IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電力需要管理装置および方法 図1
  • 特許-電力需要管理装置および方法 図2
  • 特許-電力需要管理装置および方法 図3
  • 特許-電力需要管理装置および方法 図4
  • 特許-電力需要管理装置および方法 図5
  • 特許-電力需要管理装置および方法 図6
  • 特許-電力需要管理装置および方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】電力需要管理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20220712BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J13/00 311T
H02J13/00 301J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018104356
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019213250
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 瑞
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-062075(JP,A)
【文献】特開2016-217598(JP,A)
【文献】特開2017-070131(JP,A)
【文献】特開2012-165513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0281663(US,A1)
【文献】中村 瑞,水谷 佳奈,ディマンドリスポンスシステムの開発とバーチャルパワープラント構築実証事業への適用,azbil Technical Review,2018年04月01日,2018年4月号,p.50-55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
G06Q30/00-30/08
G06Q50/00-50/20
G06Q50/26-99/00
G16Z99/00
H02J3/00-5/00
H02J13/00
H03J9/00-9/06
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力抑制の要請の対象となる複数の需要家の情報を予め記憶するように構成された需要家情報記憶部と、
ユーザによって選択された需要家の選択された時間帯を、この需要家の電力削減予定時間帯として設定するように構成された時間帯設定部と、
前記ユーザによって選択された需要家の前記電力削減予定時間帯の情報を、需要家を選択する設定画面の第1表示領域に表示するように構成された時間帯表示部と、
前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減予定量を前記電力削減予定時間帯毎に設定するように構成された削減予定量設定部と、
全ての需要家の設定済みの電力削減予定量の総和の情報を前記電力削減予定時間帯毎に前記設定画面の第2表示領域に表示し、前記削減予定量設定部によって新たに電力削減予定量が設定されたときに、該当する電力削減予定時間帯の電力削減予定量の総和が新たに設定された電力削減予定量の分だけ増加するように前記第2表示領域の表示を更新するように構成された削減予定量表示部と
前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断した場合に、前記電力削減予定時間帯および前記電力削減予定量の設定を禁止するように構成された設定禁止部とを備え
前記需要家情報記憶部は、各需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量と単位時間当たりの電力削減可能量の情報を少なくとも記憶し、
前記削減予定量設定部は、前記電力削減予定量の設定以前に、前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減暫定量を前記ユーザによって選択された時間帯毎に算出し、
前記設定禁止部は、前記ユーザによって選択された需要家の設定済みの電力削減予定量の総和に、前記削減予定量設定部によって算出された電力削減暫定量を加えた値が、この需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量を超える場合に、前記電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断し、
前記削減予定量設定部は、前記電力削減予定時間帯の設定が可能な場合に、前記電力削減暫定量を、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減予定量として設定することを特徴とする電力需要管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力需要管理装置において、
前記削減予定量表示部は、予め定められた必要な電力削減量の情報を、前記電力削減予定量の総和の情報と重ねて表示することを特徴とする電力需要管理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の電力需要管理装置において、
前記時間帯表示部は、需要家毎の設定済みの前記電力削減予定時間帯を時間軸に沿って前記第1表示領域に表示し、
前記削減予定量表示部は、横軸が前記第1表示領域の時間軸と共通で、縦軸が電力であるグラフにより、全ての需要家の設定済みの電力削減予定量の総和を前記電力削減予定時間帯毎に前記第2表示領域に表示することを特徴とする電力需要管理装置。
【請求項4】
電力抑制の要請の対象となる複数の需要家の設定済みの電力削減予定時間帯の情報を、需要家を選択する設定画面の第1表示領域に表示する第1のステップと、
全ての需要家の設定済みの電力削減予定量の総和の情報を前記電力削減予定時間帯毎に前記設定画面の第2表示領域に表示する第2のステップと、
ユーザによって選択された需要家の選択された時間帯を、この需要家の電力削減予定時間帯として設定する第3のステップと、
この第3のステップによって新たに電力削減予定時間帯が設定されたときに、前記第1表示領域の表示を更新する第4のステップと、
各需要家の情報を予め記憶する需要家情報記憶部を参照し、この需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減予定量を前記電力削減予定時間帯毎に設定する第5のステップと、
この第5のステップによって新たに電力削減予定量が設定されたときに、該当する電力削減予定時間帯の電力削減予定量の総和が新たに設定された電力削減予定量の分だけ増加するように前記第2表示領域の表示を更新する第6のステップと
前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断した場合に、前記電力削減予定時間帯および前記電力削減予定量の設定を禁止する第7のステップとを含み、
前記需要家情報記憶部は、各需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量と単位時間当たりの電力削減可能量の情報を少なくとも記憶し、
前記第5のステップは、前記電力削減予定量の設定以前に、前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減暫定量を前記ユーザによって選択された時間帯毎に算出するステップを含み、
前記第7のステップは、前記ユーザによって選択された需要家の設定済みの電力削減予定量の総和に、前記第5のステップで算出された電力削減暫定量を加えた値が、この需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量を超える場合に、前記電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断するステップを含み、
前記第5のステップは、前記電力削減予定時間帯の設定が可能な場合に、前記電力削減暫定量を、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減予定量として設定するステップを含むことを特徴とする電力需要管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家の電力需要を管理する技術に係り、特に電力抑制の要請の対象となる需要家を選択・設定する電力需要管理装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力を消費する装置の稼働が集中する等の理由で、消費電力量が一時的に上昇し、電力の供給が逼迫した状況になると、電力の供給量が不足する状況になることを避けるために、電力供給側の主体から、消費電力量の調整を求めるデマンド制御の要求(消費電力量の調整要求)を行うことが提案されている(特許文献1参照)。以下、特許文献1に開示されているように、電力供給側からの要請に応じて需要家側が電力の使用を抑制するよう電力消費パターンを変化させることを、デマンドレスポンスとする。
【0003】
デマンドレスポンス(DR)は、各電力会社においても、通常の容量確保の手段として利用され始めている。現状では、各需要家に対して最長3時間の節電制御の要請がなされるが、ビル(需要家)の節電制御をできるだけ短い時間で終えるようにしないと、ビルの居住者からのクレームに繋がってしまう。そこで、より多くの需要家を募るため、電力会社から要請されたデマンドレスポンスの時間帯を複数の時間帯に分割し、分割した時間帯ごとに節電制御要請相手の需要家を切り替えることにより、複数の需要家で分担して節電制御するリレーディスパッチと呼ばれる方式が採用されることがある。
【0004】
図6はリレーディスパッチの1例を説明する図である。ここでは、需要家A、需要家B、需要家Cに節電要請がなされる例を示している。図7(A)は電力会社と需要家との間で電力需要調整を行うアグリゲータ事業者のオペレータが設定するリレーディスパッチ設定の1例を示す図、図7(B)は時間帯別削減量の1例を示す図である。図7(A)、図7(B)の例では、15時から16時、および17時から18時の時間帯に需要家Aに対して200kWの節電を要請し、16時から17時の時間帯に需要家B、需要家Cに対して100kWの節電を要請する設定になっていることが分かる。
【0005】
特許文献1の例では、各需要家が将来の1週間分のデマンドレスポンス予定情報を入力してアグリゲータ事業者に予定を報告するようになっている。つまり、需要家ごとの電力削減予定量が、それぞれの日の時間帯ごとに予め報告される。
【0006】
一方、需要家とアグリゲータ事業者との間で、「日中の特定の時間帯(例えば12時から18時)のどこかで最大400kW/1日」、というような契約が締結されることもある。このようにデマンドレスポンスの時間帯の大枠が決められているだけで詳細な時間帯設定が契約で定められていない場合、アグリゲータ事業者が複数の需要家について節電要請する時間帯を個別に設定する必要があるが、設定作業が煩雑になるため、設定の誤りが発生する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開WO2016/186081
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、リレーディスパッチ設定の誤りを低減することができる電力需要管理装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電力需要管理装置は、電力抑制の要請の対象となる複数の需要家の情報を予め記憶するように構成された需要家情報記憶部と、ユーザによって選択された需要家の選択された時間帯を、この需要家の電力削減予定時間帯として設定するように構成された時間帯設定部と、前記ユーザによって選択された需要家の前記電力削減予定時間帯の情報を、需要家を選択する設定画面の第1表示領域に表示するように構成された時間帯表示部と、前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減予定量を前記電力削減予定時間帯毎に設定するように構成された削減予定量設定部と、全ての需要家の設定済みの電力削減予定量の総和の情報を前記電力削減予定時間帯毎に前記設定画面の第2表示領域に表示し、前記削減予定量設定部によって新たに電力削減予定量が設定されたときに、該当する電力削減予定時間帯の電力削減予定量の総和が新たに設定された電力削減予定量の分だけ増加するように前記第2表示領域の表示を更新するように構成された削減予定量表示部と、前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断した場合に、前記電力削減予定時間帯および前記電力削減予定量の設定を禁止するように構成された設定禁止部とを備え、前記需要家情報記憶部は、各需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量と単位時間当たりの電力削減可能量の情報を少なくとも記憶し、前記削減予定量設定部は、前記電力削減予定量の設定以前に、前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減暫定量を前記ユーザによって選択された時間帯毎に算出し、前記設定禁止部は、前記ユーザによって選択された需要家の設定済みの電力削減予定量の総和に、前記削減予定量設定部によって算出された電力削減暫定量を加えた値が、この需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量を超える場合に、前記電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断し、前記削減予定量設定部は、前記電力削減予定時間帯の設定が可能な場合に、前記電力削減暫定量を、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減予定量として設定することを特徴とするものである。
また、本発明の電力需要管理装置の1構成例において、前記削減予定量表示部は、予め定められた必要な電力削減量の情報を、前記電力削減予定量の総和の情報と重ねて表示することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の電力需要管理装置の1構成例において、前記時間帯表示部は、需要家毎の設定済みの前記電力削減予定時間帯を時間軸に沿って前記第1表示領域に表示し、前記削減予定量表示部は、横軸が前記第1表示領域の時間軸と共通で、縦軸が電力であるグラフにより、全ての需要家の設定済みの電力削減予定量の総和を前記電力削減予定時間帯毎に前記第2表示領域に表示することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の電力需要管理方法は、電力抑制の要請の対象となる複数の需要家の設定済みの電力削減予定時間帯の情報を、需要家を選択する設定画面の第1表示領域に表示する第1のステップと、全ての需要家の設定済みの電力削減予定量の総和の情報を前記電力削減予定時間帯毎に前記設定画面の第2表示領域に表示する第2のステップと、ユーザによって選択された需要家の選択された時間帯を、この需要家の電力削減予定時間帯として設定する第3のステップと、この第3のステップによって新たに電力削減予定時間帯が設定されたときに、前記第1表示領域の表示を更新する第4のステップと、各需要家の情報を予め記憶する需要家情報記憶部を参照し、この需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減予定量を前記電力削減予定時間帯毎に設定する第5のステップと、この第5のステップによって新たに電力削減予定量が設定されたときに、該当する電力削減予定時間帯の電力削減予定量の総和が新たに設定された電力削減予定量の分だけ増加するように前記第2表示領域の表示を更新する第6のステップと、前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断した場合に、前記電力削減予定時間帯および前記電力削減予定量の設定を禁止する第7のステップとを含み、前記需要家情報記憶部は、各需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量と単位時間当たりの電力削減可能量の情報を少なくとも記憶し、前記第5のステップは、前記電力削減予定量の設定以前に、前記需要家情報記憶部に記憶されている情報を基に、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減暫定量を前記ユーザによって選択された時間帯毎に算出するステップを含み、前記第7のステップは、前記ユーザによって選択された需要家の設定済みの電力削減予定量の総和に、前記第5のステップで算出された電力削減暫定量を加えた値が、この需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量を超える場合に、前記電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断するステップを含み、前記第5のステップは、前記電力削減予定時間帯の設定が可能な場合に、前記電力削減暫定量を、前記ユーザによって選択された需要家の電力削減予定量として設定するステップを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各需要家の電力抑制時間を短くスケジューリング可能であり、設定操作と操作結果の確認が視覚的に可能な設定画面を提供することで、リレーディスパッチ設定の誤りを低減することが可能となる。また、本発明によれば、リレーディスパッチ設定を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施例に係る電力需要管理装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施例に係る電力需要管理装置のリレーディスパッチ設定時の動作を説明するフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施例に係る電力需要管理装置のリレーディスパッチ設定時のリレーディスパッチ設定画面の1例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施例に係る電力需要管理装置のリレーディスパッチ設定時のリレーディスパッチ設定画面の1例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施例に係る電力需要管理装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
図6図6は、リレーディスパッチの1例を説明する図である。
図7図7は、リレーディスパッチ設定および時間帯別削減量の1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係る電力需要管理装置の構成を示すブロック図である。電力需要管理装置1は、需要家情報記憶部2と、時間帯表示部3と、削減予定量表示部4と、時間帯設定部5と、設定記憶部6と、削減予定量設定部7と、設定禁止部8と、設定禁止表示部9と、要請入力部10と、節電要請部11と、表示装置12と、入力装置13とを備えている。この電力需要管理装置1は、例えばアグリゲータ事業者の管理センターに設置される。
【0015】
図2は本実施例の電力需要管理装置1のリレーディスパッチ設定時の動作を説明するフローチャートである。
需要家情報記憶部2には、1日当たりの最大の電力削減可能量ERmaxの情報と、単位時間(1時間)当たりの電力削減可能量ERtの情報と、電力削減可能時間帯の情報とが、アグリゲータ事業者が管理する需要家毎に予め記憶されている。例えば、需要家Aについて、「日中の特定の時間帯(例えば12時から18時)のどこかで最大XXX[kW/日]の削減が可能」という契約がされていたとする。そして、需要家Aは1時間当たりYYY[kW]の削減が可能であるとすると、12時から18時の時間帯のどこかでERmax/ERt=XXX/YYY[時間]の削減までは可能、ということになる。
【0016】
リレーディスパッチ設定時、電力需要管理装置1の時間帯表示部3は、各需要家の設定済みの電力削減予定時間帯を示す第1表示領域121を表示装置12のリレーディスパッチ設定画面120に図3のように表示する(図2ステップS1)。第1表示領域121には、需要家毎の設定済みの電力削減予定時間帯が時間軸に沿って表示される。具体的には、30分単位の時間帯を表す枡目122が、需要家ごとに表示される。ここでは、各需要家の電力削減予定時間帯が設定されていないため、全ての枡目122が、未設定を示す白地となっている。
【0017】
なお、本実施例における電力削減予定時間は、電力抑制開始時からの経過時間を示している。電力削減予定時間が抑制開始時からの経過時間となっている理由は、本実施例のリレーディスパッチ設定が電力抑制の開始前に予め需要家を選択しておく設定作業となっているからである。電力抑制の継続時間は予め契約で決まっているが、電力会社から何時に電力抑制の要請がくるかは、当日の電力会社の需給バランスで決まる。したがって、リレーディスパッチ設定を行うユーザ(オペレータ)は、電力会社から何時に電力抑制の要請がくるかを事前に知ることはできない。このように、本実施例における電力削減予定時間(図3の例の0時から3時)は、電力抑制開始時からの経過時間を示している。図3の例では、電力抑制開始から3時間のスケジュールを示す画面となっているが、3時間以上のスケジュールを設定できるようになっていてもよいことは言うまでもない。
【0018】
一方、電力需要管理装置1の削減予定量表示部4は、全ての需要家の設定済みの電力削減予定量の総和を時間帯毎(電力抑制開始時からの経過時間帯毎)にグラフで示す第2表示領域123を表示装置12のリレーディスパッチ設定画面120に図3のように表示する(図2ステップS2)。このグラフは、横軸が第1表示領域121の時間軸と共通で、縦軸が電力となっている。また、削減予定量表示部4は、第2表示領域123のグラフ上に重ねるように、必要な電力削減量NERを線124(例えば赤色の線)によって表示する(ステップS2)。この必要な電力削減量NERは、例えば電力会社からの要請によって予め定められている。図3の例では、各需要家の電力削減予定量が設定されておらず、電力削減予定量の総和は各時間帯において0である。
【0019】
電力需要管理装置1のユーザ(オペレータ)は、例えばマウス等の入力装置13を操作して、リレーディスパッチ設定画面120の第1表示領域121に表示された時間帯の枡目122のうち、リレーディスパッチ設定したい需要家の所望の時間帯の枡目122をクリックする。
【0020】
電力需要管理装置1の削減予定量設定部7は、上記のような入力装置13による選択操作が行われると(図2ステップS3においてYES)、ユーザによって選択された需要家の単位時間(1時間)当たりの電力削減可能量ERtの情報を需要家情報記憶部2から取得して、この電力削減可能量ERtを基に、当該需要家の電力削減暫定量をユーザによって選択された時間帯毎に算出する(図2ステップS4)。
【0021】
上記の例では、30分単位で電力削減予定時間帯を設定可能なので、0時から0時30分の時間帯と0時30分から1時の時間帯とがユーザによって選択されたとすれば、これら30分単位の時間帯における電力削減暫定量はERt/2である。
【0022】
電力需要管理装置1の設定禁止部8は、上記のような入力装置13による選択操作が行われたときに(ステップS3においてYES)、電力削減予定時間帯の設定が可能かどうかを判断する(図2ステップS5)。具体的には、設定禁止部8は、ユーザによって選択された需要家の1日当たりの最大の電力削減可能量ERmaxの情報を需要家情報記憶部2から取得すると共に、当該需要家の設定済みの電力削減予定量SERの情報を設定記憶部6から取得して、当該需要家の設定済みの電力削減予定量SERの総和に、削減予定量設定部7によって算出された電力削減暫定量を加えた値が、当該需要家の電力削減可能量ERmax以下であれば、電力削減予定時間帯の設定が可能と判断する。
【0023】
電力需要管理装置1の時間帯設定部5は、電力削減予定時間帯の設定が可能と判断された場合(ステップS5においてYES)、ユーザによって選択された需要家の選択された時間帯を、当該需要家の電力削減予定時間帯として設定する(図2ステップS6)。この選択された需要家と電力削減予定時間帯の情報は、設定記憶部6に記憶される。
【0024】
電力需要管理装置1の時間帯表示部3は、ステップS6で電力削減予定時間帯が設定されると、第1表示領域121を更新する(図2ステップS7)。具体的には、時間帯表示部3は、ユーザによって選択された需要家の電力削減予定時間帯に対応する枡目122の表示色を変更することで、選択された需要家の電力削減予定時間帯の設定が完了したことをユーザに知らせる。
【0025】
次に、電力需要管理装置1の削減予定量設定部7は、電力削減予定時間帯の設定が可能と判断された場合(ステップS5においてYES)、ステップS4で算出した電力削減暫定量を、ユーザによって選択された需要家の電力削減予定時間帯における電力削減予定量SERとして確定する(図2ステップS8)。この電力削減予定量SERの情報は、設定記憶部6に記憶される。
【0026】
電力需要管理装置1の削減予定量表示部4は、ステップS8で電力削減予定量SERが確定すると、第2表示領域123を更新する(図2ステップS9)。具体的には、削減予定量表示部4は、ステップS6で設定された電力削減予定時間帯における全ての需要家の電力削減予定量の総和が、ステップS8で決定された電力削減予定量SERの分だけ増加するように、第2表示領域123のグラフを更新する。
【0027】
第1表示領域121と第2表示領域123とが更新された後のリレーディスパッチ設定画面120の例を図4に示す。図4の例では、需要家Aの0時から0時30分と0時30分から1時の時間帯と、需要家Bの1時から1時30分と1時30分から2時と2時から2時30分の時間帯と、需要家Cの2時30分から3時の時間帯とが電力削減予定時間帯として設定されたことにより、第1表示領域121の対応する枡目122の表示色が変更されると共に、これら電力削減予定時間帯における電力削減予定量の総和が、ステップS7で決定された電力削減予定量SERの分だけ増加するようにグラフ125が更新されている。
【0028】
こうして、ユーザは、リレーディスパッチ設定画面120を見ながら、30分単位の各時間帯における電力削減予定量の総和が必要な電力削減量NER以上となるように、電力抑制の要請の対象となる需要家と電力削減予定時間帯の選択を繰り返し行うようにすればよい。
【0029】
次に、電力需要管理装置1の設定禁止部8は、上記のような入力装置13による選択操作が行われたときに(ステップS3においてYES)、ユーザによって選択された需要家の設定済みの電力削減予定量SERの総和に、削減予定量設定部7によって算出された電力削減暫定量を加えた値が、当該需要家の電力削減可能量ERmaxを超える場合、電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断し(ステップS5においてNO)、時間帯設定部5に対して電力削減予定時間帯の設定が不可能であることを通知する(図2ステップS10)。
【0030】
電力需要管理装置1の設定禁止表示部9は、電力削減予定時間帯の設定が不可能と判断された場合、電力削減予定時間帯の設定が不可能である旨をユーザに知らせるメッセージ等をリレーディスパッチ設定画面120に表示する(図2ステップS11)。こうして、電力削減予定時間帯の設定が不可と判断された場合には、電力削減予定時間帯および電力削減予定量SERの設定が禁止され、ステップS3に戻る。
電力需要管理装置1は、ユーザがリレーディスパッチ設定を終えるまで(図2ステップS12においてYES)、以上のような動作を行う。
【0031】
以上のようなリレーディスパッチ設定の後に、電力需要管理装置1の要請入力部10が電力会社から電力抑制の要請を受け付けると、電力需要管理装置1の節電要請部11は、電力会社からの要請の内容と設定記憶部6に記憶されているリレーディスパッチ設定の内容に基づいて、需要家への電力抑制の要請の内容を決定し、決定した内容を需要家に通知する。電力会社からの電力抑制の要請および需要家への電力抑制の要請には、例えば電力抑制開始時間、電力抑制継続時間、電力削減量等の内容が含まれている。
【0032】
なお、需要家への電力抑制の要請の内容を決定するためには、リレーディスパッチ設定で事前に設定された需要家毎の電力削減予定時間を実際の当日の時刻に変換して、電力抑制のスケジュールを作成する必要があるが、このようなスケジュールの作成は節電要請部11が自動的に行ってもよいし、オペレータが手動で行ってもよい。
【0033】
こうして、本実施例では、必要な電力削減量NERを守りつつ、各需要家の電力抑制時間を短くスケジューリング可能であり、設定操作と操作結果の確認が視覚的に可能なリレーディスパッチ設定画面120を提供することで、リレーディスパッチ設定の誤りを低減することが可能となる。
【0034】
本実施例で説明した電力需要管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図5に示す。コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インターフェース装置(以下、I/Fと略する)202とを備えている。I/F202には、表示装置12と入力装置13とが接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明の電力需要管理方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、電力抑制の要請の対象となる需要家を事前に選択・設定する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…電力需要管理装置、2…需要家情報記憶部、3…時間帯表示部、4…削減予定量表示部、5…時間帯設定部、6…設定記憶部、7…削減予定量設定部、8…設定禁止部、9…設定禁止表示部、10…要請入力部、11…節電要請部、12…表示装置、13…入力装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7