(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/423 20060101AFI20220712BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220712BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220712BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220712BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220712BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220712BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220712BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220712BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20220712BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A61K31/423
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/26
A61K47/38
A61P1/16
A61P3/06
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2019527072
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2018024884
(87)【国際公開番号】W WO2019004449
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2017128695
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 信
(72)【発明者】
【氏名】南園 明人
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/050134(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/023777(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/005365(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)乳糖及びその溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上の二糖類;
を含有し、且つ固形製剤である、医薬組成物。
【請求項2】
成分(A)の含有量が、医薬組成物全質量に対して、ペマフィブラートのフリー体換算で0.01~5質量%である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
さらに、成分(C):
(C)セルロース;
を含有する、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤又は丸剤である、請求項1~3のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項5】
ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有し且つ固形製剤である医薬組成物に、乳糖及びその溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上の二糖類を含有せしめる工程を含む、医薬組成物中のペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量均一性の改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の構造式:
【0003】
【0004】
で表されるペマフィブラート(化学名:(2R)-2-[3-({1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル[3-(4-メトキシフェノキシ)プロピル]アミノ}メチル)フェノキシ]ブタン酸((2R)-2-[3-([1,3-Benzoxazol-2-yl[3-(4-methoxyphenoxy)propyl]amino]methyl)phenoxy]butanoic acid)、国際一般名:Pemafibrate)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、優れたPPARαアゴニスト活性を有し、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を示し、脂質異常症(高脂血症)の予防や治療に有用であること(特許文献1、非特許文献1、2)や、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の予防や治療に有用であること(特許文献2)が知られている。
【0005】
ところで、医薬品の有効成分として有用な化合物は通常何らかの医薬組成物として製剤化され供給されることとなるが、期待する薬効を確実に発揮させ、また、予期せぬ副作用を回避する観点から、供給される医薬組成物について、ロット間等でばらつきなく一定の品質を確保させることは極めて重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2005/023777号パンフレット
【文献】国際公開第2015/005365号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【文献】Yukiyoshi Yamazaki, et al., Synthesis, 2008(7), 1017-1022.
【文献】Fruchart JC., Cardiovasc Diabetol., 2013; 12: 82.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、均質性をはじめとする医薬組成物の製造性は、配合成分の物理的・化学的特性に大きく左右されるところ、当該特性はその化学構造等から予め予測出来ないことが多く、医薬組成物を実際に製造して初めて問題が判明することも少なくない。そのため、医薬組成物の均質性を確保する技術の確立には多大な試行錯誤を要するのが通常である。
そして、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物については、上記のような薬理効果を示すということが報告されているのみであり、医薬組成物とすることについてはこれまでに具体的に検討がされておらず、医薬組成物の均質性等の製造性についてはこれまでに全く報告されていなかった。
このような背景の下、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物を開発するため、本発明者らは、まずは医薬組成物を実際に製造してみた。しかるところ、医薬組成物ごとにペマフィブラートの含量にばらつきが生じ、医薬組成物中のペマフィブラートの含量の均質性(含量均一性)に問題が生じることが判明した。医薬組成物ごとにペマフィブラートの含量が大きく異なれば、医薬組成物間で有効性・安全性にばらつきが生じることにもなりかねない。
したがって、本発明の課題は、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有し、均質性に優れる医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、医薬組成物中でのペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量均一性の問題を解決すべくさらに鋭意検討したところ、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(なお、以下、本明細書において、単に「成分(A)」と称することもある)を含有する医薬組成物に、さらに、乳糖に代表される二糖類(なお、以下、本明細書において、単に「成分(B)」と称することもある)を含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)二糖類;
を含有する、医薬組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、二糖類を含有せしめる工程を含む、医薬組成物中のペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量均一性の改善方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善され、均質性に優れる医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(成分(A))>
本明細書において「ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」には、ペマフィブラート(化学名:(2R)-2-[3-({1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル[3-(4-メトキシフェノキシ)プロピル]アミノ}メチル)フェノキシ]ブタン酸((2R)-2-[3-([1,3-Benzoxazol-2-yl[3-(4-methoxyphenoxy)propyl]amino]methyl)phenoxy]butanoic acid)、国際一般名:Pemafibrate)そのもののほか、ペマフィブラートの薬学上許容される塩、さらにはペマフィブラートやその薬学上許容される塩と、水やアルコール(例えば、エタノール)等との溶媒和物も含まれる。薬学上許容される塩としては特に限定されないが、例えば、酸付加塩や塩基付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては、具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸との酸付加塩;安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン、ルチジン等のアミンとの塩;リシン、アルギニン、シンコニン、シンコニジン等の有機塩基との塩基付加塩等が挙げられる。
【0014】
ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の形状、大きさ等は特に限定されないが、第十七改正日本薬局方 レーザー回折法による粒子径測定法に従って一次粒子の平均粒子径を測定した場合、d50、d90はそれぞれ以下の通りであるのが好ましい。
d50:100μm以下であるのが好ましく、50μm以下であるのがより好ましく、20μm以下がさらにより好ましく、1~20μmであるのが特に好ましい。
d90:200μm以下であるのが好ましく、135μm以下であるのがより好ましく、80μm以下であるのがさらに好ましく、1~80μmであるのが特に好ましい。
【0015】
ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は公知の化合物であり、例えば、特許文献1、非特許文献1、米国特許第7,109,226号明細書に開示の方法により製造することができる。本発明においては、非特許文献1に記載の方法で製造できる、ペマフィブラートの結晶(好適には、第十七改正日本薬局方 融点測定法第1法に従って測定したとき、95~101℃、特に好適には97~100℃の融点を示す結晶)を用いるのが好ましい。なお、これらの文献の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0016】
医薬組成物におけるペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量は特に限定されず、適用する疾患、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができる。例えば、1日あたり、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を、ペマフィブラートのフリー体に換算して0.05~0.8mg、より好適には0.075~0.6mg、特に好適には0.1~0.4mg服用できる量を含有せしめることができる。
医薬組成物におけるペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量としては、医薬組成物全質量に対して、ペマフィブラートのフリー体換算で、0.01~5質量%であるのが好ましく、0.025~1質量%であるのがより好ましく、0.05~0.5質量%であるのが特に好ましい。本発明によれば、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物がこのような低含量の場合であっても、良好な含量均一性が得られる。
【0017】
<二糖類(成分(B))>
本明細書において「二糖類」とは、二糖そのもの及び二糖のヒドロキシ基の全部又は一部が塩素原子等のハロゲン原子に置換されたもの並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。ここで、溶媒和物としては、特に限定されず、具体的には例えば、水和物等が挙げられる。なお、二糖を構成する単糖の種類は特に限定されず、例えば、アラビノース、キシロース等のペントース;グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、アルトロース、ラムノース等のヘキソースなどが挙げられる。
こうした二糖類としては、具体的には例えば、ショ糖(スクロース)、ラクツロース、乳糖(ラクトース)、マルトース、トレハロース、セルビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ネオラクトース、ガラクトスクロース、シラビオース、ルチノース、ルチヌロース、ビシアノース、キシロビオース、プリメベロース、スクラロースなどが挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
二糖類としては、含量均一性の改善作用の観点から、ショ糖、乳糖、マルトース、トレハロース、パラチノース及びスクラロース並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ショ糖、乳糖、トレハロース及びスクラロース並びにそれらの水和物よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、乳糖及びその水和物よりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、乳糖・結晶セルロース球状顆粒、乳糖水和物、乳糖造粒物及び無水乳糖よりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。また、医薬組成物(特に固形製剤)の製造の容易性の観点から、二糖類としては、常温(15~25℃のいずれかの温度)において固体のものが好ましい。
なお、これらの二糖類はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、ノンパレル-105(フロイント産業(株))、乳糖水和物(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、乳糖G(フロイント産業(株))、Lactopress anhydrous(CBC(株))、日食結晶マルトース(日本食品化工(株))、トレハロースP(旭化成(株))、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、Pharmatose 200M(DFE pharma社)等が挙げられる。
【0019】
医薬組成物における二糖類の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して二糖類の合計量として、1~99質量%であるのが好ましく、3~95質量%であるのがより好ましく、5~90質量%であるのがさらに好ましく、7~85質量%であるのが特に好ましい。
【0020】
また、二糖類として乳糖及びその水和物よりなる群から選ばれる1種以上を使用する場合、その含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、2~98質量%が好ましく、4~93質量%がより好ましく、8~80質量%が特に好ましい。
【0021】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と二糖類との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、二糖類を合計で10~1750質量部含有するのが好ましく、50~1500質量部含有するのがより好ましく、80~1200質量部含有するのがさらに好ましく、100~900質量部含有するのが特に好ましい。
【0022】
また、二糖類として乳糖及びその水和物よりなる群から選ばれる1種以上を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と乳糖及びその水和物よりなる群から選ばれる1種以上との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、乳糖及びその水和物よりなる群から選ばれる1種以上を合計で30~1150質量部含有するのが好ましく、50~1050質量部含有するのがより好ましく、70~950質量部含有するのがさらに好ましく、120~850質量部含有するのが特に好ましい。
【0023】
<セルロース(成分(C))>
本発明の医薬組成物としては、成分(A)及び(B)に加えて、さらにセルロースを含有するものが好ましい。二糖類とセルロースを組み合わせて含有せしめることにより、ペマフィブラートの含量均一性がより良好となる。
本明細書において「セルロース」とは、セルロース及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。セルロースにおいて、塩の種類は特に限定されず、具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等の第2族元素の金属との塩等が挙げられる。また、セルロースの平均重合度や性状(結晶形)等は特に限定されないが、平均重合度は好ましくは50~10000である。なお、ここで、平均重合度は、第十七改正日本薬局方 「結晶セルロース」の項に記載の確認試験(3)に準じて試験を行うことにより確認できる。
こうしたセルロースとしては、具体的には例えば、結晶セルロース、結晶セルロース(微粒子)、結晶セルロース(粒)、粉末セルロース、粉末セルロース(平均重合度:800~1100)等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これら結晶セルロース等は、医薬品添加物辞典2016(株式会社薬事日報社発行)に記載の結晶セルロース等をいうものとする。
なお、これらのセルロースはいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、セオラス PH-101(旭化成(株))、セルフィア(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、ARBOCEL(木村産業(株))等が挙げられる。
【0024】
医薬組成物におけるセルロースの含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対してセルロースの合計量として、1~40質量%であるのが好ましく、3~35質量%であるのがより好ましく、5~30質量%であるのがさらに好ましく、8~25質量%であるのが特に好ましい。
【0025】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とセルロースとの含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、セルロースを合計で5~5000質量部含有するのが好ましく、30~3500質量部含有するのがより好ましく、60~2000質量部含有するのが特に好ましい。
【0026】
本明細書において「医薬組成物」の剤形は特に限定されず、固形状、半固形状、又は液状製剤のいずれであってもよく、その利用目的等に応じて選択することができる。医薬組成物の剤形としては、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形が挙げられる。具体的には例えば、経口投与用の剤形としては、錠剤(例えば、通常錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠などを含む)、カプセル剤、顆粒剤(例えば、発泡顆粒剤などを含む)、散剤、丸剤等の固形製剤;経口ゼリー剤等の半固形状製剤;経口液剤(例えば、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤などを含む)等の液状製剤等が挙げられる。また、非経口投与用の剤形としては、注射剤、吸入剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、座剤、外用固形剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等が挙げられる。
【0027】
医薬組成物としては、服用のし易さ及び製造のし易さの観点から、固形製剤であるのが好ましい。特に、医薬組成物が固形製剤である場合には製造が極めて容易である一方で、一般的には、固形製剤は基本的に常温(15~25℃のいずれかの温度)で固体の成分を多く用いて製造することとなるため成分間の混合・分散が不均一となり易く、含量均一性の悪化が特に問題となり易い。しかるところ、本発明によれば、固形製剤の場合であっても、含量均一性が良好である、という優れた効果を有する。
固形製剤としては、経口投与用固形製剤が好ましく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤がより好ましく、錠剤が特に好ましい。また、固形製剤としては、成分(A)及び(B)を含む混合物を含有する固形製剤が好ましく、成分(A)~(C)を含む混合物を含有する固形製剤がより好ましい。
【0028】
本発明の医薬組成物には、その剤形に応じて、上記成分以外に製薬上許容される担体(製剤添加物)を加えてもよい。こうした製剤添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、可塑剤、フィルム形成剤、粉体、難水溶性高分子物質、抗酸化剤、矯味剤、甘味剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの製剤添加物としては、具体的には例えば、医薬品添加物辞典2016(株式会社薬事日報社発行)、Handbook of Pharmaceutical Excipients, Seventh Edition(Pharmaceutical Press社発行)等に収載されたものを用いればよい。
【0029】
賦形剤としては、具体的には例えば、ケイ酸アルミニウム、無水硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機系賦形剤;デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等)、果糖、カラメル、カンテン、キシリトール、パラフィン、ブドウ糖、プルラン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、クエン酸カルシウム等の有機系賦形剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら賦形剤の中では、軽質無水ケイ酸、マンニトールが好ましい。
【0030】
崩壊剤としては、具体的には例えば、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等のスーパー崩壊剤やカルメロース、カルメロースカルシウム、デンプン、ショ糖脂肪酸エステル、ゼラチン、デキストリン、デヒドロ酢酸及びその塩、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら崩壊剤の中では、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウムが好ましい。
【0031】
結合剤としては、具体的には例えば、牛脂硬化油、硬化油、水素添加植物油、ダイズ硬化油、カルナウバロウ、サラシミツロウ、ミツロウ、モクロウ等の油脂類の他、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等)、デキストリン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、ポビドン、ポリビニルアルコール、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら結合剤の中では、カルナウバロウ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEが好ましい。
【0032】
滑沢剤としては、具体的には例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら滑沢剤の中では、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウムが好ましい。
【0033】
可塑剤としては、具体的には例えば、クエン酸トリエチル、グリセリン、ゴマ油、ソルビトール、ヒマシ油、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル)等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら可塑剤の中では、クエン酸トリエチル、グリセリン、ソルビトールが好ましい。
【0034】
フィルム形成剤としては、具体的には例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸又はその塩;カラギーナン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;キサンタンガム;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等のヒドロキシアルキルセルロースフタレート;プルラン;ポリ酢酸ビニル;ポリ酢酸ビニルフタレート;ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらフィルム形成剤の中では、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースが好ましい。
【0035】
粉体としては、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、法定色素等の有機粉体又は無機粉体が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら粉体の中では、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、法定色素が好ましい。
【0036】
難水溶性高分子物質としては、具体的には例えば、カルボキシビニルポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
抗酸化剤としては、具体的には例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、天然ビタミンE、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
矯味剤としては、具体的には例えば、リモネン、ピネン、カンフェン、サイメン、シネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、メントール、テルピネオール、ロジノール、ボルネオール、イソボルネオール、メントン、カンフル、オイゲノール、シンゼイラノール等のテルペン;トウヒ油、オレンジ油、ハッカ油、樟脳白油、ユーカリ油、テレピン油、レモン油、ショウキョウ油、チョウジ油、ケイヒ油、ラベンダー油、ウイキョウ油、カミツレ油、シソ油、スペアミント油等のテルペンを含有する精油;アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びこれらの塩等の酸味剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0039】
また、本発明の医薬組成物としては、上記製薬上許容される担体の中でも、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、酸化チタン、クエン酸トリエチル、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸及びカルナウバロウよりなる群から選ばれる1種以上を含有するものが好ましい。
【0040】
本発明の医薬組成物は、その剤形に応じて公知の方法により製造することができる。
例えば、医薬組成物が固形製剤である場合には、粉砕、混合、造粒、乾燥、整粒、分級、充填、打錠、コーティング等の単位操作を適宜組み合わせることにより製造することができるが、その製造方法としては、成分(A)と成分(B)とを混合する工程を含む方法が好ましく、成分(A)~(C)を混合する工程を含む方法がより好ましい。
より具体的には例えば、医薬組成物の剤形が顆粒剤、散剤、丸剤等の粒状の製剤の場合、成分(A)、成分(B)に加えて、必要に応じて、成分(C)の他、賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の製剤添加物を用い、これらの成分を混合した後、押出造粒、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、噴霧造粒、溶融造粒、破砕造粒等の公知の造粒方法により造粒して造粒物を得、さらに必要に応じて分級、整粒等することで製造することができる。なお、得られた造粒物は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
また、医薬組成物の剤形が錠剤の場合、成分(A)、成分(B)に加えて、必要に応じて、成分(C)の他、賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の適当な製剤添加物を用い、これらの成分を混合して混合物を得、これを直接圧縮(打錠)すること(直接粉末圧縮法)や、上記の造粒物を必要に応じて分級、整粒等したあと圧縮(打錠)すること(半乾式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法など)により製造することができる。なお、得られた圧縮物(錠剤)は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
さらに、医薬組成物の剤形がカプセル剤の場合、上記の造粒物や圧縮物を、カプセルに充填すればよい。
【0041】
本発明の医薬組成物の適用疾患は何ら限定されず、現時点で公知の、又は将来的に見出される、ペマフィブラートの投与が有効であるとされる疾患の予防又は治療に広く用いることができる。
例えば、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は優れたPPARαアゴニスト活性を有し、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を有する。従って、本発明の医薬組成物は、好適には、脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)の予防及び/又は治療剤として、さらに好適には高トリグリセライド血症の予防及び/又は治療剤等として使用できる。
また、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の予防又は治療に有用である。従って、本発明の医薬組成物は、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))の予防及び/又は治療剤等としても使用できる。
さらに、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、原発性胆汁性肝硬変の治療剤等として使用してもよい。
【0042】
医薬組成物の服用経路は特に限定されず、適用する疾患、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、服用の容易性の観点から、経口投与が好ましい。また、医薬組成物は、1日につき1~4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができる。
【0043】
なお、本明細書は、これらに何ら限定されるものでは無いが、例えば以下の態様を開示する。
[1-1] 次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)二糖類;
を含有する、医薬組成物。
[1-2] 成分(B)が、ショ糖(スクロース)、ラクツロース、乳糖(ラクトース)、マルトース、トレハロース、セルビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ネオラクトース、ガラクトスクロース、シラビオース、ルチノース、ルチヌロース、ビシアノース、キシロビオース、プリメベロース及びスクラロース並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]記載の医薬組成物。
[1-3] 成分(B)が、ショ糖、乳糖、マルトース、トレハロース、パラチノース及びスクラロース並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]記載の医薬組成物。
[1-4] 成分(B)が、ショ糖、乳糖、トレハロース及びスクラロース並びにそれらの水和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]記載の医薬組成物。
[1-5] 成分(B)が、乳糖及びその水和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]記載の医薬組成物。
[1-6] さらに、成分(C):
(C)セルロース;
を含有する、[1-1]~[1-5]のいずれか記載の医薬組成物。
【0044】
[1-7] 脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[1-1]~[1-6]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-8] 固形製剤である、[1-1]~[1-7]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-9] 剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[1-1]~[1-8]のいずれか記載の医薬組成物。
【0045】
[2-1] (A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、次の成分(B):
(B)二糖類;
を含有せしめる工程を含む、医薬組成物中のペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量均一性の改善方法。
[2-2] 成分(B)が、ショ糖(スクロース)、ラクツロース、乳糖(ラクトース)、マルトース、トレハロース、セルビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ネオラクトース、ガラクトスクロース、シラビオース、ルチノース、ルチヌロース、ビシアノース、キシロビオース、プリメベロース及びスクラロース並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]記載の方法。
[2-3] 成分(B)が、ショ糖、乳糖、マルトース、トレハロース、パラチノース及びスクラロース並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]記載の方法。
[2-4] 成分(B)が、ショ糖、乳糖、トレハロース及びスクラロース並びにそれらの水和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]記載の方法。
[2-5] 成分(B)が、乳糖及びその水和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]記載の方法。
[2-6] さらに、成分(C):
(C)セルロース;
を含有せしめる工程を含む、[2-1]~[2-5]のいずれか記載の方法。
【0046】
[2-7] 医薬組成物が、脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[2-1]~[2-6]のいずれか記載の方法。
[2-8] 医薬組成物が固形製剤である、[2-1]~[2-7]のいずれか記載の方法。
[2-9] 医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[2-1]~[2-8]のいずれか記載の方法。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、以下の試験例において、HPLCを用いた測定は、カラムとしてODSカラムを、検出器として紫外吸光光度計をそれぞれ用いて行った。
また、以下の試験例において使用したペマフィブラートについて、第十七改正日本薬局方 レーザー回折法による粒子径測定法に従って一次粒子の平均粒子径を測定した結果、d50は100μm以下であり、d90は200μm以下であった。
【0048】
[試験例1]含量均一性評価試験
医薬組成物中のペマフィブラート含量の均一性を評価するため、以下の試験を実施した。
すなわち、表1記載の各成分の1錠当りの分量が、表1記載の分量(mg)となるように、錠剤を製造した。具体的な手順を以下に示す。
(実施例1)
ペマフィブラート、乳糖水和物、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルセルロースを5分間混合した後、精製水を加えて3分間練合し、造粒し、乾燥した後、整粒して造粒物を得た。得られた造粒物にステアリン酸マグネシウムを混合した後、打錠し、1錠当り120mgの錠剤10000錠を製造した。
(実施例2)
乳糖水和物の一部を結晶セルロースに置き換えたほかは実施例1と同様の方法により、1錠当り120mgの錠剤10000錠を製造した。
(比較例1)
乳糖水和物の全量を結晶セルロースに置き換えたほかは実施例1と同様の方法により、1錠当り120mgの錠剤10000錠を製造した。
【0049】
得られた各実施例又は比較例の錠剤についてそれぞれ無作為に10錠ずつ取り出し、1錠ずつ、錠剤中のペマフィブラート含量を以下の方法により測定した。
すなわち、錠剤1錠を水に入れて破砕し、その後アセトニトリルを加えて試料溶液を得た。得られた試料溶液をHPLC装置にて分析し、ペマフィブラート由来のピーク面積を測定した。そして、得られた試料溶液中のペマフィブラート由来のピーク面積を、濃度既知のペマフィブラートの標準液のピーク面積と比較することによって、錠剤1錠ごとのペマフィブラートの含量を測定した。
【0050】
得られた錠剤1錠ごとのペマフィブラートの含量の測定値から、第十七改正日本薬局方 含量均一性試験に準じ、錠剤中のペマフィブラート含量の相対標準偏差(RSD)(%)を算出し、錠剤中のペマフィブラート含量のばらつき(均一性の程度)の指標とした。
得られた結果を表1に示す。
【0051】
【0052】
表1記載の結果の通り、二糖類である乳糖水和物を含有せしめた場合(実施例1、2)は、二糖類を含有しない比較例1と比較して相対標準偏差がいずれも小さく、錠剤当たりのペマフィブラート含量の均一性が良好であることが明らかとなった。特に、乳糖水和物に加えて、さらに結晶セルロースを含有する実施例2は、相対標準偏差がより小さく、錠剤当たりのペマフィブラート含量の均一性が殊更良好であった。
【0053】
以上の試験結果から、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、二糖類を含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることが明らかとなった。
【0054】
[製造例1~3]
表2に記載の成分及び分量(mg)を1錠当りに含有する錠剤を、常法により湿式顆粒圧縮法にて製造できる。
【0055】
【0056】
[製造例4~6]
表3に記載の成分及び分量(mg)を1錠当りに含有する錠剤を、常法により直接粉末圧縮法にて製造できる。
【0057】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を示すペマフィブラートを含有し、均質性に優れる医薬組成物を提供できるため、例えば医薬品産業等において利用できる。