(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】LTE通信システム及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/04 20090101AFI20220712BHJP
H04W 28/22 20090101ALI20220712BHJP
H04W 12/12 20210101ALI20220712BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20220712BHJP
H04W 92/24 20090101ALI20220712BHJP
G06F 21/55 20130101ALI20220712BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W28/22
H04W12/12
H04W88/18
H04W92/24
G06F21/55
(21)【出願番号】P 2017247777
(22)【出願日】2017-12-25
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】516290748
【氏名又は名称】株式会社closip
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江副 浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 可久
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0315893(US,A1)
【文献】特表2014-513878(JP,A)
【文献】国際公開第2016/091292(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
G06F 21/55
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LTE(Long Term Evolution)通信方式に従って通信するコアネットワーク装置と、防御装置を備えるLTE通信システムであって、
前記防御装置は、
前記コアネットワーク装置からデータを送信する通信回線の異常を検出し、
前記異常の検出された前記通信回線の通信可能容量を低減し、
前記コアネットワーク装置は、
低減後の前記通信可能容量の情報を保持
し、
前記通信回線の異常は、前記通信回線を介した外部の攻撃側による攻撃に基づくものであり、
前記防御装置は、前記通信可能容量の低減時に、前記外部の攻撃側の通信が可能な程度に前記通信回線の通信容量を残す、
LTE通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のLTE通信システムであって、
前記コアネットワーク装置は、PGW(Packet data network GateWay)を備え、
前記通信可能容量の情報は、PCRF(Policy and Charging Rule Function)のポリシに含まれ、
前記ポリシは、前記防御装置からの前記通信可能容量に基づいて変更され、
前記PGWは、変更された前記ポリシに従って、前記通信可能容量を低減する、
LTE通信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のLTE通信システムであって、
前記コアネットワーク装置は、前記防御装置を備える、
LTE通信システム。
【請求項4】
LTE通信方式に従って通信するLTE通信システムにおける通信制御方法であって、
コアネットワーク装置からデータを送信する通信回線の異常を検出し、
前記異常の検出された前記通信回線の通信可能容量を低減し、
低減後の前記通信可能容量の情報を保持
し、
前記通信回線の異常は、前記通信回線を介した外部の攻撃側による攻撃に基づくものであり、
前記通信可能容量の低減時には、前記外部の攻撃側の通信が可能な程度に前記通信回線の通信容量を残す、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LTE(Long Term Evolution)通信方式に従って通信するLTE通信システム及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モバイル通信を高速化させる通信方式として、LTE(Long Term Evolution)通信が利用されている。LTE通信を行うLTE通信システムは、EPC(Evolved Packet Core)装置、eNB(eNodeB)装置、端末、等を有する。EPC装置は、SGW(Serving GateWay)及びPGW(PDN(Packet data network) GateWay)を有する。PGWは、Gxインタフェースにより、PCRF(Policy and Charging Rule Function)から通知されたポリシ制御情報に従って、IPパケットの伝送品質制御などを行う(非特許文献1参照)。
【0003】
また、外部からの攻撃などに起因する通信回線の異常に対応するため、EPC装置に接続されたIPSと呼ばれる防御装置により、端末の通信異常を検知すると通信を切断したり、通信を別の経路へ転送する方式も知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】中村武宏、他5名、”3GPP LTE/SAE標準仕様完成における活動と貢献”、NTT DOCOMO テクニカル・ジャーナル Vol.17 No.2、P36-P45
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の通信回線への対処方針によれば、複数の通信手段を有する端末が例えばウイルス等に感染した際に、通信の切断や転送先の変更を行うと、別の通信手段による異常を誘発するおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した従来の状況に鑑みてなされたものであり、LTE通信に係るネットワークの異常に対して適切な対処のできるLTE通信システム及び通信制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、LTE通信方式に従って通信するコアネットワーク装置と、防御装置を備えるLTE通信システムであって、前記防御装置は、前記コアネットワーク装置からデータを送信する通信回線の異常を検出し、前記異常の検出された前記通信回線の通信可能容量を低減し、前記コアネットワーク装置は、低減後の前記通信可能容量の情報を保持し、前記通信回線の異常は、前記通信回線を介した外部の攻撃側による攻撃に基づくものであり、前記防御装置は、前記通信可能容量の低減時に、前記外部の攻撃側の通信が可能な程度に前記通信回線の通信容量を残す。
【0009】
本発明の一態様は、LTE通信方式に従って通信するLTE通信システムにおける通信制御方法であって、コアネットワーク装置からデータを送信する通信回線の異常を検出し、前記異常の検出された前記通信回線の通信可能容量を低減し、低減後の前記通信可能容量の情報を保持し、前記通信回線の異常は、前記通信回線を介した外部の攻撃側による攻撃に基づくものであり、前記通信可能容量の低減時には、前記外部の攻撃側の通信が可能な程度に前記通信回線の通信容量を残す。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、LTE通信に係るネットワークの異常に対して適切な対応を行い、新たな異常の誘発を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態におけるLTE通信システムの構成例を示す図
【
図3】従来のLTE通信システムの動作例を示すシーケンス図
【
図4】実施形態のLTE通信システムの動作例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
以下の実施形態では、LTE通信システム及び通信制御方法は、LTE(Long Term Evolution)通信方式で通信を行うLTE通信システムに適用される。LTE通信方式は、無線LAN(Local Area Network)を介してLTEプロトコルに従って通信する方式(例えばLTE over Wifi)を含んでよい。LTE over Wifiについては、例えば、参考特許文献1に開示されている。
(参考特許文献1:特表2016-507993号公報)
【0014】
このLTE over Wifiの技術は、WAN(Wide Area Network)を介してLTEプロトコルに従って通信する方式に適用可能である。つまり、LTE通信方式は、WANを介してLTEプロトコルに従って通信する方式を含んでよい。
【0015】
(実施形態)
図1は実施形態におけるLTE通信システム5の概略構成を示す図である。LTE通信システム5は、複数のUE(User Equipment)10と、1つ以上のeNB20と、通信ネットワーク回線(通信回線)30と、通信ネットワーク回線(通信回線)31と、防御装置40と、EPC装置50と、を有する。
【0016】
UE10は、ユーザによって所持され、LTE通信に係る処理を行う。LTE通信は、例えばVoLTE通信を含む。
図1では、複数のUE10をUE10A,UE10B,UE10C、…と表記している。
【0017】
eNB20は、自装置であるeNB20の配下のUE10を管理し、UE10とEPC装置50との間で行われる通信を中継するeNB20は、例えば、屋外に設置されてもよいし、ビル毎に設置されてもよい。eNB20は、複数存在してよく、複数のeNB20の配下それぞれに、1つ以上のUE10が存在してよい。
【0018】
通信ネットワーク回線30は、eNB20とEPC装置50とを接続する下流側の回線である。一方、通信ネットワーク回線31は、EPC装置50のPGW51と外部のサービス、サーバ等を接続し、EPC装置50からデータを送信するための上流側の回線である。通信ネットワーク回線30,31は、有線回線でもよいし、無線回線でもよい。有線回線は、例えば光回線でもよいし、その他の有線回線でもよい。無線回線は、例えば衛星回線でもよいし、その他の無線回線もよい。通信ネットワーク回線30,31として、物理的なWAN回線がソフトウェアで運用されるSD-WAN(Software Defined WAN)を利用してもよい。
【0019】
EPC装置50は、LTEのコアネットワークに配置される装置であり、LTEプロトコルに従ってeNB20と、通信ネットワーク回線30とを介して通信接続する。さらにEPC装置50は、外部のサービス、サーバ等の各種装置と、通信ネットワーク回線31を介して通信接続する。
【0020】
EPC装置50は、PGW51、PCRF52、SGW53、MME(Mobility Management Entity)54、及びHSS(Home Subscriber Server)55を備える。PGW51、PCRF52、SGW53、MME54、及びHSS55の各ノードは、論理ノードでもよいし、物理ノードでもよい。つまり、1つの装置に機能が集約されてもよいし、複数の個別の装置に機能が分散されてもよい。なお、EPC装置50は、この構成には限定されず、他の付随的な要素を含むことができる。
【0021】
MME54と、HSS55と、PCRF52は、制御信号であるCプレーンデータを処理する。SGW53及びPGW51は、ユーザデータであるUプレーンデータの伝送を処理する。したがって、例えば、外部ネットワーク(EPC装置50よりも上流側)からUE10AへのUプレーンデータつまりUプレーンのトラフィックは、外部ネットワークからEPC装置50に到達すると、PGW52、SGW53、通信ネットワーク回線30、及びeNB20を介して、UE10Aへ伝送される。
【0022】
MME54は、移動制御などを提供するノードであり、位置登録、ページング、ハンドオーバー等の移動制御およびベアラ(データの通信経路)BRの確立又は削除を行う。
【0023】
ベアラBRは、LTE通信により通信されるデータが経由する経路であり、例えば、PGW52、SGW53、通信ネットワーク回線30、eNB20及び各UE10を結ぶ経路である。この場合、ベアラBRは、UE10A,10B,10Cのそれぞれで、異なる通信経路となる。よって、ベアラBRを識別する場合、UE10がUE10A,10B,10Cのいずれであるかを識別すればよい。
【0024】
HSS55は、LTEにおける加入者管理データベースを有するノードであり、加入者の契約情報、認証情報、位置情報等の管理を行う。MME54は、HSS55から通知される認証情報に基づき、ユーザ認証を実施する。
【0025】
SGW53は、3GPPアクセスシステムを収容し、UE10やPGW51へデータを伝送するゲートウェイである。
【0026】
PGW51は、外部ネットワーク(PDN)との接続点において、UE10へのIPアドレスの割り当てやパケット転送等を行うゲートウェイである。PGW51は、PCRF52と連携することで、PCRF52が有するポリシ(ポリシ制御情報)に従って、動作してよい。PGW51は、通信中(LTE通信中)に、PCRF52が有するポリシを取得してよい。よって、PGW51は、通信中でも通信制御のポリシを動的に変更して、UE10の通信を制御できる。
【0027】
PGW51は、PCRG52が有するポリシに従って、各ベアラBRを介して通信される通信量や通信速度を制御してよい。PGW51が各ベアラBRの通信量や通信速度を制御することで、この通信量や通信速度をUE10やeNB20が実施する場合と比較して、処理負荷を低減できる。下位層の通信可能容量を超えた通信によって生じる輻輳・再送制御の処理が抑止されるためである。また、PGW51が、通信量や通信速度を制御することで、下位側のネットワークや装置においても、この通信量や通信速度に応じて通信制御が行われることになる。
【0028】
PCRF52は、ユーザデータ転送のQoS(Quality of Service;パケットの優先転送等、通信の品質の制御)及び課金の為の制御を行うノードである。PCRF52が決定したQoS値は、PGW51及びSGW53に通知される。PGW51及びSGW53は、通知されたQoS値に従って、Uプレーンデータに対してQoS制御を実施する。QoS値は、例えば、ポリシの制御情報に含まれる設定値でよい。ポリシは、ベアラBRを介した通信における通信可能容量を含む。
【0029】
ポリシは、動的に変更されてよい。例えば、変更されたポリシは、PGW51及びSGW53に通知され、PGW51及びSGW53による通信制御に反映される。
【0030】
EPC装置50は、処理部、記憶部、通信部、を有する。EPC装置50の各ノードが論理ノードである場合には、1つの装置に処理部、記憶部、及び通信部が設けられてよい。EPC装置50の各ノードが物理ノードである場合、各ノードに処理部、記憶部、及び通信部が設けられてよい。
【0031】
EPC装置50の処理部は、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit))がメモリに保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。EPC装置50の記憶部は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)や各種ストレージ(例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive))を有してよく、各種情報、データ、プログラムを保持する。EPC装置50の通信部は、通信ネットワーク回線30や防御装置40や外部ネットワークにおける各種装置との間で通信(有線通信又は無線通信)する。
【0032】
防御装置40は、通信ネットワーク回線31を監視することにより、例えば外部からの通信ネットワーク回線30等を介したアクセスによる攻撃を検知するとともに、所定の対処を施す装置であり、IPS(Intrusion Prevention System)等と呼ばれることもある。防御装置は、いわゆる不正侵入検知システム(IDS;Intrusion Detection System)に所定の対処を施すものということもできる。防御装置40は外部からのDoS(Denial of Service)攻撃等を検出し、所定の対処を行う。防御装置40は、他の装置から独立して設けられてもよい。防御装置40は、EPC装置50の内部に設けられてよく、つまりEPC装置50が防御装置40の機能を有してもよい。
【0033】
図2は、防御装置40の構成例を示す図である。防御装置40は、処理部410、記憶部42、及び通信部430を有する。
【0034】
処理部410は、プロセッサがメモリに保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。処理部41は、防御装置40の各部の動作を制御する。例えば、処理部41は、通信ネットワーク回線31の回線容量が変化した場合における、通信ネットワーク回線31の変化後の回線容量の情報を取得してよい。処理部41は、各ベアラBRの現在の回線容量の比を基に、通信ネットワーク回線31の変化後の回線容量を按分して、新たな回線容量を算出してよい。
【0035】
記憶部42は、例えばROMやRAMや各種ストレージを有してよく、各種情報、データ、プログラムを保持する。
【0036】
通信部43は、通信ネットワーク回線31と通信(例えば有線通信又は無線通信)する。通信部43は、EPC装置50のPCRF52と通信(例えば有線通信又は無線通信)する。
【0037】
次に、LTE通信システムの動作について説明する。
図3は、従来の処理手順に則ったLTE通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【0038】
図3では、UE10(UE10A,10B,10C)とEPC装置50との間で、ベアラBR(BR1,BR2,BR3)が確立されている(S11)。これらのベアラBR(BR1,BR2,BR3)は、UE10(UE10A,10B,10Cのいずれか1つ)、eNB20、通信ネットワーク回線30、防御装置40、SGW53、及びPGW51を通る通信経路である。
【0039】
ここで、UE10Aが外部からの攻撃により例えばウイルスに感染してしまい(S12)、感染したUE10Aが、eNB20、通信ネットワーク回線30を介してDoS攻撃をEPC装置50に対して行う事態を想定する(S13)。
【0040】
防御装置40では、処理部41が通信部43を介してDoS攻撃の如き通信回線の異常、ここでは通信ネットワーク回線31の異常を検出すると(S14)、通信部43を介してEPC装置50のPCRF52にDoS攻撃を検出した旨を通知する(S15)。従来のシステムにおいては、この通知に応じて、PCRF52は通信を切断する処理を行うのが一般的である(S16)。この様な処理により、LTE通信システムを通じたDoS攻撃を防御することができる。
【0041】
しかしながら、LTE通信の切断により、ウイルスは他の通信手段により、再び攻撃を行うおそれがある(S17)。一般的にUE10Aは、LTE通信以外の他の通信手段、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等を有しており、ウイルスはLTE通信の切断を検出すると、このような他の通信手段を介したDoS攻撃を再開することもあり得る。
【0042】
このように従来の処理においては、感染した端末が持つ他の通信手段を通じた新たな攻撃の再開を招くおそれがある。そこで
図4に示す本発明の実施形態のLTE通信システム5は、LTE通信の切断を行うのではなく、他の方法を用いて対処する。
【0043】
図4においてS11~S15までは、
図3の従来の通信シーケンスによる手順と同じである。この後、実施形態のEPC装置50のPCRF52は、DoS攻撃の検出通知に応じて、通信を切断する処理を行うのではなく、ベアラBRの速度を低減、すなわち通信ネットワーク回線31の通信可能容量を低減する(S21)。これに応じてベアラが更新される(S22)。
【0044】
S21において、通信回線の通信可能容量を低減する対象となるベアラが特定されるが、その特定方法は特に限定されない。例えば防御装置40では、処理部41は、既に確立されている各ベアラBRの情報を取得する。ベアラBRの情報は、例えば、通信ネットワーク回線30を使用する各ベアラBRに対応するeNB20とUE10との対応付け情報であってよい。対応付け情報は、eNB20の識別情報(例えばeNB ID)とこのeNB20に接続されたUE10の識別情報(例えばUE ID)とを基づいてよい。ベアラBRの情報は、防御装置40において事前設定され、記憶部42に保持されていてよい。ベアラBRの情報は、通信部43を介してEPC装置50から取得されてよい。これにより、防御装置40は、EPC装置50の外部に配置されていても、通信ネットワーク回線31の内部にどのベアラBRが確立されているかを認識でき、どの通信回線(ベアラBR)またはどのUE10に異常が発生しているかを認識できる。
【0045】
さらにS21において、EPC装置50では、PCRF52は、防御装置40から異常の発生した通信回線(ベアラBR)の通知を受けると、記憶部等に保持された以上の発生したベアラBRの通信可能容量を読み出し、変更する。
【0046】
PGW51は、変更されたポリシに従って、通信可能容量を低減することになる。EPC装置50では、低減後の通信可能容量の情報を記憶部等に保持することにより、S22のようにベアラが更新される。
【0047】
以上の処理により、ウイルスの側からは攻撃が継続しているように見えるが、現実のシステム上においてはベアラのサイズが制約されており、攻撃の実効性が低減され、攻撃を無力化することになる(S23)。よって、防御装置40はいずれかの通信回線(ベアラBR)またはUE10の異常を検知した際に、新たな攻撃を発生させることを抑制し、危険性を低減させることが可能である。
【0048】
尚、上記実施形態では、防御装置40は通信ネットワーク回線31の異常を検出するが、この異常はEPC装置50の内部、特にPGW51において発生する異常をも含むものである。また、通信回線の通信可能容量を低減する程度は特に限定されないが、想定し得る攻撃の実効性を十分になくす程度まで低減させることが好ましい。ただし、あえて攻撃側の通信(例えばDoS攻撃の通信)が可能な程度に、通信回線の通信容量を残しておくことは必要となる。
【0049】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、LTE通信に係るネットワークの異常に対して適切な対処のできるLTE通信システム及び通信制御方法等に有用である。
【符号の説明】
【0051】
5 LTE通信システム
10,10A,10B UE
20 eNB
30,31 通信ネットワーク回線(通信回線)
50 EPC装置(コアネットワーク装置)
51 PWG
52 PCRF
53 SGW
54 MME
55 HSS
BR ベアラ