(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】内視鏡接続用の装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
A61B1/018 512
(21)【出願番号】P 2019556184
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 IB2018000488
(87)【国際公開番号】W WO2018197944
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-08
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ギャバリス,ロブ,モルス
(72)【発明者】
【氏名】カダムス,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,アン ミン
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0270640(US,A1)
【文献】特開2014-076096(JP,A)
【文献】特開2015-051122(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265313(US,A1)
【文献】特開2002-017665(JP,A)
【文献】特開2012-205671(JP,A)
【文献】特開平03-195547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを内視鏡に接続するための装置であって、
非円形フランジを有する内視鏡のポートと係合するように構成された多枝コネクタであって、
本体部分であって、前記本体部分を通って軸方向に延びる管腔と、外側ロックインターフェースとを有する本体部分、および
前記本体部分に接続された複数の尖叉であって、外側テーパ面を有し、半径方向に撓み可能であり、係合位置と係合解除位置との間で動作する複数の尖叉、を備え、
前記係合位置では、前記尖叉は、前記ポートと係合する、多枝コネクタと、
ロック位置とロック解除位置との間で動作するロックスリーブであって、
内側係合面、および
前記外側ロックインターフェースと係合するように構成された内側ロックインターフェースを備え、
前記ロック位置では、前記尖叉を前記係合位置に保ち、前記ロック解除位置では、前記尖叉を前記係合解除位置の状態にする、ロックスリーブと、
前記多枝コネクタと一体であるかまたは前記多枝コネクタの前記本体部分の前記管腔内に受容された回転防止キーと、を備える、
装置。
【請求項2】
前記ロックスリーブが前記ロック解除位置から前記ロック位置に移動すると、前記ロックスリーブの前記内側係合面が、前記尖叉の前記外側テーパ面と係合して前記尖叉を半径方向内側に撓ませて前記ポートと係合させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転防止キーが、前記回転防止キーを通る導管を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記回転防止キーが、前記本体部分の前記管腔の表面と共に、前記ポートの前記非円形フランジを受容するためのポケットを画定する2つの対向する突起をさらに備え、前記ポケットの内周が、前記非円形フランジの周縁部と実質的に一致する、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記非円形フランジが、少なくとも1つの突出部分を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ポートが、溝をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記尖叉が、傾斜面を有する内側隆起部をさらに備え、それにより前記尖叉が半径方向内側に撓むと、前記傾斜面が、前記ポートの前記溝を前記多枝コネクタに引き込み、前記溝の周りに締め付ける、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記尖叉が半径方向内側に撓むと、前記尖叉の内面が、前記ポートの外壁に押し付けられて摩擦嵌合を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記尖叉が、傾斜面を有する内側隆起部をさらに備え、それにより前記尖叉が半径方向内側に撓むと、前記傾斜面が、前記非円形フランジと係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記外側ロックインターフェースおよび前記内側ロックインターフェースが、相補的なねじ山を備え、前記ねじ山のピッチおよび/または数が、前記ロックスリーブが所定の角度回転することによって前記ロック位置と前記ロック解除位置との間で切り替わるように予め決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記所定の角度が、30°~330°の範囲である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記外側ロックインターフェースおよび前記ロックスリーブが、前記ロックスリーブを前記ロック位置または前記ロック解除位置に保つための戻り止め構成をさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記外側ロックインターフェースが、前記ロック位置およびロック解除位置に予め定められ、前記ロックスリーブの移動を前記ロック位置とロック解除位置との間の範囲内に制限するように構成された2つ以上のハードストップを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記本体部分の前記管腔内に少なくとも部分的に受容された中空導管をさらに備え、前記多枝コネクタが前記ポートと係合すると、前記中空導管が、前記ポート内に少なくとも部分的に受容される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記外側ロックインターフェースおよび前記内側ロックインターフェースが、2つの動作止め部を有する相補的な嵌合構造を備え、
前記ロックスリーブが、前記2つの動作止め部の間で前記多枝コネクタに沿ってスライドすることによって前記ロック位置とロック解除位置との間で切り替わる、
請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記嵌合構造が、前記ロックスリーブを前記ロック位置または前記ロック解除位置に保つための戻り止め構成を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記多枝コネクタが前記ポートと係合したときに前記ポートによって圧縮されるように構成された圧縮性シールをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ロックスリーブが、前記ロックスリーブを前記ロック位置と前記ロック解除位置との間で切り替えるためのハンドルをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
デバイスを内視鏡に接続するための装置を備える内視鏡システムであって、前記装置は、
非円形フランジを有する内視鏡のポートと係合する多枝コネクタであって、
本体部分であって、前記本体部分を通って軸方向に延びる管腔と、外側ロックインターフェースとを有する本体部分、および
前記本体部分に接続された複数の尖叉であって、外側テーパ面を有し、半径方向に撓み可能であり、係合位置と係合解除位置との間で動作する複数の尖叉、を備え、
前記係合位置では、前記尖叉は、前記ポートと係合する、多枝コネクタと、
ロック位置とロック解除位置との間で動作するロックスリーブであって、
内側係合面、および
前記外側ロックインターフェースと係合するように構成された内側ロックインターフェースを備え、
前記ロック位置では、前記尖叉を前記係合位置に保ち、前記ロック解除位置では、前記尖叉を前記係合解除位置の状態にする、ロックスリーブと、
前記多枝コネクタと一体であるかまたは前記多枝コネクタの前記本体部分の前記管腔内に受容された回転防止キーと、を備える
システム。
【請求項20】
非円形フランジを有するポートと係合するためのコネクタであって、
非円形フランジを有するポートと係合する多枝コネクタであって、
本体部分であって、前記本体部分を通って軸方向に延びる管腔と、外側ロックインターフェースとを有する本体部分、および
前記本体部分に接続された複数の尖叉であって、外側テーパ面を有し、半径方向に撓み可能であり、係合位置と係合解除位置との間で動作する複数の尖叉を、備え、
前記係合位置では、前記尖叉は、前記ポートと係合する、多枝コネクタと、
ロック位置とロック解除位置との間で動作するロックスリーブであって、
内側係合面、および
前記外側ロックインターフェースと係合するように構成された内側ロックインターフェースを備え、
前記ロック位置では、前記尖叉を前記係合位置に保ち、前記ロック解除位置では、前記尖叉を前記係合解除位置の状態にする、ロックスリーブと、
前記多枝コネクタと一体であるかまたは前記多枝コネクタの前記本体部分の前記管腔内に受容された回転防止キーと、を備える、
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年4月28日に出願された米国特許出願第15/581,049号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、内視鏡システムおよび使用の方法に関する。より具体的には、限定はしないが、開示される実施形態は、内視鏡の付属品ポートにデバイスを接続または装着するための装置、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡処置は、膵胆管疾患および胃腸疾患を診断または治療するために広く実行されている。内視鏡は、典型的には、作業または生検チャネルなどの1つまたは複数の可撓性の細長いチャネルと、生検ポートなどの1つまたは複数の付属品ポートとを有する。可撓性の細長いチャネルは、内視鏡の長さに沿って延び、診断および/または治療処置を実行するための付属品およびデバイスの患者への通路を可能にする。生検ポートは、内視鏡の近位端付近に設けられる。典型的には、デバイスは、生検ポートに取り付けられるかまたはそれを通過し、次いで内視鏡の作業チャネルに挿入されて患者の所望の治療部位に接近するかまたは達する。多くの内視鏡診断または治療処置のために、デバイスの遠位端を内視鏡の遠位端または所望の治療部位に対して特定の位置および/または配向に正確に位置決めおよび/または維持することが望ましい。
【0004】
内視鏡の多くの生検ポートは、ルアーポートであり、生検ポートへのデバイスの取り付けは、典型的には、ルアーロック型接続による。ルアーロック型接続は、例えば、約50psi未満の圧力を有する圧力ベースの用途において、小規模の流体および圧力ベースの接続において一般的に使用されている。しかしながら、そのような接続は、トルク、軸力、および/または軸外モーメント力がデバイスに加えられたときに緩むかまたはぐらつく傾向がある。加えて、多くのデバイスは、内視鏡の細長いチャネルを通って延びる長いシャフトを有する。医師がそのようなデバイスを回転させてそのデバイスを生検ポートに接続するか、またはデバイスの遠位端を配置または配向すると、デバイスのシャフトに回転トルクが蓄積され得る。シャフトに蓄積されたトルクは、ルアーロック型接続を反対方向に緩めるように作用し得る。
【0005】
ルアーロック型接続の緩みは、接続不良、生検ポートでの流体漏れ、所望の治療部位からのデバイスの遠位端の変位、および/または生検ポートからのデバイスの接続解除をもたらす可能性があり、望ましくない。ルアーロック型接続の緩みまたは失敗の可能性は、デバイスの安定性および安全性ならびにデバイスの遠位端の位置および/または配向を維持するために、デバイスの生検点への接続の頻繁な確認および調整という負担を医師にかける。加えて、接続の緩みの可能性があるため、医師がデバイスの遠位端を制御することがより困難になる。
【0006】
したがって、付属品およびデバイスを内視鏡の生検ポートにしっかりと接続することを可能にする、改善された装置またはシステムが必要とされている。そのような装置またはシステムは、医師が内視鏡処置を実行するのにかかる時間を短縮し、処置の有効性を高めることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の実施形態は、内視鏡の生検ポートにデバイスを接続するための装置、システム、および方法を含む。有利には、例示的な実施形態は、内視鏡処置の効率および有効性を改善する目的で、生検ポートへのデバイスの安定した固着接続を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の例示的な実施形態によれば、デバイスを内視鏡に接続するための装置が説明される。装置は、多枝コネクタと、ロックスリーブと、回転防止キーとを含む。多枝コネクタは、非円形フランジを有する内視鏡のポートと係合するように構成される。多枝コネクタは、本体部分と、本体部分に接続された複数の尖叉とを含む。本体部分は、本体部分を通って軸方向に延びる管腔と、外側ロックインターフェースとを有する。尖叉は、半径方向に撓み可能であり、外側テーパ面を有し、係合位置と係合解除位置との間で動作するように構成され、係合位置では、尖叉は、ポートと係合する。ロックスリーブは、ロック位置とロック解除位置との間で動作する。ロックスリーブは、内側係合面と、外側ロックインターフェースと係合するように構成された内側ロックインターフェースとを含む。ロック位置では、ロックスリーブは、尖叉を係合位置に保ち、ロック解除位置では、ロックスリーブは、尖叉を係合解除位置の状態にする。回転防止キーは、多枝コネクタと一体であるかまたは多枝コネクタの本体部分の管腔内に受容される。
【0009】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、デバイスを内視鏡に接続するための装置を有する内視鏡システムが説明される。装置は、多枝コネクタと、ロックスリーブと、回転防止キーとを含む。多枝コネクタは、非円形フランジを有する内視鏡のポートと係合するように構成される。多枝コネクタは、本体部分と、本体部分に接続された複数の尖叉とを含む。本体部分は、本体部分を通って軸方向に延びる管腔と、外側ロックインターフェースとを有する。尖叉は、半径方向に撓み可能であり、外側テーパ面を有し、係合位置と係合解除位置との間で動作するように構成され、係合位置では、尖叉は、ポートと係合する。ロックスリーブは、ロック位置とロック解除位置との間で動作する。ロックスリーブは、内側係合面と、外側ロックインターフェースと係合するように構成された内側ロックインターフェースとを含む。ロック位置では、ロックスリーブは、尖叉を係合位置に保ち、ロック解除位置では、ロックスリーブは、尖叉を係合解除位置の状態にする。回転防止キーは、多枝コネクタと一体であるかまたは多枝コネクタの本体部分の管腔内に受容される。
【0010】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態によれば、非円形フランジを有するポートと係合するためのコネクタが説明される。コネクタは、多枝コネクタと、ロックスリーブと、回転防止キーとを含む。多枝コネクタは、非円形フランジを有する内視鏡のポートと係合するように構成される。多枝コネクタは、本体部分と、本体部分に接続された複数の尖叉とを含む。本体部分は、本体部分を通って軸方向に延びる管腔と、外側ロックインターフェースとを有する。尖叉は、半径方向に撓み可能であり、外側テーパ面を有し、係合位置と係合解除位置との間で動作するように構成され、係合位置では、尖叉は、ポートと係合する。ロックスリーブは、ロック位置とロック解除位置との間で動作する。ロックスリーブは、内側係合面と、外側ロックインターフェースと係合するように構成された内側ロックインターフェースとを含む。ロック位置では、ロックスリーブは、尖叉を係合位置に保ち、ロック解除位置では、ロックスリーブは、尖叉を係合解除位置の状態にする。回転防止キーは、多枝コネクタと一体であるかまたは多枝コネクタの本体部分の管腔内に受容される。
【0011】
開示される実施形態のさらなる特徴および利点は、以下の説明に部分的に記載され、部分的にその説明から明らかになり、または開示される実施形態の実施によって習得され得る。開示される実施形態の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せによって実現され達成されるであろう。
【0012】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は例および説明にすぎず、特許請求の範囲に記載の開示される実施形態を限定するものではないことを理解されたい。
【0013】
添付の図面は、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示のいくつかの実施形態を示しており、その説明と共に、添付の特許請求の範囲に記載の開示される実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施形態による、デバイスを内視鏡の例示的なポートに接続するための例示的な装置の斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1の例示的な装置の構成要素図である。
【
図3】本開示の実施形態による、内視鏡の例示的なポートの拡大斜視図である。
【
図4A】本開示の実施形態による、ロック解除位置にある内視鏡の例示的なポートに接続された、
図1の例示的な装置の斜視図である。
【
図4B】本開示の実施形態による、ロック位置にある内視鏡の例示的なポートに接続された、
図1の例示的な装置の斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図1の例示的な装置の例示的な構成要素の拡大図である。
【
図6】本開示の実施形態による、
図1の例示的な装置の部分斜視図である。
【
図7】本開示の実施形態による、
図1の例示的な装置の底面図である。
【
図8】本開示の実施形態による、
図1の例示的な装置の例示的な戻り止め構成の平行断面図である。
【
図9】本開示の実施形態による、
図1の例示的な装置の別の例示的な戻り止め構成の部分斜視図である。
【
図10】本開示の実施形態による、
図9の例示的な戻り止め構成の平行断面図である。
【
図11】本開示の実施形態による、ロック解除位置にある
図3の例示的なポートに接続された
図1の例示的な装置の垂直断面図である。
【
図12】本開示の実施形態による、ロック位置にある
図3の例示的なポートに接続された
図1の例示的な装置の垂直断面図である。
【
図13】本開示の実施形態による、デバイスを内視鏡の例示的なポートに接続するための別の例示的な装置の部分斜視図である。
【
図14】本開示の実施形態による、
図13の例示的な装置の底面図である。
【
図15】本開示の実施形態による、内視鏡の別の例示的なポートに接続される
図13の例示的な装置の部分斜視図である。
【
図16】本開示の実施形態による、
図15の例示的なポートに接続された
図13の例示的な装置の垂直断面図である。
【
図17】デバイスを内視鏡の例示的なポートに接続するための別の例示的な装置の部分斜視図である。
【
図18】本開示の実施形態による、
図3の例示的なポートに接続された
図17の例示的な装置の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
開示される実施形態は、内視鏡の生検ポートへのデバイスの効率的かつ効果的な接続のためのシステム、装置、および方法に関する。本開示の実施形態は、胃腸系、呼吸器系、腎臓系、生殖器系などの中の1つまたは複数の所望の治療部位に対して適切な診断および/または治療操作を実行するための内視鏡システムにおいて実施することができる。有利には、本開示の実施形態は、内視鏡の生検ポートへのデバイスの安定した確実な接続を可能にし、医師が接続を確認および/または調整することよりも内視鏡処置に集中することを可能にし、それによって内視鏡処置の効率および有効性を改善する。
【0016】
本明細書に記載のように、内視鏡は、典型的には、遠位端と、近位端とを含み、遠位端と近位端との間に延びる内部作業チャネルを有する。遠位端は、内視鏡処置中に患者の体内の治療部位に近い内視鏡の端を指すことができる。近位端は、医師または開業医に近い内視鏡の端を指すことができる。デバイスは、典型的には、デバイスの遠位端が所望の治療部位に接近するか達するまで、内視鏡の近位端に設けられた生検ポートを通して内視鏡の作業チャネルに導入される。
【0017】
本開示の一態様によれば、デバイスを内視鏡のポートに接続するための装置が説明される。内視鏡のポートは、デバイスを内視鏡の作業チャネルに挿入することを可能にする内視鏡の近位端に設けられた生検ポートである。装置は、内視鏡の作業チャネル内に挿入されるデバイスの一体構成要素であってもよく、または装置に取り外し可能にまたは固定的に接続されてもよい。有利には、装置とポートとの係合は、デバイスをポートにしっかりと接続し、内視鏡処置中にデバイスの遠位端を所望の位置および/または所望の配向に維持することを可能にする。
【0018】
いくつかの実施形態では、内視鏡の生検ポートは、ポートの頂部の周りに円周方向に形成されたフランジを含む。例えば、ポートは、両側に2つの突出部分を有する非円形フランジを有する雌型ルアーポートであり得る。ポートはまた、フランジの頂部に円形リップを含んでもよい。ポートは、底部に内視鏡に接続するための溝をさらに含み得る。装置は、ポートにしっかりと接続するために、ポートのフランジおよび/または溝と係合することができる。
【0019】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、デバイスを内視鏡のポートに接続する装置は、ポートと係合するように構成された多枝コネクタを含む。多枝コネクタは、内視鏡のポートのフランジおよび/または溝と係合することができる。例えば、多枝コネクタは、本体部分と、本体部分に接続された複数の尖叉とを含む。多枝コネクタの本体部分は、デバイスを受容するために本体部分を通って軸方向に延びる管腔を有する。尖叉は、半径方向内側または外側に撓むことが可能であり、係合位置と係合解除位置との間で動作する。係合位置では、尖叉は、ポートと係合し、デバイスをポートにしっかりと接続する。係合解除位置では、尖叉は、ポートから係合解除される。
【0020】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、装置は、ロック位置とロック解除位置との間で動作して尖叉を係合位置と係合解除位置との間で切り替えるロックスリーブをさらに含む。ロックスリーブは、内側ロックインターフェースを含み得る。内側ロックインターフェースは、多枝コネクタの本体部分の外側ロックインターフェースと噛み合うように構成され、ロックスリーブがロック位置とロック解除位置との間で切り替わることを可能にする。
【0021】
ロックスリーブは、内側係合面をさらに含み得る。多枝コネクタの尖叉は各々、外側テーパ面を有することができる。ロックスリーブがロック解除位置からロック位置に切り替わると、ロックスリーブの内側係合面は、尖叉の外側テーパ面と係合し、尖叉が半径方向内側に撓んでポートと係合することを可能にする。ロックスリーブがロック位置からロック解除位置に切り替わると、ロックスリーブの内側係合面は、尖叉の外側テーパ面から係合解除され、尖叉が半径方向外側に撓んでポートから係合解除される。
【0022】
いくつかの実施形態では、尖叉が半径方向内側に撓むと、多枝コネクタの尖叉の内面は、ポートの外壁に押し付けられて摩擦嵌合を形成することがある。追加的または代替的に、ポートが底部に溝を有するとき、尖叉は、溝と係合して溝上にクランプされて固着接続を形成してもよい。例えば、多枝コネクタの尖叉は、傾斜面を有する内側隆起部を含み得る。ロックスリーブがロック解除位置からロック位置に切り替わると、尖叉は、半径方向内側に撓み、尖叉の内側隆起部をポートの溝と係合させて多枝コネクタの中に引き込み、溝の周りをさらに締め付ける。尖叉とポートの溝との係合は、装置を内視鏡のポート上にしっかりとロックすることを可能にする。
【0023】
有利には、ロックスリーブは、ロック位置とロック解除位置との間でバイナリ切り替えを実行することが可能であり、デバイスを内視鏡に接続する効率および有効性を改善する。切り替えのバイナリ性により、ロック位置またはロック解除位置に達したかどうか/いつ達するかについての不確実性が解消される。いくつかの実施形態では、ロックスリーブはまた、ロックスリーブの現在位置を示す視覚的合図を提供し得る。視覚的合図は、医師がデバイスの接続を迅速に固着することを可能にし、それによってデバイスの望ましくない変位の可能性を減らし、内視鏡処置の効果を改善する。
【0024】
本開示の例示的な実施形態によれば、装置は、装置が内視鏡のポートの周りを回転するのを防止するように構成された回転防止キーをさらに含む。回転防止キーは、多枝コネクタの一体部分であってもよく、または多枝コネクタの本体部分内にしっかりと嵌合されてもよい。例えば、回転防止キーは、摩擦嵌合、スナップ嵌合などを介して多枝コネクタの本体部分の管腔内に受容されてもよい。回転防止キーは、細長い形状および回転防止キーを通る導管を有し、デバイスからポートへの通路を提供し得る。回転防止キーは、本体部分の管腔の表面と共に、ポートのフランジを受容するためのポケットを画定する2つの対向する突起をさらに含み得る。この回転防止キーは、医師が片手を使用してデバイスをしっかりと接続または切断し、デバイスまたは内視鏡を保つまたは安定させるために他方の手を自由にすることを可能にする。これにより、デバイスの接続中または切断中にデバイスが損傷したりねじれたりする可能性が低くなる。
【0025】
ポートのフランジを受容するためのポケットは、ポートのフランジの周縁部と実質的に一致する内周を有することができる。いくつかの実施形態では、装置のポートとの係合は、ポートの非円形フランジがポケットと位置合わせするかまたはポケットに嵌合するときにのみ達成することができる。有利には、この位置合わせまたは嵌合は、ポートに接続されるデバイスの所望の配向をもたらし、医師が片手を使用して都合よくデバイスを所望の配向に接続およびロックすることを可能にする。回転防止キーの位置合わせまたは嵌合は、ポート周りの装置およびデバイスの潜在的な回転に対する抵抗をさらに提供し、それによってデバイスのシャフトに形成される回転トルクを有利に低減し、したがってデバイスの接続の緩みを防止する。
【0026】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、装置は、圧縮性シールを含む。圧縮性シールは、回転防止キーおよび本体部分の管腔の表面によって形成されたポケットに配置および/または嵌合する。多枝コネクタがポートと係合すると、圧縮性シールは、ポートのリップおよび/またはフランジなどによってポートによって圧縮され、それによってポートの周りに液密シールを形成する。圧縮されると、圧縮性シールは、ポートと摩擦係合することもあり、それによってポートに接続されるデバイスの回転をさらに防止する。
【0027】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、装置は、中空導管を含む。中空導管は、多枝コネクタの本体部分の管腔内に少なくとも部分的に受容されて嵌合する。多枝コネクタがポートと係合すると、中空導管は、ポート内に少なくとも部分的に受容され、デバイスがポートおよび内視鏡の作業チャネルに挿入されるための通路を提供する。有利には、中空導管は、装置とポートとの接続のためのガイドを提供し、デバイスを軸外モーメントに対して安定させ、かつ/またはデバイスのねじれもしくは損傷を防止する。
【0028】
ここで、本開示の実施形態および態様を詳細に参照するが、それらの例は添付の図面に示されている。可能な場合には、同じ参照番号が同じまたは同様の部分を指すために図面全体を通して使用される。
【0029】
図1は、デバイス(図示せず)を例示的な内視鏡200(部分的に図示)に接続または装着するための例示的な装置100の斜視図である。
図2は、装置100の構成要素図である。
図1および
図2に示すように、装置100は、内視鏡200の例示的なポート220に接続するように構成される。ポート220は、内視鏡200の作業チャネル210へのデバイスアクセスを提供する生検ポートであり得る。接続されるデバイスは、適切な内視鏡処置を実行するために望ましくは選択され得る。本明細書に記載のように、装置100は、デバイスの一体構成要素であり得るか、または任意の適切な種類の接続を介してデバイスに接続し得る。装置100がポート220にしっかりと接続されると、デバイスまたはデバイスのシャフトは、ポート220を通って作業チャネル210内に延びることができる。ポート220は通常、使用前に生検ポートキャップによって閉じられ得る。
【0030】
装置100は、効率的かつ効果的な方式で所望のデバイスのポート220への固着接続を可能にする複数の構成要素を含むことができる。
図2に示すように、装置100は、多枝コネクタ120と、ロックスリーブ140と、回転防止キー160とを含み得る。多枝コネクタ120は、コネクタを通って延びる管腔(図示せず)を含み、所望のデバイスのための通路を提供する。多枝コネクタ120は、ロックスリーブ140の位置に基づいてポート220と係合または係合解除するように構成される。ロックスリーブ140は、多枝コネクタ120の係合を作動させ、多枝コネクタ120を係合位置または係合解除位置にロックするように構成される。
【0031】
回転防止キー160は、ポート220に接続するときに装置100を配向し、接続中および接続後に装置100がポート220の周りを回転するのを防止するように構成される。回転防止キー160は、多枝コネクタ120の一体部分であってもよく、または多枝コネクタ120に成形されるか、もしくは摩擦嵌合、スナップ嵌合などを介して多枝コネクタ120内にしっかりと嵌合してもよい。回転防止キー160は、細長い形状および回転防止キー160を通る導管(図示せず)を有し、デバイスからポート220への通路を提供する。装置100が回転するのを防止するために、回転防止キー160は、その長さの少なくとも一部分にわたって延びる非円形部分を含み得る。
【0032】
例えば、
図2に示すように、回転防止キー160は、一対の突起162を有することができる。回転防止キー160が多枝コネクタ120内に受容されると、突起162および多枝コネクタ120の内面は、ポート220のフランジに相補的な非円形ポケット(
図7に示すポケット166)を画定する。ポート220のフランジが非円形形状を有するとき、非円形ポケットは、装置100および装置100に接続されたデバイスがポート220に対して回転するのを防止する。したがって、回転防止キー160は、デバイスでの回転トルクの形成および/または蓄積をさらに低減し、デバイスのポート220への接続が緩むのを防止する。回転力による撓みまたは変形を防止するために、回転防止キー160は、硬質プラスチックまたは金属などの硬質材料で作られる。
【0033】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、装置100は、ハンドル110をさらに含み得る。ハンドル110は、少なくとも1つのセグメントと、ポート220に接続されるデバイスを受容するためにセグメントを通って軸方向に延びる管腔(図示せず)とを含み得る。ハンドル110の管腔は、デバイスが装置100を通ってポート220に挿入され得るように多枝コネクタ120の管腔と位置合わせする。本明細書に記載のように、ハンドル110は、任意の適切な接続機構を介して多枝コネクタ120に接続することができる。例えば、ハンドル110は、多枝コネクタ120に固定的に、スライド可能に、および/または取り外し可能に接続されてもよい。
【0034】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、装置100は、シール170をさらに含み得る。シール170は、圧縮性材料で作られ、多枝コネクタ120内に配置されるように大きさおよび形状が決められてもよい。チャネル172がシール170を通して設けられ、多枝コネクタ120を通って延びる管腔(図示せず)と接続され、ポート220および作業チャネル210へのデバイスアクセスを提供する。シール170は、多枝コネクタ120がポート220と係合するとポート220によって圧縮され、それによってポート220に対して液密シールを形成するので流体が作業チャネル210から漏れることがなく、または必要に応じて作業チャネル210内の真空が維持され得る。ポート220に対して圧縮されると、シール170はまた、ポート220と摩擦係合し得、それによってポート220の周りの装置100の回転を防止する。
【0035】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、装置100は、中空導管180をさらに含み得る。中空導管180は、回転防止キー160内に嵌合し、多枝コネクタ120を通って延びる管腔(図示せず)と接続されて作業チャネル210へのデバイスアクセスを提供することができる。中空導管180は、硬質の頑丈なプラスチックまたは金属などの硬質材料で作られるので、中空導管180を通過するデバイスがポート220への接続中または内視鏡処置での使用中に損傷またはねじれることが防止される。本明細書に記載のように、中空導管180は、細長い形状および任意の適切な断面形状を有し得る。例えば、中空導管180は、円形または非円形断面を有する細長い管であり得る。
【0036】
図3は、内視鏡200の例示的なポート220の拡大斜視図である。
図3に示すように、ポート220は、フランジ222を含み得る。フランジ222は、非円形形状を有してもよい。例えば、フランジ222は、互いに対向する2つの突出部分222aと、2つの平坦面222bとを有してもよい。フランジ222は、頂部に円形リップ226をさらに含み得る。非円形フランジ222は、多枝コネクタ120が所望の配向でポート220に位置合わせされている場合にのみ、多枝コネクタ120に受容または嵌合することが可能であり得る。有利には、この必要な位置合わせは、誤った配向での装置100の不注意による接続を防止し、および/または接続後に装置100がポート220の周りを回転するのを防止する。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポート220は、溝224をさらに含み得る。尖叉130は、装置100がポート220に取り付けられると溝224を囲むことができる。尖叉130がロックスリーブ140によって半径方向内側に撓むと、尖叉130は、溝224と係合し、溝224の周りに締め付けられて溝224上にクランプされ得る。他の実施形態では、ポート220は、溝224を有さなくてもよい。そのような場合、尖叉130がロックスリーブ140によって半径方向内側に撓むと、尖叉130は、ポート220の外面の周りに締め付けられ、
図13~
図16を参照して以下でさらに説明されるようにポート220の周りに摩擦嵌合を形成し得る。
【0038】
装置100の構成要素の例示的な構造および装置100をポート220にしっかりと接続するための例示的な機構の詳細は、以下でさらに説明される。
【0039】
図4Aおよび
図4Bは、内視鏡200のポート220(図示せず)への装置100の例示的な実施形態の接続を示す。
図4Aおよび
図4Bに示すように、ロックデバイス140は、
図4Aに示すようにロック解除位置と、
図4Bに示すようにロック位置との2つの位置で動作する。ロックデバイス140がロック位置にあるとき、多枝コネクタ120は、ポート220としっかりと係合して係合位置にロックされる。ロックデバイス140がロック解除位置にあるとき、多枝コネクタ120は、ポート220から係合解除される。切り替えのバイナリ性により、ロック位置またはロック解除位置に達したかどうか/いつ達するかについての不確実性が解消される。これにより、デバイスの接続、切断、および/または使用中にデバイスが損傷したりねじれたりする可能性が低くなり、それによって内視鏡処置の効率および有効性を改善する。ロックスリーブ140のバイナリ動作を達成するための装置100の例示的な構造および作業機構は、
図8~
図10を参照して以下でさらに説明される。
【0040】
図5は、装置100の例示的な構成要素の拡大図である。
図6は、装置100の部分斜視図であり、
図7は、装置100の底面図である。
図5~
図7に示すように、多枝コネクタ120は、本体部分124と、ポート220と係合するための複数の尖叉130とを含む。本体部分124は、外側ロックインターフェース128と、デバイスを受容するために本体部分124を通って軸方向に延びる管腔(図示せず)とを含む。尖叉130は、等間隔で半径方向に離間してもよい。偶数の尖叉130があるとき、尖叉130は、互いに対向する1つまたは複数の対で配置され得る。ポート220と係合するために、ロックスリーブ140をロック解除位置からロック位置に切り替えることによって、尖叉130を作動させて半径方向内側に撓ませてもよい。ポート220と係合解除するために、ロックスリーブ140をロック位置からロック解除位置に切り替えることによって、尖叉130を解放して半径方向外側に撓ませてもよい。
【0041】
ロックスリーブ140は、尖叉130を作動させてポート220と係合するための内側係合面150を含む。内側係合面150は、尖叉130の外側テーパ面132と一致するかそれに乗る、通常円筒形の内面または円錐形の内面であり得る。ロックスリーブ140が多枝コネクタ120に沿って尖叉130に向かって軸方向に移動されると、内側係合面150は、外側テーパ面132を圧迫し、尖叉130を半径方向内側に撓ませる。尖叉130のそのような内側への撓みは、尖叉130をポート220の周りに締め付けてポート220上にクランプする。
【0042】
ロックスリーブ140は、多枝コネクタ120の外側ロックインターフェース128と噛み合うための内側ロックインターフェース(
図11に示すような内側ロックインターフェース148)をさらに含む。
図5~
図7に示すように、ロックスリーブ140と多枝コネクタ120との噛み合いは、ロック位置とロック解除位置との間でロックスリーブ140を切り替えるために(
図17および
図18に示すように)ねじ機構またはスナップ嵌合機構を使用することができ、これはまた、尖叉130を係合位置または係合解除位置に切り替える。例えば、ロックスリーブ140は、多枝コネクタ120に対してロックスリーブ140を時計方向または反時計方向に回転させることによって軸方向に移動させることができる。尖叉130を作動させてポート220と係合するためのロックスリーブ140の軸方向移動の所望の範囲は、ロックスリーブ140をロック解除位置からロック位置に回転させることによって達成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、外側ロックインターフェース128は、ロックスリーブ140の相補的なねじ山と噛み合うための多芯ねじ山を含み得る。多芯ねじ山は、ロックスリーブ140の所望の範囲の軸方向移動が時計方向または反時計方向へのロックスリーブ140の部分回転によって達成され得るように、所定の数および/またはピッチのねじ山を有し得る。いくつかの実施形態では、外側ロックインターフェース128の多芯ねじ山の数および/またはピッチは、医師が依然として所望の軸方向移動および適切な摩擦ねじ係合を達成しながら直観的および/または都合のよいロックスリーブ140の回転によってロックスリーブ140の切り替えを達成することができるように予め決定される。例えば、ロックスリーブ140は、45°、60°、90°、または120°など、30°~330°の範囲の所定の角度回転し、尖叉130を作動させてポート220と係合するための所望の軸方向移動および尖叉130を係合位置にロックするための適切な摩擦ねじ係合を達成することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、
図5~
図7に示すように、ロックスリーブ140は、ロックスリーブ140をロック位置とロック解除位置との間で切り替えるための片手制御ハンドル144をさらに含む。ハンドル144により、医師は、片手を使用してロックスリーブ140を操作することができ、したがって尖叉130をポート220と係合させることができる。医師は、デバイスまたは内視鏡を保つ、制御する、または安定させるために他方の手を使用することができ、それによって内視鏡処置の効率および/または有効性を改善する。ハンドル144はまた、ロックスリーブ140の現在位置を医師に示す視覚的合図を提供し得る。有利には、この視覚的合図は、医師がポート220への装置100およびデバイスの接続を迅速に固着することを可能にし、それによってデバイスの望ましくない変位の可能性を減らし、内視鏡処置の効果を改善する。
【0045】
いくつかの実施形態では、
図2および
図7に示すように、回転防止キー160は、ポート220へのデバイスへの通路を提供するためにその長さにわたって延びる一対の突起162および導管164を有する。
図7に示すように、回転防止キー160が多枝コネクタ120内に受容されると、対向する突起162および多枝コネクタ120の内面は、ポート220のフランジの周縁部と一致する非円形ポケット166を画定する。有利には、ポート220のフランジが非円形周縁部を有するとき、非円形のポケット166は、装置100の回転、したがってポート220に対する装置100に接続されたデバイスの回転を防止する。
【0046】
装置100は、ロックスリーブ140をロック位置またはロック解除位置に保つように構成された戻り止め構成をさらに含む。戻り止め構成は、多枝コネクタ120およびロックスリーブ140に設けられた任意の適切な機械的構造によって提供されてもよい。有利には、戻り止め構成は、ロック位置とロック解除位置との間でのロックスリーブ140のバイナリ動作を画定し、内視鏡処置中のデバイスの接続の効率および有効性を改善する。
【0047】
図8は、装置100の平行断面図である。
図8に示すように、いくつかの実施形態では、装置100は、ボール戻り止め構成を含む。例えば、ロックスリーブ140は、ばね荷重ボール142と、穿孔シリンダ146とを含む。ばね荷重ボール142は、ばねの圧力に対してスライドすることが可能である。多枝コネクタ120は、2つの凹部126aおよび126bを有する戻り止め126を含む。ばね荷重ボール142が凹部126aと位置合わせされると、ばね荷重ボール142は、ばねの圧力下で凹部の中に部分的に落ち、ロックスリーブ140をロック解除位置に保つ。例えば、ハンドル144を加圧してロックスリーブ140を回転させるなど、追加の力がロックスリーブ140に加えられると、ばね荷重ボール142を穿孔シリンダ146に押し戻すことができる。これにより、ばねがさらに圧縮され、ばね荷重ボール142を凹部126bに向けて移動させて位置合わせされ、それによってロックスリーブ140をロック位置に移動させることが可能になる。
【0048】
いくつかの実施形態では、
図8に示すように、多枝コネクタ120は、ロックスリーブ140の移動をロック位置とロック解除位置との間の範囲内に制限するための2つのハードストップ122aおよび122bをさらに含む。有利には、戻り止め構成および/またはハードストップ122aおよび122bは、ロックスリーブ140がロック位置またはロック解除位置を越えて回転するのを防止し、したがって装置100に接続されたデバイスのシャフトにおける回転トルクの累積をさらに低減または防止し得る。したがって、戻り止め構成および/またはハードストップは、ポート220から装置100と装置100に接続されたデバイスとの接続が緩むのをさらに防止することができる。加えて、ロックスリーブ140の位置をロック位置またはロック解除位置のいずれかに保つことによって、戻り止め構成および/またはハードストップは、ロックスリーブ140が所望の位置に達したかどうかに関する曖昧さを防止する。
【0049】
図9は、装置100の別の例示的な戻り止め構成の部分斜視図である。
図10は、
図10の例示的な戻り止め構成の平行断面図である。
図9および
図10に示すように、いくつかの実施形態では、装置100の戻り止め構成は、ロックスリーブ140の1つまたは複数の一体戻り止め撓み部152によって提供される。多枝コネクタ120は、戻り止め撓み部152を捕捉するための1つまたは複数の戻り止め126を含む。
図10に示すように、戻り止め126は各々、垂直開口部126cと、角度付き開口部126dとを有することができる。垂直開口部126cは、戻り止め撓み部152を捕捉するように構成され、ハードストップとして動作し、例えば、ロックスリーブ140が反時計方向に回転するのを防止する。角度付き開口部126dは、戻り止め撓み部152を捕捉するように構成されるが、戻り止め撓み部152がロックスリーブ140を時計方向に移動させることによって外向きに移動することを可能にする。例えば、ロック解除位置でロックスリーブ140に追加の力、例えば、ロックスリーブ140を時計方向に回転させるためのハンドル144への圧力を加えると、戻り止め撓み部152は、ロック解除位置に対応する第1の戻り止め126の角度付き開口部126dから押し出すことができ、それによってロックスリーブ140をロック位置に向かって移動させることができる。同様に、追加の力がロック位置にあるロックスリーブ140に時計方向に加えられると、戻り止め撓み部152は、ロック位置に対応する第2の戻り止め126の角度付き開口部126dから押し出すことができ、それによってロックスリーブ140をロック解除位置に向かって移動させることができる。
【0050】
図9および
図10に示すように、装置100は、ロックスリーブ140をロック解除位置またはロック位置に保つために、1つまたは複数の対の戻り止め126および戻り止め撓み部152を含むことができる。例えば、ロックスリーブ140を時計方向に連続的かつ部分的に回転させると、ロックスリーブ140をロック解除位置からロック位置に切り替え、その後再びロック解除位置に切り替えることができる。
図9および
図10に示すように、ロックスリーブ140によるロック解除位置からロック位置への、およびその逆の部分回転の角度は、θで表される。上述のように、多枝コネクタ120の多芯ねじ山は、ロックスリーブ140の部分回転がロックスリーブ140の所望の範囲の軸方向移動を達成することができるように所定の数および/またはピッチのねじ山を有することができる。そのような場合、θは、30°~330°の範囲であり得る。
【0051】
上述のように、ロックスリーブ140をロック位置またはロック解除位置に保つために他の適切な戻り止め構成を使用することができる。1つの例示的な実施形態では、装置100の戻り止め構成は、ロックピンおよび溝構成(図示せず)を使用することができる。例えば、多枝コネクタ120は、ロックスリーブ140のロック位置およびロック解除位置に対応する2つの凹部または止め部を有する溝を含み得る。ロックピンは、ロックスリーブ140を通して挿入され、ロックスリーブ140を対応するロック位置またはロック解除位置に保つように多枝コネクタ120の溝の凹部または止め部と係合させることができる。別の例示的な実施形態では、ロックスリーブ140の戻り止め撓み部は、圧縮性材料で作られ得る。ロックスリーブ140は、戻り止め撓み部の変形によってロック位置またはロック解除位置に保つことができる。
【0052】
装置100をポート220にしっかりと接続するための例示的な機構は、
図11および
図12を参照して以下でさらに説明される。
図11は、ロック解除位置にある
図3のポート220に接続された装置100の垂直断面図である。
図12は、ロック位置にあるポート220に接続された装置100の垂直断面図である。
【0053】
図11に示すように、装置100がロック解除位置でポート220に接続されると、ポート220は、多枝コネクタ120内に受容される。ロックスリーブ140は、ロック解除位置にある。回転防止キー160は、多枝コネクタ120内に存在する。ポート220のフランジ222は、回転防止キー160の対向する突起162(図示せず)および多枝コネクタ120の内面によって画定されたポケット166と位置合わせされてその中に受容される。多枝コネクタ120の外側ロックインターフェース128は、ロックスリーブ140の内側ロックインターフェース148の相補的なねじ山と係合する多芯ねじ山を含む。多枝コネクタ120の尖叉130は、ポート220の溝224を囲んでおり、ポート220の溝224と係合して溝224上にクランプすることができる。
【0054】
図12に示すように、ロックスリーブ140がロック位置に切り替えられると、ロックスリーブ140は、ロックスリーブ140の内側係合面150が尖叉130の外側テーパ面132を圧迫するように多枝コネクタ120に沿って尖叉130に向かって軸方向に移動し、尖叉130を半径方向内側に撓ませる。尖叉130のそのような内側への撓みにより、尖叉130をポート220の周りに締め付けてポート220上にクランプさせる。例えば、
図11および
図12に示すように、尖叉130は、傾斜面を有する内側隆起部134を含むことができる。尖叉130が半径方向内側に撓むと、尖叉130の内側隆起部134は、ポート220の溝224と係合してこれを多枝コネクタ120に引き込み、溝224の周りにさらに締め付ける。尖叉130とポート220の溝224とのそのような係合は、装置100がポート220上にしっかりとロックされることを可能にする。
【0055】
いくつかの実施形態では、
図11および
図12に示すように、シール170は、ポケット166内に配置されるように大きさおよび形状が決められる。シール170は、ロックスリーブ140がロック解除位置からロック位置に移動するとポート220によって圧縮することができ、この位置でポート220は多枝コネクタ120に引き込まれる。シール170の圧縮は、ポート220に対して、例えば、フランジ222および/またはリップ226に対して液密シールを形成し、流体が作業チャネル210から漏れるのを防止し、かつ/または必要に応じて作業チャネル210内の真空を維持する。圧縮されると、シール170はまた、ポート220と摩擦係合し得、それによってポート220の周りの多枝コネクタ120の回転を防止する。
【0056】
図11および
図12に示すように、装置100がポート220に接続されると、中空導管180は、回転防止キー160内に部分的に受容され、かつポート220および/または作業チャネル210内に部分的に受容され、ポート220および/または作業チャネル210に挿入されるデバイスの通路を提供する。有利には、中空導管180は、装置100とポート220との接続のためのガイドを提供し、中空導管180を通過するデバイスを軸外モーメントに対して安定させ、かつ/またはデバイスの内視鏡への接続中のデバイスのねじれもしくは損傷を防止する。
【0057】
上述のように、いくつかの実施形態では、ポート220は、溝224を有さなくてもよい。そのような場合、尖叉130がロックスリーブ140の軸方向移動の結果として半径方向内側に撓むと、代わりに、尖叉130は、ポート220の外面の周りに締め付けられ、フランジ222と係合し、かつ/または
図13~
図16を参照して以下でさらに説明されるようにポート220の周りに摩擦嵌合を形成し得る。
【0058】
図13は、別の例示的な装置100の部分斜視図である。
図14は、
図13の例示的な装置100の底面図である。
図13および
図14に示すように、装置100の多枝コネクタ120は、ポート220と係合するために互いに対向して対をなして配置された1つまたは複数の尖叉130を含むことができる。ポート220と係合するために、ロックスリーブ140をロック解除位置からロック位置に切り替えることによって、尖叉130を作動させて半径方向内側に撓ませることができる。ポート220と係合解除するために、ロックスリーブ140をロック位置からロック解除位置に切り替えることによって、尖叉130を解放して半径方向外側に撓ませることができる。
【0059】
図15は、溝224を有さない例示的なポート220に接続する
図13の例示的な装置100の部分斜視図である。
図16は、
図15の例示的なポート220に接続された
図13の例示的な装置100の垂直断面図である。
図15および
図16に示すように、ポート220が溝224を有さないとき、尖叉130の半径方向内側への撓みにより、尖叉130の内面が
図16に示す矢印によって示されるようにポート220の外壁に十分な力で押し付けられ、それによってポート220との摩擦嵌合を形成する。有利には、そのような摩擦嵌合は、装置100をポート220にしっかりと接続することを可能にし、装置100がポート220の周りを回転するのを防止し、それによりポート220に接続されるデバイスにおける回転トルクの蓄積を防止する。いくつかの実施形態では、摩擦嵌合を形成する尖叉130の内面および/またはポート220の外面は、固着接続を形成するために高い摩擦係数を有する材料で作られる。
【0060】
追加的または代替的に、ポート220が溝224を有さないとき、多枝コネクタ120の尖叉130は、フランジ222上にクランプされてもよい。例えば、
図3に示すようにフランジ222が非円形形状を有するとき、尖叉130は、フランジ222の突出部分222aと係合して突出部分222a上にクランプされ、装置100をポート220上にしっかりとロックすることができる。
【0061】
図17および
図18は、ロックスリーブ140のバイナリ動作を達成するための装置100の別の例示的な機構を示す。
図17および
図18に示すように、ロックスリーブ140は、多枝コネクタ120を少なくとも部分的に覆って載置される。ロックスリーブ140を多枝コネクタ120に沿って軸方向にスライドさせることにより、ロックスリーブ140をロック解除位置とロック位置との間で切り替えることができる。
【0062】
例えば、多枝コネクタ120の外側ロックインターフェース128およびロックスリーブ140の内側ロックインターフェース148は、ロックスリーブ140のロック解除位置およびロック位置にそれぞれ対応する2つの動作止め部を有する相補的な嵌合構造を含み得る。
図17の矢印によって示されるようにロックスリーブ140をロック解除位置からポート220に向かってスライドさせると、尖叉130がロックスリーブ140の内側係合面150によって圧迫または圧縮される。これにより、尖叉130が半径方向内側に撓み、上述のようにポート220と係合する。ロックスリーブ140がロック位置にあるとき、生検ポート220の周りのロックスリーブ140の底部と内視鏡の上面230との相互作用は、装置100のポート220への接続の安定性をさらに高める。ロックスリーブ140をポート220から離れる方向にスライドさせると、尖叉130がロックスリーブ140の内側係合面150によって圧縮されることがなくなる。これにより、尖叉130がポート220から係合解除される。
【0063】
ロックスリーブ140のこの例示的なバイナリ切り替え構成は、医師が片手を使用してデバイスをしっかりと接続または切断し、デバイスまたは内視鏡を保つまたは安定させるために他方の手を自由にすることを可能にする。そのような場合、ハンドル144は、ロックスリーブ140の軸方向スライドを作動させるための圧力の印加を容易にするために適切な形状を有し得る。例えば、
図17および
図18に示すように、ハンドル144は、片手を使用してロックスリーブ140の位置を容易に切り替えることができるように、ロックスリーブ140の本体を囲むプラットフォームを提供することができる。
【0064】
多枝コネクタ120とロックスリーブ140との相補的な嵌合構造は、ロックスリーブ140をロック位置またはロック解除位置に保つための任意の適切な戻り止め構成、例えば、ボール戻り止め構成、傾斜コイルばねおよび溝構成、ならびに一体戻り止め撓み部構成を使用し得る。ボール戻り止め構成では、ロックスリーブ140および多枝コネクタ120のうちの一方は、1つまたは複数のばね荷重ボールを含むことができ、他方は、軸方向に分離した2つの穿孔溝を含むことができる。ばね荷重ボールが穿孔溝と位置合わせされてその中に受容されると、ロックスリーブ140は、その溝に対応するロック位置またはロック解除位置に保たれる。傾斜コイルばねおよび溝構成では、多枝コネクタ120の外側ロックインターフェース128は、外側ロックインターフェース128のハウジング内に少なくとも部分的に受容された傾斜コイルばねを含み得る。ロックスリーブ140の内側ロックインターフェース148は、ロックスリーブ140のロック位置およびロック解除位置にそれぞれ対応する傾斜コイルばねを保持するための2つの溝を含み得る。一体戻り止め撓み部構成では、ロックスリーブ140は、1つまたは複数の戻り止め撓み部を有し得る。多枝コネクタ120は、それぞれロックスリーブ140のロック位置およびロック解除位置に対応する2つの軸方向場所で戻り止め撓み部を捕捉するための1つまたは複数の戻り止めを含むことができる。
【0065】
本明細書に記載のように、装置100は、内視鏡に接続されるデバイスの別々のコネクタまたは一体型構成要素として構成され得る。上述の装置100の様々な特徴の任意の組合せは、その一体構成要素としてデバイスまたは内視鏡に組み込まれてもよい。
【0066】
装置100の様々な構成要素は、任意の適切な製造プロセスを用いて任意の適切な材料から製造され得る。例えば、構成要素は、プラスチック材料(ABS、ナイロン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、TEFLON、アセタールコポリマー、シリコーンなど)、複合材料(ガラス充填プラスチック、炭素繊維または熱可塑性エラストマなど、金属材料(ステンレス鋼、アルミニウム、チタンなど)、およびそれらの様々な組合せから製造され得る。
【0067】
前述の説明は、例示の目的で提示されている。それは網羅的なものではなく、開示される厳密な形態または実施形態に限定されない。実施形態の修正および適応は、本明細書の考察および開示される実施形態の実施から明らかであろう。加えて、特定の構成要素は互いに結合されるように説明されているが、そのような構成要素は互いに統合されてもよく、または任意の適切な様式で分散されてもよい。
【0068】
さらに、例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、範囲は、本開示に基づく同等の要素、修正、省略、組合せ(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)、適応および/または変更を有するありとあらゆる実施形態を含む。特許請求の範囲における要素は、特許請求の範囲で用いられる文言に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書内でまたは本出願の審査中に説明される例に限定されず、これらの例は非排他的であると解釈されるべきである。さらに、開示される方法のステップは、ステップの並べ替えおよび/またはステップの挿入もしくは削除を含む、任意の方式で修正することができる。
【0069】
本開示の特徴および利点は、この詳細な明細書から明らかであり、したがって添付の特許請求の範囲は本開示の真の精神および範囲内にあるすべてのシステムおよび方法を網羅することを意図している。本明細書で使用されるとき、不定冠詞「a」および「an」は、「1つまたは複数」を意味する。同様に、複数形の用語の使用は、与えられた文脈において明確でない限り、必ずしも複数を意味するわけではない。「および」または「または」などの単語は、特に指示がない限り、「および/または」を意味する。さらに、本開示を検討することから多数の修正および変形が容易に生じるので、本開示を例示し説明した厳密な構造および動作に限定することは望ましくなく、したがって、本開示の範囲内に含まれる、すべての適切な修正および均等物に頼ることができる。
【0070】
他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示される実施形態の実施から明らかであろう。本明細書および実施例は例としてのみ考慮されることを意図しており、開示される実施形態の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。