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特許7103772目地ジョイナー及びこれを用いた外壁構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】目地ジョイナー及びこれを用いた外壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20220712BHJP
   E04B 1/684 20060101ALI20220712BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
E04B1/684 A
E04B2/56 644B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017195731
(22)【出願日】2017-10-06
(65)【公開番号】P2019070233
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 哲也
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-146564(JP,A)
【文献】特開平05-332013(JP,A)
【文献】実開平06-028066(JP,U)
【文献】特開平08-284365(JP,A)
【文献】特開2001-279832(JP,A)
【文献】登録実用新案第3116739(JP,U)
【文献】特開平10-037321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04B 1/62-1/99
E04B 2/56-2/70
E04B 2/88-2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に充填される1次シールとしてのシール材の奥側に配置される目地ジョイナーにおいて、
前記継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部、及び、前記突条部の奥側の両端部のそれぞれから横外側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を裏面から受ける一対の受け部を有する本体と、
前記一対の受け部の前記継ぎ目側端部と対向する表面のそれぞれに配置された2次シールとしての一対の第1パッキンとを備えており、
前記一対の第1パッキンのそれぞれは、前記突条部に当接すると共に、前記受け部の横外側への張り出し方向において、前記表面の外側の領域を残して内側の領域に配置されていることを特徴とする目地ジョイナー。
【請求項2】
サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に充填されるシール材の奥側に配置される目地ジョイナーにおいて、
前記継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部、及び、前記突条部の奥側の端部から横外側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を裏面から受ける受け部を有する本体と、
前記受け部の前記継ぎ目側端部と対向する表面に配置された第1パッキンとを備えており、
前記本体の奥側が開口されており、前記開口を覆う第2パッキンが設けられていることを特徴とする目地ジョイナー。
【請求項3】
前記突条部には、その内部空間と外部とを連通する孔が形成されており、
前記突条部は、前記内部空間と共に上下方向に沿って延在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の目地ジョイナー。
【請求項4】
表面に防水シートが設けられた外壁下地材と、
前記外壁下地材に前記防水シートを介して取り付けられた目地ジョイナーと、
前記目地ジョイナーを継ぎ目に挟んで前記外壁下地材に取り付けられたサイディングと、
前記サイディングの継ぎ目に充填して設けられた1次シールとしてのシール材と、を備えており、
前記目地ジョイナーは、前記継ぎ目に配置される突条部、及び、前記突条部の奥側の両端部のそれぞれから横外側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を裏面から受ける一対の受け部を有する本体と、
前記一対の受け部の前記継ぎ目側端部と対向する表面のそれぞれに配置された2次シールとしての一対の第1パッキンとを備えており、
前記一対の第1パッキンのそれぞれは、前記突条部に当接すると共に、前記受け部の横外側への張り出し方向において、前記表面の外側の領域を残して内側の領域に配置されていることを特徴とする外壁構造。
【請求項5】
表面に防水シートが設けられた外壁下地材と、
前記外壁下地材に前記防水シートを介して取り付けられた目地ジョイナーと、
前記目地ジョイナーを継ぎ目に挟んで前記外壁下地材に取り付けられたサイディングと、
前記サイディングの継ぎ目に充填して設けられたシール材と、を備えており、
前記目地ジョイナーは、前記継ぎ目に配置される突条部、及び、前記突条部の奥側の端部から横外側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を裏面から受ける受け部を有する本体と、
前記受け部の前記継ぎ目側端部と対向する表面に配置された第1パッキンと、
前記本体の奥側が開口されており、前記開口を覆うように設けられた第2パッキンと、
を備えていることを特徴とする外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイディングと外壁下地材との間に配置される目地ジョイナー及びこれを用いた外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物では、例えば、構造合板、防水シート、胴縁などで構成される外壁下地材の施工後、建築物の外装となるサイディングが胴縁又は通気金具を介して外壁下地材に取り付けられる。このサイディングは、目地において直線的に接合された外観を得る必要がある。そこで、目地の位置合わせを行う目地ジョイナーが用いられる。
【0003】
目地ジョイナーとして、特許文献1に記載のような、突条部を有するものがある。この目地ジョイナーは、突条部の両側にサイディングの端面を突き合わせ、その端面間に継ぎ目が構成される。そして、目地ジョイナーの突条部の先端側にコーキング材(シール材)が充填され、継ぎ目から雨水などの水が内部に侵入しないように止水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-68464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の目地ジョイナーにおいては、自身が止水機能を有していないため、サイディングの収縮や反り、また経年劣化等によって、コーキング材の止水機能が失われてしまうと、水がサイディングの継ぎ目から目地ジョイナーとサイディングとの間の隙間を介してサイディングと外壁下地材との間に侵入する。このように水が侵入すると、サイディングの外壁下地材と対向する裏面などにカビなどが生じやすくなるばかりか、外壁下地材の内部へと水が侵入する虞がある。このため、コーキング材の打ち直し工事を行うなどの大掛かりな工事が必要となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、シール材が劣化して止水機能を失ったとしても、水の侵入を抑制することが可能な目地ジョイナー及びこれを用いた外壁構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目地ジョイナーは、サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に充填される1次シールとしてのシール材の奥側に配置される目地ジョイナーにおいて、前記継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部、及び、前記突条部の奥側の両端部のそれぞれから横外側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を裏面から受ける一対の受け部を有する本体と、前記一対の受け部の前記継ぎ目側端部と対向する表面のそれぞれに配置された2次シールとしての一対の第1パッキンとを備えている。そして、前記一対の第1パッキンのそれぞれは、前記突条部に当接すると共に、前記受け部の横外側への張り出し方向において、前記表面の外側の領域を残して内側の領域に配置されている。
【0008】
これによると、1次シールであるシール材が劣化して止水機能を失ったとしても、2次シールとしての第1パッキンによってサイディングの継ぎ目からサイディングと外壁下地材との間への水の侵入を抑制することが可能となる。
【0010】
また、本発明の目地ジョイナーは、別の観点では、サイディングの継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に充填されるシール材の奥側に配置される目地ジョイナーにおいて、前記継ぎ目を構成する前記サイディングの端面間に配置される突条部、及び、前記突条部の奥側の端部から横外側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を裏面から受ける受け部を有する本体と、前記受け部の前記継ぎ目側端部と対向する表面に配置された第1パッキンとを備えている。そして、前記本体の奥側が開口されており、前記開口を覆う第2パッキンが設けられている。これによると、1次シールであるシール材が劣化して止水機能を失ったとしても、2次シールとしての第1パッキンによってサイディングの継ぎ目からサイディングと外壁下地材との間への水の侵入を抑制することが可能となる。また、孔を介して本体の内部空間に入った水を、内部空間下方へと導いて外部へと排出することができ、サイディングと外壁下地材との間の空間へ漏れ出すのを効果的に抑制することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記突条部には、その内部空間と外部とを連通する孔が形成されており、前記突条部は、前記内部空間と共に上下方向に沿って延在していることが好ましい。これにより、シール材によるシールの止水機能が失われたとしても、サイディングの継ぎ目から孔に水が入りやすくなってサイディングと第1パッキンとの間に向かう水が少なくなる。このため、サイディングと外壁下地材との間への水の侵入をより抑制することが可能となる。なお、外壁下地材の表面に防水シートを設けておくことで、孔を介して内部空間に入った水を内部空間内において下方へと流し外部に排出することで、内部空間に入った水が外壁下地材を濡らしたり、その内部に侵入するのを、さらに抑制することが可能となる。
【0013】
本発明の外壁構造は、表面に防水シートが設けられた外壁下地材と、前記外壁下地材に前記防水シートを介して取り付けられた目地ジョイナーと、前記目地ジョイナーを継ぎ目に挟んで前記外壁下地材に取り付けられたサイディングと、前記サイディングの継ぎ目に充填して設けられた1次シールとしてのシール材と、を備えている。そして、前記目地ジョイナーは、前記継ぎ目に配置される突条部、及び、前記突条部の奥側の両端部のそれぞれから横外側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を裏面から受ける一対の受け部を有する本体と、前記一対の受け部の前記継ぎ目側端部と対向する表面のそれぞれに配置された2次シールとしての一対の第1パッキンとを備えている。そして、前記一対の第1パッキンのそれぞれは、前記突条部に当接すると共に、前記受け部の横外側への張り出し方向において、前記表面の外側の領域を残して内側の領域に配置されている。
【0014】
これによると、1次シールであるシール材が劣化して止水機能を失ったとしても、2次シールとしての第1パッキンによってサイディングの継ぎ目からサイディングと外壁下地材との間への水の侵入を抑制することが可能となる。また、3次シールとしての防水シートによって外壁下地材の内部に水が侵入するのを抑制することが可能となる。
また、本発明の外壁構造は、別の観点では、表面に防水シートが設けられた外壁下地材と、前記外壁下地材に前記防水シートを介して取り付けられた目地ジョイナーと、前記目地ジョイナーを継ぎ目に挟んで前記外壁下地材に取り付けられたサイディングと、前記サイディングの継ぎ目に充填して設けられたシール材と、を備えている。そして、前記目地ジョイナーは、前記継ぎ目に配置される突条部、及び、前記突条部の奥側の端部から横外側に張り出し、前記サイディングの継ぎ目側端部を裏面から受ける受け部を有する本体と、前記受け部の前記継ぎ目側端部と対向する表面に配置された第1パッキンと、前記本体の奥側が開口されており、前記開口を覆うように設けられた第2パッキンと、を備えている。
これによると、1次シールであるシール材が劣化して止水機能を失ったとしても、2次シールとしての第1パッキンによってサイディングの継ぎ目からサイディングと外壁下地材との間への水の侵入を抑制することが可能となる。また、3次シールとしての防水シートによって外壁下地材の内部に水が侵入するのを抑制することが可能となる。また、孔を介して本体の内部空間に入った水を、内部空間下方へと導いて外部へと排出することができ、サイディングと外壁下地材との間の空間へ漏れ出すのを効果的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の目地ジョイナー及び外壁構造によると、1次シールであるシール材によるシールが劣化して止水機能を失ったとしても、2次シールとしての第1パッキンによってサイディングの継ぎ目からサイディングと外壁下地材との間への水の侵入を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
図2図1に示す目地ジョイナーの要部斜視図である。
図3】第1変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
図4図3に示す目地ジョイナーの要部斜視図である。
図5】第2変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
図6】第3変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
図7】第4変形例に係る目地ジョイナーが用いられた外壁構造の要部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る目地ジョイナー20、及び目地ジョイナー20が用いられた外壁構造100について、図1及び図2を参照しつつ以下に説明する。なお、図1は、外壁構造の要部横断面図であり、図1中紙面垂直方向が鉛直方向Aであり、図1に示す上方が表面側、下方が裏面側(奥側)である。また、図1中左右を左右方向(横方向)Bとする。他の図においても、説明の便宜上、図1に示す方向を基準として示す。
【0018】
本実施形態における外壁構造100は、図1に示すように、外壁下地材1と、外壁下地材1に取り付けられた複数のサイディング11と、目地ジョイナー20と、コーキング材50とで構成されている。外壁下地材1は、複数の柱(不図示)に固定される構造用合板1a、構造用合板1aの表面1a1に貼り付けられた透湿防水シート1b、及び、透湿防水シート1b及び構造用合板1aを介して柱又は間柱に固定される竪胴縁(ともに不図示)など、公知の部材によって構成されている。
【0019】
複数のサイディング11は、図1に示すように、左右方向Bの端面11aを外壁下地材1に固定された目地ジョイナー20の突条部21に当接させた状態(目地ジョイナー20を継ぎ目30に挟んだ状態)で、金具(不図示)などを用いて外壁下地材1に固定されている。これにより、複数のサイディング11が目地ジョイナー20によって位置決めされ、鉛直方向Aに延在する継ぎ目30が端面11a間に構成される。
【0020】
コーキング材(不定形シール材によるシーリング材、シール材)50は、継ぎ目30において、サイディング11の表面11b側に充填して形成されている。本実施形態におけるコーキング材50は、公知の変成シリコンから構成されているが、他の材質から構成されていてもよい。
【0021】
目地ジョイナー20は、図1に示すように、コーキング材50よりも外壁下地材1側(すなわち、奥側)に配置され、サイディング11の位置決めをするものである。目地ジョイナー20は、図2に示すように、一方向(鉛直方向A)に沿って長尺に形成されており、その長手方向が鉛直方向となるようにして、外壁下地材1の透湿防水シート1b上に釘9(図1中二点鎖線で示す)などで固定される。目地ジョイナー20は、本体25と、2つの第1パッキン26と、第2パッキン27とを有している。
【0022】
本体25は、薄い金属板を折り曲げて構成された一枚の板金部材からなり、鉛直方向Aに沿って長尺に形成されている。本実施形態における本体25は、鋼板やアルミニウム板などの金属板から構成されているが、硬質合成樹脂板から構成されていてもよい。本体25は、突条部21及び2つの受け部22を有する。
【0023】
突条部21は、図1に示すように、サイディング11の端面11aとそれぞれ対向する一対の対向壁21aと、一対の対向壁21aの外壁下地材1と最も離れた端部を接続する接続壁21bとを有しており、外壁下地材1に向かって開口する凹形状となっている。各受け部22は、一対の対向壁21aの外壁下地材側の端部から左右方向Bに沿って外側(横外側)にそれぞれ張り出すようにして形成されている。また、各受け部22は、図1に示すように、サイディング11の継ぎ目側端部の裏面11cを受ける。
【0024】
2つの第1パッキン26は、ゴムなどの弾性体から構成されており、各受け部22の表面22aに接着剤などで固定されている。また、各第1パッキン26は、図2に示すように、鉛直方向Aに沿って長尺に形成されており、鉛直方向Aにおいて、受け部22の全体に亘って配置されている。このような目地ジョイナー20により、サイディング11が位置決めされたときに、第1パッキン26がサイディング11の裏面11cに当接する。このため、各受け部22とサイディング11との間を第1パッキン26で止水することが可能となる。なお、第1パッキン26は、軟質樹脂、発泡樹脂など押圧されることで止水性を発揮することが可能な弾性体であれば、どのような材質から構成されていてもよい。
【0025】
第2パッキン27は、第1パッキン26と同様な材料から構成されており、鉛直方向Aにおいて、第1パッキン26と同じ長さを有し、長尺に形成されている。また、第2パッキン27は、左右方向Bに互いに離隔した受け部22の裏面22bに亘って配置されており、突条部21の開口21cを塞いでいる。第2パッキン27も接着剤などで受け部22に固定されている。
【0026】
このような目地ジョイナー20は、図1に示すように、第2パッキン27と透湿防水シート1bとが接するようにして配置されるとともに、受け部22の表面22aから釘9によって目地ジョイナー20が外壁下地材1に固定される。この後、端面11aを突条部21に当接させつつ裏面11cが第1パッキン26に当接するようにして、2枚のサイディング11が金具によって外壁下地材1に取り付けられる。そして、コーキング材50が継ぎ目30に充填されて形成される。こうして、外壁構造100が構成される。
【0027】
以上に述べたように、本実施形態の目地ジョイナー20及びこれを用いた外壁構造100によると、1次シールであるコーキング材50が劣化して止水機能を失ったとしても、2次シールとしての第1パッキン26によってサイディング11の継ぎ目30からサイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入を抑制することが可能となる。また、本実施形態による外壁構造100においては、コーキング材50による1次シール、第1パッキン26による2次シール、透湿防水シート1bによる3次シールが実現された構造となる。このため、建築物の外壁構造が漏水に対する防水効果が非常に高くなる。
【0028】
第1変形例としての目地ジョイナー220が用いられた外壁構造200及び目地ジョイナー220について、図3及び図4を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の実施形態と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造200は、目地ジョイナー20が目地ジョイナー220に変わっただけで、上述の外壁構造100とほぼ同様である。
【0029】
目地ジョイナー220は、図3及び図4に示すように、突条部21の一対の対向壁21aのそれぞれに、突条部21の内部空間21dと外部とを連通する複数の孔21a1が形成されている。内部空間21dは、本体25と外壁下地材1との間であって一対の対向壁21a、接続壁21b及び第2パッキン27によって囲まれている。また、内部空間21dは、鉛直方向Aに沿って延在しており、その両端において、外部と連通している。複数の孔21a1は、各対向壁21aにおいて、鉛直方向Aに沿って長尺に延在しており、且つ鉛直方向Aに互いに離隔して配置されている。なお、図3及び図4には、各対向壁21aに1つの孔21a1のみ示している。
【0030】
このような第1変形例の目地ジョイナー220及び目地ジョイナー220が用いられた外壁構造200によると、1次シールであるコーキング材50が劣化して止水機能を失った場合、サイディング11の継ぎ目30から孔21a1に水が入りやすくなる。このため、サイディング11と第1パッキン26との間に向かう水が少なくなる。この結果、サイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入をより抑制することが可能となる。なお、孔21a1を介して内部空間21dに入った水は内部空間21d内において下方へと流れて外部に排出される。また、第2パッキン27が開口21cを覆っているため、孔21a1を介して内部空間21dに入った水が、サイディング11と外壁下地材1との間の空間へ漏れ出すのを効果的に抑制することが可能となる。このため、水が内部空間21dから左右方向Bであってサイディング11と外壁下地材1との間において濡れ広がらない。
【0031】
第1変形例における目地ジョイナー220は、第2パッキン27を有しているが、外壁下地材1の表面に透湿防水シート1bが設けられている場合は、第2パッキン27が設けられていなくてもよい。この場合においても、内部空間21の一部が透湿防水シート1bによって囲まれるため、孔21a1を介して内部空間21dに入った水が外壁下地材1の内部への侵入や、サイディング11と外壁下地材1との間の空間へ漏れ出すのを抑制することが可能となる。
【0032】
第2変形例としての目地ジョイナー320が用いられた外壁構造300及び目地ジョイナー320について、図5を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の第1変形例と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造300は、目地ジョイナー20が目地ジョイナー320に変わっただけで、上述の外壁構造100とほぼ同様である。
【0033】
目地ジョイナー320は、図5に示すように、第1変形例の本体25に、2つの側板部321、2つの取付板部322及び2つの突出部323をさらに有してなる本体325を含む。2つの側板部321は、受け部22の外側端(左右方向Bにおける外側端)のそれぞれから外壁下地材1側(奥)に向かって延在している。2つの取付板部322は、目地ジョイナー320を外壁下地材1に釘9で取り付けるための部分であり、側板部321の外壁下地材1側の端部のそれぞれから左右方向Bに沿って外側(横外側)に張り出している。2つの突出部323は、取付板部322の外側端(左右方向Bにおける外側端)のそれぞれからサイディング11に向かって延在し、サイディング11の裏面11cと当接可能に設けられている。また、各突出部323のサイディング11側の端部は、その先端が外側において外壁下地材1側に折り返されている。なお、本変形例においては、受け部22で外壁下地材1に固定する必要がないため、受け部22の表面22a全体に第1パッキン26を設けている。これにより、受け部22とサイディング11との間から水がより一層侵入しにくくなる。また、第2パッキン27は、左右方向Bに互いに離隔した取付板部322の裏面に亘って配置されており、突条部21の開口21c及び側板部321の外壁下地材1側の端部間の開口321aの両方を塞いでいる。これにより、孔21a1を介して内部空間21dに入った水が、上述と同様に、外壁下地材1とサイディング11との間の空間に漏れ出すのを抑制することが可能となる。なお、第2パッキン27は、第1変形例の第2パッキン27のように、受け部22に固定された状態であってもよい。この場合、第2パッキン27を介さずに取付板部322が透湿防水シート1bに接触しつつ目地ジョイナー320が外壁下地材1に固定される。なお、サイディング11は、外壁下地材1に固定された目地ジョイナー320の突条部21、第1パッキン26及び突出部323の先端部に当接させた状態で、通気金具又は胴縁(不図示)などを用いて外壁下地材1に固定されている。
【0034】
このような第2変形例の目地ジョイナー320及び目地ジョイナー320が用いられた外壁構造300によると、上述の実施形態及び第1変形例と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。さらに、目地ジョイナー320が、側板部321及び取付板部322を有しているため、外壁下地材1からサイディング11が表面側にある程度離れて取り付けられていても、2次シールとしての第1パッキン26によってサイディング11の継ぎ目30からサイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入を効果的に抑制することが可能となる。換言すると、サイディング11と外壁下地材1との間の空間の幅を大きく取るときなど、サイディング11を外壁下地材1から表面側にある程度離隔させて配置しても、サイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入を効果的に抑制することが可能となる。また、目地ジョイナー320が突出部323を有していることで、第1パッキン26とサイディング11との間から水が侵入しても、突出部323よりも外側に水が濡れ広がるのを抑制することが可能となる。
【0035】
第3変形例としての目地ジョイナー420が用いられた外壁構造400及び目地ジョイナー420について、図6を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の第2変形例と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造400は、第2変形例の目地ジョイナー320が目地ジョイナー420に変わっただけで、上述の外壁構造300とほぼ同様である。
【0036】
目地ジョイナー420は、図6に示すように、第2変形例の目地ジョイナー320とほぼ同様な構成を有しているが、孔21a1が一対の対向壁21aの左方にのみ形成され、第1パッキン26が右方の受け部22の表面22aにのみ設けられて構成されている。
【0037】
このような第3変形例の目地ジョイナー420及び目地ジョイナー420が用いられた外壁構造400によると、一対の対向壁21aのうちの左方に孔21a1が形成されているため、1次シールであるコーキング材50が劣化して止水機能を失った場合、サイディング11の継ぎ目30から左方の受け部22側に水が流れてきても、孔21a1に水が入りやすくなる。このため、上述の第1変形例と同様に、サイディング11と左方の受け部22との間に向かう水が少なくなる。この結果、継ぎ目30から左方の受け部22側に水が流れてきても、サイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入を抑制することが可能となる。なお、継ぎ目30から右方の受け部22側に水が流れてきても、第1パッキン26によって止水されるため、上述と同様の効果を得ることができる。また、上述の実施形態、第1及び第2変形例と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。また、サイディング11は、外壁下地材1に固定された目地ジョイナー420の突条部21、第1パッキン26及び突出部323の先端部に当接させた状態で、通気金具又は胴縁(不図示)などを用いて外壁下地材1に固定されている。
【0038】
第4変形例としての目地ジョイナー520が用いられた外壁構造500及び目地ジョイナー520について、図7を参照しつつ以下に説明する。なお、上述の第2変形例と同様なものに関しては、同じ符号で示し説明を省略する。外壁構造500は、第2変形例の目地ジョイナー320が目地ジョイナー520に変わっただけで、上述の外壁構造300とほぼ同様である。
【0039】
目地ジョイナー520は、図7に示すように、第2変形例の目地ジョイナー320とほぼ同様な構成を有しているが、孔21a1が一対の対向壁21aに形成されておらず、接続壁21bに孔21a1と同様な複数の孔21b1が形成されており、右方の突出部323が形成されていない。
【0040】
このような第4変形例の目地ジョイナー520及び目地ジョイナー520が用いられた外壁構造500によると、接続壁21bに孔21b1が形成されていることで、1次シールであるコーキング材50が劣化して止水機能を失った場合、サイディング11の継ぎ目30から孔21b1に水が入りやすくなる。このため、サイディング11と第1パッキン26との間に向かう水が少なくなる。この結果、サイディング11と外壁下地材1との間への水の侵入をより抑制することが可能となる。なお、上述の実施形態、第1及び第2変形例と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。また、サイディング11は、外壁下地材1に固定された目地ジョイナー520の突条部21、第1パッキン26及び突出部323の先端部に当接させた状態で、通気金具又は胴縁(不図示)などを用いて外壁下地材1に固定されている。
【0041】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、左右の受け部22の一方にのみ第1パッキン26が設けられておればよい。また、受け部22も左右の一方にのみ設けられていてもよい。また、上述の突条部21は外壁下地材1に向かって開口する凹形状に形成されているが、内部に空間のない突条部であってもよい。また、第1変形例の目地ジョイナー220の各対向壁21aには、孔21a1が1つだけ設けられていてもよい。また、第4変形例の目地ジョイナー520の接続壁21bには、孔21b1が1つだけ設けられていてもよい。また、透湿防水シート1bに代えて単なる防水シートであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 外壁下地材
1b 透湿防水シート(防水シート)
11 サイディング
11a 端面
11c 裏面
20,220,320,420,520 目地ジョイナー
21 突条部
21a1,21b1 孔
21c 開口
21d 内部空間
22 受け部
22a 表面
25 本体
26 第1パッキン
27 第2パッキン
30 継ぎ目
50 コーキング材
321 側板部
322 取付板部
323 突出部
100,200,300,400,500 外壁構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7