(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】測定周期決定装置、測定周期決定プログラム、及びその方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20220712BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20220712BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/00 300
(21)【出願番号】P 2016224222
(22)【出願日】2016-11-17
【審査請求日】2019-11-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】中山 丞
(72)【発明者】
【氏名】布 一馬
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-178292(JP,A)
【文献】特開2003-118794(JP,A)
【文献】特開2012-103960(JP,A)
【文献】特開2011-191282(JP,A)
【文献】特開2007-140608(JP,A)
【文献】特開2016-004285(JP,A)
【文献】特開2005-018116(JP,A)
【文献】特開2006-251914(JP,A)
【文献】特開2012-247229(JP,A)
【文献】特開2015-184043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物が立地する立地地域の地理に関する項目を含む地理情報、前記立地地域の気象に関する項目を含む気象情報、及び前記構造物に関する項目を含む構造物情報を取得する関連情報取得部と、
前記構造物に発生したクラックに関するクラック情報を取得するクラック情報取得部と、
前記地理情報、前記気象情報、前記構造物情報、及び前記クラック情報に基づいて、前記クラックの幅を測定する測定周期を決定する測定周期決定部と、
前記決定された測定周期に関連する測定周期情報を示す測定周期信号を出力する測定周期出力部と、
前記クラック情報に基づいて、前記測定周期を更新する測定周期更新部と、
を有し、
前記測定周期出力部は、前記更新された測定周期を示す更新測定周期信号を出力し、
前記クラック情報は、前記クラックに貼付けられ、第1方向に延伸する複数の線画を含む第1パターンを有する第1層部、及び前記第1層部と重ねられ且つ前記第1方向とは異なる第2方向に延伸する複数の線画を含む第2パターンを有する第2層部を含み、前記第1パターンと前記第2パターンが重ねられたことによりモアレが発生するシートを撮像した画像を示す画像データを含み、
前記測定周期更新部は、先に取得した前記画像データに対応する前記モアレの第1ピッチと第1傾斜角を含む変形前モアレパラメータと、今回取得した前記画像に対応する前記モアレの第2ピッチと第2傾斜角を含む変形後モアレパラメータとに基いて、ピッチの変化量を演算し、前記演算された変化量に基づいて前記クラックの成長幅を推定するクラック成長幅推定部を有する、
測定周期決定装置。
【請求項2】
前記クラック情報は、前記クラックの成長幅及び前記クラックの幅の少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の測定周期決定装置。
【請求項3】
前記地理情報、前記気象情報、前記構造物情報、及び前記クラック情報に含まれる少なくとも1つの項目は、数値に関連付けられ、
前記測定周期決定部は、所定の項目に関連付けられた数値の合計値が、所定の第1しきい値以下のときに、前記測定周期を所定の第1周期に決定する、請求項1
または2に記載の測定周期決定装置。
【請求項4】
前記測定周期決定部は、
前記地理情報、前記気象情報、前記構造物情報、及び前記クラック情報に含まれる項目のそれぞれを、区分を示す数値に数値化する数値化部と、
前記数値化部によって数値化された数値を加算して前記合計値を演算する合計値演算部と、
前記合計値が前記第1しきい値以下であるときに、前記第1周期を前記測定周期に決定する第1判定部と、
を有する、請求項
3に記載の測定周期決定装置。
【請求項5】
前記測定周期決定部は、前記クラックの幅が所定の第2しきい値以下のときに、前記測定周期を前記第1周期よりも短い第2周期に決定し、前記クラックの幅が前記第2しきい値より大きいときに、前記測定周期を前記第2周期よりも短い第3周期に決定する、請求項4に記載の測定周期決定装置。
【請求項6】
前記測定周期決定部は、前記合計値が前記第1しきい値より大きく且つ前記クラックの幅が前記第2しきい値以下であるときに前記第2周期を前記測定周期に決定し、前記合計値が前記第1しきい値より大きく且つ前記クラックの幅が前記第2しきい値より大きいときに前記第3周期を前記測定周期に決定する第2判定部を更に有する、請求項5に記載の測定周期決定装置。
【請求項7】
前記測定周期情報は、前記測定周期、前記クラックの幅を次に測定する日にち、及び前記クラックの幅を測定する日にちが所定の日にちしきい値よりも近いことを示す警報の少なくとも1つを含む、請求項1~6の何れか一項に記載の測定周期決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定周期決定装置、測定周期決定プログラム、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁、堤防及びトンネル等の種々の構造物、並びに空調設備及び電気設備等の種々の設備を有する建築物の保守点検業務を効率的且つ確実に実行するための種々の技術が知られている。例えば、特許文献1には、機器毎の保守点検業務の1回当たりの点検負荷と点検周期とから建築物全体の年間総負荷を演算し、建築物の保守管理に必要な保守点検業務に必要な点検員の人数を決定することが記載されている。また、特許文献2には、点検員が使用する端末装置に点検する設備の位置を示す案内情報を表示し、点検員が点検する設備に近付いたときに、点検する設備の点検チェックリストを点検員が使用する端末装置に表示することが記載される。また、特許文献3には、通信端末に表示された点検マニュアルに基づいて、点検員が施設を点検した点検結果を、管理者にリアルタイムに通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-301986号公報
【文献】特許第4107359号公報
【文献】特開2010-128717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンクリート等で形成された構造物に発生するクラックを測定する測定周期を適切に決定することは、提案されていなかった。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決し、コンクリート等で形成された構造物に発生するクラックを測定する測定周期を適切に決定することを可能にする測定周期決定装置、測定周期決定プログラム、及び測定周期決方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る測定周期決定装置は、構造物が立地する立地地域の地理に関する項目を含む地理情報、立地地域の気象に関する項目を含む気象情報、及び構造物に関する項目を含む構造物情報の少なくとも1つを取得する関連情報取得部と、構造物に発生したクラックに関するクラック情報を取得するクラック情報取得部と、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報の少なくとも1つに基づいて、クラックの幅を測定する測定周期を決定する測定周期決定部と、決定された測定周期に関連する測定周期情報を示す測定周期信号を出力する測定周期出力部と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記の測定周期決定装置は、クラック情報に基づいて、測定周期を更新する測定周期更新部を更に有し、測定周期出力部は、更新された測定周期を示す更新測定周期信号出力してもよい。
【0008】
上記の測定周期決定装置では、クラック情報は、クラックに貼付けられ、第1方向に延伸する複数の線画を含む第1パターンを有する第1層部、及び第1層部と重ねられ且つ第1方向とは異なる第2方向に延伸する複数の線画を含む第2パターンを有する第2層部を含み、第1パターンと第2パターンが重ねられたことによりモアレが発生するシートを撮像した画像を示す画像データを含み、測定周期更新部は、先に取得した画像データに対応するモアレと、今回取得された画像に対応するモアレとの比較に基づいて、クラックの成長幅を推定するクラック成長幅推定部を有してもよい。
【0009】
上記の測定周期決定装置では、クラック情報は、クラックの成長幅及びクラックの幅の少なくとも1つを含んでもよい。
【0010】
上記の測定周期決定装置では、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報に含まれる少なくとも1つの項目は、数値に関連付けられ、測定周期決定部は、所定の項目に関連付けられた数値の合計値が、所定の第1しきい値以下のときに、測定周期を所定の第1周期に決定してもよい。
【0011】
上記の測定周期決定装置では、測定周期決定部は、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報の少なくとも1つに含まれる項目のそれぞれを、区分を示す数値に数値化する数値化部と、数値化部によって数値化された数値を加算して合計値を演算する合計値演算部と、合計値が第1しきい値以下であるときに、第1周期を測定周期に決定する第1判定部と、を有してもよい。
【0012】
上記の測定周期決定装置では、測定周期決定部は、合計値が、第1しきい値より大きいときに、測定周期を第1周期よりも短い周期に決定してもよい。
【0013】
上記の測定周期決定装置では、測定周期決定部は、クラックの幅が所定の第2しきい値以下のときに、測定周期を第1周期よりも短い第2周期に決定し、クラックの幅が第2しきい値より大きいときに、測定周期を第2周期よりも短い第3周期に決定してもよい。
【0014】
上記の測定周期決定装置では、測定周期決定部は、合計値が第1しきい値より大きく且つクラックの幅が第2しきい値以下であるときに第2周期を測定周期に決定し、合計値が第1しきい値より大きく且つクラックの幅が第2しきい値より大きいときに第3周期を測定周期に決定する第2判定部を更に有してもよい。
【0015】
上記の測定周期決定装置では、測定周期情報は、測定周期、クラックの幅を次に測定する日にち、及びクラックの幅を測定する日にちが所定の日にちしきい値よりも近いことを示す警報の少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
上記の測定周期決定装置は、複数の構造物のそれぞれについて、測定周期情報を記憶する記憶部と、記憶部によって記憶された測定周期情報、及び複数の構造物のそれぞれの位置関係を示す位置関係情報に基づいて、複数の構造物のそれぞれのクラックの幅を測定するときの経路を含む測定経路情報を生成する測定経路情報生成部と、測定経路情報を示す測定経路信号を出力する測定経路出力部と、を更に有してもよい。
【0017】
上記の測定周期決定装置は、複数の構造物のそれぞれに発生したクラックのそれぞれについて、測定周期情報を記憶する記憶部と、測定周期情報に基づいて、クラックのそれぞれを重み付けする重み付け部と、重み付けを示す重み付け信号を出力する重み付け信号出力部とを更に有してもよい。
【0018】
本開示の別の実施形態に係る測定周期決定方法は、構造物が立地する立地地域の地理に関する項目を含む地理情報、立地地域の気象に関する項目を含む気象情報、及び構造物に関する項目を含む構造物情報の少なくとも1つを取得し、構造物に発生したクラックに関するクラック情報を取得し、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報の少なくとも1つに基づいて、クラックの幅を測定する測定周期を決定し、決定された測定周期に関連する測定周期情報を示す測定周期信号を出力することを含むことを特徴とする。
【0019】
本開示の別の実施形態に係る測定周期決定プログラムは、構造物が立地する立地地域の地理に関する項目を含む地理情報、立地地域の気象に関する項目を含む気象情報、及び構造物に関する項目を含む構造物情報の少なくとも1つを取得し、構造物に発生したクラックに関するクラック情報を取得し、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報の少なくとも1つに基づいて、クラックの幅を測定する測定周期を決定し、決定された測定周期に関連する測定周期情報を示す測定周期信号を出力する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本開示の装置、プログラム、プログラム等によれば、コンクリート等で形成された構造物に発生するクラックを測定する測定周期を適切に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に使用されるシートの断面図であり、(A)は変形前、(B)は変形後をそれぞれ示す。
【
図2】(A)は変形追従部が変形する前のシートの部分拡大平面図であり、(B)は変形追従部が変形した後のシートの部分拡大平面図である。
【
図3】実施形態に係る測定周期決定システムを示す図である。
【
図4】
図3に示す端末装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図5】
図3に示す第1サーバの概略構成の一例を示す図である。
【
図6】
図3に示す測定周期決定システムによる、初回撮影時の測定周期決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】端末装置に表示される初期画面の一例を示す図である。
【
図8】端末装置に表示されるサイト情報取得画面(第1)の一例を示す図である。
【
図9】端末装置に表示されるサイト情報取得画面(第2)の一例を示す図である。
【
図10】端末装置に表示されるシート情報取得画面(第1)の一例を示す図である。
【
図11】端末装置に表示されるシート画像送信画面(第1)の一例を示す図である。
【
図12】
図6に示すS104の処理のより詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図6に示すS104の処理で登録された情報の一例を示す図である。
【
図14】
図6に示すS107の処理のより詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図6に示すS107の処理で更新された情報の一例を示す図である。
【
図16】
図6に示すS111の処理のより詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図6に示すS112の処理のより詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図5に示す数値化部による数値化処理に用いる基準が記述されたテーブルの一例を示す図である。
【
図19】
図6に示すS112の処理で更新された測定情報の一例を示す図である。
【
図20】
図3に示す測定周期決定システムによる、2回目以降撮影時の測定周期更新処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】端末装置に表示されるサイト情報取得画面(第2)の一例を示す図である。
【
図22】端末装置に表示されるシート画像送信画面(第2)の一例を示す図である。
【
図23】
図20に示すS607の処理のより詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図24】
図20に示すS707の処理を説明するための第1の図である。
【
図25】(A)はS707の処理を説明するための第2の図であり、(B)はS707の処理を説明するための第3の図である。
【
図26】
図20に示すS607の処理で更新された情報の一例を示す図である。
【
図27】
図3に示す第2サーバの概略構成の一例を示す図である。
【
図28】
図27に示す測定経路生成部による測定経路情報生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図29】
図28に示すS805の処理で生成される測定経路情報の一例を示す図である。
【
図30】
図3に示す探索端末装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図31】
図3に示す第3サーバの概略構成の一例を示す図である。
【
図32】
図31に示す探索情報生成部による探索情報生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図33】
図32に示すS904の処理で生成されるポイント地図の一例を示す図である。
【
図34】
図3に示す測定周期決定システムによる探索情報生成処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は図面又は以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0023】
<本発明に使用されるシートの一態様>
図1は、本実施形態に使用されるシートの一態様を示す図であり、一例ではクラックが発生した構造物の壁面である測定対象物102にシート101が固定されている状態を示している。シート101は、変形追従部111、非変形追従部112、及びこれらの間に存在する変形緩衝部113を有する。典型的な態様において、シートは、
図1に示すように、変形追従部及び非変形追従部がシートの第1及び第2の主面をそれぞれ含む。
【0024】
本開示で、変形追従部とは、シートを測定対象物に固定した状態で該測定対象物に変形量が生じた際に、該測定対象物の変形に追従して変形する能力を有する部位である。
本開示で、非変形追従部とは、上記変形追従部に変形が生じた際に該変形に実質的に追従せず、従って実質的に変形が生じない部位である。
本開示で、変形緩衝部とは、上記非変形追従部が上記変形追従部の変形によって実質的に変形しないために十分な変形緩衝能力を有する部位である。
【0025】
シートは、単層又は複数層で構成されていることができる。シートは、変形追従部、非変形追従部、及び変形緩衝部として機能する部位を有していればよい。従って、例示の態様においては、シートが単層であり、該単層が適切な厚み及び物性を有していることによって、変形追従部、非変形追従部、及び変形緩衝部が構成される。また、別の例示の態様においては、シートが、材質、厚み等が互いに異なる複数層で構成され、各層が変形追従部、非変形追従部又は変形緩衝部としてそれぞれ機能することができる。また、更に別の例示の態様においては、シートが、変形追従部及び変形緩衝部として機能する層と、非変形追従部として機能する層との2層で構成されることができ、又は、変形追従部として機能する層と、変形緩衝部及び非変形追従部として機能する層との2層で構成されることができる。以上のように、シートの層構成は、変形追従部、非変形追従部、及び変形緩衝部として機能する部位を有することを条件として任意に設計可能である。例えば、
図1は、シートが単層である場合の例を示しており、他の例では、シートが伸長性層、非伸長性層及び粘弾性層の3層である。
【0026】
変形追従部は第1方向に延伸する複数の直線を含む第1パターンを有し、非変形追従部は第1方向とは異なる第2方向に延伸する複数の直線を含む第2パターンを有する。本開示のシートは、第1パターンと第2パターンとが生成するモアレ縞が検出可能であるように構成されている。より具体的には、第1パターンは第2パターンを介して視認可能である。ここで第1パターンが第2パターンを介して視認可能であるとは、シートの第1パターン側及び第2パターン側のうち第2パターン側から第1及び第2パターンを観測したときに、第1パターンが第2パターンと共に視覚化できることを意味する。視覚化の手段は任意に選択でき、例えば各種カメラを用いた可視光下でのパターン撮影を例示できる。第1パターンが第2パターンを介して視認可能であるような構成によれば、第1パターンと第2パターンとの干渉によって生成するモアレ縞もまた視認可能であり、該モアレ縞に基づいた測定対象物の3次元の変形の評価が可能である。
【0027】
第1パターンが第2パターンを介して視認可能であるための好ましい態様において、本開示のシートの、第1パターンから第2パターンを介してシート表面に至るまでの部位は、典型的には明澄な材料で構成されている。本開示で、「明澄な材料」とは、300~830nm波長光における全光線透過率が30%以上であること、より好ましくは80%以上であることを意味する。上記全光線透過率は、ヘイズメーター(例えば、NDH2000ヘイズメーター(日本電色工業(株)製 東京都文京区))にて測定される値である。
【0028】
本開示のシートの重要な特徴の1つは、変形追従部の変形によって第1パターンが歪むこと、及び非変形追従部が有する第2パターンは、上記第1パターンの歪みの影響を実質的に受けないこと、すなわち実質的に歪まないことである。シートは、測定対象物に固定されたときに該測定対象物の変形を第1のパターイメージの歪みによって3次元で検出できる。すなわち、
図1に示すような測定対象物の面内方向の変形(
図1の(A)は変形前、
図1の(B)は変形後をそれぞれ示す)が、第1パターンの歪みを生じさせる。そしてこの第1パターンの歪みと、歪んでいない第2パターンとによって生じるモアレ縞を検出及び解析することにより、該測定対象物に生じた変形を3次元において定量的に評価できる。また測定対象物において変形が生じた位置も特定できる。
【0029】
本開示のシートを用いて測定対象物の変形を評価する際には、シートのモアレ縞を検出する。モアレ縞の検出機器は、必ずしもシート近傍まで接近する必要はないため、本開示のシートは簡便な評価という点で有利である。加えて、本開示のシートは、安価であり、且つ電源等を必要としないため設置が簡便であるという点でも有利である。
【0030】
第1パターン及び第2パターンとしては、モアレ縞により変形を評価するのに用いられる従来公知の任意のパターンを採用できる。パターンの詳細、例えばパターン形状の種類、ピッチ等は、目的の変形量等に応じて適宜選択できる。パターン形状としては、グリッド、千鳥模様、ドット、複数の平行な直線等を例示できる。例示の態様において、第1及び第2パターンが、それぞれ幅約0.2mm~約0.4mmであり且つピッチ約0.4mm~約0.8mm程度を有するグリッドであることができる。例えば、本開示のシートの好適な用途である建造物の壁面等の変形評価においては、例えば0.1~2.0mm程度の変形の検出が所望される場合が多い。このような用途に適したパターンの形状及びピッチの例としては、例えば、一辺が100mm程度のサイズのシートにおいて、ピッチ約0.3mm~約1.0mm程度が挙げられる。
【0031】
本実施形態の一態様に係るシートのより詳細な構造は、例えば特開2015-184043号公報等に記載されている。
【0032】
<第1パターン及び第2パターンの態様>
図2(A)は変形追従部111が変形する前のシート101の部分拡大平面図であり、
図2(B)は変形追従部111が変形した後のシート101の部分拡大平面図である。
【0033】
変形追従部111が変形する前の第1パターン121及び第2パターン122のそれぞれに含まれる平行して配置される複数の直線のピッチは、pitchである。変形追従部111が変形した後、第1パターン121に含まれる直線のピッチは、pitch+Δpitch_stに変化する。変形追従部111が変形した後においても、非変形追従部112は変形しないので、第1パターン121に含まれる直線のピッチは、pitchで維持される。
【0034】
変形追従部111が変形する前のモアレのピッチは第1ピッチmoire_pitch1であり、変形追従部111が変形する前のモアレの第1方向に直交する第3方向と、モアレの延伸方向との間の傾斜角は、第1傾斜角moire_θ1である。変形追従部111が変形した後のモアレのピッチは第2ピッチmoire_pitch2であり、変形追従部111が変形した後のモアレの第3方向と、モアレの延伸方向との間の傾斜角は、第2傾斜角moire_θ2である。
【0035】
<実施形態に係る測定周期決定システムの構成及び機能>
図3は実施形態に係る測定周期決定システムを示す図である。
【0036】
測定周期決定システム100では、不図示の交換機が、広域通信回線網である通信ネットワーク5を介して相互に接続される。交換機は、ある地域をカバーする無線通信ネットワークを通信ネットワーク5に接続する。無線通信ネットワークには、地域内をカバーする無線ゾーンを管理するように基地局4が配置される。基地局4は、基地局4が属する不図示の無線ネットワーク制御装置を介して交換機に接続される。そして、その地域内の端末装置1及び探索端末装置8が、第1サーバ2、第2サーバ7及び第3サーバ9等と通信を行う際に、端末装置1及び探索端末装置8は、基地局4を介して交換機に接続され、さらに通信ネットワーク5に接続される。
【0037】
また、通信ネットワーク5は、イーサネット(登録商標)等の有線LANにより、不図示のゲートウェイを介して、インタネット6と接続される。インタネット6には、構造物情報データベース、3-1地理情報データベース3-2及び気象情報データベース3-3、並びに第1サーバ2、第2サーバ7及び第3サーバ9が更に接続される。地理情報データベース3-2は、各地の地理情報を記憶するデータベースである。
【0038】
端末装置1は第1~第3実施形態において点検員が使用する端末装置であり、探索端末装置8は第3実施形態において一般ユーザが使用する端末装置である。第1サーバ2は第1実施形態において使用されるサーバであり、第2サーバ7は第2実施形態において使用されるサーバであり、第3サーバ9は第3実施形態において使用されるサーバである。
【0039】
構造物情報データベース3-1は、建設年、鉄筋コンクリート等の構造物の材質、並びに橋梁及びトンネル等の構造物の種別の構造物に関する項目を含む構造物情報を構造物毎に記憶する。構造物情報データベース3-1は、単一の記憶装置に記憶されてもよく、記憶される構造物情報の種類に応じて複数の記憶装置に記憶されてもよい。
【0040】
地理情報データベース3-2は、地盤の強さ、塩害の有無、発生した地震の最高震度及び地震の発生頻度等の構造物が立地する立地地域の地理に関する項目を含む地理情報を地域毎に記憶する。地理情報データベース3-2は、単一の記憶装置に記憶されてもよく、記憶される地理情報の種類に応じて複数の記憶装置に記憶されてもよい。
【0041】
気象情報データベース3-3は、最高気温、最低気温、最高湿度、最低湿度、最高風速、最高雨量及び最高降雪量等の構造物が立地する立地地域の気象に関する項目を含む気象情報を地域毎に記憶する。気象情報データベース3-3は、単一の記憶装置に記憶されてもよく、記憶される気象情報の種類に応じて複数の記憶装置に記憶されてもよい。
【0042】
<第1実施形態に係る測定周期決定システムの構成>
第1実施形態に係る測定周期決定システムは、
図3に示す端末装置1と、第1サーバ2と、構造物情報データベース3-1と、地理情報データベース3-2と、気象情報データベース3-3とを含む。
【0043】
<第1実施形態に係る端末装置の構成及び機能>
図4は、端末装置1の概略構成の一例を示す図である。
【0044】
端末装置1は、例えば多機能携帯電話(いわゆる「スマートフォン」)であり、無線通信ネットワークへの接続、近距離無線通信、所定のアプリケーションプログラムの実行等を可能とする。そのために、端末装置1は、端末通信部11と、近距離通信部12と、操作部13と、ディスプレイ14と、端末記憶部15と、撮像部16と、測位システム部17と、時計部18と、端末処理部20とを有する。なお、端末装置1は、通信機能を有する通信装置であればよく、例えば携帯端末(Personal Digital Assistant, PDA)、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤ、タブレットPC等の端末装置でもよい。
【0045】
端末通信部11は、主に2.1GHz帯を感受帯域とするアンテナを含む、通信インターフェース回路を有し、端末装置1を通信ネットワークに接続する。端末通信部11は、不図示の基地局により割り当てられるチャネルを介して、基地局との間でCDMA(Code Division Multiple Access)方式等による無線信号回線を確立し、基地局との間で無線通信を行う。そして、端末通信部11は、基地局から受信したデータを端末処理部20に供給する。また、端末通信部11は、端末処理部20から供給されたデータを基地局に送信する。なお、端末通信部11は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)のプロトコルに従って不図示のサーバとの間のデータ通信を行う。また、端末通信部11は、主に2.4GHz帯を感受帯域とするアンテナを含む通信インターフェース回路を有し、基地局を介さずにWi-Fi(登録商標)等の無線LANの基地局を介して無線通信を行う。
【0046】
近距離通信部12は、Bluetooth LE(Low Energy)(登録商標)等の通信方式に従った近距離無線通信を行うためのインターフェース回路を有し、他の端末装置等との間で近距離無線通信を行う。そして、近距離通信部12は、他の端末装置等から受信したデータを端末処理部20に供給する。また、近距離通信部12は、端末処理部20から供給されたデータを他の端末装置等に送信する。なお、近距離通信部12は、Bluetooth(登録商標)、RFID(Radio Frequency IDentification)、ZigBee等の他の通信方式に従った近距離無線通信を行うためのインターフェース回路を有してもよい。
【0047】
操作部13は、端末装置1の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、キーパッド等である。ユーザは、このデバイスを用いて、文字、数字等を入力することができる。操作部13は、ユーザの指示を受け付け、受け付けた指示に対応する信号を発生し、端末処理部20に出力する。また、操作部13は、タップ、ドラッグ、フリック等の接触により、ユーザの指示を受け付け、受け付けた指示に対応する信号を発生し、端末処理部20に出力する。
【0048】
ディスプレイ14は、動画像、静止画像等の出力が可能であればどのようなデバイスでもよい。ディスプレイ14は、端末処理部20から供給される動画像データに応じた動画像、静止画像データに応じた静止画像等を表示する。
【0049】
端末記憶部15は、例えば、半導体メモリを有する。端末記憶部15は、端末処理部20での処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、端末記憶部15は、ドライバプログラムとして、端末通信部11を制御する携帯電話通信デバイスドライバプログラム、無線LAN通信デバイスドライバプログラムを記憶する。また、端末記憶部15は、近距離通信部12を制御する近距離無線通信デバイスドライバプログラム、操作部13を制御する入力デバイスドライバプログラム、ディスプレイ14を制御する出力デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、端末記憶部15は、アプリケーションプログラムとして、ウェブページの取得及び表示を行うウェブブラウザプログラムを含む種々のプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えばフラッシュメモリを含む半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて端末記憶部15にインストールされてもよい。
【0050】
また、端末記憶部15は、データとして、撮像処理及び変形量測定処理で使用される情報及びデータ、並びに撮像処理及び変形量測定処理でもとめられたデータを記憶する。さらに、端末記憶部15は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0051】
撮像部16は、アレイ状に配置された撮像素子と、撮像素子を駆動する素子駆動部とを有する。撮像素子は、電荷結合素子(CCD)型センサ、又はアクティブピクセルセンサ(APS)型センサと、カラーフィルタとを有し、入射した光に応じた電荷を蓄積する。素子駆動部は、撮像素子のそれぞれで蓄積された電荷を電気信号に変換して端末処理部20に出力する。
【0052】
測位システム部17は、端末処理部20からの指示に従って、端末装置1が存在する位置を測定する。測位システム部17は、主に1.5GHz帯を感受帯域とするアンテナを含む、GPS回路を有し、不図示のGPS衛星からGPS信号を受信する。測位システム部17は、そのGPS信号をデコードし、時刻情報等を取得する。測位システム部17は、その時刻情報等に基づいてGPS衛星から測位システム部17までの擬似距離を計算し、その擬似距離を代入して得られる連立方程式を解くことにより、端末装置1が存在する位置(緯度及び経度等)を測定し、位置情報として出力する。
【0053】
時計部18は、クロック回路等で構成され、日時を計数し、各種情報の更新処理等のための日にち情報及び時刻情報を生成する。
【0054】
端末処理部20は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。端末処理部20は、端末装置1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。端末処理部20は、端末装置1の各種処理が端末記憶部15に記憶されているプログラム、操作部13の操作等に応じて適切な手順で実行されるように、端末通信部11、近距離通信部12等の動作を制御する。端末処理部20は、端末記憶部15に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、端末処理部20は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0055】
端末処理部20は、測定開始通知部21と、サイト情報取得部22と、シート情報取得部23と、シート画像取得部24と、測定日表示部25とを有する。端末処理部20が有するこれらの各部は、端末処理部20が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、端末処理部20が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして端末装置1に実装されてもよい。
【0056】
<第1実施形態に係る第1サーバの構成及び機能>
図5は、第1実施形態に係る測定周期決定装置の一例である第1サーバ2の概略構成の一例を示す図である。
【0057】
第1サーバ2は、種々の情報処理が可能な情報処理装置であり、第1サーバ通信部31と、第1サーバ記憶部32と、第1サーバ出力部33と、第1サーバ入力部34と、第1サーバ処理部40とを備える。
【0058】
第1サーバ通信部31は、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インターフェース回路を有する。第1サーバ通信部31は、不図示のLAN及びインタネット6を介して端末装置1、構造物情報データベース3-1、地理情報データベース3-2、及び気象情報データベース3-3等と通信を行う。そして、第1サーバ通信部31は、端末装置1、構造物情報データベース3-1、地理情報データベース3-2、及び気象情報データベース3-3等から受信したデータを第1サーバ処理部40に供給する。また、第1サーバ通信部31は、第1サーバ処理部40から供給されたデータを端末装置1等に送信する。
【0059】
第1サーバ記憶部32は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくとも一つを有する。第1サーバ記憶部32は、第1サーバ処理部40による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、第1サーバ記憶部32は、ドライバプログラムとして、第1サーバ通信部31を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、第1サーバ記憶部32は、オペレーティングシステムプログラムとして、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の通信方式による接続制御プログラム等を記憶する。また、第1サーバ記憶部32は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を行うデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1サーバ記憶部32にインストールされてもよい。
【0060】
第1サーバ出力部33は、動画像、静止画像等の出力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル式の表示装置、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。第1サーバ出力部33は、第1サーバ処理部40から供給される動画像データに応じた動画像、静止画像データに応じた静止画像等を表示する。
【0061】
第1サーバ入力部34は、第1サーバ2への入力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル式の入力装置、キーパッド等である。ユーザは、このデバイスを用いて、文字及び数字等を入力することができる。第1サーバ入力部34は、ユーザの指示を受け付け、受け付けた指示に対応する信号を発生し、第1サーバ処理部40に出力する。
【0062】
第1サーバ処理部40は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。第1サーバ処理部40は、第1サーバ2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。第1サーバ処理部40は、第1サーバ2の各種処理が第1サーバ記憶部32に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、第1サーバ通信部31等の動作を制御する。第1サーバ処理部40は、第1サーバ記憶部32に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、第1サーバ処理部40は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0063】
第1サーバ処理部40は、サイト情報登録部41と、シート情報登録部42と、測定情報登録部43と、測定周期決定部44と、測定周期更新部45と、測定周期出力部46とを有する。測定周期決定部44は、数値化部441と、合計値演算部442と、第1判定部443と、第2判定部444と、周期決定部445とを有する。測定周期更新部45は、更新情報登録部451と、クラック成長幅推定部452と、周期更新部453とを有する。第1サーバ処理部40が有するこれらの各部は、第1サーバ処理部40が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、第1サーバ処理部40が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして第1サーバ2に実装されてもよい。
【0064】
<第1実施形態に係る測定周期決定システムによる測定周期決定処理>
図6は、測定周期決定システム100が実行する測定周期決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0065】
まず、端末装置1は、不図示の点検員の指示に基づいて、シートが貼付けられたクラックの初回の撮影を開始することを第1サーバ2に通知する(S101)。より詳細を、
図7を用いて説明する。
【0066】
測定開始通知部21は、ディスプレイ14を介してクラック測定処理を実行するアプリケーションプログラムが選択されると、初期画面をディスプレイ14に表示する。
図7は、ディスプレイ14に表示される初期画面の一例を示す図である。
【0067】
初期画面140は、初回撮影ボタン1401と、2回目以降撮影ボタン1402とを有する。端末装置1の測定開始通知部21は、初期画面140の初回撮影ボタン1401が不図示の点検員によって押下されたときに、シートが貼付けられたクラックの初回の撮影を開始することを第1サーバ2に通知する(S101)。
【0068】
第1サーバ2のサイト情報登録部41は、シートが貼付けられたクラックの初回の撮影を開始することが通知されると、サイト情報を端末装置1に要求する(S102)。端末装置1のサイト情報取得部22は、サイト情報を要求されると、サイト情報を取得し、取得したサイト情報を示す信号を第1サーバ2に送信する(S103)。
【0069】
図8及び9は、S102の要求を受けた端末装置1が、S103でサイト情報を取得および送信するためにディスプレイ14に表示されるサイト情報取得画面の一例を示す図であり、
図8は第1サイト情報取得画面の一例を示し、
図9は第2サイト情報取得画面の一例を示す。
【0070】
サイト情報取得部22は、サイト情報を要求されると、第1サイト情報取得画面141をディスプレイ14に表示する。第1サイト情報取得画面141は、既構造物選択部1411と、新規構造物選択部1412とを有する。
【0071】
既構造物選択部1411が押下された場合には、サイト情報取得部22はディスプレイ14に、登録済の構造物の名称をドロップダウンリスト形式で選択可能に表示する。サイト情報取得部22によってドロップダウンリスト形式で表示された構造物の名称が選択されると、サイト情報取得部22は、選択された構造物の名称を含むサイト情報を示す信号を第1サーバ2に送信する(S103)。
【0072】
サイト情報取得部22は、第1サイト情報取得画面141において新規構造物選択部1412が押下された場合には、第2サイト情報取得画面142をディスプレイ14に表示する。第2サイト情報取得画面142は、構造物図面画像1421と、構造物名称入力部1422と、アップロードボタン1423と、入力された情報を消去するキャンセルボタン1424とを有する。構造物図面画像1421は、端末装置1を操作する不図示の点検員により予め取得され、端末記憶部15に記憶される。構造物名称入力部1422は、押下された場合には、サイト情報取得部22は入力画面をディスプレイ14に表示し、不図示の点検員により構造物の名称が操作部13を介して入力される。サイト情報取得部22は、アップロードボタン1423が押下されたとき、構造物図面画像1421及び構造物名称入力部1422に入力された構造物の名称及び測位システム部17が取得した位置情報を含むサイト情報を示す信号を第1サーバ2に送信する(S103)。
【0073】
次いで、第1サーバ2のサイト情報登録部41は、端末装置1から送信されたサイト情報を登録する(S104)。端末装置1から送信されたサイト情報が登録されると、第1サーバ2のシート情報登録部42は、シート情報及び初期クラック値情報を端末装置1に要求する(S105)。端末装置1のシート情報取得部23は、シート情報及び初期クラック値情報を要求されると、シート情報及び初期クラック値情報を取得し、取得したシート情報及び初期クラック値情報のそれぞれを示す信号を第1サーバ2に送信する(S106)。
【0074】
図10は、S105の要求を受けた端末装置1が、S106でシート情報及び初期クラック値情報を取得して送信するためにディスプレイ14に表示する第1シート情報取得画面の一例を示す図である。
【0075】
シート情報取得部23は、シート情報を要求されると、第1シート情報取得画面143をディスプレイ14に表示する。第1シート情報取得画面143は、シート位置選択部1431と、シート位置名称入力部1432と、シート型番選択部1433と、シート情報表示部1434と、初期クラック幅入力部1435とを有する。第1シート情報取得画面143は、アップロードボタン1436と、入力された情報を消去するキャンセルボタン1437とを更に有する。シート位置選択部1431は、シートが貼付けられる構造物の図面画像を含み、
図10において星印で示されるように、不図示の点検員により押下された構造物の図面画像上の位置をシートの貼付け位置を示すシート貼付座標として識別する。シート位置選択部1431に含まれる図面画像は、通信ネットワーク5を介して第1サーバ2または図示されない他のサーバから入手してもよく、また端末装置1で撮影した写真データを使用してもよい。シート位置名称入力部1432は、押下された場合には、シート情報取得部23は入力画面をディスプレイ14に表示し、不図示の点検員によりシートの貼付け位置の名称が操作部13を介して入力される。シート型番選択部1433は、押下されると、シートの型番をドロップダウンリスト形式で選択可能に表示する。シート情報取得部23は、シート型番選択部1433によってドロップダウンリスト形式で表示されたシート型番が選択されると、選択されたシート型番に対応する印刷パターン、ピッチ幅及びオフセット角等のパターン情報をシート情報表示部1434に表示する。初期クラック幅入力部1435は、押下された場合には、シート情報取得部23は入力画面をディスプレイ14に表示し、シートが貼付けられたクラックのクラック幅の初期値が不図示の点検員により操作部13を介して入力される。シート情報取得部23は、アップロードボタン1436が押下されたとき、シート貼付座標、シート位置名称及びパターン情報を含むシート情報、並びにクラック幅の初期値を含む初期クラック値情報を示す信号を第1サーバ2に送信する(S106)。シート貼付座標はシート位置選択部1431を介して入力された情報であり、シート位置名称はシート位置名称入力部1432を介して入力された情報である。パターン情報はシート型番選択部1433を介して選択されたシートに対応した情報であり、クラック幅の初期値は初期クラック幅入力部1435を介して入力された情報である。
【0076】
第1サーバ2のシート情報登録部42は、端末装置1から送信された信号に対応するシート情報及び初期クラック値情報を登録する(S107)。シート情報登録部42は、シート情報及び初期クラック値情報を登録すると、シート画像を端末装置1に要求する(S108)。端末装置1のシート画像取得部24は、シート画像を要求されると、クラックに貼付けられたシートの画像を撮像し(S109)、撮像したシート画像を示す画像データを第1サーバ2に送信する(S110)。
【0077】
図11は、S108の要求を受けた端末装置1がS109で取得した初回の撮影時のシート画像を、S110で測定日と共に送信するためにディスプレイ14に表示する第1シート画像送信画面の一例を示す図である。
【0078】
シート画像取得部24は、シート画像の撮像が終了する(S109)と、第1シート画像送信画面144をディスプレイ14に表示する。第1シート画像送信画面144は、撮像画像表示部1441と、撮像条件表示部1442と、アップロードボタン1443と、撮像された画像を消去するキャンセルボタン1444とを有する。撮像画像表示部1441は、撮像部16によって撮像された画像が表示される。撮像部16によって撮像された画像は、クラックに貼付けられたシートが撮像されている。撮像されたシートは、第1方向に延伸する複数の線画を含む第1パターンを有する第1層部、及び第1層部と重ねられ且つ第1方向とは異なる第2方向に延伸する複数の線画を含む第2パターンを有する。第2層部を含む撮像部16によって撮像された画像は、第1パターンと第2パターンが重ねられたことにより発生したモアレが撮像されている。
【0079】
撮像条件表示部1442は、シートを撮像した撮像日、サイト位置等の撮像条件が表示される。また、撮像条件表示部1442は、シート画像の撮像条件と共に第1サーバ2から送信されたサイトID及びシートIDが表示される。シート画像取得部24は、アップロードボタン1443が押下されたとき、シート画像及び測定日を示す信号を第1サーバ2に送信する(S110)。
【0080】
第1サーバ2の測定情報登録部43は、端末装置1からシート画像及び測定日が送信されると、送信されたシート画像及び測定日等を含む測定情報を登録する(S111)。次いで、第1サーバ2の測定周期決定部44は、シートが貼付けられたクラックのクラック幅を測定する測定周期を決定する(S112)。次いで、測定周期出力部46は、決定された測定周期を示す信号を端末装置1に送信する(S113)。端末装置1の測定日表示部25は、送信された測定周期に基づいて、シートが貼付けられたクラックのクラック幅の次の測定日を演算し、演算した次の測定日をディスプレイ14に表示する(S114)。
【0081】
図12は、S104の処理のより詳細なフローチャートである。
【0082】
まず、サイト情報登録部41は、端末装置1から送信されるサイト情報に基づいて、サイト情報が登録済であるか否かを判定する(S201)。サイト情報登録部41は、端末装置1から送信されるサイト情報が、
図8の第1サイト情報取得画面141の既構造物選択部1411を介して選択されたことを示すフラグを含むとき、サイト情報が登録済であると判定して(S201-YES)、処理を終了する。
【0083】
サイト情報登録部41は、端末装置1から送信されるサイト情報が、
図8の第1サイト情報取得画面141の新規構造物選択部1412の押下を経て、第2サイト情報取得画面142で新規に入力されたことを示すフラグを含むとき、サイト情報が登録済でないと判定し(S201-NO)、新しいサイトIDを発行して割り当てる(S202)。次いで、サイト情報登録部41は、端末装置1から送信されるサイト情報に含まれる位置情報を、構造物の位置を示すサイト位置情報として取得する(S203)。一例では、サイト位置情報は、緯度及び経度として示される。
【0084】
次いで、サイト情報登録部41は、構造物情報データベース3-1にアクセスして、サイト情報に対応する構造物の構造物情報を取得する(S204)。次いで、サイト情報登録部41は、地理情報データベース3-2にアクセスして、サイト情報に対応する構造物が立地する立地地域の地理情報を取得する(S205)。次いで、サイト情報登録部41は、気象情報データベース3-3にアクセスして、サイト情報に対応する構造物が立地する立地地域の気象情報を取得する(S206)。
【0085】
次いで、サイト情報登録部41は、端末装置1から送信されるサイト情報に含まれる構造物図面画像1421を、構造物の図面画像として取得する(S207)。次いで、サイト情報登録部41は、取得した図面画像に図面IDを割り当てる(S208)。そして、サイト情報登録部41は、S202の処理で割り当てたサイトIDにS208の処理で割り当てた図面IDを関連付ける(S209)。
【0086】
図13は、S104の処理で登録されたサイト情報及び図面情報の一例を示す図である。サイト情報及び図面情報は、第1サーバ記憶部32に記憶される。
【0087】
サイト情報は、サイトIDをキーとするデータのグループであり、サイト位置情報である緯度及び経度、構造物の建設年、種類及び材料、構造物が立地する立地地域の地盤、過去最高気温、過去最低気温、過去最大積雪量、過去10年の最大震度、並びに構造物の名称等を含む。図面情報は、図面IDをキーとするデータのグループであり、対応するサイトIDを含み、図面IDに対応する図面画像とサイトIDとを関連付ける。
【0088】
図14は、S107の処理のより詳細なフローチャートである。
【0089】
まず、シート情報登録部42は、端末装置1から送信されたシート情報及び初期クラック幅を取得する(S301)。次いで、シート情報登録部42は、新たなシートIDを発行して割り当てる(S302)。次いで、シート情報登録部42は、S202の処理で割り当てられたサイトID及びS208の処理で割り当てられた図面IDに、S302の処理で割り当てたシートIDを関連付ける(S303)。次いで、シート情報登録部42は、端末装置1から送信されたシート情報に含まれるシート位置名称を登録する(S304)と共に、端末装置1から送信されたシート情報に含まれるシート貼付座標を登録する(S305)。次いで、シート情報登録部42は、印刷パターン、ピッチ幅及びオフセット角等のパターン情報を登録する(S306)。シート型番を登録することでもよい。そして、シート情報登録部42は、初期クラック幅を登録する(S307)。
【0090】
図15は、S104の処理で登録されたサイト情報及び図面情報に加えてS107の処理で登録されたシート情報の一例を示す図である。シート情報は、第1サーバ記憶部32に記憶される。
【0091】
シート情報は、シートIDをキーとするデータのグループであり、シートIDに関連付けるサイトID及び図面ID、シート位置名称、シート貼付座標、印刷パターン、ピッチ幅、オフセット角及び初期クラック幅(シート型番であってもよい)等を含む。
【0092】
図16は、S111の処理のより詳細なフローチャートである。
【0093】
まず、測定情報登録部43は、端末装置1から送信されたシート画像及び測定日を取得する(S401)。次いで、測定情報登録部43は、新たな測定IDを発行して割り当てる(S402)。次いで、測定情報登録部43は、S303の処理で割り当てられたシートIDに、S402の処理で割り当てた測定IDを関連付ける(S403)。次いで、測定情報登録部43は、端末装置1から送信されたシート画像を登録する(S404)と共に、端末装置1から送信された測定日を登録する(S405)。次いで、測定情報登録部43は、クラックの成長幅を示す推定クラック成長幅を「0」と登録する(S406)。そして、測定情報登録部43は、変形前モアレパラメータを演算し(S407)、演算した変形前モアレパラメータを第1サーバ記憶部32に記憶する。
【0094】
変形前モアレパラメータは、変形前のモアレのピッチである第1ピッチmoire_pitch1及び変形前のモアレの傾斜角である第1傾斜角moire_θ1を含む。測定情報登録部43は、シート画像の空間周波数情報を取得し、取得した空間周波数情報、及びシート画像のアスペクト比からモアレの空間周波数のX方向成分fx及びY方向成分fyを決定する。そして、測定情報登録部43は、モアレの空間周波数のX方向成分fx及びY方向成分fyから、第1ピッチmoire_pitch1及び第1傾斜角moire_θ1を、
moire_pitch1 = √(fx2+fy2)
moire_θ1 = arctan(fy/fx)
と演算する。変形前モアレパラメータのより詳細な演算方法は、平成27年9月16日に出願された特願2015-183136号に記載される。
【0095】
図17は、S112の処理のより詳細なフローチャートである。
【0096】
まず、数値化部441は、サイト情報に含まれる地理情報、気象情報及び構造物情報、並びにクラックの幅の少なくとも1つに含まれる項目のそれぞれを、区分を示す数値に数値化し(S501)、数値化した数値を第1サーバ記憶部32に記憶する。
【0097】
図18は、数値化部441による数値化処理の基準を格納したテーブルの一例を示す図である。数値化部441はこのテーブルを参照して数値化処理を実行する。
【0098】
数値化部441は、構造物が位置する地盤が軟弱であるときに「1」に数値化し、塩害があるときに「1」に数値化する。また、数値化部441は、構造物が立地する立地地域において過去10年に震度4以上の地震があったときに「1」に数値化し、構造物が立地する立地地域において過去10年に震度4以上の地震があったときに「2」に数値化する。以下同様に、数値化部441は、サイト情報に含まれる地理情報、気象情報及び構造物情報を順次数値化する。また、数値化部441は、初期クラック幅が1mm以上であるときに「1」に数値化する。
【0099】
次いで、合計値演算部442は、数値化部441によって数値化された数値を加算して合計値を演算する(S502)。次いで、第1判定部443は、合計値演算部442によって演算された合計値が所定の第1しきい値より大きいか否かを判定する(S503)。第1判定部443によって合計値が第1しきい値以下であると判定される(S503-NO)と、周期決定部445は、クラックの測定周期を12月に決定し(S504)、決定した12月の測定周期をシート情報の測定周期に登録する(S505)。第1判定部443によって合計値が第1しきい値より大きいと判定される(S503-YES)と、第2判定部444は、シート情報に登録された初期クラック幅が所定の第2しきい値より大きいか否かを判定する(S506)。第2判定部444によって初期クラック幅が第2しきい値以下であると判定される(S506-NO)と、周期決定部445は、クラックの測定周期を6月に決定し(S507)、決定した6月の測定周期をシート情報の測定周期に登録する(S505)。一方、第2判定部444によって初期クラック幅が第2しきい値より大きいと判定される(S506-YES)と、周期決定部445は、クラックの測定周期を3月に決定し(S508)、決定した3月の測定周期をシート情報の測定周期に登録する(S505)。
【0100】
図19は、S104の処理で登録されたサイト情報及び図面情報及びS107及びS112の処理で登録されたシート情報に加えてS111の処理で登録された測定情報の一例を示す図である。測定情報は、第1サーバ記憶部32に記憶される。
【0101】
シート情報には、S112の処理によって測定周期が登録される。測定情報は、測定IDをキーとするデータのグループであり、測定IDに関連付けるシートID、測定日、シート画像格納アドレス及び推定クラック成長幅等を含む。
【0102】
<第1実施形態に係る測定周期決定システムによる測定周期更新処理>
図20は、測定周期決定システム100による測定周期更新処理のフローチャートである。
【0103】
まず、端末装置1は、不図示の点検員の指示に基づいて、シートが貼付けられたクラックの2回目以降の撮影を開始することを第1サーバ2に通知する(S601)。より詳細には、端末装置1の測定開始通知部21は、ディスプレイ14を介してクラック測定処理を実行するアプリケーションプログラムが選択されると、
図7に示す初期画面140をディスプレイ14に表示する。初期画面140の2回目以降撮影ボタン1402が不図示の点検員によって押下されたときに、シートが貼付けられたクラックの2回目以降の撮影を開始することを第1サーバ2に通知する(S601)。
【0104】
第1サーバ2のシート情報登録部42は、シートが貼付けられたクラックの2回目以降の撮影を開始することが通知されると、シート情報を端末装置1に要求する(S602)。端末装置1のシート情報取得部23は、シート情報を要求されると、シート情報を取得し、取得したシート情報を示す信号を第1サーバ2に送信する(S603)。
【0105】
図21は、S602の要求を受けた端末装置1が、S603でシート情報を取得するためにディスプレイ14に表示される第2サイト情報取得画面の一例を示す図である。
【0106】
シート情報取得部23は、シート情報を要求されると、第2シート情報取得画面145をディスプレイ14に表示する。第2シート情報取得画面145は、サイト名選択部1451と、シート貼付位置選択部1452と、シート貼付位置表示部1453と、アップロードボタン1454と、入力された情報を消去するキャンセルボタン1455とを有する。サイト名選択部1451は、押下されると、サイトの名称をドロップダウンリスト形式で選択可能に表示する。シート情報取得部23は、サイト名選択部1451において例えば「ABC橋」が選択されると、第1サーバ記憶部32にアクセスして、「ABC橋」のサイト情報、及び「ABC橋」のサイト情報に関連付けられた図面画像、図面情報及びシート情報を取得する。シート貼付位置選択部1452は、押下されると、シート情報取得部23はシートの貼付位置をドロップダウンリスト形式で選択可能にディスプレイ14に表示する。シート情報取得部23は、シート貼付位置選択部によってドロップダウンリスト形式で表示されたシート貼付位置が選択されると、選択されたシート貼付位置を図面画像と重畳してシート貼付位置表示部1453に表示する。シート情報取得部23は、アップロードボタン1436が押下されたとき、サイト名選択部1451を介して選択されたサイト名及びシート貼付位置選択部1452を介して選択されたシート貼付位置を含むシート情報を示す信号を第1サーバ2に送信する(S603)。
【0107】
第1サーバ2のシート情報登録部42は、端末装置1からシート情報が送信されると、シート画像を端末装置1に要求する(S604)。端末装置1のシート画像取得部24は、シート画像を要求されると、クラックに貼付けられたシートの画像を撮像し(S605)、撮像したシート画像及び測定日を示す信号を第1サーバ2に送信する(S606)。
【0108】
図22は、S604の要求を受けた端末装置1が、S606で2回目以降の撮影時のシート画像を送信するためにディスプレイ14に表示される第2シート画像送信画面の一例を示す図である。
【0109】
シート画像取得部24は、シート画像の撮像が終了すると、第2シート画像送信画面146をディスプレイ14に表示する。第2シート画像送信画面146は、撮像画像表示部1461と、撮像条件表示部1462と、アップロードボタン1463と、撮像された画像を消去するキャンセルボタン1464とを有する。撮像画像表示部1461は、撮像部16によって撮像された画像が表示される。撮像条件表示部1462は、サイト名、シート貼付位置、及びシート位置等の撮像条件が表示される。シート画像取得部24は、アップロードボタン1463が押下されたとき、シート画像及び測定日を示す信号を第1サーバ2に送信する(S606)。
【0110】
第1サーバ2の測定周期更新部45は、端末装置1からシート画像及び測定日が送信されると、送信されたシート画像及び測定日等を含む更新測定情報を登録する(S607)。次いで、第1サーバ2の測定周期更新部45は、シートが貼付けられたクラックのクラック幅を測定する測定周期を更新する(S608)。次いで、測定周期出力部46は、更新された測定周期を示す信号を端末装置1に送信する(S609)。端末装置1の測定日表示部25は、送信された測定周期に基づいて、シートが貼付けられたクラックのクラック幅の次の測定日を演算し、演算した次の測定日をディスプレイ14に表示する(S610)。
【0111】
図23は、S607の処理のより詳細なフローチャートである。
【0112】
まず、更新情報登録部451は、端末装置1から送信されたシート画像及び測定日を取得する(S701)。次いで、更新情報登録部451は、新たな測定IDを発行して割り当てる(S702)。次いで、更新情報登録部451は、S303の処理で割り当てられたシートIDに、S702の処理で割り当てた測定IDを関連付ける(S703)。次いで、更新情報登録部451は、端末装置1から送信されたシート画像を登録する(S704)と共に、端末装置1から送信された測定日を登録する(S705)。次いで、更新情報登録部451は、変形後モアレパラメータを演算し(S706)、演算した変形後モアレパラメータを第1サーバ記憶部32に記憶する。
【0113】
変形後モアレパラメータは、変形後のモアレのピッチである第2ピッチmoire_pitch2及び変形後のモアレの傾斜角である第2傾斜角moire_θ2を含む。第2ピッチmoire_pitch2及び変形後のモアレの傾斜角である第2傾斜角moire_θ2の演算方法は、S407の処理における第1ピッチmoire_pitch1及び第1傾斜角moire_θ1と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0114】
次いで、クラック成長幅推定部452は、変形前モアレパラメータ及び変形後モアレパラメータから変形前後の第1パターン121のピッチの変化量を演算し、演算したピッチの変化量からクラック成長幅を推定する(S707)。
【0115】
図24は、S707の処理を説明するための第1の図である。第1方向に延伸する複数の平行の実線で示される直線P11の間隔は変形前の第1パターン121のピッチpitchを示し、第1方向に延伸する複数の平行の破線で示される直線P12の間隔は変形後の第1パターン121のピッチpitch+Δpitch_stを示す。また、第2方向に延伸する複数の平行の実線で示される直線P2の間隔は第2パターン122のピッチpitchを示す。第2パターン122のピッチpitchは、第1パターン121のピッチpitchと同一である。また、複数の平行の一点鎖線で示される直線M1の間隔は変形前のモアレの第1ピッチmoire_pitch1を示し、複数の平行の二点鎖線で示される直線M2の間隔は変形後のモアレの第2ピッチmoire_pitch2を示す。第2ピッチmoire_pitch2のX方向成分はmoire_pitch_xで示され、第2ピッチmoire_pitch2のY方向成分はmoire_pitch_yで示される。シート101は、X方向、すなわち第1方向に直交する方向に変形する。したがって、モアレのピッチのY方向成分は、シート101の変形前後で変化せずに、moire_pitch_yで一定である。
【0116】
図24においてαで示されるモアレの第2ピッチのY方向成分moire_pitch_yは、変形前のモアレの第1ピッチmoire_pitch1及びオフセット角度offset_θから、
【0117】
【0118】
で示される。
【0119】
図25(A)はS707の処理を説明するための第2の図であり、
図25(B)はS707の処理を説明するための第3の図である。
図25(A)は
図24において矢印Aで示される破線で囲まれた部分の部分拡大図である。offset_θはオフセット角度を示し、pitchは変形前の第1パターン121のピッチ、及び第2パターン122のピッチを示し、Δpitch_stは変形前後の第1パターン121のピッチの変化量を示し、moire_θ1は第1傾斜角を示す。また、傾斜ピッチpitch_sl及び差分傾斜ピッチΔpitch_slは演算に使用される変数である。傾斜ピッチpitch_slは第2パターン122のピッチpitch及び第1傾斜角moire_θ1により規定され、差分傾斜ピッチΔpitch_slは傾斜ピッチpitch_slと第2パターン122のピッチpitchとの差である。
【0120】
オフセット角度offset_θは、差分傾斜ピッチΔpitch_sl及び
図25(A)においてxで示される長さから、
【0121】
【0122】
で示される。また、第1傾斜角moire_θ1は、変形前の第1パターン121のピッチpitch及び
図25(A)においてxで示される長さから、
【0123】
【0124】
で示される。差分傾斜ピッチΔpitch_slは、この2つの式を展開することにより、
【0125】
【0126】
で示される。一方、傾斜ピッチpitch_slは、変形前の第1パターン121のピッチpitch及び差分傾斜ピッチΔpitch_slから、
【0127】
【0128】
で示される。また、変形前後の第1パターン121のピッチの変化量Δpitch_st、傾斜ピッチpitch_sl及び差分傾斜ピッチΔpitch_slは、
【0129】
【0130】
で示される。ここで、nは変形後のモアレの第2ピッチのX成分moire_pitch_xの半周期が傾斜ピッチpitch_slの何倍であるか示す倍数である。上記の式から、倍数nは、
【0131】
【0132】
で示される。一方、変形後のモアレの第2ピッチのX成分moire_pitch_x、傾斜ピッチpitch_sl及び倍数nは、
【0133】
【0134】
で示される。これらの関係から、変形後のモアレの第2ピッチのX成分moire_pitch_xは、
【0135】
【0136】
で示される。また、
図25(B)に示すように、変形後のモアレの第2ピッチのX成分moire_pitch_x、変形後のモアレの第2ピッチのX成分moire_pitch_y及び第2傾斜角moire_θ2は、
【数10】
【0137】
で示される。以上の式から、変形前後の第1パターン121のピッチの変化量Δpitch_stは、
【数11】
【0138】
【0139】
である。クラック成長幅推定部452は、式(1)を使用して、変形前後の第1パターン121のピッチの変化量Δpitch_stを演算する。
【0140】
クラック成長幅推定部452は、変形前後の第1パターン121のピッチの変化量Δpitch_stに、ピッチが変化する領域に含まれる第1パターン121の直線の本数を乗算することにより、クラックの成長幅を演算する。クラックの成長幅のより詳細な演算方法は、平成27年9月16日に出願された特願2015-183136号に記載される。
【0141】
そして、更新情報登録部451は、S707の処理で推定されたクラックの成長幅を登録する(S708)。また、更新情報登録部451は、S707の処理で推定されたクラックの成長幅に基づいて、シート情報に登録されるクラック幅を更新する(S709)。
【0142】
測定周期更新部45の周期更新部453によって実行されるS608の処理は、
図17を参照して説明されるS112の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。周期更新部453は、測定周期決定部44と同様に、数値化部441、合計値演算部442、第1判定部443、第2判定部444及び周期決定部445を有して、S608の処理を実行してもよい。また、周期更新部453は、測定周期決定部44にS608の処理の実行を指示してもよい。
【0143】
図26は、S104の処理で登録されたサイト情報及び図面情報に加えて、S607の処理で更新されたクラック幅を含むシート情報、及びS607の処理で登録されたクラックの成長幅を含む測定情報の一例を示す図である。シート情報及び測定情報は、第1サーバ記憶部32に記憶される。
【0144】
測定情報において、推定クラック成長幅は、S707の処理で推定された値である。また、シート情報において、クラック幅は、
図19に示される初期クラック幅に、測定情報の推定クラック成長幅を加算した値である。すなわち、推定クラック成長幅は、先に取得した画像データに対応するモアレと、今回取得された画像に対応するモアレとの比較に基づいて推定される。
【0145】
測定周期決定システム100は、単一のシートだけでなく、複数のシートに対して
図6を参照して説明される測定周期決定処理及び
図20を参照して説明される測定周期更新処理を実行してもよい。複数のシートに対して測定周期決定処理及び測定周期決定処理が実行されるとき、複数のシートのそれぞれに対応するサイト情報、図面情報、シート情報及び測定情報は、第1サーバ記憶部32に記憶される。
【0146】
<第1実施形態に係る測定周期決定システムの作用効果>
第1実施形態に係る測定周期決定システム(に係る測定周期決定装置、プログラム、方法等)は、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報の少なくとも1つに基づいて、構造物にクラックの幅を測定する測定周期を決定するので、クラックの幅の測定周期を構造物の状態に応じて変更することができる。
【0147】
また、第1実施形態に係る測定周期決定システムは、クラックの成長幅等のクラック情報に基づいて測定周期を更新するので、クラックの幅の測定周期をクラックの状態の変化に応じて変更することができる。
【0148】
また、第1実施形態に係る測定周期決定システムは、モアレを撮像したシート画像に基づいてクラックの成長幅を推定するので、クラックの成長幅を簡便且つ精度良く推定することができる。
【0149】
また、第1実施形態に係る測定周期決定システムは、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報に含まれる項目を数値化した数値の合計値に基づいて測定周期を決定するので、構造物の環境及びクラックの状態に応じた測定周期とすることができる。
【0150】
また、第1実施形態に係る測定周期決定システムは、項目を数値化した数値の合計値に加えてクラックの幅を考慮して測定周期を決定するので、クラックの幅に応じてより適切な測定周期とすることができる。
【0151】
<第2実施形態に係る測定周期決定システムの構成>
第2実施形態に係る測定周期決定システムは、端末装置1と、第2サーバ7と、構造物情報データベース3-1と、地理情報データベース3-2と、気象情報データベース3-3とを含む。
【0152】
<第2実施形態に係る第2サーバの構成及び機能>
図27は、第2実施形態に係る測定周期決定装置の一例である第2サーバ7の概略構成の一例を示す図である。
【0153】
第2サーバ7は、第2サーバ通信部231と、第2サーバ記憶部232と、第2サーバ出力部233と、第2サーバ入力部234と、第2サーバ処理部50とを備える。第2サーバ通信部231、第2サーバ記憶部232、第2サーバ出力部233及び第2サーバ入力部234のそれぞれは、第1サーバ通信部31~第1サーバ入力部34のそれぞれと同様な構成を有するので、ここでは詳細な説明は省略する。第2サーバ処理部50は、測定経路生成部51を有することが第1サーバ処理部40と相違する。測定経路生成部51は、測定経路情報生成部511と、測定経路信号出力部512とを有する。第2サーバ7は、第1サーバ2と同様に、
図6を参照して説明される測定周期決定処理及び
図20を参照して説明される測定周期更新処理を端末装置1と協働して実行する。第2サーバ7は、測定周期決定処理及び測定周期更新処理に加えて、複数のサイトに配置されたシートを撮像して、シートが貼付けられたクラックの幅を測定するときの測定経路を含む測定経路情報を生成する測定経路生成処理を実行する。
【0154】
<第2実施形態に係る測定周期決定システムによる測定経路情報生成処理>
図28は、測定経路生成部51による測定経路情報生成処理を示すフローチャートである。
【0155】
まず、測定経路情報生成部511は、シートの撮影によりクラックの幅を測定するときの経路を含む測定経路情報の生成を指示する測定経路生成指示を取得する(S801)と共に、測定経路を生成するシートが含まれる地域を示す測定範囲を取得する(S802)。測定経路情報生成部511によって取得される測定経路生成指示は、測定予定日を含む。測定経路生成指示及び測定範囲は、同時に取得してもよく、測定経路生成指示及び測定範囲の順に順次取得してもよい。また、測定経路生成指示及び測定範囲は、端末装置1から取得してもよく、第2サーバ入力部234を介して取得してもよい。
【0156】
次いで、測定経路情報生成部511は、S802の処理で取得した測定範囲に含まれるシートの中から、クラックの幅を測定するために撮像されるシートを示す測定候補を抽出する(S803)。具体的には、測定経路情報生成部511は、まずS802の処理で取得した測定範囲に含まれるシートを抽出する。次いで、測定経路生成指示は、抽出したシートの最新の測定情報に含まれる測定日、及びシート情報に含まれる測定周期から、測定範囲に含まれるシートのそれぞれについて次の測定日を演算する。次いで、測定経路情報生成部511は、演算された次の測定日に基づいて、測定候補を抽出する。一例では、測定経路情報生成部511は、演算された次の測定日が測定予定日から所定の期間内に含まれるシートを測定候補として抽出する。他の例では、測定経路生成指示は、演算された次の測定日が測定予定日に近い順に所定数のシートを測定候補として抽出する(S803)。
【0157】
また、さらに測定者の作業スケジュールも考慮してよい。この場合、たとえば3か所のシートの次回測定予定日がそれぞれ、8月3日(シートAAA)、8月16日(シートAAB)、8月18日(シートAAC)とシート情報に登録されていれば、測定者の作業スケジュールが毎月1回で次回が8月1日と登録されているときにはその3か所すべてを測定候補として、測定経路情報生成部511は抽出する。測定者の作業スケジュールが毎月2回で次回が8月1日と8月15日と登録されているときには、測定経路情報生成部511は8月1日分としてシートAAAを抽出し、8月15日分としてシートAABとシートAACとを抽出する。
【0158】
次いで、測定経路情報生成部511は、S804の処理で抽出された測定候補を撮像することによりクラックの幅を測定するときの経路を含む測定経路情報を生成する(S804)。測定経路情報生成部511は、第2サーバ記憶部232によって記憶された測定周期情報、及び複数の構造物のそれぞれの位置関係を示す位置関係情報に基づいて、複数の構造物のそれぞれのクラックの幅を測定するときの経路を含む測定経路情報を生成する。測定経路情報生成部511は、ランダムサーチ、焼きなまし法、及び遺伝的アルゴリズム等の公知の経路検索アルゴリズムを使用して、クラックの幅を測定するときの経路を生成してもよい。
【0159】
図29は、第2サーバ7がS805の処理で生成した測定経路情報の一例を示す図である。
【0160】
測定経路情報290は、測定範囲に対応する地図画像と、地図画像に配置される測定候補の測定順序を示す数値と、地図画像に配置される測定候補のそれぞれの間の経路とを含む。測定経路情報290において、矢印A~Cのそれぞれで示される地点に測定順序を示す数値が表示される。矢印Aで示される地点には測定順序「1」が表示され、矢印Bで示される地点には測定順序「2」が表示され、矢印Cで示される地点には測定順序「3」が表示される。また、測定経路情報290には、矢印Aで示される地点と矢印Bで示される地点との間の経路、及び矢印Bで示される地点と矢印Cで示される地点との間の経路が示される。
【0161】
そして、測定経路信号出力部512は、S805の処理で生成された測定経路を含む測定経路情報を示す測定経路信号を端末装置1に出力する(S805)。
【0162】
<第2実施形態に係る測定周期決定システムの作用効果>
第2実施形態に係る測定周期決定システムは、測定周期情報及び複数の構造物のそれぞれの位置関係を示す位置関係情報に基づいて、複数の構造物のそれぞれのクラックの幅を測定するときの経路を含む測定経路情報を生成するので、適切な経路を点検員に提供できる。
【0163】
<第3実施形態に係る測定周期決定システムの構成>
第3実施形態に係る測定周期決定システムは、端末装置1と、探索端末装置8と、第3サーバ9と、構造物情報データベース3-1と、地理情報データベース3-2と、気象情報データベース3-3とを含む。
【0164】
図30は、探索端末装置8の概略構成の一例を示す図である。
【0165】
探索端末装置8は、例えば多機能携帯電話であり、探索通信部61と、探索近距離通信部62と、探索操作部63と、探索ディスプレイ64と、探索記憶部65と、探索撮像部66と、探索測位システム部67と、探索時計部68と、探索処理部70とを有する。探索通信部61~探索時計部68のそれぞれは、端末通信部11~時計部18のそれぞれと同様な構成を有するので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0166】
図3において、単一の探索端末装置8が示されるが、実施形態に係る測定周期決定システムは、複数の探索端末装置8を含んでもよい。また、探索端末装置8は、橋梁、堤防及びトンネル等の構造物の保守点検業務を実行する点検員に使用されるのではなく、一般のユーザに使用される。探索端末装置8は、シートが貼付けられたサイトの位置にポイントが配置されるポイント地図を表示する。ポイント地図に配置されるポイントは、対応するクラックのそれぞれを重み付けする値である。シートに対応するポイントは、シートを撮影してクラックの幅を測定する測定日までの日数が少なくなるほど、大きくなるように重み付けされる。また、探索端末装置8は、表示したポイント地図に配置されるポイントに対応するシートが撮像されたときに、累積した合計のポイントを表示する探索アプリが搭載される。探索端末装置8を使用するユーザは、ポイントに対応するシートを撮像して、撮像したシートを含む画像を示す画像データを第3サーバ9に送信することによって、ポイント地図に表示されたポイントを獲得することができる。一例では、ユーザによって獲得されたポイントは、所定のスーパーマーケットにおける買い物の割引券、所定のレジャー施設の利用料金の割引券等と交換可能である。
【0167】
探索処理部70は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。探索処理部70は、探索端末装置8の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。探索処理部70は、探索端末装置8の各種処理が探索記憶部65に記憶されているプログラム、探索操作部63の操作等に応じて適切な手順で実行されるように、探索通信部61、探索近距離通信部62等の動作を制御する。探索処理部70は、探索記憶部65に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、探索処理部70は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0168】
探索処理部70は、探索アプリ起動通知部71と、位置情報取得部72と、位置情報取得部73と、地図情報取得部74と、シート情報取得部75と、シート画像取得部76と、ポイント取得部77とを有する。探索処理部70が有するこれらの各部は、探索処理部70が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、探索処理部70が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして探索端末装置8に実装されてもよい。
【0169】
<第3実施形態に係る第3サーバの構成及び機能>
図31は、第3実施形態に係る測定周期決定装置の一例である第3サーバ9の概略構成の一例を示す図である。
【0170】
第3サーバ9は、第3サーバ通信部331と、第3サーバ記憶部332と、第3サーバ出力部333と、第3サーバ入力部334と、第3サーバ処理部80とを備える。第3サーバ通信部331~第3サーバ入力部334のそれぞれは、第1サーバ通信部31~第1サーバ入力部34のそれぞれと同様な構成を有するので、ここでは詳細な説明は省略する。第3サーバ処理部80は、探索情報生成部81と、探索情報提供部82とを有することが第1サーバ処理部40と相違する。探索情報生成部81は、測定予定日演算部811と、ポイント生成部812と、ポイント登録部813と、地図情報生成部814とを有する。探索情報提供部82は、探索端末情報取得部821と、地図情報出力部822と、ポイント情報更新部823と、ポイント情報出力部824とを有する。第3サーバ9は、第1サーバ2と同様に、
図6を参照して説明される測定周期決定処理及び
図20を参照して説明される測定周期更新処理を端末装置1と協働して実行する。第3サーバ9は、測定周期決定処理及び測定周期更新処理に加えて、クラックに貼付けられたシートをポイント化した探索情報を生成する探索情報生成処理と、生成した探索情報を提供する探索情報提供処理を実行する。
【0171】
<第3実施形態に係る測定周期決定システムによる探索情報生成処理>
図32は、探索情報生成部81による探索情報生成処理を示すフローチャートである。
【0172】
まず、測定予定日演算部811は、シートIDが付されたシートのそれぞれについて、測定情報に登録された測定日、及びシート情報に登録された測定周期から、次にクラック幅を測定する測定予定日を演算する(S901)。次いで、ポイント生成部812は、シートIDが付されたシートのそれぞれについて、シートを貼りつけたクラックの幅を測定する測定予定日までの日数に応じたポイントを生成する(S902)。ポイント生成部812は、例えば、測定予定日までの日数が1月であるとき1ポイントとし、測定予定日までの日数が2週間であるとき3ポイントとし、測定予定日までの日数が1週間であるとき5ポイントとしてもよい。次いで、ポイント登録部813は、ポイント生成部812によって生成されたポイントをシート情報に登録する(S903)。そして、地図情報生成部814は、所定の地図画像において、シートのそれぞれのサイト情報に登録されたサイト位置情報に対応する位置に、S903の処理で登録されたポイントを配置して、ポイントが表示されたポイント地図を生成する(S904)。ポイント地図は、クラックに貼付けられたシートをポイント化した探索情報の一例である。
【0173】
図33は、第3サーバ9がS904の処理で生成したポイント地図の一例を示す図である。
【0174】
ポイント地
図330において、矢印A~Cのそれぞれで示される地点にポイントが表示される。矢印Aで示される地点にはポイント「5」が表示され、矢印Bで示される地点にはポイント「1」が表示され、矢印Cで示される地点にはポイント「3」が表示される。
【0175】
<第3実施形態に係る測定周期決定装置による測定周期決定処理>
図34は、測定周期決定システム100による測定周期決定処理のフローチャートである。
【0176】
まず、探索アプリ起動通知部71は、ポイントに対応するシートを探索する探索アプリがユーザによって起動されたことに応じて、探索アプリの起動を第3サーバ9に通知する(S1001)。探索端末情報取得部821は、探索アプリの起動が通知されると、探索端末装置8にユーザIDを要求する(S1002)。探索端末情報取得部821は、第3サーバ9からユーザIDが要求されると、探索記憶部65等に記憶されたユーザIDを取得し、取得したユーザIDを示す信号を第3サーバ9に送信する(S1003)。次いで、探索端末情報取得部821は、送信されたユーザIDを記憶すると共に、探索端末装置8に位置情報を要求する(S1004)。次いで、位置情報取得部73は、測位システム部17が取得した位置情報を示す信号を第3サーバ9に送信する(S1005)。次いで、地図情報出力部822は、送信された位置情報が示す地点を含むポイント地図を選択し、選択したポイント地図、及び選択したポイント地図に含まれるシートのシート情報を探索端末装置8に送信する(S1006)。
【0177】
次いで、地図情報取得部74は、第3サーバ9から送信されたポイント地図を、探索ディスプレイ64に表示する(S1007)。次いで、シート情報取得部75は、測位システム部17が取得した位置情報に基づいて、ポイント地図上にポイントが示されるシートの何れかと、探索端末装置との間の距離が所定の閾値距離以下になったときに、シート情報を探索ディスプレイ64に表示する。探索ディスプレイ64に表示されるシート情報は、サイトにおけるシートの貼付け位置を示す情報であり、一例では
図21に示されるシート貼付位置表示部1453と同様に、ポイントが示されたシートの貼付位置と図面画像とを重畳して表示する画像である。
【0178】
次いで、シート画像取得部76は、探索端末装置8を使用するユーザの指示に基づいて、クラックに貼付けられたシートの画像を撮像し(S1009)、撮像したシート画像及び測定日を示す信号を第3サーバ9に送信する(S1010)。
【0179】
第3サーバ9の測定周期更新部45は、探索端末装置8からシート画像及び測定日が送信されると、送信されたシート画像及び測定日等を含む更新測定情報を登録する(S1011)。次いで、第1サーバ2の測定周期更新部45は、シートが貼付けられたクラックのクラック幅を測定する測定周期を更新する(S1012)。S1011及びS1012の処理は、
図23を参照して説明されたS607の処理及び18を参照して説明されたS112の処理と同様なので、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0180】
次いで、ポイント情報更新部823は、S1003の処理で記憶されたユーザIDに関連付けて記憶されるポイント数に、S1011の処理で更新想定情報が登録されたシートに対応するポイントを加算して、ポイント情報を更新する(S1013)。次いで、ポイント情報出力部824は、S823の処理で更新されたポイント情報を示す信号を探索端末装置8に送信する(S1014)。そして、ポイント取得部77は、S1014の処理で送信されたポイント情報を探索ディスプレイ64に表示する(S1015)。
【0181】
<第3実施形態に係る測定周期決定システムの作用効果>
第3実施形態に係る測定周期決定システムは、測定周期情報に基づいて、複数のクラックのそれぞれを重み付けすることで、次の測定日までの日にちに応じて複数のクラックを順位付けしたポイント情報を重み付け信号として提供することができる。第3実施形態に係る測定周期決定システムでは、ポイント情報を買い物の割引券等と交換可能なポイントとして点検員以外の一般のユーザに提供することで、点検員ではない一般のユーザにクラックの幅を測定させるインセンティブを与えることができる。
【0182】
<実施形態に係る測定周期決定システムの変形例>
第1~第3実施形態に係る測定周期決定システムでは、シート画像を取得して登録する測定情報登録部43及び更新情報登録部451等が、構造物に発生したクラックに関するクラック情報を取得するクラック情報取得部として機能する。しかしながら、実施形態に係る測定周期決定システムでは、構造物に発生したクラックに関するクラック情報はシートに発生するモアレを撮像したシート画像に限定されない。例えば、シート画像に示されるモアレからクラック成長幅を推定するクラック成長幅推定部に対応する機能を携帯端末が有してもよい。この場合、構造物に発生したクラックに関するクラック情報は、推定されたクラック成長幅、又は推定されたクラック成長幅と前回の測定で測定されたクラック幅とを加算して演算されるクラック幅であってもよい。
【0183】
また、第1~第3実施形態に係る測定周期決定システムでは、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報に基づいて、クラックの幅を測定する測定周期は決定される。しかしながら、実施形態に係る測定周期決定システムでは、クラックの幅を測定する測定周期は、地理情報、気象情報、及び構造物情報の少なくとも1つ、並びにクラック情報に基づいて決定されてもよい。また、実施形態に係る測定周期決定システムでは、クラックの幅を測定する測定周期は、地理情報、気象情報、構造物情報、及びクラック情報の少なくとも1つに基づいて決定されてもよい。
【0184】
また、第1~第3実施形態に係る測定周期決定システムでは、決定又は更新された測定周期が測定周期情報として携帯端末に出力されるが、測定周期決定システムでは、決定又は更新された測定周期に関連する測定周期情報が携帯端末に出力されてもよい。例えば、携帯端末に出力される測定周期情報は、クラックの幅を次に測定する日にち、クラックの幅を測定する日にちが所定の日にちしきい値よりも近いことを示す警報であってもよい。
【0185】
また、第3実施形態に係る測定周期決定システムでは、探索情報生成部81によって予め生成されたポイント地図を使用して、測定周期決定処理が実行されるが、実施形態に係る測定周期決定システムでは、ポイント地図は使用されなくてもよい。実施形態に係る測定周期決定システムでは、探索端末装置は、インタネットを介して入手可能な地図に、対応する位置情報に応じてポイントを重畳して表示してもよい。
【0186】
<各実施形態に係る測定周期決定システムのユーザ>
測定周期決定システムは、種々のユーザによって活用されることが期待される。たとえば、国道等の橋梁やトンネルのオーナである国や地方自治体、私鉄等の橋梁やトンネル等のオーナである私的企業、それらから業務委託を受けた(公的、私的を問わず)管理会社が考えられる。また、インフラとして工場や倉庫やオフィスビルを想定する場合には、それらのオーナや管理会社も考えられる。また、インフラとして住居用のコンドミニアムやアパートを想定する場合には、それらのオーナや管理会社に加えて住民による管理組合も考えられる。さらに、第3の実施形態においては、それらからインセンティブ付与された一般の人々も考えられる。
【符号の説明】
【0187】
1 端末装置
2 第1サーバ
7 第2サーバ
8 探索端末装置
9 第3サーバ
41 サイト情報登録部(関連情報取得部)
42 シート情報登録部(クラック情報取得部)
43 測定情報登録部
44 測定周期決定部
45 測定周期更新部
46 測定周期出力部