前記カテーテル本体部における軸方向と略直交する径方向の長さが最も大きい最大径部分以外の部分であって、前記カテーテル本体部の先端側の凹部に、前記カテーテル本体部の軸方向に対して移動不可に配設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送用カテーテルを血管内に導入したり血管内で進退させたりする際の抵抗の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る一実施形態の血管内留置具搬送装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図1の血管内留置具搬送装置の破線Aで囲まれた部分を拡大して示す斜視図である。
図3】(a)~(c)は血管内留置具を放出する際の使用方法を説明するために示す図である。
図4】(a)及び(b)は血管内留置具を放出する際の使用方法を説明するために示す図である。
図5】(a)及び(b)は血管内留置具を収容する際の使用方法を説明するために示す図である。
図6】(a)及び(b)は血管内留置具を収容する際の使用方法を説明するために示す図である。
図7】血管内留置具搬送装置の変形例を示す斜視図である。
図8】(a)及び(b)は血管内留置具を収容する際の使用方法を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態の血管内留置具搬送装置100の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1の血管内留置具搬送装置100の破線Aで囲まれた部分を拡大して示す斜視図である。
【0012】
本実施形態の血管内留置具搬送装置100は、血管(図示略)内に留置される血管内留置具1を当該血管内留置具1の留置部位まで搬送するものであり、具体的には、図1及び図2に示すように、血管内留置具1と、この血管内留置具1を搬送するための搬送用カテーテル2と、を備えている。
なお、図1図8(b)(後述)にあっては、血管内留置具搬送装置100の各部を模式的に表し、図2図8(b)にあっては、弾性部材25(後述)を透過させるように破線で模式的に表している。また、以下の説明では、搬送用カテーテル2の使用者からみて遠い方(遠位側)を先端側とし、使用者からみて近い方(近位側)を基端側とする。
【0013】
<血管内留置具>
先ず、血管内留置具1について説明する。
血管内留置具1としては、例えば、血管内に半永久的に留置されるステントグラフト11(図3(a)等参照)や、一時的に留置される異物捕捉・回収用デバイス(例えば、異物回収用デバイス12;図5(a)等参照)等が挙げられるが、一例であってこれらに限られるものではなく、公知のものであれば如何なるものも適用可能である。
【0014】
ここで、ステントグラフト11については、詳細な説明は省略するが、例えば、金属細線がジグザグ状に折り返されるとともに略円筒状に成形された自己拡張型のステント部と、当該ステント部を外周から覆うように縫合固定されたグラフト部(何れも図示略)とを有するものが挙げられる。
なお、ステント部を構成する金属細線の材料としては、例えば、Ni-Ti合金、ステンレス鋼、チタン合金などに代表される公知の金属や金属合金が挙げられる。
また、グラフト部を構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0015】
異物捕捉・回収用デバイスとは、血管などの管状組織の内部に発生した血栓又は塞栓などの異物を捕捉又は回収するものである。異物捕捉・回収用デバイスとしては、例えば、拡張・収縮可能な異物捕捉用デバイス(図示略)や、異物捕捉用デバイスにより捕捉された異物を回収するための拡張・収縮可能な異物回収用デバイス12等が挙げられる。
異物捕捉用デバイスについては、詳細な説明は省略するが、例えば、金属細線から成形され、拡張状態にて略球状をなす。また、異物回収用デバイス12については、詳細な説明は省略するが、例えば、金属細線から成形され、拡張状態にて先端側が開口した略籠状をなす。
なお、異物捕捉・回収用デバイスを構成する金属細線の材料としては、例えば、Ni-Ti合金、ステンレス鋼、チタン合金などに代表される公知の金属や金属合金が挙げられるが、異物捕捉用デバイスは、超弾性(変形しても力を取り除くとすぐに元の形に戻る性質)を有する材料から構成されるのが好ましい。
【0016】
上記したステントグラフト11、異物捕捉・回収用デバイス等の血管内留置具1は、収縮状態にて搬送用カテーテル2の内側に収容されるようになっている。
【0017】
<搬送用カテーテル>
次に、搬送用カテーテル2について説明する。
搬送用カテーテル2は、内側に血管内留置具1を収容するカテーテル本体部21を有している。
【0018】
カテーテル本体部21は、可撓性を有する材料で形成された長尺な管状部材であり、その先端側に、血管内留置具1を血管内に放出するための放出部211が設けられている。また、カテーテル本体部21は、長尺な大径部21aと、この大径部21aの先端部に連続して形成されたテーパ部21bと、このテーパ部21bの先端部に連続して形成された小径部21cとを具備している。
なお、可撓性を有する材料としては、例えば、合成樹脂(エラストマー)、合成樹脂に他の材料が混合された樹脂コンパウンド、合成樹脂が多層で構成された多層構造体、または合成樹脂と金属線との複合体等が挙げられる。
【0019】
大径部21aは、カテーテル本体部21における軸方向(例えば、図2における左右方向等)と略直交する径方向(例えば、図2における上下方向等)の長さが最も大きい最大径部分をなしている。
また、大径部21aのテーパ部21b側(先端側)の部分には、弾性部材25(詳細後述)が配設される凹部21dが形成されている。
【0020】
凹部21dは、大径部21aの表面から軸心側に所定の深さ凹み、カテーテル本体部21の全周にわたって環状に形成されている。また、凹部21dは、カテーテル本体部21における最大径部分(大径部21a)以外の部分を構成している。
凹部21dの深さは、例えば、この凹部21dに配設された状態のチューブ状の弾性部材25の厚さよりも大きく(深く)なっている。すなわち、例えば、シースイントロデューサーを用いることなく血管内に搬送用カテーテル2を導入する場合、皮膚や血管に弾性部材25の表面が接触すると、抵抗が大きくなってしまうため、凹部21dの深さが弾性部材25の厚さよりも大きい方が好ましい。なお、例えば、シースイントロデューサーを用いて血管内に搬送用カテーテル2を導入する場合には、凹部21dの深さは、弾性部材25の厚さとほぼ等しくなっていてもよいし、小さく(浅く)なっていてもよい。また、凹部21dの内径は、大径部21aに収容されている収縮状態の血管内留置具1の外径よりも小径とされている。
【0021】
なお、凹部21dは、例えば、略一定の外径を有する大径部21aの先端側の部分を熱処理することで形成されるが、一例であってこれに限られるものではなく、凹部21dを形成する手法は適宜任意に変更可能である。
また、凹部21dと大径部21aとの接続部分は、テーパ状に傾斜されているが、一例であってこれに限られるものではなく、例えば、凹部21dの壁面と大径部21aの表面とが略直交していてもよい。
【0022】
テーパ部21bは、その外径が基端側から先端側にかけて漸次縮径され、例えば、当該カテーテル本体部21の軸方向に対して所定の角度で傾斜するように絞り加工が施されることで形成される。
【0023】
小径部21cは、その外径が当該カテーテル本体部21の他の部分、すなわち、大径部21a、テーパ部21b及び凹部21dよりも小径とされている。また、小径部21cの内径は、大径部21aに収容されている収縮状態の血管内留置具1の外径よりも小径とされている。
なお、小径部21cの先端側開口は、閉塞手段(例えば、先端チップ3等)により閉塞されているが、閉塞手段については後述する。
【0024】
また、小径部21cの周面部には、その先端側開口から基端側に切り欠かれた切欠部22が形成され、この切欠部22に対応させて、当該小径部21cを裂開させるための裂開部23が形成されている。
具体的には、小径部21cの周方向に沿って所定の角度(例えば、180°等)を空けて複数(例えば、2つ)の切欠部22、22が形成されている。切欠部22における先端側開口に連続する2つの切欠面には丸みが付けられ、例えば、各切欠面は、他方の切欠面側に膨らむように略円弧状に形成されている。そして、各切欠部22と軸方向に対して略平行な方向に並ぶように裂開部23が複数(例えば、2つ)形成されている。
【0025】
裂開部23は、カテーテル本体部21の先端側の部分、特に、小径部21cを当該カテーテル本体部21の軸方向に沿って裂開させるためのものである。具体的には、裂開部23は、切欠部22の基端側の部分に連続するように形成された切れ目23aと、カテーテル本体部21の周面部を貫通して形成された開口部23bとを有している。
【0026】
切れ目23aは、所定の幅でカテーテル本体部21の軸方向と略平行に延在し、その大部分が小径部21cに形成されている。また、切れ目23aの基端側の部分は、細く尖った形状を有し、その端部がテーパ部21bに位置している。このように、裂開部23の切れ目23aは、小径部1c及びテーパ部21bの先端側の部分に跨るように形成されている。
また、後述するように、小径部21cの内側に先端チップ3が配置されることで、この先端チップ3により切れ目23aの大部分が内側から塞がれている。なお、切れ目23aが完全に塞がれるように、当該切れ目23aの寸法や形状、先端チップ3の配置等を適宜任意に変更しても良い。
【0027】
開口部23bは、例えば、所定の幅(例えば、切れ目23aと略等しい幅等)でカテーテル本体部21の軸方向に対して略平行な方向に延在する直線部b1と、この直線部b1に連続し、基端側に膨らむように湾曲して形成された湾曲部b2とを有している。
直線部b1は、例えば、その先端側の部分が細く尖った形状を有し、その端部を切れ目23aの基端側の端部と突き合わせるようにテーパ部21bに位置している。これにより、直線部b1と切れ目23aとの間の部分(後述する裂開規制部24)が裂けやすくなっている。
湾曲部b2は、直線部b1の基端側の部分に連続し、例えば、その外形が軸方向に長い略楕円形であって、径方向側の部分(楕円と仮想した場合の短軸の端部)と基端側の部分(楕円と仮想した場合の長軸の端部)との間がそれぞれ略「S」字状に湾曲した形状をなしている。また、湾曲部b2は、開口部23bの基端側の部分を構成し、少なくとも一部分が大径部21aに位置している。具体的には、湾曲部b2は、凹部21dに形成されており、湾曲部b2(開口部23b)と凹部21dとは、カテーテル本体部21の径方向に重なる位置関係となっている。このように、裂開部23の開口部23bは、テーパ部21b、大径部21aの先端側の部分及び凹部21dに跨るように形成されている。
【0028】
また、カテーテル本体部21に血管内留置具1が収容されることで、この血管内留置具1により開口部23bの大部分が内側から塞がれている。つまり、搬送用カテーテル2は、開口部23bを内側から塞ぐようにカテーテル本体部21に収容された状態の血管内留置具1を搬送可能となっている。なお、開口部23bが完全に塞がれるように、当該開口部23bの寸法や形状、血管内留置具1の配置等を適宜任意に変更しても良い。
【0029】
また、切れ目23aと開口部23bとは、カテーテル本体部21の軸方向に所定の間隔を空けて形成されており、これら切れ目23aと開口部23bとの間の部分によって、裂開部23による小径部21cの裂開を規制する裂開規制部24が構成されている。
すなわち、カテーテル本体部21は、裂開規制部24により小径部21cの裂開が規制された状態となっているが、裂開規制部24が軸方向に対して略平行な方向に裂けて当該裂開規制部24による規制が解除されると、当該カテーテル本体部21の先端側の部分が拡幅可能となる。
具体的には、カテーテル本体部21の先端側に血管内留置具1が変位するようにカテーテル本体部21及び血管内留置具1のうち、少なくとも一方をカテーテル本体部21の軸方向に移動させることにより、放出部211は、その内面側から径方向外側に力が加えられ、軸方向に沿って裂開する。例えば、小径部21c近傍(テーパ部21bや小径部21c)にて内面側から径方向外側に力が加えられ裂開部23により小径部21cが裂開して、当該カテーテル本体部21の先端側の部分を構成する2つの先端側構成部212、212が拡幅可能となる(図3(b)及び図4(a)等参照)。
このように、裂開部23は、血管内に血管内留置具1を放出するためにカテーテル本体部21の先端側の部分を裂開させる。そして、カテーテル本体部21の先端側の部分が裂開部23により裂開されることで2つの先端側構成部212、212が形成され、これら2つの先端側構成部212、212は、互いに離間可能に構成されている(詳細後述)。
【0030】
また、カテーテル本体部21の先端側の凹部21dには、弾性部材25が配設されている。
弾性部材25は、例えば、スチレン系エラストマー(例えば、SEBS等)、シリコーン系エラストマー等からチューブ状に形成され、裂開部23によりカテーテル本体部21の先端側の部分が裂開されることで形成される2つの先端側構成部212、212を覆うように配設されている。具体的には、弾性部材25は、例えば、カテーテル本体部21の凹部21dにおける裂開部23の開口部23bが形成されていない部分、すなわち、拡幅する際に回動する各先端側構成部212の基端側の部分に所定の接着剤により接着されている。つまり、弾性部材25は、2つの先端側構成部212、212どうしに架け渡される(わたる)ように配設され、これら2つの先端側構成部212、212どうしを互いに近付ける方向(閉じる方向)に付勢している。
【0031】
具体的には、カテーテル本体部21の小径部21cが裂開することにより拡幅可能とされた2つの先端側構成部212、212は、弾性部材25により互いに近付く方向に常時付勢されており、血管内留置具1が血管内に留置された状態(図4(b)参照)、及び、留置された血管内留置具1がカテーテル本体部21に再度収容された状態で(図6(b)参照)、内側から径方向外側への力が加えられなくなると、弾性部材25の付勢力によって当該2つの先端側構成部212、212が離間していない状態に復元する。
このように、弾性部材25は、離間した2つの先端側構成部212、212を離間していない状態に復元させるための復元手段を構成している。
【0032】
また、弾性部材25が、カテーテル本体部21における最大径部分(大径部21a)以外の部分としての凹部21dに配設されていることから、弾性部材25がカテーテル本体部21の外面に配設されても、搬送用カテーテル2の表面の凹凸をより小さくすることができる。
すなわち、凹部21dの深さは、例えば、凹部21dにチューブ状の弾性部材25が配設された状態で、この弾性部材25の厚さよりも大きく(深く)なっているため、弾性部材25の径方向の長さ(直径)が最大径部分(大径部21a)の径方向の長さ(直径)よりも小さくなる。
【0033】
なお、弾性部材25は、少なくとも2つの先端側構成部212、212を離間していない状態に復元させるための付勢力を付与可能に構成されていればよく、裂開規制部24のように小径部21cの裂開を規制する構成であるか否かは問わない。すなわち、弾性部材25は、裂開規制部24とともに小径部21cの裂開を規制するように構成してもよいし、小径部21cの裂開を規制しないように構成してもよい。
【0034】
また、裂開部23の切れ目23aや開口部23bをカテーテル本体部21に形成する方法としては、例えば、レーザー加工機を用いる手法が挙げられるが、一例であってこれに限られるものではなく、その他の公知の手法を用いてもよい。
また、上記した小径部21c、テーパ部21b、裂開部23(切れ目23aや開口部23b)、裂開規制部24は、放出部211を構成しているが、一例であってこれに限られるものではなく、放出部211の構成は適宜任意に変更可能である。
【0035】
小径部21cの先端側開口を閉塞する閉塞手段は、少なくとも一部分が小径部21cの内側に配置されている。また、閉塞手段は、小径部21cの先端側開口を閉塞可能なものであれば如何なるものも適用可能である。
例えば、図1及び図2等にあっては、血管内留置具1としてのステントグラフト11を血管内に留置する際に用いられる先端チップ3を例示して説明する。
【0036】
<先端チップ>
先端チップ3は、搬送用カテーテル2の内側に収縮状態で収容されているステントグラフト11を搬送用カテーテル2の先端側から露出させるためのものであり、例えば、ガイドワイヤGに外挿される長尺なロッドRの先端部に固定されている。
また、先端チップ3には、詳細な説明は省略するが、例えば、収縮状態のステントグラフト11を留置部位にて拡張させるための先端フックを係止するための係止溝(図示略)が設けられている。このような先端フック及び先端チップ3を用いて収縮状態のステントグラフト11を留置部位にて拡張させる方法(仕組み)については、例えば、特開2000-350785号公報又は国際公開第2005/99806号パンフレットに記載の公知の方法を用いることができ、ここでは詳細な説明は省略する。
【0037】
なお、先端チップ3を構成する材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂又はポリ塩化ビニル系樹脂等から構成された合成樹脂(エラストマー)などの、適度な硬度及び柔軟性を有する種々の材料等が挙げられる。
また、ロッドRを構成する材料としては、例えば、樹脂(プラスチック、エラストマー)又は金属など、適度な硬度及び柔軟性を有する種々の材料等が挙げられる。
【0038】
なお、図示は省略するが、カテーテル本体部21の基端側には、使用者により操作される操作部が設けられていてもよい。
【0039】
<血管内留置具搬送装置の使用方法>
次に、血管内留置具搬送装置100の使用方法について、図3(a)~図6(b)を参照して説明する。
なお、以下の説明では、事前に血管内にガイドワイヤGが挿通されて、当該ガイドワイヤGに沿って血管内留置具搬送装置100が導入されるものとする。
【0040】
図3(a)~図4(b)は、血管内に血管内留置具1を放出する際の使用方法を説明するために示す図である。
なお、図3(a)~図4(b)にあっては、血管内留置具1として、拡張状態にて略筒状のステントグラフト11を例示して説明する。
【0041】
先ず、搬送用カテーテル2のカテーテル本体部21に収縮状態のステントグラフト11が収容された状態で(図3(a)参照)、当該ステントグラフト11をその留置部位まで搬送する。
そして、搬送用カテーテル2の位置を固定した状態で、使用者がロッドRを操作して先端チップ3を遠位側に相対的に移動させる。すると、この先端チップ3の移動に伴ってステントグラフト11がカテーテル本体部21内で軸方向先端側に相対的に移動する。
ステントグラフト11の外径は凹部21dの内径よりも大きいため、このステントグラフト11が凹部21dを通る際には、図3(b)中白抜きの矢印で示すように、2つの先端側構成部212、212が径方向外側に撓む(膨らむ)ように弾性変形する(図3(b)参照)。
そして、ステントグラフト11により凹部21d、テーパ部21b、小径部21cの順に内面側から径方向外側に力が加えられていき、裂開規制部24による規制が解除されると(すなわち、裂開部23により小径部21cが裂開すると)、図3(c)中白抜きの矢印で示すように、当該カテーテル本体部21の2つの先端側構成部212、212が拡幅可能となる(図3(c)参照)。
なお、ステントグラフト11は、例えば、血管内に放出されることで放出された部分から自動的に拡張していき、拡張状態での外径はカテーテル本体部21の内径よりも大きくなるが、カテーテル本体部21は、弾性部材25の付勢力に抗して、2つの先端側構成部212、212がさらに拡幅された状態となる(図4(a)参照)。このとき、裂開部23の開口部23bは基端側に膨らむように湾曲して形成されているため、2つの先端側構成部212、212が拡幅する際に開口部23bの基端側に応力が集中し難くなり、当該開口部23bの基端側の部分が裂けてしまうことを抑制することができる。
【0042】
そして、ステントグラフト11が移動していき、血管内に完全に放出されると、カテーテル本体部21は、ステントグラフト11による内側から径方向外側への力が加えられなくなり、図4(b)中白抜きの矢印で示すように、弾性部材25の付勢力によって2つの先端側構成部212、212が離間していない状態に復元する。
【0043】
図5(a)~図6(b)は、血管内留置具1を収容する際の使用方法を説明するために示す図である。
なお、図5(a)~図6(b)にあっては、血管内留置具1として、拡張状態にて先端側が開口した略籠状の異物回収用デバイス12を例示して説明する。
【0044】
先ず、異物回収用デバイス12は、血管内に放出され留置された状態では、拡張状態であり、その外径がカテーテル本体部21の内径よりも大きくなっている(図5(a)参照)。
そして、搬送用カテーテル2の位置を固定した状態で、使用者が異物回収用デバイス12に接続されている管状部材12aを操作して当該異物回収用デバイス12を基端側(近位側)に相対的に移動させる。すると、異物回収用デバイス12がカテーテル本体部21内に引き込まれていき、この異物回収用デバイス12の基端側のテーパ部12bにより小径部21cやテーパ部21bにて内面側から径方向外側に力が加えられていく。このとき、カテーテル本体部21は、図5(b)中白抜きの矢印で示すように、弾性部材25の付勢力に抗して、2つの先端側構成部212、212が拡幅された状態となる(図5(b)参照)。
【0045】
異物回収用デバイス12がカテーテル本体部21内にさらに引き込まれ、各先端側構成部212の基端側の部分(回動軸)よりも基端側となる大径部21aの内面に異物回収用デバイス12のテーパ部12b側から接触していくと、異物回収用デバイス12の拡張が大径部21aにより規制されて当該異物回収用デバイス12が次第に収縮していく(図6(a)参照)。このとき、異物回収用デバイス12の外径は、大径部21aの内径と略等しいか、この内径よりもわずかに小さくなる。そして、2つの先端側構成部212、212は、図6(a)中白抜きの矢印で示すように、弾性部材25の付勢力によって互いに近付く方向に変位する。
【0046】
そして、異物回収用デバイス12の先端側がカテーテル本体部21のテーパ部21bよりも基端側に配置されると、カテーテル本体部21の2つの先端側構成部212、212は、異物回収用デバイス12による内側から径方向外側への力が加えられなくなり、図6(b)中白抜きの矢印で示すように、弾性部材25の付勢力によって2つの先端側構成部212、212が離間していない状態に復元する(図6(b)参照)。
【0047】
以上のように、本実施形態の血管内留置具搬送装置100は、血管内に留置される血管内留置具1と、血管内留置具1を搬送するための搬送用カテーテル2と、を備える血管内留置具搬送装置100であって、搬送用カテーテル2は、可撓性を有し、先端側の部分を構成する2つの先端側構成部212、212が互いに離間可能に構成されたカテーテル本体部21と、離間した2つの先端側構成部212、212を離間していない状態に復元させるための復元手段(例えば、弾性部材25)と、を備え、復元手段は、カテーテル本体部21における軸方向と略直交する径方向の長さが最も大きい最大径部分(例えば、大径部21a)以外の部分に配設されている。
したがって、カテーテル本体部21の先端側の部分を構成する2つの先端側構成部212、212を離間していない状態に復元するための復元手段は、カテーテル本体部21における最大径部分以外の部分に配設されているので、復元手段がカテーテル本体部21の外面に配設されても、搬送用カテーテル2の表面の凹凸をより小さくすることができる。すなわち、復元手段がカテーテル本体部21における最大径部分に配設される場合に比べて、搬送用カテーテル2の表面の凹凸をより小さくすることができ、これにより、搬送用カテーテル2を血管内に導入したり血管内で進退させたりする際の抵抗の低減を図ることができる。
【0048】
また、復元手段は、カテーテル本体部21における最大径部分(例えば、大径部21a)の表面よりも軸心側に凹んだ凹部21dに配設されている。
したがって、復元手段がカテーテル本体部21の凹部21dに配設されることで、搬送用カテーテル2の表面、すなわち、カテーテル本体部21の最大径部分や凹部21dに配設された状態の復元手段等により構成される凹凸をより小さくすることができる。
【0049】
また、復元手段は、離間した2つの先端側構成部212、212どうしに架け渡されるように配設され、当該2つの先端側構成部212、212どうしを近付ける方向に付勢する弾性部材25を含み、カテーテル本体部21における最大径部分(例えば、大径部21a)以外の部分に弾性部材25が配設された状態で、当該弾性部材25の径方向の長さが最大径部分の径方向の長さよりも小さくなっている。
したがって、カテーテル本体部21の先端側の部分が裂開されることで形成される2つの先端側構成部212、212どうしが弾性部材25により近付ける方向に付勢され、2つの先端側構成部212、212が離間してしまっても、離間していない状態に復元させることができる。さらに、弾性部材25は、カテーテル本体部21における最大径部分以外の部分に配設されているので、弾性部材25がカテーテル本体部21に配設されても、搬送用カテーテル2の表面、すなわち、カテーテル本体部21の最大径部分や最大径部分以外の部分に配設された状態の弾性部材25等により構成される凹凸をより小さくすることができる。
【0050】
また、カテーテル本体部21は、その内側に血管内留置具1を収容し、カテーテル本体部21の先端側に、血管内留置具1を血管内に放出するために当該先端側の部分を裂開させるための裂開部23が設けられている。
したがって、血管内留置具1を血管内に放出するためにカテーテル本体部21の先端側の部分が裂開して、2つの先端側構成部212、212が離間してしまっても、復元手段(例えば、弾性部材25)により2つの先端側構成部212、212が離間していない状態に適正に復元させることができる。さらに、復元手段は、カテーテル本体部21における最大径部分以外の部分に配設されていることから、搬送用カテーテル2の表面の凹凸をより小さくすることができ、搬送用カテーテル2を血管内で進退させる際の抵抗の低減を図ることができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
以下に、血管内留置具搬送装置100の変形例について、図面を参照して説明する。血管内留置具搬送装置100の変形例は、以下に説明する以外の点で、上記実施形態と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図7は、血管内留置具搬送装置100の変形例を示す斜視図であり、図2と同様に、図1の破線Aで囲まれた部分に対応している。また、図8(a)及び図8(b)は血管内留置具1(例えば、異物回収用デバイス12等)を収容する際の使用方法を説明するために示す図である。
図7に示すように、この変形例の血管内留置具搬送装置100は、弾性部材(復元手段)25の接触面(内側面)に対する接触面積を相対的に大きくするための処理が施された搬送用カテーテル102を備えている。
【0053】
具体的には、カテーテル本体部121における弾性部材25が配設される凹部121d(最大径部分以外の部分)の表面に、例えば、レーザー等により凹凸を形成する加工処理が施されている(図7では、加工処理が施されている部分を模式的に示す)。これにより、凹部121dの表面積を増大させ、弾性部材25の接触面(内側面)に対する接触面積を大きくしている。
なお、凹部121dの表面に対する処理は、例えば、薬品を用いて凹部121dの表面の形状や状態を変更する化学的な処理であってもよい。また、例えば、凹部121dに弾性部材25を接着する場合、所定の接着剤による接着力を増大させる処理が施されていてもよい。
【0054】
また、カテーテル本体部121には、切れ目23aの延在方向と略等しい方向(軸方向)に延在する開口部123bを有する裂開部123が形成されている。具体的には、開口部123bは、例えば、凹部121dの基端側まで延在する直線部b1の基端側の部分に、円弧状に湾曲した湾曲部b2が連続して形成されている。すなわち、凹部21dに軸方向に長い略楕円形の開口部23bが形成されたもの(図2等参照)に比べて、凹部121dにおける弾性部材25に対する接触面積を相対的に大きくすることができる。
また、例えば、ステントグラフト11等をカテーテル本体部121内から放出したり、異物回収用デバイス12等をカテーテル本体部121内に収容したりする際(図8(a)及び図8(b)参照)等に、開口部123bの湾曲部b2を軸として2つの先端側構成部212、212が回動するように拡幅する。
【0055】
したがって、搬送用カテーテル102は、カテーテル本体部121における弾性部材(復元手段)25が配設される凹部(最大径部分以外の部分)121dに、弾性部材25の接触面に対する接触面積を相対的に大きくするための処理が施されているので、例えば、凹部121dに弾性部材25を接着する際の接着力を増大させることができ、搬送用カテーテル102を血管内に導入したり血管内で進退させたりしても、弾性部材25が剥がれたり捲れたりすることを抑制することができる。
さらに、裂開部123は、切れ目23aの延在方向と略等しい方向に延在する開口部123bを有するので、血管内留置具1(例えば、異物回収用デバイス12等)をカテーテル本体部121内に収容する際に、血管内留置具1の基端側の部分を開口部123bに引っ掛かり難くすることができ、より容易にカテーテル本体部121内に引き込むことができる。
【0056】
また、上記実施形態にあっては、例えば、搬送用カテーテル2(102)は、裂開部23(123)によりカテーテル本体部21(121)の先端側の部分が裂開するような構成としたが、当該先端側の部分は必ずしも裂開する必要はない。すなわち、カテーテル本体部21の先端側の部分を構成する複数の先端側構成部212、…をその一部分どうしをほぼ接触させるように近接させた状態を離間していない状態とし、この状態から複数の先端側構成部212、…が互いに離間可能に構成されていてもよい。
【0057】
また、上記実施形態にあっては、カテーテル本体部21(121)の先端側の部分を2つの先端側構成部212、212で構成するようにしたが、一例であってこれに限られるものではなく、先端側構成部212の数は複数であればよく、例えば、3つ以上の先端側構成部212、…により構成されていてもよい。
【0058】
さらに、上記実施形態にあっては、弾性部材25(復元手段)の配設部位となるカテーテル本体部21(121)の最大径部分以外の部分として凹部21d(121d)を例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、例えば、凹部21dを形成せずにテーパ部21bに弾性部材25を配設するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態にあっては、弾性部材25として、チューブ状に形成されたものを例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、少なくとも複数の先端側構成部212、212どうしに架け渡される(わたる)ように配設されていればよい。この場合には、弾性部材が配設される凹部も環状に形成されている必要はなく、当該弾性部材の形状に合わせて変更してもよい。
さらに、復元手段として、弾性部材25を例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、複数の先端側構成部212、…を離間していない状態に復元させ易くなるように、例えば、カテーテル本体部21の先端側の部分(特に、開口部23b等)の形状や厚さや材質等を変更するようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態にあっては、搬送用カテーテル2(102)として、カテーテル本体部21(121)の先端側にカテーテル本体部21の他の部分よりも小径とされた小径部21cや、この小径部21cに連続して形成されたテーパ部21b等を具備するものを例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、必ずしも小径部21cやテーパ部21bを具備する必要はない。すなわち、搬送用カテーテル2は、例えば、図示は省略するが、カテーテル本体部21の外径が長手方向(軸方向)に沿って略等しい、いわゆるストレート形状のものであってもよい。
【0061】
さらに、上記実施形態にあっては、裂開部23(123)として、小径部21cから大径部21aにかけて形成されたものを例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、少なくとも小径部21cに形成されていればよい。また、裂開部23として、切れ目23a及び開口部23b(123b)を例示したが、カテーテル本体部21(121)にはいずれか一方のみ(例えば、開口部23b等)が形成されていてもよいし、複数の切れ目23aと開口部23bが形成されていてもよい。また、上記実施形態における切れ目23a及び開口部23b(直線部b1及び湾曲部b2)の形状や寸法等は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。
また、上記実施形態にあっては、小径部21cの先端側に切欠部22が形成された搬送用カテーテル2を例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、切欠部22を形成するか否かは適宜任意に変更可能である。
【0062】
さらに、上記実施形態にあっては、血管内に挿通されたガイドワイヤGに沿って血管内留置具搬送装置100を導入するようにしたが、一例であってこれに限られるものではなく、血管内に血管内留置具搬送装置100を導入する際に、必ずしもガイドワイヤGを用いる必要はない。
【0063】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
100 血管内留置具搬送装置
1 血管内留置具
2、102 搬送用カテーテル
21、121 カテーテル本体部
21a 大径部
21d、121d 凹部
212 先端側構成部
23、123 裂開部
25 弾性部材
3 先端チップ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8