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  • 特許-サスペンションブッシュ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】サスペンションブッシュ
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/387 20060101AFI20220712BHJP
   F16F 1/38 20060101ALI20220712BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
F16F1/387 E
F16F1/38 G
F16F1/38 H
F16F15/08 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019173215
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050761
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】細田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】坂井 直樹
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-019141(JP,U)
【文献】特開2018-034613(JP,A)
【文献】実開昭57-045408(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第106627642(CN,A)
【文献】英国特許出願公告第01016060(GB,A)
【文献】国際公開第94/013967(WO,A1)
【文献】国際公開第89/06758(WO,A1)
【文献】特開平4-345510(JP,A)
【文献】特開2005-106104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/387
F16F 1/38
F16F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒と、外筒と、前記内筒および前記外筒を連結する弾性体とを備えており、前記内筒の軸方向一端が車両装着内側に配置されるとともに当該内筒の軸方向他端が車両装着外側に配置される、サスペンションブッシュであって、
前記内筒は、前記内筒の軸方向中央領域において、
前記内筒の外周面に、前記内筒の外径が当該内筒の軸方向一端側から当該内筒の軸方向他端側に向かうにしたがい小さくなる、外周面側傾斜部を備えるとともに、
前記内筒の内周面に、前記内筒の内径が当該内筒の前記軸方向一端側から当該内筒の前記軸方向他端側に向かうにしたがい大きくなる、内周面側傾斜部を備える、サスペンションブッシュ。
【請求項2】
前記外周面側傾斜部は、前記内周面側傾斜部よりも前記内筒の前記軸方向一端側に配置されている、請求項1に記載のサスペンションブッシュ。
【請求項3】
軸方向断面視で、前記外周面側傾斜部の、軸線に対する鋭角側の傾斜角度が、前記内周面側傾斜部の、前記軸線に対する鋭角側の傾斜角度よりも大きい、請求項1または2に記載のサスペンションブッシュ。
【請求項4】
前記サスペンションブッシュは、トレーリングアームブッシュである、請求項1~3のいずれか1項に記載のサスペンションブッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンションブッシュに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のサスペンションブッシュには、内筒の外周面を軸方向に沿ってストレートな形状とし、当該内筒と外筒とが弾性体によって連結されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-202460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のサスペンションブッシュには、前記内筒の軸方向中央領域近傍において、前記内筒と前記弾性体との接着面を基点に当該弾性体に亀裂が発生し、当該亀裂が車両装着外側に向かって進展してしまうケースがあった。即ち、上記従来のサスペンションブッシュには、耐久性の点で改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、耐久性を向上させたサスペンションブッシュを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るサスペンションブッシュは、内筒と、外筒と、前記内筒および前記外筒を連結する弾性体とを備えており、前記内筒の軸方向一端が車両装着内側に配置されるとともに当該内筒の軸方向他端が車両装着外側に配置される、サスペンションブッシュであって、前記内筒は、前記内筒の軸方向中央領域において、前記内筒の外周面に、前記内筒の外径が当該内筒の軸方向一端側から当該内筒の軸方向他端側に向かうにしたがい小さくなる、外周面側傾斜部を備えるとともに、前記内筒の内周面に、前記内筒の内径が当該内筒の前記軸方向一端側から当該内筒の前記軸方向他端側に向かうにしたがい大きくなる、内周面側傾斜部を備える。本発明に係るサスペンションブッシュによれば、耐久性を向上させたサスペンションブッシュとなる。
【0007】
本発明に係るサスペンションブッシュにおいて、前記外周面側傾斜部は、前記内周面側傾斜部よりも前記内筒の前記軸方向一端側に配置されていることが好ましい。この場合、耐久性をより向上させることができる。
【0008】
本発明に係るサスペンションブッシュは、軸方向断面視で、前記外周面側傾斜部の、軸線に対する鋭角側の傾斜角度が、前記内周面側傾斜部の、前記軸線に対する鋭角側の傾斜角度よりも大きいことが好ましい。この場合、耐久性をより向上させることができる。
【0009】
本発明に係るサスペンションブッシュは、トレーリングアームブッシュであることが好ましい。この場合、より効果的な耐久性の向上を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐久性を向上させたサスペンションブッシュを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る一実施形態のサスペンションブッシュを示す平面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図2の領域Xを拡大して示す断面図である。
図4図1のサスペンションブッシュを採用可能な、車両のサスペンション機構の一例を概略的に示す平面図である。
図5】従来のサスペンションブッシュを図1のA-A断面相当で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る一実施形態のサスペンションブッシュについて説明を行う。
【0013】
図1中、符号1は、本発明に係る一実施形態のサスペンションブッシュである。サスペンションブッシュ1は、内筒2と、外筒3と、内筒2および外筒3を連結する弾性体4とを備えている。
【0014】
本実施形態では、内筒2および外筒3は、同一の軸O上に配置されている。内筒2および外筒3は、炭素鋼、アルミ合金等の金属で形成されている。また、弾性体4は、ゴムで形成されている。ただし、弾性体4は、ゴム以外の弾性材料で形成することができる。
【0015】
弾性体4には、2つのすぐり穴(貫通穴)5が形成されている。2つのすぐり穴5は、図1に示すように、平面視において、内筒2を挟んで互いに向かい合う位置に形成されている。すぐり穴5は、軸Oに沿って延在しているとともに弾性体4を貫通している。また、弾性体4には、2つのストッパ4aが設けられている。
【0016】
図2を参照すれば、サスペンションブッシュ1は、内筒2の軸方向一端2aが車両装着内側に配置されるとともに当該内筒2の軸方向他端2bが車両装着外側に配置されるサスペンションブッシュである。
【0017】
図4は、サスペンションブッシュ1を採用可能なサスペンション機構100の一例を概略的に示す平面図である。本例のサスペンション機構100は、車両後側に配置されたトーションビーム式のサスペンション機構である。本例では、サスペンション機構100は、車幅方向に間隔を置いて配置された2つのトレーリングアーム110と、車幅方向に延在している1つのトーションビーム120と、を備えている。本例では、2つのトレーリングアーム110は、それぞれ、車両前後方向に延在している。また、2つのトレーリングアーム110は、それぞれ、トーションビーム120によって一体に連結されている。本例では、トレーリングアーム110の前端部110aには、サスペンションブッシュ1の外筒3が装着されている。また、この例では、サスペンションブッシュ1の内筒2は、車体側に設けられた固定部130に連結されている。即ち、トレーリングアーム110は、サスペンションブッシュ1を介して車両側に接続されている。また、トレーリングアーム110の後端部110bには、後輪140が回転可能に接続されている。本例では、サスペンションブッシュ1は、主として、コンプライアンスブッシュとして機能する。
【0018】
ここで、図2を参照すれば、内筒2は、当該内筒2の軸方向中央領域Rcにおいて、内筒2の外周面21に、外周面側傾斜部211を備えている。外周面側傾斜部211は、内筒2の外周面21の一部を形成している。図3を参照すれば、外周面側傾斜部211は、内筒2の外径が当該内筒2の軸方向一端2a側(以下、「軸方向一端側」ともいう。)から当該内筒2の軸方向他端2b側(以下、「軸方向他端側」ともいう。)に向かうにしたがい小さくなる。詳細には、外周面側傾斜部211は、当該外周面側傾斜部211の外径寸法φ211が軸方向一端側から軸方向他端側に向かうにしたがい一定の割合(角度θ1)で小さくなっている。即ち、外周面側傾斜部211は、軸方向他端側に向かうにしたがい、一定の角度θ1で先細りした、軸Oを取り囲む環状のテーパ面である。ここで、角度θ1は、図3に示すように、軸方向断面視(軸Oを含む断面で視た状態)において、軸Oと外周面側傾斜部211とがなす鋭角側の角度である。
【0019】
また、図2を参照すれば、内筒2は、内筒2の軸方向中央領域Rcにおいて、内筒の内周面22に、内周面側傾斜部221を備えている。内周面側傾斜部221は、内筒2の内周面22の一部を形成している、図3を参照すれば、内周面側傾斜部221は、内筒2の内径φ2が軸方向一端側から軸方向他端側に向かうにしたがい大きくなる。詳細には、内周面側傾斜部221は、内筒2の外径寸法φ221が軸方向一端側から軸方向他端側に向かうにしたがい一定の割合(角度θ2)で大きくなっている。即ち、内周面側傾斜部221は、軸方向他端側に向かうにしたがい、一定の角度θ2で拡大した、軸Oを取り囲む環状のテーパ面である。ここで、角度θ2は、図3に示すように、軸方向断面視において、軸Oと内周面側傾斜部221とがなす鋭角側の角度である。
【0020】
サスペンションブッシュには、軸直角方向(軸Oに対して直交する径方向)の入力だけではなく、ねじり、こじりといった複雑な入力がある。このため、弾性体4の耐久性を長期的に確保することは非常に難しい。また、内筒2の形状には、サスペンションブッシュとして要求されるばね特性を確保するために制限がある。
【0021】
しかしながら、図5に示す、従来のサスペンションブッシュ10のように、内筒2の外径寸法φ21が一定である場合、即ち、内筒2の外周面21が軸方向に沿ってストレートな形状である場合、本実施形態のように、内筒2の軸方向一端2aが車両装着内側に配置されるとともに当該内筒2の軸方向他端2bが車両装着外側に、当該サスペンションブッシュを配置したとき、内筒2の軸方向中央領域Rcの近傍において、内筒2と弾性体4との接着面Mを基点に、矢印Cに示すように、当該弾性体4に亀裂が発生し、当該亀裂が車両装着外側に向かって進展してしまうケースがあった。
【0022】
そこで、本願発明者は、鋭意、試験・研究の結果、上記亀裂の原因が、内筒2の軸方向中央領域Rcにおいて、当該内筒2との接着面Mの弾性体4が車両装着外側に向かって引っ張られることにより発生する応力であることを確かめた。
【0023】
これに対し、図2に示すように、本実施形態に係るサスペンションブッシュ1では、上述のとおり、内筒2は、その軸方向中央領域Rcにおいて、内筒2の外周面21に、当該内筒2の外径が軸方向一端側から軸方向他端側に向かうにしたがい小さくなる外周面側傾斜部211を備える。この場合、内筒2と外筒3との間に介在させた弾性体4の体積量(本実施形態では、以下、「ゴムボリューム」ともいう。)のうち、内筒2の軸方向他端2b側で当該内筒2と外筒3との間に介在させた弾性体4の体積量(本実施形態では、以下、「軸方向他端側ゴムボリューム」ともいう。)Bをより多く確保することができる。
【0024】
即ち、本実施形態に係るサスペンションブッシュ1によれば、ゴムボリュームを確保することによってサスペンションブッシュ1のばね特性に与える影響を最小限に抑えつつ、軸方向他端側ゴムボリュームBを増加させることによって、内筒2の軸方向中央領域Rcにおいて、当該内筒2と弾性体4との生じる応力を抑制することができる。このため、本実施形態によれば、サスペンションブッシュに要求されるばね特性を損なうことなく、内筒2の軸方向中央領域Rcにおいて、内筒2と弾性体4との接着面Mで当該弾性体4に生じる応力が緩和される。これによって、本実施形態によれば、弾性体4の亀裂の発生および当該亀裂の進展を抑制することができる。
【0025】
したがって、本実施形態に係るサスペンションブッシュ1は、耐久性を向上させたサスペンションブッシュとなる。
【0026】
なお、本発明によれば、内筒2の軸方向中央領域Rcは、内筒2の全長Lを三等分に分割したときの、中央に位置する領域であることが好ましい。
【0027】
具体的には、図2に示すように、内筒2は、軸方向一端領域Ra、軸方向中央領域Rc、軸方向他端領域Rbの、3つの領域に分けることができる。これら3つの領域は、それぞれ、内筒2の全長Lを三等分に分割したときの領域であることが好ましい。即ち、内筒2を軸方向の3つ領域に区画したときの、軸方向一端領域Ra、軸方向中央領域Rc、軸方向他端領域Rbは、それぞれ、内筒2を当該内筒2の全長Lの1/3の長さ(L/3)で等しく区画したときの各領域である。
【0028】
図2に示すように、本実施形態では、内筒2の軸方向中央領域Rcは、内筒2の全長Lを三等分に分割したときの、中央に位置する領域である。外周面側傾斜部211を軸方向中央領域Rcよりも軸方向一端2a側に設けた場合、即ち、外周面側傾斜部211を軸方向一端領域Raに設けた場合、軸方向他端側ゴムボリュームBが増えすぎることで、サスペンションブッシュ本来のばね特性が低下し、要求されるばね特性を従来と同等の弾性体の硬度では維持できなくなることが懸念される。これに対し、外周面側傾斜部211を軸方向中央領域Rcよりも軸方向他端2b側に設けた場合、即ち、外周面側傾斜部211を軸方向他端領域Rbに設けた場合、軸方向他端側ゴムボリュームBの増加が不十分となり、応力の緩和、耐久性の向上といった本発明の効果が十分に発揮されないことが懸念される。
【0029】
したがって、本実施形態のように、内筒2の軸方向中央領域Rcは、内筒2の全長Lを三等分に分割したときの、中央に位置する領域であるとすれば、サスペンションブッシュに要求されるばね特性を損なうことなく、効果的に、耐久性の向上を図ることができる。
【0030】
ところで、サスペンションブッシュには、燃費の向上等の目的から、軽量化が求められる。また、本実施形態のように、内筒2の軸方向一端2aが車両装着内側を向くように配置されるサスペンションブッシュでは、当該サスペンションブッシュは、内筒2の軸方向一端2aに形成された開口部2cに、ねじ等の締結要素が配置されることによって車両に組み付けられる。このため、内筒2の軸方向一端2aの内径寸法φ2aが大きくなりすぎると、車両にサスペンションブッシュの車両装着後にガタつきを生じさせる虞がある。したがって、内筒2の軸方向一端2aの内径寸法φ2aは、小さく抑えられることが好ましい。
【0031】
本実施形態に係るサスペンションブッシュ1では、内筒2は、内筒2の軸方向中央領域Rcにおいて、内筒2の内周面22に、内筒2の内径φ2が軸方向一端側から軸方向他端側に向かうにしたがい大きくなる内周面側傾斜部221を備える。この場合、内筒2の軸方向一端2aの内径寸法φ2aを大きくすることなく、当該内筒2の軸方向他端2bの内径寸法φ2bを大きくすることができる。
【0032】
即ち、本実施形態に係るサスペンションブッシュ1によれば、内筒2の軸方向一端2aの内径寸法φ2aの大きさを小さく抑えつつ、内筒2の軸方向他端2b側の肉厚を薄くさせることができる。したがって、本実施形態に係るサスペンションブッシュ1によれば、車両装着後に生じ得るガタつきを抑制しつつ、内筒2の軽量化が図れることによって、サスペンションブッシュ1全体の軽量化と、車両装着後のガタつき抑制との両立を図ることができる。
【0033】
なお、図3を参照して説明すれば、内筒2の外周面側傾斜部211において、当該外周面側傾斜部211の軸方向一端211aの外径寸法φ211aと、当該外周面側傾斜部211の軸方向他端211bの外径寸法φ211bとの外径寸法差Δφ211(=φ211a-φ211b)は、外周面側傾斜部211の軸方向一端211aの外径寸法φ211aの20%以内の値であることが好ましい。
【0034】
また、図2を参照すれば、本発明に係るサスペンションブッシュにおいて、外周面側傾斜部211は、内周面側傾斜部221よりも軸方向一端側に配置されていることが好ましい。この場合、外周面側傾斜部211を軸方向一端側に寄せることによって、軸方向他端側ゴムボリュームBbを増加させつつ、内周面側傾斜部221を軸方向他端側に寄せることによって、内筒2の軸方向他端側の肉厚が薄くなる軸方向の領域を制限することができる。この場合、内筒2と弾性体4との間に生じる応力の抑制によって弾性体4の耐久性を向上させることができるとともに、内筒2の肉厚が確保されることによって内筒2の耐久性を向上させることができる。これにより、サスペンションブッシュ1の耐久性をより向上させることができる。
【0035】
図3に示すように、本実施形態では、外周面側傾斜部211は、内周面側傾斜部221よりも軸方向一端側に配置されている。したがって、本実施形態によれば、サスペンションブッシュ1の耐久性をより向上させることができる。
【0036】
また、本発明に係るサスペンションブッシュは、軸方向断面視(軸Oを含む平面を断面とした視方)で、外周面側傾斜部211の、軸線(軸Oに対して平行に延在する直線)に対する鋭角側の角度θ1が、内周面側傾斜部221の、前記軸線に対する鋭角側の角度θ2よりも大きいことが好ましい。この場合、外周面側傾斜部211の角度θ1を大きくすることによって、軸方向他端側ゴムボリュームBを増加させつつ、内周面側傾斜部221の角度θ2を外周面側傾斜部211の角度θ1よりも抑えることによって、内筒2の軸方向他端2b側の肉厚tが薄くなる量を制限することができる。この場合、内筒2と弾性体4との間に生じる応力の抑制によって弾性体4の耐久性を向上させることができるとともに、内筒2の肉厚が確保されることによって内筒2の耐久性を向上させることができる。これにより、サスペンションブッシュ1の耐久性をより向上させることができる。
【0037】
図3に示すように、本実施形態では、軸方向断面視で、外周面側傾斜部211の角度θ1が、内周面側傾斜部221の角度θ2よりも大きい。したがって、本実施形態によれば、サスペンションブッシュ1の耐久性をより向上させることができる。
【0038】
また、本発明に係るサスペンションブッシュは、上述のようなトレーリングアームブッシュであることが好ましい。この場合、荷重が複雑に入力されるトレーリングアーム110のブッシュとして使用されるため、より効果的な耐久性の向上を実現することができる。
【0039】
本実施形態に係るサスペンションブッシュ1は、サスペンション機構を構成するトレーリングアーム110に装着されるトレーリングアームブッシュである。したがって、本実施形態によれば、より効果的な耐久性の向上を実現することができる。
【0040】
上述のとおり、本発明によれば、耐久性を向上させたサスペンションブッシュ1を提供することができる。
【符号の説明】
【0041】
1:サスペンションブッシュ(トレーリングアームブッシュ), 2:内筒, 2a:内筒の軸方向一端, 2b:内筒の軸方向他端, 3:外筒, 4:弾性体, 21:内筒の外周面, 211:外周面側傾斜部, 22:内筒の内周面, 221:内周面側傾斜部, θ1:外周面側傾斜部の鋭角側の角度, θ2:内周面側傾斜部の鋭角側の角度, φ211a:外周面側傾斜部の軸方向一端の外径寸法, φ211b:外周面側傾斜部の軸方向他端の外径寸法, Ra:内筒の軸方向一端領域, Rc:内筒の軸方向中央領域, Rb:内筒の軸方向他端領域, O:軸(軸線)
図1
図2
図3
図4
図5