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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/40 20180101AFI20220712BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20220712BHJP
   F21S 43/15 20180101ALI20220712BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20220712BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20220712BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20220712BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20220712BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20220712BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20220712BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20220712BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220712BHJP
【FI】
F21S43/40
F21S43/14
F21S43/15
F21S43/19
F21S43/20
F21S43/27
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21Y115:10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018167135
(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2020042917
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】千竈 啓之
(72)【発明者】
【氏名】今関 規文
(72)【発明者】
【氏名】南 春奈
(72)【発明者】
【氏名】峯 海乃
(72)【発明者】
【氏名】半谷 明彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 功三郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓矢
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-059882(JP,A)
【文献】特開2013-214492(JP,A)
【文献】特表2016-507883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/40
F21S 43/14
F21S 43/15
F21S 43/19
F21S 43/20
F21S 43/27
F21W 103/00
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/45
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル性を有する透明フィルムと、前記透明フィルムの少なくとも表面に二次元的に配置された状態で固定された複数の半導体発光素子と、を含むフィルム光源と、
前記フィルム光源の前記透明フィルムの裏面が対向した状態で配置され、前記複数の半導体発光素子のうち一部又は全部から放出され、前記透明フィルムを透過した光を反射する反射面と
前記複数の半導体発光素子のうち一部又は全部から放出され前記透明フィルムを透過した光を略平行光に制御する配光制御レンズとを備え、前記配光制御レンズは、前記フィルム光源と前記反射面との間に配置され、
前記複数の半導体発光素子から放出された光の内、一部の光は表面側から放出され、前記一部の光以外の他部の光は裏面側から放出され前記透明フィルムを透過し前記配光制御レンズで制御され、前記反射面で反射された後に表面側に向かって照射される、車両用灯具。
【請求項2】
前記配光制御レンズは、前記複数の半導体発光素子それぞれが対応する複数のレンズ部を含み、
前記複数のレンズ部は、それぞれ、当該レンズ部が対応する前記半導体発光素子から放出され、前記透明フィルムを透過した光を制御する請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記複数のレンズ部は、それぞれ、当該レンズ部が対応する前記半導体発光素子近傍に焦点が設定されたレンズ部であり、
前記反射面は、前記複数のレンズ部それぞれによって制御された光を目的の方向に反射する請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
フレキシブル性を有する透明フィルムと、前記透明フィルムの少なくとも表面に二次元的に配置された状態で固定された複数の半導体発光素子と、を含むフィルム光源と、
前記フィルム光源の前記透明フィルムの裏面が対向した状態で配置され、前記複数の半導体発光素子のうち一部又は全部から放出され、前記透明フィルムを透過した光を反射する反射面と、
前記複数の半導体発光素子のうち一部又は全部から放出され、前記透明フィルムを透過した光を制御する配光制御レンズとを備え、
前記配光制御レンズは、前記フィルム光源と前記反射面との間に配置され、
前記反射面は、前記配光制御レンズによって制御された光を反射し、
前記配光制御レンズは、前記複数の半導体発光素子それぞれが対応する複数のレンズ部を含み、
前記複数のレンズ部は、それぞれ、当該レンズ部が対応する前記半導体発光素子から放出され、前記透明フィルムを透過した光を制御する車両用灯具。
【請求項5】
前記複数のレンズ部は、それぞれ、当該レンズ部が対応する前記半導体発光素子近傍に焦点が設定されたレンズ部であり、
前記反射面は、前記複数のレンズ部それぞれによって制御された光を目的の方向に反射する請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記複数のレンズ部は、それぞれ、フレネルレンズである請求項4又は5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記透明フィルムが一定の形状を保った状態で前記フィルム光源を支持するフィルム光源支持手段をさらに備え、
前記フィルム光源支持手段は、前レンズと、後レンズと、前記前レンズと前記後レンズとを固定するレンズ固定手段と、を備え、
前記レンズ固定手段は、前記前レンズと前記後レンズとの間に前記フィルム光源が配置された状態で前記前レンズと前記後レンズとを固定する請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記後レンズが前記配光制御レンズとして構成されている請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
フレキシブル性を有する透明フィルムと、前記透明フィルムの少なくとも表面に二次元的に配置された状態で固定された複数の半導体発光素子と、を含むフィルム光源と、
前記フィルム光源の前記透明フィルムの裏面が対向した状態で配置され、前記複数の半導体発光素子のうち一部又は全部から放出され、前記透明フィルムを透過した光を反射する反射面と、
前記複数の半導体発光素子のうち一部又は全部から放出され、前記透明フィルムを透過した光を制御する配光制御レンズとを備え、
前記配光制御レンズは、前記フィルム光源と前記反射面との間に配置され、
前記反射面は、前記配光制御レンズによって制御された光を反射し、
前記透明フィルムが一定の形状を保った状態で前記フィルム光源を支持するフィルム光源支持手段をさらに備え、
前記フィルム光源支持手段は、前レンズと、後レンズと、前記前レンズと前記後レンズとを固定するレンズ固定手段と、を備え、
前記レンズ固定手段は、前記前レンズと前記後レンズとの間に前記フィルム光源が配置された状態で前記前レンズと前記後レンズとを固定し、
前記配光制御レンズは、前記後レンズと前記反射面との間に配置されている車両用灯具。
【請求項10】
前記透明フィルムが一定の形状を保った状態で前記フィルム光源を支持するフィルム光源支持手段と、
複数の前記フィルム光源と、をさらに備え、
前記複数のフィルム光源は、正面視で、同一範囲内において車両前後方向に重なった状態で配置されており、
前記複数のフィルム光源は、少なくとも第1フィルム光源及び第2フィルム光源を含み

前記フィルム光源支持手段は、前レンズと、中間レンズと、後レンズと、前記前レンズと前記中間レンズと前記後レンズとを固定するレンズ固定手段と、を備え、
前記レンズ固定手段は、前記前レンズと前記中間レンズとの間に前記第1フィルム光源が配置され、かつ、前記中間レンズと前記後レンズとの間に前記第2フィルム光源が配置された状態で前記前レンズと前記中間レンズと前記後レンズとを固定する請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記中間レンズ及び前記後レンズがそれぞれ前記配光制御レンズとして構成されている請求項10に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記配光制御レンズは、前記中間レンズと前記第2フィルム光源との間、及び、前記後レンズと前記反射面との間にそれぞれ配置されている請求項10に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記透明フィルムが一定の形状を保った状態で前記フィルム光源を支持するフィルム光源支持手段と、
前記フィルム光源と前記フィルム光源支持手段とを備えた灯具ユニットと、
前記灯具ユニットを支持する透明な灯具ユニット支持手段と、をさらに備え、
前記灯具ユニット支持手段は、前記灯具ユニットを、ハウジングとアウターレンズとで構成される灯室内に前記ハウジングとの間に空間を保った状態で支持する請求項1から12のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項14】
前記灯具ユニット支持手段は、一部が前記灯具ユニットに固定され、他の一部が前記ハウジングに固定された透明支持部である請求項13に記載の車両用灯具。
【請求項15】
前記灯具ユニットは、前記透明支持部により片持ち支持されている請求項14に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に、法規が求める配光規格を満たすとともに、様々な輝度及び様々な発光形状の発光パターン(多彩な発光グラフィックス)を実現することができる新規発光見栄えの車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機ELを用いた車両用灯具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、テールランプとして機能する有機ELパネル、ストップランプとして機能する有機ELパネルを横並びに配置した車両用灯具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-58136号公報
【文献】特開2015-22917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用灯具においては、テールランプとして機能する有機ELパネル及びストップランプとして機能する有機ELパネルそれぞれが発光又は非発光するだけの単調な発光パターンであり、新規発光見栄えの車両用灯具を実現するのが難しいという課題がある。また、現在、有機ELパネルは、輝度が低く、法規が求める配光規格(特に、高輝度が求められるストップランプ、ターンランプの場合)を満たすのが難しい(例えば、特許文献2参照)という課題もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、法規が求める配光規格を満たすとともに、様々な輝度及び様々な発光形状の発光パターン(多彩な発光グラフィックス)を実現することができる新規発光見栄えの車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一つの側面は、フレキシブル性を有する透明フィルムと、前記透明フィルムの少なくとも表面に二次元的に配置された状態で固定された複数の半導体発光素子と、を含むフィルム光源と、前記フィルム光源の前記透明フィルムの裏面が対向した状態で配置され、前記複数の半導体発光素子のうち一部又は全部から放出され、前記透明フィルムを透過した光を反射する反射面と、を備えた車両用灯具であることを特徴とする。
【0007】
この側面によれば、法規が求める配光規格を満たすとともに、様々な輝度及び様々な発光形状の発光パターン(多彩な発光グラフィックス)を実現することができる新規発光見栄えの車両用灯具を提供することができる。
【0008】
また、この側面によれば、フィルム光源の半導体発光素子から後方に放出される光の光利用効率が向上する。すなわち、フィルム光源の半導体発光素子から後方に放出される光によって反射面を発光させることができる。これにより、発光する反射面がフィルム光源(透明フィルム)を透して視認される奥行き感のある立体的な発光見栄えを実現することができる。
【0009】
なお、法規が求める配光規格を満たすことができる(特に、高輝度が求められるストップランプ、ターンランプの場合)のは、有機ELより輝度が高い半導体発光素子を用いていることによるものである。
【0010】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数の半導体発光素子のうち一部又は全部から放出され、前記透明フィルムを透過した光を制御する配光制御レンズをさらに備え、前記配光制御レンズは、前記フィルム光源と前記反射面との間に配置され、前記反射面は、前記配光制御レンズによって制御された光を反射することを特徴とする。
【0011】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記配光制御レンズは、前記複数の半導体発光素子それぞれが対応する複数のレンズ部を含み、前記複数のレンズ部は、それぞれ、当該レンズ部が対応する前記半導体発光素子から放出され、前記透明フィルムを透過した光を制御することを特徴とする。
【0012】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数のレンズ部は、それぞれ、フルートカットであることを特徴とする。
【0013】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数のレンズ部は、それぞれ、当該レンズ部が対応する前記半導体発光素子近傍に焦点が設定されたレンズ部であり、前記反射面は、前記複数のレンズ部それぞれによって制御された光を目的の方向に反射することを特徴とする。
【0014】
この態様によれば、フィルム光源の半導体発光素子から後方に放出される光の光利用効率が向上する。すなわち、フィルム光源から前方に照射(放出)される光に加えて、フィルム光源から後方に照射(放出)される光を反射面で目的の方向に反射することによって所定配光パターン(例えば、テールランプ用配光パターン、ストップ用配光パターン)を形成することができる。
【0015】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記複数のレンズ部は、それぞれ、フレネルレンズであることを特徴とする。
【0016】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記透明フィルムが一定の形状を保った状態で前記フィルム光源を支持するフィルム光源支持手段をさらに備え、前記フィルム光源支持手段は、前レンズと、後レンズと、前記前レンズと前記後レンズとを固定するレンズ固定手段と、を備え、前記レンズ固定手段は、前記前レンズと前記後レンズとの間に前記フィルム光源が配置された状態で前記前レンズと前記後レンズとを固定することを特徴とする。
【0017】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記後レンズが前記配光制御レンズとして構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記配光制御レンズは、前記後レンズと前記反射面との間に配置されていることを特徴とする。
【0019】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記透明フィルムが一定の形状を保った状態で前記フィルム光源を支持するフィルム光源支持手段と、複数の前記フィルム光源と、をさらに備え、前記複数のフィルム光源は、正面視で、同一範囲内において車両前後方向に重なった状態で配置されており、前記複数のフィルム光源は、少なくとも第1フィルム光源及び第2フィルム光源を含み、前記フィルム光源支持手段は、前レンズと、中間レンズと、後レンズと、前記前レンズと前記中間レンズと前記後レンズとを固定するレンズ固定手段と、を備え、前記レンズ固定手段は、前記前レンズと前記中間レンズとの間に前記第1フィルム光源が配置され、かつ、前記中間レンズと前記後レンズとの間に前記第2フィルム光源が配置された状態で前記前レンズと前記中間レンズと前記後レンズとを固定することを特徴とする。
【0020】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記中間レンズ及び前記後レンズがそれぞれ前記配光制御レンズとして構成されていることを特徴とする。
【0021】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記配光制御レンズは、前記中間レンズと前記第2フィルム光源との間、及び、前記後レンズと前記反射面との間にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0022】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記透明フィルムが一定の形状を保った状態で前記フィルム光源を支持するフィルム光源支持手段と、前記フィルム光源と前記フィルム光源支持手段とを備えた灯具ユニットと、前記灯具ユニットを支持する透明な灯具ユニット支持手段と、をさらに備え、前記灯具ユニット支持手段は、前記灯具ユニットを、ハウジングとアウターレンズとで構成される灯室内に前記ハウジングとの間に空間を保った状態で支持することを特徴とする。
【0023】
この態様によれば、灯具ユニットがハウジングとの間に空間を保った状態で灯室内に配置されているため、しかも、灯具ユニット支持手段が透明であり視認され難いため、あたかも灯具ユニットが灯室内に浮かんでいるかのように視認される発光見栄えが実現される。
【0024】
また、上記発明において、好ましい態様は、フレキシブル性を有する透明フィルムと、前記透明フィルムの少なくとも表面に二次元的に配置された状態で固定された複数の半導体発光素子と、を含むフィルム光源と、前記透明フィルムが一定の形状を保った状態で前記フィルム光源を支持するフィルム光源支持手段と、前記フィルム光源と前記フィルム光源支持手段とを備えた灯具ユニットと、前記灯具ユニットを支持する透明な灯具ユニット支持手段と、をさらに備え、前記灯具ユニット支持手段は、前記灯具ユニットを、ハウジングとアウターレンズとで構成される灯室内に前記ハウジングとの間に空間を保った状態で支持することを特徴とする。
【0025】
この態様によれば、灯具ユニットがハウジングとの間に空間を保った状態で灯室内に配置されているため、しかも、灯具ユニット支持手段が透明であり視認され難いため、あたかも灯具ユニットが灯室内に浮かんでいるかのように視認される発光見栄えが実現される。
【0026】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記灯具ユニット支持手段は、一部が前記灯具ユニットに固定され、他の一部が前記ハウジングに固定された透明支持部であることを特徴とする。
【0027】
また、上記発明において、好ましい態様は、前記灯具ユニットは、前記透明支持部により片持ち支持されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】車両用灯具10の正面図である。
図2】(a)図1のA-A断面図、(b)図1のB-B断面図である。
図3】灯具ユニット20の分解斜視図である。
図4】(a)第1フィルム光源22Aの一例(正面図)、(b)第2フィルム光源22Bの一例(正面図)である。
図5】半導体発光素子22bの周囲の配線パターン22cの部分拡大図である。
図6】(a)フリップチップ実装の例、(b)フェイスアップ実装の例である。
図7】重ね合わせた状態の各フランジ部24a2~24c2の斜視図である。
図8】第1フィルム光源22A及びその背後に配置された第2フィルム光源22Bを透視した図(正面視)である。
図9】ハウジング52の斜視図である。
図10】4つのフィルム光源を用いて灯具ユニットを構成した例である。
図11】フィルム光源の半導体発光素子の発光パターンの一例である。
図12】前レンズ24aと第1フィルム光源22Aとの間に半導体発光素子26からの光を導光して前面から出射する導光板28を配置した例である。
図13】第2実施形態の車両用灯具10Aの概略図(縦断面図)である。
図14】第2実施形態の車両用灯具10Aの概略図(斜視図)である。
図15】車両用灯具10A1の一例(概略図)である。
図16】車両用灯具10A1の他の一例(概略図)である。
図17】車両用灯具10A2の一例(概略図)である。
図18】車両用灯具10A2の他の一例(概略図)である。
図19】第3実施形態の車両用灯具10Bの概略図(横断面図)である。
図20】第3実施形態の車両用灯具10Bの変形例の概略図(横断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の第1実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0030】
図1は、車両用灯具10の正面図である。
【0031】
図1に示す車両用灯具10は、例えば、テールランプ及びストップランプとして機能する車両用信号灯具である。車両用灯具10は、自動車等の車両の後端部の左右両側にそれぞれ搭載される。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の後端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。以下、説明の都合上、「前方」とは車両後方の意味で用い、「後方」とは車両前方の意味で用いる。
【0032】
図2(a)は図1のA-A断面図、図2(b)は図1のB-B断面図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態の車両用灯具10は、灯具ユニット20、反射面40等を備える。灯具ユニット20は、アウターレンズ50とハウジング52とによって構成される灯室54内に配置され、ハウジング52に取り付けられる。
【0034】
図3は、灯具ユニット20の分解斜視図である。
【0035】
図3に示すように、灯具ユニット20は、テールランプ用フィルム光源22A(図3中4つを例示。以下、第1フィルム光源22Aという)と、ストップランプ用フィルム光源22B(図3中4つを例示。以下、第2フィルム光源22Bという)と、フィルム光源支持手段24(24a~24c)と、を備える。以下、第1フィルム光源22Aと第2フィルム光源22Bを特に区別しない場合、フィルム光源22と記載する。
【0036】
まず、フィルム光源について説明する。
【0037】
図4(a)は第1フィルム光源22Aの一例(正面図)、図4(b)は第2フィルム光源22Bの一例(正面図)である。
【0038】
図4(a)に示すように、第1フィルム光源22Aは、フィルム22aと、複数の半導体発光素子22bと、を含む。第2フィルム光源22Bも、半導体発光素子22bの数が相違する点以外、第1フィルム光源22Aと同様の構成であるため、以下、代表して第1フィルム光源22Aについて説明する。第1フィルム光源22A、第2フィルム光源22Bは共に配置している半導体発光素子22bの密度をフィルム面内で変化させている。上下の端部付近では密で中心付近では疎になるように配置している。なお、第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22bの数と、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bの数は、同数の場合もある。また、第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22bの配置と、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bの配置は、異なる場合もあるし、同一の場合もある。
【0039】
複数の半導体発光素子22bは、それぞれの電極パッドとフィルム22aに形成された配線パターン22cとを例えばバンプ接続することで、フィルム22aに固定(実装)されている。この点は後述する。
【0040】
フィルム22aは、表面とその反対側の裏面とを有し、フレキシブル性を有する透明フィルムである。なお、フィルム22aは、無色透明の場合もあるし、有色透明の場合もあるし、不透明の場合もある。本実施形態では第1及び第2フィルム光源22A、22Bを重ねた状態で配置しているため、前方の第1フィルム光源22Aにおいては、後方の第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bからの光Ray1が透過するように、フィルム22aとして透明フィルムを用いる。第2フィルム光源22Bにおいても、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bからの光Ray2が透過して後方の反射面40に向かうように、フィルム22aとして透明フィルム22aを用いる。フィルム22aの厚みは、例えば、100ミクロン程度又はそれ以下である。フィルム22aの外形は、例えば、矩形である。フィルム22aの材料は、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、セルロースナノファイバー、ポリアミドイミドである。
【0041】
フィルム22aには、配線パターン22c(22c1、22c2)が形成されている。配線パターン22cは、銀、銅、金等の金属製の配線パターンである。なお、配線パターン22cは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な配線パターンの場合もある。
【0042】
配線パターン22cは、縦方向かつ並列に延びる複数の縦配線パターン22c1と、横方向かつ並列に延びる複数の横配線パターン22c2と、を含む。縦配線パターン22c1と横配線パターン22c2は、互いに交差して格子パターンを構成した状態で配置されている。なお、配線パターン22cとして、格子パターン以外の様々なデザイン性のあるパターン(例えば、直線や曲線を含む模様パターン)を用いてもよい。
【0043】
縦配線パターン22c1は、半導体発光素子22bに駆動電流を供給するための配線パターンである。
【0044】
図5は、半導体発光素子22bの周囲の配線パターン22cの部分拡大図である。
【0045】
図5に示すように、横配線パターン22c2は、縦配線パターン22c1近傍が途切れた断続的な配線パターンである。横配線パターン22c2は、縦配線パターン22c1と横配線パターン22c2とを全体として格子パターンとして視認させるための配線パターン(いわゆるダミーの配線パターン)で、半導体発光素子22bに駆動電流を供給するための配線パターンではない。なお、縦配線パターン22c1及び横配線パターン22c2は、それぞれ、駆動電流が供給された半導体発光素子22bで発生する熱を放熱する役割も兼ねている。
【0046】
配線パターン22cは、次のようにして形成することができる。
【0047】
まず、フィルム22aの表面に、導電性粒子(例えば、導電性ナノ粒子)と絶縁材料とが分散された溶液、又は、絶縁材料層で被覆された導電性粒子が分散された溶液を塗布し、絶縁材料で被覆された導電性粒子の膜を形成する。
【0048】
次に、上記形成された膜に対してレーザー光を照射して焼結させる。その際、導電性粒子として、例えば、Agを用いることで、銀製の配線パターン22cを形成することができる(例えば、特開2018-4995号公報参照)。
【0049】
また例えば、配線パターン22cは、フィルム22aの一方の面に銅等の金属膜を形成し、これに対して周知のエッチングを施すことで形成することもできる。
【0050】
フィルム22aには、複数の半導体発光素子22bが実装される。なお、フィルム22aには、半導体発光素子22b以外の電子部品(例えば、抵抗)が実装される場合もある。
【0051】
半導体発光素子22bは、発光色が赤色の半導体発光素子である(テールランプ、ストップランプを構成する場合)。なお、半導体発光素子22bは、発光色がアンバー色の半導体発光素子の場合もある(ターンランプを構成する場合)し、発光色が白色の半導体発光素子の場合もある(バックランプを構成する場合)。
【0052】
半導体発光素子22bは、LEDチップ(LED素子)のみで構成されている。なお、半導体発光素子22bは、LEDチップと蛍光体や量子ドット等の波長変換材料とを組み合わせて構成される場合もあるし、複数のLEDチップを組み合わせて構成される場合もある。
【0053】
半導体発光素子22bのサイズは、例えば、300μm角程度である。半導体発光素子
22bの外形は、例えば、正方形である。なお、半導体発光素子22bの外形は、長方形の場合もあるし、三角形の場合もあるし、その他形状の場合もある。
【0054】
半導体発光素子22bは、図示しないが、基板、n型半導体層、発光層、p型半導体層、n側電極パッド、p側電極パッド等を含む。基板は発光層から放射される光に対して透明又は不透明な場合があるが、フィリップチップ実装される半導体発光素子22bの基板は透明が好ましい。また、フェイスアップ実装される半導体発光素子22bの基板は不透明が好ましいが、透明でもよい。n型半導体層、発光層、p型半導体層は、基板上に積層されている。以下、n型電極パッド、p型電極パッドのことを電極パッド22b1という。
【0055】
半導体発光素子22bは、フィルム22aの少なくとも表面に二次元的に配置された状態で固定(フリップチップ実装)されている。例えば、第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22bは、図4(a)中、縦配線パターン22c1と横配線パターン22c2とが交差する部分のうち黒丸を描いた部分に固定されている。一方、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bは、図4(b)中、縦配線パターン22c1と横配線パターン22c2とが交差する部分のうち黒丸を描いた部分に固定されている。
【0056】
半導体発光素子22bは、ストップランプに求められる面積要件を考慮して例えば正面視で50cmの矩形領域A(図4(a)、図4(b)中の一点鎖線で囲った領域参照)に二次元的に配置されている。
【0057】
半導体発光素子22bの配置間隔(つまり、縦配線パターン22c1同士の間隔、横配線パターン22c2同士の間隔)は、例えば、3mmである。なお、半導体発光素子22bは、縦配線パターン22c1と横配線パターン22c2とが交差する部分に限らず、デザイン性を考慮して、それ以外の様々な位置に配置してもよい。
【0058】
図6(a)は、フリップチップ実装の例である。
【0059】
図6(a)に示すように、半導体発光素子22bは、電極パッド22b1が設けられた側の面(以下、電極面という)がフィルム22aの表面に対向した状態でフィルム22aに実装される(フリップチップ実装)。具体的には、半導体発光素子22bは、電極パッド22b1とフィルム22aに形成された配線パターン22c(縦配線パターン22c1)とを例えばバンプ接続することで、フィルム22aに固定される。なお、フィルム22aに固定された半導体発光素子22bは、図示しないが、樹脂で封止されたり、カバー部材で覆われる場合がある。
【0060】
図6(b)は、フェイスアップ実装の一例である。
【0061】
図6(b)に示すように、半導体発光素子22bは、電極面と反対側の面がフィルム22aの表面に対向した状態でフィルム22aに実装してもよい(フェイスアップ実装)。この場合、半導体発光素子22bは、例えば、銀ペーストや樹脂等の接着剤によってフィルム22a(又は配線パターン)に固定される。そして、電極パッド22b1と配線パターン22c(縦配線パターン22c1)とが金属ワイヤW(ダブルワイヤ)で電気的に接続される。
【0062】
図6(c)は、フェイスアップ実装の他の一例である。
【0063】
半導体発光素子22は、当該半導体発光素子22として図6(c)に示すように電極パッド22b2が配置されたものを用い、互いに対向する電極パッド22b1のうち大きい方の電極パッドがフィルム22aの表面に対向した状態でフィルム22aに実装してもよい(フェイスアップ実装)。この場合、半導体発光素子22は、例えば、銀ペースト等の導電性接着剤によって配線パターン(縦配線パターン22c1)に固定される。そして、小さい方の電極パッド22b2と配線パターン22c(縦配線パターン22c1)とが金属ワイヤW(シングルワイヤ)で電気的に接続される。
【0064】
半導体発光素子22bは、配線パターン22c(縦配線パターン22c1)を介して駆動電流が供給されることで発光する。図6(a)に示すように、半導体発光素子22bが発光する光には、電極面と反対側の面から放出される光Ray1と、電極面から放出される光Ray2と、がある。
【0065】
電極面と反対側の面から放出される光Ray1と電極面から放出される光Ray2の比率は、半導体発光素子22bの構造等によって異なるが、例えば、7:3である。図6(a)中の矢印の太さはこのことを表している。
【0066】
なお、図6(b)、図6(c)に示すように、半導体発光素子22bをフェイスアップ実装した場合、一方の面からのみ光が放出されるフィルム光源となる。この場合、縦配線パターン22c1に銀又は接着剤に反射性の銀ペーストを用いることで半導体発光素子22bからフィルム22a側に向かう光が反射され、フィルム22aとは反対側の面から放出される。
【0067】
なお、図6(b)に示すように、半導体発光素子22bをフェイスアップ実装した場合であっても、例えば、半導体発光素子22bの基板として透明基板を用い、半導体発光素子22bとフィルム22a(又は縦配線パターン22c1が透明電極である場合、縦配線パターン22c1)とを接着する接着剤として透明な接着剤を用いることで、図6(a)に示すのと同様、一方の面及びその反対側の面の両方から光が放出されるフィルム光源を構成することができる。
【0068】
次に、フィルム光源支持手段24について説明する。
【0069】
フィルム光源支持手段24は、フィルム22aが一定の形状(例えば、平面形状又は湾曲形状)を保った状態で第1及び第2フィルム光源22A、22Bを支持する。図3に示すように、フィルム光源支持手段24は、前レンズ24a、中間レンズ24b、後レンズ24c、レンズ固定手段24d(例えば、ネジ)を備える。なお、図3中、レンズ固定手段24dは省略されている。各レンズ24a~24cの材料は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂である。
【0070】
図3に示すように、中間レンズ24bは、レンズ本体24b1と、フランジ部24b2と、を含む。レンズ本体24b1は、透明板を縦断面が前方に向かって凸で(図2(a)参照)、横断面が直線となるように(図2(b)参照)湾曲させた形状のレンズである。第1フィルム光源22Aは、中間レンズ24bに対して位置決めされ、その裏面と中間レンズ24bの表面とを図3に示すように対向させた状態で(例えば、両面テープで密着もしくは略密着させた状態で)中間レンズ24bに固定される。これにより、フィルム光源22Aは、中間レンズ24bに沿って湾曲した状態で支持される。なお、第1フィルム光源22Aは、前レンズ24aと中間レンズ24bとの間に挟持してもよい。
【0071】
後レンズ24cは、中間レンズ24bと同様、レンズ本体24c1と、フランジ部24c2と、を含む。レンズ本体24c1は、透明板を縦断面が前方に向かって凸で(図2(a)参照)、横断面が直線となるように(図2(b)参照)湾曲させた形状のレンズである。第2フィルム光源22Bは、後レンズ24cに対して位置決めされ、その裏面と後レンズ24cの表面とを図3に示すように対向させた状態で(例えば、両面テープで密着又は略密着させた状態で)後レンズ24cに固定される。これにより、第2フィルム光源22Bは、後レンズ24cに沿って湾曲した状態で支持される。なお、第1フィルム光源22Aは、前レンズ24aと中間レンズ24bとの間に挟持してもよい。
【0072】
前レンズ24aは、レンズ本体24a1と、フランジ部24a2と、レンズ本体24a1を取り囲むフレーム部24a3と、を含む。レンズ本体24a1は、透明板を縦断面が前方に向かって凸で(図2(a)参照)、横断面が直線となるように(図2(a)参照)湾曲させた形状のレンズである。なお、フレーム部24a3には、アルミ蒸着等の装飾を施してもよいし、無装飾な透明板としてもよい。レンズ24a、24b、24c、並びに、第1及び第2フィルム光源22A、22Bのフィルム22aとして透明なものを用いることで、光源(例えば、半導体発光素子22b)非発光時における光源の存在を認識しにくくさせることができる。
【0073】
レンズ固定手段24dは、前レンズ24a、中間レンズ24b及び後レンズ24cを互いに位置決めされた状態で固定する手段で、例えば、ネジである。
【0074】
前レンズ24a、中間レンズ24b及び後レンズ24cは、例えば、第1フィルム光源22Aの表面(半導体発光素子22b)と前レンズ24aの裏面とが空間S1(図2(a)参照)を挟んで対向し、第2フィルム光源22Bの表面(半導体発光素子22b)と中間レンズ24bの裏面とが空間S2(図2(a)参照)を挟んで対向し、かつ、図7に示すように、各レンズ24a~24cの各フランジ部24a2~24c2を重ね合わせた状態で、後レンズ24c(フランジ部24c2)に形成されたネジ穴N1及び中間レンズ24b(フランジ部24b2)に形成されたネジ穴N2に挿入されたレンズ固定手段24dとしてのネジ(図示せず)を、前レンズ24a(フランジ部24a2)にネジ止めすることで、互いに位置決めされた状態で固定される。図7は、重ね合わせた状態の各フランジ部24a2~24c2の斜視図である。なお、各レンズ24a~24cをネジ止めする箇所は2箇所に限らない。例えば、図3に6つの矢印で示すように6箇所であってもよい。
【0075】
図8は、第1フィルム光源22A及びその背後に配置された第2フィルム光源22Bを透視した図(正面視)である。図8中、符号22Abが第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22bを表し、符号22Bbが第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bを表す。
【0076】
上記のように各レンズ24a~24cがネジ止め固定された状態で、図2に示すように、第1及び第2フィルム光源22A、22Bは、正面視で、同一範囲(図2中の符号L1、L2が示す範囲参照)内において車両前後方向に重なった状態で(つまり、車両前後方向に直列に)配置される。同一範囲は、法規が求める面積要件を満たす範囲で、例えば、ストップランプの場合、50cmである。
【0077】
このように第1及び第2フィルム光源22A、22Bを正面視で同一範囲内において車両前後方向に重なった状態で配置することの利点は次のとおりである。
【0078】
例えば、上記従来技術(特許文献1参照)では、テールランプとして機能する有機ELパネル、ストップランプとして機能する有機ELパネルが正面視で並列に(横並びに)配置されていたため、正面視での車両用灯具のサイズが大きくなる。
【0079】
これに対して、本実施形態では、第1及び第2フィルム光源22A、22Bが、正面視で、同一範囲内において車両前後方向に重なった状態で(つまり、車両前後方向に直列に)配置されているため、上記従来技術と比べ、正面視での車両用灯具のサイズを小さくすることができる。
【0080】
また、上記のように各レンズ24a~24cがネジ止め固定された状態で、図8に示すように、第1及び第2フィルム光源22A、22Bそれぞれの半導体発光素子22b(例えば22Bb)は、正面視で、他のフィルム光源の半導体発光素子22b(例えば22Ab)及び配線パターン22cと相互に重ならず、かつ、他のフィルム光源のフィルム部分22a1と重なった状態で配置されている。また、一方のフィルム光源の半導体発光素子22bは他方のフィルム光源の半導体発光素子22bで正面視において囲まれる位置に配置されている。すなわち、半導体発光素子22Ab(22Bb)は、正面視で、半導体発光素子22Bb(22Ab)で囲まれた位置に配置されている。
【0081】
これにより、後方に配置された第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)から前方に放出される光Ray1が、前方に配置された第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ab)及び配線パターン22cによって遮られることなく(または殆ど遮られることなく)、前方に配置された第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ab)間のフィルム部分22a1を透過して前方に照射される。これにより、後方に配置された第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)から前方に放出される光Ray1の光利用効率が向上する。
【0082】
また、逆に、前方に配置された第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ab)から後方に放出される光Ray2が、後方に配置された第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)及び配線パターン22cによって遮られることなく(または殆ど遮られることなく)、後方に配置された第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)間のフィルム部分を透過して後方に照射される。これにより、前方に配置された第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ab)から後方に放出される光Ray2の光利用効率が向上する。
【0083】
図9は、ハウジング52の斜視図である。
【0084】
上記のように構成された灯具ユニット20は、ハウジング52に位置決めされた状態で固定される。具体的には、灯具ユニット20は、上記のように重ね合わせた各フランジ部24a2~24c2(図7参照)をハウジング52に形成された溝部52a(図9参照)に嵌合させることで(図2(b)参照)、ハウジング52に位置決めされた状態で固定される。各フランジ部24a2~24c2が灯具ユニット支持手段に相当する。
【0085】
これにより、灯具ユニット20は、ハウジング52との間に空間を保った状態で灯室54内に配置される(図2(a)及び図2(b)参照)。なお、各フランジ部24a2~24c2が嵌合した溝部52aは、エクステンション56(図9参照)で覆われる。
【0086】
図2に示すように、灯具ユニット20の後方には、反射面40が配置されている。反射面40は、例えば、ハウジング52の前面に対してシボ加工を施し、当該シボ加工が施されたハウジング52の前面(シボ面)に対してアルミ蒸着を施すことで形成される。
【0087】
反射面40は、第2フィルム光源22Bのフィルム22aの裏面が対向した状態で配置され、複数の半導体発光素子22bのうち一部又は全部から放出され、フィルム22aを透過した光Ray2を反射する。具体的には、反射面40は、第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ba)の電極面から放出され、第2フィルム光源22Bのフィルム部分を透過して後方に照射される光Ray2、及び、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)の電極面から放出され、後方に照射される光Ray2を反射する。なお、反射面40は省略してもよい。
【0088】
次に、第1及び第2フィルム光源22A、22B(半導体発光素子22b)の発光パターンについて説明する。第1及び第2フィルム光源22A、22Bは、それぞれの半導体発光素子22bの発光状態(点灯状態)を制御するための制御装置58(図2(b)参照)に接続されている。
【0089】
まず、車両用灯具10をテールランプとして機能させる場合の発光パターンの一例について説明する。
【0090】
車両用灯具10をテールランプとして機能させる場合、第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22Bそれぞれの半導体発光素子22bのうち一部又は全部を第1発光パターンで発光させる。
【0091】
第1発光パターンは、例えば、第1フィルム光源22Aの全ての半導体発光素子22b(図4(a)中の黒丸で描いた部分参照)及び第2フィルム光源22Bの全ての半導体発光素子22b(図4(b)中の黒丸で描いた部分参照)を、第1輝度で発光させるパターンである。なお、第1発光パターンは、これに限らない。例えば、第1発光パターンとして、一部の半導体発光素子22bを消灯又は減光した状態で点灯した発光パターンを用いてもよい。また、第1発光パターンとして、輝度がグラデーション状に変化する発光パターンを用いてもよい。また、第1発光パターンとして、一つ一つの半導体発光素子22bの輝度を変化させた発光パターンを用いてもよい。これにより、遠近感(奥行き感)を表現することができる。
【0092】
また、第1発光パターンは、静的な発光パターンに限らず、輝度、発光形状、発光位置等が経時的に変化する動的な発光パターンであってもよい。
【0093】
以上のように第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22Bそれぞれの半導体発光素子22bが第1発光パターンで発光した場合、前方に配置された第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ab)から前方に放出される光Ray1、及び、後方に配置された第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)から前方に放出され、前方に配置された第1フィルム光源22Aのフィルム部分22a1を透過して前方に照射される光Ray1によって、テールランプ用配光パターンが形成される。
【0094】
また、後方に配置された第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)から後方に放出される光Ray2、及び、前方に配置された第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ab)からフィルム22aを透過して後方に放出され、後方に配置された第2フィルム光源22Bのフィルム部分を透過して後方に照射される光Ray2が、反射面40で反射されることにより、反射面40が発光する。
【0095】
以上のように、車両用灯具10をテールランプとして機能させる場合、第1フィルム光源22A、第2フィルム光源22B、及び、反射面40がそれぞれ発光し、第1フィルム光源22Aを透してその背後で発光する第2フィルム光源22B及び反射面40が視認される。これにより、奥行き感のある立体的な発光見栄えが実現される。
【0096】
また、上記のようにフィルム光源支持手段24(24a~24c)が第1及び第2フィルム光源22A、22Bを一定の形状(例えば、湾曲形状)を保った状態で支持している。これにより、第1及び第2フィルム光源22A、22Bそれぞれの半導体発光素子22bが立体的に配置されることになる。これによっても、奥行き感のある立体的な発光見栄えが実現される。
【0097】
また、灯具ユニット20はハウジング52との間に空間を保った状態で灯室54内に配置されているため、あたかも灯具ユニット20が灯室54内に浮かんでいるかのように視認される発光見栄えが実現される。
【0098】
次に、車両用灯具10をストップランプとして機能させる場合の発光パターンの一例について説明する。
【0099】
車両用灯具10をストップランプとして機能させる場合、第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22Bそれぞれの半導体発光素子22bのうち一部又は全部を第1発光
パターンとは異なる第2発光パターンで発光させる。
【0100】
第2発光パターンは、例えば、第1フィルム光源22Aの全ての半導体発光素子22b(図4(a)中の黒丸で描いた部分参照)及び第2フィルム光源22Bの全ての半導体発光素子22b(図4(b)中の黒丸で描いた部分参照)を、第2輝度(第2輝度>第1輝度)で発光させるパターンである。なお、第2発光パターンは、これに限らない。例えば、第2発光パターンとして、一部の半導体発光素子22bを消灯又は減光した状態で点灯した発光パターンを用いてもよい。また、第2発光パターンとして、輝度がグラデーション状に変化する発光パターンを用いてもよい。また、第2発光パターンとして、一つ一つの半導体発光素子22bの輝度を変化させた発光パターンを用いてもよい。これにより、遠近感(奥行き感)を表現することができる。
【0101】
また、第2発光パターンは、静的な発光パターンに限らず、輝度、発光形状、発光位置等が経時的に変化する動的な発光パターンであってもよい。
【0102】
以上のように第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22Bそれぞれの半導体発光素子22bが第2発光パターンで発光した場合、前方に配置された第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ab)から前方に放出される光Ray1、及び、後方に配置された第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)から前方に放出され、前方に配置された第1フィルム光源22Aのフィルム部分22a1を透過して前方に照射される光Ray1によって、ストップランプ用配光パターンが形成される。
【0103】
また、後方に配置された第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22b(22Bb)から後方に放出される光Ray2、及び、前方に配置された第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22b(22Ab)からフィルム22aを透過して後方に放出され、後方に配置された第2フィルム光源22Bのフィルム部分を透過して後方に照射される光Ray2が、反射面40で反射されることにより、反射面40が発光する。
【0104】
以上のように、車両用灯具10をストップランプとして機能させる場合、第1フィルム光源22A、第2フィルム光源22B、及び、反射面40がそれぞれ発光し、第1フィルム光源22Aを透してその背後で発光する第2フィルム光源22B及び反射面40が視認される。これにより、奥行き感のある立体的な発光見栄えが実現される。
【0105】
また、上記のようにフィルム光源支持手段24(24a~24c)が第1及び第2フィルム光源22A、22Bを一定の形状(例えば、湾曲形状)を保った状態で支持している。これにより、第1及び第2フィルム光源22A、22Bの半導体発光素子22bが立体的に配置されることになる。これによっても、奥行き感のある立体的な発光見栄えが実現される。
【0106】
また、灯具ユニット20はハウジング52との間に空間を保った状態で灯室54内に配置されているため、あたかも灯具ユニット20が灯室54内に浮かんでいるかのように視認される発光見栄えが実現される。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具10によれば、法規が求める配光規格を満たすとともに、様々な輝度及び様々な発光形状の発光パターン(多彩な発光グラフィックス)を実現することができる新規発光見栄えの車両用灯具を提供することができる。
【0108】
これは、フィルム22aの少なくとも表面に二次元的(ディスプレイ的)に配置された状態で固定された複数の半導体発光素子22bを含む第1及び第2フィルム光源22A、22Bを備えているため、複数の半導体発光素子22bを個別に点灯又は消灯することで、様々な輝度及び様々な発光形状の発光パターン(多彩な発光グラフィックス)を実現することができることによるものである。
【0109】
また、本実施形態によれば、第1及び第2フィルム光源22A、22Bの半導体発光素子22bから後方に放出される光Ray2の光利用効率が向上する。すなわち、第1及び第2フィルム光源22A、22Bの半導体発光素子22bから後方に放出される光Ray2によって反射面40を発光させることができる。これにより、発光する反射面40が第1及び第2フィルム光源22A、22B(フィルム22a)を透して視認される奥行き感のある立体的な発光見栄えを実現することができる。
【0110】
なお、法規が求める配光規格を満たすことができる(特に、高輝度が求められるストップランプ、ターンランプの場合)のは、有機ELより輝度が高い半導体発光素子22bを用いていることによるものである。
【0111】
また、本実施形態によれば、テールランプとして機能させる場合とストップランプとして機能させる場合とで、発光見栄え(発光パターン)が全く異なる商品性の高い車両用灯具を提供することができる。
【0112】
これは、第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22Bが、正面視で、同一範囲内において車両前後方向に重なった状態で配置されていることによるものである。
【0113】
また、本実施形態によれば、複数の半導体発光素子22bが二次元的に配置された状態で固定されたフレキシブル性を有する第1及び第2フィルム光源22A、22Bを用いているため、複数の半導体発光素子22b1つ1つを個別に所定位置に所定姿勢で配置する場合と比べ、フィルム光源支持手段24(24a~24c)によってフィルム22aが一定の形状(例えば、湾曲形状)を保った状態で第1及び第2フィルム光源22A、22Bを支持するだけで、複数の半導体発光素子22b全てを一気に所定位置に所定姿勢で二次元的又は三次元的に配置することができる。
【0114】
また、本実施形態によれば、第1フィルム光源22Aの裏面と中間レンズ24bの表面とが面接触しているため、また、第2フィルム光源22Bの裏面と後レンズ24cの表面とが面接触しているため、第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22A(フィルム)の形状を一定の形状(例えば、湾曲形状)に保つことができる。
【0115】
上記従来技術(特許文献1参照)では、テールランプとして機能する有機ELパネル、ストップランプとして機能する有機ELパネルが正面視で並列に(横並びに)配置されていたため、正面視での車両用灯具のサイズが大きくなる。
【0116】
これに対して、本実施形態によれば、第1及び第2フィルム光源22A、22Bが、正面視で、同一範囲内において車両前後方向に重なった状態で(つまり、車両前後方向に直列に)配置されているため、上記従来技術と比べ、正面視での車両用灯具10のサイズを小さくすることができる。
【0117】
また、本実施形態によれば、前レンズ24aと中間レンズ24bとの間、及び、中間レンズ24bと後レンズ24cとの間にそれぞれ第1及び第2フィルム光源22A、22Bが配置された状態で前レンズ24aと中間レンズ24bと後レンズ24cとが固定された薄型軽量の灯具ユニットを構成することができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、第1フィルム光源22Aの裏面と中間レンズ24bの表面とが面接触しているため、また、第2フィルム光源22Bの裏面と後レンズ24cの表面とが面接触しているため、第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22B(フィルム)の形状を一定の形状(例えば、湾曲形状)に保つことができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、第1フィルム光源22Aの表面と前レンズ24aの裏面とが空間S1を挟んで対向しているため、また、第2フィルム光源22Bの表面と中間レンズ24bの裏面とが空間S2を挟んで対向しているため、第1フィルム光源22Aの表面及び第2フィルム光源22Bの表面(当該表面に実装された複数の半導体発光素子22b)が前レンズ24aの裏面及び中間レンズ24bの裏面に接触等して破損するのが抑制される。
【0120】
また、本実施形態によれば、第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22bの発光色と第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bの発光色が同一であるため、1つの灯具ユニット20で、同一色で多機能の車両用灯具、例えば、テールランプ(赤色)及びストップランプ(赤色)を実現することができる。
【0121】
また、本実施形態によれば、第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22Bそれぞれの複数の半導体発光素子22bのうち一部又は全部を第1発光パターンで発光させることで、第1配光パターン(例えば、テールランプ用配光パターン)を形成することができる。また、複数の半導体発光素子22bのうち一部又は全部を第2発光パターンで発光させることで、第2配光パターン(例えば、ストップランプ用配光パターン)を形成することができる。
【0122】
また、本実施形態によれば、第1及び第2フィルム光源22A、22Bのフィルム22aが透明フィルムであるため、第1及び第2フィルム光源22A、22Bの半導体発光素子22が後方に放出する光が当該フィルム22aを透過する。これにより、第1及び第2フィルム光源22A、22Bの半導体発光素子22bから後方に放出される光の光利用効率が向上する。
【0123】
また、本実施形態によれば、有機ELより輝度が高い半導体発光素子22bが二次元的に配置された状態で固定されたフレキシブル性を有する第1及び第2フィルム光源22A、22Bを用いているため、薄型でフレキシブル、かつ、ストップランプ用配光パターンやターンランプ用配光パターン等の形成が可能な十分な光量を持った車両用灯具10を提供することができる。
【0124】
次に、変形例について説明する。
【0125】
上記実施形態では、本発明の車両用灯具をテールランプ、ストップランプ、ターンランプ等の車両用信号灯具に適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、DRLランプ、車両内装照明(例えば、インジケーター)、警告灯の他、一般照明に本発明の車両用灯具を適用してもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22bの発光色と第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bの発光色が同一である例について説明したが、これに限らない。例えば、第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22bの発光色と第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bの発光色は互いに異なっていてもよい。
【0127】
例えば、第1フィルム光源22Aの半導体発光素子22bの発光色が赤色で、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bの発光色がアンバー色であってもよい。
【0128】
このようにすれば、1つの灯具ユニット20で、異なる色で多機能の車両用灯具、例えば、テールランプ(赤色)及びターンランプ(アンバー色)を実現することができる。
【0129】
また、フィルム光源のフィルム22aとして不透明フィルムを用いてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、車両前後方向に重なった状態の2つのフィルム光源22(例えば、第1及び第2フィルム光源22A、22B)を用いて灯具ユニット20を構成した例について説明したが、これに限らない。
【0131】
例えば、車両前後方向に重ならないフィルム光源を用いて灯具ユニット20を構成してもよい。
【0132】
また、車両前後方向に重なった状態の3つ以上のフィルム光源を用いて灯具ユニット20を構成してもよい。
【0133】
図10は、車両前後方向に重なった状態の4つのフィルム光源を用いて灯具ユニット20を構成した例である。図10中、符号22cはターンランプ用のフィルム光源(半導体発光素子の発光色がアンバー色)を示しており、符号22Dはバックランプ用のフィルム光源(半導体発光素子の発光色が白色)を示している。
【0134】
図11は、フィルム光源(半導体発光素子22b)の発光パターンの一例である。
【0135】
フィルム光源(半導体発光素子22b)の発光パターンは、図11(a)に示すように、フィルム光源ごとに発光形状が同一でサイズが異なる発光パターンであってもよいし、図11(b)に示すようにフィルム光源ごとに発光形状が異なる発光パターンであってもよい。このようにすれば、さらに奥行き感、立体感を際立たせることができる。
【0136】
また、上記実施形態では、レンズ固定手段24dとして、ネジを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、レンズ固定手段24dとして、係合手段を用いてもよい。例えば、図示しないが、第1爪部を前レンズ24aに設け、第1フック部及び第2爪部を中間レンズ24bに設け、第2フック部を後レンズ24cに設ける(または、第1フック部を前レンズ24aに設け、第1爪部及び第2フック部を中間レンズ24bに設け、第2爪部を後レンズ24cに設ける。そして、第1爪部と第1フック部を係合させ、かつ、第2爪部と第2フック部を係合させる。これによっても、前レンズ24a、中間レンズ24b及び後レンズ24cを、互いに位置決めされた状態で固定することができる。
【0137】
図12は、前レンズ24aと第1フィルム光源22Aとの間に半導体発光素子26からの光を導光して前面から出射する導光板28を配置した例である。導光板28の裏面には、導光板28内を導光される半導体発光素子26からの光を前面から出射させるための構造物(複数のV溝等のレンズカット)が施されている。
【0138】
このようにすれば、例えば、車両用灯具10をテールランプとして機能させる場合、上記のように第1フィルム光源22A及び第2フィルム光源22Bそれぞれの半導体発光素子22bのうち一部又は全部を第1発光パターンで発光させるととともに、半導体発光素子26を点灯し、導光板28内を導光される半導体発光素子26からの光を前面から出射させて面発光させることで、面発光の中に第1発光パターンが浮かびあがる極めて意匠性の高い発光見栄えを実現することができる。
【0139】
なお、図示しないが、中間レンズ24bと第2フィルム光源22Bとの間にも半導体発光素子26からの光を導光して前面から出射する導光板28を配置してもよい。
【0140】
次に、変形例として、車両前後方向に重ならないフィルム光源22を用いて灯具ユニット20Aを構成する例について説明する。
【0141】
本変形例の灯具ユニット20Aは、図示しないが、上記実施形態で説明した灯具ユニット20から第1フィルム光源22A及び中間レンズ24bを省略したものに相当する。この場合、第2フィルム光源22bは、他のフィルム光源に重ならない。それ以外、上記実施形態で説明した車両用灯具10と同様である。以下、上記実施形態で説明した車両用灯具10との相違点を中心に説明する。
【0142】
第2フィルム光源22B(半導体発光素子22b)の発光パターンについて説明する。
【0143】
まず、灯具ユニット20Aを用いた車両用灯具10をテールランプとして機能させる場合の発光パターンの一例について説明する。
【0144】
灯具ユニット20Aを用いた車両用灯具10をテールランプとして機能させる場合、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bのうち一部又は全部を第3発光パターンで発光させる。
【0145】
第3発光パターンは、例えば、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bのうち図4(a)中の黒丸で描いた部分(半導体発光素子22b)を、第1輝度で発光させるパターンである。なお、第3発光パターンは、これに限らない。例えば、第3発光パターンとして、図4(a)中の黒丸で描いた部分(半導体発光素子22b)のうち一部の半導体発光素子22bを消灯又は減光した状態で点灯した発光パターンを用いてもよい。また、第3発光パターンとして、図4(a)中の黒丸で描いた部分(半導体発光素子22b)の輝度がグラデーション状に変化する発光パターンを用いてもよい。また、第3発光パターンとして、一つ一つの半導体発光素子22bの輝度を変化させた発光パターンを用いてもよい。これにより、遠近感(奥行き感)を表現することができる。
【0146】
また、第3発光パターンは、静的な発光パターンに限らず、図4(a)中の黒丸で描いた部分(半導体発光素子22b)の輝度、発光形状、発光位置等が経時的に変化する動的な発光パターンであってもよい。
【0147】
以上のように第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bが第3発光パターンで発光した場合、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bから前方に放出される光Ray1によって、テールランプ用配光パターンが形成される。
【0148】
また、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bからフィルム22aを透過して後方に放出される光Ray2が、反射面40で反射されることにより、反射面40が発光する。
【0149】
以上のように、灯具ユニット20Aを用いた車両用灯具10をテールランプとして機能させる場合、第2フィルム光源22B、及び、反射面40がそれぞれ発光し、第2フィルム光源22Bを透してその背後で発光する反射面40が視認される。これにより、奥行き感のある立体的な発光見栄えが実現される。
【0150】
また、上記のようにフィルム光源支持手段24(24a~24c)が第2フィルム光源22Bを一定の形状(例えば、湾曲形状)を保った状態で支持している。これにより、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bが立体的に配置されることになる。これによっても、奥行き感のある立体的な発光見栄えが実現される。
【0151】
また、灯具ユニット20Aはハウジング52との間に空間を保った状態で灯室54内に配置されているため、あたかも灯具ユニット20Aが灯室54内に浮かんでいるかのように視認される発光見栄えが実現される。
【0152】
次に、灯具ユニット20Aを用いた車両用灯具10をストップランプとして機能させる場合の発光パターンの一例について説明する。
【0153】
灯具ユニット20Aを用いた車両用灯具10をストップランプとして機能させる場合、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bのうち一部又は全部を第3発光パターンと異なる第4発光パターンで発光させる。
【0154】
第4発光パターンは、例えば、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bのうち図4(b)中の黒丸で描いた部分(半導体発光素子22b)を、第2輝度(第2輝度>第1輝度)で発光させるパターンである。なお、第4発光パターンは、これに限らない。例えば、第4発光パターンとして、図4(b)中の黒丸で描いた部分(半導体発光素子22b)のうち一部の半導体発光素子22bを消灯又は減光した状態で点灯した発光パターンを用いてもよい。また、第4発光パターンとして、図4(b)中の黒丸で描いた部分(半導体発光素子22b)の輝度がグラデーション状に変化する発光パターンを用いてもよい。また、第4発光パターンとして、一つ一つの半導体発光素子22bの輝度を変化させた発光パターンを用いてもよい。これにより、遠近感(奥行き感)を表現することができる。
【0155】
また、第4発光パターンは、静的な発光パターンに限らず、図4(b)中の黒丸で描いた部分(半導体発光素子22b)の輝度、発光形状、発光位置等が経時的に変化する動的な発光パターンであってもよい。
【0156】
以上のように第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bが第4発光パターンで発光した場合、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bから前方に放出される光Ray1によって、ストップランプ用配光パターンが形成される。
【0157】
また、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bからフィルム22aを透過して後方に放出される光Ray2が、反射面40で反射されることにより、反射面40が発光する。
【0158】
以上のように、灯具ユニット20Aを用いた車両用灯具10をストップランプとして機能させる場合、第2フィルム光源22B、及び、反射面40がそれぞれ発光し、第2フィルム光源22Bを透してその背後で発光する反射面40が視認される。これにより、奥行き感のある立体的な発光見栄えが実現される。
【0159】
また、上記のようにフィルム光源支持手段24(24a~24c)が第2フィルム光源22Bを一定の形状(例えば、湾曲形状)を保った状態で支持している。これにより、第2フィルム光源22Bの半導体発光素子22bが立体的に配置されることになる。これによっても、奥行き感のある立体的な発光見栄えが実現される。
【0160】
また、灯具ユニット20Aはハウジング52との間に空間を保った状態で灯室54内に配置されているため、あたかも灯具ユニット20Aが灯室54内に浮かんでいるかのように視認される発光見栄えが実現される。
【0161】
以上説明したように、本変形例によれば、上記実施形態の効果に加え、さらに、前レンズ24aと後レンズ24cとの間に第2フィルム光源22Bが配置された状態で前レンズ24aと後レンズ24bとが固定された薄型軽量の灯具ユニット20Aを構成することができる。
【0162】
また、本変形例によれば、第2フィルム光源22Bの裏面と後レンズ24cの表面とが面接触しているため、第2フィルム光源22B(フィルム22a)の形状を一定の形状(例えば、湾曲形状)に保つことができる。
【0163】
また、本変形例によれば、第2フィルム光源22Bの表面と前レンズ24aの裏面とが空間を挟んで対向しているため、第2フィルム光源22Bの表面(当該表面に実装された複数の半導体発光素子22b)が前レンズ24aの裏面に接触等して破損するのが抑制される。
【0164】
また、本変形例によれば、1つのフィルム光源(例えば、第2フィルム光源22B)を用いることで、テールランプ用配光パターン及びストップランプ用配光パターンを形成することができる。
【0165】
次に、第2実施形態の車両用灯具10Aについて説明する。
【0166】
図13は第2実施形態の車両用灯具10Aの概略図(縦断面図)、図14は第2実施形態の車両用灯具10Aの概略図(斜視図)である。
【0167】
図13図14に示すように、第2実施形態の車両用灯具10Aは、上記第1実施形態で説明した車両用灯具10に対して配光制御レンズ60を追加し、反射面40に代えて反射面40Aを用いたものに相当する。それ以外、上記第1実施形態で説明した車両用灯具10と同様である。以下、上記第1実施形態で説明した車両用灯具10との相違点を中心に説明する。なお、上記第1実施形態で説明した車両用灯具10と同一の構成には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0168】
フィルム光源22は、フレキシブル性を有する透明フィルム22aと、透明フィルム22aの少なくとも表面に二次元的に配置された状態で固定された複数の半導体発光素子22bと、を含むフィルム光源で、例えば、第1フィルム光源22A又は第2フィルム光源22Bである。
【0169】
配光制御レンズ60は、フィルム光源22の半導体発光素子22bのうち一部又は全部から放出され、透明フィルム22aを透過した光Ray2を制御する。配光制御レンズ60の材料は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂である。
【0170】
配光制御レンズ60は、表面及びその反対側の裏面を含む板状のレンズである。図14に示すように、配光制御レンズ60は、フィルム光源22の複数の半導体発光素子22bそれぞれが対応する複数のレンズ部62を含む。複数のレンズ部62は、配光制御レンズ60の表面に設けられる場合もあるし、裏面に設けられる場合もある。
【0171】
複数のレンズ部62は、それぞれ、当該レンズ部62が対応する半導体発光素子22b近傍に焦点が設定されたレンズ部で、例えば、フレネルレンズである。
【0172】
複数のレンズ部62は、それぞれ、当該レンズ部62が対応する半導体発光素子22bから放出され、透明フィルム22aを透過した光Ray2を制御する。具体的には、複数のレンズ部62は、それぞれ、当該レンズ部62が対応する半導体発光素子22bから放出され、透明フィルム22aを透過した光Ray2を平行光に変換する(図13参照)。
【0173】
以上のようにして、配光制御レンズ60は、フィルム光源22の半導体発光素子22bのうち一部又は全部から放出され、透明フィルム22aを透過した光Ray2を制御する。
【0174】
配光制御レンズ60は、フィルム光源22の半導体発光素子22bと配光制御レンズ60のレンズ部62がフィルム22aを挟んで対向し、かつ、配光制御レンズ60のレンズ部62と反射面40Aの反射領域42が対向した状態でフィルム光源22と反射面40Aとの間に配置される(図13図14参照)。
【0175】
反射面40Aは、配光制御レンズ60によって制御された光Ray2を目的の方向に反射する。反射面40Aは、例えば、ハウジング52の前面に対してアルミ蒸着を施すことで形成される。
【0176】
図14に示すように、反射面40Aは、例えば、複数のレンズ部62それぞれが対応する複数の反射領域42を含む。複数の反射領域42は、それぞれ、当該反射領域42が対応するレンズ部62に向かって凸又は凹の半球状の反射面である。なお、反射面40Aは、自由曲面であってもよい。
【0177】
レンズ部62によって制御された光Ray2、すなわち、平行光に変換された光Ray2は、反射領域42で上下左右に拡散され、配光制御レンズ60及びフィルム光源22を透過して前方に照射される(図13参照)。
【0178】
反射領域42で反射される光Ray2の拡散範囲は、例えば、反射領域42の縦断面の曲率及び横断面の曲率を調整することで調整することができる。例えば、反射領域42の縦断面の曲率及び横断面の曲率は、反射領域42で反射される光Ray2の拡散範囲がテールランプ用配光パターン又はストップランプ用配光パターンの範囲に納まるように調整することができる。
【0179】
以上のようにして、配光制御レンズ60によって制御された光Ray2が目的の方向に反射される。
【0180】
上記構成の配光制御レンズ60及び反射面40Aは、フィルム光源22を用いた様々な車両用灯具に適用することができる。
【0181】
例えば、上記構成の配光制御レンズ60及び反射面40Aは、第1実施形態の車両用灯具10(車両前後方向に重なった状態の2つのフィルム光源22を用いた車両用灯具10)に適用することができる。以下、配光制御レンズ60及び反射面40Aを適用した第1実施形態の車両用灯具10のことを車両用灯具10A1という。
【0182】
図15は、車両用灯具10A1の一例(概略図)である。図15中、アウターレンズ50、前レンズ24aは省略されている。
【0183】
図15においては、中間レンズ24b及び後レンズ24cがそれぞれ配光制御レンズ60として構成されている。つまり、中間レンズ24b及び後レンズ24cがそれぞれ配光制御レンズ60を兼ねている。
【0184】
図16は、車両用灯具10A1の他の一例(概略図)である。図16中、アウターレンズ50、前レンズ24aは省略されている。
【0185】
図16においては、配光制御レンズ60は、中間レンズ24bと第2フィルム光源22Bとの間、及び、後レンズ24cと反射面40Aとの間にそれぞれ配置されている。
【0186】
車両用灯具10A1によれば、第1実施形態の効果に加えて、さらに第1及び第2フィルム光源22A、22Bの半導体発光素子22bから後方に放出される光Ray2の光利用効率が向上する。
【0187】
すなわち、図15図16に示すように、車両用灯具10A1をテールランプとして機能させる場合、第1及び第2フィルム光源22A、22Bそれぞれから前方に照射(放出)される光Ray1に加えて、第1及び第2フィルム光源22A、22Bそれぞれから後方に照射(放出)される光Ray2を反射面40Aで目的の方向に反射することによってテールランプ用配光パターンを形成することができる。具体的には、第1及び第2フィルム光源22A、22Bそれぞれから後方に照射(放出)され、配光制御レンズ60で制御され、反射面40Aで反射され、配光制御レンズ60並びに第1及び第2フィルム光源22A、22Bを透過した光Ray2によってテールランプ用配光パターンを形成することができる。車両用灯具10A1をストップランプとして機能させる場合も同様である。
【0188】
また例えば、上記構成の配光制御レンズ60及び反射面40Aは、第1実施形態の変形例の車両用灯具10(車両前後方向に重ならないフィルム光源22を用いた車両用灯具10)に適用することができる。以下、配光制御レンズ60及び反射面40Aを適用した第1実施形態の変形例の車両用灯具10のことを車両用灯具10A2という。
【0189】
図17は、車両用灯具10A2の一例(概略図)である。図17中、アウターレンズ50、前レンズ24aは省略されている。
【0190】
図17においては、後レンズ24cが配光制御レンズ60として構成されている。つまり、後レンズ24cが配光制御レンズ60を兼ねている。
【0191】
図18は、車両用灯具10A2の他の一例(概略図)である。図18中、アウターレンズ50、前レンズ24aは省略されている。
【0192】
図18においては、配光制御レンズ60は、後レンズ24cと反射面40Aとの間に配置されている。
【0193】
車両用灯具10A2によれば、第1実施形態の効果に加えて、さらにフィルム光源22(例えば、第2フィルム光源22B)の半導体発光素子22bから後方に放出される光Ray2の光利用効率が向上する。
【0194】
すなわち、図17図18に示すように、車両用灯具10A2をテールランプとして機能させる場合、フィルム光源22から前方に照射(放出)される光Ray1に加えて、フィルム光源22から後方に照射(放出)される光Ray2を反射面40Aで目的の方向に反射することによってテールランプ用配光パターンを形成することができる。具体的には、フィルム光源22から後方に照射(放出)され、配光制御レンズ60で制御され、反射面40Aで反射され、配光制御レンズ60及びフィルム光源22を透過した光Ray2によってテールランプ用配光パターンを形成することができる。車両用灯具10A2をストップランプとして機能させる場合も同様である。
【0195】
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、さらにフィルム光源22の半導体発光素子22bから後方に放出される光Ray2の光利用効率が向上する。すなわち、フィルム光源22から前方に照射(放出)される光Ray1に加えて、フィルム光源22から後方に照射(放出)される光Ray2を反射面40Aで目的の方向に反射することによって所定配光パターン(例えば、テールランプ用配光パターン、ストップ用配光パターン)を形成することができる。
【0196】
次に、変形例について説明する。
【0197】
上記第2実施形態では、配光制御レンズ60のレンズ部62として、フレネルレンズを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、配光制御レンズ60のレンズ部62として、フルートカット、その他のレンズカットを用いてもよい。
【0198】
次に、第3実施形態の車両用灯具10Bについて説明する。
【0199】
図19は、第3実施形態の車両用灯具10Bの概略図(横断面図)である。図19中、アウターレンズ50は省略されている。
【0200】
図19に示すように、第3実施形態の車両用灯具10Bは、上記第1実施形態で説明した車両用灯具10の灯具ユニット支持手段(各フランジ部24a2~24c2)に代えて灯具ユニット支持手段70を用いたものに相当する。それ以外、上記第1実施形態で説明した車両用灯具10と同様である。以下、上記第1実施形態で説明した車両用灯具10との相違点を中心に説明する。なお、上記第1実施形態で説明した車両用灯具10と同一の構成には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0201】
灯具ユニット支持手段70は、灯具ユニット20を、ハウジング52とアウターレンズ50とで構成される灯室54内にハウジング52との間に空間を保った状態で支持する。
【0202】
例えば、灯具ユニット支持手段70は、図19に示すように、基端部70a(本発明の一部に相当)が灯具ユニット20(例えば、前レンズ24a)に固定され、先端部70b(本発明の他の一部に相当)がハウジング52に固定された透明支持部70Aである。
【0203】
透明支持部70Aは、前レンズ24aの一方の端部24a4に固定された基端部70aから後方に向かって延びており、その先端部70bがハウジング52に固定されることで、灯具ユニット20を、灯室54内にハウジング52との間に空間を保った状態で支持(片持ち支持)する。透明支持部70Aは、例えば、その先端部70bがハウジング52に形成された開口H1に嵌合又は係合することでハウジング52に固定される。透明支持部70Aの材料は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂である。
【0204】
上記構成の灯具ユニット支持手段70は、フィルム光源22を用いた様々な車両用灯具に適用することができる。例えば、上記構成の灯具ユニット支持手段70は、第1実施形態の車両用灯具10(車両前後方向に重なった状態の2つのフィルム光源22を用いた車両用灯具10)、第1実施形態の変形例の車両用灯具10(車両前後方向に重ならないフィルム光源22を用いた車両用灯具10)、第2実施形態の車両用灯具10A(配光制御レンズ60及び反射面40Aを用いた車両用灯具10)に適用することができる。
【0205】
以上説明したように、第3実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、さらに次の効果を奏することができる。すなわち、車両用灯具10Bをテールランプとして機能させる場合、灯具ユニット20がハウジング52との間に空間を保った状態で灯室54内に配置されているため、しかも、灯具ユニット支持手段70が透明であり視認され難いため、あたかも灯具ユニット20が灯室54内に浮かんでいるかのように視認される発光見栄えが実現される。
【0206】
次に、変形例について説明する。
【0207】
図20は、第3実施形態の車両用灯具10Bの変形例の概略図(横断面図)である。
【0208】
上記第3実施形態では、灯具ユニット支持手段70として、前レンズ24aの一方の端部24a4に固定された基端部70aから後方に向かって延びており、その先端部70bがハウジング52に固定された透明支持部70Aを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、図20に示すように、灯具ユニット支持手段70として、透明支持部70Aに加えて、さらに、前レンズ24aの他方の端部24a5に固定された基端部70aから後方に向かって延びており、その先端部70bがハウジング52に固定された透明支持部70Bを用いてもよい。
【0209】
また、上記第3実施形態では、透明支持部70A(70B)の基端部70aが前レンズ24aに固定されている例について説明したが、これに限らない。すなわち、透明支持部70A(70B)の基端部70aは、灯具ユニット20であればどこに固定されていてもよい。例えば、透明支持部70A(70B)の基端部70aは、中間レンズ24bに固定されていてもよいし、後レンズ24cに固定されていてもよい。
【0210】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0211】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0212】
10…車両用灯具、20、20A…灯具ユニット、22…半導体発光素子、22A…第1フィルム光源、22B…第2フィルム光源、22a…フィルム、22a1…フィルム部分、22b…半導体発光素子、22b1…電極パッド、22c…配線パターン、22c1…縦配線パターン、22c2…横配線パターン、24…フィルム光源支持手段、24a…前レンズ、24a1…レンズ本体、24a2…フランジ部、24a3…フレーム部、24b…中間レンズ、24b1…レンズ本体、24b2…フランジ部、24c…後レンズ、24c1…レンズ本体、24c2…フランジ部、24d…レンズ固定手段、40…反射面、50…アウターレンズ、52…ハウジング、52a…溝部(灯具ユニット支持手段)、54…灯室、56…エクステンション
図1
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