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特許7104088溶接システムにおいて溶接電力ケーブル上で通信するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】溶接システムにおいて溶接電力ケーブル上で通信するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/10 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
B23K9/10 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020042647
(22)【出願日】2020-03-12
(62)【分割の表示】P 2016211285の分割
【原出願日】2016-10-28
(65)【公開番号】P2020089922
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】62/248,034
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/294,637
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス ピー ズッカー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー クレイグ メルマン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス アグッチーニ
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0138113(US,A1)
【文献】米国特許第06104308(US,A)
【文献】特開2003-191075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0053970(US,A1)
【文献】特開2014-239288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0086706(US,A1)
【文献】特開2014-057260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信器を有するコントローラを含む溶接電源と、
電流シャントレギュレータ及びスイッチを有する電流シンク回路を有する通信回路を含むワイヤフィーダと、
前記溶接電源及び前記ワイヤフィーダのそれぞれに連結される少なくとも1つの溶接電力ケーブルであって、溶接作業中に前記溶接電源から前記ワイヤフィーダへ溶接電力を運ぶように構成されている、少なくとも1つの溶接電力ケーブルと、
を含む溶接システムであって、
前記ワイヤフィーダは、少なくとも前記溶接電源の受信器により電流感知を介して検出される電流引き抜き信号を、電力信号からの電流引き抜きを所定のパターンで変化させることに基づいて前記ワイヤフィーダの電流シンク回路を介して生成することにより、前記少なくとも1つの溶接電力ケーブル上で前記溶接電源と通信するように構成され、
前記電流引き抜き信号は、前記ワイヤフィーダで生成される複数の電流引き抜きパルスを含む、溶接システム。
【請求項2】
前記電流引き抜き信号は少なくとも第1のパルスタイプ及び第2のパルスタイプを含む、請求項1に記載の溶接システム。
【請求項3】
前記電流引き抜き信号は第1のタイプの電流引き抜きパルス及び第2のタイプの電流引き抜きパルスを含み、該第1のタイプは該第2のタイプと異なり、該第1のタイプの電流引き抜きパルスは該第2のタイプの電流引き抜きパルスと同じピーク電流レベルを有する、請求項1に記載の溶接システム。
【請求項4】
前記電流引き抜き信号は第1のタイプの電流引き抜きパルス及び第2のタイプの電流引き抜きパルスを含み、該第1のタイプの電流引き抜きパルス及び該第2のタイプの電流引き抜きパルスは異なるパルス幅を有する、請求項1に記載の溶接システム。
【請求項5】
前記電流引き抜きパルスの少なくとも一部は0.25~5アンペアの範囲のピーク電流と0.05~100msの範囲のパルス幅とを有する、請求項1に記載の溶接システム。
【請求項6】
前記電流引き抜き信号は、前記溶接作業中に20Hz~100kHzの範囲の周波数を有し、前記溶接作業中でない場合には100Hz~500kHzの範囲の周波数を有する、請求項1に記載の溶接システム。
【請求項7】
前記電流引き抜き信号は、100Hz~500kHzの範囲の周波数を有する、請求項1に記載の溶接システム。
【請求項8】
前記電流引き抜き信号は所定のピーク及び期間を有する信号開始電流引き抜きパルスを含み、該信号開始電流引き抜きパルスは、前記コントローラにより通信信号の開始として認識される、請求項1に記載の溶接システム。
【請求項9】
前記電流引き抜き信号は前記信号開始電流引き抜きパルスと同じである信号終了電流引き抜きパルスを含む、請求項8に記載の溶接システム。
【請求項10】
送信器を有するコントローラを含む溶接電源と、
受信器を有する通信回路を含むワイヤフィーダと、
前記溶接電源及び前記ワイヤフィーダのそれぞれに連結される少なくとも1つの溶接電力ケーブルであって、溶接作業中に前記溶接電源から前記ワイヤフィーダへ溶接電力を運ぶように構成されている、少なくとも1つの溶接電力ケーブルと、
を含む溶接システムであって、
前記溶接電源は、少なくとも前記ワイヤフィーダの受信器により電圧感知を介して検出される電圧パルス信号を少なくとも前記溶接電源の送信器を介して生成することにより、前記少なくとも1つの溶接電力ケーブル上で前記ワイヤフィーダと通信するように構成され、
前記電圧パルス信号は、前記ワイヤフィーダからの電流引き抜き信号に対応して前記ワイヤフィーダに送信されるか又は前記ワイヤフィーダとの通信を始めるために送信され、
前記電流引き抜き信号は、電力信号からの電流引き抜きを所定のパターンで変化させることに基づいて前記ワイヤフィーダによって生成され、
前記電圧パルス信号は、前記溶接電源で生成される複数の電圧パルスを含み、
前記電圧パルス信号は第1のタイプの電圧パルス及び第2のタイプの電圧パルスを有し、
前記第1のタイプの電圧パルス及び前記第2のタイプの電圧パルスは同じ電圧レベルを有する、溶接システム。
【請求項11】
前記電圧パルス信号は信号開始電圧パルスを有する、請求項10に記載の溶接システム。
【請求項12】
前記電圧パルスの少なくとも一部は1~70ボルトの範囲のピーク電圧を有する、請求項10に記載の溶接システム。
【請求項13】
前記電圧パルス信号は、100Hz~10kHzの範囲の周波数を有する、請求項10に記載の溶接システム。
【請求項14】
前記電圧パルス信号は、少なくとも1kHzの周波数を有する、請求項10に記載の溶接システム。
【請求項15】
前記第1のタイプの電圧パルス及び前記第2のタイプの電圧パルスは異なるパルス幅を有する、請求項10に記載の溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は2015年10月29日出願の米国特許出願第62/248,034号明細書に対する優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明と整合する装置、システムおよび方法は、溶接システムにおけるデータ通信に関し、より具体的には溶接ケーブル上でのデータ通信に関する。
【背景技術】
【0003】
溶接技術およびアプリケーションが進歩するにつれ、電源と溶接システムとに対する需要も高まっている。これらの需要はより厳しい環境における溶接システムの使用の増加と共に増加してきた。伝統的溶接システムでは、溶接電源は専用通信ケーブルを介してワイヤフィーダと通信する。しかし、これらの通信ケーブルは、特にこれらの厳しい環境において損傷を受け易い。さらに、通信は、費用と複雑性とを溶接システムへ追加し、電源に対するワイヤフィーダの位置決めを制限し得る。電力ケーブル上の通信システムを可能にする努力がなされてきたが、これらの努力は、複雑になり得ると共に干渉および他の課題に対して脆弱になり得る複雑な通信プロトコルを利用する。
【0004】
従来の伝統的提案手法の別の制限および欠点は、このような手法と、添付図面を参照して本出願の残りの部分において説明される本発明の実施形態との比較により当業者に明らかになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、ワイヤフィーダと電源との間の双方向データ通信を容易にする溶接ケーブルを採用することを含む。ワイヤフィーダ内に含まれる回路構成および電源は、このような通信が溶接電力信号の転送の前後および/またはそれと同時に発生できるようにする。ワイヤフィーダ内に含まれる通信モジュールおよび電源は、溶接信号ケーブル上で電流および電圧パルスを使用する通信を可能にし、複雑な通信プロトコルの使用を必要としない。
【0006】
別の例示的実施形態では、溶接電極における電圧の作業現場電圧計測データを連続的に受信する工程であって、作業現場電圧計測データは溶接ケーブルを使用してアーク両端に伝達される、工程と、電圧差を識別するために作業現場電圧計測データと溶接電源における溶接出力電圧とを連続的に比較する工程とを含む方法が提供される。本方法はまた、電圧差に少なくとも部分的に基づき溶接電源を使用して溶接出力電圧を増加または低減する工程を含む。
【0007】
本発明の上記および/または他の態様は、添付図面を参照して本発明の例示的実施形態を詳細に説明することにより、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の例示的実施形態による溶接システム全体の図表示を示す。
図2】本発明の例示的実施形態により使用される例示的電流信号通信波形の図表示を示す。
図3】本発明の例示的実施形態により使用される例示的電圧信号通信波形の図表示を示す。
図4】本発明の例示的ワイヤフィーダにおける通信モジュールの例示的実施形態の図表示を示す。
図5】本発明の例示的ワイヤフィーダにおける通信モジュールの別の例示的実施形態の図表示を示す。
図6】本技術革新の実施形態による少なくとも図7の溶接出力回路経路を表す例示的回路の別のものの図表示を示す。
図7】溶接出力回路経路を含む溶接システムの別の例示的実施形態の概略ブロック図の図表示を示す。
図8】溶接出力回路経路を含む溶接システムの別の例示的実施形態の別の概略ブロック図の図表示を示す。
図9】溶接出力回路経路を含む溶接システムの追加例示的実施形態の概略ブロック図の図表示を示す。
図10】溶接出力電気的特性を制御する方法の例示的実施形態のフローチャートの図表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、様々なおよび代替的な例示的実施形態と添付図面とが詳細に参照される。同様の参照符号は本質的に同一の構成要素を表す。各例は限定としてではなく説明のために提供される。実際、修正形態および変形形態は、本開示および請求項の範囲または趣旨から逸脱することなくなされ得ることが当業者には明らかになる。例えば、一実施形態の一部として示されるまたは説明される特徴は、さらに別の実施形態をもたらすために別の実施形態上で使用され得る。したがって、本開示は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲に入る修正形態および変形形態を含むように意図されている。
【0010】
次に、本出願の添付図面に移ると、図1は本発明の実施形態による例示的溶接システム100を描写する。溶接システム100は、溶接電源と同電源へ結合されたワイヤフィーダとを採用する任意の既知のタイプの溶接システムであり得る。例えば、溶接システムはMIGタイプ溶接システムであり得る。以下に論述される実施形態は概してMIG溶接システムとして説明されるが、これは、本発明のいくつかの実施形態が他のタイプの溶接システムにおいて採用され得るため、単に例示的であるように意図されている。MIGタイプ溶接システムは周知であるため、本システム(例えばワイヤフィーダ)と溶接トーチおよび加工物との結合は明瞭性のために示されない。本発明のいくつかの実施形態のその態様は、変更されず、したがって本明細書で詳細に示されるまたは論述される必要はない。別の例示的実施形態では、本システムは、本明細書で論述される通信方法論を利用するリモートコントロールおよび/またはペンダント制御装置(一般的に知られている)を含み得る。すなわち、例えば、リモートコントロールおよび/またはペンダント制御装置は、本明細書で論述されるアーク両端通信プロトコルを利用し得、および他にワイヤフィーダまたは電源のいずれか1つにより送信される信号を検知し、それらの信号をユーザへ伝達し得る。他の実施形態では、本明細書において説明されるものと同様の通信プロトコルを使用することにより、ペンダント/リモートコントローラは本明細書において説明されるシステム内のワイヤフィーダの代わりをし、ワイヤフィーダ内の以下に説明される機能はペンダント/リモートコントローラ内に存在するであろう。例えば、スティックまたはTIG溶接システムでは、リモートコントローラがワイヤフィーダの代わりに使用され、およびリモートコントローラは電源へ結合され本明細書で説明するように通信することになる。本明細書において説明する例示的実施形態は溶接システムとして説明されるが、本発明のいくつかの実施形態はまた、プラズマ切断などの他のシステムにおいて使用され得、拡張形態として、本明細書で説明するワイヤフィーダおよび溶接電源の代わりに他の部品が使用され得ることにさらに注意すべきである。すなわち、電源は、切断用電源、負荷付き発電機等であり得る。本システムは、簡単化および効率のために本明細書では溶接用として説明されるが、実施形態はそれに限定されない。さらに、本明細書で説明する通信回路構成、システム、方法およびプロトコルは、これらのタイプの他のシステムへ当業者により取り込まれ得る。
【0011】
次に本システム100に移ると、通常のように、システム100は、溶接ケーブル130を介しワイヤフィーダ120へ結合された電源110を含む。電源110は、公知の溶接電源のように構成され得るが、本明細書で論述される追加の機能および属性を有する。例えば、本発明の実施形態では、電源110は、オハイオ州クリーヴランドのLincoln Electric Co.により製造されるFlextec(登録商標)溶接システムのように構成され得る。さらに、ワイヤフィーダ120は公知のワイヤフィーダで構成され本明細書で論述される追加物を有し得る。公知のワイヤフィーダの例は、オハイオ州クリーヴランドのLincoln Electric Companyにより製造されるLN-25系列ワイヤフィーダである。当然、他の電源およびワイヤフィーダが使用され得、したがってこれらの参照は単に例示的であるように意図されている。
【0012】
一般的に知られているように、電源110は、ワイヤフィーダ120へ向けられる溶接電流をケーブル130を介して出力し、したがって、ワイヤフィーダは加工物を溶接するための溶接電極へ電流を流し得る。MIGシステムでは電極はまた消耗可能であり、TIGなどの他の方法では、電極は消耗可能ではなく溶接部分中に堆積されない。ケーブル130は、電源110の出力スタッド111/112からワイヤフィーダ120へ溶接電力/電流を供給する主溶接電力ケーブルである。公知のシステムと同様に、ワイヤフィーダ120と電源110とは、溶接前後および溶接中に互いに通信し得る。しばしば、これらの通信は溶接パラメータ、設定点、フィードバックなどに関係する。公知のシステムにおいて前に説明したように、溶接システムは電源110とワイヤフィーダ120との間の専用通信ケーブル/線を使用する。本発明の実施形態は、これらの追加通信ケーブルの必要性をなくし、ワイヤフィーダと電源との間の頑強な通信システム/方法を提供する。
【0013】
以下にさらに説明するように、溶接電流/電力を運ぶことができることに加えて、溶接ケーブル130は、電源110とワイヤフィーダ120との間で通信データ(例えば制御コマンド)を運べるように設計される。本発明の実施形態はワイヤフィーダ120と電源110との間の双方向通信だけでなく単方向通信も支援する。したがって、電源とワイヤフィーダとの両方は信号および/またはデータをケーブル130上で互いに送信/受信する。
【0014】
一般的に理解されるように、電源110はその入力としてAC信号(図1に図示せず)を受信する。AC信号は3相入力または単相AC入力信号として受信され得る。AC信号は、電源および/または運営国に応じて電圧および周波数が変わり得る。例えば、AC入力は、50または60Hzにおいて100~660ボルトの範囲であり得る電力グリッドからのものであり得、または可変電圧および周波数も有し得る携帯型発電機からのものであり得る。したがって、システム100は、正しく動作することができ、入力AC電圧の大きさ、位相タイプおよび周波数にかかわらず溶接または切断信号を提供することができる。電源110は、様々なアプリケーションにおいて好適なものとして、定電圧(CV)および定電流(CC)モードを含む様々なモードで動作するように設計される。したがって、電源110は、受信される生のAC信号を調整すると共に所望溶接信号を出力するために追加電気部品を含み得る。
【0015】
最も例示的な実施形態では、電源110からの電力は、溶接に好適であり、大径電気的導管である溶接ケーブル130を介しワイヤフィーダ120へ送られる。したがって、本発明のいくつかの例示的実施形態では、溶接信号(すなわち溶接に実際に使用されるコンタクトチップへ送信される電流信号)は、初めに生成され、制御され、電源110内で修正され、次に溶接ケーブル130を介しワイヤフィーダ120へ伝達される。溶接電極に給電することに加えて、ワイヤフィーダ120は、ケーブル(図示せず)を使用することにより受信溶接信号をアークへ伝達する。
【0016】
伝統的溶接システムでは、溶接作業の適切な制御を可能にするために溶接アークの電圧を感知するためにセンスリードが頻繁に使用される。センスリードは、アークの電圧に関するフィードバックを提供するために加工物とコンタクトチップとへ電気的に結合される。このフィードバックは、溶接信号の生成および出力を制御するために電源110により使用される。例えば、センスリードは短絡事象を検知するために使用され、電源110は短絡が解除され得るようにする信号を出力するであろう。センスリードは、明瞭性のために添付図面に示されないがそれらの利用は周知であり、したがって本明細書でさらに説明する必要はない。
【0017】
例えば、いくつかのアプリケーションでは、ワイヤフィーダ120は電源110からかなりの距離に配置され、したがってケーブル130およびその他のデータ担持ケーブルまたはセンスリードケーブルは極めて長くなる必要があることに注意すべきである。これは、溶接作業が溶接作業近傍に電源110を有することにならない場合に頻繁に発生するが、ワイヤフィーダ120は適切なワイヤ給電を保証するために直近に配置される。これらの長いケーブル(特に溶接電力ケーブル130)は溶接作業中に全システムインダクタンスを著しく増加し得る。このインピーダンスの増加は、溶接電源110の全体応答性に悪影響を与え得るため、溶接作業に対する不利益となり得る。これは、パルス溶接作業では特に問題である。したがって、全システムインピーダンスを可能な限り低減することが望ましい。さらに、電源とワイヤフィーダとを接続するために別のコントロールケーブルが通常使用される。これらは、その長さのために、損傷および他の制限を受け易い。
【0018】
本発明の実施形態では、電源110とワイヤフィーダ120とは非常に長い距離だけ互いに離れて配置され得、一方、伝統的溶接システムでは、溶接電源とワイヤフィーダとの間の最大実効距離が存在する。例えば、伝統的システムは、電源とワイヤフィーダとの間の距離が100フィートを超えるべきでない。しかし、本発明の実施形態では、この距離は著しく超えられ得る。実際、部品110、120は、100~500フィートの範囲の距離だけ互いに離され得る。他の例示的実施形態では、距離は250~500フィートの範囲である。
【0019】
上に簡潔に述べたように、溶接信号上で通信信号を重畳させることにより、電力ケーブル130上で通信することによる課題のいくつかに対処する努力がなされてきた。しかし、これは、通信信号が干渉し得るか、またはそうでなければ溶接信号を含み得るため、いくつかの大きい欠点を有し得、複雑な通信制御を必要とし得る。しかし、以下に詳細に説明するように、これらの課題は本通信システムの実施形態には存在しない。すなわち、通信信号を重畳するのではなく、本発明の実施形態は、ワイヤフィーダと電源との間で通信するために調整/制御された電力引き抜きプロトコルを利用する。これについては以下にさらに説明する。
【0020】
図1に示すように、電源110は、溶接電力信号を生成しワイヤフィーダへ出力する溶接電力出力モジュール103を含む。溶接電力出力モジュールは、公知のシステムと整合して構築され得、調整DCバスを生成する整流器、バック、ブーストまたはバックブースト回路、および溶接信号を生成するために使用されるチョッパ、PWM、インバータなどの出力回路を含み得る。当然、他の公知の出力回路/構成も本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく使用され得る。この電力出力モジュールは公知のシステムと整合して制御され得る。電源110はまた、電力出力モジュール103と電源110の動作を制御するために使用され得る制御モジュール101とを含む。制御モジュールは、公知のシステムに整合して電源110の動作を制御するためにメモリ、プロセッサなどを含むプロセッサベース計算システムを含み得る。さらに、制御モジュール101は、本明細書で論述される実施形態と整合するワイヤフィーダ120との通信を容易にするために受信器105と送信器107とを含む。示されるように、受信器105は、電力出力モジュール103の出力電流を感知するために、電流センスリード104を有する電力出力モジュール103の少なくとも1つの出力線へ結合される。さらに、制御モジュール101は、電源からワイヤフィーダ120へのデータ信号の送信を容易にするために使用される送信器107を含む。送信器107は電圧信号リード106を介し電力出力モジュール103へ結合される。その使用法については以下にさらに説明する。当然、電源110はまた、明瞭性のために図示しない入力コントロール、補助電源などの追加構成部品およびエレクトロニクスを含む。しかし、電源のこれらの態様は周知であるため、本明細書で詳細に論述する必要はない。
【0021】
さらに、図示のように、ワイヤフィーダ120は、電源110との通信を容易にするために使用される制御モジュール121を含む。制御モジュール121は、ユーザがシステム100の動作を制御するためにワイヤフィーダ120へユーザ/溶接データを入力できるようにするユーザインターフェースコントロールボード126を含む/へ結合される。ユーザインターフェース126は、任意の公知のユーザインターフェースのように構成され得、データスクリーン(LEDなど)、ユーザコントロール(ノブ、ボタンなど)および/またはタッチ入力スクリーンを含み得る。任意の公知のユーザインターフェース構成が利用され得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースコントロール126は通信モジュールの一部である必要はないが、ユーザ入力は本明細書において論述されたようにユーザ入力データが伝達され得るように少なくとも通信モジュールへ結合される。制御モジュール121はまた、電圧センスリード128を介し溶接電力線130の1つへ結合されるワイヤフィーダスタッド113/114の1つへ結合される受信器129を含む(1つのセンスリードのみが示されるが、スタッドのそれぞれへのセンスリードはスタッドにおける電圧を検知するために使用され得る)。以下にさらに説明するように、電圧センスリード128は電源110から電圧通信信号を感知するために使用される。制御モジュール121はまた、送信器125と、電源110との通信を容易にするためにワイヤフィーダ120における電流引き抜きを変更するために使用される電流シンク回路127とを有する通信モジュール123を含む。これについては以下にさらに説明する。当然、ワイヤフィーダ120は、公知であり明瞭性のために図示または説明する必要がないモータ、モータコントロールなどの他のシステムおよび部品を有し得る。制御モジュール121はまた、ワイヤフィーダ120の適切な動作を保証するために公知の制御モジュールと整合するプロセッサ、メモリなどを有し得る。
【0022】
上述のように、電力ケーブル130上で複雑な通信信号を利用するいくつかのシステムが開発された。本発明のいくつかの実施形態は、この発想を利用するが、その代りに通信を容易にするために電流/電力引き抜きを変化させる。本発明の実施形態は例示的通信シーケンスに関連して以下に論述される。しかし、以下の例示的シーケンス/実施形態では、通信シーケンスはワイヤフィーダ120において始まるが、実施形態は、電源110が本明細書で説明する実施形態に整合する通信を起動し得るため、このように限定されるものではないことに注意すべきである。
【0023】
一般的に知られているように、ワイヤフィーダ120はケーブル130を介し電源110からその制御および動作電力を受け得る。この動作電力は、約60ボルト(例えば)のOCV電圧と約50ワット(例えば)の電力とを有する電源110からの出力電圧の形式であり得る。(電力信号はOCV信号と呼ばれるが、電源110からの電力信号がワイヤフィーダ内の補助回路に給電するために使用されることに起因するいくつかの電流流れが存在することに注意すべきである)。給電されると、ワイヤフィーダ120はユーザインターフェースコントロール126を介しユーザ入力を受信し得る。これらのユーザ入力は通信モジュール123および送信器125へ伝達され、送信器125は電流シンク回路127に電源110からの電力信号からのワイヤフィーダ120による電流引き抜きを変更させる。すなわち、公知の通信プロトコルを使用することにより通信信号を送信するのではなく、電流シンク回路127は、電源110が電流センスリード104と受信器105とを介し電流引き抜きの変化を「見る」または感知し、電流引き抜きのこれらの変化をデータ通信信号として解釈するように、ワイヤフィーダ120の電流引き抜きを変化させる。
【0024】
例示的電流引き抜き通信信号が図2に表される。図2は、いかなる通信もされていなく電源110がワイヤフィーダ120に単に給電している時の低OCV電流(0.5アンペア未満)引き抜きを有する電流信号200を示す。しかし、ワイヤフィーダ120が電源110と通信しようとする場合(例えば、ユーザ入力設定を伝達するために)、ワイヤフィーダは、波形200に示すように一系列のパルス内の電力信号からの電流引き抜きを変化させるために電流シンク回路127を使用する。この例示的実施形態に示すように、電流シンク回路127は、電源からの電流引き抜きを、ワイヤフィーダ120からのデータ信号として電源110により認識される(電流引き抜きの変化を感知することにより)一系列のパルスにおいて約2.5アンペアのピークレベルまでパルス化させる。ワイヤフィーダ120は、データを伝達する手段としてこれらの電流引き抜きパルスを使用する。したがって、公知の通信システムとは異なり、ワイヤフィーダ120は、(様々な既知の通信プロトコルを使用することにより)電源へ送信される通信信号を生成しないが、その代りに、電源によりデータ信号として見られる所定フォーマット/パターンで電流引き抜きを変化させる。これはより頑強かつ安定した通信プロトコルである。
【0025】
例えば、示された例示的実施形態では、通信モジュール123/電流シンク回路127はメッセージ開始電流パルス201が起動されるようにする。このパルス(およびその後のパルス)に関して、電流シンク回路127は、パルス201を生成するために所望の追加電流が電力信号から引き抜かれるようにする電流経路を生成するように切り替わる。この信号開始電流引き抜きパルス201は、電源110により信号開始パルスとして知られる所定のパルス幅および/またはピーク電流を有する。例えば、図示のように、信号開始パルス201は3msのパルス幅と約2.5アンペアのピーク電流を有する。したがって、この電流引き抜きが電源110により感知されると、電源110の制御モジュール101は、データがワイヤフィーダから電源へ送信されることを認識する。信号開始パルス201に続いて、一系列の電流引き抜きパルス203/205が電流シンク回路127により生成され、電源110により感知される。電源110の制御モジュール101により認識されるパルス203/205は2進コード(「1」と「0」)を表し得、したがって、制御モジュール101はワイヤフィーダ120からデータメッセージを受信するためにこれらの電流引き抜きパルスを解釈/利用する。例えば、電源110は、所与の溶接作業のための所望溶接信号を提供するためにこのメッセージを使用し得る。図示のように、データパルス203/205は、所望の2進コードを提供するために様々なパルス幅および/またはピーク電流を有し得る。示された実施形態では、パルスは同じピーク電流を有するが、それらのパルス幅が変更され、1つのデータパルス203は他のデータパルス205より大きいパルス幅を有する。この2進パルス方法論を使用することにより、2進信号は、ワイヤフィーダにおいて電流引き抜きを変化させることのみを利用することによりワイヤフィーダ120から電源110へ送信され得る。いくつかの例示的実施形態では、信号終了電流引き抜きパルス(図示せず)は、電源へのデータ送信の終了をシグナリングするために回路127により生成され得る。例えば、信号終了パルスは、信号開始パルス201と同じであり得るが、2回目に受信されるため、信号終了パルスとして認識される。他の実施形態では、信号終了パルスは、信号終了パルスとして電源において認識される様々なピーク電流および/またはパルス幅を有し得る。別の例示的実施形態では、受信器105および/または制御モジュール101は、ワイヤフィーダからの所定ビットサイズの情報のパケットを有し得、適正量の情報(例えばビット)がワイヤフィーダ120から受信されると、制御モジュール101は、全パケットが送信されたと判断し、次にこのパケットを処理し、別の信号開始パルス201を待つ。このような実施形態では、信号終了パルスは必要ない。さらに、追加実施形態では、信号の開始および/または終了は単一パルスでなくてもよく、データパケットの先頭および/または終了をシグナリングするために使用される同じタイプの2つ以上のパルスであり得る。例えば、実施形態は、データメッセージの先頭を表わすために、いくつかのパルス特性を有する2つの同一データパルスを使用し得る。
【0026】
本発明の実施形態により利用される電流引き抜きパルス201/203/205は、電源110とワイヤフィーダ120のそれぞれがパルスデータを認識する限り任意の所定パルス幅/ピーク電流を有し得る。例えば、パルスは、0.25~5アンペアの範囲のピーク電流を有し得、様々なパルス201/203/205が電源110により正しく認識されるように互いに十分に区別可能である限り0.05~100msの範囲のパルス幅を有し得る。別の例示的実施形態では、パルス幅は0.5~5ms、1~3msの範囲であり得る。例えば、例示的実施形態では、信号開始パルス201は3msのパルス幅を有し得、一方、データパルス203、205はそれぞれ2msおよび1msのパルス幅を有し得る。これらのパルスは同じピーク電流を有し得るか、または様々な例示的実施形態では様々なピーク電流を有し得る。例示的実施形態では、それぞれのパルスのピーク電流は1~5アンペアの範囲であり得る。別の例示的実施形態では、パルスのピーク電流は2~4アンペアの範囲であり得る。例示的実施形態では、電流引き抜き信号は10Hz~10kHzの範囲の周波数を有し得、一方、他の実施形態では範囲は100Hz~500Hzであり得る。当然、実施形態はこれらのパラメータに限定されず、他のパルス幅、ピーク電流および周波数が、通信プロトコルが電源110により認識可能である限り、使用され得る。他の例示的実施形態では、通信目的のために、パルスのピーク電流の期間が様々なパルスを識別するために変更され得る。すなわち、このような実施形態では、パルスのそれぞれのパルス幅は同じであるが、様々なパルスのピーク値の期間が異なり、この差は、様々なパルスを認識するために電源110により使用される。データを伝達するために任意数の様々なパルスタイプが使用され得、これらのパルスは、電源により認識可能な限りパルスを識別するために様々なピークおよび/または幅を有する。さらに、データ送信のためのパルスを識別するためにパルス周期または周波数が使用され得る。
【0027】
しかし、電流シンク回路127はOCV信号から電流を引き抜くため、引き抜かれた電力はワイヤフィーダ120内で放散される必要があることに注意すべきである。これは、抵抗器または同様の熱/エネルギー放散部品/技術の使用により行われ得る。したがって、ワイヤフィーダ120により引き抜かれた電力/電流はワイヤフィーダ120により放散され得る量内であるべきである。すなわち、任意のメッセージ内で放散される電力量(メッセージの期間全体にわたる全電流および電圧)はいかなる部品も過熱することなく放散され得る量であるべきである。本発明のいくつかの例示的実施形態では、データ信号の平均電力は25ワットを超えない。別の例示的実施形態では、電流引き抜きデータ信号の平均電力は5~25ワットの範囲である。別の例示的実施形態では、平均電力は7~20ワットの範囲である。当然、ワイヤフィーダ120がより多くの熱エネルギー/電力を放散することができる限り、電流引き抜き信号の平均電力は上述のものより高くなり得る。
【0028】
通信モジュール123において電力(発生した熱を介し)を放散することを支援するために、ワイヤフィーダ120は、エネルギーを放散するために使用されるいかなる抵抗体部品も冷却するために既存冷却ファン(図示せず)を利用し得る。他の例示的実施形態では、電力放散に起因するいかなる発生熱も適切に放散するために通信中に電流シンク回路127を冷却するために二次ファン、ヒートシンクなど(図示せず)の専用冷却機構が使用され得る。別の例示的実施形態では、回路127またはいくつかのその部品の温度を監視するために温度監視回路(図示せず)が使用され得る。このような温度監視回路/システムは一般的に知られている。温度を監視することにより、システムコントローラは、回路127の熱を制御するためにいくつかのプロトコルを実施し得る。例えば、いくつかの例示的実施形態では、コントローラは、検知された熱(所定熱閾値レベルと比較して)を使用し、補助冷却ファンをオンさせて所望部品を冷却するのを支援し得る。別の例示的実施形態では、コントローラは、通信プロセスを停止するために、検知された熱を使用し得るか、または熱閾値レベルを超えないことを保証するために通信プロセスを変更し得る。例えば、いくつかの実施形態では、通信がしばらく停止することを示すために情報パケットを電源へ送信し得、次に、ワイヤフィーダコントローラは、温度が許容可能となる時間まで温度を監視し、その後再び通信を開始し得る。他の例示的実施形態では、コントローラは、必要なエネルギー吸収を低減するために電流引き抜きパルスを変更し得る。例えば、コントローラは、温度が許容レベルに達し、次に元のパルスピークが使用され得るまでより少ないエネルギーが吸収されるように、回路127にパルスのピーク電流レベルを低減させ得る。当然、電源110も、これらの二次パルス構成を認識するように構成されるべきである。パルスパラメータの変更は、電源110が変更パルスを認識するように適切に構成されるように変更前にワイヤフィーダ120から電源110へ伝達され得る。別の例示的実施形態では、ワイヤフィーダ120のコントローラは少なくとも2つの所定温度閾値レベルを有する。第1の熱レベルが検知されると、コントローラは、通信が停止されなければならなく追加冷却が必要であるおよび/または通信は熱レベルが低減されるように変更されなければならないと判断する。第2のレベルは第1のレベル未満であり、第2のレベルが検知されると、コントローラは通常通信が再開され得ると判断する。これは、通常動作が再び開始される前に熱が十分に低減され得るようにする。通常通信が再開されると第1のレベルに急速に達しないようにこの十分に低い第2のレベルを有することが有益であり得る。
【0029】
上述のように、電源110は、電流引き抜きパルス201、203および205を認識し、ワイヤフィーダ120からの命令に整合した電源110の動作を制御するためにそれらのパルスを使用するために電流センス回路104と受信器105とを使用する。電源110は、所望溶接作業を実行するためにその波形、出力設定などを調整するためにこの情報を使用する。
【0030】
次に、電源110からワイヤフィーダ120への通信に移ると、電流パルスとは対照的に電圧パルスが使用されることを除いて同様の通信プロトコルが使用される。すなわち、本発明のいくつかの例示的実施形態では、電源110は、確認応答および/または他のデータをワイヤフィーダ120へ送信するために、供給されたOCV電圧内の電圧パルスを使用する。例えば、いくつかの実施形態では、制御モジュール101は、ワイヤフィーダ120により送信されたデータパケットが受信されたことを示すために確認応答信号をワイヤフィーダ120へ送信するように構成され得る。このような実施形態では、ワイヤフィーダ120はデータパケットを送信し得(電流引き抜きパルスを介し)、電源110により受信されると、電源は確認応答パルスおよび/またはメッセージを送信し、この確認応答がワイヤフィーダ120により受信されると、ワイヤフィーダ120は別のデータパケットを送信し得る。いくつかの実施形態では、いかなる確認応答もワイヤフィーダ120により受信されなければ、ワイヤフィーダ120はデータパケットを再送信する。当然、他のデータも以下の方法論を介しワイヤフィーダ120へ送信され得る。例示的実施形態では、電源110は、電圧パルス信号を電力出力モジュール103へ供給するために送信器107を使用する。電力出力モジュール103は、その出力を制御するために電圧パルス信号を使用し、所定通信プロトコルに整合した電圧パルスを、電力ケーブル130を介しワイヤフィーダ120へ供給する。電力出力モジュールのコントロールは周知であるため、本明細書では詳細に説明する必要はない。
【0031】
電圧通信波形300の例示的実施形態を図3に示す。この図に示すように、電流引き抜きパルスを使用するのではなく電圧パルスが採用されることを除き、同様の通信方法論が図2に関して説明したように採用される。すなわち、電源110はOCV電圧をワイヤフィーダへ供給する(例えば溶接前または後に)ため、電源110はまた、情報をワイヤフィーダへ伝達するために電圧パルス301、303および305を供給する。パルスは、ワイヤフィーダ120のスタッド113を受信器129へ結合する電圧センスリード128により感知される。これらの電圧パルスは感知され、ワイヤフィーダのコントローラ121により使用されるように情報信号へ変換される。
【0032】
ここで図3に移ると、上述のプロトコルと同様に、電源110は、メッセージが続くことをワイヤフィーダ120へ示すメッセージ開始電圧パルス301を出力し得る。第1のパルス301は、ワイヤフィーダ120によりデータメッセージの先頭として認識されるパルス幅、電圧レベル、電圧レベル持続時間、および/または周波数などのパラメータの特定の組を有し得る。図2と同様に、メッセージ開始電圧パルス301に続くのは、2進メッセージをワイヤフィーダ120へ伝達するように互いに異なる一系列のデータ電圧パルス303、305である。
【0033】
図3の例に示すように、電源110からのOCV信号は60ボルトのOCV電圧を有する。電圧パルス301、303、305それぞれは所定持続時間の間に約20ボルトまで低下し、この電圧降下は受信器129により検知され、コントローラ121は、受信されたメッセージ/確認に整合したワイヤフィーダ120の動作を制御するために受信パルスを使用する。図示のように、パルス303は第1のパルス幅を有する第1のデータパルスタイプであり、パルス305は第2のパルス幅を有する第2のデータパルスタイプである。示された実施形態では、パルスタイプのそれぞれの電圧レベルは同じである(示された実施形態では、パルス電圧は約20ボルトである)。当然、他の例示的実施形態では、様々なパルスタイプが様々な電圧レベルおよび/または周波数を有し得る。例えば、パルスのパルス幅を変更するのではなく(図3に示すように)、パルスは同じパルス幅であるが異なる電圧レベルを有し得る、例えばパルス303は20ボルトのレベルを有し、パルス305は40ボルトのレベルを有する。当然、他の実施形態では、パルス303/305が互いに区別可能でありかつワイヤフィーダ120により個別パルスとして認識され得る限り、他のパルスパラメータが変更され得る。
【0034】
図3に示すように、電源110からワイヤフィーダ120への電圧パルスは、電源110からのOCV電圧信号において作成され約20ボルトの電圧を有し、様々なパルスのパルス幅は異なる。当然、この実施形態は例示的であるように意図されており、他の例示的実施形態では、パルスの電圧レベルは、パルスがデータパルスとして認識可能である限り1~70ボルトの範囲であり得、一方、他の実施形態では、電圧は10~55ボルトの範囲であり得る。当然、いかなる溶接作業も進行中でない場合、パルス301、303および305の電圧レベルは、電源110からワイヤフィーダ120へ供給される電力信号のOCV電圧レベルの関数であり得る。いくつかの例示的実施形態では、パルスの電圧レベルは、非溶接電力信号のOCV電圧レベルの20~95%の範囲である。他の例示的実施形態では、電圧レベルはOCV電圧レベルの30~90%の範囲である、別の実施形態では、電圧レベルはOCV電圧レベルの33~75%の範囲である。当然、パルスの電圧レベルは、送信データが正確かつ確実に受信されることを保証するようにパルスの電圧レベルがワイヤフィーダ内の受信器により十分に認識可能である限り、所与のシステムに適正な任意のレベルであり得ることに注意すべきである。例示的実施形態では、OCV電圧パルス信号は100Hz~10KHzの範囲の周波数を有し得る。別の例示的実施形態では、信号の周波数は1~5kHzの範囲であり得る。他の例示的実施形態では、周波数は100Hz~1KHzの範囲である。さらに、電流引き抜き信号方法と同様に、データを伝達するために任意の数の異なる電圧パルスタイプが使用され得、電圧パルスは、ワイヤフィーダにより認識可能である限り、パルスを識別するために異なるピークおよび/または幅を有する。さらに、データ送信のためのパルスを識別するためにパルス周期または周波数が使用され得る。
【0035】
いくつかの例示的実施形態では、信号パルスの電圧は0ボルト程の低さまで低下し得ることに留意されたい。しかし、このような実施形態では、信号の持続時間は、ワイヤフィーダ120へ供給される電力がその動作に影響を与えるほど長くあるべきでない。
【0036】
上記方法論は、電源からワイヤフィーダへの標準的OCV電力信号が複雑な通信プロトコルの必要性なしに部品間で通信する手段として使用される溶接システムのワイヤフィーダと電源との間の通信の例示的実施形態について説明した。すなわち、例示的実施形態では、ワイヤフィーダはOCV信号上の可変電流引き抜きを使用し、電源は通信を容易にするためにOCV信号内に電圧パルスを挿入する。本明細書で説明したように、本発明のいくつかの実施形態は、溶接システム部品間でデータを伝達するために少なくとも2つの異なる電流引き抜き/電圧パルスを使用し得、異なるパルスは少なくとも1つの異なる特性を有する。すなわち、パルスは、正確なデータ送信のためにそれぞれの受信器がパルスを識別できるようにするのに差が十分な限り、パルス幅、周波数、ピーク持続時間および/またはピーク値のうちの少なくとも1つが異なり得る。当然、他の実施形態では、これらのパルス特性の任意の組み合わせもデータパルスを識別するために使用され得る。例えば、第1のデータパルスは第1のパルス幅とピークを有し得、第2のタイプのデータパルスは異なるパルス幅およびピークを有し得る。当然、本明細書で説明する例示的実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく他の組み合わせがデータパルスを識別するために使用され得る。この通信方法論は大いに頑強でありかつ信頼できる。
【0037】
さらに、通信のモードのために、OCV信号のオン時間が十分な限り電源110からワイヤフィーダ120へのメッセージングの期間の実用的限界はない。しかし、ワイヤフィーダ120から電源110へのメッセージの全持続時間には制限があり得る。ワイヤフィーダ120はメッセージングプロトコルとしてOCV信号から電流を引き抜いているため、上に説明したようにこのエネルギーは放散される必要があり、これは熱放散を介し行われ得る。したがって、ワイヤフィーダ120からのメッセージは、ワイヤフィーダ120による適正な熱/エネルギー放散を保証する長さのものであるべきである。
【0038】
上記実施形態はケーブル130上でワイヤフィーダ120へ送信される溶接信号が存在しない場合の通信として説明されたことに注意すべきである。本発明の他の例示的実施形態では、ワイヤフィーダ120は、上述のものと同様の通信プロトコル(電流引き抜きパルス)を使用することにより溶接中に電源110と通信し得る。当然、ワイヤフィーダ120から電源110への電流引き抜きパルスメッセージは溶接作業および溶接波形と干渉しないように構成されるため、通信は溶接中に発生し得る。ワイヤフィーダモータからの電流引き抜き(消耗可能ワイヤに給電するのに使用される)も、モータに必要な電流がワイヤ給電のためのトルク要件の変化のために変化し得るため、頑強な通信を容易にするように考慮されるべきである。したがって、溶接中にワイヤフィーダ120が電源と通信する本発明の例示的実施形態では、電流引き抜きパルスメッセージの周波数は、干渉しないように比較的低くあるべきである。例えば、例示的実施形態では、データ信号の周波数は20~100Hzの範囲であるべきである。すなわち、メッセージが複数の周波数を含む(上に説明したように)限りにおいて、周波数のそれぞれは上述の範囲であるべきである。他の例示的実施形態では、周波数は30~70Hzの範囲であるべきである。これらの比較的低い周波数は、通信中に溶接作業とのいかなる干渉もないことを保証するように使用され得る。当然、他の実施形態では、干渉が発生しない限り他の周波数が使用され得、他の周波数は溶接作業において使用される周波数により規定され得る。本発明のいくつかの実施形態は、通信信号が溶接信号から十分に識別され得、溶接信号と干渉しない限り、CC、CV、パルス、短アーク、STTなどを含むすべてのタイプの溶接中に使用され得る。
【0039】
別の例示的実施形態では、2つ以上のワイヤフィーダ(負荷)が電源へ接続され得ることに注意すべきである。このような実施形態では、ワイヤフィーダからのデータ信号は、電源により認識されるワイヤフィーダ識別子を含み、電源が正しい出力を適切なワイヤフィーダへ供給することを保証するのを支援するために使用される。したがって、いくつかの実施形態では、電源は、本明細書で論述される方法を使用することにより2つ以上のワイヤフィーダへ結合され得、それと通信し得る。
【0040】
図4および図5は、電流シンク回路127の例示的実施形態に関する追加の詳細を提供する。描写された例示的実施形態は、上に説明したようにメッセージング中に電流引き抜きパルスを調整および吸収するためにスイッチ403および405と、抵抗器407、409および411と、電流シャントレギュレータ401とを含む。電流シャントレギュレータ401は、必要に応じて行うことができる限り、任意の既知のこのようなレギュレータであり得る。このようなレギュレータの例はTexas InstrumentsのTL431 3端子調整可能シャントレギュレータである。当然、他の同様に機能する部品が使用され得る。例えば、いくつかの例示的実施形態では、シャントレギュレータ401の代わりに演算増幅器/MOSFET組み合わせが使用され得る。さらに、追加実施形態では、負荷抵抗器409は、必要に応じ性能を改善するために入力電圧に基づきオン/オフされ得る(公知の切り換え回路構成を使用することにより)。図4および図5に示す回路では、抵抗器409は、ワイヤフィーダにおける電流引き抜きパルスの生成中のエネルギー放散の大部分を与える。
【0041】
図5の実施形態では、接続柔軟性を電源110の出力スタッドへ加えるように回路へフルブリッジ整流器500が追加される。すなわち、整流器500の使用により、電源110の正および負端子への接続の柔軟性が増す。当然、上に説明したのと同じ機能を達成するために他の例示的回路が使用され得ることが理解され、これらの回路は、本明細書で説明する本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0042】
上に論述された属性および構成のために、本発明の例示的システムは公知の溶接システムを超える大きい利点を提供し得る。すなわち、本発明の実施形態を使用することにより、ワイヤフィーダと電源は、別の通信ケーブルなしに互いに通信し得、溶接システムの頑強性および有用性を高めて互いに通信し得る。さらに、この通信およびデータ送信は、データが溶接信号と同じ溶接ケーブル上で送信されても溶接信号または溶接作業に悪影響を与えることなく発生する。
【0043】
上述のように、ワイヤフィーダ120と電源110のそれぞれは、コンピュータを採用し得るコントローラ、または本明細書で説明する通信プロトコルを容易にするために様々なプログラムを実行するマイクロプロセッサ型システムを使用する。コンピュータプログラム(例えばコンピュータプログラムシステム)は、コンパイルまたはインタープリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述され得、スタンドアロンプログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチンまたは計算環境で使用するのに好適な他のユニットを含む任意の形式で配備され得る。コンピュータプログラムは1つのコンピュータ上または1つのサイトにおける複数のコンピュータ上で実行されるように配備され得るか、または複数のサイト全体にわたって分散され通信ネットワークにより相互接続され得る。
【0044】
次に、溶接電極における電圧の作業現場電圧計測データを連続的に受信する工程であって、作業現場電圧計測データは溶接ケーブルを使用することによりアーク両端に伝達される、工程と、電圧差を識別するために作業現場電圧計測データと溶接電源における溶接出力電圧とを連続的に比較する工程とを含むシステムおよび方法を提供する別の例示的実施形態に移る。通信方法論は上に説明したものであり得る。本方法はまた、電圧差に少なくとも部分的に基づき溶接電源を使用して溶接出力電圧を増加または低減する工程を含む。
【0045】
別の実施形態は、加工物リード接続と溶接ケーブル接続とを有するワイヤフィーダを含む溶接システムを提供する。溶接ケーブル接続はワイヤフィーダを電源へ動作可能に結合するように構成され、加工物リード接続はワイヤフィーダと加工物との間の回路を完成するように構成される。本システムはさらに、ワイヤフィーダと作動可能に結合された作業現場電圧計測部品を含む。作業現場電圧計測部品は作業現場電圧測定結果を連続的に判断する。このような実施形態では、ワイヤフィーダは作業現場電圧測定結果を受信するように構成され、ワイヤフィーダは、溶接ケーブル接続と加工物リード接続との少なくとも1つを介し作業現場電圧計測データを送信するように構成される。
【0046】
上に説明したように、アーク両端の電圧および電流検出などの溶接作業に関係する情報およびケーブルインピーダンス変化などを含む、溶接作業の他の側面に関係する情報を中継することを含む様々な種類の通信がシステム部品間で発生し得る。
【0047】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態は「アーク両端」溶接配置において使用され得る。上述の実施形態のように、アーク両端配置は、一対のケーブルが電力と通信との両方を提供するために電源から加工物へ延在し、その一方は加工物へ接続され、他方は未接続状態でワイヤフィーダを待つようにされる。加工物へクランプするそれ自体のリードを有するワイヤフィーダが、プラグで接続され、追加制御ケーブルを使用することなく遠方の電源と作業リード上で通信する。アーク両端配置は、溶接システムの複雑性、重量、付属部品経費およびあり得る障害発生点を低減する。
【0048】
溶接システムの様々な実特性が溶接システムの性能に影響を与え得、これらの特性とデータとは本明細書で説明する通信プロトコルを介し送信され得る。特定の方法で溶接しようとするか、または溶接品質を改善しようする際、特定の溶接波形に関連する溶接設定が選択および伝達され得る。このような波形と他の溶接パラメータとに従って、溶接電源は溶接作業に電力を供給する。しかし、これらのパラメータは期待または理想条件に基づく。
【0049】
いくつかの状況では、(「アーク両端」)および他の溶接システム配置における期待または理想条件からの乖離は、ケーブルインピーダンスが電源とワイヤフィーダとの間に電圧降下を引き起こし得ることであり、したがって電源出力電圧がワイヤフィーダの要件へ設定されるが、ワイヤフィーダ電源入力は実際には所定電圧を受信しない。インピーダンスに起因する電圧降下は、ケーブルの長さおよび組成、ケーブルの幾何学形状(回旋型対延長型)、供給される溶接電流、溶接波形および溶接パラメータ、ならびに他の因子に依存して変化する。したがって、電源における単純な電圧オフセットは、溶接ツールにおける期待出力値からの差異が本来動的であり得るため、この差異を常には補償しないことになる。
【0050】
この可変差異を監視するために、電気測定装置(限定しないが電圧計、マルチメータまたは他の装置または部品を含む)が、ワイヤフィーダにおける電圧を判断するためにワイヤフィーダに配置されるか、またはそれと一体化され得る。この電圧は、アーク両端の電源(または電源と通信する別の装置)へ返送され、期待/溶接電圧と比較され得るか、または本明細書で説明する通信プロトコルを介し比較され得る。このような比較は連続的にかつ実時間で行われ得る。次に、電源動作パラメータは、正確な適正電圧(または他のパラメータ)がワイヤフィーダへ供給されることを保証するために調整され得る。いくつかの実施形態では、これは、瞬間的にまたはごく最近検知された電圧降下に従って連続的に調整することとは対照的に、平均電圧降下をほぼ等しくする(大きさで)のに十分なデータに平均電圧降下が基づくまで一定期間にわたる平均電圧降下を判断する反復フィードバック過程である。
【0051】
本明細書で開示される実施形態における通信は本明細書で説明する方法論を介し発生し得る。これは、追加制御線が多くの環境において厄介になり得、無線通信が必ずしも実現可能だとは限らないため、単純な通信を提供する(例えば、視線が問題である造船所で、または使用前に異なる無線装置間のペアリングを必要とする複数の電源が存在し得る造船所で)。この配置は、ワイヤフィーダのプラグアンドプレイ能力を提供する一方で有線接続の数を最小化する。
【0052】
図6は、本技術革新の実施形態による溶接出力回路経路(図7および他の添付図面の参照符号1205で示されたものなど)の例示的回路表現1100である。回路表現1100は、溶接出力回路経路1205の溶接ケーブル1220側のインダクタンスLc 1110と抵抗Rc 1120とを含む。これらの値は、溶接ケーブル1220の特性により規定され得る(ただし、必ずしも排他的にそうである必要はない)。回路表現1100はまた、溶接出力回路経路1205の溶接電源1210側のインダクタンスLm 1130、内部抵抗Ri 1140、およびダイオードD1 1150を含む。これらの値は、溶接電源1210の特性により単独でまたはワイヤフィーダ1270(例えば機械側)と併せて規定され得る(ただし、必ずしも排他的にそうである必要はない)。溶接ケーブル1220は電気ノード1160、1170を有する溶接出力1212において溶接電源1210へ接続し、加工物は溶接出力端子1191、1192の近傍に配置され得る。
【0053】
電流(I)1180が溶接出力回路経路1205を流れると、出力電圧(V)1165がノード1160および1170間に生成される。電源からのインピーダンスは、予め定められ得る(例えば、機械側出力チョークにより、および電流に依存して)が、電源の外(または他の外部部品)からの外部インピーダンスは、すべての状況では電源に知らされ得ないか、または電源により予測され得ない。溶接ケーブル1220の特性は少なくとも静的でないため、溶接ケーブル1220の配向および/またはサービス性は時間と共に変化し、さらに、異なるケーブル(例えば異なる長さ、直径、損耗、および他の品質を有する)が同じ溶接電源1210と共に使用され得る。したがって、システムの全インピーダンスはケーブルに基づき時間と共に変化する。
【0054】
変動インピーダンスは、溶接電極または加工物における期待電圧と実電圧との差を含みシステム内の様々な点における電圧差異を引き起こし得る。電圧差異を判断する様々な技術について本明細書で説明する。いくつかの(必ずしもすべてではないが)実施形態では、電源、ワイヤフィーダ、ツールまたは独立電気的フィードバック装置が、実際の電気的特性と、電源設定と溶接システム全体とに基づく期待特性との差異を判断し得る。1つまたは複数の具体的実施形態では、ワイヤフィーダは、溶接ケーブルインピーダンスに起因する電圧誤差または差異を判断し、測定場所における期待電圧(例えば、加工物における、電源からの、他の値からの)と測定場所における実電圧(例えば加工物における実電圧、溶接ツール内の実電圧、ワイヤフィーダにより検知される実電圧等)との差を判断するための電圧フィードバック能力を含む。
【0055】
電気的測定結果(例えばワイヤフィーダまたは溶接ツールにおける電圧測定結果)はアーク両端に送信され得、これにより別の制御ワイヤまたは複雑な無線通信技術の必要性をなくす。溶接ケーブルをシステム中へ接続することで、このような溶接ケーブルを使用する通信を可能にし、電気的測定に少なくとも関係するフィードバックを可能にする。これは、溶接ケーブルに加え別のセンサおよび/または制御線を任意選択的に使用し得るもの(表面張力転送など)を含み多くの溶接配置において有益である。アーク両端技術は、性能の改善を可能にすると共に、誤差要因および障害発生点をなくすだけでなくシステム全体の複雑性を低減する。
【0056】
このような実施形態に移ると、図7は、本技術革新の様々な態様による、溶接出力回路経路1205を含む溶接システム1200の例示的実施形態の概略ブロック図を示す。溶接システム1200は、溶接出力1212、比較器部品1216および任意選択的にディスプレイ1214を有する溶接電源1210を含む。溶接出力回路経路1205は、溶接出力1212において溶接電源1210へ接続される。
【0057】
一実施形態によると、溶接出力回路経路1205は、溶接ケーブル1220、溶接ツール1230、加工物コネクタ1250、溶接ワイヤスプール1260、溶接ワイヤフィーダ1270、溶接ワイヤ1280、溶接電気計測部品1290および任意選択的加工物1240を含む。溶接ケーブル1220は、溶接ツールおよび/または任意選択的加工物1240へ接続するためのリードを含む。
【0058】
動作中、溶接ワイヤ1280は、実施形態に従って、ワイヤフィーダ1270を介し溶接ワイヤスプール1260から溶接ツール1230中に供給される。別の実施形態によると、溶接システム1200は、溶接ワイヤスプール1260、ワイヤフィーダ1270または溶接ワイヤ1280を含まないが、その代りに、例えばスティック溶接に使用されるような消耗電極を含む溶接ツールを含む。本技術革新の様々な実施形態によると、溶接ツール1230は、溶接トーチ、溶接銃、電極ホルダおよび溶接消耗品のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0059】
溶接出力回路経路1205は、溶接電源1210の溶接出力1212から溶接ケーブル1220を通って溶接ツール1230へ、加工物1240を通っておよび/または加工物コネクタ1250へ延在し、および溶接ケーブル1220を通って溶接電源1210へ戻る。動作中、溶接電源1210は溶接出力波形を溶接出力回路経路1205へ印可し、時変電流に溶接出力回路経路1205を通るようにさせ、ワイヤ(または電極)と加工物1240との間にアークを生成し得る。本技術革新の実施形態によると、溶接ケーブル1220は同軸ケーブルアセンブリを含む。本技術革新の別の実施形態によると、溶接ケーブル1220は、溶接電源1210から溶接ツール1230へ延在する第1のケーブル長と、加工物コネクタ1250から溶接電源1210へ延在する第2のケーブル長とを含む。
【0060】
溶接ケーブル1220上で送信されることができるデータの一部は電気計測部品1290からの電気的測定結果である。電気計測部品1290は、任意選択的加工物1240における、またはその上の、またはワイヤフィーダ1270における、またはその近傍、または他のいずれかの場所の作業現場において電気的可変値を測定し得る。一実施形態では、電気計測部品1290は、1つまたは複数の電圧計測を行い(例えば、加工物において、別の場所において)、その電圧値を、溶接ケーブル1220を介し送信することにより溶接電源1210へ送信する。電気計測部品1290は溶接ツール1230の近傍にあるとして示されているが、電気計測部品1290はスタンドアロンであり得るか、または様々な他の部品中(例えばワイヤフィーダ1270内)に取り込まれ得る。
【0061】
比較器部品1216(または溶接電源1210の他の部品)は、電気計測部品1290により測定された値と溶接出力1212における出力に基づき期待されるものとを比較し得る。この比較に基づき、比較器部品1216は、期待の電気的測定結果と実際の電気的測定結果との間の電気信号差異を計算し得る。一実施形態では、差異は電圧差である。電圧差に基づき、溶接電源1210は、例えばケーブルインダクタンスおよび他のシステム特性に起因する電圧差を補償するために溶接出力電圧を増加または低減し得る。
【0062】
図8は、本明細書で説明する技術を使用する溶接システム1500の別の実施形態を描写する。溶接システム1500は、溶接ワイヤフィーダ1570、溶接ケーブル1520、溶接ツールリード1521および加工物リード1522を含む。溶接システム1500はまた、溶接電源1530、溶接ツール1510、および/または溶接加工物1540を任意選択的に含み得る。電源1530は、比較器部品1516を含み、少なくとも溶接ケーブル1520を介し電気計測部品1590と通信可能に結合される。これに関し、通信はアーク両端で発生し得る。
【0063】
電気計測部品1590は、溶接回路内の実際の電気計測結果を記録し、電気測定結果を比較器部品1516へ返送し、比較器部品1516は期待電気的値に照らして実際の電気計測結果を解析する。実際値と期待値との差に基づき、溶接パラメータは修正され得る。これは、電圧差異に基づき溶接ワイヤフィーダ1570を通って供給される溶接電圧を増加または低減するために信号を電源1530へ送信することを含み得る。
【0064】
溶接システム1500は、他の任意選択的要素を有するシステムの中心部品として溶接ワイヤフィーダ1570を描写するが、描写された要素の様々な組み合わせが、技術革新の範囲または趣旨から逸脱することなく利用され得る。例えば、溶接ワイヤフィーダ1570と溶接電源1530とは組み合わせユニットであり得る。さらに、比較器部品1516は溶接ワイヤフィーダ内に組み込まれているように示されているが、この部品は、別の実施形態における他の要素(電源1530、溶接ツール1510または電気計測部品1590を含む)内に存在し得る。少なくとも1つの実施形態では、期待電圧値は、比較器部品1516が溶接ワイヤフィーダ1570(および/または溶接電源1530)外の場所における測定値の比較を完了できるようにするために、溶接ケーブル1520を使用することにより送信される。さらに、ワイヤフィーダおよび/または電源のそれぞれは、ユーザがシステムと部品と入力データとパラメータと相互作用すると共に情報とパラメータを読めるようにするユーザインターフェースを有し得る。
【0065】
図9図8のものと同様の別の実施形態を示し、溶接システム1600は電気的特性信号プロセッサ1692を含む。いくつかの実施形態では、電気的特性信号プロセッサ1692は電圧信号プロセッサであり得る。電気的特性信号プロセッサ1692は測定された電気的特性(例えば電気計測部品1590からの)を別のフォーマットへ変換し得る。いくつかの実施形態では、電気的特性信号プロセッサ1692は、測定された電気的特性をその送信により必要とされる帯域幅を低減するために圧縮サイズ信号へ変換する。一実施形態では、電気的特性信号プロセッサ1692は、比較のための電圧値を送信するために圧縮サイズ電圧データを生成する。代替または補足的実施形態では、電気的特性信号プロセッサ1692は、符号化、暗号化、または再フォーマット化を含むために、測定された電気的特性のフォーマットを変更し得る。
【0066】
測定された電気的特性の修正により、アーク両端通信の使用の拡大を可能にし得る。一例では、表面張力転送および他の短アーク溶接方法は、これらの動作の制御のための迅速な計算を行うために情報を電源へ返送するセンスリードを含み得る。センスリードに代わる溶接ケーブル1520への信頼は、複雑な過程の制御に必要な実時間フィードバックを提供するのに不十分な帯域幅を時にもたらし得る。例えばワイヤフィーダ1570(および/または他の部品)におけるパラメータを測定し計算を行うための追加回路構成を取り込むことで、その中でより大きいデータ部分が受信され、処理され、解析され得るようにし得、溶接ケーブル1520を使用することにより利用可能な帯域幅に適合する小さい制御信号が電源1530(および/または他の部品)へ返送され、調整される。これは、より多くの判断または制御工程が、判断または制御工程毎により狭い帯域幅で行われ得るようにし、制御の速度を増す。これは、電力ケーブルを使用することにより電源へ供給する前に電圧などのアナログパラメータ信号をデジタル信号へ変換することを含み得る。
【0067】
特定の実施形態では、長期にわたる電圧がワイヤフィーダ1570において実時間で測定され得る。ワイヤフィーダは、比較器部品1516を含み得、電気計測部品1590と電気的特性信号プロセッサ1692とを含み得るか、またはそれらと作動可能に結合され得るかのいずれかである。これらの部品のうちの1つまたは複数は、すべてのパラメータがワイヤフィーダ1570または(任意選択的)加工物1540において測定されれば必要とされる情報より小さい部分的情報を含む圧縮サイズ信号を含むトリガを生成するための計算を行い得る。トリガは、計算または調整に使用されるために電源1530へ送信される。いくつかの実施形態では、トリガは、計算または調整に使用されるために代替または追加構成部品(例えば溶接ワイヤフィーダ1570、比較器部品1516等)へ送信され得る。別のこのような実施形態では、瞬間電圧または電圧差が、溶接ケーブル1520を介し溶接ワイヤフィーダ1570および/または電源1530へ実時間で供給される。上に説明したものなどのいくつかの実施形態では、ワイヤフィーダ内に比較器を有することで、ワイヤフィーダが、溶接信号比較を行い、次に設定点を(本明細書で説明する通信を介し)ワイヤフィーダへ返送できるようにする。例えば、比較器は検知された溶接電圧と所望電圧設定点(ワイヤフィーダへ既に伝達されたまたはワイヤフィーダにおいて設定された)とを比較するために使用され得、次に、検知された電圧を電源へ送信するのではなく、ワイヤフィーダは比較を行い、電源の新しい電圧設定点を送信する。次に、電源は、新しい設定点に基づきその出力電力を変更する。当然、電流などの他の溶接パラメータはこのようにして変更され得る。
【0068】
一実施形態では、制御は「内部ループ」と「外部ループ」とに分岐され得、内部ループ制御はワイヤフィーダ1570において発生し、外部ループ制御は電源1530において発生する。表面張力転写工程のタイミングの制御などの実時間で行われなければならない制御のために、高速制御がワイヤフィーダ1570により行われる。それほどタイムクリティカルでないプロセス制御は電源1530により行われるであろう。電源制御はパラメータを利用し、他のデータは、このようなデータを処理しそれに応答するためのオンボード制御回路構成を使用する電源1530へ返送される。ワイヤフィーダ1570と電源1530との間の情報は、このような実施形態では溶接ケーブル1520を介し送信され得る。
【0069】
一実施形態では、電源の制御回路の少なくとも一部は、ワイヤフィーダへ移動され、電力ケーブル上で電源と通信する。代替案または補足的実施形態では、別の高速通信リンクが含まれ得る。例えば、ワイヤフィーダと電源は、ケーブルを使用することによりペアとなり、その後、少なくとも部分的に無線で通信する可能性がある。代替の高速通信リンクも使用することが可能である。
【0070】
他の代替的な実施形態によると、溶接出力回路経路の電気的特性を判断し、この電気的特性に基づき溶接出力波形を選択する様々な機能的側面は、慎重な設計判断、費用制限、および/または他の考察およびトレードオフに依存して、溶接電源と溶接出力アナライザとの間で様々な方法で分散され得る。
【0071】
図10は、溶接電源において出力電気的特性を修正する方法1700の例示的実施形態のフローチャートである。方法1700は、工程1710で開始し、工程1720へ進み、ここで、溶接電極における(または部品近くの)作業現場電圧測定結果データが受信される(例えば、ワイヤフィーダ、電源、情報を処理するための部品を含む他の部品により)。次に、方法論1700は、電圧差を識別するために作業現場電圧測定結果データと溶接電源における溶接出力電圧とを比較する工程1730へ進む。その後、工程1740において、溶接出力電圧の増加または減少が、電圧差に少なくとも部分的に基づき溶接電源を使用することにより適用される。
【0072】
本発明の別の例示的な実施形態では、ワイヤフィーダは、フィーダにおける事象を検知したことに応答して電源へトリガ信号を送信することができる(例えば上に論述された通信プロトコルを使用することにより)。トリガは、このような所定事象が発生したことを示すものとして電力フィーダにおいて認識される高速/短信号である。例えば、STTなどのいくつかの溶接アプリケーションでは、いつ電圧の微係数または変化率(dv/dt)が短絡回路内の所定値を超えたかを検知することが望ましい。この所定値は、溶接波形におけるクリティカル事象を表し得、溶接波形に対する電源からの応答を必要とする。公知のシステムでは、このタイプの電圧変化を検知するためにリモートセンスリードが必要である。しかし、本発明のいくつかの例示的実施形態では、リモートセンスリードは削除される。すなわち、例示的実施形態では、ワイヤフィーダは、監視される所定事象のタイプ(例えば上に論述された電圧微係数)を検知する検出器(公知の電圧微係数検出器など)を含む。このような検出器は公知である。事象が検出器を介し検知されると、事象の検出は溶接ケーブル上で「トリガ」信号を介し伝達される。例示的実施形態では、ワイヤフィーダは上記電流引き抜き変調技術を利用する。トリガ事象は、事象が発生したことを示すものとして電源において認識され、例示的実施形態では、電源は応答を返信しないが、伝達されたトリガ事象に基づきその出力信号/電力に応答するか、またはそうでなければそれを変更する。したがって、本明細書で説明した他の実施形態のいくつかと異なり、全デジタル信号が電流引き抜きパルスを介し送信されるよりむしろ、単一の所定事象がトリガ通信を介しシグナリングされ、電源はそのトリガ信号に反応する。例示的実施形態では、トリガ信号は、所定特性を有する単一の電流パルス(電源の電流の階段状変化のように見えるであろう)である。例えば、いくつかの例示的実施形態では、トリガ電流引き抜きパルスは2~10アンペアの範囲のピーク電流を有し得、他の実施形態では3~7アンペアの範囲のピーク電流を有し得る。さらに、電流パルスは0.25~3msの範囲のパルス幅を有し得、他の実施形態ではパルス幅は0.5~1.5msの範囲である。このような実施形態では、電源は、その出力を変更するためにトリガ電流パルスを認識する(例えば微分電圧の変化を見るのを待つ代わりに)。他の例示的実施形態では、単一パルスよりむしろ複数のパルスが利用され得るが、この場合もやはり、信号全体は、電源により反応時間を最小化するように短い。
【0073】
例示的実施形態では、トリガパルスは行われる溶接作業に依存して異なる事象を示し得る。すなわち、特定タイプの溶接作業(例えばSTT)が選択されると、電源は、トリガ事象が特定タイプのdv/dt検出を表すことを認識する。しかし、他の溶接作業では、トリガ事象は、ピーク値などを超える測定電圧などの異なるタイプの事象を表し得る。したがって、トリガ事象がワイヤフィーダにおいて検知されると、トリガパルスは、電源へ送信され、電源はこれを認識し、その所定のプロトコルに応じて反応する。当然、このような実施形態では、ワイヤフィーダは、所望の検出事象の必要性に応じ電圧、電圧微係数、電流および/または電流微係数を検出し比較することができる比較器などの検出器を含む。このような検出および比較回路は公知であり、本明細書において詳細に説明する必要はない。
【0074】
要約すると、溶接出力回路経路において測定された電気的特性に基づき溶接出力を選択するためのシステムおよび方法が開示された。期待電気的値と測定電気的値との間の相違または差が、識別され得、差または差異を補償するために少なくとも溶接電源の調整を可能にするためにアーク両端に伝達される。
【0075】
方法工程は、入力データに作用し出力データを生成することにより本発明の機能を実行するコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラム可能プロセッサにより行われ得る。方法工程はまた、専用ロジック回路構成、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)により行われ得、装置は、専用ロジック回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)として実現され得る。モジュールは、コンピュータプログラムおよび/またはその機能を実施するプロセッサ/特定回路構成の一部を指し得る。
【0076】
本明細書で論述した通信プロトコルを含むコンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサは、一例として、汎用および専用マイクロプロセッサの両方と、任意のタイプのデジタルコンピュータからなる1つまたは複数のプロセッサとを含む。通常、プロセッサは、読み取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリからまたはその両方から命令とデータを受信することになる。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つまたは複数のメモリ装置とである。通常、コンピュータはまた、データを格納するための1つまたは複数の大容量記憶装置(例えば磁気、光磁気ディスクまたは光ディスク)を含むか、または上記装置からデータを受信するか、またはそれらにデータを転送するか、またはその両方を行うように動作可能に結合されることになる。データ送信および命令も通信ネットワーク上で発生し得る。コンピュータプログラム命令およびデータの具現化に好適な情報担体は、一例として半導体記憶装置、例えばEPROM、EEPROM、フラッシュメモリ装置;磁気ディスク、例えば内蔵ハードディスクまたは着脱可能ディスク;光磁気ディスク;CD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含むすべての形式の不揮発性メモリを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路構成により補完され得るか、または専用論理回路構内に組み込まれ得る。
【0077】
ワイヤフィーダおよび/または電源上でユーザとの対話処理を提供するために、上記技術は、ユーザに対し情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶表示))モニタと、ユーザがコンピュータへ入力を提供し得る(例えば、ユーザインターフェース要素と相互作用し得る)キーボードとポインティング装置(例えば、マウスまたはトラックボール)とを有するCNCまたはコンピュータ上で実施され得る。ユーザとの対話処理を提供するために他の種類の装置が使用され得、例えば、ユーザへ提供されるフィードバックは、任意の形式の知覚フィードバック、例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、触覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響、スピーチ、または触覚入力を含む任意の形式で受信され得る。
【0078】
上記技術は、バックエンドコンポーネントを含む分布型コンピュータシステムにおいて(例えば、データサーバとして)、および/またはミドルウェアコンポーネントを含むコンピュータシステム(例えば、アプリケーションサーバおよび/またはフロントエンド部品(例えば、ユーザが例示的実施形態と相互作用し得るグラフィクユーザインターフェースおよび/またはウエブブラウザを有するクライアントコンピュータ)において、またはこのようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンド部品の任意の組み合せを含む分散コンピュータシステムにおいて実施され得る。本システムの部品は、デジタルデータ通信(例えば通信ネットワーク)の任意の形式または媒体により相互接続され得る。通信ネットワークの実施例として、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、例えばインターネット、および有線ネットワークと無線ネットワークとの両方が挙げられる。
【0079】
「含む(comprise)」、「含む(include)」、および/または「各」の複数形は開放型であり、列挙された部品を含み、列挙されない追加物品を含み得る。「および/または」は開放型であり、列挙された部品の1つまたは複数および列挙された部品の組み合わせ含む。
【0080】
上述のように、本出願における論述の大多数は溶接電源およびワイヤフィーダに関連して論述されたが、これらの論述は例示的である。換言すれば、本発明はその例示的実施形態を参照することにより特に示され説明されたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。形式および詳細の様々な変更形態が、本明細書に定義された本発明の趣旨から逸脱することなくなされ得ることは当業者により理解されることになる。
【符号の説明】
【0081】
100 溶接システム
101 制御モジュール
103 溶接電力出力モジュール
104 電流センスリード
105 受信器
106 電圧信号リード
107 送信器
110 電源
111 スタッド
112 スタッド
113 スタッド
114 スタッド
120 ワイヤフィーダ
121 制御モジュール
123 通信モジュール
125 送信器
126 ユーザインターフェースコントロールボード
127 電流シンク回路
128 電圧センスリード
129 受信器
130 溶接電力ケーブル
200 電流信号
201 メッセージ開始電流パルス
203 データパルス
205 データパルス
300 電圧通信波形
301 電圧パルス
303 電圧パルス
305 電圧パルス
401 電流シャントレギュレータ
403 スイッチ
405 スイッチ
407 抵抗器
409 抵抗器
411 抵抗器
500 フルブリッジ整流器
1100 回路表現
1110 インダクタンス
1120 抵抗
1130 インダクタンス
1140 抵抗
1150 ダイオード
1160 ノード
1170 ノード
1180 電流
1191 溶接出力端子
1192 溶接出力端子
1200 溶接システム
1205 溶接出力回路経路
1210 溶接電源
1212 溶接出力
1214 ディスプレイ
1216 比較器部品
1220 溶接ケーブル
1230 溶接ツール
1240 加工物
1250 加工物コネクタ
1260 溶接ワイヤスプール
1270 ワイヤフィーダ
1280 溶接ワイヤ
1290 電気計測部品
1500 溶接システム
1510 溶接ツール
1516 比較器部品
1520 溶接ケーブル
1521 溶接ツールリード
1522 加工物リード
1530 溶接電源
1540 溶接加工物
1570 溶接ワイヤフィーダ
1590 電気計測部品
1600 溶接システム
1692 電気的特性信号プロセッサ
1700 方法論
1710 工程
1720 工程
1730 工程
1740 工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10