(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】脱色剤またはライトニング剤としての二フッ素化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 43/253 20060101AFI20220712BHJP
C07C 217/52 20060101ALI20220712BHJP
C07C 41/16 20060101ALI20220712BHJP
C07C 41/26 20060101ALI20220712BHJP
C07C 41/22 20060101ALI20220712BHJP
C07C 213/00 20060101ALI20220712BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20220712BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220712BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/085 20060101ALI20220712BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20220712BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220712BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
C07C43/253 CSP
C07C217/52
C07C41/16
C07C41/26
C07C41/22
C07C213/00
A61K8/33
A61K8/34
A61Q19/02
A61K31/085
A61K31/138
A61P17/00
A61K8/41
(21)【出願番号】P 2019510924
(86)(22)【出願日】2017-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2017071350
(87)【国際公開番号】W WO2018037086
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-07-14
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2016/001354
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】516281034
【氏名又は名称】テーエフケム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディーヌ・ドリアンクール-ゴッドフロワ
(72)【発明者】
【氏名】レナイグ・ロペ
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520091(JP,A)
【文献】特表2015-503589(JP,A)
【文献】特開平08-048620(JP,A)
【文献】BOISSY, R. E. et al.,DeoxyArbutin: a novel reversible tyrosinase inhibitor with effective in vivo skin lightening potency,Experimental Dermatology,2005年,14(8),pp. 601-608
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
A61Q
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iを有する化合物、
【化1】
またはその化粧品的にもしくは薬学的に許容される塩、立体異性体または任意の割合の立体異性体の混合物。
(ただし、
R
1は、水素原子、OH、OSiR
3R
4R
5、OR
6、OC(O)R
7、OCO
2R
8、OC(O)NR
9R
10、OP(O)(OR
11)
2、またはOSO
3R
12であり、
R
2は、OHまたはNH
2であり、
X
1、X
2、X
4およびX
5は、互いに独立して、水素原子、OH、OSiR
23R
24R
25、OR
26、OC(O)R
27、OCO
2R
28、OC(O)NR
29R
30、OP(O)(OR
31)
2またはOSO
3R
32であり、
X
3は、OHであり、
ここで、
R
3、R
4、R
5、R
23、R
24およびR
25は互いに独立して、(C
1-C
6)アルキル、アリ-ル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたは(C
1-C
6)アルキル-アリ-ル基であり、
R
6およびR
26は、互いに独立して、O-保護基;または(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)サイクロアルキル、5~7員ヘテロサイクロアルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、(C
3-C
7)サイクロアルキル(C
1-C
6)アルキル、(5~7員ヘテロシクロアルキル)-(C
1-C
6)アルキル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル基であり、前記基がハロゲン原子、(C
1-C
6)アルキル基および(C
1-C
6)アルコキシ基から選択される1つ以上の基により場合によって置換されており、
R
7、R
8、R
27およびR
28は、互いに独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)サイクロアルキル、5~7員ヘテロサイクロアルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、(C
3-C
7)サイクロアルキル(C
1-C
6)アルキル、(5~7員ヘテロサイクロアルキル)-(C
1-C
6)アルキル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル基であり、前記基がハロゲン原子、(C
1-C
6)アルキル基および(C
1-C
6)アルコキシ基から選択される1以上の基により場合によって置換されており、
R
9、R
10、R
29およびR
30は、互いに独立して、水素原子;N-保護基;または(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)サイクロアルキル、5~7員ヘテロサイクロアルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、(C
3-C
7)サイクロアルキル(C
1-C
6)アルキル、(5~7員ヘテロサイクロアルキル)-(C
1-C
6)アルキル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル基であり、前記基がハロゲン原子、(C
1-C
6)アルキル基および(C
1-C
6)アルコキシ基から選択される1以上の基により場合によって置換されており、
R
11、R
12
、R
31およびR
32は、互いに独立して、水素原子または(C
1-C
6)アルキル基である。)
【請求項2】
下記式Iaを有する化合物である、請求項1に記載の化合物、
【化2】
または、その化粧品的にもしくは薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは任意の割合の立体異性体の混合物;
(ただし、
R
1、X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は、請求項1に記載のとおりであり、
R
2aは
、OHである。)
または、下記式Ibを有する化合物である、請求項1に記載の化合物、
【化3】
または、その化粧品的にもしくは薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは任意の割合の立体異性体の混合物。
(ただし、
R
1、X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は、請求項1に記載のとおりであり、
R
2bはNH
2である。)
【請求項3】
R
1は、水素原子、OH、OR
6、OC(O)R
7、OCO
2R
8またはOC(O)NR
9R
10である、請求項1または2に記載される化合物。
【請求項4】
X
1、X
2
、X
4およびX
5は、互いに独立して、水素原子、OH、OR
26、OC(O)R
27、OCO
2R
28、またはOC(O)NR
29R
30である、請求項1~3のいずれか一項に記載される化合物。
【請求項5】
X
1、X
2、X
4およびX
5はそれぞれ水素原子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
X
1、X
2、X
4およびX
5はそれぞれ水素原子であり、
X
3はOHであり、
R
1はH、OHまたはOR
6であり、
R
2はNH
2である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R
6、R
7、R
8、R
26、R
27、およびR
28は、互いに独立して、(C
1-C
6)アルキル、アリ-ルまたはアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル基であり、
R
9、R
10、R
29およびR
30は、互いに独立して、水素原子、または(C
1-C
6)アルキル、アリ-ルまたはアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
下記
【化4】
から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、その化粧品的にまたは薬学的に許容される塩。
【請求項9】
下記
【化5】
から選択される、請求項8に記載の化合物、その化粧品的にまたは薬学的に許容される塩。
【請求項10】
脱色剤、ライトニング剤、漂白剤またはホワイトニング剤としての、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物の化粧品使用。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物および少なくとも1つの化粧品的にまたは薬学的に許容される賦形剤を含む化粧品または医薬組成物。
【請求項12】
色素沈着障害の治療に使用するための、請求項11に記載の化粧品または医薬組成物。
【請求項13】
前記色素沈着障害が、色素沈着過剰である、請求項12に記載の化粧品または医薬組成物。
【請求項14】
前記色素沈着障害が、レンチゴもしくはメラズマである、請求項13に記載の化粧品または医薬組成物。
【請求項15】
化合物の製造方法であって、
下記式IIの化合物
【化6】
を下記IIIの化合物
【化7】
と反応させるステップと、
(ただし、
X
1X、X
2X、X
3X、X
4X、X
5X、R
1XおよびR
2Xはそれぞれ請求項1に記載のX
1、X
2、X
3、X
4、X
5、R
1およびR
2であり、場合によって保護された形であり、Rは脱離基)、
R
1、R
2、X
1、X
2、X
3、X
4および/またはX
5の基が保護された形にある場合にそれらを脱保護するステップと、
場合によって、前記ステップで得られた式Iの化合物を塩化して、式Iの化合物の化粧品的にまたは薬学的に許容される塩を得るステップと、を含む請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【請求項16】
化合物の製造方法であって、
下記式XIの化合物のケトン官能基をフッ素化するステップと、
【化8】
(ただし、
式中、X
1X、X
2X、X
3X、X
4X、X
5X、R
1XおよびR
2Xは、それぞれ請求項1に記載のX
1、X
2、X
3、X
4、X
5、R
1およびR
2であり、場合によって、保護された形である)
R
1、R
2、X
1、X
2、X
3、X
4および/またはX
5の基が保護された形にある場合にそれらを脱保護するステップと、
場合によって、前記ステップで得られた式Iの化合物を塩化して、式Iの化合物の化粧品的にまたは薬学的に許容される塩を得るステップと、を含む請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【請求項17】
下記式XVの化合物のアルデヒド官能基を酸化するステップと、
【化9】
(ただし、
式中、X
1X、X
2X、X
4X、X
5X、R
1XおよびR
2Xは、それぞれ請求項1に記載のX
1、X
2、X
4、X
5、R
1およびR
2であり、場合によって保護された形である)
R
1、R
2、X
1、X
2、X
4および/またはX
5の基が保護された形にある場合にそれらを脱保護するステップと、
前記ステップで得られた式Iの化合物を場合によって塩化して、式Iの化合物の化粧品的にまたは薬学的に許容される塩を得るステップと、を含み、
X
3=OHである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【請求項18】
式XVの化合物が、下記式XVIの化合物
【化10】
(ただし、
式中X
1X、X
2X、X
4XおよびX
5Xは請求項17に記載のとおりである)
を下記式XIVの化合物
【化11】
(ただし、
式中R
1XおよびR
2Xは請求項17に記載のとおりである)
と反応させることによって調製される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の発明は、新規な二フッ素化化合物、それらの化粧品および医薬品用途における使用、ならびにそれらの製造方法に関する。このような化合物は、脱色剤、ライトニング剤、漂白剤またはホワイトニング剤として、ならびに好ましくない色素沈着の治療のために特に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
有効で安全な皮膚ライトニング製品の必要性により、コウジ酸、グリコ-ル酸、アゼライン酸、カテキン、ヒドロキノン、アルブチン、およびもっと最近のデオキシアルブチンなどの多くのライトニング剤が開発されている。これらは肌を明るくするか、または色素沈着障害を治療するために開発された。これらの化合物は、皮膚および毛髪の色を提供するメラニン色素の形成を触媒するチロシナ-ゼの阻害剤として作用する。例えば、長時間の日光曝露、ホルモンの変化、または医学的治療の結果を生じる、メラニンの非常に重要な生産は、皮膚の色素沈着過多を引き起こす可能性がある(Int.J.Mol.Sci.2009,10,4066-4087)。
【0003】
チロシナ-ゼ阻害剤は、色素沈着過剰の治療の化粧品において重要になってきた。
【0004】
アルブチン(グリコシル化形態のヒドロキノン)、デオキシアルブチン(ヒドロキシル部分を含まない合成形態のアルブチン)またはその誘導体(例えば、国際公開2013/103874に記載されている)などのヒドロキノンの誘導体は非常に魅力的な化合物である。
【0005】
しかしながら、アセタ-ル官能基の開裂はヒドロキノンの放出をもたらし、これは可能性のある副作用のために化粧品用途では制限されている(Biosci.Biotechnol.Biochem.2013、77、1127-1130;IndianJ.Dermatol.Venereol.Leprol.2010,76,3-6).
【0006】
ヒドロキノンのより安定な誘導体(国際公開第2012/160218号)が開発されているが、アルブチンのようなそのような化合物は、標的作用部位、すなわちメラニン細胞への皮膚浸透性が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2013/103874号
【文献】国際公開第2012/160218号
【非特許文献】
【0008】
【文献】Int.J.Mol.Sci.2009,10,4066-4087
【文献】Biosci.Biotechnol.Biochem.2013,77,1127-1130
【文献】IndianJ.Dermatol.Venereol.Leprol.2010,76,3-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
だからこそ、すでに提供されているものよりも効率的で安全な新しい脱色剤やライトニング剤の開発が、依然として重要な目標である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、炭素環式部分の異なる位置に存在するヒドロキシル基および/またはアミノ基を有する新規の二フッ素化誘導体は改善された有効性、安全性および透過性を有するが、より短い化学合成プロセスでアクセス可能であり、それらの製造コストを低減することを可能にすることが発見された。
【0011】
したがって、本発明は、以下の式Iを有する化合物、またはその化粧品的にもしくは薬学的に許容される塩、立体異性体または任意の割合の立体異性体の混合物、特にエナンチオマ-またはエナンチオマ-の混合物、より具体的にはラセミ混合物に関する。
【化1】
(ただし、R
1は水素原子、OH、OSiR
3R
4R
5、OR
6、OC(O)R
7、OCO
2R
8、OC(O)NR
9R
10、OP(O)(OR
11)
2、またはOSO
3R
12であり、
R
2はOH、OSiR
13R
14R
15、OR
16、OC(O)R
17、OCO
2R
18、OC(O)NR
19R
20、OP(O)(OR
21)
2、OSO
3R
22、NH
2、NHR
33、またはNR
33R
34であり、
X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は互いに独立して、水素原子、OH、OSiR
23R
24R
25、OR
26、OC(O)R
27、OCO
2R
28、OC(O)NR
29R
30、OP(O)(OR
31)
2、またはOSO
3R
32であり、
R
3、R
4、R
5、R
13、R
14、R
15、R
23、R
24およびR
25は、互いに独立して、(C
1-C
6)アルキル、アリ-ル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたは(C
1-C
6)アルキル-アリ-ル基であり、
R
6、R
16およびR
26は互いに独立して、O-保護基;または(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)サイクロアルキル、5~7員ヘテロサイクロアルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、(C
3-C
7)サイクロアルキル(C
1-C
6)アルキル、(5~7員ヘテロサイクロアルキル)-(C
1-C
6)アルキル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル基であり、前記の基がハロゲン原子、(C
1-C
6)アルキル基および(C
1-C
6)アルコキシ基から選択される1以上の基により場合によって置換されており、
R
7、R
8、R
17、R
18、R
27およびR
28は、互いに独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)サイクロアルキル、5~7員ヘテロサイクロアルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、(C
3-C
7)サイクロアルキル(C
1-C
6)アルキル、(5~7員ヘテロサイクロアルキル)-(C
1-C
6)アルキル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル基であり、前記の基がハロゲン原子、(C
1-C
6)アルキル基および(C
1-C
6)アルコキシ基から選択される1以上の基により場合によって置換されており、
R
9、R
10、R
19、R
20、R
29およびR
30は、互いに独立して、水素原子; N-保護基;または(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)サイクロアルキル、5~7員ヘテロサイクロアルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、(C
3-C
7)サイクロアルキル(C
1-C
6)アルキル、(5~7員ヘテロサイクロアルキル)-(C
1-C
6)アルキル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル基であり、前記の基がハロゲン原子、(C
1-C
6)アルキル基および(C
1-C
6)アルコキシ基から選択される1以上の基により場合によって置換されており、
R
11、R
12、R
21、R
22、R
31およびR
32は互いに独立して、水素原子または(C
1-C
6)アルキル基であり、
R
33およびR
34は互いに独立して、N-保護基;または(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)サイクロアルキル、5~7員ヘテロサイクロアルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキル、ヘテロアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)-アルキル-アリ-ルまたは(C
1-C
6)-アルキル-ヘテロアリ-ル基、前記の基がハロゲン原子、OH、COOHおよびCHOから選択される1以上の基により場合によって置換されている。)
【0012】
本発明で使用される用語について下記のとおりに説明する。
本発明で使用される「化粧品的にまたは薬学的に許容される」は、化粧品または医薬組成物の調製に有用であるものに関し、これは一般に無毒性で安全であり、医薬および化粧品用途に許容される。
【0013】
「化粧品的にまたは薬学的に許容される塩」は、本明細書で記載されるように、化粧品的にまたは薬学的に許容され、元の化合物の医薬的および化粧品的性質並びに活性を有する塩に関する。
【0014】
これは、下記のものであり得る:
(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成される酸付加塩;あるいは、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファ-スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコ-ル酸、ヒドロキシナフトエ酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2-ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル-L-酒石酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸で形成される酸付加塩、および
(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン(例えばNa+、K+またはLi+)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+またはMg2+など)またはアルミニウムイオンで置換されている場合に形成される塩;または有機または無機塩基と配位結合する場合に形成され塩。許容される有機塩基としては、ジエタノ-ルアミン、エタノ-ルアミン、N-メチルグルカミン、トリエタノ-ルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。許容される無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが含まれる。
【0015】
化粧品的にまたは薬学的に許容される塩は特に塩酸塩であり得る。
【0016】
「立体異性体」は立体配置の立体異性体を意味し、幾何異性体および光学異性体を含む。
【0017】
E/Z異性体またはシス-トランス異性体とも呼ばれる幾何異性体は、シスまたはトランス配置とも呼ばれるZまたはE配置を有することができる二重C=C結合上の置換基の異なる位置から生じる。
【0018】
光学異性体は、4つの異なる置換基(潜在的に孤立電子対を含む)を含む原子(炭素原子または硫黄原子など)上の置換基または孤立電子対の空間における異なる位置から生じる。したがって、この原子はキラル中心または非対称中心である。したがって、互いに鏡像ではない光学異性体は「ジアステレオ異性体」と呼ばれ、重ね合わせることができない鏡像である光学異性体は「エナンチオマ-」と呼ばれる。
【0019】
キラル化合物の2つのエナンチオマ-の等モル混合物は、ラセミ(racemate)混合物またはラセミ(racemic)混合物と呼ばれる。
【0020】
「(C1-C6)アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどを含む(ただし、これらに限定されない)1~6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐の飽和炭化水素鎖を意味する。
【0021】
「(C2-C6)アルケニル」は、2~6個の炭素原子を含み、少なくとも1つの二重結合を含む、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルおよびヘキセニルを含む(ただし、これらに限定されない)、直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素鎖を意味する。
【0022】
「(C2-C6)アルキニルは、2~6個の炭素原子を含み、少なくとも1つの三重結合を含む、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを含む、直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素鎖を意味する。
【0023】
「C1-C6)アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシなどを含む(ただし、これらに限定されない)、酸素原子を介して分子に結合した上記(C1-C6)アルキル基を意味する。
【0024】
「(C3-C7)シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む(ただし、これらに限定されない)、3~7個の炭素原子を有する炭化水素環を意味する。
【0025】
「(C3-C7)シクロアルキル-(C1-C6)アルキル」は、上記に定義した(C1-C6)アルキル基を介して分子に結合した上記に定義した(C3-C7)シクロアルキル基を意味する。有利には、(C3-C7)シクロアルキル-(C1-C6)アルキル基は、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル部分と、メチルまたはエチル部分とを含む。
【0026】
「アリ-ル」は、好ましくは6~10個の炭素原子を含み、かつ1つまたは複数の縮合環、例えば、フェニルまたはナフチル基を含む芳香族炭化水素基を意味する。
【0027】
「アリ-ル-(C1-C6)アルキル」は、上記(C1-C6)アルキル基を介して分子に結合した上記アリ-ル基を意味する。特に、アリ-ル-(C1-C6)アルキル基はベンジル基である。
【0028】
「(C1-C6)アルキル-アリ-ル」は、上記アリ-ル基を介して分子に結合した上記(C1-C6)アルキル基を意味する。特に、(C1-C6)アルキル-アリ-ル基はメチル-フェニル基である。
【0029】
「5~7員ヘテロシクロアルキル」は、5~7員を有し、1つ以上、特に1または2つなどの1~3つの炭素原子がそれぞれ窒素、酸素、硫黄原子、好ましくは窒素または酸素原子で置換されている飽和炭化水素環を意味する。それは例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ピペラジニルまたはアゼパニル基であり得る。
【0030】
「(5~7員ヘテロシクロアルキル)-(C1-C6)アルキル」とは、上記(C1-C6)アルキル基を介して分子に結合した上記5~7員ヘテロシクロアルキル基を意味する。(5~7員ヘテロシクロアルキル)-(C1-C6)アルキル基は、例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ピペラジニルまたはアゼパニル部分と、メチルまたはエチル部分とを含むことができる。
【0031】
「ヘテロアリ-ル」は、1個以上、特に1個または2個の縮合環を含み、環の原子が1個以上、有利には1~4個、より好ましくは1または2個からなる窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択されるヘテロ原子を含み、残りが炭素原子である、芳香族基を意味し、好ましくは5~10員を有する。ヘテロアリ-ル基は、特にチエニル、フラニル、ピロリル、インドリルなどであり得る。
【0032】
「ヘテロアリ-ル-(C1-C6)アルキル」は、上記(C1-C6)アルキル基を介して分子に結合している上記に定義したヘテロアリ-ル基を意味する。ヘテロアリ-ル-(C1-C6)アルキル基は、例えば、チエニル、フラニル、ピロリルまたはインドリル部分と、メチルまたはエチル部分とを含むことができる。
【0033】
「トリアルキルシリル」は、同一または異なるAlk1、Alk2およびAlk3が上記(C1-C6)-アルキル基である-SiAlk1Alk2Alk3基を意味する。例えば、それはトリメチルシリルまたはトリエチルシリル基であり得る。
【0034】
「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素原子を意味する。
【0035】
「保護基」は、他の保護されていない反応部位で化学反応を選択的に実行することを可能にするように多官能性化合物中の反応部位を選択的にブロックする化学基を意味する。
【0036】
「O-保護基」とは、合成手順中の望ましくない反応からヒドロキシル基(OH)を保護する置換基、例えば、「Greene’s Protectiv例えばroups In またはganic Synthesis”、4
th edition、2007、John Wiley & Sons、Hoboken、New Jersey.」に開示されている保護基である。O-保護基によって保護されたヒドロキシル基は、例えば、エ-テル、エステル、カ-ボネ-ト、アセタ-ルなどであり得る。特に、O-保護基は、メチル、エチル、tert-ブチルまたは2、2、2-トリクロロエチルなどの1個以上(特に1~3個)のハロゲン原子(塩素原子など)で場合によって置換された(C
1-C
6)アルキルであり得る。1、2-トリクロロエチル;ベンジルなどのアリ-ル-(C
1-C
6)アルキル、ここで、アリ-ル部分は、ベンジル(Bn)またはp-メトキシベンジル(PMB)などの1つまたはいくつかのメトキシ基で任意に置換されている;トリフェニルメチル(トリチル-Trとも呼ばれる)、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(メトキシトリチル-NMTとも呼ばれる)またはビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル(ジメトキシトリチル-DMTとも呼ばれる)などの式-CAr
1Ar
2Ar
3のトリチル誘導体;式CH
2CH
2OR
GP2またはCH
2CH
2SR
GP2(特にCH
2CH
2OR
GP2)の置換メチル基、例えばメトキシメチル(MOM)、ベンジルオキシメチル、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルまたはメチルチオメチル;式-CH
2CH
2OR
GP2または-CH
2CH
2SR
GP2(特に-CH
2CH
2OR
GP2)の置換エチル基、例えばエトキシエチル(EE);式-SiR
GP3R
GP4R
GP5のシリル基、例えばトリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメチルシリル(TBSまたはTBDMS)およびt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS);アセチル(Ac)、ピバロイル(PivまたはPv)若しくはベンゾイル(Bz)などの式-CO-R
GP6のカルボニル化基、またはアリルオキシカルボニル(Alloc)または9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの式-CO
2-R
GP7のカルボニル化基;テトラヒドロピラニル
【化2】
またはテトラヒドロフラニル
【化3】
(ここで、Ar
1、Ar
2 および Ar
3は、互いに独立して、場合によって1個以上のメトキシ基で置換されるフェニルなどのアリ-ルを意味する;R
GP2は、場合によってアリ-ル(フェニルなど)、(C
1-C
6)アルコキシ(メトキシなど)またはトリアルキルシリル基(SiMe
3など)で置換された(C
1-C
6)アルキル(メチルまたはエチルなど)である;R
GP3、R
GP4およびR
GP5は、互いに独立して、(C
1-C
6)アルキルまたはアリ-ル(フェニルなど)基である;R
GP6およびR
GP7は、互いに独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、アリ-ル、アリ-ル-(C
1-C
6)アルキルまたは9-フルオレニルメチル基である)。具体的に、それはメチル、ベンジル、アセチルまたはメトキシメチル基である。より具体的には、それはベンジル基であり得る
【0037】
「N-保護基」は、合成手順中の望ましくない反応に対してアミン官能基(特に第一級アミン官能基)を保護することを意図した基を意味する。一般的に使用されるN-保護基は、「“Greene’s Protectiv例えばroups In またはganic Synthesis”、4th edition、2007、John Wiley & Sons、Hoboken、New Jersey」に開示されている。N-保護基によって保護されたアミン官能基は、カルバメ-ト、アミド、スルホンアミド、N-アルキル誘導体、アミノアセタ-ル誘導体、N-ベンジル誘導体、イミン誘導体、エナミン誘導体またはN-ヘテロ原子誘導体であり得る。特に、N-保護基はホルミルであり得る;場合によってp-メトキシフェニル(PMP)などの1つ以上のメトキシ基で置換されたフェニルなどのアリ-ル;ベンジルなどのアリ-ル-(C1-C6)アルキル、ここで、アリ-ル部分はベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)または3、4-ジメトキシベンジル(DMPM)などの1つ以上のメトキシ基で場合によって置換されている;アセチル(Ac)、ピバロイル(PivまたはPv)、ベンゾイル(Bz)またはp-メトキシベンジルカルボニル(Moz)などの-CO-RGP1;t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、トリクロロエトキシカルボニル(TROC)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)または9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの-CO2-RGP1;フェニルスルホニル、トシル(TsまたはTos)または2-ニトロベンゼンスルホニル(nosy-NosまたはNsとも呼ばれる)などの-SO2-RGP1、ここで、RGP1は、FまたはClなどの1個以上のハロゲン原子で場合によって置換された(C1-C6)アルキルである;アリルなどの(C2-C6)アルケニル;フェニルなどのアリ-ル、ここで、OMe(メトキシ)およびNO2(ニトロ)の中から選択される1以上の基で場合によって置換されている;ベンジルなどのアリ-ル-(C1-C6)アルキル、ここで、アリ-ル部分は1個以上のメトキシ基で場合によって置換されている;または9-フルオレニルメチル基である。特に、それはt-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたは9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基であり得る。
【0038】
第1の特定の実施形態によれば、本発明による化合物は、以下の式Iaを有する化合物、またはその化粧品的にもしくは薬学的に許容される塩、立体異性体または任意の割合の立体異性体の混合物、特にエナンチオマ-またはエナンチオマ-の混合物、より具体的にはラセミ混合物である。
【化4】
式中、R
1、X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は上記または下記のとおりであり、R
2aはOHOSiR
13R
14R
15、OR
16、OC(O)R
17、OCO
2R
18、OC(O)NR
19R
20、OP(O)(OR
21)
2、またはOSO
3R
22であり、R
13~R
22は上記または下記のとおりである。したがって、R
2aは、R
2基であり、ただし、R
2=OH、OSiR
13R
14R
15、OR
16、OC(O)R
17、OCO
2R
18、OC(O)NR
19R
20、OP(O)(OR
21)
2、またはOSO
3R
22。
【0039】
第2の特定の実施形態によれば、本発明による化合物は、以下の式Ibを有する化合物、
【化5】
またはその化粧品的にもしくは薬学的に許容される塩、立体異性体または任意の割合の立体異性体の混合物、特にエナンチオマ-またはエナンチオマ-の混合物、より具体的にはラセミ混合物である。
式中、R
1、X
1、X
2、X
3、X
4およびX
5は上記または下記のとおりであり、R
2bはNH
2、NHR
33、またはNR
33R
34であり、ただし、R
33およびR
34は上記または下記でのとおりである。したがって、R
2bは、R
2基であり、ただし、R
2=NH
2、NHR
33、またはNR
33R
34。
【0040】
有利には、X1、X2、X3、X4およびX5は、互いに独立して、水素原子、OH、OR26、OC(O)R27、OCO2R28、またはOC(O)NR29R30であり、好ましくは水素原子、OHまたはOR26である。
【0041】
特に、X1、X2、X3、X4およびX5の少なくとも1つ、好ましくは、X3は、水素原子以外の基、例えば、OH、OR26、OC(O)R27、OCO2R28、または OC(O)NR29R30であり、特にOHまたはOR26などである。
【0042】
より具体的には、X1、X2、X4およびX5は、それぞれ水素原子であり、X3は水素原子以外の基、すなわちOH、OSiR23R24R25、OR26、OC(O)R27、OCO2R28、OC(O)NR29R30、OP(O)(OR31)2、またはOSO3R32であり、特に、OH、OR26、OC(O)R27、OCO2R28またはOC(O)NR29R30であり、特にOHまたはOR26である。
【0043】
有利には、R1は水素原子、OH、OR6、OC(O)R7、OCO2R8またはOC(O)NR9R10;より具体的には、水素原子、OHまたはOR6である。
【0044】
有利には、R2はNH2、NHR33、NR33R34、OH、OR16、OC(O)R17、OCO2R18またはOC(O)NR19R20であり、特にNH2、NHR33、NR33R34、OHまたはOR16であり、より具体的には、NH2、OHまたはOR16であり、例えば、NH2またはOHである。R2はOH、OR16、OC(O)R17、OCO2R18またはOC(O)NR19R20であり、より具体的には、OHまたはOR16であり、例えばOHである。
【0045】
特定の実施形態によれば、
R1は水素原子、OH、OR6、OC(O)R7、OCO2R8またはOC(O)NR9R10であり、
R2は、NH2、NHR33、NR33R34、OH、OR16、OC(O)R17、OCO2R18またはOC(O)NR19R20であり、特に、OH、OR16、OC(O)R17、OCO2R18またはOC(O)NR19R20である。
【0046】
他の特定の実施形態によれば、:
R1は水素原子、OHまたはOR6であり、
R2はNH2、NHR33、NR33R34、OHまたはOR16;より具体的にはNH2、OHまたはOR16であり、特にOHまたはOR16である。
【0047】
特定の実施形態によれば、R1は水素原子でない。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、
ORX1、X2、X4、X5は同一で水素原子である。
ORX3はOH、OSiR23R24R25、OR26、OC(O)R27、OCO2R28、OC(O)NR29R30、OP(O)(OR31)2、またはOSO3R32であり、
R1は水素原子、OH、OSiR3R4R5、OR6、OC(O)R7、OCO2R8、OC(O)NR9R10、OP(O)(OR11)2、またはOSO3R12であり、
R2はNH2、NHR33、NR33R34、OH、OSiR13R14R15、OR16、OC(O)R17、OCO2R18、OC(O)NR19R20、OP(O)(OR21)2、またはOSO3R22であり、特に、OH、OSiR13R14R15、OR16、OC(O)R17、OCO2R18、OC(O)NR19R20、OP(O)(OR21)2、またはOSO3R22である。
【0049】
本発明の他の好ましい実施形態では、
X1、X2、X4、X5同一で水素原子であり、
X3はOH、OR26、OC(O)R27、OCO2R28またはOC(O)NR29R30であり、
R1は水素原子であり、OH、OR6、OC(O)R7、OCO2R8またはOC(O)NR9R10であり、
R2はNH2、NHR33、NR33R34、OH、OR16、OC(O)R17、OCO2R18またはOC(O)NR19R20;特にOH、OR16、OC(O)R17、OCO2R18またはOC(O)NR19R20である。
【0050】
本発明のより好ましい実施形態では、
X1、X2、X4、X5は同一で水素原子であり、
X3はOHまたはOR26、例えばOHであり、
R1は水素原子、OHまたはOR6、例えばHまたはOHであり、
R2はNH2、NHR33、NR33R34、OHまたはOR16であり、
より具体的には、NH2、OHまたはOR16であり、特にOHまたはOR16であり、例えばOHである。
【0051】
特に有利な実施形態によれば、
X1、X2、X4、X5は、同一で水素原子であり、
X3、R1およびR2同一でOHである。
【0052】
別の特に有利な実施形態によれば、
X1、X2、X4、X5は同一で水素原子であり、
X3およびR2は同一でOHであり、
R1は水素原子である。
【0053】
別の特に有利な実施形態によれば、
X1、X2、X4、X5は同一では水素原子であり、
X3はOHであり、
R2はNH2であり、
R1は水素原子である。
【0054】
特に、X1、X2、X3、X4、X5、R1およびR2の上記定義において、
R6、R7、R8、R16、R17、R18、R26、R27およびR28は互いに独立して、(C1-C6)アルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、アリ-ル-(C1-C6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C1-C6)アルキル基であり、前記の基がハロゲン原子、(C1-C6)アルキル基および(C1-C6)アルコキシ基から選択される1つ以上の基により場合によって置換されている。
R9、R10、R19、R20、R29およびR30は互いに独立して、水素原子、または(C1-C6)アルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、アリ-ル-(C1-C6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C1-C6)アルキル基、この基はハロゲン原子、(C1-C6)アルキル基および(C1-C6)アルコキシ基から選択される1つ以上の基により場合によって置換されている。
R33およびR34は互いに独立して、(C1-C6)アルキル、アリ-ル、ヘテロアリ-ル、アリ-ル-(C1-C6)アルキルまたはヘテロアリ-ル-(C1-C6)アルキル基であり、前記の基はハロゲン原子、OH、COOHおよびCHOから選択される1つ以上の基により場合によって置換されている。
【0055】
より具体的には、X1、X2、X3、X4、X5、R1およびR2の上記定義において、
R6、R7、R8、R16、R17、R18、R26、R27およびR28は互いに独立して、(C1-C6)アルキル、アリ-ルまたはアリ-ル-(C1-C6)アルキル基であり、前記基はハロゲン原子、(C1-C6)アルキル基および(C1-C6)アルコキシ基から選択される1つ以上の基により場合によって置換されている。
R9、R10、R19、R20、R29およびR30は互いに独立して、水素原子、または(C1-C6)アルキル、アリ-ルまたはアリ-ル-(C1-C6)アルキル基であり、前記基はハロゲン原子、(C1-C6)アルキル基および(C1-C6)アルコキシ基から選択される1つ以上の基により場合によって置換されている。
R33およびR34は互いに独立して、(C1-C6)アルキル、アリ-ルまたはアリ-ル-(C1-C6)アルキル基であり、前記基がハロゲン原子、OH、COOHおよびCHOから選択される1つ以上の基により場合によって置換されている。
好ましくは、X1、X2、X3、X4、X5、R1およびR2の上記定義において、
R6、R7、R8、R16、R17、R18、R26、R27、R28、R33およびR34は互いに独立して、(C1-C6)アルキル、アリ-ルまたはアリ-ル-(C1-C6)アルキル基であり、
R9、R10、R19、R20、R29およびR30は互いに独立して、水素原子、または(C1-C6)アルキル、アリ-ルまたはアリ-ル-(C1-C6)アルキル基である。
【0056】
以下から選択することができる、本発明による化合物、
【化6】
及びその化粧品的又は薬学的に許容される塩。
【0057】
本発明による化合物は、以下のものから有利に選択することができる:
例示された化合物7、8、15、16、16a、16b、21、26a、26b、28a、28b及びその化粧品的又は薬学的に許容される塩、特に例示された化合物7、8、15、16及びその化粧品的又は薬学的に許容される塩。
好ましくは、例示された化合物8、16、16a、16b、28a、28b及びその化粧品的又は薬学的に許容される塩、特に例示された化合物8、16及びその化粧品的又は薬学的に許容される塩から選択される。
【0058】
化粧品的にまたは薬学的に許容される塩の例は、それぞれ28aおよび28bの塩酸塩である化合物27aおよび27bである。
【0059】
本発明はまた、式Iの化合物またはその化粧品的にもしくは薬学的に許容される塩の製造方法に関する。
【0060】
式Iの化合物を調製するための特定の方法はスキ-ム1に記載されている。
【化7】
【0061】
式Iの化合物、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、R
1、R
2は上記のとおりであり、R
2およびフェニルオキシ置換基はシス配置であり、式IIの化合物および式IIIの化合物間の求核置換により製造できる。
【化8】
X
1X、X
2X、X
3X、X
4X、X
5X、R
1XおよびR
2XはX
1、X
2、X
3、X
4、X
5であり、R
1およびR
2は上記のとおりであり、場合によって保護された形であり、Rは脱離基である。
【0062】
本発明で使用される「脱離基」という用語は、求核置換反応の間に求核剤で置換することができる化学基であり、この場合、求核剤はアルコ-ル、すなわち基OHを有する分子である。そのような脱離基は特にスルホネ-トであり得る。スルホネ-トは特に-OSO2-RLG基であり、ここでRLGは(C1-C6)アルキル、アリ-ル、アリ-ル-(C1-C6)アルキルまたは(C1-C6)アルキル-アリ-ル基であり、前記基は場合によって、フッ素原子などの1つ以上のハロゲン原子で置換されている。スルホネ-トは、特にメシレ-ト(CH3-S(O2)O-)、トリフレ-ト(CF3-S(O)2O-)またはトシレ-ト(p-Me-C6H4-S(O)2O-)であり、特にトリフレ-トであり得る。
【0063】
求核置換は、例えばジメチルホルムアミド中で、K2CO3またはNaHなどの塩基の存在下で、優先的にはK2CO3で実現することができる。
【0064】
X1X、X2X、X3X、X4X、X5X、R1X、およびR2Xのうちの少なくとも1つが保護された形である場合、1つ以上の脱保護ステップが必要であり得る。脱保護の条件は当業者に周知である(例えば、“Greene’s Protective Groups In Organic Synthesis”、 4th edition、 2007、 John Wiley & Sons、 Hoboken、 New Jersey)。
【0065】
保護基は特にOH基であることができ、これは上記定義の任意のO-保護基、特にベンジル基で保護することができる。保護された基は、NH2基であり得、これは上記定義の任意のN保護基、特にCbz基で保護され得る。
【0066】
式IIの化合物は市販されているかまたは周知の合成方法を用いて製造される。
【0067】
式IIIの化合物は、当業者に周知の方法によりヒドロキシル基を良好な脱離基Rに変換することにより化合物IVから得ることができる。
【0068】
式IVの化合物は、水素化条件下で化合物Vから調製することができる。この場合、触媒として、特に溶媒として酢酸エチル中で、水素および炭素上のパラジウムを使用することによって二重結合を還元することができる。反応はトリエチルアミンの存在下で行うことができる。
【0069】
式Vの化合物は、ジエン化合物VIから閉環メタセシス(RCM)によって生成することができる。反応は、グラブス触媒(好ましくは第二世代)の存在下で、特に溶媒としてのトルエン中で行うことができる。
【0070】
式VIの化合物は、金属の存在下でカルボニル化合物VIIに3-ブロモ-3、3-ジフルオロプロペンを加えることによって形成することができる。例えば、金属はインジウム、亜鉛、カドミウムまたは錫であり得る。特に、金属はインジウムである。このステップは、溶媒としてテトラヒドロフラン/水(THF/H2O)中で行うことができる。
【0071】
式Iの化合物を調製するための別の方法はスキ-ム2に記載されている。
【化9】
【0072】
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、R
1、R
2が上記定義された式Iの化合物を、式XIの化合物のフッ素化反応によって得ることができる。
【化10】
式中、X
1X、X
2X、X
3X、X
4X、X
5X、R
1XおよびR
2Xは上記のとおりである。
フッ素化剤は、例えばDAST(ジエチルアミノサルファ-トリフルオリド)であり得る。フッ素化反応はジクロロメタン中で実施することができる。
【0073】
X1X、X2X、X3X、X4X、X5X、R1XおよびR2Xのうちの少なくとも1つが保護された形である場合、1つ以上の脱保護ステップが必要であり得る。脱保護の条件は当業者に周知である(例えば、“Greene’s Protective Groups In Organic Synthesis”、 4th edition、 2007、 John Wiley & Sons、 Hoboken、 New Jersey)。
【0074】
式XIの化合物は、例えばデスマ-チン試薬などの酸化条件下で、特にジクロロメタン中で式Xの化合物を酸化することによって製造することができる。
【0075】
式Xの化合物は、ヒドロホウ素化-酸化の順序によって化合物IXから製造することができる。そのような反応は当業者に周知である。
【0076】
式IXの化合物は、式VIIIの化合物と上記式IIの化合物との間のMitsunobu反応によって得ることができる。そのような反応は当業者に周知である。
【0077】
式VIIおよびVIIIの化合物は、当業者に知られている方法で調製することができる。
【0078】
X
3=OHを有する式Iの化合物を調製するための別の方法はスキ-ム3に記載されている。
【化11】
【0079】
式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、R
1は上記のとおりであり、R
2はOH、OSiR
13R
14R
15、OR
16、OC(O)R
17、OCO
2R
18、OC(O)NR
19R
20、OP(O)(OR
21)
2、またはOSO
3R
22であり、ならびにR
2およびフェニルオキシ置換基はトランス配置であり、式XVの芳香族アルデヒドの酸化によって調製することができる。
【化12】
式中、X
1X、X
2X、X
4X、X
5X、R
1XおよびR
2Xは上記のとおりである。
【0080】
酸化は、m-CPBAおよびNaOHの作用下でDakin反応を使用することによって実施することができる。
【0081】
X1X、X2X、X4X、X5X、R1X、およびR2Xの少なくとも1つが保護された形である場合、1つ以上の脱保護ステップが必要であり得る。脱保護の条件は当業者に周知である(例えば、“Greene’s Protective Groups In Organic Synthesis”、 4th edition、 2007、 John Wiley & Sons、 Hoboken、 New Jersey)。
【0082】
式XVの化合物は、式XIVの化合物と式XVIの化合物との間の芳香族求核置換によって得ることができる。
【化13】
【0083】
求核置換は、例えばジメチルホルムアミド中およびK2CO3などの塩基の存在下で実現することができる。
【0084】
式XVIの化合物は市販されているかまたは周知の合成方法で製造される。
【0085】
式XIVの化合物は、式XIIIのエポキシド化合物の開環によって生成することができる。この反応は、芳香族アルコ-ルおよびエルビウム(III)トリフレ-トなどのルイス酸の存在下で行うことができる。
【0086】
式XIIIの化合物は、式XIIの化合物の二フッ素化反応によって形成することができる。フッ素化剤はDAST(ジエチルアミノサルファ-トリフルオリド)であり得る。
【0087】
式XIIの化合物は市販されているかまたは周知の合成方法で製造される。
【0088】
式Iの化合物を調製するための別の方法はスキ-ム4に記載されている。
【化14】
【0089】
式Iの化合物(式中、X1、X2、X3、X4、X5、R1が上記のとおりであり、R2がNH2、NHR33、またはNR33R34およびR2であり、フェニルオキシ置換基がシス配置である式Iの化合物である)は、式IIの化合物と式XVIIの化合物との間の求核置換によって得られることができる。
式中、X1X、X2X、X3X、X4X、X5X、R1Xは上記のとおりであり、
Rはスルホネ-ト(例えばトリフレ-ト)などの脱離基であり、
R2Xは、上記のとおりに、場合によって保護された形のR2である。
X1X、X2X、X3X、X4X、X5X、R1X、およびR2Xのうちの少なくとも1つが保護された形である場合、1つ以上の脱保護ステップが必要であり得る。脱保護の条件は当業者に周知である(例えば、“Greene’s Protective Groups In Organic Synthesis”、 4th edition、 2007、 John Wiley & Sons、 Hoboken、 New Jersey)。
【0090】
式XVIIの化合物は、当業者に周知の方法により、ヒドロキシル基を良好な脱離基R(例えば、トリフレ-トなどスルホネ-ト)に変換することにより、化合物XVIから得ることができる。
【0091】
式XVIの化合物は、式XIIIのエポキシド化合物の開環によって生成することができる。この反応は、例えばアミンおよびトリメチルアルミニウムの存在下で実現することができる。
【0092】
式XIIIの化合物は、式XIIの化合物の二フッ素化反応によって形成することができる。フッ素化剤はDAST(ジエチルアミノサルファ-トリフルオリド)であり得る。
【0093】
望ましくない反応を防ぐために、保護および脱保護ステップを上記4つのステップの間に使用することができる。これらのステップは当業者にはよく知られている。
【0094】
式Iの化合物の化粧品的にまたは薬学的に許容される塩を調製するために、最終的な塩化ステップを両方のステップで実施することができる。そのような反応は式Iの化合物を適切な酸または塩基、特に上記とおりのものと混合することによって、実施できる。
【0095】
本発明に記載の化合物は、当業者に周知の方法、例えば抽出、溶媒の蒸発、沈殿または結晶化とそれに続く濾過によって、反応媒体から分離することができる。
【0096】
化合物は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィ-、高速液体クロマトグラフィ-、再結晶または蒸留によって精製することができる。
【0097】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明による化合物および少なくとも1つの化粧品的にまたは薬学的に許容される賦形剤を含む化粧品または医薬組成物、より詳細には化粧品または皮膚科用組成物に関する。
【0098】
このような組成物は、特にヒトの皮膚などの皮膚に局所的に塗布することを特に目的としている。
【0099】
したがって、そのような組成物は、ロ-ション、フォ-ム、ゲル、分散液、懸濁液、スプレ-、セラム、クリ-ム、エマルジョン、ミルク、およびオイルまたはマスクの形態であり得る。
【0100】
本発明の組成物は酸化防止剤、エモリエント剤、保湿剤(humectants)、増粘剤、芳香剤、防腐剤、顔料もしくは着色剤、または乳白剤などの1種以上の添加剤を含むことができる。そのような添加剤は当業者にとって慣用のものである。
【0101】
これらの添加剤の例は、以下およびInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、 eds. Wenninger and McEwen (The Cosmetic、 Toiletry、 and Fragrance Assoc.、 Washington、 D.C.、 7@th Edition、 1997)に記載されている。
【0102】
酸化防止剤は、組成物中に含まれるかまたは組成物と接触する酸化剤から組成物の成分を保護するために使用することができる。酸化防止剤の例には、アスコルビルパルミテ-ト、ブチル化ヒドロキシアニソ-ル、ブチル化ヒドロキシトルエン、カリウムプロピルガレ-ト、オクチルガレ-ト、ドデシルガレ-ト、フェニル-α-ナフチルアミン、およびα-トコフェロ-ルなどのトコフェロ-ルが含まれる。
【0103】
エモリエント剤は、皮膚を柔らかくしそして滑らかにする薬剤である。エモリエント剤の例には、ジメチコンおよびその誘導体などのシロキサンなどのシロキサン、微結晶ワックス、ポリエチレン、ひまし油、ココアバタ-、ベニバナ油、コ-ン油、オリ-ブ油、タラ肝油、ア-モンド油、パ-ム油、スクアレン、および大豆油などのトリグリセリドエステル、アセチル化モノグリセリド、エトキシル化グリセリド、脂肪酸、脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸のアルケニルエステル、脂肪アルコ-ル、脂肪アルコ-ルエ-テル、エ-テル-エステル、ラノリンおよびラノリンの誘導体、多価アルコ-ルエステル蜜蝋などのワックスエステル、植物性ワックス、リン脂質、ステロ-ル、イソプロピルパルミテ-トまたはグリセリルステアレ-トが含まれる。
【0104】
保湿剤は、皮膚の水分を増やし維持するために使用されます。保湿剤の例には、プロピレングリコ-ル、ブチレングリコ-ル、ポリエチレングリコ-ル(PEG-4~PEG-32など)、グリセロ-ル(グリセリンとも呼ばれる)、ソルビト-ル、キシリト-ル、マルチト-ル、マンニト-ル、ポリデキストロ-ス、ヒアルロン酸およびその塩(ナトリウムまたはカリウム塩など)、尿素、アロエベラ、蜂蜜などが含まれる。
【0105】
増粘剤は組成物の粘度および厚さを増すために使用される。増粘剤の例には、セチルアルコ-ル、ステアリルアルコ-ル、ミリスチルアルコ-ル、カルナバワックス、またはステアリン酸などの脂質増粘剤;ヒドロキシエチルセルロ-スなどのセルロ-ス誘導体、グア-ガム、ロ-カストビ-ンガム、キサンタンガム、またはゼラチンなどの天然由来の増粘剤;シリカ、ベントナイト、またはケイ酸マグネシウムアルミニウムなどの鉱物増粘剤;カルボマ-などの合成増粘剤;NaClなどのイオン性増粘剤である。
【0106】
芳香剤または芳香剤の例には、ペパ-ミント、ロ-ズオイル、ロ-ズウォ-タ-、アロエベラ、クロ-ブオイル、メント-ル、樟脳、ユ-カリオイル、および他の植物抽出物が含まれる。組成物から特定の臭いを除去するために、マスキング剤を使用することができる。
【0107】
防腐剤を使用して組成物を分解から保護することができる。防腐剤の例には、フェノキシエタノ-ル、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコ-ル、およびそれらの混合物、例えばリキパ-ル油が含まれる。しかしながら、本発明の組成物は防腐剤を含まなくてもよい。
【0108】
顔料または着色剤は、白色組成物を得るなどのために組成物の色を変えるために使用される
【0109】
酸化チタンなどの乳白剤は、それを不透明にするために、透明または透明な組成物で使用される。したがって、本発明は、乳白剤の使用に応じて透明または不透明であり得る。
【0110】
本発明は、特に脱色剤、ライトニング剤、漂白剤またはホワイトニング剤としての、より詳細にはヒトの皮膚などの皮膚のための、本発明による化合物の化粧品用途に関する。
【0111】
本発明は、特に、脱色、ライトニング、漂白またはホワイトニングの組成物として、より具体に、ヒトの皮膚などの皮膚に局所的に適用することを目的とし、本発明による化粧品組成物の化粧品使用に関する。
【0112】
本発明はまた、特にヒトの皮膚などの皮膚を脱色、明色、漂白またはホワイトニングすることを目的した化粧品組成物の製造のための本発明による化合物の使用に関する。
【0113】
本発明は、特にヒトの皮膚などの皮膚のための、脱色剤、ライトニング剤、漂白剤またはホワイトニング剤として使用するための本発明による化合物に関する。
【0114】
本発明はまた、有効量の本発明による化合物または本発明による化粧品組成物を、それを必要としている人に適用することによって、人間の皮膚などの皮膚を脱色、ライトニング、漂白またはホワイトニングする方法に関する。
【0115】
本発明はまた、特に色素沈着障害の治療において、より具体的にはヒトの皮膚などの皮膚への局所適用による、薬物としての使用のための本発明による化合物に関する。
【0116】
本発明はまた、特に色素沈着障害の治療において、特にヒトの皮膚などの皮膚への局所適用による、薬物としての使用のための、本発明による医薬組成物、特に皮膚用組成物に関する。
【0117】
本発明はまた、特に色素沈着障害の治療を目的とした、特にヒトの皮膚などの皮膚への局所適用を目的とした医薬組成物、特に皮膚用組成物の製造のための本発明による化合物の使用に関する。
【0118】
本発明はまた、色素沈着障害の治療のための、より具体的にはヒトの皮膚などの皮膚への局所適用による、本発明による化合物の使用に関する。
【0119】
本発明はまた、ヒトの皮膚などの皮膚の色素沈着障害を、それを必要とする人の皮膚上に本発明による化合物または医薬組成物、特に皮膚用組成物の有効量を適用することによって治療する方法に関する発明。
【0120】
色素沈着障害は、より具体的には、レンチゴもしくはメラズマなどの色素沈着過剰症であり、特に、日光への過剰曝露、炎症、傷害、火傷、薬品、ホルモン変化に起因する。
【0121】
本発明を説明するために、化合物調製の例を以下に記載する。例示のリストは限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【
図1】1.12mMの化合物8のヒトチロシナ-ゼの動態の阻害を示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
実施例
以下の略語が実施例において使用されている。
DAST:ジエチルアミノサルファ-トリフルオリド
DBU:1、8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
eq.:当量
ESI:エレクトロスプレ-イオン化
mCPBA:メタ-クロロペルオキシ安息香酸
NMR:核磁気共鳴
rt:室温
sat.aq:飽和水溶液
THF:テトラヒドロフラン
【0124】
1.本発明による化合物の製造
中間体化合物2の合成
【化15】
不活性雰囲気下で、亜鉛(32.8g、501.9mmol、5当量)を化合物1(J.Org.Chem.2005、70、10139-10142に記載されているように調製した)の溶液(45.6g、100.4mmol、1当量)に加えた。エタノ-ル(1.4L)/水(70.2mL)/AcOH(35.1mL)の混合物中。混合物を還流温度で1時間撹拌した。次に混合物を綿で濾過して亜鉛を除去した。綿を酢酸エチルで洗浄し、濾液を濃縮し、酢酸エチルに溶解し、飽和NaHCO
3、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、黄色がかった油状物として中間体化合物2(29.6g、99%)を得た。
【0125】
1H NMR (CDCl3、300MHz): 3.8(dd、J=1.5Hz、J=3.9Hz、1H); 4.2(dd、J=3.9Hz、J=7.5Hz、1H); 4.4(d、J=12Hz、1H); 4.6-4.7(m、2H); 4.8(d、J=12Hz、1H); 5.3-5.4(m、2H); 6(ddd、J=7.8Hz、J=10.5Hz、J=17.4Hz、1H); 7.3-7.4(m、10H); 9.7(d、J=1.5Hz、1H).
【0126】
中間体化合物3の合成
【化16】
不活性雰囲気下で、3-ブロモ-3、3-ジフルオロプロペン(12.3mL、119mmol、1.2当量)を、THF (55.4mL)/H
2O (203mL)(203mL)およびインジウム(13.7g、119mmol、1.2当量)中の中間化合物2(29.6g、99.7mmol、1当量)の冷却された不均一溶液(10℃)に加えた。混合物を10℃で1時間撹拌した。次に、2N HClを加え、混合物をEt
2Oで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮した。粗油状物をシリカゲルクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)SNAP 750g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~73:17)によって精製して、中間体化合物3(15.9g、43%)を無色の油状物として得た。
【0127】
Mass (ESI+): 375.2[M+H]+、392.2[M+NH4]+、397.2[M+Na]+.
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz): -108.2(d、J=251Hz、1F); -113.4(d、J=251Hz、1F).
【0128】
中間体化合物4の合成
【化17】
不活性雰囲気下で、Grubbs’II触媒(2.09g、2.46mmol、8%)を、トルエン(164mL)中の中間化合物3(11.5g、30.8mmol、1当量)の脱気溶液に加えた。混合物を1時間還流下で撹拌し、酢酸エチルで洗浄したSiO
2パッドで濾過した。濾液を濃縮し、粗化合物をシリカゲルクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)SNAP 340g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~80:20)で精製し、褐色の固体として中間体化合物4(5.9g、58%)を得た。
【0129】
Mass (ESI+): 364.2 [M+NH4]+.
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz): -102.4(d、J=274Hz、1F); -105.2(d、J=274Hz、1F).
【0130】
中間体化合物5の合成
【化18】
Et
3N(0.6mL、4.33mmol、1.5当量)、続いて10%Pd / C(0.184g、0.173mmol、6%)を酢酸エチル(72mL)中の中間化合物4(1.00g、2.89mmol、1当量)の溶液に加えた。混合物を水素雰囲気下、室温で2時間撹拌し、ミリポア0.45μmで濾過し、そして濃縮した。粗化合物をシリカゲルクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)ZIP 45g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~70:30)で精製して、中間体化合物5(838mg、83%)を白色の固体として得た。
【0131】
Mass (ESI+): 366.2[M+NH4]+、371.1[M+Na]+、387.1[M+K]+.
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz): -106.4(d、J=242Hz、1F); -116.3(brd、1F).
【0132】
中間体化合物6の合成
【化19】
不活性雰囲気下で、ピリジン(0.63mL、7.69mmol、4当量)、続いて無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.29mL、7.69mmol、4当量)をジクロロメタン(17.9mL)中の活性化合物5(670mg、1.92mmol、1当量)の冷却溶液(0℃)に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。次に混合物をジクロロメタンで希釈し、2N HClで2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、粗製中間体化合物6(889mg)を暗色残渣として得た。中間体化合物6をさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0133】
19F NMR (CDCl3、282.5MHz): -104.5(dt、J=246Hz、J=11Hz、1F); -115.5(d、J=246Hz、1F).
【0134】
中間体化合物7の合成
【化20】
K
2CO
3(0.673g、4.87mmol、3当量)およびベンジルオキシフェノ-ル(1.14g、5.68mmol、3.5当量)を不活性雰囲気下でDMF(3.9mL)に溶解し、この懸濁液を室温で1時間撹拌した。DMF(1.56mL)中の中間体化合物6(0.78g、1.62mmol、1当量)の溶液を加え、混合物を110℃に一晩加熱した。次いで水を加え、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を塩水(brine)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、暗色油状物を得た。この粗物質をフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)ZIP 10g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~87:13)によって精製して、黄色がかった油として中間体化合物7(575mg、67%)を得た。
【0135】
Mass (ESI+): 548.3[M+NH4]+、553.2[M+Na]+、569.2[M+K]+.
【0136】
中間体化合物8の合成
【化21】
10%Pd/C(128mg、0.12mmol、10%)を、THF(35mL)中化合物7(637mg、1.2mmol、1当量)溶液に加えた。次に、1N HCl(4.8mL、4.8mmol、4当量)を加えた。混合物を水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濾過し(H-PTFE 0.45μm)、そして濃縮した。粗製残渣をフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)SNAP 25g、ジクロロメタン/メタノ-ル100:0~90:10)によって精製して、化合物8(222mg、71%)を得た。
【0137】
Mass(ESI-): 259.1[M-H]-.
19Fdec (MeOD、282.5MHz): -104.7(brd、J=257Hz、1F); -106.8(brd、J=257Hz、1F).
【0138】
中間体化合物9の合成
【化22】
0℃でDCM(70mL)中のラセミ体のシクロヘキサ-2-エノ-ル(1.0g、9.68mmol、1当量)の溶液に、mCPBA(77%、3.80g、16.9mmol、1.75当量)を加えた。室温で16時間撹拌した後、反応混合物をNa
2S
2O
3水溶液で洗浄した。次いで、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗製の残渣として中間体化合物9(360mg、33%)を得た。
【0139】
1H NMR (CDCl3、300MHz): 1.00-2.00 (m、6H); 3.32 (s、1H); 3.35 (s、1H); 4.01 (s、1H).
【0140】
中間体化合物10の合成
【化23】
55℃でTHF(4mL)中の中間化合物9(360mg、3.15mmol、1当量)の溶液を、NaH(204mg、8.52mmol、2.7当量)およびBnBr(0.377mL、3.15mmol、1当量)中の懸濁液に加えた。55℃で4時間加熱した後、氷を混合物にゆっくり加え、それを次にEt
2Oで2回抽出した。次いで合わせた有機層を塩水(brine)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。次いで、粗製残渣をシリカゲルクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)ZIP 5g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~70:30)によって精製して、10(413mg、64%)を黄色の液体として得た。
【0141】
Mass (IC+): 205.2.
【0142】
中間体化合物11の合成
【化24】
不活性雰囲気下でトルエン(12.6mL)中の中間化合物10(410mg、2.00mmol、1当量)の溶液をトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネ-ト(TMSOTf)(0.38mL、2.11mmol、1.05当量)、続いて2、6-ルチジン(1.17mL、10.0mmol、5当量)で処理した。室温で30分間撹拌した後、DBU(1.50mL、10.0mmol、5当量)を加えた。次いで反応混合物を2N HClで希釈し、Et
2Oで2回抽出し、そして合わせた有機層を塩水(brine)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。 粗製残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)ZIP 30g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~70:30)によって精製して、黄色の液体として中間体化合物11(335mg、82%)を得た。
【0143】
1H NMR (CDCl3、300MHz): 1.54-2.60 (m、4H); 2.39 (brs、1H、OH); 3.65 (m、1H); 4.22 (brs、1H); 4.59 (d、1H、J=11.7Hz、OCHHPh); 4.63 (m、1H); 4.68 (d、J=11.7Hz、1H、OCHHPh); 3.46 (m、1H、CH=); 5.82 (m、1H、CH=); 7.26-7.37 (m、5H、HAr).
【0144】
中間体化合物12の合成
【化25】
不活性雰囲気下でp-ベンジルオキシフェノ-ル(348mg、1.70mmol、1.2当量)および1、1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)(430mg、1.70mmol、1.2当量)をトルエン(4.53mL)中の中間化合物11(290mg、1.42mmol、1当量)の溶液に加えた。混合物を0℃に冷却し、P(nBu)
3(0.45mL、1.70mmol、1.2当量)を加えた。次いで反応混合物を室温で2時間撹拌した後、DCMで希釈した。次いで混合物を濃縮し、粗製残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)SNAP 50g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~70:30)によって精製して、中間体化合物12(382mg、70%)を黄色油として得た。
【0145】
Mass (ESI+): 404.2 [M+NH4]+; 409.1 [M+Na]+; 425.1 [M+K]+.
【0146】
中間体化合物13の合成
【化26】
0℃に冷却したTHF(0.75mL)中の中間化合物12(57.0mg、0.15mmol、1当量)の溶液に、BH
3.Me
2S(THF中2M、0.37mL、0.74mmol、5当量)をゆっくり加えた。次いで混合物を室温で20時間撹拌した。次に反応混合物を0℃に冷却し、H
2O
2(30%w/v、0.45mL、4.42mmol、30当量)、水(0.19mL、10.32mmol、70当量)およびNaOH(水中2M、0.59mL、1.18mmol、8当量)を連続して加えた。次いで混合物を室温でさらに3時間撹拌した。水を混合物に加え、それを次に酢酸エチルで3回抽出した。次いで合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。
【0147】
粗製残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)ZIP 10g、シクロヘキサン/酢酸エチル95:5~60:40)によって精製して、中間体化合物13(22mg、37%)を無色の油として得た。
【0148】
Mass (ESI+): 422.3[M+NH4]+.
【0149】
中間体化合物14の合成
【化27】
デスマ-チンペルヨ-ジナン(34.6mg、0.08mmol、1.5当量)をDCM(0.16mL)中の中間化合物13(22.0mg、0.05mmol、1当量)の溶液に加えた。 反応混合物を室温で2時間撹拌した。 次いでNaOH(水中1M)を混合物に加え、それを次にDCMで3回抽出した。 次いで合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。 粗製残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィ-(AIT 4g、シクロヘキサン/酢酸エチル93:7~40:60)によって精製して、無色の油として中間体化合物14(12mg、55%)を得た。
【0150】
Mass (ESI+): 420.2[M+NH4]+.
【0151】
中間体化合物15の合成
【化28】
不活性雰囲気下、DCM(0.94mL)中の中間化合物14(140mg、0.35mmol、1当量)の溶液にDAST(0.42mL、3.47mmol、10当量)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した後、DCMを加えた。次いで希釈溶液をNaHCO
3の冷水溶液に注いだ。混合物を5分間撹拌した後、DCMで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。粗製残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標)SNAP KP-Sil 10g、シクロヘキサン/酢酸エチル99:1~90:10)によって精製して、化合物15(77mg、52%)を黄色油状物として得た。
【0152】
Mass (ESI+): 447.1 [M+Na]+.
【0153】
中間体化合物16の合成
【化29】
不活性雰囲気下で、Pd/C(10%、15.0mg、0.01mmol、0.3当量)を酢酸エチル(1mL)中の化合物15(20mg、0.05mmol、1当量)の溶液に添加した。次いで混合物を水素雰囲気(10バ-ル)下で一晩撹拌した。混合物を濾過し(ミリポア0.45μm以上)、フィルタ-を酢酸エチルで洗浄した。濾液を最後に濃縮して、定量的収率で白色固体として化合物16を得た。
【0154】
Mass (ESI-): 243.1[M-H]-.
19Fdec (MeOD、282.5MHz): -100.0 (d、J=246Hz、1F); -113.9(d、J=246Hz、1F).
【0155】
化合物16は、以下の2つのエナンチオマ-16aおよび16bのラセミ混合物として得られた。
【化30】
【0156】
中間体化合物18の合成
【化31】
不活性雰囲気下、室温で、乾燥DCM(17mL)中の7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-オン(1当量、1.92g、1.7mL、16.8mmol)の溶液にDAST(5当量、13.5g、10.3mL、83.9mmol)を加えた。反応混合物を2時間撹拌した後、氷と水の混合物に注いだ。次いで有機層をシリカゲルのプラグを通して濾過した。DCMを、大気圧下で45℃から減圧下で85℃までゆっくりと蒸留により除去した。黄色がかった液体として化合物18(1.94g、86%)を得た。
【0157】
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz):-96.5(d、J=263Hz、1F);-100.2(d、J=263Hz、1F).
【0158】
中間体化合物19の合成
【化32】
トリス(トリフルオロメタンスルホン酸)エルビウム(10%、0.47g、0.746mmol)をベンジルアルコ-ル(935μL、8.95mmol、1.2当量)中の化合物18(1当量、1g、7.46mmol)の溶液に加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。NaHCO
3の飽和溶液、続いてDCMを混合物に加え、前記混合物をDCMで2回抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。粗製残渣をフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標);AIT 120g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~70:30)により精製して、黄色がかった固体として化合物19(935mg、3.86mmol、52%)を得た。
【0159】
Mass (ESI+): 260.1 [M+NH4]+
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz): -104.1 (d、J=241Hz、1F); -118.0 (brd、J=241Hz、1F).
【0160】
中間体化合物20の合成
【化33】
K
2CO
3(6当量、222mg、1.61mmol)を乾燥DMF(2.83mL)中の化合物19(1当量、65mg、0.268mmol)および4-フルオロベンズアルデヒド(3当量、101mg、0.0881mL、0.805mmol)の溶液に加えた。混合物を130℃に3日間加熱した。水と塩水(brine)を加えてK
2CO
3を溶解させ、混合物をAcOEtで2回抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、帯黄色の液体を得た。粗製物質の分析は、いくらかの残存化合物19を示したため、その化合物は同じ条件下で反応に再び酸化した。混合物を一晩撹拌し、上記記載したことと同じ後処理を行った。粗物質をフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage ZIP(登録商標)10g、シクロヘキサン/酢酸エチル100:0~70:30)によって精製して、化合物20(73mg、0.211mmol、79%)を得た。
【0161】
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz): -101.8 (d、J=247Hz、1F); -114.2 (brd、J=247Hz、1F).
【0162】
中間体化合物21の合成
【化34】
不活性雰囲気下で化合物20(1当量、72mg、0.208mmol)を、乾燥DCM(3.47mL)中のm-CPBA(3.5当量、163mg、0.291mL、0.728mmol)の溶液に加えた。反応混合物を45℃で16時間撹拌した。混合物を次いでsat.NaHCO
3で洗浄し、DCMで2回抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して黄色がかった残渣を得て、残渣をメタノ-ル(0.866mL)に溶解した。1M NaOH(5当量、1.04mL、1.04mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。2N HClでpHを2に調整し、混合物を濾過した。濾液をDCMで2回抽出し、合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗化合物21(64mg、92%、mCPBA残基を含有する)を得た。
【0163】
Mass (ESI-): 333.1 [M-H]-; 379.1 [M+HCOO]-; 393.1 [M+CH3COO]-.
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz):-104.2 (brd、J=242Hz、1F);-118.2 (brd、J=242Hz、1F).
【0164】
中間体化合物16の合成
【化35】
炭素上のパラジウム(10%w%、0.3当量、60.2mg、0.0565mmol)を、酢酸エチル(4mL)中の化合物21(1当量、63mg、0.188mmol)の溶液に加えた。反応混合物を水素圧下(10バ-ル)で一晩撹拌した。混合物をミリポア0.45μmで濾過し、黒色固体をAcOEtで洗浄した。濾液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ-(Biotage ZIP(登録商標)10g、シクロヘキサン/酢酸エチル85:15~35:65)で精製して、化合物16(20mg、0.0819mmol、43%)を得た。
【0165】
19F NMR (MeOD、282.5MHz):-100.0(d、J=246Hz、1F);-113.9(d、J=246Hz、1F).
【0166】
化合物16は、以下の2つのエナンチオマ-16aおよび16bのラセミ混合物として得られた。
【化36】
【0167】
化合物22aおよび22bの合成
【化37】
不活性雰囲気で乾燥DCM(5mL)中の7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-オン(1当量、0.5mL、4.94mmol)の溶液にDAST(5当量、3.02mL、24.7mmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌した。次に混合物を氷水にゆっくり注ぎ入れ、層を分離した。有機層をシリカゲルのプラグを通して濾過した(最小量のDCMで溶出した)。ジフルオロエポキシド18を含有する濾液を0℃に冷却し、トリメチルアルミニウム(1.05当量、2M、2.59mL、5.18mmol)を滴下した。1時間撹拌した後、(R)-(+)-1-フェニルエチルアミン(1.15当量、0.74mL、5.68mmol)をゆっくり加え、混合物を0℃で15分間撹拌し、一晩還流した。次いで、塩化アンモニウムの飽和水溶液を混合物に加え、層を分離した。水層をDCMで抽出し、そして合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。粗製残渣をフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標);AIT 25g、シクロヘキサン/酢酸エチル20:80~7:93)により精製して、黄色がかった固体として化合物22a(420mg、1.65mmol、33%)および化合物22b(244mg、0.96mmol、19%)を得た。
【0168】
Mass (ESI+): 256.1 [M+H]+
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz):
22a:-103.8(d、J=239Hz、1F、CF2);-120.0 (d、J=240Hz、1F、CF2).
22b:-103.8 (d、J=238Hz、1F、CF2); -119.8 (d、J=238Hz、1F、CF2).
【0169】
化合物23aおよび23bの合成
【化38】
活性炭上のパラジウム(0.25当量、20%炭素上50%水で湿った2.66g、4.99mmol)および1N HCl(1.4当量、1M、28mL、28mmol)をTHF(102mL)中の22a(1当量、5.1g、20mmol)の溶液に加えた。混合物を水素雰囲気下で一晩撹拌し、次にミリポア0.45μmで濾過した。濾液を濃縮し、トルエンと共蒸発させて、粗23a(4.03g、108%)を白色の固体として得た。
同じ条件下で22b(1当量、3.63g、14.2mmol)から粗23b(2.78g、104%)を得た。
【0170】
Mass (ESI+):152.1 [M-HCl+H]+
19Fdec NMR (CDCl3、282.5MHz):-106.1 (d、J=242Hz、1F、CF2);-121.8 (d、J=242Hz、1F、CF2).
【0171】
化合物24aおよび24bの合成
【化39】
不活性雰囲気下でクロロギ酸ベンジル(1.46当量、4.46mL、31.4mmol)およびNaHCO
3(3当量、5.41g、64.4mmol)を、エタノ-ル(97.4mL)中の23a(1当量、4.03g、21.5mmol)の溶液に連続して加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。次に水を混合物に加え、エタノ-ルを蒸発により除去した。水溶液を酢酸エチルで2回抽出し、そして合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗24a(6.65g、109%)を帯黄色油状物として得た。
【0172】
同じ条件下で23b(1当量、2.78g、14.82mmol)から粗24b(4.74g、112%)を得た。
【0173】
Mass (ESI+): 286.1 [M+H]+;303.2 [M+NH4]+;588.3 [2M+NH4]+.
19Fdec NMR (CDCl3、285.5MHz):-105.1 (d、J=243Hz、1F、CF2); -118.2 (brd、J=243Hz、1F、CF2).
【0174】
化合物25aおよび25bの合成
【化40】
不活性雰囲気下で0℃に冷却した乾燥DCM(172mL)中の24a(1当量、6.65g、23.3mmol)の溶液に、ピリジン(21.9当量、41.3mL、511mmol)および無水トリフリック酸(3.27当量、12.7mL、76.3mmol)を連続的に加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した後、HCl(水中1.5M)を加えた。層を分離し、水層をDCMで2回抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。粗製残渣をフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標);Macherey 200g、98:2~63:37のシクロヘキサン/酢酸エチル)で精製して、25a(4.63g、3つのステップで57%)を黄色がかった固体の形態で得た。
25b(4.21g、3つのステップで71%)を24b(1当量、4.74g、16.61mmol)から同じ条件下で得た。
【0175】
Mass (ESI+): 435.1 [M+NH4]+
19Fdec NMR (CDCl3、285.5MHz): -74.5 (d、J=9Hz、CF3); -102.3 (d、J1=246Hz、1F、CF2); -115、5 (d、J=246Hz、1F、CF2).
【0176】
化合物26aおよび26bの合成
【化41】
不活性雰囲気下でK2CO3(3当量、4.6g、33.3mmol)およびベンジルオキシフェノ-ル(3.5当量、7.77g、38.8mmol)をDMF(26.6mL)に溶解し、この懸濁液を室温で1時間撹拌した。次いで、乾燥DMF(10.7mL)中の25a(1当量、4.63g、11.1mmol)の溶液を加え、そして混合物を130℃に3時間加熱した。次に水を、酢酸エチルで3回抽出した混合物に加えた。合わせた有機層を塩水(brine)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。得られた粗製物質をフラッシュクロマトグラフィ-(Biotage(登録商標);SNAP 340g、シクロヘキサン/ 酢酸エチル97:3~55:45)によって精製した。残っているp-ベンジルオキシフェノ-ルを除去するために2 回の精製が必要であった。26a(746mg、20%)が褐色油の形で得られた。
【0177】
25b(4.21g、10.1mmol)から同じ条件下で26b(1.63g、48%)を得た。フラッシュクロマトグラフィ-による精製は1回だけ必要であった。
【0178】
Mass (ESI+):334.2 [M+H]+
19Fdec NMR(CDCl3、285.5MHz):-101.1 (d、J=242Hz、1F、CF2);-117.0(d、J=242Hz、1F、CF2).
【0179】
化合物28aおよび28bの合成
【化42】
活性炭上のパラジウム(0.1当量、20%炭素上50%水で湿った、118mg、0.22mmol)およびHCl 1N(1.4当量、1M、3.13mL、3.13mmol)をTHF(65.7mL)中の26a(1当量、745mg、2.23mmol)の溶液に加えた。混合物を水素雰囲気下で一晩撹拌し、次にミリポア0.45μmで濾過した。固体残渣をメタノ-ルで洗浄し、そして濾液を濃縮して、粗27a(743mg、119%)を白色の固体として得た。次いでこの固体をメタノ-ルに溶解し、そしてAmberlite(登録商標)IRA-67を、pHが7を超えるまで添加した。懸濁液を濾過し、濾液を濃縮して、28a(289mg、2つステップで54%)を白色の固形物として得た。
26b(333mg、1mmol)から同じ条件下で28b(140mg、2つのステップで58%)を得た。
【0180】
Mass (ESI+): 244.1 [M+H]+.
19Fdec NMR (MeOD、285.5MHz): -101.4 (d、J=243Hz、1F、CF2); -117.4 (brd、J=243Hz、1F、CF2).
【0181】
2. 生物活性
ヒトチロシナ-ゼ阻害剤としての化合物8のin vitro有効性
化合物8の有効性は、ヒトチロシナ-ゼのin-tuboの阻害によって評価され、先行技術の化合物デオキシアルブチンと比較された。
【0182】
方法
アッセイは、Feldan Inc(Canada)からのすぐに使えるキット:HumanLike Tyrosinase Assayキット(ref A021-a-001 Kit)を用いて実施した。
【0183】
製造業者の使用説明書に記載されているようにプロトコルを実施した。手短に言えば、このキットは、異なる阻害剤の存在下でのヒトチロシナ-ゼ活性の測定を目的とする。このキットは、490nmで吸収するL-チロシンのド-パクロ-ム複合体への変換を測定する。アッセイの時間経過は20分であり、その後結果が分析され比較される。
【0184】
結果
化合物8およびデオキシアルブチンは1.12mMの最終濃度で試験された。490nmで測定された吸光度を表1に示し、
図1に時間の関数としてプロットした。
【0185】
【0186】
さらに、各化合物について、チロシナ-ゼ阻害剤としての効力を以下の式を用いて計算した。
【数1】
【0187】
結果が表2に示されている。
【表2】
これらの試験条件において、化合物8は、in vitroのヒトチロシナ-ゼ阻害に対して、デオキシアルブチンよりも3.4倍優れた有効性を示した。
【0188】
ヒト表皮メラニン細胞におけるメラニン合成の阻害に対する化合物8、16および28aのin vitro効果
方法
ヒトメラニン細胞は、メラニン合成の増加を誘導するためにL-チロシンによって刺激され、ホワイトニング剤が添加されたときにこの合成の阻害を測定することができる。
【0189】
生物学的モデル:軽く着色された正常ヒト表皮メラニン細胞(NHEM)を、PMAを含まないHMGS-2を補充した培地M254中で培養した。インスリン5μg/ ml;ペニシリン50U/ml;ストレプトマイシン50μg/ml;ゲンタマイシン25 μg/ml(インキュベ-タ-:37℃、5%CO2)。
【0190】
培養および処理:メラニン細胞を24ウェルプレ-トに播種し、培地中で24時間培養した。次いで、培地を、試験化合物を含むかまたは含まない(刺激された対照)誘導培地(1mMのLチロシン)の存在下で培養培地と交換した。次いで、72時間および168時間のインキュベ-ション後に、細胞を2回の処理更新で240時間インキュベ-トした。刺激なしの対照を並行して実施した。すべての実験条件はn=3で実施した。
【0191】
メラニンアッセイ:インキュベ-ションの終わりに、培養上清を除去し、メラニンを0.5NのNaOH溶液を用いる細胞溶解によって抽出した。各実験点の光学密度(OD)を405nmで測定し、メラニン量を、メラニン標準を用いて計算した(標準曲線0.39~100μg/mlメラニン)。結果はμg/mlのメラニンで示した。
【0192】
結果
試験した濃度:
メラニン合成の潜在的な阻害を評価するために使用されるべきより高い非細胞傷害性濃度を決定するために、化合物をNHEM培養物上で異なる濃度で予め試験した。決定された濃度は全ての化合物(化合物8、16および28a)について300μMであった。結果は表3に示されている。
【表3】
【0193】
試験条件において、L-チロシン刺激はメラニンの合成を最大22.9μg/mlまで増加させた(刺激なしの対照における7.6μg/mlと比較して)。
試験した化合物28a、8および16は、メラニン合成をそれぞれ10.2μg/ml、9.3μg/mlおよび8.1μg/mlに減少させることによって高い阻害効果を示した。