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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】運搬用台車とその固定構造
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20220712BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B62B3/00 Z
B62B5/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019048176
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020147224
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】305062549
【氏名又は名称】ヤマト運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 翔平
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0071110(US,A1)
【文献】実開昭59-129718(JP,U)
【文献】登録実用新案第3093486(JP,U)
【文献】特開2008-120322(JP,A)
【文献】特開2007-209544(JP,A)
【文献】実開平06-071429(JP,U)
【文献】特開2005-289249(JP,A)
【文献】実開昭53-138309(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00
B62B 5/00
B60P 3/06- 3/07
B60P 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の左右両側に側部枠体、背面側に後部枠体が立てた状態に設けられ、前記底板の下面側にキャスターが設けられた構成を有するとともに、
係合凸部を有する連結体と前記係合凸部が係合する凹部を有する被連結体が、前記左右両側の側部枠体と後部枠体の何れかの枠体にそれぞれ設けられ、
同構成の運搬用台車同士が、一側の運搬用台車の前記被連結体に、他側の運搬用台車の連結体を連結して接続されるように構成された運搬用台車において、
前記連結体は、係合凸部を下向きにして、枠体の外周に当該外周に沿って回転自在及び上下動自在に取り付けられ、前記被連結体は、前記連結体の係合凸部が係合する凹部を上向きにして、枠体の外周に当該外周に沿って回転自在に取り付けられた構成を有することを特徴とする運搬用台車。
【請求項2】
後部枠体の左右両側の一方の側に連結体、他方の側に被連結体がそれぞれ取り付けられ、
側部枠体が隣り合うように並べられた同構成の運搬用台車同士が、一側の運搬用台車に取り付けられた前記被連結体に他側の運搬用台車に取り付けられた連結体を連結して接続されように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の運搬用台車。
【請求項3】
左右の側部枠体の一方の側部枠体に連結体、他方の側部枠体に被連結体がそれぞれ取り付けられた構成を有する請求項1又は2に記載の運搬用台車。
【請求項4】
左右の側部枠体間に棚板が架設された構成を有する請求項1から3の何れかに記載の運搬用台車。
【請求項5】
運搬用台車の前側から後部枠体側に向けて下り傾斜するように棚板が設置された構成を有する請求項4に記載の運搬用台車。
【請求項6】
底板の左右両側に側部枠体が立てた状態に設けられ、前記底板の下面側にキャスターが設けられた構成を有するとともに、
前記左右の側部枠体の一方に係合凸部を有する連結体が取り付けられ、他方に前記係合凸部が係合する凹部を有する被連結体が取り付けられた構成を備え、
側部枠体が隣り合うように並べられた同構成の運搬用台車同士が、一側の運搬用台車に取り付けられた前記被連結体に他側の運搬用台車に取り付けられた連結体を連結して接続され得るように設けられた運搬用台車において、
前記連結体は、係合凸部を下向きにして、枠体の外周に当該外周に沿って回転自在及び上下動自在に取り付けられ、前記被連結体は、前記連結体の係合凸部が係合する凹部を上向きにして、枠体の外周に当該外周に沿って回転自在に取り付けられた構成を有することを特徴とする運搬用台車。
【請求項7】
底板の背面側であって左右の側部枠体間に後部枠体が設けられた構成を有する請求項6に記載の運搬用台車。
【請求項8】
左右の側部枠体間に棚板が架設された構成を有する請求項6又は7に記載の運搬用台車。
【請求項9】
底板の左右両側に側部枠体、背面側に後部枠体が立てた状態に設けられ、前記底板の下面側にキャスターが設けられた構成を有するとともに、係合凸部を有する連結体と前記係合凸部が係合する凹部を有する被連結体が、前記左右両側の側部枠体と後部枠体の何れかの枠体にそれぞれ設けられた運搬用台車であって、
前記連結体はその係合凸部を下向きにして枠体の外周に沿って回転自在及び上下動自在に取り付けられ、前記被連結体は前記連結体の係合凸部が係合する凹部を上向きにして枠体の外周に固定して取り付けられており、同構成の運搬用台車同士が、一側の運搬用台車の前記被連結体に他側の運搬用台車の連結体を連結して接続されるように構成された運搬用台車を輸送機関の荷室内部に固定する構造において、
輸送機関の荷室内部の壁面に、前記運搬用台車に取り付けられた前記連結体が連結する被連結部材を取り付け、又は前記被連結体に連結する下向きの係合凸部を前記壁面に固定された固定部材の前面にボスを介して立設させた軸部に沿って回転及び上下移動し得るように設けた連結部材を取り付け、
前記運搬用台車の連結体又は被連結体を、前記被連結部材又は連結部材に連結して、運搬用台車を前記荷室内部に固定することを特徴とする運搬用台車の固定構造。
【請求項10】
底板の左右両側に側部枠体が立てた状態に設けられ、前記底板の下面側にキャスターが設けられた構成を有するとともに、前記左右の側部枠体の一方に係合凸部を有する連結体が取り付けられ、他方に前記係合凸部が係合する凹部を有する被連結体が取り付けられた構成を備えた運搬用台車であって、
前記連結体はその係合凸部を下向きにして枠体の外周に沿って回転自在及び上下動自在に取り付けられ、前記被連結体は前記連結体の係合凸部が係合する凹部を上向きにして枠体の外周に固定して取り付けられており、同構成の運搬用台車同士が、一側の運搬用台車の前記被連結体に他側の運搬用台車の連結体を連結して接続されるように構成された運搬用台車を輸送機関の荷室内部に固定する構造において、
輸送機関の荷室内部の壁面に、前記運搬用台車に取り付けられた前記連結体が連結する被連結部材を取り付け、又は前記被連結体に連結する下向きの係合凸部を前記壁面に固定された固定部材の前面にボスを介して立設させた軸部に沿って回転及び上下移動し得るように設けた連結部材を取り付け、
前記運搬用台車の連結体又は被連結体を、前記被連結部材又は連結部材に連結して、運搬用台車を前記荷室内部に固定することを特徴とする運搬用台車の固定構造。
【請求項11】
請求項1から8の何れかに記載の運搬用台車を輸送機関の荷室内部に固定する構造において、
輸送機関の荷室内部の壁面に、運搬用台車に取り付けられた連結体が連結する被連結部材又は被連結体が連結する連結部材を取り付け、
前記運搬用台車の連結体又は被連結体を、前記被連結部材又は連結部材に連結して、運搬用台車を前記荷室内部に固定することを特徴とする運搬用台車の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載せて運搬移動するための運搬用台車と、これを貨物自動車などの輸送機関に積載して搬送する際に荷室内部に固定するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
小荷物や製品など複数の物品の運搬に、底板の下側にキャスターが配置され、底板の側部に立てた状態に取り付けられた枠体を手で押して、底板や棚板に載せた物品を移送する運搬用台車が利用されている。
【0003】
同じ届け先に運搬する物品が複数の運搬用台車に積まれている場合に、運搬用台車同士を接続して一体に運搬したり、複数の運搬用台車をひとまとめにして保管したりするための手段として、隣接配置した運搬用台車の横桟材間に架け渡して接続する接続金具や、一方の運搬用台車の枠体に取り付けられ、連結する他方の運搬用台車の枠体に架け渡して隣接配置した運搬用台車の枠体同士を連結する連結金具が利用されている(例えば特許文献1,2参照)。
【0004】
また、貨物自動車の荷室に運搬用台車を固定する手段として適宜な長さの弾性ベルトが使用され、弾性ベルトの一端を荷室壁面に設けた枠部に巻き通して取り付け、他端を運搬用台車の周囲に巻き回して固定することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平6-71429号公報
【文献】特開2005-289249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
運搬用台車同士の接続に、台車とは別体に形成された接続金具を用いる場合、接続金具を運搬用台車とは別に管理する必要があり、取り扱いが面倒であるという問題があった。
運搬用台車同士を接続する連結金具が台車に取り付けてあれば、前記のような管理の煩雑さは生じないが、従来の連結金具は枠体同士を連結する操作がし難く、簡易な操作で接続したり接続を解除したりすることができなかった。
また、貨物自動車の荷室に弾性ベルトを用いて運搬用台車を固定する場合、弾性ベルトを巻き付ける作業が煩雑であり、巻き付けが緩いと荷室内で運搬用台車が移動する事態も生じかねない。そのため、しっかりと巻き付けがされていることの確認や点検が必要となることと相俟って巻き付ける作業に時間を要し、簡易な操作で固定することができなかった。
【0007】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑み、運搬用台車同士を簡易な操作で一体に接続したり分離したりすることができ、また、貨物自動車などの荷室内にワンタッチで確実且つ安定的に運搬用台車を固定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、底板の左右両側に側部枠体、背面側に後部枠体が立てた状態に設けられ、前記底板の下面側にキャスターが設けられた構成を有する運搬用台車において、
係合凸部を有する連結体と前記係合凸部が係合する凹部を有する被連結体が、前記左右両側の側部枠体と後部枠体の何れかの枠体にそれぞれ設けられ、
同構成の運搬用台車同士が、一側の運搬用台車の前記被連結体に、他側の運搬用台車の連結体を連結して接続されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
前記構成の運搬用台車において、後部枠体の左右両側の一方の側に連結体、他方の側に被連結体をそれぞれ取り付け、或いは左右の側部枠体の一方の側部枠体に連結体、他方の側部枠体に被連結体をそれぞれ取り付けて構成して、
側部枠体が隣り合うように並べられた同構成の運搬用台車同士が、一側の運搬用台車に取り付けられた前記被連結体に他側の運搬用台車に取り付けられた連結体を連結して接続されように設けることができる。
【0010】
本発明は、前記構成の運搬用台車において、左右の側部枠体間に棚板が架設された構成を有することを特徴とする。
また、この棚板は、運搬用台車の前側から後部枠体側に向けて下り傾斜するように設置されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の構成として、底板の左右両側に側部枠体が立てた状態に設けられ、前記底板の下面側にキャスターが設けられた構成を有する運搬用台車において、
前記左右の側部枠体の一方の側部枠体に係合凸部を有する連結体が取り付けられ、他方の側部枠体に前記係合凸部が係合する凹部を有する被連結体が取り付けられた構成を備え、
側部枠体が隣り合うように並べられた同構成の運搬用台車同士が、一側の運搬用台車に取り付けられた前記被連結体に他側の運搬用台車に取り付けられた連結体を連結して接続され得るように設けられていることを特徴とする。
【0012】
前記構成の運搬用台車において、底板の背面側であって左右の側部枠体間に後部枠体が設けられていてもよく、また、左右の側部枠体間に棚板を架設して構成されていてもよい。
【0013】
前記構成の運搬用台車において、連結体は、係合凸部を下向きにして、枠体の外周に、当該外周に沿って回転自在及び上下動自在に取り付けられ、被連結体は、前記連結体の係合凸部が係合する凹部を上向きにして、枠体の外周に固定された構成とすることができる。
また、被連結体が、枠体の外周に固定されるのに代えて、枠体の外周に沿って回転自在に取り付けられた構成としてもよい。
【0014】
また、本発明は、前記構成の運搬用台車を輸送機関の荷室内部に固定する構造において、
輸送機関の荷室内部の壁面に、運搬用台車に取り付けられた連結体が連結する被連結部材と、被連結体に連結する連結部材を取り付け、
運搬用台車の連結体と被連結体を前記被連結部材と連結部材にそれぞれ連結して、運搬用台車を前記荷室内部に固定することを特徴とする。
なお、輸送機関とは、貨物自動車の他に、鉄道や航空機、船舶を含む。本発明は、これらの荷室に運搬用台車を積み込んで搬送する態様に適用されるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同構成の運搬用台車を並べた状態で、一側の台車に取り付けられた連結体を他方の台車に取り付けられた被連結体に係合させて連結することで、台車同士を一体に接続することができ、接続したまま両台車に収納した物品を移送することが可能である。また、係合を解除することで、接続していた台車を分離して移動させることが可能である。
また、輸送機関の荷室内部の壁面に被連結部材と連結部材を取り付けておくことで、運搬用台車の連結体と被連結体をそれぞれ前記被連結部材と連結部材に連結して、運搬用台車を荷室内部に簡単な操作で確実且つ安定的に固定して設置することが可能である。
運搬用台車に設けた棚板上に物品を載せて運搬するとき、とりわけ輸送機関の荷室内部に運搬用台車を固定して運搬するときに、走行中の振動や停車・発進時に作用する慣性力が台車を介して棚板上の物品に加わる。物品に加わる振動や慣性力は、物品の積載位置を移動せしめるように作用するが、本発明の運搬用台車では、棚板が運搬用台車の前側から後部枠体側に向けて下り傾斜するように設置してあるので、棚板に載せた物品が棚板から落ちるようなことはなく、物品を当初の積載位置に保持したまま運搬することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の運搬用台車の外観斜視図である。
図2図1の運搬用台車の正面図である。
図3図1の運搬用台車の棚板を外した状態の平面図である。
図4図1の運搬用台車の右側面図である。
図5図1の運搬用台車の左側面図である。
図6図1の運搬用台車に設置される棚板の(A)は平面図、(B)は正面図である。
図7】縦枠材に取り付けられた連結体の外観図である。
図8】縦枠材に取り付けられた被連結体の外観図である。
図9】連結体を被連結体に連結した状態の外観図である。
図10】荷室壁面に取り付ける連結部材の(A)は正面図、(B)は側面図である。
図11】荷室壁面に取り付ける被連結部材の(A)は正面図、(B)は側面図である。
図12図1の運搬用台車の被連結体に荷室壁面に取り付けられた連結部材を連結して運搬用台車を荷室内に固定する態様を示した図である。
図13】被連結体の他の形態の外観図である。
図14図13に示された被連結体に連結体を連結した状態の外観図である。
図15】運搬用台車の他の形態の外観図である。
図16図15の運搬用台車同士を接続した状態の連結体と被連結体の連結部分を拡大して示した要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
図1から図5は本発明の一実施形態の運搬用台車を示しており、この運搬用台車1は、下面側にキャスター6,7が配置された底板2の周囲三辺が、左右の側部枠体3,4と後部枠体5で囲われてなり、底板2の上面と、その上方で左右の側部枠体3,4間に架設された棚板8の上面に載せた物品を前記左右の側部枠体3,4や後部枠体5を手で押して運搬することができるとともに、前記側部枠体3,4と後部枠体5に取り付けられた連結体9と被連結体10を利用して同構成の台車同士を接続して移送したり荷室内に台車を固定したりすることができるように構成してある。
【0018】
詳しくは、底板2は平面視矩形状を呈する鋼製板材からなり、その後端部が後部枠体5の下側の横枠材5cにヒンジ連結され、その左右両側の縁部を、前記左右の側部枠体3,4の下側の横枠材3c,4cに設けられた鍔面部3d,4dに係合させて、左右の側部枠体3,4と後部枠体5の下部間に水平に支持されるように取り付けてある。
底板2は、前記後部枠体5とのヒンジ連結部を支点としてその全体を上方へ回転変位させて、後部枠体5と略平行に起立させることができるように設けてある(図4中の破線参照)。
【0019】
左右の側部枠体3,4は、ともに、上側の横枠材3a,4aと、上側の横枠材3a,4aの両端部から下方へ折れた前後の縦枠材3b,4bとを中空パイプを屈曲して形成し、且つ前後の縦枠材3b,4bの下端部をL字アングル材からなる下側の横枠材3c,4cの上面に一体に接続してなる縦長の枠材であり、前記下側の横枠材3c,4cの前後に内方へ直角に折れて突出した鍔面部3d,4dをそれぞれ設け、両鍔面部3d、4dの下面に前側キャスター6と後側キャスター7をそれぞれ一体に取り付けて形成してある。
【0020】
右側部枠体3は、図4に示されるように、上下の横枠材3a,3cと前後の縦枠材3b,3bの間に、複数の縦桟材3eと横桟材3fを格子状に取り付けてなり、その後側の縦枠材3bを、接続部材11を介して後部枠体5の横枠材5bの前方に接続してある。前記横桟材3fは、前側の縦枠材3b側から後側の縦枠材3b側に向けて、水平面に対して適宜な角度、例えば5°程度の傾きで、下り傾斜するように取り付けてある。
縦枠材3bは、接続部材11の前端部に当該前端部を支点として内側へ回転変位し得るように接続されており、底板2を上方へ起立させた状態で、右側部枠体3を後部枠体5と略平行となるように内方へ回転変位させることができるように設けてある(図3中の破線参照)。
また、右側部枠体3の前側の縦枠材3bには、後述する被連結体10が複数取り付けてある。なお、図4中、符番12は、運搬用台車1の運搬先などの情報を表示する表示銘板の取り付け部である。
【0021】
左側部枠体4は、前記右側部枠体3と同様に、図5に示されるように、上下の横枠材4a,4cと前後の縦枠材4b,4bの間に、複数の縦桟材4fと横桟材4eを格子状に取り付けてなり、その後側の縦枠材4bを、接続部材11を介して後部枠体5の横枠材5aの前方に一体に接続してある。前記横桟材4eが、前側の縦枠材4b側から後側の縦枠材4b側に向けて下り傾斜するように取り付けてある点は右側部枠体3の横桟材3eと同様である。
また、左側部枠体4の前側の縦枠材4bには、後述する連結体9が複数取り付けてある。
【0022】
後部枠体5は、図1及び図2に示されるように、上側の横枠材5aと、上側の横枠材5aの両端部から下方へ折れた左右の縦枠材5b,5bとを中空パイプを屈曲して形成し、且つ左右の縦枠材5b,5bの下端部をL字アングル材からなる下側の横枠材5cの上面に一体に接続してなる枠材であり、上下の横枠材5a,5cと左右の縦枠材5b,5bの間に、複数の縦桟材5dと横桟材5eを格子状に取り付けて形成してある。
前記のとおり、後部枠体5の下側の横枠材5cには、底板2の後端部がヒンジ連結されており、また、左右の縦枠材5b,5bには、接続部材11を介して左右の側部枠体3,4が接続してある。
また、後部枠体5の右側の縦枠材5bには後述する被連結体10、左側の縦枠材5bには後述する連結体9がそれぞれ取り付けてある。
【0023】
棚板8は、図6に示されるように、底板2と略同寸法の鋼板からなる本体板8aの短手辺側の両側部に、前記左右の側部枠体3,4の横桟材3d,4dに係合する係合片8a,8aを一体に設けて形成してある。
前記のとおり、左右の側部枠体3,4の横桟材3d,4dは、運搬用容器1の前側から後側に向けて下り傾斜させて取り付けられているため、両横桟材3d,4dに棚板8を架設させた状態で、本体板8aの上面がその前側から後部枠体5側に向けて下り傾斜して配置されるようになっている。
【0024】
連結体9は、図7に示されるように、前記左側の側部枠体4の縦枠材4bと後部枠体5の左側の縦枠材5bの外周に装着された円筒状のスライド部材9aの表面に、略下向きL字形で鉤状に屈曲した棒体からなる係合凸部9bを突設して形成してある。
連結体9のスライド部材9aは、前記縦枠材4bと縦枠材5bの外周面に僅かな隙間を確保して装着されており、両枠材の外周面に沿って回転及び上下動し得るように取り付けてある。
また、スライド部材9aの下部には凹状の切り欠け部9cが形成されており、前記装着された前記縦枠材4bと縦枠材5bの外周に設けられた凸部である下方位置制限部位(ストッパー)13に切り欠け部9cが係合することでスライド部材9aが係合位置に保持されるようになっている。下方位置制限部位13は、左側部枠体4の縦枠材4bの外周面に図7に示されるような凸部を設ける他に、横桟材4fの上面にスライド部材9aの切り欠け部9cが係合するように設けてもよく、このようにしてもスライド部材9aの変位を制限して係合位置に保持させておくことが可能である。
【0025】
被連結体10は、図8に示されるように、前記連結体9の係合凸部9bが挿入して係合する、上下に貫通した凹部10aを有する管材であり、前記右側の側部枠体3の縦枠材3bと後部枠体5の左側の縦枠材5bの外周に前記凹部10aを鉛直方向に向けて一体に固定してある。
【0026】
連結体9と被連結体10は、図9に示されるように、それぞれが取り付けられた縦枠材同士を近接配置した状態で、連結体9のスライド部材9aを上方へスライド変位させつつ回転して係合凸部9bを側方へ張り出させ、被連結体10の凹部10aに係合凸部9bを差し込んで係合させることで連結体9と被連結体10が連結して、隣接配置された縦枠材同士を接続することができるようになっている。また、係合凸部9aと凹部10aとの係合を解除することで、接続していた縦枠材同士を分離することができるようになっている。
なお、右側部枠体3の縦枠材3bに取り付けられた複数の被連結体10と、左側部枠体4の縦枠材4bに取り付けられた複数の連結体9は、同構成の運搬用台車1を横に並べたときに、各々隣り合う連結体9と被連結体10が連結するように取り付けた高さを揃えて設置してある。また、後部枠体5の左右の縦枠材5b,5bの連結体9と被連結体10も高さを揃えて取り付けてある。
【0027】
このように構成された本形態の運搬用台車1によれば、左右の側部枠体3,4が隣り合うように同構成の運搬用台車1,1を並べた状態で、一側の台車に取り付けられた連結体9を上方へスライド変位させつつ回転して係合凸部9bを外方へ張り出し、これを他方の台車に取り付けられた被連結体10の凹部10aに係合させて連結することで、台車同士を一体に接続することができ、接続したまま両台車に収納した物品を移送することが可能である。
また、被連結体10に連結した連結体9を上方へ変位しつつ回転させることで、係合凸部9bと凹部10aとの係合が解除され、接続していた台車を分離して移動させることが可能である。
【0028】
また、物品を収納した運搬用台車1を貨物自動車などの輸送機関の荷室に収容して運搬する場合に、図10に示される連結部材14や、図11に示される被連結部材15を荷室の壁面に取り付け、これに運搬用台車1の後部枠体5に取り付けられた被連結体10,連結体9を連結することで、荷室内に運搬用台車1を固定しておくことが可能である。
【0029】
図10に示された連結部材14は、固定板14cの前面に円筒軸部14dをボス14e,14eを介して立設し、この円筒軸部14dの外周に、表面に係合凸部14bを突設したスライド部材14aを装着して形成してある。円筒軸部14dの周面にはスライド部材14aの切り欠き部(図示せず)が係合する下方位置制限部位14fが設けてあり、下方位置制限部位14fよりも上方でスライド部材14aが円筒軸部14dの外周に沿って回転及び上下移動し得るように設けてある。
また、図11に示された被連結部材15は、固定板15cの前面に、上下に貫通した凹部15aを有する管材15bを一体に固定して形成してある。
【0030】
連結部材14と被連結部材15は、荷室の壁面に固定板14c,15cをネジ留めするなどして取り付けられ、運搬用台車1の後部枠体5側を荷室の壁面に面するように位置させた状態で、図12に示されるように、連結部材14のスライド部材14を回転させて係合凸部14bを後部枠体5の前方側へ張り出させ、後部枠体5に取り付けられた被連結体10の凹部10a内に係合凸部14bを差し込んで係合させることで、後部枠体5を連結部材14に接続することができる。
そして、図示されないが、後部枠体5の他方の縦枠材5bに取り付けられた連結体9は、同じく荷室の壁面に取り付けられた被連結部材15に接続され、後部枠体5の左右の連結体9と被連結体10を荷室の壁面に取り付けられた被連結部材15と連結部材14に接続することで、運搬用台車1が荷室の壁面に沿って固定され、トラックなどで移送している間も当初の固定位置に台車を保持して運搬することが可能である。
また、連結体9と被連結部材15、被連結体10と連結部材14との係合を解除することで、荷室の壁面から運搬用台車1を分離して移送することが可能である。
【0031】
図13は、被連結体10の他の態様を示しており、これは、右側部枠体3の縦枠材3b又は後部枠体5の縦枠材5bの外周に、当該外周に沿って回転及び上下動自在にスライド部材10bを装着し、このスライド部材10bの表面に連結体9の係合凸部9bが係合する上下に貫通する凹部10aを有する管材を一体に取り付けたものである。
スライド部材10bの下部に凹状の切り欠け部10cが形成され、前記縦枠材3bと縦枠材5bの外周に設けられた凸部である下方位置制限部位13に切り欠け部10cが係合することでスライド部材10bが係合位置に保持されること、下方位置制限部位13に代えて横桟材4fの上面に切り欠け部10cが係合するように設けてもよいことは前記連結体9と同様である。
このように被連結体10を設けることで、図14に示されるように、互いに縦枠材の外側に連結体9と被連結体10を貼り出した位置で両部材を連結して、運搬用台車1,1同士を接続することが可能である。
【0032】
図15は、運搬用台車1の他の形態を示しており、これは、下面側にキャスター6が設けられた底板2の左右両側に、中空パイプを屈曲してなる側部枠体3,4を立てた状態に設置し、両枠体3,4の横桟材3f,4f間に棚板8を架設するとともに、右側部枠体3に前記図13に示された被連結体10、左側部枠体4に前記図7に示された連結体9を取り付けて構成したものである。
【0033】
このように構成された運搬用台車1においても、図16に示されるように、側部枠体3,4が隣り合うように同構成の運搬用台車1,1を並べた状態で、一側の台車に取り付けられた連結体9を上方へスライド変位させつつ回転して係合凸部9bを外方へ張り出し、同じく他側の台車に取り付けられた被連結体10を上方へスライド変位させつつ回転して外方へ張り出した状態で、連結体9の係合凸部9bを被連結体10の凹部10aに係合させて連結することで、台車同士を一体に接続することが可能である。
また、被連結体10に連結した連結体9を上方へ変位しつつ回転させることで、係合凸部9bと凹部10aとの係合が解除され、接続していた台車を分離することが可能である。
【0034】
なお、図示した運搬用台車1、連結体9と被連結体10、及び連結部材14と被連結部材15の形態は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれらに限定されず、他の適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 運搬用台車、2 底板、3 右側部枠体、4 左側部枠体、5 後部枠体、6,7 キャスター、8 棚板、9 連結体、10 被連結体、11 接続部材、12 表示銘板の取り付け部、13 下方変位制限部位、14 連結部材、15 被連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16