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特許7103824作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220712BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20220712BHJP
   G01S 13/89 20060101ALI20220712BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20220712BHJP
   G01S 17/87 20200101ALI20220712BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G01S13/86
G01S13/89
G01S17/89
G01S17/87
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018070026
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179512
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】志賀 達也
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/117713(WO,A1)
【文献】特開2009-169845(JP,A)
【文献】特開2004-326264(JP,A)
【文献】特開2017-220264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路を走行する作業機械の位置を検出する位置センサと、
前記作業機械の周囲の物体の位置を検出する非接触センサと、
前記非接触センサで検出され規定の一致条件を満足したときの前記物体の検出点と前記位置センサの検出データとに基づいて、マップデータを作成するマップデータ作成部と、
前記マップデータを記憶するマップデータ記憶部と、を備え
前記検出点は、前記マップデータ記憶部に記憶される前記マップデータを構成する既存検出点と、前記非接触センサで検出される現況検出点とを含み、
前記一致条件は、前記既存検出点と前記現況検出点との一致率が一致率閾値以下であることを含み、
前記マップデータ作成部は、前記一致率が一致率閾値以下であるときに、前記既存検出点に一致しない前記現況検出点を用いて前記マップデータを作成する、
作業機械の制御システム。
【請求項2】
前記一致率は、前記マップデータを構成する複数の前記既存検出点と前記非接触センサの1回の走査により検出された複数の前記現況検出点との一致率を含む、
請求項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項3】
走行路を走行する作業機械の位置を検出する位置センサと、
前記作業機械の周囲の物体の位置を検出する非接触センサと、
前記非接触センサで検出され規定の一致条件を満足したときの前記物体の検出点と前記位置センサの検出データとに基づいて、マップデータを作成するマップデータ作成部と、
前記作業機械の周囲に規定エリアを設定する規定エリア設定部と、を備え、
前記規定エリア設定部は、前記作業機械と同期して前記規定エリアを移動させ、
前記検出点は、前記規定エリアにおいて前記非接触センサの複数の走査により検出される複数の現況検出点を含み、
前記一致条件は、同一の前記現況検出点が前記規定エリアに存在する期間において検出された検出回数が検出回数閾値以上であることを含み、
前記マップデータ作成部は、前記検出回数が前記検出回数閾値以上である前記現況検出点を用いて前記マップデータを作成する、
作業機械の制御システム。
【請求項4】
前記走行路は、傾斜変化位置を含み、
前記現況検出点は、前記走行路を走行する前記作業機械の前方の物体の現況検出点を含む、
請求項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項5】
前記非接触センサの検出データと前記マップデータ作成部で作成された前記マップデータとを照合して、前記作業機械の照合位置を示す照合位置データを算出する照合位置データ算出部を有する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項6】
前記位置センサの検出精度が低下したとき、前記照合位置データ算出部により算出された前記照合位置データに基づいて、前記作業機械の走行状態を制御する走行制御装置を備える、
請求項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の作業機械の制御システムを備える作業機械。
【請求項8】
走行路を走行する作業機械の位置を位置センサで検出することと、
前記作業機械の周囲の物体の位置を非接触センサで検出することと、
前記非接触センサで検出され規定の一致条件を満足したときの前記物体の検出点と前記位置センサの検出データとに基づいて、マップデータを作成することと、
前記マップデータをマップデータ記憶部に記憶することと、を含み、
前記検出点は、前記マップデータ記憶部に記憶される前記マップデータを構成する既存検出点と、前記非接触センサで検出される現況検出点とを含み、
前記一致条件は、前記既存検出点と前記現況検出点との一致率が一致率閾値以下であることを含み、
前記一致率が一致率閾値以下であるときに、前記既存検出点に一致しない前記現況検出点を用いて前記マップデータを作成する、
作業機械の制御方法。
【請求項9】
走行路を走行する作業機械の位置を位置センサで検出することと、
前記作業機械の周囲の物体の位置を非接触センサで検出することと、
前記非接触センサで検出され規定の一致条件を満足したときの前記物体の検出点と前記位置センサの検出データとに基づいて、マップデータを作成することと、
前記作業機械の周囲に規定エリアを設定することと、を含み、
前記規定エリアは、前記作業機械と同期して移動され、
前記検出点は、前記規定エリアにおいて前記非接触センサの複数の走査により検出される複数の現況検出点を含み、
前記一致条件は、同一の前記現況検出点が前記規定エリアに存在する期間において検出された検出回数が検出回数閾値以上であることを含み、
前記検出回数が前記検出回数閾値以上である前記現況検出点を用いて前記マップデータを作成する、
作業機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山のような広域の作業現場において、無人で走行する作業機械が使用される場合がある。作業機械の位置は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムの検出精度が低下すると、作業機械の稼働が停止し、作業現場の生産性が低下する可能性がある。そのため、作業現場のマップデータを作成し、全地球航法衛星システムの検出精度が低下したときに、非接触センサの検出データとマップデータとを照合して、作業機械の位置を算出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/060281号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マップデータは、走行路を走行する作業機械に搭載されている非接触センサの検出データに基づいて作成される。非接触センサは、走行路の土手のような作業機械の周囲の物体を検出する。マップデータの作成において、例えば非接触センサの誤検出に起因して、マップデータにノイズが含まれる可能性がある。マップデータにノイズが含まれると、ノイズに起因して、マップデータで示される物体の形状及び位置と、実際の物体の形状及び位置とが乖離してしまう可能性がある。その結果、非接触センサの検出データとマップデータとを照合したとき、算出される作業機械の位置計測の精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、高精度なマップデータを作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、走行路を走行する作業機械の位置を検出する位置センサと、前記作業機械の周囲の物体の位置を検出する非接触センサと、前記非接触センサで検出され規定の一致条件を満足したときの前記物体の検出点と前記位置センサの検出データとに基づいて、マップデータを作成するマップデータ作成部と、を備える作業機械の制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、高精度なマップデータを作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る管理システム及び作業機械の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る作業機械及び走行路を模式的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る非接触センサの一例を模式的に示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る作業機械の制御システムを示す機能ブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係るマップデータ作成部の処理を説明するための模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係る照合部の処理を説明するための模式図である。
図7図7は、第1実施形態に係る照合部の処理を説明するための模式図である。
図8図8は、比較例に係るマップデータの一例を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係るマップデータ作成方法を示すフローチャートである。
図10図10は、コンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
図11図11は、第2実施形態に係る作業機械の制御システムを示す機能ブロック図である。
図12図12は、第2実施形態に係る非接触センサの一例を模式的に示す図である。
図13図13は、第2実施形態に係るマップデータ作成部の処理を説明するための模式図である。
図14図14は、第2実施形態に係るマップデータ作成方法を示すフローチャートである。
図15図15は、第3実施形態に係る非接触センサの検出の一例を示す図である。
図16図16は、第3実施形態に係るマップデータ作成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
第1実施形態.
[管理システム]
図1は、本実施形態に係る管理システム1及び作業機械2の一例を模式的に示す図である。作業機械2は、無人車両である。無人車両とは、運転者による運転操作によらずに、無人で走行する作業車両をいう。作業機械2は、管理システム1からの走行条件データに基づいて走行する。
【0011】
作業機械2は、作業現場において稼働する。本実施形態において、作業現場は、鉱山又は採石場である。作業機械2は、作業現場を走行して積荷を運搬するダンプトラックである。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。採石場とは、石材を採掘する場所又は事業所をいう。作業機械2に運搬される積荷として、鉱山又は採石場において掘削された鉱石又は土砂が例示される。
【0012】
管理システム1は、管理装置3と、通信システム4とを備える。管理装置3は、コンピュータシステムを含み、作業現場の管制施設5に設置される。管制施設5に管理者が存在する。通信システム4は、管理装置3と作業機械2との間で通信を実施する。管理装置3に無線通信機6が接続される。通信システム4は、無線通信機6を含む。管理装置3と作業機械2とは、通信システム4を介して無線通信する。作業機械2は、管理装置3から送信された走行条件データに基づいて、作業現場の走行路HLを走行する。
【0013】
[作業機械]
作業機械2は、車両本体21と、車両本体21に支持されるダンプボディ22と、車両本体21を支持する走行装置23と、速度センサ24と、方位センサ25と、姿勢センサ26と、無線通信機28と、位置センサ31と、非接触センサ32と、データ処理装置10と、走行制御装置40とを備える。
【0014】
車両本体21は、車体フレームを含み、ダンプボディ22を支持する。ダンプボディ22は、積荷が積み込まれる部材である。
【0015】
走行装置23は、車輪27を含み、走行路HLを走行する。車輪27は、前輪27Fと後輪27Rとを含む。車輪27にタイヤが装着される。走行装置23は、駆動装置23Aと、ブレーキ装置23Bと、操舵装置23Cとを有する。
【0016】
駆動装置23Aは、作業機械2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置23Aは、ディーゼルエンジンのような内燃機関を含む。なお、駆動装置23Aは、電動機を含んでもよい。駆動装置23Aで発生した駆動力が後輪27Rに伝達され、後輪27Rが回転する。後輪27Rが回転することにより、作業機械2は自走する。ブレーキ装置23Bは、作業機械2を減速又は停止させるための制動力を発生する。操舵装置23Cは、作業機械2の走行方向を調整可能である。作業機械2の走行方向は、車両本体21の前部の向きを含む。操舵装置23Cは、前輪27Fを操舵することによって、作業機械2の走行方向を調整する。
【0017】
速度センサ24は、走行装置23の走行速度を検出する。速度センサ24の検出データは、走行装置23の走行速度を示す走行速度データを含む。方位センサ25は、作業機械2の方位を検出する。方位センサ25の検出データは、作業機械2の方位を示す方位データを含む。作業機械2の方位は、作業機械2の走行方向である。方位センサ25は、例えばジャイロセンサを含む。姿勢センサ26は、作業機械2の姿勢を検出する。作業機械2の姿勢は、水平面に対する作業機械2の傾斜角度を含む。姿勢センサ26の検出データは、作業機械2の姿勢を示す姿勢データを含む。姿勢センサ26は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を含む。
【0018】
位置センサ31は、走行路HLを走行する作業機械2の位置を検出する。位置センサ31の検出データは、作業機械2の絶対位置を示す絶対位置データを含む。作業機械2の絶対位置は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。位置センサ31は、GPS受信機を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される作業機械2の絶対位置を検出する。全地球航法衛星システムにより、グローバル座標系において規定される作業機械2の絶対位置が検出される。グローバル座標系とは、地球に固定された座標系をいう。
【0019】
非接触センサ32は、作業機械2の周囲の物体の位置を検出する。非接触センサ32は、作業機械2の周囲の少なくとも一部の物体を走査して、物体の検出点DPとの相対位置を検出する。非接触センサ32の検出データは、作業機械2と検出点DPとの相対位置を示す相対位置データを含む。非接触センサ32は、例えば車両本体21の前部の下部に配置される。作業機械2のローカル座標系(車体座標系)において、車両本体21に取り付けられる非接触センサ32の取付け位置と車両本体21の基準点との相対位置は予め決められている既知データである。非接触センサ32は、作業機械2の周囲の少なくとも一部の物体を非接触で検出する。作業機械2の周囲の物体は、作業機械2が走行する走行路HLに存在する障害物、走行路HLの轍、及び走行路HLの傍らに存在する土手BK(壁面)のような、走行路HLを走行する作業機械2が干渉する可能性がある物体を含む。非接触センサ32は、作業機械2の前方の障害物を非接触で検出する障害物センサとして機能する。
【0020】
非接触センサ32は、作業機械2と物体との相対位置を検出可能である。非接触センサ32は、物体をレーザ光で走査して、作業機械2と物体の複数の検出点DPのそれぞれとの相対位置を検出可能なレーザセンサを含む。なお、非接触センサ32は、物体を電波で走査して、作業機械2と物体の複数の検出点DPのそれぞれとの相対位置を検出可能なレーダセンサでもよい。以下の説明においては、レーザ光又は電波のような、物体を検出するために物体を走査するエネルギー波を適宜、検出波、と称する。
【0021】
無線通信機28は、管理装置3に接続された無線通信機6と無線通信する。通信システム4は、無線通信機28を含む。
【0022】
データ処理装置10は、コンピュータシステムを含み、車両本体21に配置される。データ処理装置10は、位置センサ31の検出データ及び非接触センサ32の検出データを処理する。
【0023】
走行制御装置40は、コンピュータシステムを含み、車両本体21に配置される。走行制御装置40は、作業機械2の走行装置23の走行状態を制御する。走行制御装置40は、駆動装置23Aを作動するためのアクセル指令、ブレーキ装置23Bを作動するためのブレーキ指令、及び操舵装置23Cを作動するためのステアリング指令を含む運転指令を出力する。駆動装置23Aは、走行制御装置40から出力されたアクセル指令に基づいて、作業機械2を加速させるための駆動力を発生する。ブレーキ装置23Bは、走行制御装置40から出力されたブレーキ指令に基づいて、作業機械2を減速又は停止させるための制動力を発生する。操舵装置23Cは、走行制御装置40から出力されたステアリング指令に基づいて、作業機械2を直進又は旋回させるために前輪27Fの向きを変えるための旋回力を発生する。
【0024】
[走行路]
図2は、本実施形態に係る作業機械2及び走行路HLを模式的に示す図である。走行路HLは、鉱山の複数の作業場PAに通じる。作業場PAは、積込場PA1及び排土場PA2の少なくとも一方を含む。走行路HLに交差点ISが設けられてもよい。
【0025】
積込場PA1とは、作業機械2に積荷を積載する積込作業が実施されるエリアをいう。積込場PA1において、油圧ショベルのような積込機7が稼働する。排土場PA2とは、作業機械2から積荷が排出される排出作業が実施されるエリアをいう。排土場PA2には、例えば破砕機8が設けられる。
【0026】
管理装置3は、走行路HLにおける作業機械2の走行条件を設定する。作業機械2は、管理装置3から送信された走行条件を示す走行条件データに基づいて、走行路HLを走行する。
【0027】
走行条件データは、作業機械2の目標走行速度及び目標走行コースCSを含む。図2に示すように、走行条件データは、走行路HLに間隔をあけて設定された複数のポイントPIを含む。ポイントPIは、グローバル座標系において規定される作業機械2の目標位置を示す。なお、ポイントPIは、作業機械2のローカル座標系において規定されてもよい。
【0028】
目標走行速度は、複数のポイントPIのそれぞれに設定される。目標走行コースCSは、複数のポイントPIを結ぶ線によって規定される。
【0029】
[非接触センサ]
図3は、本実施形態に係る非接触センサ32の一例を模式的に示す図である。非接触センサ32は、作業機械2の車両本体21の前部に配置される。非接触センサ32は、単数でもよいし複数でもよい。非接触センサ32の検出範囲ARは、放射状である。検出波は、放射状の検出範囲ARにおいて走査される。非接触センサ32は、検出範囲AR内の物体を検出波で走査して、物体の3次元形状を示す点群データを取得する。点群データは、物体の表面における複数の検出点DPの集合体である。検出点DPは、物体の表面において検出波が照射された照射点を含む。非接触センサ32は、作業機械2の周囲の少なくとも一部の物体を検出波で走査して、物体の複数の検出点DPのそれぞれとの相対位置を検出する。
【0030】
走行路HLの傍らに土手BKが設けられる。土手BKは、走行路HLの傍らにおいて、作業機械2が走行する路面よりも上方に突出する物体である。例えば土手BKは、走行路HLの両側に設けられる。非接触センサ32に検出される物体は、作業機械2が走行する走行路HLの傍らの物体である土手BKを含む。
【0031】
非接触センサ32は、土手BKに検出波を照射して、土手BKの表面の3次元形状を示す点群データを取得する。点群データは、土手BKの表面における複数の検出点DPの集合体である。非接触センサ32は、土手BKの複数の検出点DPのそれぞれとの相対位置を検出する。
【0032】
非接触センサ32は、作業機械2が走行している状態で物体を走査する。また、土手BKの形状及び土手BKと作業機械2との相対位置に起因して、土手BKが検出範囲ARに配置されても、検出波が照射されない部分が発生する可能性がある。また、土手BKに検出波が照射されても、土手BKで反射した検出波が非接触センサ32に検出されない可能性がある。そのため、土手BKの表面において、複数の検出点DPは、間隔をあけて(まばらに)検出される。
【0033】
[制御システム]
図4は、本実施形態に係る作業機械2の制御システム9を示す機能ブロック図である。制御システム9は、データ処理装置10と、走行制御装置40とを有する。データ処理装置10及び走行制御装置40のそれぞれは、通信システム4を介して管理装置3と通信可能である。
【0034】
管理装置3は、走行条件生成部3Aと、通信部3Bとを有する。走行条件生成部3Aは、作業機械2の走行条件を示す走行条件データを生成する。走行条件は、例えば管制施設に存在する管理者により決定される。管理者は、管理装置3に接続されている入力装置を操作する。走行条件生成部3Aは、入力装置が操作されることにより生成された入力データに基づいて、走行条件データを生成する。通信部3Bは、走行条件データを作業機械2に送信する。作業機械2の走行制御装置40は、通信部3Bから送信された走行条件データを、通信システム4を介して取得する。
【0035】
(データ処理装置)
データ処理装置10は、絶対位置データ取得部11と、相対位置データ取得部12と、マップデータ作成部13と、マップデータ記憶部14と、照合部15と、照合位置データ算出部17とを有する。
【0036】
絶対位置データ取得部11は、位置センサ31から、作業機械2の絶対位置を示す絶対位置データを取得する。位置センサ31は、作業機械2を測位できたことを示す測位信号と、作業機械2を測位できなかったことを示す非測位信号とを出力する。絶対位置データ取得部11は、位置センサ31から、測位信号又は非測位信号を取得する。
【0037】
相対位置データ取得部12は、非接触センサ32から、作業機械2と物体の検出点DPとの相対位置を示す相対位置データを取得する。非接触センサ32は、1回の走査で複数の検出点DPのそれぞれとの相対位置を検出可能である。相対位置データ取得部12は、非接触センサ32から、作業機械2と物体の複数の検出点DPのそれぞれとの相対位置データを取得する。
【0038】
マップデータ作成部13は、位置センサ31の検出データ及び非接触センサ32の検出データに基づいて、作業現場のマップデータを作成する。すなわち、マップデータ作成部13は、絶対位置データ取得部11により取得された作業機械2の絶対位置データと、相対位置データ取得部12により取得された複数の検出点DPのそれぞれとの相対位置データとに基づいて、作業現場のマップデータを作成する。作業現場のマップデータは、作業機械2の周囲の物体の検出点DPの有無及び位置を示す。本実施形態において、物体のマップデータは、土手BKのマップデータを含む。
【0039】
マップデータ作成部13は、測位信号が取得され、位置センサ31により検出された作業機械2の絶対位置の検出精度が規定精度以上であるとき(高精度であるとき)、マップデータを作成する。マップデータの作成は、非接触センサ32で検出された検出点DPをマップデータ記憶部14に記憶させる処理を含む。
【0040】
マップデータの作成は、位置センサ31の検出精度が高精度であるときに、後述する通常走行モードで作業機械2が走行しながら実施される。位置センサ31の検出精度が低下したときに、通常走行モードから後述する照合走行モードに切り換えられ、照合走行モードで作業機械2が走行する。
【0041】
本実施形態において、マップデータ作成部13は、位置センサ31により検出された作業機械2の絶対位置データ、方位センサ25により検出された作業機械2の方位データ、及び非接触センサ32により検出された検出点DPの相対位置データに基づいて、マップデータを作成する。マップデータ作成部13は、作業機械2の絶対位置データ及び方位データと、検出点DPの相対位置データとを統合して、土手BKのマップデータを作成する。
【0042】
本実施形態において、マップデータ作成部13は、非接触センサ32で検出され規定の一致条件を満足したときの物体の検出点DPと、位置センサ31の検出データとに基づいて、マップデータを作成する。後述するように、一致条件は、マップデータ記憶部14に記憶されるマップデータを構成する既存検出点DPeと、非接触センサ32で検出される現況検出点DPcとの一致率が一致率閾値以下であることを含む。
【0043】
マップデータ作成部13は、規定周期(例えば0.1[秒]毎)にマップデータを作成する。一致条件の判定は、規定周期で実施され、マップデータ作成部13は、一致条件の判定結果に基づいて、規定周期でマップデータを作成する。
【0044】
マップデータ記憶部14は、マップデータ作成部13で作成されたマップデータを記憶する。検出点DPは、マップデータ記憶部14に記憶されるマップデータを構成する既存検出点DPeと、非接触センサ32で検出される現況検出点DPcとを含む。既存検出点DPeとは、マップデータ記憶部14に記憶されるマップデータを規定する検出点DPをいう。現況検出点DPcとは、非接触センサ32で検出され、相対位置データ取得部12により取得された現況の検出点DPをいう。
【0045】
照合部15は、マップデータ記憶部14に記憶されている複数の既存検出点DPeの相対位置データと、相対位置データ取得部12により取得された複数の現況検出点DPcの相対位置データとを照合して、現況検出点DPcと既存検出点DPeとの一致率を算出する。
【0046】
一致条件は、既存検出点DPeと現況検出点DPcとの一致率が一致率閾値以下であることを含む。マップデータ作成部13は、照合部15により算出された一致率が一致率閾値以下であるときに、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcの少なくとも一部に基づいて、マップデータを作成する。上述のように、マップデータ作成部13は、規定周期でマップデータを作成し、作成したマップデータをマップデータ記憶部14に記憶させる。マップデータ記憶部14に記憶されるマップデータは、規定周期で更新される。
【0047】
照合位置データ算出部17は、非接触センサ32の検出データとマップデータ作成部13で作成されたマップデータとを照合して、作業機械2の照合位置を示す照合位置データを算出する。すなわち、照合位置データ算出部17は、相対位置データ取得部12により取得された現況検出点DPcの相対位置データと、マップデータ記憶部14に記憶されているマップデータとを照合して、作業機械2の照合位置データを算出する。照合位置は、照合位置データ算出部17により算出される作業機械2の絶対位置を示す。
【0048】
照合位置データ算出部17は、速度センサ24により検出された走行速度データと、方位センサ25により検出された方位データと、非接触センサ32により検出された検出点DPの相対位置データとに基づいて、作業機械2の照合位置及び方位を算出する。
【0049】
(走行制御装置)
走行制御装置40は、管理装置3により生成された走行条件データに従って作業機械2が走行するように、走行装置23を制御する。本実施形態において、走行制御装置40は、位置センサ31により検出される絶対位置データに基づいて作業機械2を走行させる通常走行モードと、照合位置データ算出部17により算出された照合位置データに基づいて作業機械2を走行させる照合走行モードとの少なくとも一方の走行モードに基づいて、作業機械2を走行させる。
【0050】
通常走行モードは、位置センサ31から測位信号が取得され、位置センサ31により検出された作業機械2の絶対位置の検出精度が高精度であるときに実施される走行モードである。走行制御装置40は、位置センサ31から測位信号を取得し、位置センサ31により検出された作業機械2の絶対位置の検出精度が高精度であると判定したとき、位置センサ31により検出された絶対位置データと走行条件データとに基づいて、走行装置23を制御する。すなわち、通常走行モードにおいて、走行制御装置40は、位置センサ31により検出された作業機械2の絶対位置データとポイントPIの座標データとを照合して、作業機械2の絶対位置データとポイントPIの座標データとの差が許容値以下になるように、走行装置23の走行状態を制御する。
【0051】
照合走行モードは、位置センサ31から非測位信号が取得され、位置センサ31により検出された作業機械2の絶対位置の検出精度が低下しているときに実施される走行モードである。走行制御装置40は、位置センサ31から非測位信号を取得し、位置センサ31により検出された作業機械2の絶対位置の検出精度が低下していると判定したとき、照合位置データ算出部17により算出された照合位置データと走行条件データとに基づいて、走行装置23を制御する。すなわち、照合走行モードにおいて、走行制御装置40は、照合位置データ算出部17により算出された作業機械2の照合位置データとポイントPIの座標データとを照合して、作業機械2の照合位置データとポイントPIの座標データとの差が許容値以下になるように、走行装置23の走行状態を制御する。
【0052】
なお、位置センサ31の検出精度が低下する状況として、例えば、太陽フレアによる電離層異常、及び全地球航法衛星システムとの通信異常等が例示される。例えば、露天掘り又は地下鉱山のような作業現場においては、全地球航法衛星システムとの通信異常が発生する可能性が高くなる。
【0053】
[マップデータ作成部の処理]
図5は、本実施形態に係るマップデータ作成部13の処理を説明するための模式図である。マップデータは、複数のグリッドからなるグリッドデータを含む。検出点DPは、1つのグリッドによって規定される。検出点DPは、土手BKの存在を示すバイナリデータである。検出点DPにおいて土手BKが検出されると、検出点DPとしてグリッドに「1」が入力される。土手BKが検出されない場合、グリッドに「0」が入力される。
【0054】
鉱山のような作業現場においては、作業機械2は、同一の走行路HLを複数回走行する場合が多い。マップデータ作成部13は、作業機械2が同一の場所を複数回走行し、それぞれの走行において取得された検出点DPに基づいて、マップデータを作成する。
【0055】
図5(A)は、作業機械2が走行路HLの特定の場所を最初に走行したときに取得された検出点DPを模式的に示す図である。非接触センサ32は、作業機械2が走行している状態で物体を走査する。上述のように、土手BKの表面において、検出点DPは、まばらに検出される。マップデータ作成部13は、まばらに検出された検出点DPに基づいて、図5(A)に示すようなマップデータを作成する。マップデータ作成部13により作成されたマップデータは、マップデータ記憶部14に記憶される。
【0056】
図5(B)は、作業機械2が走行路HLの特定の場所を2回目に走行したときに取得された検出点DPを模式的に示す図である。第2回目の走行において、マップデータ作成部13は、第1回目の走行で走行した特定の場所か否かを、絶対位置データ取得部11により取得された作業機械2の絶対位置データに基づいて判定することができる。マップデータ作成部13は、第2回目の走行において検出された検出点DPを、第1回目の走行において作成されたマップデータに統合する。すなわち、マップデータ作成部13は、第2回目の走行において相対位置データ取得部12により取得された現況の検出点DPを示す複数の現況検出点DPcを、マップデータ記憶部14に記憶されているマップデータの既存検出点DPeに付加するようにマップデータを作成する。図5(B)において、マップデータ記憶部14に記憶されていたマップデータは、既存検出点DPeによって規定されている。マップデータ作成部13は、第1回目の走行において取得された既存検出点DPeに、第2回目の走行において取得された現況検出点DPcを付加するようにマップデータを作成する。
【0057】
図5(C)は、作業機械2が走行路HLの特定の場所を3回目に走行したときに取得された検出点DPを模式的に示す図である。マップデータ作成部13は、第3回目の走行において検出された検出点DPを、第1回目及び第2回目の走行において作成されたマップデータに統合する。すなわち、マップデータ作成部13は、第3回目の走行において相対位置データ取得部12により取得された現況の検出点DPを示す複数の現況検出点DPcを、マップデータ記憶部14に記憶されているマップデータの既存検出点DPeに付加するようにマップデータを作成する。
【0058】
このように、作業機械2が同一の場所を複数回走行するとき、各走行において取得された検出点DPが積み重ねられていく。走行回数が多いほど、実際の土手BKの位置及び形状に則したマップデータが構築される。
【0059】
[照合部の処理]
図6及び図7は、本実施形態に係る照合部15の処理を説明するための模式図である。
【0060】
照合部15は、相対位置データ取得部12により取得された複数の現況検出点DPcの相対位置データと、マップデータ記憶部14に記憶されているマップデータを規定する複数の既存検出点DPeの相対位置データとを照合して、現況検出点DPcと既存検出点DPeとの一致率を算出する。
【0061】
照合部15は、非接触センサ32の1回の走査により取得された複数の現況検出点DPcの相対位置データと、マップデータを規定する複数の既存検出点DPeの相対位置データとを照合する。
【0062】
図6は、例えば作業機械2が走行路HLの特定の場所を4回目に走行したときに取得された検出点DPを模式的に示す図である。
【0063】
図6に示す例において、非接触センサ32の1回の走査により検出された現況検出点DPcは、10点である。図6(A)に示すように、10個の現況検出点DPcのうち、7個の現況検出点DPcが既存検出点DPeと一致し、3個の現況検出点DPcが既存検出点DPeと一致しない。照合部15は、現況検出点DPcと既存検出点DPeとの一致率が、70[%]であると算出する。
【0064】
マップデータ作成部13は、照合部15により算出された一致率が一致率閾値以下であるときに、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcを用いてマップデータを作成する。
【0065】
一例として、一致率閾値は75[%]であることとする。図6に示す例においては、一致率は一致率閾値以下である。
【0066】
図6(A)に示すように、一致率が一致率閾値以下であるとき、マップデータ作成部13は、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcを、マップデータ記憶部14に記憶されるマップデータの既存検出点DPeに付加するように、マップデータを作成する。作成されたマップデータは、マップデータ記憶部14に記憶される。
【0067】
すなわち、マップデータ作成部13によるマップデータの作成は、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcをマップデータに付加する処理を含む。図6(B)に示すように、マップデータ作成部13は、マップデータ記憶部14に記憶されているマップデータに、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcを付加する。
【0068】
図7は、一致率が一致率閾値よりも大きい例を示す。図7に示す例において、非接触センサ32の1回の走査により取得された現況検出点DPcは、10点である。図7(A)に示すように、10個の現況検出点DPcのうち、8個の現況検出点DPcが既存検出点DPeと一致し、2個の現況検出点DPcが既存検出点DPeと一致しない。照合部15は、現況検出点DPcと既存検出点DPeとの一致率が、80[%]であると算出する。
【0069】
一致率閾値が75[%]である場合、図7に示す例においては、一致率は一致率閾値よりも大きい。
【0070】
図7(A)に示すように、一致率が一致率閾値よりも大きいとき、マップデータ作成部13は、現況検出点DPcを用いるマップデータの作成を実施しない。本実施形態において、マップデータ作成部13は、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcを消去する。すなわち、マップデータ作成部13は、一致率が一致率閾値よりも大きいとき、マップデータ記憶部14に記憶されているマップデータに現況検出点DPcを付加することなく、現況検出点DPcを消去する。
【0071】
一致率が高い場合において、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcは、ノイズである可能性が高い。鉱山のような作業現場においては、走行路HLの路面の状態が日々変化する可能性が高い。例えば、作業機械2の走行により走行路HLに轍が生成されたり、補修作業により路面の形状が変化したり、雨水により路面がスリップし易い状態になったりする可能性がある。そのため、作業機械2が同一の走行路HLを複数回走行する場合において、特定の走行回数に路面の状態が異なっていると、同一の特定の場所において同一の特定の位置を検出した場合でも、非接触センサ32によって検出される現況検出点DPcの位置は、既存検出点DPeの位置に一致しない可能性がある。既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcは、ノイズとなる可能性が高い。
【0072】
一致率が高い場合において、既存検出点DPeに一致しないノイズとみなされる現況検出点DPcがマップデータに付加され続けると、マップデータにおいて物体の表面(土手BKの壁面)を表わすグリッドが、例えば物体の表面と直交する方向に複数配置される可能性がある。例えば、マップデータにおいて物体の表面が太い幅のラインで示されてしまう可能性がある。
【0073】
すなわち、作業機械2が同一の走行路HLを周回しながら非接触センサ32が物体の検出点DPを検出したとき、ノイズとみなされる現況検出点DPcがマップデータに付加され続けると、本来であれば不要な現況検出点DPcがマップデータに付加されるため、実際の物体の表面とは異なる位置にグリッドが付加され、物体の表面を示すラインが太くなる現象が発生し、マップデータで示される物体の形状及び位置と、実際の物体の形状及び位置とが乖離してしまう可能性がある。その結果、非接触センサ32の検出データとマップデータとを照合したとき、算出される作業機械2の位置計測の精度が低下する可能性がある。
【0074】
図8は、比較例に係るマップデータの一例を示す図である。図8に示すように、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcがマップデータに付加され続けると、土手BKの表面を表わすグリッドが、土手BKの表面と直交する方向に複数配置されてしまう。その結果、土手BKの表面(壁面)を示すラインが太くなってしまい、マップデータで示される土手BKの形状及び位置と、実際の土手BKの形状及び位置とが乖離してしまう可能性がある。
【0075】
本実施形態においては、マップデータ作成部13は、一致率が一致率閾値以下であるときに、非接触センサ32で検出された現況検出点DPcを用いるマップデータの作成は実施しない。これにより、ノイズとみなされる現況検出点DPcがマップデータに反映されることが抑制され、実際の土手BKの形状及び位置から乖離するマップデータの作成が抑制される。
【0076】
[マップデータ作成方法]
次に、本実施形態に係るマップデータ作成方法について説明する。図9は、本実施形態に係るマップデータ作成方法を示すフローチャートである。
【0077】
図9に示すマップデータ作成方法が実施される前提として、位置センサ31の検出精度が高精度な状態で通常走行モードで走行路HLの特定の場所を作業機械2が既に走行し、マップデータがマップデータ記憶部14に記憶されていることとする。データ処理装置10は、作業機械2の走行において、図9に示す処理を規定周期で繰り返し実行する。
【0078】
作業機械2が特定の場所を走行しながら、位置センサ31は、作業機械2の絶対位置を検出する。非接触センサ32は、物体の少なくとも一部を検出波により走査する。位置センサ31の検出データ及び非接触センサ32の検出データは、データ処理装置10に出力される。
【0079】
相対位置データ取得部12は、非接触センサ32から、現況検出点DPcの相対位置データを取得する(ステップSA10)。
【0080】
照合部15は、相対位置データ取得部12により取得された複数の現況検出点DPcの相対位置データと、マップデータ記憶部14に記憶されているマップデータを規定する複数の既存検出点DPeの相対位置データとを照合して、現況検出点DPcと既存検出点DPeとの一致率を算出する(ステップSA20)。
【0081】
照合部15は、算出した一致率が一致率閾値以下か否かを判定する(ステップSA30)。
【0082】
ステップSA30において、一致率が一致率閾値以下であると判定された場合(ステップSA30:Yes)、マップデータ作成部13は、図6を参照して説明したように、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcを用いてマップデータを作成する(ステップSA40)。すなわち、マップデータ作成部13は、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcをマップデータに付加する処理を実施する。
【0083】
ステップSA30において、一致率が一致率閾値以下でないと判定された場合(ステップSA30:No)、マップデータ作成部13は、図7を参照して説明したように、現況検出点DPcを用いるマップデータの作成を実施しない。マップデータ作成部13は、既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcを消去する。マップデータ記憶部14においては、マップデータは更新されず、1周期前のマップデータが保持される。
【0084】
[コンピュータシステム]
図10は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の管理装置3、データ処理装置10、及び走行制御装置40のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の管理装置3の機能、データ処理装置10の機能、及び走行制御装置40の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0085】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、現況検出点DPcと既存検出点DPeとの一致率が算出され、一致率が一致率閾値以下であるとき、現況検出点DPcの少なくとも一部に基づいて、マップデータを作成する。一致率が低い場合(一致率閾値以下である場合)、マップデータは十分に構築されてないとみなすことができる。そのため、既存のマップデータに現況検出点DPcを付加して、検出点DPを積み重ねていくことにより、実際の土手BKの位置及び形状に則したマップデータを構築することができる。
【0086】
一方、一致率が高い場合(一致率閾値以下でない場合)、マップデータは既に十分に構築されていると見なすことができる。既に十分に構築されているマップデータの既存検出点DPeに一致しない現況検出点DPcは、ノイズであるとみなすことができる。本実施形態においては、ノイズとみなされた現況検出点DPcを用いるマップデータの作成は実施されない。これにより、マップデータの作成において、マップデータにノイズが含まれることが抑制される。マップデータの作成においてノイズの影響が抑制され、高精度なマップデータを作成することができるので、非接触センサ32の検出データとマップデータとを照合したとき、算出される作業機械2の位置計測の精度の低下が抑制される。そのため、例えば位置センサ31の検出精度が低下したときに、非接触センサ32の検出データとマップデータとを照合しながら作業機械2を走行させるとき、作業機械2は、走行条件データに従って精度良く走行することができる。
【0087】
第2実施形態.
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0088】
本実施形態においては、非接触センサ32の複数の走査により複数の現況検出点DPcが検出され、一致条件は、同一の現況検出点DPcが検出された検出回数が検出回数閾値以上である場合について説明する。
【0089】
図11は、本実施形態に係る作業機械の制御システム9を示す機能ブロック図である。本実施形態において、データ処理装置10は、作業機械2の周囲に規定エリアを設定する規定エリア設定部18と、規定エリアCAにおいて、複数の走査により同一の現況検出点DPcが検出された検出回数を数える計数処理部19とを有する。
【0090】
本実施形態において、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値以上である現況検出点DPcを用いてマップデータを作成する。また、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値未満である現況検出点DPcを消去する。
【0091】
図12は、本実施形態に係る非接触センサ32の一例を模式的に示す図である。上述の実施形態と同様、非接触センサ32は、作業機械2が走行している状態で物体を検出波で走査する。また、作業機械2の走行により、検出範囲ARも移動する。作業機械2が特定の場所を通過するとき、図12に示すように、土手BKの同一の位置が検出波で複数回走査される。
【0092】
例えば、検出点DP10は、非接触センサ32によって10回検出される土手BKの特定の位置である。検出点DP5は、非接触センサ32によって5回検出される土手BKの特定の位置である。検出点DP1は、非接触センサ32によって1回検出される土手BKの特定の位置である。
【0093】
検出回数が多い検出点DPは、実際に土手BKを検出した検出点DPであるとみなすことができる。一方、検出回数が少ない検出点DPは、ノイズである可能性が高い。
【0094】
そのため、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値以上である現況検出点DPcを用いてマップデータを作成する。
【0095】
計数処理部19は、同一の現況検出点DPcが検出された検出回数を数える。計数処理部19は、規定エリアCAの大きさ及び形状に基づいて、現況検出点DPcが規定エリアCAに存在するか否かを判定することができる。計数処理部19は、現況検出点DPcが規定エリアCAに存在する期間において、検出回数を数える。
【0096】
同様に、マップデータ作成部13は、規定エリアCAの大きさ及び形状に基づいて、現況検出点DPcが規定エリアCAに存在するか否かを判定することができる。
【0097】
図13は、本実施形態に係るマップデータ作成部13の処理を説明するための模式図である。規定エリア設定部18は、作業機械2の周囲に規定エリアCAを設定する。規定エリア設定部18は、作業機械2と同期して規定エリアCAを移動させる。なお、図13に示す規定エリアCAは四角形であるが、四角形に限定されない。規定エリアCAは、例えば円形でもよい。
【0098】
計数処理部19は、規定エリアCAにおいて、複数の走査及び作業機械2の走行により同一の現況検出点DPc(土手BKの同一の特定の位置)が検出された検出回数を数える。
【0099】
図13(A)において、現況検出点DPccは、検出回数が検出回数閾値以上の現況検出点DPcを示す。現況検出点DPcnは、少なくとも1回検出された現況検出点DPc(検出回数が少なくとも1回である現況検出点DPc)を示す。現況検出点DPcfは、検出回数が検出閾値未満の現況検出点DPcを示す。
【0100】
図13(B)は、図13(A)に示す状態から作業機械2が前進した状態を示す。図13(B)において、現況検出点DPcfxは、規定エリアCAにおいて検出回数が検出回数閾値未満であることが確定し、消去されることが決定された現況検出点DPcを示す。
【0101】
図13(C)は、図13(B)に示す状態から作業機械2が前進した状態を示す。図13(C)に示すように、作業機械2の走行により、現況検出点DPcfxが規定エリアCAから出ると、マップデータ作成部13は、現況検出点DPcfxを消去する。
【0102】
次に、本実施形態に係るマップデータ作成方法について説明する。図14は、本実施形態に係るマップデータ作成方法を示すフローチャートである。
【0103】
以下の説明においては、説明を簡単にするため、1つの現況検出点DPcについて説明する。なお、データ処理装置10は、作業機械2の走行において、複数の現況検出点DPcのそれぞれについて、図14に示す処理を規定周期で繰り返し実行する。
【0104】
作業機械2は、走行路HLを走行する。作業機械2の走行において、位置センサ31は、作業機械2の絶対位置を検出する。非接触センサ32は、物体の少なくとも一部を検出波で走査する。位置センサ31の検出データ及び非接触センサ32の検出データは、データ処理装置10に出力される。
【0105】
規定エリア設定部18は、作業機械2と同期するように、規定エリアCAを移動させる。規定エリア設定部18は、規定エリアCAの形状及び大きさを一定に維持しながら規定エリアCAを移動させる。
【0106】
相対位置データ取得部12は、現況検出点DPcの相対位置データを取得する(ステップSB10)。
【0107】
非接触センサ32の複数の走査により同一の現況検出点DPcが複数回数検出される可能性がある。計数処理部19は、現況検出点DPcが規定エリアCAに存在するとき、現況検出点DPcが検出された検出回数を数える(ステップSB20)。
【0108】
作業機械2の走行において、現況検出点DPcと作業機械2及び規定エリアCAとの相対位置は変化する。例えば規定エリアCAに存在していた現況検出点DPcは、作業機械2の移動に伴って規定エリアCAから外れる。計数処理部19は、検出回数が数えられている現況検出点DPcの相対位置データと、規定エリアCAの大きさ及び形状とに基づいて、現況検出点DPcが規定エリアCAに存在するか否かを判定する(ステップSB30)。
【0109】
ステップSB30において、現況検出点DPcが規定エリアCAに存在すると判定した場合(ステップSB30:Yes)、計数処理部19は、規定エリアCAに存在する現況検出点DPcの検出回数を数える処理を継続する。
【0110】
ステップSB30において、現況検出点DPcが規定エリアCAに存在せず、規定エリアCAから外れたと判定した場合(ステップSB30:No)、計数処理部19は、その現況検出点DPcが規定エリアCAに存在したときに数えた検出回数が検出回数閾値以上であるか否かを判定する(ステップSB40)。
【0111】
ステップSB40において、検出回数が検出回数閾値以上でない判定された場合(ステップSB40:No)、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値未満であると判定された現況検出点DPcをマップデータから消去する(ステップSB50)。
【0112】
ステップSB40において、検出回数が検出回数閾値以上であると判定された場合(ステップSB40:Yes)、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値以上である現況検出点DPcを用いてマップデータを作成する(ステップSB60)。
【0113】
以上説明したように、本実施形態によれば、一致条件は、規定エリアCAにおいて検出される同一の現況検出点DPcの検出回数が検出回数閾値以上であることを含む。検出回数が少ない現況検出点DPcは、ノイズであるとみなすことができる。ノイズとみなされた現況検出点DPcは、マップデータの作成に寄与せずに消去される。これにより、マップデータの作成において、マップデータにノイズが含まれることが抑制される。
【0114】
また、ノイズとみなされた現況検出点DPcは消去されるので、マップデータ記憶部14に記憶されるデータ容量を削減することができる。
【0115】
また、作業機械2が同一の走行路HLを周回するときに検出された検出点DPが累積されることによってマップデータが作成される場合、初期の走行において検出された検出点DPがマップデータに反映される可能性が高い。初期の走行において検出された検出点DPがノイズである可能性が高い場合でも、マップデータに反映される可能性が高い。本実施形態によれば、検出回数に基づいてノイズか否かが判定されるため、ノイズをより効果的に消去することができる。
【0116】
第3実施形態.
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0117】
上述の第2実施形態と同様、本実施形態においても、非接触センサ32の複数の走査により複数の現況検出点DPcが検出される。一致条件は、同一の現況検出点DPcが検出された検出回数が検出回数閾値以上であることを含む。
【0118】
本実施形態において、走行路HLは、路面状況変化位置CPを含む。非接触センサ32によって検出される現況検出点DPcは、走行路HLを走行する作業機械2の前方の物体の現況検出点DPcを含む。
【0119】
図15は、本実施形態に係る非接触センサ32による検出の一例を示す図である。図15に示すように、走行路HLは、路面状況変化位置CPを含む。路面状況変化位置CPとは、走行路HLを走行する作業機械2の姿勢の急激な変化をもたらす位置をいう。路面状況変化位置CPとして、例えば走行路HLの登坂路と平坦路との境界、走行路HLに存在する落石のような障害物、及び走行路HLの路面に形成された轍のような凹凸部分などが例示される。作業機械2が路面状況変化位置CPを通過したとき、作業機械2の姿勢が急激に変化する可能性がある。
【0120】
図15に示す例においては、路面状況変化位置CPが登坂路と平坦路との境界であることとする。また、走行路HLを走行する作業機械2の前方には、土手BKのような物体が存在する。
【0121】
作業機械2が登坂路を走行しているとき、非接触センサ32は、検出波を走査して、土手BKの上方領域r10の現況検出点DPcを検出する。作業機械2が路面状況変化位置CPを通過するとき、非接触センサ32は、検出波を走査して、土手BKの中間領域r20の現況検出点DPcを検出する。作業機械2が平坦路を走行しているとき、非接触センサ32は、検出波を走査して、土手BKの下方領域r30の現況検出点DPcを検出する。
【0122】
計数処理部19は、非接触センサ32の複数の走査により検出される同一の現況検出点DPcの検出回数を数える。
【0123】
マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値以上である現況検出点DPcを用いてマップデータを作成する。
【0124】
作業機械2が路面状況変化位置CPを通過するとき、作業機械2の姿勢が急激に変化するため、中間領域r20における同一の現況検出点DPcの検出回数は、検出回数閾値未満になる可能性が高い。上述の実施形態で説明したように、検出回数が少ない現況検出点CPcは、ノイズであると見なすことができる。そのため、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値以上である現況検出点DPcを用いてマップデータを作成する。
【0125】
図15に示す例においては、上方領域r10及び下方領域r30の現況検出点DPcの検出回数は検出回数閾値以上であり、中間領域r20の現況検出点DPcの検出回数は検出回数閾値未満である。マップデータ作成部13は、中間領域r20の現況検出点DPcを用いずに、上方領域r10及び下方領域r30の現況検出点DPcを用いて、マップデータを作成する。
【0126】
次に、本実施形態に係るマップデータ作成方法について説明する。図16は、本実施形態に係るマップデータ作成方法の一例を示すフローチャートである。図16に示す処理は、規定周期で繰り返し実行される。
【0127】
作業機械2は、走行路HLを走行する。作業機械2の走行において、非接触センサ32は、作業機械2の前方の物体(土手BK)の少なくとも一部を検出波で走査する。非接触センサ32の検出データは、データ処理装置10に出力される。
【0128】
相対位置データ取得部12は、現況検出点DPcの相対位置データを取得する(ステップSC10)。
【0129】
計数処理部19は、複数の現況検出点DPcのそれぞれについて検出回数を数える(ステップSC20)。
【0130】
計数処理部19は、現況検出点DPcの検出回数が検出回数閾値以上であるか否かを判定する(ステップSC30)。
【0131】
ステップSC30において、検出回数が検出回数閾値以上でない判定された場合(ステップSC30:No)、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値未満であると判定された現況検出点DPcをマップデータから消去する(ステップSC40)。
【0132】
ステップSC30において、検出回数が検出回数閾値以上であると判定された場合(ステップSC30:Yes)、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値以上である現況検出点DPcを用いてマップデータを作成する(ステップSC50)。
【0133】
以上説明したように、本実施形態によれば、マップデータ作成部13は、検出回数が検出回数閾値以上である現況検出点DPcを用いてマップデータを作成し、検出回数が検出回数閾値未満である現況検出点DPcを用いるマップデータの作成は実施しない。作業機械2が路面状況変化位置CPを通過して作業機械2の姿勢が急激に変化したときに検出された現況検出点DPcはノイズとみなすことができる。ノイズとみなされた現況検出点DPcは、マップデータの作成に寄与せずに消去される。これにより、マップデータの作成において、マップデータにノイズが含まれることが抑制される。
【0134】
他の実施形態.
なお、上述の実施形態において、マップデータ作成部13により作成されたマップデータが表示装置に表示されてもよい。表示装置は、作業機械2の運転室に配置されてもよい。管制施設5に配置されてもよい。表示装置は、一致条件に基づいて、マップデータを構成するグリッドの表示形態を変えてもよい。例えば、表示装置は、上述の第1実施形態で説明した既存検出点DPeと一致する現況検出点PDcと、既存検出点DPeと一致しない現況検出点PDcとを、異なる色又は濃度で表示してもよい。また、表示装置は、上述の第2実施形態及び第3実施形態で説明した検出回数が検出回数閾値以上の現況検出点PDcと、検出回数が検出回数閾値以下の現況検出点PDcとを、異なる色又は濃度で表示してもよい。
【0135】
なお、上述の実施形態において、複数の作業機械2のそれぞれに搭載されているデータ処理装置10によって作成されたマップデータが管理装置3に送信されてもよい。管理装置3は、複数の作業機械2のそれぞれにおいて作成された複数のマップデータを統合してもよい。また、管理装置3は、統合したマップデータを複数の作業機械2のそれぞれに配信してもよい。複数の作業機械2のそれぞれは、配信されたマップデータに基づいて走行してもよい。鉱山のような作業現場においては、複数の作業機械2のそれぞれが同一の走行路HLを何回も走行する可能性が高い。そのため、複数の作業機械2のそれぞれに搭載されているデータ処理装置10によって作成され、管理装置3において統合されたマップデータは、高精度なマップデータである可能性が高い。複数の作業機械2のそれぞれは、統合された高精度なマップデータに基づいて、照合走行モードで走行することができる。
【0136】
なお、上述の実施形態において、データ処理装置10の機能の少なくとも一部が管理装置3に設けられてもよいし、管理装置3の機能の少なくとも一部がデータ処理装置10及び走行制御装置40の少なくとも一方に設けられてもよい。例えば、上述の実施形態において、管理装置3が、マップデータ作成部13、マップデータ記憶部14、及び照合部15の機能を有し、管理装置3で作成されたマップデータが、通信システム4を介して、作業機械2の走行制御装置40に送信されてもよい。
【0137】
なお、上述の実施形態において、一致率閾値及び検出回数閾値の少なくとも一方が、管制施設5の管理者によって設定されてもよい。管理者は、一致率閾値及び検出回数閾値を任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0138】
1…管理システム、2…作業機械、3…管理装置、3A…走行条件生成部、3B…通信部、4…通信システム、5…管制施設、6…無線通信機、7…積込機、8…破砕機、9…制御システム、10…データ処理装置、11…絶対位置データ取得部、12…相対位置データ取得部、13…マップデータ作成部、14…マップデータ記憶部、15…照合部、17…照合位置データ算出部、18…規定エリア設定部、19…計数処理部、21…車両本体、22…ダンプボディ、23…走行装置、23A…駆動装置、23B…ブレーキ装置、23C…操舵装置、24…速度センサ、25…方位センサ、27…車輪、27F…前輪、27R…後輪、28…無線通信機、31…位置センサ、32…非接触センサ、40…走行制御装置、AR…検出範囲、CA…規定エリア、CS…目標走行コース、DP…検出点、DPc…現況検出点、DPe…既存検出点、DPcc…現況検出点、DPcn…現況検出点、DPcf…現況検出点、DPcfx…現況検出点、HL…走行路、IS…交差点、PA…作業場、PA1…積込場、PA2…排土場、PI…ポイント。
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