(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】タクシーシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2018126080
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼森 徹示
(72)【発明者】
【氏名】家志 千尋
(72)【発明者】
【氏名】南 良樹
(72)【発明者】
【氏名】大竹 茉希
(72)【発明者】
【氏名】松下 真大
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-162567(JP,A)
【文献】特開2010-117965(JP,A)
【文献】特開2014-130552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシー車両に搭載された車載器と、
前記タクシー車両の運行を管理する管理サーバと、
前記管理サーバと通信可能な携帯端末と、
を備えるタクシーシステムであって、
前記携帯端末は、
タクシー乗り場における待ち人数の入力を受け付ける入力部と、
当該携帯端末の位置情報および入力された待ち人数を前記管理サーバに送信する送信部と、
前記管理サーバから送信された予測待ち時間を受信する受信部と、
受信した前記予測待ち時間を表示する表示部と、
を有し、
前記車載器は、
前記タクシー車両の位置情報および運行状態情報を前記管理サーバに送信する送信部を有し、
前記管理サーバは、
前記携帯端末および前記車載器との通信を行う通信部と、
前記通信部が前記携帯端末から受信した前記位置情報および前記待ち人数、ならびに、前記通信部が前記車載器から受信した前記位置情報および前記運行状態情報に基づいて、前記予測待ち時間を算出する算出部と、を有し、
前記通信部は、算出した前記予測待ち時間を前記携帯端末へ送信
し、
前記管理サーバは、複数のタクシー乗り場への配車を含む複数のタクシー車両の運行を管理し、
前記算出部は、
前記複数のタクシー車両のそれぞれについて、当該タクシー車両の現在位置から、配車の対象となり得る1又は複数の対象タクシー乗り場を検出し、前記現在位置から前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間を算出し、
複数の前記携帯端末から前記通信部にて受信した、前記対象タクシー乗り場のそれぞれにおける待ち人数と、前記複数のタクシー車両のそれぞれについて算出した、前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間と、を参照して、最短予測到達時間のタクシー車両を、該当する対象タクシー乗り場に割り当てる配車指示を作成し、
前記通信部は、作成された前記配車指示を送信し、
前記算出部は、
前記タクシー車両が目的地への賃走中の場合、前記現在位置から前記目的地までの第一予測到達時間と前記目的地から複数の前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの第二予測到達時間との合計を、前記予測到達時間として算出する、
ことを特徴とするタクシーシステム。
【請求項2】
タクシー車両に搭載された車載器と、
前記タクシー車両の運行を管理する管理サーバと、
前記管理サーバと通信可能な携帯端末と、
を備えるタクシーシステムであって、
前記携帯端末は、
タクシー乗り場における待ち人数の入力を受け付ける入力部と、
当該携帯端末の位置情報および入力された待ち人数を前記管理サーバに送信する送信部と、
前記管理サーバから送信された予測待ち時間を受信する受信部と、
受信した前記予測待ち時間を表示する表示部と、
を有し、
前記車載器は、
前記タクシー車両の位置情報および運行状態情報を前記管理サーバに送信する送信部を有し、
前記管理サーバは、
前記携帯端末および前記車載器との通信を行う通信部と、
前記通信部が前記携帯端末から受信した前記位置情報および前記待ち人数、ならびに、前記通信部が前記車載器から受信した前記位置情報および前記運行状態情報に基づいて、前記予測待ち時間を算出する算出部と、を有し、
前記通信部は、算出した前記予測待ち時間を前記携帯端末へ送信し、
前記管理サーバは、複数のタクシー乗り場への配車を含む複数のタクシー車両の運行を管理し、
前記算出部は、
前記複数のタクシー車両のそれぞれについて、当該タクシー車両の現在位置から、配車の対象となり得る1又は複数の対象タクシー乗り場を検出し、前記現在位置から前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間を算出し、
複数の前記携帯端末から前記通信部にて受信した、前記対象タクシー乗り場のそれぞれにおける待ち人数と、前記複数のタクシー車両のそれぞれについて算出した、前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間と、を参照して、最短予測到達時間のタクシー車両を、該当する対象タクシー乗り場に割り当てる配車指示を作成し、
前記通信部は、作成された前記配車指示を送信し、
前記携帯端末において、
前記送信部は、当該携帯端末の位置情報と時間情報とを対応付けた移動履歴を、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバにおいて、
前記算出部は、前記通信部にて受信した前記移動履歴に基づいて、前記配車指示で割り当てられた前記タクシー車両の予測行先を算出し、前記通信部は、算出された前記予測行先を、当該タクシー車両へ送信する、
ことを特徴とする
タクシーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー車両に搭載された車載器と、タクシー車両の運行を管理する管理サーバと、管理サーバと通信可能な携帯端末と、を備えるタクシーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーを利用しようとする利用客の利便性を向上するため、種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された車両運行管理システムは、複数のタクシー車両に対し運行指示する運行管理サーバと、タクシー乗り場に設置され乗り場客の待ち人数を検出する待ち人数検出センサを備え、乗り場に戻る複数のタクシー車両数が待ち人数検出センサで検出した待ち人数以下の場合には、送客後乗り場へ戻る途中に存在する利用客の有無に拘らず乗り場に直行するよう、運行管理サーバがタクシー車両に指示を出すものである。
【0004】
また、特許文献2に記載されたタクシー利用システムは、タクシー乗り場の情報である乗り場データを保管する乗り場DBと、タクシー利用者を輸送した実績情報である乗客輸送データを保管する実績DBと、タクシー利用者が有する携帯端末から受信した自己の位置情報及び目的地の情報を受信して、乗り場データ及び乗客輸送データを携帯端末に送信する情報サーバと、を備え、タクシー乗り場における待ち人数等の情報をタクシー利用者やタクシー運転手に提供するものである。
【0005】
さらに、特許文献3に記載されたシステムは、タクシーの数を把握する車数把握手段と、タクシー待ちの人の数を把握する人数把握手段と、一人乗り率を記憶する記憶手段と、タクシーの待ち時間に対応した待ち時間指標を算出する計算手段と、計算手段により算出された待ち時間指標を電車の乗客に知らせる出力手段と、を備え、各駅におけるタクシーの待ち状態を電車内に表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-117965号公報
【文献】特開2005-190001号公報
【文献】特開2004-347863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、待ち人数検出センサとして、カメラを用いた画像認識により人数を検出する手段やゲートを用いて機械的に人数を検出する手段を用いるため、施設整備のための費用がかかってしまう。また、待ち人数が、乗り場に戻るタクシー車両数、すなわち、迎車中および回送中の合計車両台数を超える場合、待ち時間が算出できない。
【0008】
特許文献2に記載された技術においては、乗り場DBに保管されている、タクシー乗り場で待っている待ち人数の情報は、タクシー運転手によって入力され情報サーバへ送信される。このため、夜間や雨天時などの視界の悪い状況では正確な人数がわからないおそれがある。
【0009】
特許文献3に記載された技術では、人数把握手段として、カメラを用いた画像処理による方法や踏板を通過した人の数をカウントする方法を使用するため、施設整備のための費用がかかってしまう。また、待ち時間指標の算出に一人乗り率という一律の係数を使用するため、タクシー車両の運行状態によっては、正確な待ち時間が算出できない場合がある。
【0010】
上述のように、従来のタクシーシステムにおいては、タクシー乗り場でタクシーを利用しようとする利用客に、正確な待ち時間を知らせることができなかった。また、タクシー乗り場に施設を整備する必要があった。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、タクシー乗り場に特別な施設を設置することなく、タクシーを利用しようとする利用客に、正確な待ち時間を知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシーシステムは、下記(1)~(2)を特徴としている。
(1) タクシー車両に搭載された車載器と、
前記タクシー車両の運行を管理する管理サーバと、
前記管理サーバと通信可能な携帯端末と、
を備えるタクシーシステムであって、
前記携帯端末は、
タクシー乗り場における待ち人数の入力を受け付ける入力部と、
当該携帯端末の位置情報および入力された待ち人数を前記管理サーバに送信する送信部と、
前記管理サーバから送信された予測待ち時間を受信する受信部と、
受信した前記予測待ち時間を表示する表示部と、
を有し、
前記車載器は、
前記タクシー車両の位置情報および運行状態情報を前記管理サーバに送信する送信部を有し、
前記管理サーバは、
前記携帯端末および前記車載器との通信を行う通信部と、
前記通信部が前記携帯端末から受信した前記位置情報および前記待ち人数、ならびに、前記通信部が前記車載器から受信した前記位置情報および前記運行状態情報に基づいて、前記予測待ち時間を算出する算出部と、を有し、
前記通信部は、算出した前記予測待ち時間を前記携帯端末へ送信し、
前記管理サーバは、複数のタクシー乗り場への配車を含む複数のタクシー車両の運行を管理し、
前記算出部は、
前記複数のタクシー車両のそれぞれについて、当該タクシー車両の現在位置から、配車の対象となり得る1又は複数の対象タクシー乗り場を検出し、前記現在位置から前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間を算出し、
複数の前記携帯端末から前記通信部にて受信した、前記対象タクシー乗り場のそれぞれにおける待ち人数と、前記複数のタクシー車両のそれぞれについて算出した、前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間と、を参照して、最短予測到達時間のタクシー車両を、該当する対象タクシー乗り場に割り当てる配車指示を作成し、
前記通信部は、作成された前記配車指示を送信し、
前記算出部は、
前記タクシー車両が目的地への賃走中の場合、前記現在位置から前記目的地までの第一予測到達時間と前記目的地から複数の前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの第二予測到達時間との合計を、前記予測到達時間として算出する、
ことを特徴とするタクシーシステム。
【0013】
上記(1)の構成のタクシーシステムによれば、タクシー乗り場に特別な施設を設置することなく、タクシー乗り場において、タクシーを利用しようとする利用客が予測待ち時間を確認できる。
【0015】
更に、上記(1)の構成のタクシーシステムによれば、従来の「一人乗り率」や「タクシー回転率」などの一律の係数を使用して待ち時間を算出する場合と比べて、より現実の運行に即した待ち時間の予測が可能となる。
【0017】
更に、上記(1)の構成のタクシーシステムによれば、賃走中のタクシー車両についても、乗り場までの予測到達時間を算出することにより、より正確な予測待ち時間を算出できる。
【0018】
(2) タクシー車両に搭載された車載器と、
前記タクシー車両の運行を管理する管理サーバと、
前記管理サーバと通信可能な携帯端末と、
を備えるタクシーシステムであって、
前記携帯端末は、
タクシー乗り場における待ち人数の入力を受け付ける入力部と、
当該携帯端末の位置情報および入力された待ち人数を前記管理サーバに送信する送信部と、
前記管理サーバから送信された予測待ち時間を受信する受信部と、
受信した前記予測待ち時間を表示する表示部と、
を有し、
前記車載器は、
前記タクシー車両の位置情報および運行状態情報を前記管理サーバに送信する送信部を有し、
前記管理サーバは、
前記携帯端末および前記車載器との通信を行う通信部と、
前記通信部が前記携帯端末から受信した前記位置情報および前記待ち人数、ならびに、前記通信部が前記車載器から受信した前記位置情報および前記運行状態情報に基づいて、前記予測待ち時間を算出する算出部と、を有し、
前記通信部は、算出した前記予測待ち時間を前記携帯端末へ送信し、
前記管理サーバは、複数のタクシー乗り場への配車を含む複数のタクシー車両の運行を管理し、
前記算出部は、
前記複数のタクシー車両のそれぞれについて、当該タクシー車両の現在位置から、配車の対象となり得る1又は複数の対象タクシー乗り場を検出し、前記現在位置から前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間を算出し、
複数の前記携帯端末から前記通信部にて受信した、前記対象タクシー乗り場のそれぞれにおける待ち人数と、前記複数のタクシー車両のそれぞれについて算出した、前記対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間と、を参照して、最短予測到達時間のタクシー車両を、該当する対象タクシー乗り場に割り当てる配車指示を作成し、
前記通信部は、作成された前記配車指示を送信し、
前記携帯端末において、
前記送信部は、当該携帯端末の位置情報と時間情報とを対応付けた移動履歴を、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバにおいて、
前記算出部は、前記通信部にて受信した前記移動履歴に基づいて、前記配車指示で割り当てられた前記タクシー車両の予測行先を算出し、前記通信部は、算出された前記予測行先を、当該タクシー車両へ送信する、
ことを特徴とするタクシーシステム。
【0019】
上記(2)の構成のタクシーシステムによれば、携帯端末の移動履歴から、タクシーを利用しようとする利用客が行きそうな場所(自宅、会社、取引先等)を予測して、配車に活用できる。また、配車されたタクシー車両に予測行先が送信されるため、運転者が予測行先を把握できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、タクシー乗り場において、タクシーを利用しようとする利用客が携帯端末に待ち人数を入力し管理サーバに送信すると、管理サーバにて算出された正確な予測待ち時間が携帯端末に送信され表示されるので、利用客は正確な予測待ち時間を確認できる。
【0021】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態におけるタクシーシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、顧客携帯端末における処理の流れを示す図である。
【
図3】
図3は、顧客携帯端末における画面表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、1または複数のタクシー乗り場までの予測時間を算出する処理の流れを示す図である。
【
図5】
図5は、複数のタクシー乗り場への配車処理の流れを示す図である。
【
図6】
図6は、複数のタクシー乗り場への配車例を示す図である。
【
図7】
図7は、行先予測処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態におけるタクシーシステム1の構成の一例を示す図である。タクシーシステム1は、顧客携帯端末10と、データセンタ20内に配置されたサーバ(データベース)100と、タクシー会社30内に配置された配車用無線通信部31と、タクシー車両40に搭載された各装置と、を備え、互いに通信できるように接続されている。
【0025】
データセンタ20内に配置されたサーバ100は、タクシー車両の運行を管理するものであり、タクシー車両の運行に役立つ情報を様々なタクシー会社30やタクシーを利用しようとする利用客が所有している顧客携帯端末10に対して提供する機能を有している。サーバ100は、タクシー車両40に搭載された車載器(配車用無線通信部41)との配車用無線通信部31を介した通信および顧客携帯端末10との通信を行う機能と、予測待ち時間を算出する機能と、を有し、算出した予測待ち時間を顧客携帯端末10へ送信する。予測待ち時間は、サーバ100が顧客携帯端末10から配車依頼を受信した時点から、利用客が利用可能なタクシー車両40の到着までに要すると予測される時間である。サーバ100は、顧客携帯端末10から受信した顧客携帯端末10の位置情報およびタクシー乗り場における待ち人数、ならびに、車載器(配車用無線通信部41)から受信したタクシー車両40の位置情報および運行状態情報に基づいて、予測待ち時間を算出する。顧客携帯端末10は、顧客携帯端末10の位置情報およびタクシー乗り場における待ち人数を配車依頼として送信する。
【0026】
サーバ100が行うタクシー車両40の運行管理には、複数のタクシー乗り場への配車が含まれている。サーバ100は、複数のタクシー車両40のそれぞれについて、各タクシー車両40の現在位置から、配車の対象となり得る1又は複数の対象タクシー乗り場を検出し、現在位置から対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間を算出する。サーバ100は、複数の顧客携帯端末10から受信した、対象タクシー乗り場のそれぞれにおける待ち人数と、複数のタクシー車両40のそれぞれについて算出した、対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間と、を参照して、最短予測到達時間のタクシー車両を、該当する対象タクシー乗り場に割り当てる配車指示を作成し、タクシー会社30の配車用無線通信部31へ送信する。
【0027】
サーバ100は、タクシー車両40が目的地への賃走中の場合、タクシー車両40の現在位置から目的地までの第一予測到達時間と目的地から複数の対象タクシー乗り場のそれぞれまでの第二予測到達時間との合計を、予測到達時間として算出する。また、サーバ100は、顧客携帯端末10の位置情報と時間情報とを対応付けた位置情報履歴(移動履歴)を顧客携帯端末10から受信した場合、受信した位置情報履歴に基づいて、配車指示で割り当てられたタクシー車両40の予測行先を算出し、算出された予測行先を、当該タクシー車両40へ送信する。
【0028】
タクシーの運行を管理している各タクシー会社30においては、配車用無線通信部(AVM:Automatic Vehicle Monitoring Systemなど)31が、インターネットを介してサーバ100と接続し、配車用無線通信部41から取得した車両位置情報および運行状態をサーバ100に例えば定期的に送信し、サーバ100から各タクシー車両40に対する配車指示を受信する。配車用無線通信部31は、サーバ100から受信した配車指示を各タクシー車両40に送信する。
【0029】
顧客携帯端末10は、データセンタ20内のサーバ100と広域無線通信を行う広域無線通信部11と、事前に組み込まれたタクシー用のソフトウェアである専用アプリ13と、を備える。広域無線通信部11は、LTE(Long Term Evolution)または4G(4th Generation)等のモバイル通信網(携帯回線網)を介してサーバ100と通信を行う。タクシーを利用しようとする利用客は、自分が所有している顧客携帯端末10に事前に組み込まれた専用アプリ13を利用することにより、タクシー待ち時間の予測機能を利用できる。
【0030】
専用アプリ13は、タクシー乗り場における待ち人数の入力を受け付け、GPS(Global Positioning System)機能により取得した顧客携帯端末10の現在位置情報および利用者によって入力された待ち人数を広域無線通信部11によってサーバ100に送信する。また、専用アプリ13は、サーバ100から送信された予測待ち時間を広域無線通信部11によって受信し、受信した予測待ち時間を画面に表示させる。さらに、専用アプリ13は、顧客携帯端末10の位置情報と時間情報とを対応付けた位置情報履歴(移動履歴)をサーバ100に送信してもよい。
【0031】
タクシー車両40は、ナビゲーションシステム43と、タクシーメータ44と、車載器としての配車用無線通信部41と、を搭載している。ナビゲーションシステム43は、一般的なカーナビゲーション用車載器と同等の機能を有しタクシー車両40の位置情報を取得する。また、ナビゲーションシステム43は、タクシーメータ44と連携する機能を有している。タクシーメータ44は、現在のタクシー車両40の運行状態を「空車」、「賃走」、「支払い」などの状態に区別して把握し管理している。そして、タクシーメータ44に備わっている様々なボタン(図示せず)を運転者が操作することにより、タクシーメータ44が把握している「空車」、「賃走」、「支払い」などの状態が遷移する。例えば、「空車」状態で新たな利用客がタクシー車両40に乗車して運転者が「賃走ボタン」を押下すると、タクシーメータ44は「空車」状態から「賃走」状態に遷移する。
【0032】
配車用無線通信部41は、ナビゲーションシステム43から取得した車両位置情報およびタクシーメータ44から取得したタクシー車両40の運行状態を示す運行状態情報を、配車用無線通信を利用して、タクシー会社30の配車用無線通信部31に送信し、配車用無線通信部31から配車指示を受信する。なお、ナビゲーションシステム43の代わりに、その機能の一部をタクシーメータ44の内部や、ドライブレコーダ、デジタルタコメータ等に内蔵してもよい。
【0033】
図2は、顧客携帯端末10における処理の流れを示す図である。タクシー乗り場においてタクシーを利用しようとする利用者は、顧客携帯端末10の専用アプリ13を使用して、タクシーの待ち人数を入力する(ステップS1)。
図3は、顧客携帯端末10における画面表示例を示す図である。
図3に示すように、顧客携帯端末10のタッチパネル12には、専用アプリ13によって操作画面が表示される。タッチパネル12には、現在地欄51、待ち人数欄52、送信ボタン53、および待ち時間表示欄54が表示される。現在地欄51は、顧客携帯端末10の現在地アドレスを表示する。待ち人数欄52は、利用者の操作によって入力された待ち人数を表示する。利用者が送信ボタン53を操作することにより、専用アプリ13は、顧客携帯端末10の位置情報および入力された待ち人数をデータセンタ20内のサーバ(データベース)100へ送信する(ステップS2)。顧客携帯端末10は、サーバ(データベース)100から送信された予測待ち時間を広域無線通信部11によって受信し、専用アプリ13によってタッチパネル12の待ち時間表示欄54に待ち時間を表示し(ステップS3)、処理を終了する。
【0034】
図4は、データセンタ20内のサーバ100による、複数のタクシー乗り場までの予測時間を算出する処理の流れを示す図である。サーバ100は、タクシー会社30が運行管理する複数のタクシー車両40のうち、タクシー車両Sの運行状態及び位置情報を、配車用無線通信部31を介して配車用無線通信部41から入手する(ステップS11)。サーバ100は、入手したタクシー車両Sの現在位置Gから、配車の対象となり得る1または複数のタクシー乗り場N1,N2,・・・Nmを検出する(ステップS12)。
【0035】
次にサーバ100は、取得したタクシー車両Sの運行状態情報から、タクシー車両Sが目的地への賃走中かどうかを判断する(ステップS13)。賃走中の場合(ステップS13でYES)、サーバ100は、まず、タクシー車両Sの現在位置Gから目的地Mまでの予測時間T(第一予測到達時間)を算出する(ステップS14)。次に、サーバ100は、n=0をセットし(ステップS15)、n=n+1をセットし(ステップS16)、目的地Mからタクシー乗り場Nnまでの予測時間Tn(第二予測到達時間)を算出する。そして、サーバ100は、タクシー車両Sの現在位置Gからタクシー乗り場Nnまでの予測時間Ttn=T+Tn(Ttn:予測到達時間)を算出し、サーバ100内のデータベースに格納する(ステップS18)。その後、サーバ100は、nがmより小さいかどうかを判断し(ステップS19)、NOの場合は処理を終了し、YESの場合はステップS16に戻ってステップS16からS18の処理を繰り返す。
【0036】
ステップS13において、タクシー車両Sが賃走中でない場合(ステップS13においてNO)、サーバ100は、n=0をセットし(ステップS20)、n=n+1をセットし(ステップS21)、タクシー車両Sの現在位置Gからタクシー乗り場Nnまでの予測時間Ttn=Tnを算出し、データベースに格納する(ステップS22)。そして、サーバ100は、nがmより小さいかどうかを判断し(ステップS23)、NOの場合は処理を終了し、YESの場合はステップS21に戻ってステップS21およびS22の処理を繰り返す。以上の処理により、サーバ100は、タクシー車両Sの現在位置Gから1または複数のタクシー乗り場までの予測到達時間を算出し、データベースに格納する。
【0037】
図5は、サーバ100による、複数のタクシー乗り場a~cへの配車処理の流れを示す図である。サーバ100は、複数の顧客携帯端末10から送信された顧客位置情報および各タクシー乗り場a~cにおける待ち人数、並びに、タクシー会社30が運行管理する全タクシー車両40の車両位置情報及び運行状態情報に基づいて、待ち人あり(タクシー待ち人数が1以上)の乗り場リストを生成し、全タクシー車両40内で予測到達時間が最短であるタクシー車両Snおよび該当する乗り場を抽出する(ステップS31)。サーバ100は、該当する乗り場が乗り場aか否か判断する(ステップS32)。乗り場aである場合(ステップS32でYES)、サーバ100は、タクシー車両Snを乗り場aに割り当てる配車指示を作成および送信し(ステップS33)、乗り場aの配車待ち人数Haから1を減算する(ステップS34)。そして、サーバ100は、配車待ち人数Haが0より大きいか否かを判断し(ステップS35)、YESの場合はステップS31の処理に戻り、NOの場合はステップS36の処理に進む。ステップS36において、サーバ100は、待ち人ありの乗り場リストから乗り場aを除外し、後述するステップS46の処理に進む。尚、ステップS31の処理に戻った際には、全タクシー車両40の中からステップS33で割り当てられたタクシー車両40が除外された上で処理が繰り返される。後述するステップS40,S44,S46についても同様に割り当てられたタクシー車両40が除外された上で処理が繰り返される。
【0038】
ステップS32において、該当する乗り場が乗り場aでない場合(ステップS32においてNO)、サーバ100は、該当する乗り場が乗り場bか否かを判断する(ステップS37)。該当する乗り場が乗り場Bである場合(ステップS37においてYES)、サーバ100は、タクシー車両Snを乗り場bに割り当てるよう配車指示し(ステップS38)、乗り場bの配車待ち人数Hbから1を減算する(ステップS39)。そして、サーバ100は、配車待ち人数Hbが0より大きいか否かを判断し(ステップS40)、YESの場合はステップS31の処理に戻り、NOの場合はステップS41の処理に進む。ステップS41において、サーバ100は、待ち人ありの乗り場リストから乗り場bを除外し、後述するステップS46の処理に進む。
【0039】
ステップS37において、該当する乗り場が乗り場bでない場合(ステップS37においてNO)、サーバ100は、タクシー車両Snを乗り場cに割り当てるよう配車指示し(ステップS42)、乗り場cの配車待ち人数Hcから1を減算する(ステップS43)。そして、サーバ100は、配車待ち人数Hcが0より大きいか否かを判断し(ステップS44)、YESの場合はステップS31の処理に戻り、NOの場合はステップS45の処理に進む。ステップS45において、サーバ100は、待ち人ありの乗り場リストから乗り場cを除外し、後述するステップS46の処理に進む。
【0040】
ステップS46において、サーバ100は、全乗り場a,b,cにおける配車待ち人数Ha,Hb,Hcの合計が0より大きいか否かを判断し、YESの場合はステップS31の処理に戻り、NOの場合は処理を終了する。
【0041】
図6は、サーバ100による複数のタクシー乗り場a,b,cへの配車例を示す図である。まずサーバ100は、
図6(a)に示される待ち人ありの乗り場リストから、全タクシー車両A~E内で予測到達時間が最短(2分)である車両Bおよび乗り場aを抽出する。サーバ100は、車両Bを乗り場aへ割り当てるよう配車指示し乗り場aの配車待ち人数3人から1を減算する(
図6(b))。
【0042】
次にサーバ100は、未だ配車されていない車両Aおよび車両C~Eのうち、予測到達時間が最短(3分)である車両Eを乗り場aへ割り当てるよう配車指示し、乗り場aの配車待ち人数2人から1を減算する(
図6(c))。次にサーバ100は、未だ配車されていない車両A,C,およびDのうち、予測到達時間が最短(6分)である車両Aを乗り場bへ割り当てるよう配車指示し、乗り場bの配車待ち人数2人から1を減算する(
図6(d))。次にサーバ100は、未だ配車されていない車両CおよびDのうち、予測到達時間が最短(10分)である車両Dを乗り場cへ割り当てるよう配車指示し、乗り場cの配車待ち人数1人から1を減算する(
図6(e))。乗り場cにおける配車待ち人数が0となったため、乗り場cは待ち人ありの乗り場リストから除外される。
【0043】
サーバ100は、未だ配車されていない車両Cを乗り場a,bのうち予測到達時間が短い乗り場bへ配車し、乗り場bの配車待ち人数1人から1を減算する(
図6(f))。乗り場bにおける配車待ち人数が0となったため、乗り場bは待ち人ありの乗り場リストから除外される。上記のように、全車両A~Eに対する配車指示が行われる。
【0044】
上述したように、本実施形態のタクシーシステムによれば、タクシー乗り場において、タクシーを利用しようとする利用客が顧客携帯端末10に待ち人数を入力しデータセンタ20内のサーバ100に送信すると、サーバ100にて算出された正確な予測待ち時間が顧客携帯端末10に送信され表示されるので、タクシー乗り場に特別な施設を設置することなく、利用客は正確な予測待ち時間を確認できる。特に、各タクシー車両の「現在賃走中の目的地までの時間」および「目的地からタクシー乗り場までの回送時間」を算出することにより、賃走中のタクシー車両についても待ち時間が正確に予測できる。このため、より現実の運行状況に即した待ち時間の予測が可能となる。尚、顧客携帯端末10において待ち人数を入力する際、一台のタクシー車両40に搭乗可能な複数人からなる1グループを一人としてカウントすることにより、一層正確な待ち時間の予測が可能となる。
【0045】
なお、上述した待ち時間予測に、行先予測を組み合わせて配車の際に利用してもよい。
図7は、サーバ100による行先予測処理の流れを示す図である。サーバ100は、顧客携帯端末10から配車依頼を受信し(ステップS51)、顧客携帯端末10の過去1カ月間における位置情報と時間情報とを対応付けた移動履歴(GPS情報、位置情報履歴)を取得する(ステップS52)。サーバ100は、取得した移動履歴より、顧客携帯端末10の現在位置からの移動先地点を抽出する(ステップS53)。次にサーバ100は、抽出された移動先地点のうち、同一地点で1時間以上滞在した地点を抽出する(ステップS54)。さらにサーバ100は、抽出された滞在地点を、滞在頻度の高い順に集計し(ステップS55)、滞在頻度のもっとも高い地点を行先予測地点として設定する(ステップS56)。サーバ100は、上記のように各利用者がタクシー乗り場から行きそうな場所(自宅、会社、取引先等)を予測して、設定した行先予測地点を配車指示の作成に利用できる。また、サーバ100は、設定した行先予測地点をタクシー会社30内の配車用無線通信部31に送信してもよい。
【0046】
ここで、上述した本発明の実施形態に係るタクシーシステムの特徴を以下[1]~[4]に纏めて列記する。
[1]タクシー車両(40)に搭載された車載器(配車用無線通信部41)と、タクシー車両の運行を管理する管理サーバ(サーバ100、配車用無線通信部31)と、管理サーバと通信可能な携帯端末(顧客携帯端末10)と、を備えるタクシーシステム(1)であって、
携帯端末は、タクシー乗り場における待ち人数の入力を受け付ける入力部(専用アプリ13、ステップS1)と、携帯端末の位置情報および入力された待ち人数を管理サーバに送信する送信部(広域無線通信部11、ステップS2)と、管理サーバから送信された予測待ち時間を受信する受信部(広域無線通信部11、ステップS3)と、受信した予測待ち時間を表示する表示部(専用アプリ13、ステップS3)と、を有し、
車載器は、タクシー車両の位置情報および運行状態情報を管理サーバに送信する送信部(配車用無線通信部41)を有し、
管理サーバは、携帯端末および車載器との通信を行う通信部(ステップS51,S11)と、通信部が携帯端末から受信した位置情報および待ち人数、ならびに、通信部が車載器から受信した位置情報および運行状態情報に基づいて、予測待ち時間を算出する算出部(ステップS18、S22)と、を有し、通信部は、算出した予測待ち時間を携帯端末へ送信する(ステップS3)、ことを特徴とするタクシーシステム。
[2]管理サーバは、複数のタクシー乗り場への配車を含む複数のタクシー車両の運行を管理し、算出部は、複数のタクシー車両のそれぞれについて、タクシー車両の現在位置から、配車の対象となり得る1又は複数の対象タクシー乗り場を検出し(ステップS12)、現在位置から対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間(予測時間Ttn)を算出し(ステップS18,S22)、複数の携帯端末から通信部にて受信した、対象タクシー乗り場のそれぞれにおける待ち人数と、複数のタクシー車両のそれぞれについて算出した、対象タクシー乗り場のそれぞれまでの予測到達時間と、を参照して、最短予測到達時間のタクシー車両を、該当する対象タクシー乗り場に割り当てる配車指示を作成し(ステップS33,S38,S43)、通信部は、作成された配車指示を送信する(ステップS33,S38,S43)ことを特徴とする上記(1)の構成のタクシーシステム。
[3]算出部は、タクシー車両が目的地への賃走中の場合、現在位置から目的地までの第一予測到達時間(予測時間T)と目的地から複数の対象タクシー乗り場のそれぞれまでの第二予測到達時間(予測時間Tn)との合計を、予測到達時間(予測時間Ttn)として算出することを特徴とする上記(2)の構成のタクシーシステム。
[4]携帯端末において、送信部は、携帯端末の位置情報と時間情報とを対応付けた移動履歴を、管理サーバに送信し(ステップS52)、
管理サーバにおいて、算出部は、通信部にて受信した移動履歴に基づいて、配車指示で割り当てられたタクシー車両の予測行先を算出し(ステップS56)、通信部は、算出された予測行先を、タクシー車両へ送信することを特徴とする上記(2)または(3)の構成のタクシーシステム。
【0047】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1 タクシーシステム
10 顧客携帯端末
11 広域無線通信部
12 タッチパネル
13 専用アプリ
20 データセンタ
30 タクシー会社
31 配車用無線通信部
40 タクシー車両
41 配車用無線通信部
43 ナビゲーションシステム
44 タクシーメータ
51 現在地欄
52 待ち人数欄
53 送信ボタン
54 待ち時間表示欄
100 サーバ