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特許7104077クリスタルガラス又はスクリーンを含む装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】クリスタルガラス又はスクリーンを含む装置
(51)【国際特許分類】
   G04B 39/00 20060101AFI20220712BHJP
   G04B 39/02 20060101ALI20220712BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220712BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G04B39/00 Z
G04B39/02 N
G09F9/00 302
G09F9/00 313
H04M1/02 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019571815
(86)(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2018050902
(87)【国際公開番号】W WO2018167582
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-01
(31)【優先権主張番号】00328/17
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】00929/17
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】519337053
【氏名又は名称】エフジーピー キャピタル エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カバルカ、ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】グランド、ルネ
(72)【発明者】
【氏名】フローリッチャー、フィリップ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-174417(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046220(WO,A1)
【文献】特開2013-242567(JP,A)
【文献】特開2017-003439(JP,A)
【文献】特表2002-528297(JP,A)
【文献】中国実用新案第204894644(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 39/00
G04B 39/02
G04B 43/00
G09F 9/00
H04M 1/02
G04G 17/02
B32B 7/06, 7/12
G06F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリスタルガラス又はスクリーンを含む装置であって、前記クリスタルガラス又は前記スクリーンは前記装置のシール及び耐引掻き保護を確実にするように配置され、前記装置は前記クリスタルガラス又は前記スクリーンを介してユーザに視覚情報を表示し、前記装置は、
破損しない透明プラスチックポリマーで作られた第1の材料層(1)は、第1の面が情報表示側に配置され、第2の面がユーザ側に配置されるように装置上に配置され、前記第1の材料層は、装置に緊密に固定され、
耐引掻表面を備える透明なガラス、サファイアガラスで作られた第2の材料層(2)は、前記第1の材料層(1)上に重ねられ、前記装置のクリスタルガラス又はスクリーンの外側部分を構成し、前記第2の材料層は、ユーザ側に配置された外面と、情報表示側に配置された内面とを有し、
耐引掻表面を備える透明なガラスで作られた第2の材料層(2)は、その内面によって担持される透明な再配置可能な接着フィルム(4)を含み、前記再配置可能な接着フィルム(4)は、前記第1の材料層(1)上に前記第2の材料層(2)が再配置可能に接着されることを確実にし、前記第2の材料層(2)は、その再配置可能な接着フィルム(4)と共に、前記装置上に永久的に固定されたままである前記第1の材料層(1)によって保証される前記装置のシールを破ることなく、透明な再配置可能な接着フィルム(4)を備えた別の第2の材料層(2)によって置き換えることができるように除去されることができ、
前記装置は、前記第1の材料層(1)上に前記第2の材料層(2)を容易に位置決めするための位置決め手段(8)を含み、前記位置決め手段(8)は、第1の材料層(1)の外周又は内周に配置された突起又は溝を含み、これらの位置決め手段(8)は、第1の材料層(1)を覆う第2の材料層(2)の全部又は一部を囲む、装置。
【請求項2】
前記第1の材料層(1)の外周又は内周に配置された突起、ガスケット又は接着剤を含むシール手段(3)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の材料層(1)と、前記第2の材料層(2)と、前記再配置可能な接着フィルム(4)とが、一旦積み重ねられると、0.8mm~5mmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記位置決め手段(8)は、前記第1の材料層(1)の外周突起に、前記第1の材料層(1)に形成されたノッチを含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の材料層(1)及び/又は前記第2の材料層(2)は、可視波長範囲の光放射に対する反射防止処理を有する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の材料層(1)が、0.2mm~2mmの厚さを有するポリカーボネート又はアクリル材料である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の材料層(2)が、0.2mm~1mmの厚さを有するサファイアガラスである、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の材料層(1)及び前記第2の材料層(2)は、互いに正確に対応して反っている、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
スクリーンを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が腕時計である、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置がスマートフォンである、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置がタブレット、対話型端末、カメラ、ゲーム機、現金自動預払機、又はタッチテーブルである、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置と少なくとも1つの取り外し可能な構成要素であって、前記構成要素は透明なサファイアガラスで作られた層(2)を備え、前記層(2)は、第1の面に耐引掻面を有し、反対側の第2の面が、保護シートで覆われた再配置可能な接着フィルム(4)を担持する、装置及び少なくとも1つの取り外し可能な構成要素。
【請求項14】
前記取り外し可能な構成要素の前記透明なガラスの層(2)は、サファイア製である、請求項13に記載の、装置及び少なくとも1つの取り外し可能な構成要素。
【請求項15】
前記取り外し可能な構成要素の前記透明なガラス層(2)の厚さが、0.2mm~1mmである、請求項13又は請求項14のいずれか一項に記載の、装置及び少なくとも1つの取り外し可能な構成要素。
【請求項16】
前記取り外し可能な構成要素の前記透明なガラス層(2)は、着色され及び/又はいぶされ及び/又は着色され及び/又は破損され及び/又はスクリーン印刷され及び/又は金属被膜された半透明ガラスである、請求項13~請求項15のいずれか一項に記載の、装置及び少なくとも1つの取り外し可能な構成要素。
【請求項17】
複数の取り外し可能な構成要素を含むキットを含み、前記キットは、前記第1の材料層(1)を洗浄するための手段、ワイプ、及び/又は交換される前記第2の材料層(2)を除去するための抽出システム、吸引カップをさらに含む、請求項13~請求項16のいずれか一項に記載の、装置及び少なくとも1つの取り外し可能な構成要素。
【請求項18】
互いに異なる複数の取り外し可能な構成要素を含む、複数の取り外し可能な構成要素を備える、請求項13~請求項17のいずれか一項に記載の、装置及び少なくとも1つの取り外し可能な構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリスタルガラス又はスクリーンを含み、装置のシール及び耐引掻保護を確実にするように構成された装置に関する。
【0002】
例えば、時計のような、クリスタルガラス又はスクリーンを含む装置の視覚的外観の劣化は、身に着けた場合に、消費者にとって主要な品質知覚ファクタである。物品の表面の変化は、あらゆる種類の応力、特に機械的起源の応力に由来する。時計のクリスタルガラス又はガラスは、文字盤と共に、時計のイメージの本質的な要素である。その脆性、耐引掻性及び透明性は重要な特徴である。
【0003】
加えて、クリスタルガラス又はスクリーンを含む装置のシールは、携帯可能であるか否かにかかわらず、前記装置の適切な機能のためだけでなく、メーカーのイメージのためにも重要であり、アフター・セールス・サービスで戻る場合はイメージが非常に悪く認識される。
【0004】
したがって、スクリーン又はクリスタルガラスの劣化は、装置の使用又は適切な将来の機能に非常に損傷を与える。
【0005】
この2つの問題に対処するために、壊れにくい、又は傷がつきにくいクリスタルガラス又はスクリーンを作製するための解決策が開発されてきた。
【0006】
例えば、高度に透明なポリカーボネートの時計表面は、装飾品質を改善するために使用される。また、複数の板状基板を接着した時計フェースに接着剤を用いた場合、基板間の接着層である密着層に気泡が入り込み、時計全体の美観を大幅に低下させてしまう。
【背景技術】
【0007】
EP2508952は、少なくとも50重量%のポリカーボネートを含む第1の基板と、少なくとも50重量%のポリカーボネートを含む第2の基板と、第1の基板と第2の基板とを接合する接合層とを含む時計フェースを記載している。接合層は、UV架橋アクリル樹脂材料を照射して得られる接着剤組成物から構成される。
【0008】
国際公開第2014003495号パンフレットには、携帯電話のLCDスクリーン上の正しい位置に接着することができるスクリーン用の保護フィルムが記載されている。携帯電話画面の保護フィルム構造は、携帯電話のLCD画面と同じサイズで表面に接着剤が塗布された保護フィルムと、保護フィルム上に貼り付けられ、下剥離紙の側面が保護フィルムの内面に密着する下剥離紙とを備える。保護フィルム構造は、保護フィルムの他方の外面に接着される上側の剥離紙と、上側の剥離紙の一端部又は他端部に位置し、携帯電話の一端又は他端の縁に接着され、密着する第1及び第2の締結紙とをさらに備える。この引掻保護フィルムは、メインスクリーンが破損した場合に、シールのためのいかなる保護も提供しない。
【0009】
EP2754739は、電話などの電子デバイス用の閉鎖ガラス板コンポーネントを記載している。閉鎖ガラス板構成要素は、第1及び第2の主表面を有する酸化アルミニウムセラミック材料を含み、第1及び第2の主表面は、それらの間に閉鎖ガラス板構成要素を画定する。閉鎖ガラス板構成要素の第1の部分は、閉鎖ガラス板の第1の部分の選択的焼きなましによってその中に誘導される圧縮残留応力を有し、閉鎖ガラス板構成要素の第2の部分は、その中に誘導される圧縮残留応力を有さない。圧縮残留応力が誘導される閉鎖ガラス板構成要素の第1の部分は、圧縮残留応力が誘導されない閉鎖ガラス板構成要素の第2の部分よりも高い圧縮残留応力を有する。結晶質酸化アルミニウム材料は、例えばサファイアのような実質的に単結晶の酸化アルミニウム材料である。
【0010】
EP3121002A1には、航空機の座席の背もたれに固定される娯楽用タッチスクリーンのユーザインタフェース用の保護カバーが記載されている。カバーは、極薄ガラス層を含む外面を含む外部保護要素を含み、極薄ガラスは、内面と、厚さを画定する反対側の外面とを含む。厚さは、0.02~0.15mmである。極薄ガラスの内面には、プラスチックからなる内部保護部材が配置されている。このシステムは、スクリーンが破損した場合に航空機の乗客が傷つくことを回避する一種の安全積層である。
【0011】
EP2644670には、第1の接着層、透明アクリル樹脂層、及び第2の接着層を含む接着シートが記載されている。一実施形態によれば、この両面接着シートは、タッチスクリーンに接着するために使用することができる。
【0012】
国際公開第2008/002772号パンフレットは、気泡を発生しやすい反射防止層を置き換えるために、剛性の第1の光学基板と、剛性の第2の光学基板と、第1の剛性基板と第2の剛性基板との間に配置された自己支持型光学接着剤とを含む光学アイテムを記載している。自己支持型接着剤は、シリコーンをベースとする架橋ポリマーネットワークと、ポリマーネットワーク内に配置されたシリコーン流体とを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、腕時計、スマートフォン、タブレット及び固定装置のなかで、ユーザによって取扱いが簡単で携帯可能である、可動装置を提供することである、特に、対話型端末、駐車メータ、自動販売機、前記の可動及び固定装置は、クリスタルガラス又はスクリーンを含み、装置のシール及び引掻防止保護を確実にする。装置はクリスタルガラス又はスクリーンを介してユーザに視覚情報を表示するように意図され、ユーザは自分で、かつツールなしで、装置の構成要素を交換することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、装置は、装置のシール及び耐引掻保護を確実にするクリスタルガラス又はスクリーンを含み、装置はクリスタルガラス又はスクリーンを介してユーザに視覚情報を表示するように意図される。装置は、一般にガラスよりも少なくとも100倍、さらには200倍強い、壊れにくい透明プラスチックポリマーで作られた第1の材料層を含み、第1の材料層は、第1の面が情報表示側に配置され、第2の面がユーザ側に配置されるように装置上に配置され、第1の材料層は、装置にしっかりと固定される。この装置は、引掻防止表面を有する透明ガラス、特にサファイアガラスで作られた第2の材料層を含み、第2の材料層は第1の層の上に重ねられ、装置のクリスタルガラス又はスクリーンの外側部分を構成する、第2の層は、ユーザ側に配置された外面と、情報表示側に配置された内側の第2の面とを有する。第2の材料層は、その厚さを除いて、第1の材料層と同じ形状及び同じ寸法を有することができる。又は、第2の材料層は、第1の材料層よりも小さくてもよい。透明なガラスで作られた第2の材料層は、その内面によって担持された、透明な再配置可能な接着フィルムを含み、この再配置可能な接着フィルムは、第1の材料層上への第2の材料層の再配置可能な接着を保証し、一方、再配置可能な接着フィルムを有する第2の材料層は、透明な再配置可能な接着フィルムが設けられた別の第2の材料層によって置き換えられるために、前記装置上に永久的に固定されたままである第1の材料層によって保証される前記装置のシールを破壊することなく、除去できる。
【0015】
一実施形態では、装置は、第1の材料の外周又は内周に配置された突起、ガスケット、又は接着剤を含むシール手段を含む。
【0016】
一実施形態では、装置のシールは、装置と第1の材料層との間に配置されるOリングガスケットによって、又は第1の材料層上で実行される超音波接合によって保証されてもよい。
【0017】
一実施形態では、装置は、位置決め手段を含み、前記位置決め手段は、第1の材料層を覆う第2の材料層のすべて又は一部を囲むように、第1の材料の外周又は内周に配置された突起、一連の突起又は溝を含む。
【0018】
好ましい実施形態では、第1の材料層、第2の材料層、及び再配置可能な接着フィルムは、一旦積み重ねられると、0.8mm~5mm、典型的には2mmの厚さを有する。
【0019】
一実施形態では、位置決め手段は、破断不能な第1のポリマー層に形成されたノッチを含む。この実施形態によれば、ノッチは、破断不能な第1の材料層の外周突起を構成する。
【0020】
より良好な視覚的快適性のために、第1の材料層及び/又は第2の材料層は、可視波長範囲の光放射に対する反射防止処理を有する。
【0021】
好ましい実施形態では、第1の材料層は、厚さが0.2mm~2mm又は3mm、典型的には1mmのポリカーボネートである。透明なポリカーボネートは、事実上壊れにくい材料である。さらに、透明なポリカーボネートは、特に時計製造及び時計のクリスタルガラス産業といった、良好な視認性が重要である用途のために、高い透明度及び良好な光学性能を有する。
【0022】
好ましくは、第2の材料層は、0.2mm~1mm又は2mm、典型的には0.55mmの厚さを有する透明サファイアガラスである。この材料は、特定の硬さを有し、引掻耐性があると考えられる。また、高品質時計用の時計クリスタルガラスにも見られ、この材料は、丸みを帯びた、又は正方形、長方形、楕円形、三角形、菱形、又は任意の他の形状を有することができる。
【0023】
一実施形態では、第1の材料層及び第2の材料層は、互いに正確に対応して反っている。
【0024】
シール態様と引掻防止態様とを組み合わせることを可能にするこのようなモバイルデバイスは、例えば、腕時計、スマートフォン、タブレット、又は携帯型ゲームコンソールなどの画面を含む同様の携帯機器だけでなく、固定機器、特に、対話型端末、パーキングメータ、又は、例えば、現金自動預払機などの自動販売機であってもよい。
【0025】
適切に透明な再配置可能な接着剤は、その機械的特性を調整することによって選択され、その結果、それは、一方でそれがコーティングされる支持体と適合し、再配置可能な方法で支持体に接着される。好ましくは、再配置可能な接着剤は、透明クリスタルガラスの製造の最後に、例えば、スプレーによって、ガラス表面全体にわたって均一に堆積される。有利には、接着剤はクリスタルガラスの表面でほとんど瞬間的な捕捉を可能にする接着剤から選択され、クリスタルガラスの表面に中間層、例えば、適切な紙シートを重ね合わせることができる。例えば、接着剤は、乾燥時間後に、PTFE (ポリテトラフルオロエチレン)フィルムで覆われていてもよく、クリスタルサファイアを第1の材料層上に接着する前にユーザがはがす。
【0026】
あるいは、第2の層の内面に塗布される接着剤は、ポリエステル支持体と、高性能表面接着剤とを有する両面接着テープである。高性能表面接着剤は高及び低表面エネルギーで基板に良好な接着を提供する。再配置可能な接着剤の厚さは、選択されたモデルに応じて80ミクロン~250ミクロンである。もちろん、両面テープは透明である。さらに、接着剤は、剪断及び剥離に対して非常に良好な耐性を有する。好ましくは、接着剤は、第1の層に対する第2の層の内側で、5N/cm~50N/cm、典型的には15 N/cmの接着強度を有する。
【0027】
別の態様によれば、本発明のデバイスは、第1の面上に防止面を有する透明サファイアガラス層を含み、再配置可能な接着フィルムを担持する反対側の第2の面は、システムとは別個に設けることができる。このように、引掻耐性はあるが破損する可能性があるサファイアガラス層が破損すると、サファイアガラス層の交換により、装置のシールに影響を与えることなく、携帯装置を「新しい」状態に再構成することが可能になる。
【0028】
本発明のこの他の態様によれば、透明ガラス層、特にサファイアの厚さは、0.2mm~1mm又は2mm、好ましくは0.55mmでさえある。
【0029】
一実施形態では、本発明による構成要素は、第1の面上に引掻防止面を有し、反対側の第2の面が、除去可能な保護シートで覆われた再配置可能な接着フィルムを担持する、透明ガラス層、特にサファイアを含む。
【0030】
好ましくは、透明ガラス層の厚さは、0.2mm~1mm又は2mm、典型的には0.55mmである。
【0031】
一実施形態では、透明ガラス層は、染色され及び/又はいぶされ及び/又は着色され及び/又は破損され及び/又はスクリーン印刷され及び/又は金属被膜された半透明ガラスである。
【0032】
本発明は、特に、腕時計、スマートフォン、タブレット、インタラクティブ端末、ゲームコンソール、タッチテーブル、又は現金自動預払機に適用される。
【0033】
実用的な態様では、特に、使いやすく、携帯可能であり、ユーザによって運搬可能であるモバイル機器の場合、キットは、本発明による1つ又は複数の構成要素を含むことができ、キットは、第1の材料層を清掃するための手段、特にワイプ、及び/又は交換される第2の材料を除去するための抽出システム、特に吸引カップをさらに含む。
【0034】
あるいは、キットは、互いに異なる複数の構成要素を含む。
【0035】
この構成要素は、選択された形状及び寸法を有し、粘着性部分上に保護シートを有する再配置可能な接着フィルムで覆われた、少なくとも1つの第2の交換材料層を有する装置を購入するとき、又は小売店で入手可能な修理用品群から購入するとき、ユーザに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の特徴は、概略図を参照して、非限定的な例としてのみ与えられるいくつかの実施形態の説明を読むことによって、より明確に現れるであろう。
図1】本発明による材料層のスタックの断面図を示す。
図2】スクリーンを含む装置の断面図を示す。
図3】再配置可能な接着剤を含むガラスが時計のガラス上に配置されるように設けられた腕時計の斜視図である。
図4】本発明によるスマートフォンの斜視図を示す。
図5A】本発明による製品を表す。
図5B】本発明による製品を表す。
図5C】本発明による製品を表す。
図5D】本発明による製品を表す。
図5E】本発明による製品を表す。
図6】キャップの形態のセキュリティデバイスを含む本発明による装置の部分図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に示すように、携帯装置は、壊れにくい透明ポリカーボネートの第1の層1と、第1の層1の上に重ねられた、引掻防止処理を有する透明サファイアガラスで作られた第2の層2とを含み、第2の層2は、ユーザ側に配置された外面と、情報表示側に配置された第2の内面とを有する。この装置は、第1の材料層1上の第2の材料層2の位置決めを容易にするための位置決め手段を含み、この位置決め手段は、ポリカーボネートの第1の層1の外周に配置された突起8を含むノッチの形体である。位置決め手段は、ポリカーボネートの第1の層1を覆うサファイアガラスの第2の層2を囲む。再配置可能な接着フィルム4が透明サファイアガラス層2の内面に堆積され、再配置可能な接着フィルム4を有するサファイアガラス層2は、前記装置のシールを破壊することなく除去され、再配置可能な接着フィルム4を有する新しいサファイアガラス層2と置き換えることができ、この新しい層はユーザに利用可能である。
【0038】
透明な再配置可能な接着剤の例は、3M社の9088FLで参照される接着剤である。一般に、再配置可能な接着剤は、数十から数百ミクロン、例えば100ミクロンから200ミクロンの厚さを有するべきである。再配置可能な接着フィルム4は、必要な場合に除去されることが意図される層であるので、第2の層2の上にコーティングされ、これは、特に、第2の層を第1の層に接着する前に、装置上に永久的に残る第1の層1を清浄にしなければならないことを回避することを可能にする。本発明とは異なり、接着剤を第1の層1の外面に塗布することによって、接着剤層はダストにさらされ、数回の使用後に、第2の層2は第1の層1に十分に良好に固定されない。
【0039】
図2に示すように、本発明の携帯装置は、物体を変性させることなく装置7に組み込まれるように構成される。本発明による装置は、従来のスクリーン又はクリスタルガラスに代わるものである。装置7は、例えば、装置7の外周に第1の層1の外周端部を接着する形態のシール手段3を含む。位置決め手段8は、第1の材料層1を覆う第2の材料層2を取り囲んで案内する。透明な再配置可能な接着フィルム4が、透明なガラスで作られた第2の材料層2の内面上に堆積され、その結果、再配置可能な接着剤を有する第2の材料層は、前記装置7のシールを破ることなく除去することができ、ユーザが利用可能な再配置可能な接着フィルム4を有する新しいサファイアガラス層2と交換することができる。
【0040】
図3に示す例は、腕時計5である。本発明の装置は、特に、ガラスを通して時間を表示するように意図された腕時計5のシール及び耐引掻保護を確実にすることを可能にする。この例では、本発明のデバイスは、壊れにくい透明ポリカーボネートで作られた第1の材料層1を含む。ポリカーボネート層1は、第1の面が腕時計5の文字盤側に配置され、第2の面がユーザ側に配置されるように、シール手段3、特にOリングガスケットによって腕時計5にしっかりと固定される。ポリカーボネートは、引掻き傷に弱いにもかかわらず、特にその堅牢性のために時計製造産業において広く使用されている材料である。引掻防止表面を有する第2の透明なサファイアガラス層2は、腕時計5に取り付けられたポリカーボネート層1上に配置される準備ができている。透明サファイアガラス層2は、前記透明サファイアガラス層2の内面に適用された再配置可能な接着フィルム4を担持する。したがって、再配置可能な接着フィルム4を有するサファイアガラス層2は、腕時計5に固定された第1のポリカーボネート層1上に重ねることができ、必要な場合、例えば、サファイアガラス層2が破損した場合、接着フィルム4を有する前記サファイアガラス層2は、腕時計5のシールを破損することなく除去することができる。時計ベゼル8は、サファイアガラス2を位置決めするための手段を提供し、時計ベゼルは、ポリカーボネート層1の外周に配置され、シール手段3がポリカーボネート層1を取り囲み、サファイアガラス2の交換時に破損することがないようになっている。
【0041】
図示されていない変形例では、サファイアガラスは、ケースのベゼルに掘られたクリスタルノッチ又はハウジングに収容され、又はそのフレームに直接収容される。
【0042】
ポリカーボネート層、サファイアガラス層及び再配置可能な接着剤のスタックは、例えば、1.6mmの厚さを示す。ポリカーボネートは1mmの厚さを有し、サファイアガラスは0.55mmの厚さを有する。
【0043】
スマートフォンの世界では、スクリーンは、強化ガラスであっても最も頻繁に壊れる要素である。サファイアは、ガラスよりも堅牢であり、耐引掻性が高い。
【0044】
図4に示すように、スマートフォン6は、タッチスクリーンを含む。このタッチスクリーンは、壊れにくい透明プラスチックポリマーで作られた第1の材料層1から構成され、第1の材料層1は、前記スマートフォン6にしっかりと固定され、第1の面が情報表示側に配置され、第2の面がユーザ側に配置される。引掻防止表面を有する透明なサファイアガラスで作られた第2の材料層2は、透明なサファイアガラス層2の内面によって担持された透明な再配置可能な接着フィルム4のおかげで、第1の層1上に重ねられる準備ができている。
【0045】
この例では、再配置可能な接着剤は、一方ではそれがコーティングされる支持体であるサファイアガラス、及び再配置可能な方法でそれが接着される支持体、ここではポリカーボネートと適合性がある。
【0046】
図4によれば、スマートフォン6のボックス内のノッチ3は、破断不能な第1の材料層の外周突起を構成する。
【0047】
この例では、第1の材料層1及び第2の材料層2は、可視波長範囲の光放射に対する反射防止処理を有する。第2の材料層2は、実質的に単結晶の酸化アルミニウムであり、より具体的には、第1の面に引掻防止面を有し、反対側の第2の面が再配置可能な接着フィルム4を含む合成サファイアである。
【0048】
本発明によれば、ポリカーボネート層、サファイア層によって担持された再配置可能な不可視バインダーを有する合成サファイア層を含むサンドイッチ構造を作製することにより、サファイアガラス層が破損した場合に装置のシールに影響を与えることがない。したがって、破損又は損傷したサファイアガラス層は、その再配置可能な接着フィルムで除去することができ、装置は、再配置可能な接着フィルムを有する新しい再配置可能なサファイアガラス層が定位置にセットされるまで、機能し、かつ密封されたままである。このようにして、耐引掻性の表面状態が得られ、サファイア層の衝撃の場合、ポリカーボネート層は、破壊されず、したがって、破壊されたサファイアガラス層の交換を待ちながら、ダスト及び湿気から装置の内部を保護する。
【0049】
図5A図5Eに示すように、上述した本発明による「サンドイッチ」システムは、多くの用途に使用することができる。例えば、図5Aでは、システムは対話型端末に統合され、図5Bでは、システムはカメラに統合される。図5Cでは、システムは、タッチテーブルに統合され、図5Dでは、システムは、自動現金預払機に統合される。最後に、図5Eでは、システムはタブレットに統合される。これらの装置の各々において、第1の層1は、前記装置に永久的に固定され、一方、再配置可能な接着フィルム4を有する第2の層2は、上部に配置される。
【0050】
腕時計、スマートフォン、タブレット、カメラ、ゲーム機など、ユーザが手軽に持ち運ぶことができる携帯機器に関しては、破損したサファイアガラス層をユーザ自身で除去することができる。
【0051】
共用装置、特にパーキングメータ、自動現金預払機、又は双方向端末に関して、セキュリティ装置を統合して、サファイアガラス層が破損していようといまいと、許可されていない人によって除去されるのを防止することができる。このセキュリティ装置は、例えば、サファイアガラスの周囲表面の全部又は一部を取り囲むキャップ9(図6)からなる。したがって、認可された人は、まず、サファイアガラス層2に介入するために、キャップ9を取り外すためのキー又はカスタムねじなどの適切な機器を有するべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6