IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノリタケカンパニーリミテドの特許一覧

特許7103840炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法
<>
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図1
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図2
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図3
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図4
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図5
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図6
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図7
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図8
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図9
  • 特許-炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】炉心管外熱式粉体材料焼成装置および炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/20 20060101AFI20220712BHJP
   F27B 7/08 20060101ALI20220712BHJP
   F27B 7/28 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
F27B7/20
F27B7/08
F27B7/28
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018089546
(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2019196848
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】福島 宏康
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117561(JP,A)
【文献】特表2013-518024(JP,A)
【文献】特開2012-180955(JP,A)
【文献】特開平10-141858(JP,A)
【文献】特開昭55-142571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 7/00 - 7/42
H01M 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に対して所定の角度傾斜させられた炉心管と、前記炉心管の中央部を覆う加熱室と、前記炉心管のうち前記加熱室から突き出した部分をそれぞれ支持することにより前記炉心管を回転可能とする複数のローラ装置とを備え、前記炉心管を外側から加熱することで、前記炉心管の入口に投入された粉体状被加熱物の熱処理及び移送を連続的に行い、熱処理された前記粉体状被加熱物を前記炉心管の出口から排出する炉心管外熱式粉体材料焼成装置であって、
超音波発振器と、前記超音波発振器と加熱室から前記炉心管の出口側へ突き出す前記炉心管の外管のうちの前記炉心管の出口と前記ローラ装置との間とに連結されてクランク軸状に曲げられた超音波伝動線材とを備え、前記炉心管の外管のうちの前記炉心管の出口と前記ローラ装置との間を超音波で励振する超音波励振装置と、
前記炉心管の回転軸線まわりに前記炉心管を所定角度範囲内で往復回転させる炉心管駆動装置とを、含む
ことを特徴とする炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項2】
前記炉心管は、円筒状の金属製外管と、前記外管内に嵌め入れられた円筒状のセラミック製内管とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項3】
前記内管は、前記回転軸線方向の一方の端部外周に雄ねじ部が形成され、他方の端部内周に雌ねじ部が形成された短円筒状の部分管が、前記雄ねじ部及び雌ねじ部の螺合により前記回転軸線方向に複数連結されて、円筒状に形成されたものである
ことを特徴とする請求項2に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項4】
前記炉心管は、円筒状の金属製外管と、前記外管内に嵌め着けられた半円筒状のセラミック製内管とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項5】
前記炉心管は、半円筒状の金属製外管と、前記外管の内側に固着された半円筒状のセラミック製内管とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項6】
前記半円筒状のセラミック製内管は、前記半円筒状の金属製外管の内側に貼り着けられた複数のセラミック製タイルから構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項7】
前記炉心管は、左右の一対の側壁と前記一対の側壁の下端を連結する平坦な底壁とを有する断面U字状の金属製外管と、前記外管の内側に固着された断面U字状のセラミック製内管とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項8】
前記断面U字状のセラミック製内管は、前記断面U字状の金属製外管の内側に貼り着けられた複数のセラミック製タイルから構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項9】
前記超音波励振装置は、超音波を発生する超音波発振器と、前記炉心管の外管に一端が溶接され、他端が前記超音波発振器に連結されて前記超音波発振器から出力された超音波を前記外管へ導く超音波伝動線材とを含む
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1に記載の炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法であって、
前記超音波励振装置によって前記炉心管の外管を超音波で励振する超音波励振工程と、
前記超音波励振装置によって前記炉心管の外管が超音波で励振されている状態で、前記炉心管の回転軸線まわりに前記炉心管を所定角度範囲内で往復回転させる炉心管往復回転工程とを、含む
ことを特徴とする粉体材料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状或いは部分円筒状の炉心管を備えた炉心管外熱式の粉体材料焼成装置および粉体材料製造方法に関し、特に、被加熱物の炉心管に対する付着を抑制して能率的な熱処理を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水平方向に対して僅かに傾斜させられた円筒状の炉心管を備え、その炉心管をその回転軸線まわりに連続回転させつつ外側から加熱することで、その炉心管内に投入された被加熱物の熱処理及び移送を行う炉心管外熱式のロータリーキルンが知られている。斯かる炉心管外熱式のロータリーキルンは、粒状(粉体状)や塊状の被加熱物を連続して均一に焼成できるという特長がある。
【0003】
本願出願人は、先に、上記炉心管外熱式のロータリーキルンの一形態として、上記炉心管を外管及びその内側に挿入された内管の二重構造とし、その内管をセラミック材料から構成する焼成装置を提案した。特許文献1に記載されたロータリーキルンがそれである。これによれば、炉心管の内管をセラミック材料で構成することに伴う耐スポーリング性を向上させ、被加熱物と炉心管との反応を抑制して好適な熱処理を可能とするとともに、その内管は、回転軸線方向の一方の端部外周に雄ねじ部が形成されると共に他方の端部内周に雌ねじ部が形成された円筒状の部分管が、その雄ねじ部及び雌ねじ部の螺合により軸心方向に複数連結されて構成されているので、内管を一体に構成された円筒状セラミック材料により構成する場合に比較して、内管を含む炉心管を大きく構成でき、処理能力が高く、実用的な粉体材料の焼成装置を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-117722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の焼成装置では、たとえばリチウム電池の電極(負極)材料のように、被加熱物が炉心管の内管の内壁面に付着し易い物性を有する粉体状被加熱物である場合には、炉心管の外側面に打撃を与えるたとえば電磁石式のノッカーが用いられる。しかし、電磁石式のノッカーによる打撃は、内管の壁面から粉体状被加熱物をある程度は脱落させることができるが、不十分であり、粉体状被加熱物を相互を分離することについては未解決であり、炉心管の構造に拘わらず、熱処理後の被加熱物には粉体相互が固着した団粒が混在して均一な粉体状熱処理後の被加熱物が得られない場合があった。
【0006】
また、二重構造の炉心管の内管が、円筒状の部分管がその雄ねじ部及び雌ねじ部の螺合により回転軸線方向に複数連結されている構造である場合には、相互に螺合された雄ねじ部及び雌ねじ部の根元の肉厚が小さい部分に応力が集中し易く、前記ノッカーによる雄ねじ部及び雌ねじ部の根元の応力割れの発生に影響する可能性もあった。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、粉体状被加熱物と炉心管の内壁面との間の付着を好適に解消できる炉心管外熱式の粉体材料焼成装置および粉体材料製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、炉心管の外管に超音波振動を加えつつ熱処理を行なうと、内管の壁面から被加熱物を脱落させることができるだけでなく、粉体状被加熱物を相互に分離することができ、熱処理後の被加熱物には均一な粒子からなる粉体状熱処理後の被加熱物が得られるという、事実を見いだした。本発明はこのような知見に基づいて為されたものである。
【0009】
第1発明の要旨とするところは、(a)水平方向に対して所定の角度傾斜させられた炉心管と、前記炉心管の中央部を覆う加熱室と、前記炉心管のうち前記加熱室から突き出した部分をそれぞれ支持することにより前記炉心管を回転可能とする複数のローラ装置とを備え、前記炉心管を外側から加熱することで、前記炉心管の入口に投入された粉体状被加熱物の熱処理及び移送を連続的に行い、熱処理された前記粉体状被加熱物を前記炉心管の出口から排出する炉心管外熱式粉体材料焼成装置であって、(b)超音波発振器と、前記超音波発振器と加熱室から前記炉心管の出口側へ突き出す前記炉心管の外管のうちの前記炉心管の出口と前記ローラ装置との間とに連結されてクランク軸状に曲げられた超音波伝動線材とを備え、前記炉心管の外管のうちの前記炉心管の出口と前記ローラ装置との間を超音波で励振する超音波励振装置と、(c)前記炉心管の回転軸線まわりに前記炉心管を所定角度範囲内で往復回転させる炉心管駆動装置とを、含むことにある。
【0010】
第2発明の要旨とするところは、前記炉心管は、円筒状の金属製外管と、前記外管内に嵌め入れられた円筒状のセラミック製内管とを有することにある。
【0011】
第3発明の要旨とするところは、前記内管は、前記回転軸線方向の一方の端部外周に雄ねじ部が形成され、他方の端部内周に雌ねじ部が形成された円筒状の部分管が、その雄ねじ部及び雌ねじ部の螺合により前記回転軸線方向に複数連結されて、円筒状に形成されたものである。
【0012】
第4発明の要旨とするところは、前記炉心管は、円筒状の金属製外管と、前記外管内に嵌め着けられた半円筒状のセラミック製内管とを有することにある。
【0013】
第5発明の要旨とするところは、前記炉心管は、半円筒状の金属製外管と、前記外管の内側に固着された半円筒状のセラミック製内管とを有することにある。
【0014】
第6発明の要旨とするところは、前記半円筒状のセラミック製内管は、前記半円筒状の金属製外管の内側に貼り着けられた複数のセラミック製タイルから構成されていることにある。
【0015】
第7発明の要旨とするところは、前記炉心管は、左右の一対の側壁と前記一対の側壁の下端を連結する平坦な底壁とを有する断面U字状の金属製外管と、前記外管の内側に固着された断面U字状のセラミック製内管とを有することにある。
【0016】
第8発明の要旨とするところは、前記断面U字状のセラミック製内管は、前記断面U字状の金属製外管の内側に貼り着けられた複数のセラミック製タイルから構成されていることにある。
【0017】
第9発明の要旨とするところは、前記超音波励振装置は、超音波を発生する超音波発振器と、前記炉心管の外管に一端が溶接され、他端が前記超音波発振器に連結されて前記超音波発振器から出力された超音波を前記外管へ導く超音波伝動線材とを含むことにある。
【0018】
第10発明の要旨とするところは、第1発明から第9発明のいずれか1の炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法であって、前記超音波励振装置によって前記炉心管の外管を超音波で励振する超音波励振工程と、前記超音波励振装置によって前記炉心管の外管が超音波で励振されている状態で、前記炉心管の回転軸線まわりに前記炉心管を所定角度範囲内で往復回転させる炉心管往復回転工程とを、含むことにある。
【発明の効果】
【0019】
第1発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、(b)超音波発振器と、前記超音波発振器と加熱室から前記炉心管の出口側へ突き出す前記炉心管の外管のうちの前記炉心管の出口と前記ローラ装置との間とに連結されてクランク軸状に曲げられた超音波伝動線材とを備え、前記炉心管の外管のうちの前記炉心管の出口と前記ローラ装置との間を超音波で励振する超音波励振装置と、(c)前記炉心管の回転軸線まわりに前記炉心管を所定角度範囲内で連続的に往復回転させる炉心管駆動装置とを、含むことから、ノッカーから炉心管に衝撃を加える場合に比較して、内管の内壁面から粉体状被加熱物を十分に脱落させることができるだけでなく、粉体状被加熱物が好適に相互に分離した均質な粉体状被加熱物が得られる。また、炉心管が所定角度範囲内で連続的に往復回転させられるので、炉心管が一方向に連続回転させられる場合に比較して、超音波駆動電源から炉心管に装着された超音波発振器に駆動電力を供給することが容易となる。
【0020】
第2発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、炉心管が、円筒状の金属製外管と、前記外管内に嵌め入れられた円筒状のセラミック製内管とを有するので、耐スポーリング性に優れ、被加熱物と炉心管との反応が抑制される。
【0021】
第3発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、前記内管は、前記回転軸線方向の一方の端部外周に雄ねじ部が形成され、他方の端部内周に雌ねじ部が形成された円筒状の部分管が、その雄ねじ部及び雌ねじ部の螺合により前記回転軸線方向に複数連結されて、長円筒状に構成されたものである。このため、粉体状の被加熱物の漏れが抑制されて十分な気密性及び耐スポーリング性が得られるとともに、大型の内管が作製可能となるので、被加熱物と炉心管との反応を抑制して高能率な熱処理を可能とする大型の外熱式ロータリーキルンを提供することができる。また、相互に螺合された雄ねじ部及び雌ねじ部の根元の肉厚が小さい部分に応力が集中し易い部分に対して、前記ノッカーによる衝撃的な振動が及ぶことがなくなり、それら雄ねじ部及び雌ねじ部の根元の応力割れの発生の可能性が解消される。
【0022】
第4発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、前記炉心管は、円筒状の金属製外管と、前記外管内に嵌め着けられた半円筒状のセラミック製内管とを有する。このように、外筒が円筒状の金属管から構成されるので、内管が半円筒状であっても所定の雰囲気たとえば非酸化性雰囲気で粉体を焼成できる。また、内管は、前記外管内に嵌め着けられた半円筒状のセラミック製内管から構成されるので、炉心管が軽量となるとともに内管が安価に得られる。
【0023】
第5発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、前記炉心管は、半円筒状の金属製外管と、前記外管の内側に固着された半円筒状のセラミック製内管とを有することにある。このようにすれば、炉心管は、半円筒状の金属製外管と半円筒状のセラミック製内管とから構成されているので、炉心管が軽量且つ安価となる。
【0024】
第6発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、前記半円筒状のセラミック製内管は、前記半円筒状の金属製外管の内側に貼り着けられた複数のセラミック製タイルから構成されていることにある。このようにすれば、半円筒状の金属製外管の内側に貼り着けられた複数のセラミック製タイルから構成されているので、内管が一層安価となる。
【0025】
第7発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、前記炉心管は、左右の一対の側壁と前記一対の側壁の下端を連結する平坦な底壁とを有する断面U字状の金属製外管と、前記外管の内側に固着された断面U字状のセラミック製内管とを有することにある。このようにすれば、内管が、左右の一対の側壁と前記一対の側壁の下端を連結する平坦な底壁とを有する断面U字状に構成されていることから、炉心管が回転軸線まわりに所定角度範囲内で連続的に往復回転させられると、粉状被加熱物が底壁を滑って一方の側壁に衝突することが繰り返されるので、粉状被加熱物同士が一層好適に分離され、一層均質なものとなる。
【0026】
第8発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、前記断面U字状のセラミック製内管は、前記断面U字状の金属製外管の内側に貼り着けられた複数のセラミック製タイルから構成されていることにある。このようにすれば、断面U字状のセラミック製内管は、前記断面U字状の金属製外管の内側に貼り着けられた複数のセラミック製タイルから構成されているので、一層安価となる。
【0027】
第9発明の炉心管外熱式粉体材料焼成装置によれば、前記超音波励振装置は、超音波を発生する超音波発振器と、前記炉心管の外管に一端が溶接され、他端が前記超音波発振器に連結されて前記超音波発振器から出力された超音波を前記外管へ導く超音波伝動線材とを含む。これにより、外管には、超音波発振器から超音波伝動線材を介して炉心管の外管に超音波が伝達されるので、ノッカーから衝撃を加える場合に比較して、内管の壁面から粉体状被加熱物を十分に脱落させることができるだけでなく、粉体状被加熱物が好適に相互に分離した均質な粉体状被加熱物が得られる。
【0028】
第10発明の要旨とするところは、第1発明から第9発明のいずれか1の炉心管外熱式粉体材料焼成装置を用いた粉体材料製造方法であって、前記超音波励振装置によって前記炉心管の外管が超音波で励振されている状態で、前記炉心管の回転軸線まわりに前記炉心管を所定角度範囲内で往復回転させる。これにより、ノッカーから炉心管に衝撃を加える場合に比較して、内管の壁面から粉体状被加熱物を十分に脱落させることができるだけでなく、粉体状被加熱物が好適に相互に分離した均質な粉体状被加熱物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例である炉心管外熱式粉体材料焼成装置の構成を説明する側面図である。
図2図1のII-II視断面図である。
図3図1のIII-III視断面図である。
図4図1の外熱式ロータリーキルンに備えられた炉心管の構成を詳しく説明するために、その回転軸線を含む平面で切断して示す視断面図である。
図5図1図4の炉心管の外筒に装着された超音波励振装置を示す図である。
図6図1の炉心管外熱式粉体材料焼成装置において、炉心管の往復回転作動を説明するタイムチャートである。
図7】本発明者が行なった搬送試験結果を示す図表である。
図8】本発明の他の実施例の炉心管の内壁を説明する斜視図である。
図9】本発明の他の実施例の炉心管を説明する斜視図である。
図10】本発明の他の実施例の炉心管を、一部を切り欠いて説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例
【0031】
(実施例1)
図1は、本発明の一実施例である炉心管外熱式粉体材料焼成装置10の構成を説明する側面図である。また、図2はそのII-II視断面図、図3はそのIII-III断面図である。図1に示すように、本実施例の炉心管外熱式粉体材料焼成装置10は、床面等に設置されたフレーム12、そのフレーム12上に設けられ、水平に対する傾斜角度が調整可能な台板14、その台板14上に設けられた原料供給装置16、熱処理装置18、及び製品排出装置20を備えて構成されている。この炉心管外熱式粉体材料焼成装置10は、後述するように水平方向に対して例えば1°程度の所定角度θfc(詳しくは後述の図4を参照)で傾斜させられる円筒状の炉心管34を備え、その炉心管34を回転軸線Cまわりに回転させつつ熱処理装置18により外側から加熱することで、その炉心管34内に投入された被加熱物の熱処理及び移送を行う加熱炉(回転円筒釜)であり、例えばリチウム電池の負電極材料、薄型ディスプレイパネル用蛍光体、ジルコンチタン酸鉛系の圧電体材料、及びチタン酸バリウム系の誘電体材料等の粉体材料の焼成に好適に用いられる。
【0032】
台板14は、例えば鋼板等により長手板状に構成されたものであり、その長手方向(炉心管34の回転軸線C方向)に係る被加熱物の移送方向行先(出口)側に設けられた支点部22において、フレーム12に対してその支点部22まわりの回動可能に支持されている。また、台板14は、その長手方向に係る被加熱物の移送方向手前(入口)側に設けられたねじ機構或いは油圧シリンダ等による昇降部24において、フレーム12に対する上下方向(鉛直方向)の移動可能(昇降可能)すなわちそのフレーム12との距離が調節可能に支持されている。この昇降部24により台板14がフレーム12に対して昇降させられ、その昇降部24におけるフレーム12と台板14との距離が調節されることで、その台板14が支点部22まわりに回動させられ、台板14の水平方向に対する傾斜角度延いては後述する図4に示す炉心管34の水平方向に対する傾斜角度θfcが調節(変更)できるようになっている。
【0033】
原料供給装置16は、台板14の長手方向に係る被加熱物の移送方向手前(入口)側に設けられたものであり、原料すなわち被加熱物を受け入れる供給ホッパ26と、その供給ホッパ26に供給された被加熱物を熱処理装置18へ送り込む投入フィーダ28とを、備えている。この投入フィーダ28は、モータ30と、そのモータ30により回転軸線Cまわりに回転駆動されるスクリュー装置32とを、備えており、そのスクリュー装置32におけるモータ30とは反対側の端部が熱処理装置18における炉心管34内に突き入れられている。そして、スクリュー装置32がモータ30により回転軸線Cまわりに回転させられることにより、供給ホッパ26に供給された粉体状の被加熱物が熱処理装置18に向けて順次連続的に移送され、その熱処理装置18に備えられた炉心管34内に投入されるようになっている。
【0034】
熱処理装置18は、両端部に設けられたローラ装置36a、36b(以下、特に区別しない場合には単にローラ装置36という)によりフレーム12に対して回線軸線Cまわりの回転(自転)可能に支持された円筒状の炉心管34と、その炉心管34の外側に設けられた加熱室38と、炉心管34をその回線軸線Cまわりに回転駆動するための炉心管駆動装置40とを、備えている。
【0035】
加熱室38は、例えば図1及び図3に示すように、炉心管34の外側に、その炉心管34における両端部を除く大方の部分を囲繞するように設けられた長手直方体状の筐体内に赤外線ヒータ等の加熱ヒータ39を備えたものであり、炉心管34は、その加熱室38に対して回転軸線Cまわりの相対回転(自転)可能とされている。また、炉心管駆動装置40は、例えば図1及び図2に示すように、モータ42と、そのモータ42の出力軸に取り付けられたスプロケット44と、炉心管34の外周側に同軸且つ相対回転不能に設けられたスプロケット46と、スプロケット44及び46の間に巻回されたチェーン48とを、備えて構成されている。そのように構成された炉心管駆動装置40では、モータ42の駆動によりそれらスプロケット44、46及びチェーン48を介して炉心管34がその回線軸線Cまわりに回転(自転)させられるようになっている。
【0036】
製品排出装置20は、台板14の長手方向に係る被加熱物の移送方向行先(出口)側に設けられたものであり、炉心管34における被加熱物の移送方向行先側の端部が突き入れられる開口が設けられると共に、その底部が漏斗状に構成されている。熱処理装置18において熱処理が施された被加熱物は、炉心管34の回転に伴う移送によって開口から製品排出装置20内に排出され、更にその底部に設けられた漏斗状の構成を介して下方に設置された製品受けタンク50内に排出されるようになっている。
【0037】
図4は、本実施例の炉心管外熱式粉体材料焼成装置10に備えられた炉心管34の構成を詳しく説明するために、その回転軸線Cを含む平面で切断して示す視断面図である。この図4に示すように、炉心管外熱式粉体材料焼成装置10に備えられた炉心管34は、円筒状の外管52と、その外管52の内側に挿入されて固定された円筒状の内管54とを、備えて構成されている。すなわち、本実施例の炉心管外熱式粉体材料焼成装置10に備えられた炉心管34は、外管52及びその内側に挿入された内管54の二重構造とされたものである。また、図4に示すように、内管54は、炉心管34の回転軸線C方向の一方の端部外周に雄ねじ部58が形成されると共に他方の端部内周に雌ねじ部60が形成された複数(例えば14個、図4では6個のみを図示)の短円筒状の部分管56a、56b、56c、・・・、56n(以下、特に区別しない場合には単に部分管56という)が、その内周側端面57が相互に当接するまでその雄ねじ部58及び雌ねじ部60の螺合により回転軸線C方向に連結されて構成されている。
【0038】
外管52は、例えばニッケル基合金、コバルト基合金、クロム基合金等の耐熱合金やたとえばSGPと称される配管用炭素鋼鋼管などの850~950℃の焼成温度に耐え得る耐熱合金から成り、例えば内径寸法500mmφ程度、肉厚20mm程度、長さ寸法5m程度の円筒状(管状)に構成されたものである。また、内管54は、例えばアルミナ(Al)を84~93重量%程度、シリカ(SiO)を0.06~8.5重量%程度、酸化マグネシウム(MgO)を0~15重量%程度含むセラミック材料から成り、例えば外径寸法500mmφ程度、肉厚20mm程度、長さ寸法5m程度の円筒状(管状)に構成されたものである。
【0039】
本実施例の炉心管34には、図5に示す超音波励振装置80が設けられている。超音波励振装置80は、たとえば25kHzから730kHzの範囲内に設定された所定周波数の超音波をたとえば5Wから150Wの出力で発生する超音波発振器82と、炉心管34の外管52に一端が溶接され、他端が超音波発振器82に連結されて超音波発振器82から出力された超音波を外管52へ導く超音波伝動線材84とから、構成されている。超音波発振器82は、たとえば、一対の本体82aおよび82bと、それら一対の本体82aおよび82b間に介在させられた圧電素子82cおよび電極82dの積層体とから構成される。超音波発振器82には、図1に示されるように、超音波発振器82に駆動電力を供給する超音波駆動電源86が可撓性の電線88を介して接続されている。
【0040】
以上のように構成された炉心管外熱式粉体材料焼成装置10では、昇降部24においてフレーム12と台板14との上下方向の距離が調節されることで、その台板14が例えば後述する図4に二点鎖線で示す水平方向に対して所定の傾斜角度θfc(例えば1°程度)傾斜させられた状態で、たとえばリチウム電池の電極(負極)材料のように、炉心管34の内管54の内壁面に付着し易い物性を有する粉体状被加熱物の熱処理が行われる。先ず、原料供給装置16の供給ホッパ26に供給された原料である被加熱物が、投入フィーダ28により熱処理装置18の炉心管34内に送り込まれ(投入工程)、その熱処理装置18において炉心管34が炉心管駆動装置40によりその回転軸線Cまわりにたとえば60度から160度程度の範囲内で予め定められた所定角度θrgで往復回転駆動させられることによって(炉心管往復回転工程)、その炉心管34内に投入された粉体状被加熱物の熱処理及び移送が行われ(搬送工程)、その粉体状被加熱物が炉心管34内を搬送させられる過程で、加熱室38により外側から加熱されることで被加熱物の熱処理が行なわれ(加熱工程)、上記炉心管34内に投入された被加熱物が炉心管34内で熱処理及び移送が行われる過程で、超音波励振装置80によって炉心管34の外管52が超音波で励振される(超音波励振工程)。そして、熱処理装置18において熱処理の施された製品である被加熱物が炉心管34から製品排出装置20内に排出され、更に製品受けタンク50へ排出される。
【0041】
以上のようにして、粉体状被加熱物の焼成等の熱処理が行われ、たとえばリチウム電池の負電極材料等の粉体材料が製造される。図6は、炉心管34が炉心管駆動装置40によりその回転軸線Cまわりに、たとえば60度から160度程度の範囲内で予め定められた所定角度θrg、たとえば90度(-45度から+45度)の角度で往復回転駆動させられる作動の一例を示すタイムチャートである。
【0042】
上述のように、本実施例の炉心管外熱式粉体材料焼成装置10によれば、炉心管34の外管52に連結され、炉心管34の外管52を超音波で励振する超音波励振装置80と、炉心管34の回転軸線Cまわりに炉心管34を所定角度θrg範囲内で連続的に往復回転させる炉心管駆動装置40とを、含むことから、たとえばノッカーから炉心管に衝撃を加える場合に比較して、内管54の内壁面から粉体状被加熱物を十分に脱落させることができるだけでなく、粉体状被加熱物が好適に相互に分離した、角のとれた粒子からなる流動性の高い均質な粉体状被加熱物が得られる。また、炉心管34が所定角度θrg範囲内で連続的に往復回転させられるので、炉心管34が一方向に連続回転させられる場合に比較して、超音波駆動電源86から炉心管34に装着された超音波発振器82に駆動電力を供給することが容易となる。
【0043】
また、本実施例の炉心管外熱式粉体材料焼成装置10によれば、炉心管34が、円筒状の金属製外管52と、外管52内に嵌め入れられた円筒状のセラミック製内管54とを有するので、耐スポーリング性に優れ、被加熱物と炉心管34との反応が抑制される。
【0044】
また、本実施例の炉心管外熱式粉体材料焼成装置10によれば、内管54は、回転軸線C方向の一方の端部外周に雄ねじ部58が形成されると共に他方の端部内周に雌ねじ部60が形成された円筒状の部分管56aが、その雄ねじ部58及び雌ねじ部60の螺合により回転軸線方向C方向に複数連結されて、長円筒状に構成されたものである。このため、粉体状の被加熱物の漏れが抑制されて十分な気密性及び耐スポーリング性が得られるとともに、大型の内管を作製可能となるので、被加熱物と炉心管34との反応を抑制して高能率な熱処理を可能とする大型の外熱式ロータリーキルンすなわち炉心管外熱式粉体材料焼成装置10を提供することができる。また、相互に螺合された雄ねじ部58及び雌ねじ部60の根元の肉厚が小さい部分に応力が集中し易い部分に対して、前記ノッカーによる衝撃的な振動が及ぶことがなくなり、それら雄ねじ部58及び雌ねじ部60の根元の応力割れの発生の可能性が解消される。
【0045】
また、本実施例の炉心管外熱式粉体材料焼成装置10によれば、超音波励振装置80は、超音波を発生する超音波発振器82と、炉心管34の外管52に一端が溶接され、他端が超音波発振器82に連結されて超音波発振器82から出力された超音波を外管52へ導く超音波伝動線材84とを含む。これにより、外管52には、超音波発振器82から超音波伝動線材84を介して炉心管34の外管52に超音波が伝達されるので、ノッカーからに衝撃を加える場合に比較して、内管54の内壁面から粉体状被加熱物を十分に脱落させることができるだけでなく、粉体状被加熱物が好適に相互に分離した均質な粉体状被加熱物が得られる。
【0046】
また、本実施例の炉心管外熱式粉体材料焼成装置10を用いた粉体状被加熱物の熱処理方法によれば、超音波励振装置80によって炉心管34の外管52が超音波で励振されている状態で、炉心管34の回転軸線Cまわりに炉心管34を所定角度θrg範囲内で往復回転させる。これにより、ノッカーから炉心管に衝撃を加える場合に比較して、内管54の内壁面から粉体状被加熱物を十分に脱落させることができるだけでなく、粉体状被加熱物が好適に相互に分離した均質な粉体状被加熱物が得られる。
【0047】
本発明者は、種々の粉体について、炉心管に対する超音波による励振基づく搬送効果の試験を以下の焼成装置を用いて行なった。図7は、その搬送試験の結果を示している。図7の評価において、○印は炉心管内への粉の付着が略零であることを示す。△印は炉心管内に対して粉の軽い付着を示す。×印は炉心管内への粉の付着が著しいことを示す。
(搬送試験に用いた焼成装置)
炉体寸法 :長さ600mm×幅280mm×高さ300mm
炉体を貫通する炉心管 :長さ1105mm×内径102mmφ
炉心管の傾斜角度 :1度
炉心管の材質 :ステンレススチール
炉心管の駆動方法 :スイング運転(往復回転駆動)
超音波振動機 :32.8kHz-3W
電磁振動機 :1.3~1.5×10m/s(株式会社アカシ製
の3次元振動計AVT-300DZによる測定)
水分測定装置 :株式会社エ-・アンド・アイ MX-50型
【0048】
図7に示すように、予め内面を水で濡らした炉心管に対して12%を超える水分を含ませた小麦粉では、超音波振動機を用いた場合および振動なしの場合はいずれも×印の評価であった。しかし、それを除いて、珪砂、小麦粉、片栗粉、リチウム電池負電極材料では、いずれも超音波振動機を用いた場合には○印であって、電磁振動機による加振或いは振動なしの場合よりも高い搬送性がえられた。特に、リチウム電池負電極材料では、超音波振動機を用いた場合の搬送ロスは0.78%であったのに対して、電磁振動機を用いた場合の搬送ロスは16.38%、振動なしの場合の搬送ロスは83.38%であった。
【0049】
(実施例2)
図8は、炉心管34に適用される他の実施例の内管90を示す斜視図である。内管90は、前述の内管54と同じ材質から構成され、回転軸線Cにおいて内管54部と同じ長さと、回転軸線Cまわりに約180度の円弧状である断面とを有する部分円筒状を成している。本実施例の内管90によれば、長手方向において継ぎ目がないので、継ぎ目からの粉体状被加熱物の漏れが解消される。また、この内管90は、円筒状に構成される場合に比較して製造が容易となり、安価となる。また、外筒52が円筒状の金属管から構成されているので、内管90が半円筒状であっても所定の雰囲気たとえば非酸化性雰囲気で粉体状被加熱物を焼成できる。
【0050】
(実施例3)
図9は、本発明の他の実施例の炉心管92の構成例を示す斜視図である。本実施例の炉心管92の外管94は、前述の外管52と同じ材質から構成され、回転軸線Cにおいて前述の炉心管34と同じ長さと、回転軸線Cまわりに約180度の円弧状である断面とを有する部分円筒状を成している。本実施例の炉心管92の内管96は、外管94の内壁面に貼り着けられた複数のタイル98から部分円筒状に構成されている。このタイル98は、前述の内管54と同じセラミック製である。本実施例の炉心管94によれば、外管94および内管96が部分円筒状であるので軽量となる。また、内管96が、複数のタイル98から構成されているので、円筒状或いは分円筒状に構成される場合に比較して製造が容易となり、一層安価となる。
【0051】
(実施例4)
図10は、本発明の他の実施例の炉心管100の構成例を示す斜視図である。本実施例の炉心管100は、左右の一対の側壁102と一対の側壁102の下端を連結する平坦な底壁104とを有する断面U字状に構成されている。炉心管100は、金属製の外管106と、外管106の内側に固着された断面U字状のセラミック製の内管108とを有することにある。外管102は、前述の外管52と同じ材質および長さで構成されている。また、内管108は、外管106の内壁面に貼り着けられた複数のタイル110から断面U字状に構成されている。本実施例の炉心管100によれば、炉心管100は、左右の一対の側壁102と、一対の側壁102の下端を連結する平坦な底壁104とを有する断面U字状に構成されているので、炉心管100が回転軸線Cまわりに所定角度θrg範囲内で連続的に往復回転させられると、粉状被加熱物が底壁104を幅方向に滑って一方の側壁102或いは他方の側壁102に衝突することが繰り返されるので、粉状被加熱物同士が一層好適に分離され、一層均質なものとなる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0053】
例えば、前述の実施例において、前記加熱室38は、赤外線ヒータ等の加熱装置により前記被加熱物に対する熱処理を行うものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばアーク炉、抵抗炉、或いは誘導炉等の電気炉であってもよい。すなわち、被加熱物に対する熱処理に十分な加熱を行い得る加熱装置であればその態様は問わない。
【0054】
また、前述の実施例では、例えばリチウム電池材料等、専ら粉体材料の熱処理に用いられる外熱式ロータリーキルン10について説明したが、被加熱物の粒子の大きさは特に限定されるものではなく、比較的粗い粒体(塊状の材料)に対する熱処理に本発明の外熱式ロータリーキルンが用いられるものであってもよい。
【0055】
また、前述の実施例の炉心管34、94、100の内管54、90、98、108はセラミック製であったが、粉体状被加熱物の材質によっては、たとえばグラファイトなどの他の材質から構成されていてもよい。
【0056】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0057】
10:炉心管外熱式粉体材料焼成装置
34、94、100:炉心管
40:炉心管駆動装置
52、96、106:外管
54、90、98、108:内管
56:部分管
58:雄ねじ部
60:雌ねじ部
80:超音波励振装置
82:超音波発振器
84:超音波伝動線材
86:超音波駆動電源
88:電線
102:側壁
104:底壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10