(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】コネクタ嵌合構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20220712BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2018202083
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉永 英人
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-050408(JP,A)
【文献】特開平07-335322(JP,A)
【文献】特開2001-244025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子をそれぞれ有する第一コネクタ及び第二コネクタを備え、前記第一コネクタと前記第二コネクタとが互いに嵌合されることで前記接続端子同士が電気的に接続されるコネクタ嵌合構造であって、
前記第一コネクタは、
前記第二コネクタとの嵌合方向に沿ってスライド可能に設けられ、前記第二コネクタに設けられた係止部に係止されることで前記嵌合方向の前方側の初期位置から後方側へ移動される第一スライダ及び第二スライダと、
前記第一スライダ及び前記第二スライダを前記嵌合方向の前方側へそれぞれ弾性付勢するスプリングと、
前記第一コネクタに対する前記嵌合方向の後方側への前記第一スライダ及び前記第二スライダの移動に伴って前記係止部による係止を解除させる係止解除部と、を有し、
前記係止解除部による前記第一スライダの係止解除位置と前記第二スライダの係止解除位置とが前記嵌合方向にずらされている
ことを特徴とするコネクタ嵌合構造。
【請求項2】
前記第一スライダ及び前記第二スライダは、前記係止部に係止される係止爪部をそれぞれ有し、
前記係止解除部は、前記第一コネクタに対して前記嵌合方向の後方側へ移動される前記第一スライダ及び前記第二スライダがそれぞれ接触されることで、前記第一スライダ及び前記第二スライダの前記係止爪部を係止解除方向へ変位させて前記係止部による前記係止爪部の係止を解除させる第一傾斜面及び第二傾斜面を有し、
前記第一傾斜面及び前記第二傾斜面が前記嵌合方向にずれた位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ嵌合構造。
【請求項3】
前記第一スライダ及び前記第二スライダは、前記係止部に係止される係止爪部をそれぞれ有し、
前記係止解除部は、前記第一コネクタに対して前記嵌合方向の後方側へ移動される前記第一スライダ及び前記第二スライダがそれぞれ接触されることで、前記第一スライダ及び前記第二スライダの前記係止爪部を係止解除方向へ変位させて前記係止部による前記係止爪部の係止を解除させる傾斜面を有し、
前記第一スライダ及び前記第二スライダは、前記傾斜面への接触箇所が前記嵌合方向にずらされている
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ嵌合構造。
【請求項4】
前記第一スライダ及び前記第二スライダは、前記嵌合方向に沿って互いにスライド可能に連結されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコネクタ嵌合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ嵌合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
接続端子を備えたコネクタ同士が嵌合されることで、それぞれのコネクタの接続端子同士が電気的に接続されるコネクタ嵌合構造として、中途嵌合状態を抑制する半嵌合防止機能を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタ嵌合構造は、一方のコネクタに、スプリング(圧縮コイルバネ)によって他方のコネクタとの嵌合方向の前方へ付勢されたスライダを備えており、互いが嵌合途中である中途嵌合においては、スライダがスプリングの付勢力に抗して嵌合方向と反対の後方側へ変位されることで、スプリングの反発力によってコネクタ相互の中途嵌合が抑制される。そして、互いのコネクタ同士が完全嵌合されると、スライダがスプリングの弾性力によって嵌合方向の前方側の初期位置へ移動し、このスライダによってコネクタ同士をロックするロックアームの変位を抑えてロックが維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のコネクタ嵌合構造では、互いのコネクタを嵌合させる際に、コネクタ同士が完全嵌合されるまでスプリングが継続して圧縮され続けるため、コネクタ同士の嵌合時に要する嵌合操作力が完全嵌合されるまで上昇することとなる。このため、コネクタ同士の嵌合作業性の改善が望まれる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタ同士の中途嵌合状態を円滑に抑制でき、しかも、嵌合作業性の良好なコネクタ嵌合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 接続端子をそれぞれ有する第一コネクタ及び第二コネクタを備え、前記第一コネクタと前記第二コネクタとが互いに嵌合されることで前記接続端子同士が電気的に接続されるコネクタ嵌合構造であって、
前記第一コネクタは、
前記第二コネクタとの嵌合方向に沿ってスライド可能に設けられ、前記第二コネクタに設けられた係止部に係止されることで前記嵌合方向の前方側の初期位置から後方側へ移動される第一スライダ及び第二スライダと、
前記第一スライダ及び前記第二スライダを前記嵌合方向の前方側へそれぞれ弾性付勢するスプリングと、
前記第一コネクタに対する前記嵌合方向の後方側への前記第一スライダ及び前記第二スライダの移動に伴って前記係止部による係止を解除させる係止解除部と、を有し、
前記係止解除部による前記第一スライダの係止解除位置と前記第二スライダの係止解除位置とが前記嵌合方向にずらされている
ことを特徴とするコネクタ嵌合構造。
【0008】
上記(1)の構成のコネクタ嵌合構造によれば、第一スライダの係止解除位置と第二スライダの係止解除位置とが嵌合方向にずらされている。そこで、第一コネクタと第二コネクタとを嵌合させる際に、第一スライダ及び第二スライダの一方の係止が先に解除されることで、第一コネクタと第二コネクタとを嵌合させる際のスプリングによる反発力が、嵌合完了まで継続して上昇することなく嵌合途中で弱まり、嵌合作業性を向上させることができる。
【0009】
(2) 前記第一スライダ及び前記第二スライダは、前記係止部に係止される係止爪部をそれぞれ有し、
前記係止解除部は、前記第一コネクタに対して前記嵌合方向の後方側へ移動される前記第一スライダ及び前記第二スライダがそれぞれ接触されることで、前記第一スライダ及び前記第二スライダの前記係止爪部を係止解除方向へ変位させて前記係止部による前記係止爪部の係止を解除させる第一傾斜面及び第二傾斜面を有し、
前記第一傾斜面及び前記第二傾斜面が前記嵌合方向にずれた位置に配置されている
ことを特徴とする上記(1)に記載のコネクタ嵌合構造。
【0010】
上記(2)の構成のコネクタ嵌合構造によれば、第一コネクタに対して嵌合方向の後方側へ移動されて接触される第一スライダ及び第二スライダの係止爪部を係止解除方向へ変位させて係止部による係止爪部の係止を解除させる第一傾斜面及び第二傾斜面が、嵌合方向にずれた位置に配置された構造を備えている。したがって、第一コネクタと第二コネクタとを嵌合させる際に、第一スライダ及び第二スライダの係止が解除されるタイミングを正確にずらしてスプリングによる反発力を嵌合途中に弱めることができる。
【0011】
(3) 前記第一スライダ及び前記第二スライダは、前記係止部に係止される係止爪部をそれぞれ有し、
前記係止解除部は、前記第一コネクタに対して前記嵌合方向の後方側へ移動される前記第一スライダ及び前記第二スライダがそれぞれ接触されることで、前記第一スライダ及び前記第二スライダの前記係止爪部を係止解除方向へ変位させて前記係止部による前記係止爪部の係止を解除させる傾斜面を有し、
前記第一スライダ及び前記第二スライダは、前記傾斜面への接触箇所が前記嵌合方向にずらされている
ことを特徴とする上記(1)に記載のコネクタ嵌合構造。
【0012】
上記(3)の構成のコネクタ嵌合構造によれば、第一スライダ及び第二スライダは、係止解除部の傾斜面に接触される接触箇所が嵌合方向にずらされた構造を備えている。したがって、第一コネクタと第二コネクタとを嵌合させる際に、第一スライダ及び第二スライダの接触箇所が傾斜面に対してそれぞれ接触して係止部による係止爪部の係止が解除されるタイミングを正確にずらしてスプリングによる反発力を嵌合途中に弱めることができる。
【0013】
(4) 前記第一スライダ及び前記第二スライダは、前記嵌合方向に沿って互いにスライド可能に連結されている
ことを特徴とする上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のコネクタ嵌合構造。
【0014】
上記(4)の構成のコネクタによれば、第一スライダ及び第二スライダが嵌合方向に沿って互いにスライド可能に連結されているので、これらの第一スライダ及び第二スライダを安定して相対的に嵌合方向に沿って移動させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コネクタ同士の中途嵌合状態を円滑に抑制でき、しかも、嵌合作業性の良好なコネクタ嵌合構造を提供できる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタ及びオスコネクタの斜視図である。
【
図2】本第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタ及びオスコネクタの上面図である。
【
図3】本第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造を示す図であって、(a)は
図2におけるA-A断面図、(b)は
図2におけるB-B断面図、(c)は
図2におけるC-C断面図である。
【
図6】第一スライダ及び第二スライダを示す図であって、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【
図8】コネクタ嵌合状態を示す図であって、(a)~(d)は、それぞれメスコネクタ及びオスコネクタの上面図である。
【
図9】コネクタ嵌合状態を示す図であって、(a)~(d)は、それぞれ
図2におけるA-A断面図である。
【
図10】コネクタ嵌合状態を示す図であって、(a)~(d)は、それぞれ
図2におけるB-B断面図である。
【
図11】コネクタ嵌合状態を示す図であって、(a)~(d)は、それぞれ
図2におけるC-C断面図である。
【
図12】メスコネクタにオスコネクタを嵌合させる際に要する嵌合操作力を示すグラフである。
【
図13】本発明の第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタの斜視図である。
【
図14】本第2実施形態に係るメスコネクタの係止解除部の斜視図である。
【
図15】本第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタに設けられた第一スライダ及び第二スライダを示す図であって、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【
図16】コネクタ嵌合状態を示す図であって、(a)~(d)は、それぞれメスコネクタ及びオスコネクタの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタ20及びオスコネクタ70の斜視図である。
図2は、本第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタ20及びオスコネクタ70の上面図である。
図3は、本第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造を示す図であって、
図3の(a)は
図2におけるA-A断面図、
図3の(b)は
図2におけるB-B断面図、
図3の(c)は
図2におけるC-C断面図である。
【0019】
図1、
図2及び
図3の(a)~(c)に示すように、本第1実施形態の係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタ(第一コネクタ)20と、メスコネクタ20に嵌合されるオスコネクタ(第二コネクタ)70とは、例えば、自動車等に設けられる車載のエアバッグシステムの電気コネクタとして用いられるものであり、半嵌合防止機能を備えた雌雄コネクタである。
【0020】
メスコネクタ20はメスハウジング20aを有し、オスコネクタ70はオスハウジング70aを有している。メスコネクタ20のメスハウジング20aにオスコネクタ70のオスハウジング70aを嵌挿することで、メスコネクタ20とオスコネクタ70とが互いに嵌合接続される。
【0021】
図4は、メスコネクタ20の分解斜視図である。
図5は、メスコネクタ20のロックビーク43の斜視図である。
図3の(a)~(c)及び
図4に示すように、メスコネクタ20は、合成樹脂から成形されたものであり、筒状のメスハウジング20aの内側に、嵌合突部21が突設されている。この嵌合突部21には、二つの端子収容室22が形成されている。これらの端子収容室22には、電線23の端部に接続されたメス端子(接続端子)25がそれぞれ収容されており、電線23は、メスコネクタ20の後端から引き出されている。端子収容室22には、電線23に装着された防水栓(シール部材)24がメスコネクタ20の後端側から嵌め込まれている。これにより、メス端子25が収容されたメスコネクタ20の端子収容室22が止水されている。
【0022】
メス端子25は、例えば、銅または銅合金等の導電性金属材料から形成されたものであり、電線23に圧着されて接続されている。このメス端子25は、筒状に形成された電気接続部26を有している。
【0023】
メスコネクタ20の嵌合突部21には、先端側からオスコネクタ70との接合箇所をシールする環状のシール部材27が装着されている。さらに、この嵌合突部21には、合成樹脂から成形されたフロントホルダー28が組付けられている。そして、このフロントホルダー28が嵌合突部21に組付けられることで、シール部材27が嵌合突部21に保持され、さらに、嵌合突部21の端子収容室22に収容されたメス端子25の前方側への移動が規制されている。また、嵌合突部21には、オスコネクタ70との嵌合方向(
図3中、右方向)の前方へ向かって突出する板状の絶縁板部29が形成されている。
【0024】
メスコネクタ20には、その上部に、スライダ装着部30が形成されている。このスライダ装着部30には、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bとスプリング32とが装着される。
【0025】
スライダ装着部30は、スライダ収容部34を有しており、このスライダ収容部34に第一スライダ33A及び第二スライダ33Bが収容される。スライダ装着部30には、その両側に、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの側部を案内する凹状のガイド溝35が形成されている。これらガイド溝35の後端側には、筒状のスプリング収容部36が形成されており、これらのスプリング収容部36には、圧縮コイルバネからなるスプリング32が収容される。
【0026】
スライダ装着部30には、その中央に、嵌合方向に沿ってロックアーム40が形成されている。このロックアーム40は、嵌合方向の前方側の先端が自由端とされた片持ち梁状に形成されている。このロックアーム40には、その先端下部に、下方へ突出するロック爪41が形成されている。また、ロックアーム40の先端上部には、変位防止突起42が突設されている。
【0027】
また、ロックアーム40の根元部分には、スライダ収容部34側である上方へ突出するロックビーク43が形成されている。
図5に示すように、このロックビーク43は、第一傾斜面44A及び第二傾斜面44Bを有する係止解除部を構成している。これらの第一傾斜面44A及び第二傾斜面44Bは、スライダ装着部30の後方側へ向かって次第に上方へ傾斜されている。更に、第一傾斜面44A及び第二傾斜面44Bは、メスコネクタ20の嵌合方向にずれた位置に形成されている。具体的には、第一傾斜面44Aに対して第二傾斜面44Bが、嵌合方向の後方側に配置されている。また、スライダ装着部30には、ロックアーム40の両側に、スリット45が形成されている。
【0028】
図6は、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bを示す図であって、
図6の(a)は上面図、
図6の(b)は側面図、
図6の(c)は裏面図である。
図6の(a)~(c)に示すように、スライダ装着部30に装着される第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、互いに隣接するように連結されている。これらの第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、それぞれ合成樹脂から成形されている。
【0029】
第一スライダ33Aは、先端部分が変位防止部51Aとされた板状のスライダ本体50Aを有している。スライダ本体50Aには、第二スライダ33B側に、凹部52Aが形成されており、この凹部52Aには、可撓板部53Aが設けられている。可撓板部53Aは、嵌合方向の前方へ延びるアーム部54Aと、このアーム部54Aの先端部に形成された係止突起55Aとを有する平面視L字状に形成されている。可撓板部53Aには、アーム部54Aの先端下部に、下方へ突出する係止爪部57Aが形成されている。この係止爪部57Aは、嵌合方向の前方側に、当接面58Aを有している。
更に、スライダ本体50Aには、その後端に操作部61Aが設けられている。また、スライダ本体50Aの後端には、バネ受け凸部62Aが形成されている。
【0030】
同様に、第二スライダ33Bは、先端部分が変位防止部51Bとされた板状のスライダ本体50Bを有している。スライダ本体50Bには、第一スライダ33A側に、凹部52Bが形成されており、この凹部52Bには、可撓板部53Bが設けられている。可撓板部53Bは、嵌合方向の前方へ延びるアーム部54Bと、このアーム部54Bの先端部に形成された係止突起55Bとを有する平面視L字状に形成されている。可撓板部53Bには、アーム部54Bの先端下部に、下方へ突出する係止爪部57Bが形成されている。この係止爪部57Bは、嵌合方向の前方側に、当接面58Bを有している。
更に、スライダ本体50Bには、その後端に操作部61Bが設けられている。また、スライダ本体50Bの後端には、バネ受け凸部62Bが形成されている。
【0031】
これら第一スライダ33A及び第二スライダ33Bには、互いに隣接されて連結されることで、可撓板部53A,53Bのアーム部54A,54Bの間にスライド溝56が画成される。このスライド溝56の後端側には、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bから突設された抜け止め部59A,59Bが設けられている。
【0032】
また、第一スライダ33Aの操作部61Aには、第二スライダ33B側に、嵌合方向に沿うアリほぞ部63Aが形成されており、第二スライダ33Bの操作部61Bには、第一スライダ33A側に、嵌合方向に沿うアリ溝部63Bが形成されている(
図4参照)。そして、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、アリ溝部63Bにアリほぞ部63Aを係合させることで、オスコネクタ70との嵌合方向へ相対的に移動可能に連結されて組み合わされる。
【0033】
スライダ装着部30のスライダ収容部34には、互いに組み合わされた第一スライダ33A及び第二スライダ33Bがオスコネクタ70との嵌合方向に沿ってスライド可能に収容される。また、スライダ装着部30のスプリング収容部36には、それぞれスプリング32が一端側から収容され、これらのスプリング32の他端が第一スライダ33A及び第二スライダ33Bのバネ受け凸部62A,62Bに係合される。これにより、スライダ収容部34に収容された第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、スプリング32によって嵌合方向の前方側へそれぞれ弾性付勢される。
【0034】
スライダ収容部34に収容された第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、スライド溝56にロックビーク43が係合され、このロックビーク43によってスライダ収容部34の先端側から抜け止めされている。
【0035】
そして、このスライダ収容部34に収容された第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、その可撓板部53A,53Bの先端下部に形成された係止爪部57A,57Bがスリット45に挿入され、スリット45内で嵌合方向に沿って変位可能とされている。
【0036】
図7は、オスコネクタ70の分解斜視図である。
図3の(a)~(c)及び
図7に示すように、オスコネクタ70は、合成樹脂から成形されたものであり、筒状のオスハウジング70aを有している。このオスコネクタ70には、二つの端子収容室72が形成されている。これらの端子収容室72には、電線73の端部に接続されたオス端子(接続端子)75がそれぞれ収容されており、電線73は、オスコネクタ70の後端から引き出されている。端子収容室72には、電線73に装着された防水栓(シール部材)74がオスコネクタ70の後端側から嵌め込まれている。これにより、オス端子75が収容されたオスコネクタ70の端子収容室72が止水されている。
【0037】
オス端子75は、例えば、銅または銅合金等の導電性金属材料から形成されたもので、電線73に圧着されて接続されている。このオス端子75には、ピン状に形成されたタブ76を有しており、タブ76は、オスハウジング70a内に配置されている。
【0038】
オスコネクタ70には、端子収容室72に隣接する位置にショート端子81が支持されている。ショート端子81は、例えば、銅または銅合金等の導電性金属材料から形成されたもので、接点82を有する側面視略U字状に形成されている。ショート端子81は、オスコネクタ70にメスコネクタ20が嵌合されていない非嵌合状態において、接点82がそれぞれ一対のオス端子75に接触されている。これにより、オス端子75同士がショート端子81で導通され、例えば、エアバッグシステムのインフレータ側の回路が短絡状態とされる。これにより、例えば、インフレータ側の回路では、警告灯が点灯することで、オスコネクタ70にメスコネクタ20が正規嵌合されていないことが警告される。
【0039】
オスコネクタ70は、その上部に、係止部85と、ロック部86とを有している。係止部85は、メスコネクタ20との嵌合方向(
図7中、左方向)に沿って形成された一対の係止突条87を有している。これらの係止突条87は、メスコネクタ20のスリット45と同一間隔をあけて配置されており、オスコネクタ70とメスコネクタ20とを嵌合させる際に、メスコネクタ20のスリット45へ入り込む。これらの係止突条87には、係止段部91が形成されており、この係止段部91は、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの可撓板部53A,53Bに形成された係止爪部57A,57Bの当接面58A,58Bが当接可能な係止面93を有している。
【0040】
ロック部86は、オスコネクタ70の上部における幅方向中央位置に形成されており、係止部85よりもオスコネクタ70の後端側に配置されている。ロック部86は、オスコネクタ70の上面から突設されており、嵌合方向の前方側には、オスコネクタ70の後端側へ向かって次第に上方へ傾斜したガイド面88が形成されている。
【0041】
次に、上記コネクタ嵌合構造を有するメスコネクタ20とオスコネクタ70とを嵌合させる場合について説明する。
図8は、コネクタ嵌合状態を示す図であって、
図8の(a)~(d)は、それぞれメスコネクタ20及びオスコネクタ70の上面図である。
図9は、コネクタ嵌合状態を示す図であって、
図9の(a)~(d)は、それぞれ
図2におけるA-A断面図である。
図10は、コネクタ嵌合状態を示す図であって、
図10の(a)~(d)は、それぞれ
図2におけるB-B断面図である。
図11は、コネクタの嵌合状態を示す図であって、
図11(a)~
図11(d)は、それぞれ
図2におけるC-C断面図である。
【0042】
図2及び
図3の(a)~(c)に示すように、メスコネクタ20のメスハウジング20aにオスコネクタ70のオスハウジング70aを近接させ、メスコネクタ20のメスハウジング20aにオスコネクタ70のオスハウジング70aを嵌め込む。すると、メスコネクタ20に設けられた第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの係止爪部57A,57Bの当接面58A,58Bがオスコネクタ70の係止部85の係止突条87に形成された係止段部91の係止面93に当接して係止される(
図3の(a)参照)。
これにより、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、スプリング32の弾性付勢力に抗してメスコネクタ20の後端側へ押し込まれる。この中途嵌合状態では、メス端子25の電気接続部26にオス端子75のタブ76が挿入されず、オスコネクタ70は第一スライダ33A及び第二スライダ33Bから受けるスプリング32の弾性付勢力からなる反発力を受ける。したがって、この中途嵌合状態で嵌め込み作業を止めると、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bから受ける反発力によってオスコネクタ70がメスコネクタ20から押し戻されて離脱される。
【0043】
図8の(a)及び
図9の(a)に示すように、メスコネクタ20に対してオスコネクタ70をさらに押し込むと、メス端子25の電気接続部26にオス端子75のタブ76の先端が挿入される。また、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、スプリング32の弾性付勢力に抗してメスコネクタ20の後端側へさらに押し込まれる。この中途嵌合状態においても嵌め込み作業を止めると、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bから受ける反発力によってオスコネクタ70がメスコネクタ20から押し戻されて離脱される。
【0044】
また、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bがメスコネクタ20の後端側へ押し込まれることで、
図10の(a)及び
図11の(a)に示すように、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの可撓板部53A,53Bの係止突起55A,55Bがメスコネクタ20のロックビーク43の第一傾斜面44A及び第二傾斜面44Bに近付く。そして、先ずは第一スライダ33Aの係止突起55Aが第一傾斜面44Aに接触する。なお、第二傾斜面44Bは、第一傾斜面44Aよりも嵌合方向の後方側に配置されているため、第二スライダ33Bの係止突起55Bは第二傾斜面44Bに接触しない。
更に、この時点で、オスコネクタ70のロック部86のガイド面88には、メスコネクタ20のロックアーム40のロック爪41が接触する。
【0045】
図8の(b)及び
図9の(b)に示すように、メスコネクタ20に対してオスコネクタ70をさらに押し込むと、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bがスプリング32の弾性付勢力に抗してメスコネクタ20の後端側へさらに押し込まれる。
【0046】
また、第一スライダ33Aは、メスコネクタ20の後端側へ押し込まれることで、
図10の(b)に示すように、可撓板部53Aは、係止突起55Aがメスコネクタ20のロックビーク43の第一傾斜面44Aを乗り上げて傾きだす。第二スライダ33Bは、メスコネクタ20の後端側へ押し込まれることで、
図11の(b)に示すように、可撓板部53Bの係止突起55Bがメスコネクタ20のロックビーク43の第二傾斜面44Bに接触する。
更に、この時点で、オスコネクタ70のロック部86のガイド面88をメスコネクタ20のロックアーム40のロック爪41が乗り越えるように、ロック爪41がロック部86上に乗り上げる。
【0047】
そして、メスコネクタ20に対してオスコネクタ70をさらに押し込むと、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bがスプリング32の弾性付勢力に抗してメスコネクタ20の後端側へ押し込まれる。すると、第一スライダ33Aは、メスコネクタ20の後端側へ押し込まれることで、メスコネクタ20のロックビーク43の第一傾斜面44Aを係止突起55Aが乗り上げる可撓板部53Aの傾きが大きくなる。すると、第一スライダ33Aの係止爪部57Aが上方(係止解除方向)へ変位して係止段部91を乗り越え、係止面93に対する当接面58Aの係止が解除される。これにより、
図8の(c)及び
図10の(c)に示すように、第一スライダ33Aは、スプリング32の弾性力によってメスコネクタ20の先端側の初期位置へ向かって移動する。また、第二スライダ33Bは、メスコネクタ20の後端側へ押し込まれることで、
図11の(c)に示すように、可撓板部53Bの係止突起55Bがメスコネクタ20のロックビーク43の第二傾斜面44Bを乗り上げて傾きだす。
【0048】
このように、第一スライダ33Aがメスコネクタ20の先端側へ移動することで、オスコネクタ70には、第二スライダ33Bからの反発力だけが付与されることとなる。つまり、オスコネクタ70に付与される反発力が一旦弱められる。なお、この中途嵌合状態においても、オスコネクタ70は、第二スライダ33Bから受けるスプリング32の弾性力からなる反発力によってメスコネクタ20から押し戻されて離脱される。
【0049】
図8の(d)及び
図9の(d)に示すように、メスコネクタ20に対してオスコネクタ70をさらに押し込むと、第二スライダ33Bがスプリング32の弾性付勢力に抗してメスコネクタ20の後端側へ押し込まれる。すると、第二スライダ33Bは、メスコネクタ20の後端側へ押し込まれることで、メスコネクタ20のロックビーク43の第二傾斜面44Bを係止突起55Bが乗り上げる可撓板部53Bの傾きが大きくなる。すると、第二スライダ33Bの係止爪部57Bが上方(係止解除方向)へ変位して係止段部91を乗り越え、係止面93に対する当接面58Bの係止が解除される。これにより、
図8の(d)及び
図11の(d)に示すように、第二スライダ33Bは、スプリング32の弾性付勢力によってメスコネクタ20の先端側の初期位置へ向かって移動する。
【0050】
また、オスコネクタ70におけるロック部86のガイド面88に当接したメスコネクタ20におけるロックアーム40のロック爪41がロック部86を乗り越えることでロック部86を係止し、メスコネクタ20に対してオスコネクタ70をロックする。
【0051】
そして、
図10の(d)及び
図11の(d)に示すように、メスコネクタ20の先端の初期位置へ向かって移動した第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの変位防止部51A,51Bが、ロック部86を係止しているロックアーム40の変位防止突起42の上方に入り込む。これにより、ロックアーム40の上方への変位が変位防止部51A,51Bによって規制され、メスコネクタ20とオスコネクタ70との完全嵌合状態が維持される。
【0052】
そして、この完全嵌合状態では、メス端子25の電気接続部26にオス端子75のタブ76が挿し込まれて互いに電気的に接続される。また、メスコネクタ20の絶縁板部29がオスコネクタ70のショート端子81の接点82とオス端子75との間に入り込み、ショート端子81によるオス端子75同士の導通状態が解除される。これにより、例えば、インフレータ側の回路において、警告灯が消灯する。
【0053】
なお、この完全嵌合状態から第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの操作部61A,61Bをメスコネクタ20の後端側へ引いて移動させると、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの変位防止部51A,51Bがロックアーム40の変位防止突起42の上方から外れる。これにより、メスコネクタ20とオスコネクタ70との離脱が可能となる。
【0054】
図12は、メスコネクタ20にオスコネクタ70を嵌合させる際に要する嵌合操作力を示すグラフであり、破線は一つのスライダを有する従来のコネクタ嵌合構造の嵌合操作力を示し、実線は本実施形態のコネクタ嵌合構造における嵌合操作力を示している。
【0055】
図12に示すように、一つのスライダを備えた従来のコネクタ嵌合構造(
図12における破線)では、係止段部によるスライダの係止が解除される完全嵌合状態となる位置(
図12におけるP1の位置)までスプリング32からの反発力が増加する。このため、メスコネクタ20へオスコネクタ70を嵌合させるために必要となる嵌合操作力が完全嵌合状態となる位置まで継続して上昇することとなり、嵌合作業性が良くない。
【0056】
これに対して、本第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造(
図12における実線)では、係止段部91による第一スライダ33Aの係止が解除される位置(
図12におけるP2の位置)でオスコネクタ70への反発力が一旦低減される。したがって、メスコネクタ20へオスコネクタ70を完全嵌合させるための最大の嵌合操作力を低減させることができる。
【0057】
このように、本第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造によれば、第一スライダ33Aの係止解除位置と第二スライダ33Bの係止解除位置とが嵌合方向にずらされている。そこで、メスコネクタ20とオスコネクタ70とを嵌合させる際に生じる反発力が、嵌合完了まで継続して上昇することなく嵌合途中で弱まり、嵌合作業性を向上させることができる。
【0058】
また、本第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造では、メスコネクタ20に対して嵌合方向の後方側へ移動されて接触される第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの係止爪部57A,57Bを係止解除方向へ変位させて係止部85による係止爪部57A,57Bの係止を解除させる第一傾斜面44A及び第二傾斜面44Bが、嵌合方向にずれた位置に配置された構造を備えている。したがって、メスコネクタ20とオスコネクタ70とを嵌合させる際に、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの係止が解除されるタイミングを正確にずらしてスプリング32による反発力を嵌合途中に弱めることができる。
【0059】
しかも、本第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造では、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bが嵌合方向に沿って互いにスライド可能に連結されているので、これらの第一スライダ33A及び第二スライダ33Bを安定して相対的に嵌合方向に沿って移動させることができる。
【0060】
次に、本発明の第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタ20Aの斜視図である。
図14は、本第2実施形態に係るメスコネクタ20Aのロックビーク43Aの斜視図である。
図15は、本第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造を有するメスコネクタ20Aに設けられた第一スライダ33A及び第二スライダ33Bを示す図であって、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【0061】
図14に示すように、本第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造では、メスコネクタ20Aのロックビーク43Aが、一つの傾斜面44を有している。また、
図15の(a)~(c)に示すように、本第2実施形態では、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの係止突起55A,55Bの嵌合方向に沿う長さが異ならされている。具体的には、第一スライダ33Aの係止突起55Aは、第二スライダ33Bの係止突起55Bよりも、嵌合方向の後方側へ長く延びている。これにより、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、可撓板部53A,53Bの係止突起55A,55Bが傾斜面44に接触する接触箇所(係止突起55A,55Bにおける嵌合方向の後方側の下端縁)が嵌合方向にずらされている。
【0062】
次に、本第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造において、メスコネクタ20Aとオスコネクタ70とを嵌合させる場合について説明する。
図16は、コネクタの嵌合状態を示す図であって、
図16の(a)~(d)は、それぞれメスコネクタ20A及びオスコネクタ70の上面図である。
【0063】
図16の(a)に示すように、メスコネクタ20Aのメスハウジング20aにオスコネクタ70のオスハウジング70aを嵌め込んでメスコネクタ20Aに対してオスコネクタ70を押し込むと、
図16の(b)に示すように、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、スプリング32の弾性付勢力に抗してメスコネクタ20Aの後端側へ押し込まれる。これにより、メスコネクタ20とオスコネクタ70とを離脱させる反発力が生じる。
【0064】
図16の(c)に示すように、メスコネクタ20Aに対してオスコネクタ70をさらに押し込むと、まず、第一スライダ33Aの係止突起55Aがロックビーク43Aの傾斜面44に接触して乗り上げることで可撓板部53Aが傾き、係止爪部57Aが上方(係止解除方向)へ変位して係止段部91との係止状態が解除される。これにより、第一スライダ33Aがスプリング32の弾性付勢力によってメスコネクタ20Aの先端側の初期位置へ向かって移動する。したがって、メスコネクタ20Aとオスコネクタ70とを離脱させる反発力が一旦弱められる。
【0065】
図16(d)に示すように、メスコネクタ20Aに対してオスコネクタ70をさらに押し込むと、メスコネクタ20Aとオスコネクタ70とが完全嵌合状態となる。すると、第二スライダ33Bは、係止突起55Bが傾斜面44に接触して乗り上げることで可撓板部53Bが傾き、係止爪部57Bが上方(係止解除方向)へ変位して係止段部91との係止状態が解除される。これにより、第二スライダ33Bがスプリング32の弾性付勢力によってメスコネクタ20Aの先端側の初期位置へ向かって移動する。
【0066】
このように、本第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造の場合も、係止段部91による第一スライダ33Aの係止が解除される位置でオスコネクタ70への反発力が一旦低減される。したがって、メスコネクタ20Aへオスコネクタ70を完全嵌合させるための最大の嵌合操作力を低減させることができる。
【0067】
また、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bは、ロックビーク43Aの傾斜面44に接触される接触箇所が嵌合方向にずらされた構造を備えている。したがって、メスコネクタ20Aとオスコネクタ70とを嵌合させる際に、第一スライダ33A及び第二スライダ33Bの接触箇所が傾斜面44に対してそれぞれ接触して係止部85による係止爪部57A,57Bの係止が解除されるタイミングを正確にずらしてスプリング32による反発力を嵌合途中に弱めることができる。
【0068】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0069】
ここで、上述した本発明に係るコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 接続端子(メス端子25,オス端子75)をそれぞれ有する第一コネクタ(メスコネクタ20,20A)及び第二コネクタ(オスコネクタ70)を備え、前記第一コネクタ(メスコネクタ20,20A)と第二コネクタ(オスコネクタ70)とが互いに嵌合されることで前記接続端子(メス端子25,オス端子75)同士が電気的に接続されるコネクタ嵌合構造であって、
前記第一コネクタ(メスコネクタ20,20A)は、
前記第二コネクタ(オスコネクタ70)との嵌合方向に沿ってスライド可能に設けられ、前記第二コネクタ(オスコネクタ70)に設けられた係止部(85)に係止されることで前記嵌合方向の前方側の初期位置から後方側へ移動される第一スライダ(33A)及び第二スライダ(33B)と、
前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)を前記嵌合方向の前方側へそれぞれ弾性付勢するスプリング(32)と、
前記第一コネクタ(メスコネクタ20,20A)に対する前記嵌合方向の後方側への前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)の移動に伴って前記係止部(85)による係止を解除させる係止解除部(ロックビーク43,43A)と、を有し、
前記係止解除部(ロックビーク43,43A)による前記第一スライダ(33A)の係止解除位置と前記第二スライダ(33B)の係止解除位置とが前記嵌合方向にずらされている
ことを特徴とするコネクタ嵌合構造。
[2] 前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)は、前記係止部(85)に係止される係止爪部(57A,57B)をそれぞれ有し、
前記係止解除部(ロックビーク43)は、前記第一コネクタ(メスコネクタ20)に対して前記嵌合方向の後方側へ移動される前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)がそれぞれ接触されることで、前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)の前記係止爪部(57A,57B)を係止解除方向へ変位させて前記係止部(85)による前記係止爪部(57A,57B)の係止を解除させる第一傾斜面(44A)及び第二傾斜面(44B)を有し、
前記第一傾斜面(44A)及び前記第二傾斜面(44B)が前記嵌合方向にずれた位置に配置されている
ことを特徴とする上記[1]に記載のコネクタ嵌合構造。
[3] 前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)は、前記係止部(85)に係止される係止爪部(57A,57B)をそれぞれ有し、
前記係止解除部(ロックビーク43A)は、前記第一コネクタ(メスコネクタ20A)に対して前記嵌合方向の後方側へ移動される前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)がそれぞれ接触されることで、前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)の前記係止爪部(57A,57B)を係止解除方向へ変位させて前記係止部(85)による前記係止爪部(57A,57B)の係止を解除させる傾斜面(44)を有し、
前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)は、前記傾斜面(44)への接触箇所が前記嵌合方向にずらされている
ことを特徴とする上記[1]に記載のコネクタ嵌合構造。
[4] 前記第一スライダ(33A)及び前記第二スライダ(33B)は、前記嵌合方向に沿って互いにスライド可能に連結されている
ことを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか一つに記載のコネクタ嵌合構造。
【符号の説明】
【0070】
20…メスコネクタ(第一コネクタ)
25…メス端子(接続端子)
33A…第一スライダ
33B…第二スライダ
32…スプリング
43…ロックビーク(係止解除部)
44…傾斜面
44A…第一傾斜面
44B…第二傾斜面
57A,57B…係止爪部
70…オスコネクタ(第二コネクタ)
75…オス端子(接続端子)
85…係止部