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特許7104094直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220712BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20220712BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20220712BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20220712BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02H7/18
B60L53/30
B60L53/66
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020074971
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021126034
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】109103401
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512158114
【氏名又は名称】飛宏科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PHIHONG TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳俊成
(72)【発明者】
【氏名】李建興
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110549879(CN,A)
【文献】特開2011-004448(JP,A)
【文献】特開2012-235620(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103337880(CN,A)
【文献】Matthias Kuebel,Design Guide for Combined Charging System [online],Initiative Charging Interface,2015年06月02日,第1-131頁,<URL:http://tesla.o.auroraobjects.eu/Design_Guide_Combined_Charging_System_V3_1_1.pdf>,[令和3年10月21日検索],インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H01M10/42-10/48
H02H7/00
H02H7/10-7/20
B60L1/00-3/12
B60L5/00-5/42
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60M1/00-7/00
B60R16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路であって、前記直流充電スタンドは、少なくとも、
電気自動車の少なくとも1つの蓄電ユニットに電力を供給する電源供給装置と、
前記電源供給装置から前記電気自動車に電力が伝送されるよう制御するために配置される充電装置を含み、前記充電装置は、
制御回路、
前記電気自動車と通信するよう前記制御回路により制御可能な通信ユニット、及び
前記電気自動車の車両制御回路に対しコントロールパイロット信号を生成するコントロールパイロット信号生成回路、を含み、
前記コントロールパイロットポイントの異常を検出する回路は、前記コントロールパイロット信号生成回路及び前記制御回路に電気的に接続される検出回路を含み、前記検出回路は、前記電気自動車と前記直流充電スタンドが電気的に接続されたときに異常状態を検出するとともに、検出した前記コントロールパイロット信号を前記制御回路に出力し、前記検出回路は、
直流入力電圧を第1基準電圧レベル及び第2基準電圧レベルという2つの直流出力基準電圧レベルに変換する直流電圧コンバータと、
前記コントロールパイロット信号生成回路により生成された前記コントロールパイロット信号のマイナス電位を濾過するために前記コントロールパイロット信号生成回路に電気的に接続される整流回路と、
前記整流回路、前記直流電圧コンバータ及び前記制御回路に電気的に接続されるコントロールパイロット信号絶縁回路、を含み、前記コントロールパイロット信号絶縁回路は、
第1出力端子が第1フォトカプラに接続され、第1入力端子が、前記直流電圧コンバータ及び前記整流回路に接続され、前記第1基準電圧レベルと前記整流回路により前記マイナス電位が濾過された前記コントロールパイロット信号の電圧レベルとの比較に用いられる第1コンパレータであって、前記第1フォトカプラから前記第1基準電圧レベルと比較後の第1絶縁コントロールパイロット信号が前記制御回路に出力される第1コンパレータと、
第2出力端子が第2フォトカプラに接続され、第2入力端子が、前記直流電圧コンバータ及び前記整流回路に接続され、前記第2基準電圧レベルと前記整流回路により前記マイナス電位が濾過された前記コントロールパイロット信号の電圧レベルとの比較に用いられる第2コンパレータであって、前記第2フォトカプラから前記第2基準電圧レベルと比較後の第2絶縁コントロールパイロット信号が前記制御回路に出力される第2コンパレータ、を含む回路。
【請求項2】
前記充電装置は、
前記コントロールパイロット信号を前記電気自動車の前記車両制御回路に出力することで、前記電気自動車と前記直流充電スタンドが電気的に接続されたときに前記車両制御回路によって前記コントロールパイロット信号を受信可能とし、
前記電気自動車と前記直流充電スタンドが電気的に接続されたとき、前記コントロールパイロット信号の電圧レベルを測定し、
測定した前記コントロールパイロット信号の前記電圧レベルに基づいて充電前状態テストを実行し、
前記充電前状態テストの結果に基づいて前記電気自動車を充電するよう配置される請求項1に記載の直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路。
【請求項3】
直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する方法であって、
電源供給装置から電気自動車に電力が伝送されるよう制御するために配置される充電装置を提供し、前記充電装置は、
制御回路と、
前記電気自動車と通信するよう前記制御回路により制御可能な通信ユニット、及び
前記電気自動車の車両制御回路に対しコントロールパイロット信号を生成するコントロールパイロット信号生成回路、を含み、
前記コントロールパイロット信号生成回路に電気的に接続される検出回路を提供し、前記検出回路は、前記電気自動車と前記直流充電スタンドが電気的に接続されたときに異常状態の警告を発するとともに、検出した前記コントロールパイロット信号を前記制御回路に出力し、前記検出回路は、
直流入力電圧を第1基準電圧レベル及び第2基準電圧レベルという2つの直流出力基準電圧レベルに変換する直流電圧コンバータと、
前記コントロールパイロット信号生成回路により生成された前記コントロールパイロット信号のマイナス電位を濾過するために前記コントロールパイロット信号生成回路に電気的に接続される整流回路と、
前記整流回路、前記直流電圧コンバータ及び前記制御回路に電気的に接続されるコントロールパイロット信号絶縁回路、を含み、前記コントロールパイロット信号絶縁回路は、
第1出力端子が第1フォトカプラに接続され、第1入力端子が、前記直流電圧コンバータ及び前記整流回路に接続され、前記第1基準電圧レベルと前記整流回路により前記マイナス電位が濾過された前記コントロールパイロット信号の電圧レベルとの比較に用いられる第1コンパレータであって、前記第1フォトカプラから前記第1基準電圧レベルと比較後の第1絶縁コントロールパイロット信号が前記制御回路に出力される第1コンパレータと、
第2出力端子が第2フォトカプラに接続され、第2入力端子が、前記直流電圧コンバータ及び前記整流回路に接続され、前記第2基準電圧レベルと前記整流回路により前記マイナス電位が濾過された前記コントロールパイロット信号の電圧レベルとの比較に用いられる第2コンパレータであって、前記第2フォトカプラから前記第2基準電圧レベルと比較後の第2絶縁コントロールパイロット信号が前記制御回路に出力される第2コンパレータ、を含み、
前記検出回路から前記制御回路に出力される前記絶縁コントロールパイロット信号は、電圧レベルが前記制御回路の内部に位置するソフトウェアにより判別され、その具体的な実施手順として、
前記制御回路に入力された前記絶縁コントロールパイロット信号の電圧レベルが正常な電圧レベルである6Vか否かを検出し、
続いて、入力された前記絶縁コントロールパイロット信号の電圧が10V超又は2V未満との条件を満たしているか否かを判断し、
前記条件を満たしている場合には、第1の時間帯内で前記制御回路の内部の中断機能に対しこれを通知して保護情報を出力し、続いて、状態異常を表示するか、或いは、前記絶縁コントロールパイロット信号の電圧が電圧値2V~10Vとの条件を満たしているか否かを更に判別し、条件を満たしている場合には、前記制御回路に入力された前記絶縁コントロールパイロット信号の電圧レベルが正常か否かを検出するステップに戻り、条件を満たしていない場合には、第1の時間帯内で前記制御回路の内部の中断機能に対しこれを通知して保護情報を出力し、続いて状態異常を表示する方法。
【請求項4】
前記状態異常が発生している場合には、前記制御回路の内部の前記中断(interrupt)機能を利用して警告を発し、前記直流充電スタンドを保護可能とする請求項に記載の直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流充電スタンドの関連技術分野に関し、特に、直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な環境保護やCO削減の流れに対処すべく、世界の先進各国では電気自動車技術の開発を加速しており、十数年後のガソリン車の生産停止実現を目指している。従来のガソリン車と比較して、純電気自動車には数多くの利点がある(ここでは1つずつ列挙することはしない)。一方で、純電気自動車には、充電時間の長さやバッテリの使用寿命を考慮せねばならないという面倒な面も存在する。純電気自動車の分野では、充電時間又はバッテの使用寿命を単独で合理化することは難しい。これは、バッテリ寿命が充電レートの大きさと関係しているからであり、通常は充放電レートが大きいほど繰り返し使用回数は少なくなる。一般的に、バッテリの繰り返し充電回数を800~1000の間とするには、充電レートを0.5C~0.25Cの間とせねばならない。この場合には、国の送電網から給電し、車載充電器を利用して動力用バッテリに充電する。これは低速充電に相当し、共用施設としては交流充電スタンドが利用される。一方、緊急事態に対応するためには、15~30分以内にバッテリを最大容量の80%まで充電することが望まれる。この場合の充電レートは2C~4Cとする必要があり、共用施設としては直流充電スタンドが利用される。
【0003】
電気自動車と充電スタンドシステムの多様化が進むにつれて、異なる部材間での互換性や基準適合性がますます重要になっている。充電過程での中断原因を確認し、各種干渉に対する信頼度及びロバスト性(robustness)をテストするためには、オープンな試験システムで適合性試験を行う必要がある。多数のメーカーによる異なるユニット間での一致性については、チャージング・インターフェイス・イニシアチブ(Charging Interface Initiative,CharINe.V.)が、世界の主要電気自動車メーカーのオープンプロトコルとして電気自動車の各種充電基準を開発及び構築しており、充電インフラの利便性やコスト効率を高めている。現在、世界には、欧州及び北米で採用されている複合充電システム(CCS,Combined Charging System)、中国で使用されているGB/T27930及びGB/T18487、日本で使用されているCHAdeMO等の3種類の異なる充電インターフェース規格が存在する。
【0004】
例えば、複合充電システム(CCS)の場合には、車両に充電インターフェースを使用するだけで、顧客は単相交流(AC)充電、急速三相AC充電、家庭での直流(DC)充電、或いは共用の充電スタンドにおける超急速DC充電といった現存するあらゆる充電方法で充電可能となる。複合充電システム(CCS)の基準であるIEC 61851規格に準拠する充電フローでは、電気自動車の充電モードとして、次の4種類を定義している。
モード1:単相電源を利用する充電。最大電流は16Aであり、パイロット信号(Pilot Signal)を有さない。
モード2:単相/三相電源を利用する充電。最大電流は32Aであり、パイロット信号を有する。
モード3:単相/三相電源を利用する充電。最大電流は63Aであり、充電スタンドがパイロット信号を出力する。
モード4:最大400V/125Aの直流充電。
【0005】
モード1は、車両と充電インフラ(例えば、充電スタンド)との通信には言及していない。しかし、モード2、モード3、モード4による充電では、PWM信号に基づき、CP(Control Pilot)で接続することでローレベル通信を行う。車両と充電スタンドが共にハイレベル通信をサポートしている場合には、Home Plug GreenPHY基準に基づいて信号をPWM信号に変調する必要がある。即ち、電力線搬送通信(Power Line Communication,PLC)とする。原則的に、PLCに基づく全ての充電通信はPWMによる伝送が求められる。そのため、完全な試験システムでは、これら2種類の通信モードを処理せねばならない。
【0006】
ここでは、主に、欧州及び北米において複合充電システム(CCS,Combined Charging System)の充電インターフェースを採用する際に関連してくるコントロールパイロット(Control Pilot,CP)ポイントの異常検出技術に着目する。直流充電スタンドでCCSプロトコルに基づき電気自動車を充電する際、各シーケンスにおけるコントロールパイロット(CP)ポイントについて、どのようにすれば現在の状態を判別できるだろうか。例えば、CPポイントに短絡や開回路が発生した場合には、これをただちに検出して保護する必要がある。これまで、直流充電スタンドでCCSプロトコルに基づき電気自動車を充電している際に、CPポイントの状態が変化した場合には、モデム(Modem)でこれを検出し、搭載されているソフトウェアによってCPポイントの状態を伝送していた。しかし、これでは時間的にハードウェアの反応に間に合わないことからエラーが発生し、速やかな保護ができない場合がある。そこで、本発明では、ハードウェア回路にソフトウェアを組み合わせることでCPポイントの状態検出と保護を実現する。これによれば、直流充電スタンドがCCSプロトコルに基づいて認証を行う際に、CPポイントに短絡や開回路等の問題が発生している場合には、速やかにエラーを検出して保護することが可能となる。なお、実際の応用にあたっては、CCSプロトコルを利用する直流充電スタンドに限らず、その他の規格の直流充電スタンドであっても、本発明で提供する手段に基づき類似の改良を実施可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路を提供することである。前記直流充電スタンドは、少なくとも、電気自動車の少なくとも1つの蓄電ユニットに電力を供給する電源供給装置と、電源供給装置から電気自動車に電力が伝送されるよう制御するために配置される充電装置を含む。前記充電装置は、制御回路と、電気自動車と通信するよう制御回路により制御可能な通信ユニットと、電気自動車の車両制御回路に対しコントロールパイロット信号を生成するコントロールパイロット信号生成回路、を含む。上記のコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路は、コントロールパイロット信号生成回路に電気的に接続される検出回路を含む。前記検出回路は、電気自動車と直流充電スタンドが電気的に接続されたときに異常状態を検出するとともに、検出したコントロールパイロット信号を制御回路に出力する。前記検出回路は、直流入力電圧を第1基準電圧レベル及び第2基準電圧レベルという2つの直流出力基準電圧レベルに変換する直流電圧コンバータと、コントロールパイロット信号生成回路により生成されたコントロールパイロット信号のマイナス電位を濾過する整流回路と、整流回路に電気的に接続されて、絶縁コントロールパイロット信号を前記制御回路に出力するコントロールパイロット信号絶縁回路、を含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
充電装置は、次のように配置される。即ち、コントロールパイロット信号を前記電気自動車の車両制御回路に出力する。これにより、電気自動車と直流充電スタンドが電気的に接続されたときに、車両制御回路によってコントロールパイロット信号を受信可能となる。また、電気自動車と直流充電スタンドが電気的に接続されたとき、コントロールパイロット信号の電圧レベルを測定し、測定したコントロールパイロット信号の電圧レベルに基づいて充電前状態テストを実行する。且つ、充電前状態テストの結果に基づいて電気自動車を充電する。
【0009】
コントロールパイロット信号絶縁回路は、出力が第1フォトカプラに接続され、入力が、第1基準電圧レベルと整流回路によりマイナス電位が濾過されたコントロールパイロット信号の電圧レベルとの比較に用いられる第1コンパレータであって、第1フォトカプラから第1基準電圧レベルと比較後の絶縁コントロールパイロット信号が出力される第1コンパレータと、出力が第2フォトカプラに接続され、入力が、第2基準電圧レベルと整流回路によりマイナス電位が濾過されたコントロールパイロット信号の電圧レベルとの比較に用いられる第2コンパレータであって、第2フォトカプラから第2基準電圧レベルと比較後の絶縁コントロールパイロット信号が出力される第2コンパレータ、を含む。
【0010】
制御回路は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラユニット、或いはその他類似の集積回路を含むデジタルシグナルプロセッサ集積回路とすればよい。
【0011】
コントロールパイロット信号生成回路は、1KHz+/-12Vで発振するパイロット信号を生成する発振回路を含む。
【0012】
前記電源供給装置は、直流給電ユニットとすればよい。
【0013】
直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する方法であって、電源供給装置から電気自動車に電力が伝送されるよう制御するために配置される充電装置を提供する。前記充電装置は、制御回路と、電気自動車と通信するよう制御回路により制御可能な通信ユニットと、電気自動車の車両制御回路に対しコントロールパイロット信号を生成するコントロールパイロット信号生成回路、を含む。また、コントロールパイロット信号生成回路に電気的に接続される検出回路を提供する。前記検出回路は、電気自動車と直流充電スタンドが電気的に接続されたときに異常状態を検出するとともに、検出したコントロールパイロット信号を制御回路に出力する。前記検出回路は、直流入力電圧を第1基準電圧レベル及び第2基準電圧レベルという2つの直流出力基準電圧レベルに変換する直流電圧コンバータと、コントロールパイロット信号生成回路により生成されたコントロールパイロット信号のマイナス電位を濾過する整流回路と、整流回路に電気的に接続されて、絶縁コントロールパイロット信号を前記制御回路に出力するコントロールパイロット信号絶縁回路、を含む。検出回路から制御回路に出力される絶縁コントロールパイロット信号は、電圧レベルが制御回路に位置するソフトウェアにより判別される。その具体的な実施手順として、制御回路に入力された絶縁コントロールパイロット信号の電圧レベルが正常な電圧レベルである6Vか否かを検出する。続いて、入力された絶縁コントロールパイロット信号の電圧が10V超又は2V未満との条件を満たしているか否かを判断し、条件を満たしている場合には状態異常を表示する。或いは、絶縁コントロールパイロット信号の電圧が電圧値2V~10Vとの条件を満たしているか否かを更に判別し、条件を満たしている場合には、前記制御回路に入力された絶縁コントロールパイロット信号の電圧レベルが正常か否かを検出するステップに戻り、条件を満たしていない場合には状態異常を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1(A)】従来技術における直流充電スタンドから電気自動車に充電する際の簡略化したシステム構成を示す。
図1(B)】欧州及び北米で採用されている複合充電システム(CCS,Combined Charging System)の充電インターフェースにおけるピンの給電インターフェース配置を示す。
図1(C)】従来技術における直流充電スタンドから電気自動車に充電する際の簡略化したコントロールパイロット回路を示す。
図2(A)】本発明の好ましい実施例における直流充電スタンドから電気自動車に充電する際のシステム構成に検出回路を設置した場合を示す。
図2(B)】本発明の好ましい実施例における直流充電スタンドに設置される検出回路の詳細な配置を示す。
図3】本発明の好ましい実施例に基づき提供される、図2(A)~(B)のハードウェア回路を使用しつつソフトウェアを用いてコントロールパイロットポイントの状態を判別する際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本発明の具体的実施例及び観点について詳細に記載する。これらの記載は本発明の構造又はステップ、フローを解釈するためのものであって、説明を意図しており、本発明の特許請求の範囲を制限する主旨ではない。そのため、明細書の具体的実施例及び好ましい実施例以外にも、本発明はその他の異なる実施例において幅広く実行可能である。以下に、特定の具体的実施例を挙げて本発明の実施形態につき説明する。なお、前記技術を熟知する者であれば、本明細書に開示の内容から本発明の効果及び利点を容易に理解可能である。且つ、本発明はその他の具体的実施例によっても運用及び実施可能である。本明細書で詳述する各詳細事項は必要に応じて応用すればよく、且つ、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の補足又は変更が可能である。
【0016】
上述のように、本発明は、直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路及びその方法を提供する。本発明のハードウェア検出では、主にコンパレータを利用して、CPポイントの各種電圧レベル区間の判断を実現する。一方、ソフトウェア検出では、主に、CPポイントがPWMデューティサイクル5%の状態となるよう実現する。これらの方式を組み合わせることで、現在のCPポイントの動作状態を確認可能となる。
【0017】
一般的に、欧州及び北米で採用されている複合充電システム(CCS,Combined Charging System)の充電インターフェースのピンでは、SAE J1772をベースに直流急速充電用のピンを2つ追加する。また、IEC 61581が電気自動車の充電インターフェースの国際規格となっているが、この規格では、充電スタンドと、電気自動車の車載充電器(OBC,On Board Charger)における電子機器との基本的なコントロールパイロットを介した接続(pilot conncetion)について電気信号(Electrical Signal)の基準を定めている。上記の通信及びインタラクションは、双方の物理的な接続を確保するとともに、例えば、充電可能容量や安全性への懸念がない特定条件下で連携して電力を供給するためのものである。
【0018】
図1(A)は、直流充電スタンドから電気自動車に充電する際の簡略化したシステム構成を示す。直流充電スタンド10は、通信ユニット-I101、直流給電ユニット(充電コントローラを含む)103、絶縁監視ユニット105、給電インターフェース(PP,PE,CP,N,L1,DC+,DC-)及びメインスイッチ/リレー107等を含む。また、電気自動車20は、通信ユニット-II201、高圧システム(バッテリを含む)203、切断装置205及び対応するインターフェース(PP,PE,CP,N,L1,DC+,DC-)等を含む。このうち、給電インターフェースN,L1については図示していない。給電インターフェースについては、図1(B)に示すように、PP(Proximity pilot)は近接パイロット、PE(Protective Earth)は保護接地、CP(Control Pilot)はコントロールパイロット、NはNeutral、L1(Level 1 power)は単相交流電源、DC+は直流電圧のプラス、DC-は直流電圧のマイナスを表す。
【0019】
直流充電スタンドは、パルス幅変調(Pulse Width Modulation,PWM)を通信方式として利用し、直流充電スタンドと電気自動車との充電接続状態及びケーブルによる電気供給をテストする。直流充電スタンドでCCSプロトコルに基づき充電プログラムを実行する場合、直流充電スタンド10はコントロールパイロット(CP)デジタル通信信号を生成してスタート手順を実施する。CPポイントは、シーケンスごとに異なる周波数、デューティサイクル(duty cycle)及びレベル差を示す。従来の形式では、直流充電スタンド10において機能又はテスト手順を用い、テスト要求及び必須のイベント/条件手順を提示する。すると、直流充電スタンド10に接続された電気自動車20が手順に従ってテストを行い、充電を開始する。このときの過程は、+12Vの状態A(電気自動車20が直流充電スタンド10に未接続)、+9Vの状態B(電気自動車が充電スタンドに接続されているが充電準備が整っていない)、+6Vの状態C(電気自動車20が直流充電スタンド10に接続され、充電準備が整っている)、+3Vの状態D(電気自動車20が直流充電スタンド10に接続され、充電準備が整っており、且つ通気要求がある)、及びその他の状態となる。
【0020】
直流充電スタンドから電気自動車に充電する際のコントロールパイロット回路を示す図1(C)を参照する。電気自動車20が直流充電スタンド10に未接続の状態Aでは、直流充電スタンド10の回路において、切替スイッチS1が+12Vの直流電源に接続されて、CPポイントの電圧レベルが+12Vである旨が検出される(直流充電スタンド10のCPポイントが開回路状態)。また、電気自動車20が直流充電スタンド10に接続されているが充電準備が整っていない状態Bでは、直流充電スタンド10の発振回路121が切替スイッチS1に接続される。即ち、+12V(1KHz、PWM信号)電源に接続される。すると、電気自動車20がコントロールパイロット回路の切替スイッチS2を開回路とするよう制御する。この状態では、CPポイントの電圧レベルが+9Vである旨が検出される(即ち、+12V、S1、抵抗R1、CP、ダイオードD、R3及びPEにより回路(即ち、コントロールパイロット回路)が形成され、この回路のCPポイントにおける電圧レベルが+9Vとなる)。また、ダイオードD、S2、R2、R3及びPEが車両制御回路207を形成し、電気自動車20と直流充電スタンド10との適合性を確認する。一例として、直流充電スタンド10の承認が必要な場合には(例えば、RFID又は携帯電話)、承認された場合にのみ充電が許可されるが、このような承認を受けていない場合には、直流充電スタンドはコントロールパイロット信号を発振しない。状態Cでは、直流充電スタンド10が承認を受けて充電が許可され、充電を開始する。このとき、直流充電スタンド10の回路におけるコントロールパイロット回路の切替スイッチS1が発振回路121に接続される。すると、発振を生成するパイロット信号(1KHz+/-12V)がコントロールパイロット回路に出力されて、切替スイッチS1と発振回路121が閉となる。また、コントロールパイロット回路のスイッチS2が閉となり、+/-12Vで発振するパイロット信号、S1、抵抗R1、CP、ダイオードD、R3//R2(//は並列を表す)及びPEによって回路(コントロールパイロット回路)が形成される。この回路では、CPポイントの電圧レベルが+6Vに低下する。そして、状態Dにおいて、電気自動車が直流充電スタンドに接続されて充電準備が整い、且つ通気要求があった場合(通常は急速充電モードの場合)には、+/-12Vで発振するパイロット信号、S1、抵抗R1、CP、ダイオードD、R3//R2(//は並列を表す)及びPEで形成される回路に270Ωの抵抗が並列に追加される。これにより、この回路ではCPポイントの電圧レベルが+3Vに低下する。
【0021】
図1(A)~(C)を参照して、直流充電スタンド10は、電気自動車20の接続を確認すると、PP接点をロックすることで、電気自動車20の充電インターフェースと直流充電スタンド10のインターフェースをロックする。時系列に基づく大まかな充電プロセスは次のようになる。即ち、直流充電スタンド10の通信ユニット-I101が電気自動車の通信ユニット-II201と通信を構築し(PLC、CP通信)、充電条件の規制変数をやりとりする。そして、例えば、Vout>60Vの場合や、電気自動車20と直流充電スタンド10に適合性がない旨を検出した場合には、充電プロセスを停止する。電気自動車20が状態Bから状態C/Dに進むと、直流充電スタンド10は充電が許可された状態になる。そこで、電気自動車20の高圧システム203について絶縁検出を実施し、絶縁状態を報告し続ける。直流充電スタンド10は、絶縁検出に成功し、且つ「認証」されている旨を確認すると、「Ready」を電気自動車20の通信ユニット-II201に返す。これにより、充電回路の検出が完了する。続いて、電気自動車20は充電前テストを要求する。即ち、直流充電スタンド10に直流電流(電流<2A)を出力するよう要求する。このとき、直流充電スタンド10のメインスイッチ/リレー107が閉となる。そして、Voutが許容安全範囲よりも小さく、且つ電流<2Aであり、電気自動車のバッテリ電圧が20Vよりも小さければ、電気自動車は切断装置205を閉として、次の段階での充電(急速充電を含む)を許可する。また、電断(power down)が発生した場合、電気自動車20は直流充電スタンド10に対し電力出力停止要求を出力する。そして、電流が1Aよりも小さくなると、電気自動車が切断装置205を開(開回路)とし、続いて直流充電スタンドがメインスイッチ/リレー107を切断する。
【0022】
上述した従来技術では、CP信号が実質的に中心的役割を担っていることがわかる。様々な状況において、シーケンス制御・テスト、要求及び必須のイベント/条件の手順に従って、充電スタンドに接続された電気自動車は順次テストを行い、充電を開始する。CP信号は上記各種状態の判別を直接担うため、充電スタンドのシステム全体の機能及び安全性に直接影響を及ぼす。よって、CPポイントの電圧レベルを正確に検出することが最も重要となる。
【0023】
そこで、本発明では、ハードウェア回路にソフトウェアを組み合わせ、直流充電スタンドのCPポイントの電圧レベルを検出することで、直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常(例えば、CPポイントの短絡、開回路等の問題発生)の検出を実現する回路及びその方法を提供する。本発明のハードウェア検出では、主にコンパレータを利用して、CPポイントの各種電圧レベル区間の判断を実現する。一方、ソフトウェア検出では、主に、CPポイントがPWMデューティサイクル5%の状態となるよう実現する。これらの方式を組み合わせることで、現在のCPポイントの動作状態を確認可能となる。
【0024】
図2(A)~(B)に示すように、本発明は、コントロールパイロット回路のCPポイントにおける電圧レベルを検出する検出回路140を提供する。図2(A)に示すように、検出回路140は、抵抗器R1とスイッチS1を介して発振回路121(CP信号生成回路)に電気的に接続される。電気自動車20が直流充電スタンド10に接続されると、検出回路140は異常CP信号を検出するとともに、検出したCP信号を制御回路149に出力する。制御回路149は、受信したCP信号に基づいてスイッチS1とメインスイッチ/リレー107の動作を制御可能であるとともに、通信ユニット-I101と通信可能である。この実施形態ではハードウェア回路を利用する。回路の詳細について図2(B)を参照すると、直流電圧コンバータ141が2つのコンパレータ(即ち、第1コンパレータ145a及び第2コンパレータ145b)に電気的に接続されており、2種類の基準電圧区間レベル(Vref1,Vref2)を生成する。外部のCPポイントの電位は、まず整流器(143a,143b)によってマイナスの電位信号を濾過してから、各コンパレータ(即ち、第1コンパレータ145a及び第2コンパレータ145b)によって、基準電圧区間レベル(Vref1,Vref2)と外部のCPポイントの電位を比較する。即ち、外部のCPポイントの信号をコンパレータ(145a,145b)にそれぞれ入力する前に、2つの整流器(143a,143b)で分岐及び濾過してから、濾過したCP信号と各々の入力基準電圧レベル(Vref1,Vref2)とを各コンパレータ(145a,145b)でそれぞれ比較する。そして、各々に個別に結合されたフォトカプラ(147a,147b)によって絶縁したCP信号を出力する。CPポイントの基準接地レベルは筐体(Floating Ground,FG)であるため、フォトカプラ(optocoupler)を利用して絶縁し、変化させた電圧レベルを制御回路149に伝達せねばならない。好ましい実施例では、第1コンパレータ145aの出力を第1フォトカプラ147aに電気的に接続し、第2コンパレータ145bの出力を第2フォトカプラ147bに電気的に接続する。好ましい実施例において、前記制御回路149はデジタルシグナルプロセッサ集積回路(Digital Signal Processor IC,DSP IC)とする。例えば、マイクロプロセッサ(microprocessor)やマイクロコントローラユニット(Microcontroller Unit,MCU)といった類似の機能を有するICとし、第1及び第2フォトカプラ(147a,147b)から出力される変形後の電圧レベルを速やかに検出する。前記直流電圧コンバータ141、整流器(143a,143b)、第1コンパレータ145a、第2コンパレータ145b、及びこれらに各々接続される第1フォトカプラ147a及び第2フォトカプラ147bによって前記検出回路140が構成される(図2(B))。検出回路140が検出したシーケンスに伴い変化するCP電圧レベルは制御回路149に入力される。そして、これにソフトウェアを組み合わせて現在の状態を判別し(実施形態については次の段落で詳述する)、切替スイッチS1、メインスイッチ/リレー107の切断及び閉成(on/off)を制御することで、緊急時には制御回路149(DSP IC等)に通知するとともに、内部のinterrupt機能を用いてメインスイッチ/リレー107を切断する。
【0025】
また、シーケンスごとにPWMデューティサイクル(duty cycle ratio)が生成されるため、検出に何らかの問題が発生し得る。そこで、このような欠点を補うべく、本発明では、前記ハードウェア回路(図2(A)~(B))を使用しつつ、ソフトウェアを用いて現在の状態を判別する。ソフトウェアを前記制御回路149(DSP IC)の内部に適用し、interruptメカニズムによりCPポイントの電位変化を読み取って、回数的に連続した変化が検出された場合には、現在の状況を確実に反映可能である。ソフトウェアの実行方法については、図3に示すように、CP電圧はPWM信号であり、正常なCP電圧レベルは6Vである。CPの電圧レベルに異常が発生した場合、即ち、前記電圧レベルが9V、6V又は3V以外の範囲となった場合には、短絡や開回路等の問題が生じている恐れがある。そこで、ハードウェアのCP protection機能によって制御回路149(DSP IC)にこれを通知するとともに、制御回路149(DSP IC)内部の中断(interrupt)機能を利用して50μsの警告を発することで、直流充電スタンド10を保護可能とする。前記ソフトウェアによる判別方法300の具体的な実行ステップは次の通りである。即ち、ステップ301において、直流充電スタンドのCPポイントの電圧状態がOKか否かを検出する(正常なCPの電圧レベルは6V)。次に、ステップ303において、CPポイントの電圧が10V超又は2V未満との条件を満たしているか否かを判断する。そして、条件を満たしている場合にはステップ304を実施し、50μs以内で制御回路149(DSP IC)のポーリングモニタカウンタ(poll monitor CC2 counter)を利用して制御回路149(DSP IC)にこれを通知し、内部のinterrupt機能で保護情報を出力する。続いて、ステップ305で状態異常を表示する(メインスイッチ/リレーの緊急切断)か、ステップ307において、CPポイントの電圧が2V~10Vとの条件を満たしているか否かを更に判別する。そして、条件を満たしている場合にはステップ301に戻るが、条件を満たしていない場合にはステップ304を実施し、50μs以内で制御回路149(DSP IC)のpoll monitor CC2 counterを利用して制御回路149(DSP IC)にこれを通知し、内部のinterrupt機能で保護情報を出力する。また、これに続いて、ステップ305で状態異常(メインスイッチ/リレーの緊急切断)を表示する。
【0026】
上記の直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路及びその方法は、本文の範囲を逸脱しないことを前提に変形してもよい。そのため、上記の記載に含まれ、且つ図面に示した内容は説明のためのものであって、限定を意図するものではないと解釈すべきである。また、以下の特許請求の範囲は、本文で記載した全ての一般的特徴と特定の特徴、及び、本発明の直流充電スタンドにおいてコントロールパイロットポイントの異常を検出する回路及びその方法の範疇の全ての記載を含み、表現上はこれらの間に位置するといえる。
【符号の説明】
【0027】
10 直流充電スタンド
101 通信ユニット-I
103 直流給電ユニット
105 絶縁監視ユニット
107 メインスイッチ/リレー
20 電気自動車
201 通信ユニット-II
203 高圧システム
205 切断装置
207 車両制御回路
121 発振回路
140 検出回路
143a,143b 整流器
145a 第1コンパレータ
145b 第2コンパレータ
147a 第1フォトカプラ
147b 第2フォトカプラ
149 制御回路
300 ソフトウェアによる判別方法
301、303、304、305、307 ステップ
図1(A)】
図1(B)】
図1(C)】
図2(A)】
図2(B)】
図3