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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/16 20200101AFI20220712BHJP
【FI】
B60W30/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019506563
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(86)【国際出願番号】 IB2018051423
(87)【国際公開番号】W WO2018172871
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2019-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2017053852
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】押田 裕樹
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-531654(JP,A)
【文献】特開2013-244876(JP,A)
【文献】特開2015-040020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータサイクル(100)の挙動を制御する制御装置(60)であって、
前記モータサイクル(100)の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率を取得する取得部(61)と、
前記モータサイクル(100)から先行車両までの距離が距離基準値を下回る場合、又は、該モータサイクル(100)の車体速度が速度基準値を超える場合に、該モータサイクル(100)のドライバによる操作によらずに該モータサイクル(100)を自動で減速させるオートクルーズ減速動作を該モータサイクル(100)に実行させる制御モードを開始する実行部(62)と、
を備えており、
前記制御モードにおいて、前記オートクルーズ減速動作によって前記モータサイクル(100)に自動で生じる減速度である自動減速度が、目標減速度になるように制御され
前記制御モードにおいて、前記オートクルーズ減速動作のための前記目標減速度、又は、前記オートクルーズ減速動作の実行可否が、前記変化率に基づいて決定される、
制御装置。
【請求項2】
前記制御モードにおいて、前記変化率が変化率基準値を超える場合に、前記オートクルーズ減速動作が禁止される、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御モードにおいて、前記オートクルーズ減速動作の禁止中に前記モータサイクル(100)の前記ドライバによる操作に応じた減速度が生じる、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御モードにおいて、前記変化率が大きい場合に、前記変化率が小さい場合に実行される前記オートクルーズ減速動作と比較して、前記自動減速度が小さい前記オートクルーズ減速動作が実行される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御モードにおいて、前記オートクルーズ減速動作中の前記モータサイクル(100)に生じる前記自動減速度が、前記オートクルーズ減速動作中に取得される前記変化率に応じて制御される、
請求項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記状態量は、前記モータサイクル(100)のリーン角を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記状態量は、前記モータサイクル(100)のリーン角の角速度を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記状態量は、前記モータサイクル(100)の操舵角を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記状態量は、前記モータサイクル(100)の操舵角の角速度を含む、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御モードにおいて、前記モータサイクル(100)の車輪(3,4)に付与される制動力が制御されることによって、前記自動減速度が制御される、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御モードにおいて、前記モータサイクル(100)のエンジンの出力が制御されることによって、前記自動減速度が制御される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
モータサイクル(100)の挙動を制御する制御方法であって、
前記モータサイクル(100)から先行車両までの距離が距離基準値を下回る場合、又は、該モータサイクル(100)の車体速度が速度基準値を超える場合に、該モータサイクル(100)のドライバによる操作によらずに該モータサイクル(100)を自動で減速させるオートクルーズ減速動作を実行させる制御モードを開始する実行ステップ(S115)と、
前記モータサイクル(100)の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率を取得する取得ステップ(S117)と、
を備えており、
前記制御モードにおいて、前記オートクルーズ減速動作によって前記モータサイクル(100)に自動で生じる減速度である自動減速度が、目標減速度になるように制御され
前記制御モードにおいて、前記オートクルーズ減速動作のための前記目標減速度、又は、前記オートクルーズ減速動作の実行可否が、前記変化率に基づいて決定される、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、モータサイクルの転倒を抑制しつつ、ドライバによる運転を適切に支援することができる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータサイクルに関する技術として、ドライバによる運転を支援するためのものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、走行方向又は実質的に走行方向にある障害物を検出するセンサ装置により検出された情報に基づいて、不適切に障害物に接近していることをモータサイクルのドライバへ警告する運転者支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-116882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドライバによる運転を支援するために、モータサイクルをその挙動が少なくとも部分的に自動制御された状態で持続的に走行させる走行モードである、オートクルーズ走行モードが利用されることが考えられる。オートクルーズ走行モードでは、例えば、モータサイクルから先行車両までの距離が距離基準値に近づくように制御される。ゆえに、オートクルーズ走行モードにおいてドライバによる操作によらずに減速する動作であるオートクルーズ減速動作をモータサイクルに実行させる制御が行われる場合がある。ここで、モータサイクルは、例えば4輪を有する車両と比較して姿勢が不安定になりやすい。ゆえに、オートクルーズ減速動作によってモータサイクルに減速度が生じることに起因して、モータサイクルが転倒するおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、モータサイクルの転倒を抑制しつつ、ドライバによる運転を適切に支援することができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置は、モータサイクルの挙動を制御する制御装置であって、前記モータサイクルの旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率を取得する取得部と、前記モータサイクルにオートクルーズ減速動作を実行させる制御モードを開始する実行部と、を備えており、前記制御モードにおいて、前記オートクルーズ減速動作によって前記モータサイクルに生じる減速度である自動減速度が、前記変化率に応じて制御される。
【0008】
本発明に係る制御方法は、モータサイクルの挙動を制御する制御方法であって、前記モータサイクルにオートクルーズ減速動作を実行させる制御モードを開始する実行ステップと、前記モータサイクルの旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率を取得する取得ステップと、備えており、前記制御モードにおいて、前記オートクルーズ減速動作によって前記モータサイクルに生じる減速度である自動減速度が、前記変化率に応じて制御される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、モータサイクルにオートクルーズ減速動作を実行させる制御モードにおいて、オートクルーズ減速動作によってモータサイクルに生じる減速度である自動減速度が、モータサイクルの旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率に応じて制御される。それにより、モータサイクルの姿勢に応じて適切に自動減速度を制御することができる。よって、モータサイクルの転倒を抑制しつつ、ドライバによる運転を適切に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るブレーキシステムが搭載されるモータサイクルの概略構成の一例を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るブレーキシステムの概略構成の一例を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】リーン角について説明するための説明図である。
図5】本発明の実施形態に係る制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る制御装置及び制御方法について、図面を用いて説明する。なお、以下では、モータサイクルが自動二輪車である場合を説明しているが、モータサイクルは自動三輪車等の他のモータサイクルであってもよい。また、前輪制動機構及び後輪制動機構が、それぞれ1つずつである場合を説明しているが、前輪制動機構及び後輪制動機構の少なくとも一方が複数であってもよい。
【0012】
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。
【0013】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0014】
<ブレーキシステムの構成>
本発明の実施形態に係るブレーキシステム10の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るブレーキシステム10が搭載されるモータサイクル100の概略構成の一例を示す模式図である。図2は、本発明の実施形態に係るブレーキシステム10の概略構成の一例を示す模式図である。図3は、本発明の実施形態に係る制御装置60の機能構成の一例を示すブロック図である。図4は、リーン角について説明するための説明図である。
【0015】
図1及び図2に示されるように、ブレーキシステム10は、モータサイクル100に搭載される。モータサイクル100は、胴体1と、胴体1に旋回自在に保持されているハンドル2と、胴体1にハンドル2と共に旋回自在に保持されている前輪3と、胴体1に回動自在に保持されている後輪4とを備える。
【0016】
ブレーキシステム10は、例えば、第1ブレーキ操作部11と、少なくとも第1ブレーキ操作部11に連動して前輪3を制動する前輪制動機構12と、第2ブレーキ操作部13と、少なくとも第2ブレーキ操作部13に連動して後輪4を制動する後輪制動機構14とを備える。
【0017】
第1ブレーキ操作部11は、ハンドル2に設けられており、ドライバの手によって操作される。第1ブレーキ操作部11は、例えば、ブレーキレバーである。第2ブレーキ操作部13は、胴体1の下部に設けられており、ドライバの足によって操作される。第2ブレーキ操作部13は、例えば、ブレーキペダルである。
【0018】
前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれは、ピストン(図示省略)を内蔵しているマスタシリンダ21と、マスタシリンダ21に付設されているリザーバ22と、胴体1に保持され、ブレーキパッド(図示省略)を有しているブレーキキャリパ23と、ブレーキキャリパ23に設けられているホイールシリンダ24と、マスタシリンダ21のブレーキ液をホイールシリンダ24に流通させる主流路25と、ホイールシリンダ24のブレーキ液を逃がす副流路26と、マスタシリンダ21のブレーキ液を副流路26に供給する供給流路27とを備える。
【0019】
主流路25には、込め弁(EV)31が設けられている。副流路26は、主流路25のうちの、込め弁31に対するホイールシリンダ24側とマスタシリンダ21側との間をバイパスする。副流路26には、上流側から順に、弛め弁(AV)32と、アキュムレータ33と、ポンプ34とが設けられている。主流路25のうちの、マスタシリンダ21側の端部と、副流路26の下流側端部が接続される箇所との間には、第1弁(USV)35が設けられている。供給流路27は、マスタシリンダ21と、副流路26のうちのポンプ34の吸込側との間を連通させる。供給流路27には、第2弁(HSV)36が設けられている。
【0020】
込め弁31は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。弛め弁32は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。第1弁35は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。第2弁36は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。
【0021】
込め弁31、弛め弁32、アキュムレータ33、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36等の部材と、それらの部材が設けられ、主流路25、副流路26及び供給流路27を構成するための流路が内部に形成されている基体51と、制御装置(ECU)60とによって、液圧制御ユニット50が構成される。液圧制御ユニット50は、ブレーキシステム10において、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧、つまり、前輪制動機構12によって前輪3に付与される制動力及び後輪制動機構14によって後輪4に付与される制動力を制御する機能を担うユニットである。
【0022】
各部材が、1つの基体51に纏めて設けられていてもよく、また、複数の基体51に分かれて設けられていてもよい。また、制御装置60は、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。また、制御装置60は、基体51に取り付けられていてもよく、また、基体51以外の他の部材に取り付けられていてもよい。また、制御装置60の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0023】
通常状態、つまり、後述されるオートクルーズ減速動作が実行されない状態では、制御装置60によって、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。その状態で、第1ブレーキ操作部11が操作されると、前輪制動機構12において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が前輪3のロータ3aに押し付けられて、前輪3に制動力が付与される。また、第2ブレーキ操作部13が操作されると、後輪制動機構14において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が後輪4のロータ4aに押し付けられて、後輪4に制動力が付与される。
【0024】
図2及び図3に示されるように、ブレーキシステム10は、例えば、マスタシリンダ圧センサ41と、ホイールシリンダ圧センサ42と、前輪回転速度センサ43と、後輪回転速度センサ44と、リーン角センサ45と、周囲環境センサ46と、操舵角センサ47と、入力装置48とを備える。各センサ及び入力装置48は、制御装置60と通信可能になっている。
【0025】
マスタシリンダ圧センサ41は、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧を検出し、検出結果を出力する。マスタシリンダ圧センサ41が、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。マスタシリンダ圧センサ41は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれに設けられている。
【0026】
ホイールシリンダ圧センサ42は、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を検出し、検出結果を出力する。ホイールシリンダ圧センサ42が、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。ホイールシリンダ圧センサ42は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれに設けられている。
【0027】
前輪回転速度センサ43は、前輪3の回転速度を検出し、検出結果を出力する。前輪回転速度センサ43が、前輪3の回転速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪回転速度センサ44は、後輪4の回転速度を検出し、検出結果を出力する。後輪回転速度センサ44が、後輪4の回転速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。前輪回転速度センサ43及び後輪回転速度センサ44は、前輪3及び後輪4にそれぞれ設けられている。
【0028】
リーン角センサ45は、モータサイクル100のリーン角及びリーン角の角速度を検出し、検出結果を出力する。リーン角は、例えば、図4に示されるモータサイクル100の鉛直上方向に対するロール方向の傾きの角度θに相当する。なお、モータサイクル100の鉛直上方向に対するロール方向の傾きは、旋回走行中に生じる。リーン角センサ45として、具体的には、3軸のジャイロセンサ及び3方向の加速度センサを備える慣性計測装置(IMU)が用いられる。リーン角センサ45が、モータサイクル100のリーン角及びリーン角の角速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。リーン角センサ45は、胴体1に設けられている。
【0029】
周囲環境センサ46は、モータサイクル100の周囲環境を検出し、検出結果を出力する。例えば、周囲環境センサ46は、周囲環境としてモータサイクル100から前方を走行する先行車両までの距離を検出する。周囲環境センサ46が、先行車両までの距離に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。周囲環境センサ46として、具体的には、モータサイクル100の前方を撮像するカメラ又は先行車両までの距離を検出可能な測距センサが用いられる。周囲環境センサ46は、胴体1の前部に設けられている。
【0030】
操舵角センサ47は、モータサイクル100の操舵角及び操舵角の角速度を検出し、検出結果を出力する。操舵角センサ47が、モータサイクル100の操舵角及び操舵角の角速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。操舵角センサ47は、ハンドル2に設けられている。
【0031】
入力装置48は、ドライバによる走行モードの選択操作を受け付け、受け付けた操作を示す情報を出力する。入力装置48は、走行モードとして、少なくともオートクルーズ走行モードを選択する選択操作を受け付ける。オートクルーズ走行モードは、モータサイクル100をその挙動が少なくとも部分的に自動制御された状態で持続的に走行させる走行モードである。オートクルーズ走行モードでは、例えば、モータサイクル100から先行車両までの距離が距離基準値に近づくように制御される。距離基準値は、モータサイクル100から先行車両までの距離としてドライバの安全性を確保し得る値に設定される。なお、オートクルーズ走行モードにおいて、モータサイクル100の車体速度が速度基準値に近づくように制御されてもよい。速度基準値は、例えば、ドライバによって適宜設定され得る。モータサイクル100の車体速度は、前輪3及び後輪4の回転速度に基づいて算出され得る。入力装置48として、例えば、レバー、ボタン又はタッチパネルが用いられ得る。入力装置48は、例えば、ハンドル2に設けられている。
【0032】
制御装置60は、モータサイクル100の挙動を制御する。制御装置60は、例えば、取得部61と、実行部62とを備える。取得部61は、各センサ及び入力装置48から出力される情報を取得し、実行部62へ出力する。実行部62は、例えば、制御部63と、減速要求判定部64と、変化率判定部65と、リーン角判定部66とを備える。各判定部は、各センサから出力される情報を用いて各判定処理を実行する。実行部62は、ドライバによりオートクルーズ走行モードが選択されている時に、減速要求判定部64による判定結果に応じて、モータサイクル100にオートクルーズ減速動作を実行させる制御モードを開始する。また、制御部63は、制御モードにおいて、各判定部による判定結果に応じて、込め弁31、弛め弁32、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36等の動作を司る指令を出力することにより、オートクルーズ減速動作によってモータサイクル100に生じる減速度である自動減速度を制御する。
【0033】
制御部63は、具体的には、制御モードにおいて、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率に応じて自動減速度を制御する。また、制御部63は、制御モードにおいて、モータサイクル100のリーン角に応じて自動減速度を制御してもよい。なお、自動減速度の制御は、オートクルーズ減速動作中のモータサイクル100に生じる自動減速度の制御に加えて、オートクルーズ減速動作を許可又は禁止する制御を含む。
【0034】
制御装置60は、記憶素子を備えており、制御装置60が行う各処理において用いられる各基準値等の情報は、予め記憶素子に記憶されてもよい。
【0035】
なお、オートクルーズ走行モードにおいて、ドライバによる操作によらずにモータサイクルを加速させる動作であるオートクルーズ加速動作は、例えば、制御装置60と別体化又は一体化されている他の制御装置によって制御される。オートクルーズ加速動作中のモータサイクル100に生じる加速度である自動加速度の制御は、他の制御装置がモータサイクル100のエンジンの出力を制御することによって実現され得る。
【0036】
<ブレーキシステムの動作>
本発明の実施形態に係るブレーキシステム10の動作について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る制御装置60が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図5に示される制御フローは、オートクルーズ走行モードが選択されている時において繰り返される。図5におけるステップS110及びステップS190は、制御フローの開始及び終了にそれぞれ対応する。なお、ステップS110において、制御モードが開始されていない状態で制御フローが開始される。
【0037】
ステップS113において、減速要求判定部64は、減速要求があるか否かを判定する。減速要求があると判定された場合(ステップS113/Yes)、ステップS115へ進む。一方、減速要求がないと判定された場合(ステップS113/No)、ステップS113が繰り返される。減速要求判定部64は、例えば、モータサイクル100から先行車両までの距離が距離基準値を下回る場合に、減速要求があると判定する。なお、オートクルーズ走行モードにおいてモータサイクル100の車体速度が速度基準値に近づくように制御される場合、減速要求判定部64は、モータサイクル100の車体速度が速度基準値を超える場合に、減速要求があると判定してもよい。
【0038】
なお、上記では、モータサイクル100から先行車両までの距離と距離基準値との比較又はモータサイクル100の車体速度と速度基準値との比較が減速要求判定部64によって行われる場合を説明したが、これらの比較は、制御装置60と異なる他の制御装置によって行われてもよい。その場合、他の制御装置から制御装置60へこれらの比較の結果を示す情報又は減速要求があるか否かを直接的に示す情報が出力される。それにより、減速要求判定部64による判定が実現され得る。
【0039】
ステップS115において、実行部62は、モータサイクル100にオートクルーズ減速動作を実行させる制御モードを開始する。
【0040】
次に、ステップS117において、取得部61は、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率を取得する。モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量は、例えば、リーン角、リーン角の角速度、操舵角又は操舵角の角速度を含む。
【0041】
次に、ステップS119において、変化率判定部65は、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率が変化率基準値を超えるか否かを判定する。変化率が変化率基準値を超えていると判定された場合(ステップS119/Yes)、ステップS127へ進む。一方、変化率が変化率基準値を超えていないと判定された場合(ステップS119/No)、ステップS121へ進む。変化率基準値は、先行車両を回避する意思をドライバが有するか否かを判定することを実現し得る値に設定される。
【0042】
ステップS121において、取得部61は、モータサイクル100のリーン角を取得する。
【0043】
次に、ステップS123において、リーン角判定部66は、モータサイクル100のリーン角がリーン角基準値を超えるか否かを判定する。リーン角がリーン角基準値を超えていると判定された場合(ステップS123/Yes)、ステップS127へ進む。一方、リーン角がリーン角基準値を超えていないと判定された場合(ステップS123/No)、ステップS125へ進む。リーン角基準値は、モータサイクル100に減速度を生じさせることに起因するモータサイクル100の転倒の可能性が過剰に大きいか否かを判定することを実現し得る値であり、例えば、走行路面の摩擦係数又はモータサイクル100の設計仕様等に応じて設定される。
【0044】
ステップS125において、制御部63は、オートクルーズ減速動作を許可する。オートクルーズ減速動作が許可されると、制御部63は、ドライバによる操作によらない減速度である自動減速度を生じさせて、モータサイクル100にオートクルーズ減速動作を実行させる。例えば、制御部63は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14の少なくとも一方によって車輪に付与される制動力を生じさせることによって、自動減速度を生じさせる。具体的には、制御部63は、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が閉鎖され、第2弁36が開放されている状態で、ポンプ34を駆動することで、車輪に付与される制動力を生じさせる。
【0045】
制御部63は、ポンプ34の回転数を制御することによって、車輪に付与される制動力を制御する。具体的には、制御部63は、自動減速度の目標値の基準値である基準目標減速度を算出する。例えば、制御部63は、モータサイクル100から先行車両までの距離と距離基準値との差が大きいほど(換言すると、モータサイクル100が先行車両に近いほど)大きな値を基準目標減速度として算出する。なお、制御部63は、モータサイクル100から先行車両までの距離と距離基準値との差によらず一定の値を基準目標減速度として算出してもよい。そして、制御部63は、算出した基準目標減速度に基づいて目標減速度を決定する。例えば、制御部63は、基準目標減速度に係数を乗じて得られる値を目標減速度として決定する。そして、制御部63は、目標減速度に基づいてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧の目標値である目標液圧を決定する。そして、制御部63は、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が目標液圧と一致するようにポンプ34の回転数を制御する。それにより、自動減速度が目標減速度と一致するように制御される。
【0046】
なお、オートクルーズ走行モードにおいてモータサイクル100の車体速度が速度基準値に近づくように制御される場合、制御部63は、例えば、モータサイクル100の車体速度と速度基準値との差が大きいほど大きな値を基準目標減速度として算出する。なお、制御部63は、モータサイクル100の車体速度と速度基準値との差によらず一定の値を基準目標減速度として算出してもよい。
【0047】
なお、上記では、基準目標減速度が制御部63によって算出される場合を説明したが、基準目標減速度は、制御装置60と異なる他の制御装置によって算出されてもよい。その場合、他の制御装置から制御装置60へ基準目標減速度を示す情報が出力される。それにより、制御部63による自動減速度の制御が実現され得る。
【0048】
例えば、制御部63は、リーン角が大きい場合に、リーン角が小さい場合に実行されるオートクルーズ減速動作と比較して、自動減速度が小さいオートクルーズ減速動作を実行させる。具体的には、制御部63は、リーン角が大きいほど小さい係数を基準目標減速度に乗じて得られる値を目標減速度として決定することによって、自動減速度を制御する。
【0049】
また、例えば、制御部63は、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率が大きい場合に、変化率が小さい場合に実行されるオートクルーズ減速動作と比較して、自動減速度が小さいオートクルーズ減速動作を実行させる。具体的には、制御部63は、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率が大きいほど小さい係数を基準目標減速度に乗じて得られる値を目標減速度として決定することによって、自動減速度を制御する。
【0050】
制御部63は、リーン角及びモータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率の双方に応じて目標減速度を決定してもよい。その場合、制御部63は、例えば、リーン角に応じた係数及び状態量の変化率に応じた係数の双方を基準目標減速度に乗じて得られる値を目標減速度として決定する。
【0051】
なお、上記では、制御部63が車輪に付与される制動力を制御することによって、自動減速度を制御する場合を説明したが、制御部63はモータサイクル100のエンジンの出力を制御することによって、自動減速度を制御してもよい。具体的には、制御部63は、エンジンの出力を低下させることにより生じるエンジンブレーキの作用を利用して自動減速度を制御してもよい。また、制御部63は、車輪に付与される制動力及びエンジンの出力の双方を制御することによって、自動減速度を制御してもよい。
【0052】
ステップS127において、制御部63は、オートクルーズ減速動作を禁止する。オートクルーズ減速動作が禁止されると、制御部63は、モータサイクル100をドライバによる操作に応じて減速度が生じる通常状態にする。具体的には、制御部63は、モータサイクル100を込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖されている状態にし、ポンプ34の駆動を禁止する。
【0053】
ステップS125又はステップS127の次に、ステップS131において、減速要求判定部64は、減速要求があるか否かを判定する。減速要求があると判定された場合(ステップS131/Yes)、ステップS117へ戻る。一方、減速要求がないと判定された場合(ステップS131/No)、ステップS133へ進む。
【0054】
このように、ステップS131において、減速要求があると判定された場合(ステップS131/Yes)、制御モードが継続され、ステップS117からステップS131までの処理が繰り返される。制御モードが継続される場合において、制御部63は、変化率判定部65及びリーン角判定部66による判定処理(ステップS119及びステップS123)の判定結果に応じて、オートクルーズ減速動作が許可される状態と禁止される状態とを適宜切り替える。
【0055】
オートクルーズ減速動作が許可されている状態において、ステップS119及びステップS123の判定結果がいずれもNoである場合、制御部63は、オートクルーズ減速動作が許可されている状態を継続させる。この場合、例えば、制御部63は、オートクルーズ減速動作中のモータサイクル100に生じる自動減速度を、オートクルーズ減速動作中に取得されるリーン角に応じて制御する。また、例えば、制御部63は、オートクルーズ減速動作中のモータサイクル100に生じる自動減速度を、オートクルーズ減速動作中に取得されるモータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率に応じて制御する。
【0056】
オートクルーズ減速動作が許可されている状態において、ステップS119及びステップS123の判定結果の少なくとも一方がYesである場合、制御部63は、オートクルーズ減速動作が許可されている状態を中止し、オートクルーズ減速動作を禁止する。例えば、制御部63は、オートクルーズ減速動作中に取得されるモータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率が変化率基準値を超える場合に、オートクルーズ減速動作が許可されている状態を中止し、オートクルーズ減速動作を禁止する。また、例えば、制御部63は、オートクルーズ減速動作中に取得されるリーン角がリーン角基準値を超える場合に、オートクルーズ減速動作が許可されている状態を中止し、オートクルーズ減速動作を禁止する。
【0057】
オートクルーズ減速動作が禁止されている状態において、ステップS119及びステップS123の判定結果の少なくとも一方がYesである場合、制御部63は、オートクルーズ減速動作が禁止されている状態を継続させる。
【0058】
オートクルーズ減速動作が禁止されている状態において、ステップS119及びステップS123の判定結果がいずれもNoである場合、制御部63は、オートクルーズ減速動作が禁止されている状態を中止し、オートクルーズ減速動作を許可する。例えば、制御部63は、ステップS119の判定結果がNoである場合において、オートクルーズ減速動作の禁止中に取得されるリーン角がリーン角基準値を下回る場合に、オートクルーズ減速動作が禁止されている状態を中止し、オートクルーズ減速動作を許可する。なお、図5に示した制御フローからステップS119の判定処理が省略されてもよい。その場合、制御部63は、オートクルーズ減速動作の禁止中に取得されるリーン角がリーン角基準値を下回る場合に、オートクルーズ減速動作が禁止されている状態を中止し、オートクルーズ減速動作を許可する。
【0059】
ステップS133において、実行部62は、制御モードを終了する。
【0060】
<ブレーキシステムの効果>
本発明の実施形態に係るブレーキシステム10の効果について説明する。
【0061】
ブレーキシステム10では、モータサイクル100にオートクルーズ減速動作を実行させる制御モードにおいて、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率に応じて自動減速度が制御される。それにより、モータサイクル100の姿勢に応じて適切に自動減速度を制御することができる。よって、モータサイクル100の転倒を抑制しつつ、ドライバによる運転を適切に支援することができる。
【0062】
好ましくは、ブレーキシステム10では、制御モードにおいて、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率が変化率基準値を超える場合に、オートクルーズ減速動作が禁止される。それにより、先行車両を回避する意思をドライバが有すると予想される場合に、オートクルーズ減速動作を禁止することができる。よって、ドライバの意思に反して自動減速度が生じることを抑制することができる。したがって、モータサイクル100の転倒を効果的に抑制することができる。
【0063】
なお、制御部63は、制御モードにおいて、ドライバによるモータサイクル100の操作についての操作量が操作量基準値を超える場合に、オートクルーズ減速動作を禁止してもよい。ドライバによるモータサイクル100の操作は、例えば、アクセル操作、ブレーキ操作及びクラッチ操作を含む。操作量基準値は、ドライバによるモータサイクル100の操作が行われたか否かを判定することを実現し得る値に設定される。ゆえに、操作量が操作量基準値を超える場合に、オートクルーズ減速動作を禁止することによって、ドライバによるモータサイクル100の操作に反して自動減速度が生じることを抑制することができる。よって、モータサイクル100の転倒を効果的に抑制することができる。
【0064】
また、制御部63は、制御モードにおいて、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率が変化率基準値を超える場合に、変化率が変化率基準値を超えていない場合と比較して操作量基準値を小さくしてもよい。それにより、先行車両を回避する意思をドライバが有すると予想される場合に、ドライバによるモータサイクル100の操作を検知する感度を向上させることができるので、オートクルーズ減速動作が禁止される確実性を向上させることができる。
【0065】
好ましくは、ブレーキシステム10では、制御モードにおいて、モータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率が大きい場合に、変化率が小さい場合に実行されるオートクルーズ減速動作と比較して、自動減速度が小さいオートクルーズ減速動作が実行される。ここで、状態量の変化率が大きいほど、先行車両を回避する意思をドライバが有する可能性が高いと予想される。ゆえに、状態量の変化率が大きい場合に、変化率が小さい場合に実行されるオートクルーズ減速動作と比較して、自動減速度が小さいオートクルーズ減速動作を実行させることによって、先行車両を回避する意思をドライバが有する可能性に応じて適切に自動減速度を制御することができる。よって、ドライバの意思に反して自動減速度が生じることに起因するモータサイクル100の転倒を抑制することができる。
【0066】
好ましくは、ブレーキシステム10では、制御モードにおいて、オートクルーズ減速動作中のモータサイクル100に生じる自動減速度が、オートクルーズ減速動作中に取得されるモータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量の変化率に応じて制御される。それにより、オートクルーズ減速動作中のモータサイクル100に生じる自動減速度を、オートクルーズ減速動作中の状態量の変化率の時間の経過に伴う変化に応じて適切に制御することができる。よって、ドライバの意思に反して自動減速度が生じることに起因するモータサイクル100の転倒を効果的に抑制することができる。
【0067】
好ましくは、自動減速度の制御に用いられるモータサイクル100の旋回走行中の姿勢に関連する状態量は、モータサイクル100のリーン角又はリーン角の角速度を含む。それにより、リーン角センサ45から出力される検出結果を利用して自動減速度を制御することができる。ゆえに、ブレーキシステム10の構成から他のセンサ(例えば、操舵角センサ47)を省略することができるので、ブレーキシステム10を簡素化することができる。
【0068】
好ましくは、ブレーキシステム10では、制御モードにおいて、モータサイクル100のリーン角に応じて自動減速度が制御される。それにより、モータサイクル100の姿勢に応じてさらに適切に自動減速度を制御することができる。よって、モータサイクル100の転倒を抑制しつつ、ドライバによる運転を適切に支援する効果をより増大させることができる。
【0069】
好ましくは、ブレーキシステム10では、制御モードにおいて、リーン角が大きい場合に、リーン角が小さい場合に実行されるオートクルーズ減速動作と比較して、自動減速度が小さいオートクルーズ減速動作が実行される。ここで、モータサイクル100のタイヤの接地面積は、リーン角が大きいほど小さい。また、モータサイクル100のタイヤの接地部分における摩擦特性は、リーン角が大きいほど進行方向について摩擦力を生じさせにくくなる特性を有する場合がある。ゆえに、モータサイクル100に減速度を生じさせることに起因するモータサイクル100の転倒の可能性は、リーン角が大きいほど大きくなりやすい。よって、リーン角が大きい場合に、リーン角が小さい場合に実行されるオートクルーズ減速動作と比較して、自動減速度が小さいオートクルーズ減速動作が実行されることによって、モータサイクル100の転倒を効果的に抑制することができる。
【0070】
好ましくは、ブレーキシステム10では、制御モードにおいて、オートクルーズ減速動作中のモータサイクル100に生じる自動減速度が、オートクルーズ減速動作中に取得されるリーン角に応じて制御される。それにより、オートクルーズ減速動作中のモータサイクル100に生じる自動減速度を、オートクルーズ減速動作中のリーン角の時間の経過に伴う変化に応じて適切に制御することができる。例えば、オートクルーズ減速動作が実行されることに起因してリーン角が減少することに伴って、自動減速度を増大させることができる。よって、モータサイクル100の転倒を抑制しつつ、ドライバによる運転を適切に支援する効果を増大させることができる。
【0071】
好ましくは、ブレーキシステム10では、制御モードにおいて、リーン角がリーン角基準値を超える場合に、オートクルーズ減速動作が禁止される。それにより、モータサイクル100に減速度を生じさせることに起因するモータサイクル100の転倒の可能性が過剰に大きい場合に、オートクルーズ減速動作を禁止することができる。よって、モータサイクル100の転倒を効果的に抑制することができる。
【0072】
好ましくは、ブレーキシステム10では、制御モードにおいて、オートクルーズ減速動作の禁止中に取得されるリーン角がリーン角基準値を下回る場合に、オートクルーズ減速動作が許可される。それにより、オートクルーズ減速動作の禁止中であっても、モータサイクル100に減速度を生じさせることに起因するモータサイクル100の転倒の可能性が比較的低くなった場合に、オートクルーズ減速動作を適切に実行させることができる。よって、ドライバによる運転を適切に支援する効果を増大させることができる。
【0073】
本発明は各実施の形態の説明に限定されない。例えば、各実施の形態の全て又は一部が組み合わされてもよく、また、各実施の形態の一部のみが実施されてもよい。また、例えば、各ステップの順序が入れ替えられてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 胴体、2 ハンドル、3 前輪、3a ロータ、4 後輪、4a ロータ、10 ブレーキシステム、11 第1ブレーキ操作部、12 前輪制動機構、13 第2ブレーキ操作部、14 後輪制動機構、21 マスタシリンダ、22 リザーバ、23 ブレーキキャリパ、24 ホイールシリンダ、25 主流路、26 副流路、27 供給流路、31 込め弁、32 弛め弁、33 アキュムレータ、34 ポンプ、35 第1弁、36 第2弁、41 マスタシリンダ圧センサ、42 ホイールシリンダ圧センサ、43 前輪回転速度センサ、44 後輪回転速度センサ、45 リーン角センサ、46 周囲環境センサ、47 操舵角センサ、48 入力装置、50 液圧制御ユニット、51 基体、60 制御装置、61 取得部、62 実行部、63 制御部、64 減速要求判定部、65 変化率判定部、66 リーン角判定部、100 モータサイクル。
図1
図2
図3
図4
図5