(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】洗浄製品
(51)【国際特許分類】
C11D 3/43 20060101AFI20220712BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20220712BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220712BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20220712BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20220712BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20220712BHJP
C11D 3/26 20060101ALI20220712BHJP
A47L 15/46 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
C11D3/43
C11D17/04
C11D3/20
C11D1/29
C11D1/14
C11D1/75
C11D3/26
A47L15/46 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020105639
(22)【出願日】2020-06-18
(62)【分割の表示】P 2018501924の分割
【原出願日】2016-07-05
【審査請求日】2020-07-20
(32)【優先日】2015-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリー イボンヌ ピーター ボアズ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヴァンカンパンウト
(72)【発明者】
【氏名】デニス アルフレッド ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】アイチャ ドキダク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュク フィリップ ベッティオル
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-105309(JP,A)
【文献】特開2015-105310(JP,A)
【文献】特開2015-105311(JP,A)
【文献】特表2004-502829(JP,A)
【文献】特公平02-026670(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーディスペンサと、噴射及び発泡に適した洗浄組成物と、を有し、前記組成物は前記スプレーディスペンサ内に収容される、洗浄製品であって、前記組成物は、
i)前記組成物の5重量%~15重量%の界面活性剤系と、
ii)
前記組成物の3重量%~8重量%の、式I:R1O(R2O)nR3及び式II:R4O(R5O)nR6のグリコールエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコールエーテル溶剤と、を含み、
式中、
R1は直鎖若しくは分岐状C4、C5、若しくはC6アルキル又は置換若しくは非置換フェニルであり、R2はエチル又はイソプロピルであり、R3は水素又はメチルであり、nは1、2、又は3であり、
R4はn-プロピル又はイソプロピルであり、R5はイソプロピルであり、R6は水素又はメチルであり、nは1、2、又は3であり、
前記界面活性剤系と前記グリコールエーテル溶剤の重量比が5:1~1:1であり、
前記界面活性剤系は、補助界面活性剤と、アルキルエトキシレートサルフェートおよびアルキルエトキシレートのいずれか一方のみとを含み、
前記補助界面活性剤が、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
前記界面活性剤系が、前記組成物の1~5重量%のアミンオキシド界面活性剤および前記組成物の4~10重量%のアルキルエトキシレートサルフェートを含む、洗浄製品。
【請求項2】
前記組成物は、20℃の蒸留水中にて10%溶液中で測定された場合、pHが10~11.5である、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記組成物は、20℃の蒸留水中にて10%溶液中で測定された場合、pHが10.5~11.5であり、予備アルカリ度がpH10の組成物100mL当たりのNaOHのグラム数で表すと0.1~1である、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
前記組成物は、予備アルカリ度がpH10の組成物100mL当たりのNaOHのグラム数で表すと0.1~0.5である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
前記アルキルエトキシレートサルフェートは、平均エトキシル化度が2~5である、請求項1に記載の製品。
【請求項6】
前記界面活性剤系は、分岐状短鎖アルキルサルフェートを更に含む、請求項1に記載の製品。
【請求項7】
前記分岐状短鎖アルキルサルフェートは、ヘキシルサルフェートである、請求項6に記載の製品。
【請求項8】
前記界面活性剤系は、非サルフェート化分岐状短鎖アルコールを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
前記界面活性剤系に含まれるアニオン性界面活性剤と前記補助界面活性剤の重量比が、4:1~1:1である、請求項1~8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
前記グリコールエーテル溶剤は、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
前記組成物は、20℃の蒸留水中の10%溶液として測定された場合、pHが10~11.5であり、予備アルカリ度がpH10の組成物100mL当たりのNaOHのグラム数で表すと0.1~0.3であって、前記組成物は、
i)前記組成物の4~10重量%のアルキルエトキシレートサルフェートと、
ii)前記組成物の1~5重量%のアミンオキシド界面活性剤と、
iii)前記組成物の3重量%~8重量%のグリコールエーテル溶剤、を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項12】
前記組成物は、キレート剤を更に含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の製品。
【請求項13】
前記組成物は、ビルダーを更に含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の製品。
【請求項14】
前記組成物は、重炭酸塩(bicarbonate)を更に含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の製品。
【請求項15】
前記組成物は、アルカノールアミンを更に含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載の製品。
【請求項16】
前記組成物は、C2~C4アルコール、C2~C4ポリオール、ポリアルキレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される更なる溶剤を更に含む、請求項1~
15のいずれか一項に記載の製品。
【請求項17】
前記組成物は、本明細書に記載の方法を用いて測定される場合、20℃において、高剪断粘度(10,000s-1で)が、1~20mPa sである、請求項1~
16のいずれか一項に記載の製品。
【請求項18】
前記組成物は、本明細書に記載の方法を用いて測定される場合、20℃において、低剪断(100s-1で)対高剪断の粘度比率が、10:1~1.5:1である、請求項
17に記載の製品。
【請求項19】
前記組成物は、レオロジー調整剤を含む、請求項1~
18のいずれか一項に記載の製品。
【請求項20】
請求項1~
19のいずれか一項に記載の製品を使用して、汚れた食器を洗浄する方法であって、
a)場合により前記汚れた食器を予め湿らす工程と、
b)前記洗浄組成物を前記汚れた食器に噴射する工程と、
c)場合により一定時間、水を前記汚れた食器に加える工程と、
d)場合により前記食器をこすり洗いする工程と、
e)前記食器をすすぐ工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄製品に関する。特に、本発明はスプレーディスペンサと洗浄組成物を有する洗浄製品に関する。当該製品により、食器洗浄をより簡単に、より早く行うことができる。
【背景技術】
【0002】
従来から、手洗い食器洗浄は、流しに水を溜め、食器洗剤を入れて石鹸水をつくり、そこに汚れた物品を入れてこすり洗いし、すすいで、洗った物品から残っている汚れを落とし、石鹸水の泡を落とすことによって行われてきた。したがって、この場合汚れた食器はまとめて一度に洗うのが一般的であった。しかし、現在ではまとめるのではなく、使い終わるたびに物品を洗浄したいというユーザーもいる。したがって、この場合一度に洗う物品は1つ又は少量となる。この場合の食器洗浄は、流しに水を溜めるのではなく、水道水を出した状態で行う。食器洗浄は迅速かつユーザーの手間を最小限にして行われるべきである。
【0003】
現在、水道水を出しながら食器洗浄を行うことを好むユーザーも多い。この場合、ユーザーはスポンジのような食器洗浄器具を使う。ユーザーはスポンジに洗剤をつける。ここで、洗う食器が少ない場合、必要以上の洗剤を出してしまう虞がある。そうすると食器や食器洗浄道具のすすぎに手間がかかる。また、スポンジで水と洗剤を混ぜることが求められる場合がある。その場合は洗浄に時間がかかってしまう。
【0004】
どのように使用したかにより、食器に付いた汚れの種類や度合いは大幅に異なる。食器は若干汚れている場合もあれば、焼けた、調理された、焦げたような、落としにくい汚れが付着している場合もある。汚れの種類に応じて様々な製品を用意することも考えられる。しかしこれはユーザーが大量の食器洗剤を揃えることになるため、あまり現実的ではない。
【0005】
水道水を出しながら行われる、軽く汚れた物品の洗浄は、迅速かつユーザーの手間を最小限にして行われるべきである。理想を言えば、こすり洗いする手間が省ける又は低減できるよう、洗剤をつけて即、すすぎができればよい。
【0006】
物品に落としにくい汚れが付いた場合には、洗剤はこびりついた汚れを溶かして食器洗浄を楽にすることが望ましい。ここで溶解時間が短いことが望ましい。汚れがかなり強くこびりついている場合、洗う前に食器を予め湿らすことが一般的である。予め湿らす時間も短いことが望ましい。
【0007】
ユーザーには、得てしてスプレー型製品が好まれる傾向がある。食器の手洗い洗浄に使用されるスプレー型組成物は、迅速に消えにくい泡を噴射しやすく、すすぎやすく、それでありながら様々な汚れを十分に落とすことが求められる。噴射の際に、周囲に拡散しにくい又はしないような組成物とすることが求められる。周囲への拡散は無駄な使用量につながるだけではなく、吸引のリスクも伴い得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に洗浄にかかる時間と手間を減らすことで、食器の手洗いのような洗浄処理を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に従うと、洗浄製品が提供される。洗浄製品はあらゆる表面の洗浄に対して好適であるが、手洗い用製品であることが好ましい。製品は、スプレーディスペンサと洗浄組成物を有する。当該組成物は噴射しやすい発泡組成物である。当該組成物はスプレーディスペンサに収容される。本発明の洗浄製品に対して用いられる組成物は、本明細書内において、「本発明の組成物」と言及されることもある。
【0010】
本明細書においてスプレーディスペンサは、上記組成物を収容する筐体であり、組成物を噴射する手段を意味する。噴射手段は、トリガー型スプレーである。当該組成物は噴射されると発泡する。発泡はユーザーにとって洗浄に関連した性質である。即ち、組成物により洗浄が実現されているということをユーザーに示すことができるよう、本発明の組成物が発生することが好ましい。
【0011】
本発明の組成物は、
i)本組成物の重量に対して約5~約15重量%、好ましくは7~12重量%の界面活性剤系と、
ii)式I:R1O(R2O)nR3及び式II:R4O(R5O)nR6のグリコールエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコールエーテル溶剤を含む。
式中、
R1は直鎖若しくは分岐状C4、C5、若しくはC6アルキル又は置換若しくは非置換フェニルであり、R2はエチル又はイソプロピルであり、R3は水素又はメチルであり、nは1、2、又は3であり、
R4はn-プロピル又はイソプロピルであり、R5はイソプロピルであり、R6は水素又はメチルであり、nは1、2、又は3であり、
【0012】
界面活性剤系とグリコールエーテル溶剤とは、約5:1~約1:1、好ましくは約3:1~約1:1の重量比である。界面活性剤系は洗浄及び発泡に寄与するとみなされるものである。上述の界面活性剤のレベルと、具体的な溶剤及び界面活性剤と溶剤の重量比により、良好な発泡性、そして崩れにくい泡が実現される。本発明の組成物を噴射した際に生じる泡は、洗浄対象の物品に接触した際の衝撃に耐えられる強度を有し、それでありながらすすぎやすい。
【0013】
更に、本発明の組成物は洗浄性に優れる。即ち、調理された、焼けた、また焦げたような、落としにくい食物汚れの洗浄や、多少の油汚れの十分な洗浄が可能である。本発明の組成物は洗浄性に優れるのみならず、高度な迅速性や使用者によるこすり洗いの手間の削減を実現する。即ち、本発明の製品は、水道水を出しながらの食器洗浄に特に有用である。汚れが少ない食器に対しては、本発明の組成物は、少ないこすり洗い、又はこすり洗いなしで十分な洗浄が可能である。即ち、そのような食器は単に組成物を噴射して、すすぐだけで洗浄可能である。任意で軽いふき取り動作を実行してもよい。
【0014】
かなり汚れた食器であれば、本発明の製品は汚れを除去しやすくするための前処理に非常に有用である。通常の前処理として、汚れた食器を、製品原液に浸しておくことを含む。
【0015】
上述の表界面活性剤系のレベルと、グリコールエーテル溶剤に対する界面活性剤系の比を有する組成物によると、噴射した際、過剰な噴射量を最小限に抑えて、食器を十分に網羅することができ、無駄な使用量の増加やユーザーによる吸引を防止できる。
【0016】
界面活性剤と溶剤との比が1:1未満の組成物では、発泡不能である、更に/又は相分離が生じて製品の安定性が損なわれる。界面活性剤と溶剤との比が5:1を超える組成物では、噴射困難で、本発明の製品が使用される際に水量が低いと、油汚れに接触することでゲル状になりやすい。ゲル状になると、組成物が広がりにくく、洗浄性に悪影響を及ぼす。
【0017】
好ましくは、本発明の組成物は、20℃の蒸留水中に溶剤を10%含めて測定すると、pHが8超、より好ましくは10~12、最も好ましく10.5~11.5である。組成物は予備アルカリ度が約0.1~約1、より好ましくは約0.1~約0.5である。本明細書中、予備アルカリ度は、pH10の製品を最終組成物のpHまで滴定するのに必要な、組成物100mL当たりのNaOHのグラムで表される。このpHと予備アルカリ度が、落としにくい食物汚れの洗浄性の更なる向上に寄与する。
【0018】
アニオン性界面活性剤と補助界面活性剤を含む界面活性剤系を有する組成物は、洗浄性、発泡性の面で好ましいことが確認されている。また、噴射形状の点でも好ましいことが確認されている。本発明の組成物の界面活性剤系がアニオン性界面活性剤を含む場合、小液滴の存在(即ち吸引リスク)が最小限に抑えられる。本明細書において補助界面活性剤とは、主界面活性剤に比較して少量で組成物中に含まれる界面活性剤である。本明細書において主界面活性剤とは、組成物中に最も多く含まれる界面活性剤である。好ましくは、アニオン性界面活性剤はサルフェート界面活性剤であり、より好ましくはアルキルエトキシレートサルフェート又は分岐状短鎖アルキルサルフェートである。エトキシル化度が約2~約4、より好ましくは約3のアルキルエトキシル化サルフェートは、エトキシル化度がより低いその他アルキルエトキシル化サルフェートと比して、洗浄性、洗浄の迅速性に優れる。
【0019】
本明細書において、「分岐状短鎖アルキルサルフェート」は、直鎖型アルキルサルフェート主鎖を有する界面活性剤を意味し、当該主鎖は、そのC1位、C2位、又はC3位で、好ましくはC2位で、1以上のC1~C5、好ましくはC1~C3アルキル分岐基に置換された、4~8個、好ましくは5~7個の炭素原子を含む。この種のアニオン性界面活性剤は、しつこい油汚れの洗浄や、良好な発泡性を実現することが確認されている。特に、組成物がアミンオキシド又はベタイン、好ましくはアミンオキシドを補助界面活性剤として有していれば、噴射後に即発泡が生じる。本明細書において使用される分岐短鎖アルキルサルフェートは、好ましくは分岐ヘキシルサルフェートであり、より好ましくは2-エチルヘキシルサルフェートである。
【0020】
好ましくは、補助界面活性剤は、ベタイン、アミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。アミンオキシドは本明細書において使用が好ましい補助界面活性剤である。補助界面活性剤の製品の発泡に寄与し得る。アニオン性界面活性剤と補助界面活性剤を重量比約4:1~約1:1、好ましくは約3:1~約1:1、最も好ましくは約2:1~約1:1で含むことで特に高性能の製品が得られる。補助界面活性剤がアミンオキシドを含む組成物が特に好ましい。
【0021】
本発明の組成物は、式I、式IIのグリコールエーテル及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコールエーテルを含む。このようなグリコールエーテルが、製品の洗浄速度だけでなく、特に油汚れに対する洗浄性能の向上に寄与することが確認されている。この効果は、式Iや式IIとは異なる式で表されるグリコールエーテルでは実現されないようである。
【0022】
好ましくは、本発明の組成物は更に好ましくはアミノカルボン酸塩キレート剤、より好ましくはGLDAであるキレート剤を更に含む。アミノカルボン酸塩はキレート剤のみとして作用するのみならず、予備アルカリ度にも寄与する。これは、調理された、焼いた、また焦げ付いた汚れの洗浄に寄与するものと考えられる。好ましくは、本発明の組成物は、重炭酸塩(bicarbonate)及び/又はモノエタノール及び/又はカルボキシレートビルダーを含む。好ましくはクエン酸塩(citrate)ビルダーである。これは、アミノカルボン酸塩キレート剤同様、予備アルカリ度にも寄与する。
【0023】
本明細書の組成物は、ニュートン性又は非ニュートン性であり得る。好ましくは、組成物は擬塑性流体である。このことは、組成物の噴射しやすさの点で重要である。本発明の組成物には、流体が洗浄の際に垂直面にとどまりつつ、すすぎが容易になるような粘度が求められる。特に好適なのは、開始粘度が約1~約10mPa s高剪断(10,000s-1で)である組成物である。好ましくは、組成物は、本明細書で以下に定義する方法を用いて測定される場合、20℃において、低剪断(100s-1で)対高剪断(10,000s-1で)の粘度比率が約10:1から約1.5:1である、擬塑性組成物である。本発明の組成物は、好ましくはレオロジー調整剤を含み、より好ましくはキサンタンガムを含む。
【0024】
好ましい組成物は、20℃の蒸留水中の10%溶液として測定された場合、pHが10~11.5であり、予備アルカリ度がpH10の組成物100mL当たりのNaOHのグラム数で表すと0.1~0.3であって、当該組成物は、
i)組成物の約4~約10重量%、好ましくは約5~約8重量%のアルキルエトキシレートサルフェート、好ましくは平均エトキシル化度が約3であるアルキルエトキシレートサルフェートと、
ii)組成物の約1~約5重量%のアミンオキシド界面活性剤と、
iii)組成物の約3~約8重量%、好ましくは約4~約7重量%のグリコールエーテル溶剤、好ましくはジプロピレングリコールn-ブチルエーテルと、を含む。
【0025】
別の好ましい組成物は、20℃の蒸留水中の10%溶液として測定された場合、pHが10~11.5であり、予備アルカリ度がpH10の組成物100mL当たりのNaOHのグラム数で表すと0.1~0.3であって、当該組成物は、
i)組成物の約4~約10重量%、約5~約8重量%の分岐状短鎖アルキルサルフェート、好ましくは2-エチルヘキシルサルフェートと、
ii)組成物の約1~5重量%のアミンオキシド界面活性剤と、
iii)組成物の約3重量%~8重量%、好ましくは約4~約7重量%のグリコールエーテル溶剤、好ましくはジプロピレングリコールn-ブチルエーテルと、を含む。
【0026】
本発明の第2実施形態では、上記請求項のいずれか一項に記載の製品を使用して、汚れた食器を洗浄する方法であって、
a)場合により汚れた食器を予め湿らす工程と、
b)洗浄組成物を汚れた食器に噴射する工程と、
c)場合により一定時間、水を汚れた食器に加える工程と、
d)場合により食器をこすり洗いする工程と、
e)食器をすすぐ工程と、を有する方法が提供される。
【0027】
本発明の方法により、特に軽く汚れている食器のような食器が、水道水を流しっ放しの状態で、より早く、より簡潔に洗浄可能となる。調理された、焼いた、又は焦げ付いた汚れのような、落ちにくい食物汚れの付いた食器に対して、本発明の方法では、本発明の製品を原液で、又は水に溶かし使用して汚れた食器を予め湿らすことで、洗浄しやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、洗浄製品に関し、好ましくは手洗い用洗浄製品に関する。製品は、スプレーディスペンサと、洗浄組成物とを有する。洗浄組成物は、界面活性剤系と特定のグリコールエーテル溶剤とを含む。本発明の製品は、洗浄作業、特に手洗いでの洗浄作業をより簡単に、より早く行うことができるようにすることで、作業性を向上する。本発明の製品は、食器の手洗いに特に好適に用いられる。
【0029】
本発明において、「食器」は調理器具と食器の両方を含む。
【0030】
洗浄組成物
洗剤組成物は手洗い用食器洗浄組成物であり、好ましくは液状である。
【0031】
組成物のpHは、20℃の蒸留水で10%の濃度で測定した場合、好ましくは8超であり、より好ましくは約10~約12であり、最も好ましくは約10.5~約11.5である。組成物は、後段にて詳述するように測定した場合、好ましくは予備アルカリ度が約0.1~約1であり、より好ましくは約0.1~約0.5である。
【0032】
予備アルカリ度は、pH10の試験組成物のpHが試験組成物pHになるまで滴定するために必要な、組成物100g中のNaOHのグラム数として定義される。溶液の予備アルカリ度は、次のようにして決定される。
【0033】
Ag/AgCl電極(例えば、OrionSure-Flow電極モデル9172BN)付きのpH計(例えば、Orionモデル720A)を、標準化されたpH7及びpH10のpH緩衝剤を用いて較正する。20℃の蒸留水における10%溶液100gの試験組成物を用意する。10%溶液のpHを測定し、次に、標準化された0.1NのHCL溶液を用いて、100g溶液がpH10になるまで滴定する。必要な0.1NのHCL溶液の容積はmL単位で記録する。以下のとおり予備アルカリ度を計算する。
予備アルカリ度=0.1NのHCLの容積(mL)×0.1(等量/L)×NaOHの等量重量(g/等量)×10
【0034】
界面活性剤系
洗浄組成物は、組成物の約5重量%~約15重量%、好ましくは約6重量%~約14重量%、より好ましくは約7重量%~約12重量%の界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、好ましくはアニオン性界面活性剤、より好ましくはサルフェート界面活性剤を含む。界面活性剤系は、両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される補助界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0035】
ここで、好ましくはアルキルサルフェートが使用され、特にアルキルエトキシサルフェートが使用される。平均エトキシル化度が約2~約5のアルキルエトキシサルフェートがより好ましく、平均エトキシル化度が約3であるアルキルエトキシサルフェートが最も好ましい。
【0036】
本発明の組成物は好ましくは両性及び/又は双極性界面活性剤を含み、好ましい両性界面活性剤はアミンオキシドを含み、好ましい双極性界面活性剤はベタイン界面活性剤を含む。
【0037】
好ましくは、本発明の組成物は、アニオン性界面活性剤と補助界面活性剤とを重量比約4:1~約1:1、好ましくは3:1~1:1、より好ましくは2.8:1~1.3:1の重量比で含む。
【0038】
本発明の洗浄組成物における最も好ましい界面活性剤系は、以下を含む。(1)好ましくはアルキルアルコキシサルフェート界面活性剤又は分岐状短鎖アルキルサルフェートであるアニオン性界面活性剤組成物を4重量%~10重量%、好ましくは5重量%~8重量%。(2)好ましくはアミンオキシド界面活性剤である、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤組成物を1重量%~5重量%、好ましくは1重量%~4重量%。このような界面活性剤系と、本発明のグリコールエーテルを組み合わせることで、良好な洗浄、発泡性が実現されることが確認されている。
【0039】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤としては、その分子構造中に一般に8~22個の炭素原子又は一般に8~18個の炭素原子を含む有機疎水基と、水溶性化合物を形成するための、好ましくはスルホネート、サルフェート、及びカルボキシレートから選択される少なくとも1つの水可溶化基と、を含有する、界面活性化合物が挙げられるが、これらに限定されない。通常、疎水性基は、直鎖又は分岐状C8~C22アルキル、又はアシル基を含むこととなる。このような界面活性剤は水溶性塩の形態で使用され、塩形成カチオンは、通常、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、及びモノ、ジ又はトリ-アルカノールアンモニウムから選択され、通常選択されるカチオンはナトリウムである。
【0040】
好ましくは、アニオン性界面活性剤はサルフェート界面活性剤である。サルフェート界面活性剤は、好ましくはアルキルサルフェート、特にアルキルエトキシサルフェートである。平均エトキシル化度が約2~約5のアルキルエトキシサルフェートがより好ましく、平均エトキシル化度が約3であるアルキルエトキシサルフェートが最も好ましい。別の好ましいサルフェート界面活性剤としては、分岐状短鎖アルキルサルフェート、特に2-エチルヘキシルサルフェートが挙げられる。
【0041】
サルフェートアニオン性界面活性剤
サルフェートアニオン性界面活性剤は好ましくはアルコキシ化されたものであり、より好ましくは平均アルコキシ化度が約2~約5、最も好ましくは平均アルコキシ化度が約3のアルコキシ化サルフェートアニオン性界面活性剤である。好ましくは、アルコキシ基はエトキシである。サルフェートアニオン性界面活性剤がサルフェートアニオン性界面活性剤の混合物であるとき、アルコキシ化度は混合物のすべての組成物の重量平均アルコキシ化度(重量平均アルコキシ化度)である。重量平均アルコキシ化度の計算において、アルコキシ化された基を有さない硫酸化アニオン性界面活性剤組成物の重量も含める必要がある。
重量平均アルコキシ化度=(x1*界面活性剤1のアルコキシ化度+x2*界面活性剤2のアルコキシ化度+....)/(x1+x2+....)
式中、x1、x2、...は、混合物の各サルフェートアニオン性界面活性剤のグラム単位の重量であり、アルコキシ化度は、各サルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシ基の数である。
【0042】
分岐状の界面活性剤の場合、分岐基はアルキルであることが好ましい。典型的には、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、環状アルキル基及びこれらの混合物から選択される。単一又は複数のアルキル分岐基は、本発明の洗剤で使用するサルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために用いる、出発アルコール(複数を含む)のヒドロカルビル主鎖に存在することができる。
【0043】
分岐状サルフェートアニオン性界面活性剤は、単一のアニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤の混合物であり得る。単一の界面活性剤の場合、分岐の割合は、界面活性剤が誘導される元のアルコールにおいて分岐しているヒドロカルビル鎖の重量%を指す。
【0044】
界面活性剤混合物の場合、分岐の割合は重量平均であり、以下の式に従って定義される。
分岐の重量平均(%)=[(x1*アルコール1中の分岐アルコール1の重量%+x2*アルコール2中の分岐アルコール2の重量%+...)/(x1+x2+...)]*100
式中、x1、x2は、本発明の洗剤のアニオン性界面活性剤のための出発原料として使用したアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールのグラム単位の重量である。重量平均分岐化度の計算において、分岐基を有さないアニオン性界面活性剤組成物の重量も含める必要がある。
【0045】
界面活性剤系が分岐状アニオン性界面活性剤を含む場合、界面活性剤系はその少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%の分岐状アニオン性界面活性剤を含み、より好ましくは、分岐状アニオン性界面活性剤は、その50重量%超のアルキルエトキシル化サルフェートを含み、当該アルキルエトキシル化サルフェートは、約2~約5のエトキシル化度及び好ましくは約5%~約40%の分岐率を有する。
【0046】
本明細書での使用に好適なサルフェート界面活性剤としては、C8~C18アルキルの水溶性塩、好ましくはC12~C14アルキル、ヒドロキシアルキル、サルフェート、及び/又はエーテルサルフェートの50重量%超のC8からC18アルキルを含むC8~C18アルキルを含む。好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、アンモニウム又は置換アンモニウムが挙げられるが、ナトリウムが好ましい。
【0047】
サルフェート界面活性剤は、C8~C18のアルキルアルコキシサルフェート(AExS)から選択することができ、好ましくはxは1~30であり、アルコキシ基はエトキシ、プロポキシ、ブトキシ、又は更なる高級アルコキシ基及びこれらの混合物から選択されることができる。ここで特に好ましいのは、平均エトキシル化度が約2~約5のC12~C14のアルキルエトキシサルフェートであり、好ましくは平均エトキシル化度が約3である。
【0048】
アルキルアルコキシサルフェートは、様々な鎖長、エトキシル化度及び分岐度のものが市販されている。市販品として入手可能なサルフェートとしては、Shell社製のNeodolアルコール、Sasol社製のLial-Isalchem及びSafol、Procter & Gamble Chemicals社製の天然アルコールをベースにしたものが挙げられる。
【0049】
アニオン性界面活性剤が分岐状であれば、その少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも70重量%のサルフェート界面活性剤を含むことが好ましい。洗浄の点から好ましいのは、分岐状アニオン性界面活性剤がその50重量%超、より好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも70重量%のサルフェート界面活性剤を含んでおり、このサルフェート界面活性剤がアルキルサルフェート、アルキルエトキシサルフェート及びこれらの混合物からなる群から選択される分岐状界面活性剤である。分岐状アニオン性界面活性剤の平均エトキシル化度が約2~約5であることが更に好ましく、平均エトキシル化度が約3であることがより好ましい。アニオン性界面活性剤の平均分岐度が約10%~約35%であることが更に好ましく、約20%~約30%であることがより好ましい。
【0050】
直鎖アルキルアルコキシレートサルフェート界面活性剤は、本発明の組成物での使用に有用である。
【0051】
分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤
この種のアニオン性界面活性剤は、しつこい油汚れに対する洗浄を実現することが確認されている。更に、アミンオキシド又はベタイン、特にアミンオキシド界面活性剤と組み合わせると優良な発泡性を示す。具体的には噴射直後の発泡が実現される。
【0052】
本発明の分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は、直鎖型アルキルサルフェート主鎖のC1位、C2位、又はC3位で1以上のC1~C5アルキル分岐基に置換された、4~8個の炭素原子を含む直鎖型アルキルサルフェート主鎖を有する。分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤内の硫酸基は、上記C4~C8直鎖型主鎖に末端位置で直接結合されている。
【0053】
好ましくは、直鎖型アルキルサルフェート主鎖は、5~7個の炭素原子を含む。好ましくは、1以上のアルキル分岐基は、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルから選択される。好ましくは、分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は、その直鎖型主鎖上に置換された分岐基を1つのみ有する。好ましくは、アルキル分岐基は、直鎖型アルキルサルフェート主鎖のC2位に置かれる。
【0054】
より好ましくは、本発明の分岐状短鎖アルキルサルフェートは、直鎖型アルキルサルフェート主鎖のC2位でメチル、エチル、プロピルから選択される1つのアルキル分岐基に置換された、5~7個の炭素を含む直鎖型アルキル主鎖を有する。最も好ましくは、分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は、2-エチルヘキシルサルフェートである。
【0055】
本発明の組成物は、調整された分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤の対応する非サルフェート化分岐状短鎖アルコール供給材料の一部を更に含む場合もある。
【0056】
好適な分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤としては、1-メチルブチルサルフェート、1-エチルブチルサルフェート、1-プロピルブチルサルフェート、1-イソプロピルブチルサルフェート1-メチルペンチルサルフェート、1-エチルペンチルサルフェート、1-プロピルペンチルサルフェート、1-イソプロピルペンチルサルフェート1-ブチルペンチルサルフェート、1-メチルヘキシルサルフェート、1-エチルヘキシルサルフェート、1-プロピルヘキシルサルフェート、1-イソプロピルサルフェート1-ブチルヘキシルサルフェート、1-ペンチルヘキシルサルフェート、1-メチルヘプチルサルフェート、1-エチルヘプチルサルフェート、1-プロピルヘプチルサルフェート、1-イソプロピルヘプチルサルフェート、1-ブチルヘプチルサルフェート、1-ペンチルヘプチルサルフェート、1-ヘキシルヘプチルサルフェート、1-メチルオクチルサルフェート、1-エチルオクチルサルフェート、1-プロピルオクチルサルフェート、1-イソプロピルオクチルサルフェート、1-ブチルオクチルサルフェート、1-ペンチルオクチルサルフェート、1-ヘキシルオクチルサルフェート、1-ヘプチルオクチルサルフェート、2-メチルブチルサルフェート、2-エチルブチルサルフェート、2-プロピルブチルサルフェート、2-イソプロピルブチルサルフェート2-メチルペンチルサルフェート、2-エチルペンチルサルフェート、2-プロピルペンチルサルフェート、2-イソプロピルペンチルサルフェート、2-ブチルペンチルサルフェート、2-メチルヘキシルサルフェート、2-エチルヘキシルサルフェート、2-プロピルヘキシルサルフェート、2-イソプロピルヘキシルサルフェート、2-ブチルヘキシルサルフェート、2-ペンチルヘキシルサルフェート、2-メチルヘプチルサルフェート、2-エチルヘプチルサルフェート、2-プロピルヘプチルサルフェート、2-イソプロピルヘプチルサルフェート、2-ブチルヘプチルサルフェート、2-ペンチルヘプチルサルフェート、2-ヘキシルヘプチルサルフェート、2-メチルオクチルサルフェート、2-エチルオクチルサルフェート、2-プロピルオクチルサルフェート、2-イソプロピルオクチルサルフェート、2-ブチルオクチルサルフェート、2-ペンチルオクチルサルフェート、2-ヘキシルオクチルサルフェート、2-ヘプチルオクチルサルフェート、3-メチルブチルサルフェート、3-エチルブチルサルフェート、3-プロピルブチルサルフェート、3-イソプロピルブチルサルフェート、3-メチルペンチルサルフェート、3-エチルペンチルサルフェート、3-プロピルペンチルサルフェート、3-イソプロピルペンチルサルフェート、3-ブチルペンチルサルフェート、3-メチルヘキシルサルフェート、3-エチルヘキシルサルフェート、3-プロピルヘキシルサルフェート、3-イソプロピルヘキシルサルフェート、3-ブチルヘキシルサルフェート、3-ペンチルヘキシルサルフェート、3-メチルヘプチルサルフェート、3-エチルヘプチルサルフェート、3-プロピルヘプチルサルフェート、3-イソプロピルヘプチルサルフェート、3-ブチルヘプチルサルフェート、3-ペンチルヘプチルサルフェート、3-ヘキシルヘプチルサルフェート、3-メチルオクチルサルフェート、3-エチルオクチルサルフェート、3-プロピルオクチルサルフェート、3-イソプロピルオクチルサルフェート、3-ブチルオクチルサルフェート、3-ペンチルオクチルサルフェート、3-ヘキシルオクチルサルフェート、3-ヘプチルオクチルサルフェート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
より好ましくは、分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は、1-メチルペンチルサルフェート、1-エチルペンチルサルフェート、1-プロピルペンチルサルフェート、1-ブチルペンチルサルフェート、1-メチルヘキシルサルフェート、1-エチルヘキシルサルフェート、1-プロピルヘキシルサルフェート、1-ブチルヘキシルサルフェート、1-ペンチルヘキシルサルフェート、1-メチルヘプチルサルフェート、1-エチルヘプチルサルフェート、1-プロピルヘプチルサルフェート、1-ブチルヘプチルサルフェート、1-ペンチルヘプチルサルフェート、1-ヘキシルヘプチルサルフェート、2-メチルペンチルサルフェート、2-エチルペンチルサルフェート、2-プロピルペンチルサルフェート、2-ブチルペンチルサルフェート、2-メチルヘキシルサルフェート、2-エチルヘキシルサルフェート、2-プロピルヘキシルサルフェート、2-ブチルヘキシルサルフェート、2-ペンチルヘキシルサルフェート、2-メチルヘプチルサルフェート、2-エチルヘプチルサルフェート、2-プロピルヘプチルサルフェート、2-ブチルヘプチルサルフェート、2-ペンチルヘプチルサルフェート、2-ヘキシルヘプチルサルフェート、3-メチルペンチルサルフェート、3-エチルペンチルサルフェート、3-プロピルペンチルサルフェート、3-ブチルペンチルサルフェート、3-メチルヘキシルサルフェート、3-エチルヘキシルサルフェート、3-プロピルヘキシルサルフェート、3-ブチルヘキシルサルフェート、3-ペンチルヘキシルサルフェート、3-メチルヘプチルサルフェート、3-エチルヘプチルサルフェート、3-プロピルヘプチルサルフェート、3-ブチルヘプチルサルフェート、3-ペンチルヘプチルサルフェート、3-ヘキシルヘプチルサルフェート、及びこれらの混合物から選択される。
【0058】
更により好ましくは、分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は、2-メチルペンチルサルフェート、2-エチルペンチルサルフェート、2-プロピルペンチルサルフェート、2-ブチルペンチルサルフェート、2-メチルヘキシルサルフェート、2-エチルヘキシルサルフェート、2-プロピルヘキシルサルフェート、2-ブチルヘキシルサルフェート、2-ペンチルヘキシルサルフェート、2-メチルヘプチルサルフェート、2-エチルヘプチルサルフェート、2-プロピルヘプチルサルフェート、2-ブチルヘプチルサルフェート、2-ペンチルヘプチルサルフェート、2-ヘキシルヘプチルサルフェート、及びこれらの混合物から選択される。
【0059】
更により好ましくは、分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は、2-メチルペンチルサルフェート、2-エチルペンチルサルフェート、2-プロピルペンチルサルフェート、2-メチルヘキシルサルフェート、2-エチルヘキシルサルフェート、2-プロピルヘキシルサルフェート、2-メチルヘプチルサルフェート、2-エチルヘプチルサルフェート、2-プロピルヘプチルサルフェート、及びこれらの混合物から選択される。
【0060】
最も好ましい分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は2-エチルヘキシルサルフェートである。この化合物は、Enaspol社の製品名Syntapon EHや、Huntsman社のEmpicol 0585Uとして市販されている。
【0061】
分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は、組成物に対して約3重量%~約10重量%、好ましくは約4重量%~約8重量%となるよう調製される。
【0062】
分岐状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤は、界面活性剤組成物全体に対して約50重量%~約100重量%、好ましくは約55重量%~約75重量%となるよう調製される。
【0063】
両性界面活性剤
好ましくは、両性界面活性剤はアミンオキシドである。好ましいアミンオキシドは、アルキルジメチルアミンオキシド又はアルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、より好ましくはアルキルジメチルアミンオキシド、及び特にココジメチルアミンオキシドである。アミンオキシドは、直鎖又は中等度分岐状アルキル基を有し得る。典型的な直鎖アミンオキシドとしては、C8~18アルキル部分である1つのR1と、C1~3アルキル基及びC1~3ヒドロキシアルキル基からなる群から選択される2つのR2及びR3部分と、を含有する水溶性アミンオキシドが挙げられる。好ましくは、アミンオキシドは、式R1-N(R2)(R3)O(式中、R1はC8~18アルキルであり、R2及びR3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、及び3-ヒドロキシプロピルからなる群から選択される)により特徴付けられる。直鎖アミンオキシド系界面活性剤としては、具体的には、直鎖C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを挙げることができる。好ましいアミンオキシドとしては、直鎖C10、直鎖C10~C12、及び直鎖C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが挙げられる。本明細書で使用するとき、「中鎖分岐状(mid-branched)」とは、アミンオキシドが、炭素原子n1個を有する1つのアルキル部分を有し、このアルキル部分上の1つのアルキル分岐が炭素原子n2個を有することを意味する。アルキル分岐は、アルキル部分の窒素のα炭素に位置する。アミンオキシドにおけるこのタイプの分岐は、当該技術分野において、内部アミンオキシドとしても知られている。n1とn2の合計は、10~24個の炭素原子、好ましくは12~20個、より好ましくは10~16個である。1つのアルキル部分と1つのアルキル分岐とが対称となるように、1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、1つのアルキル分岐の炭素原子数(n2)とおよそ同じであるべきである。本明細書で使用するとき、「対称」は、本明細書で用いられる中鎖分岐状アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%が、|n1~n2|が5以下、好ましくは4、最も好ましくは0~4の炭素原子であることを意味する。
【0064】
アミンオキシドは、更に、独立して、C1~3アルキル;C1~3ヒドロキシアルキル基;又は平均して約1~約3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基から選択される2つの部分を含む。好ましくは、2つの部分は、C1~3アルキルから選択され、より好ましくは、両方にC1アルキルが選択される。
【0065】
双極性イオン界面活性剤
他の好適な界面活性剤としては、好ましくはアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)並びにホスホベタインなどのベタインのような双極性イオン界面活性剤が挙げられ、好ましくは次の式(I)に合致する。
R1-[CO-X(CH2)n]x-N+(R2)(R3)-(CH2)m-[CH(OH)-CH2]y-Y-
(I)
式中、
R1は飽和又は不飽和C6~22アルキル残基であり、好ましくはC8~18アルキル残基、特に飽和C10~16アルキル残基、例えば、飽和C12~14アルキル残基であり、
Xは、NH、NR4(C1~4アルキル残基R4を有する)、O、又はSであり;
nは、1~10の数、好ましくは2~5、特に3であり、
xは0又は1、好ましくは1であり、
R2、R3は独立して、ヒドロキシエチル、好ましくはメチルなどの、ヒドロキシ置換される可能性のあるC1~4アルキル残基であり、
mは1~4の数、特に1、2又は3であり、
yは0又は1であり、
Yは、COO、SO3、OPO(OR5)O又はP(O)(OR5)Oであり、R5は水素原子H又はC1~4アルキル残基である。
【0066】
好ましいベタインは、式(Ia)のアルキルベタイン、式(Ib)のアルキルアミドプロピルベタイン、式(Ic)のスルホベタイン、及び式(Id)のアミドスルホベタインであり;
R1-N+(CH3)2-CH2COO- (Ia)
R1-CO-NH(CH2)3-N+(CH3)2-CH2COO- (Ib)
R1-N+(CH3)2-CH2CH(OH)CH2SO3- (Ic) R1-CO-NH-(CH2)3-N+CH3)2-CH2CH(OH)CH2SO3-(Id)、式中、R11は、式Iと同じ意味である。特に好ましいベタインは、カルボベタイン[式中、Y-=COO-]であり、特に式(Ia)及び(Ib)のカルボベタインであり、式(Ib)のアルキルアミドベタインが最も好ましい。
【0067】
好適なベタイン及びスルホベタインの例は、アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、ベタイン、キャノーラミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチル大豆グリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチルタローグリシネート、PG-ベタインのプロピルジメチコーン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水素添加タローベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン、ミンクアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、ヤシアミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、ヤシ仁アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノール酸アミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローベタイン、タロージヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、及び小麦胚芽アミドプロピルベタインである[INCIに従って表記]。
【0068】
例えば、好ましいベタインはココアミドプロピルベタインである。
【0069】
非イオン性界面活性剤
存在する場合、非イオン性界面活性剤は、組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.2重量%~8重量%、最も好ましくは0.5重量%~6重量%の典型量で含まれる。好適な非イオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコールと1~25モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖又は分岐鎖状、第1級又は第2級でよく、一般的に8~22個の炭素原子を含有する。特に好ましいのは、10~18個の炭素原子、好ましくは10~15個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルコールと、アルコール1モル当たり2~18モル、好ましくは2~15モル、より好ましくは5~12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。極めて好ましい非イオン性界面活性剤は、ゲルベアルコールと、アルコール1モル当たり2~18モル、好ましくは2~15モル、より好ましくは5~12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。
【0070】
本明細書での使用に好適なその他の非イオン性界面活性剤には、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルポリグルコシド、及び脂肪酸グルカミドが挙げられる。
【0071】
グリコールエーテル溶剤
本発明の組成物は、式I、式IIのグリコールエーテルから選択されるグリコールエーテル溶剤を含む。
【0072】
式I=R1O(R2O)nR3
式中、
R1は直鎖又は分岐状C4、C5又はC6アルキル、置換又は非置換フェニル、好ましくはn-ブチルであり(ここでは置換フェニルの1つとしてベンジルが挙げられる)、
R2はエチル又はイソプロピル、好ましくはイソプロピルであり、
R3は、水素又はメチルから選択され、好ましくは水素であり、
nは1、2、又は3、好ましくは1又は2である。
【0073】
式II=R4O(R5O)nR6
式中、
R4はn-プロピル又はイソプロピル、好ましくはn-プロピルであり、
R5はイソプロピルであり、
R6は水素又はメチル、好ましくは水素であり、
nは1、2、又は3、好ましくは1又は2である。
【0074】
式Iによる好適なグリコールエーテル溶剤としては、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールn-ペンチルエーテル、ジエチレングリコールn-ペンチルエーテル、トリエチレングリコールn-ペンチルエーテル、プロピレングリコールn-ペンチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ペンチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ペンチルエーテル、エチレングリコールn-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールn-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールn-ヘキシルエーテル、プロピレングリコールn-ヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールn-ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールn-ヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、トリエチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、トリエチレングリコールベンジルエーテル、プロピレングリコールベンジルエーテル、ジプロピレングリコールベンジルエーテル、トリプロピレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、トリエチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールイソペンチルエーテル、ジエチレングリコールイソペンチルエーテル、トリエチレングリコールイソペンチルエーテル、プロピレングリコールイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールイソペンチルエーテル、エチレングリコールイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールイソヘキシルエーテル、プロピレングリコールイソヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールイソヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールイソヘキシルエーテル、エチレングリコールn-ブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルメチルエーテルトリエチレングリコールn-ブチルメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルメチルエーテル、エチレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、トリエチレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、エチレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、トリエチレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、プロピレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、エチレングリコールフェニルメチルエーテル、ジエチレングリコールフェニルメチルエーテル、トリエチレングリコールフェニルメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルメチルエーテル、ジプロピレングリコールフェニルメチルエーテル、トリプロピレングリコールフェニルメチルエーテル、エチレングリコールベンジルメチルエーテル、ジエチレングリコールベンジルメチルエーテル、トリエチレングリコールベンジルメチルエーテル、プロピレングリコールベンジルメチルエーテル、ジプロピレングリコールベンジルメチルエーテル、トリプロピレングリコールベンジルメチルエーテル、エチレングリコールイソブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールイソブチルメチルエーテル、プロピレングリコールイソブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルメチルエーテル、エチレングリコールイソペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソペンチルメチルエーテル、トリエチレングリコールイソペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールイソペンチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソペンチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソペンチルメチルエーテル、エチレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、トリエチレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、プロピレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
式Iによる好ましいグリコールエーテル溶剤は、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物である。
【0076】
式Iによる最も好ましいグリコールエーテルは、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物である。
【0077】
式IIによる好適なグリコールエーテル溶剤としては、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-プロピルメチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
式IIによる好ましいグリコールエーテル溶剤は、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、及びこれらの混合物である。
【0079】
最も好ましいグリコールエーテル溶剤は、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物、特にジプロピレングリコールn-ブチルエーテルである。
【0080】
好適なグリコールエーテル溶剤は、The Dow Chemical Company社から購入可能であり、特にEシリーズ(エチレングリコール系)グリコールエーテル及びPシリーズ(プロピレングリコール系)グリコールエーテル製品が挙げられる。好適なグリコールエーテル溶剤としては、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、ブトキシトリグリコール、Dowanol Eph、Dowanol PnP、Dowanol DPnP、Dowanol PnB、Dowanol DPnB、Dowanol TPnB、Dowanol PPh、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0081】
本発明の製品のグリコールエーテルは、泡立ちを良くすることができる。
【0082】
グリコールエーテル溶剤は、組成物の約1重量%~約10重量%、好ましくは約2重量%~約8重量%、最も好ましくは約3重量%~約7重量%で存在する。
【0083】
キレート剤
本明細書の組成物は、キレート剤を組成物の総量の0.1重量%~10%重量%、好ましくは0.2重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~3重量%、最も好ましくは0.5重量%~1.5重量%の濃度で更に含んでもよい。
【0084】
好適なキレート剤は、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0085】
アミノカルボキシレートには、エチレンジアミンテトラ-アセテート、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトリロ-トリアセテート、エチレンジアミンテトラプロプリオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、及びエタノールジグリシン、並びにアルカリ金属、アンモニウム、その置換アンモニウム塩、及びこれらの混合物、更にMGDA(メチルグリシン二酢酸)、その塩及び誘導体、及びGLDA(グルタミン酸-N,N-二酢酸)、その塩及び誘導体が含まれる。GLDA(その塩及び誘導体)は、本発明によれば特に好ましく、そのテトラナトリウム塩が特に好ましい。
【0086】
ビルダー
本明細書の組成物は、ビルダー、好ましくはカルボン酸ビルダーを含んでもよい。本明細書で有用なカルボン酸塩としては、C1~6の直鎖状の酸塩、又は少なくとも3個の炭素を含有する環状の酸塩が挙げられる。カルボン酸又はその塩の、直鎖若しくは環状炭素含有鎖は、水酸基、エステル基、エーテル基、1~6個の、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する脂肪族基、及びこれらの混合物からなる群から選択される置換基で、置換されてもよい。
【0087】
好ましいカルボン酸塩は、サリチル酸、マレイン酸、アセチルサリチル酸、3-メチルサリチル酸、4-ヒドロキシイソフタル酸、ジヒドロキシフマル酸、1,2,4ベンゼントリカルボン酸、ペンタン酸、クエン酸、及びこれらの混合物からなる群からの塩から選択され、好ましくはクエン酸が用いられる。
【0088】
本発明の組成物での使用に好適な他のカルボン酸ビルダーとして、パーム核由来の脂肪酸、ヤシ由来の脂肪酸等の脂肪酸の塩や、ポリカルボン酸塩が挙げられる。
【0089】
その塩のカチオンは、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリエタノールアミン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0090】
カルボン酸又はその塩が存在する場合、その濃度は好ましくは組成物全体の0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~1重量%、となる。
【0091】
擬塑性レオロジー調整剤
本発明の組成物は更に、レオロジー調整剤を含んでもよい。これにより製品が擬塑性流動が可能となる。好ましくは、レオロジー調整剤は、非結晶質ポリマーレオロジー調整剤である。ポリマーレオロジー調整剤は合成されたものあっても、自然由来のポリマーであってもよい。
【0092】
本発明において使用される天然由来のポリマー構造化剤の例としては、ヒドロキシエチルセルロース、疎水修飾ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。多糖誘導体としては、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、カラヤゴム、トラガカントガム、ジェランガム、キサンタンガム、及びグアーガムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において使用される合成ポリマー構造化剤の例としては、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、ポリオール、及びこれらの誘導体やこれらの混合物を含むポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0093】
本発明の組成物は、好ましくは天然由来のレオロジー調整剤ポリマーを含み、最も好ましくはキサンタンガムを含む。
【0094】
一般的に、レオロジー調整ポリマーは、組成物の0.001重量%~1重量%、あるいは0.01重量%~0.5重量%、更には0.05重量%~0.25重量%の濃度で含まれる。
【0095】
その他任意の成分
ここでの組成物は、多数の任意成分を含んでもよい。当該成分としては、好ましくは塩化ナトリウムである無機塩、C2~C4アルコール、C2~C4ポリオール、ポリアルキレングリコール、ヒドロトロープ、及びこれらの混合物から選択される、レオロジー調整剤を含んでもよい。組成物は更に、pH調整及び/又は緩衝剤を含んでもよい。具体的には水酸化ナトリウムやモノエタノールアミンを含むアルカノールアミンや、重炭酸無機塩等である。組成物は、保存剤、UV安定剤、抗酸化剤、芳香剤、着色剤、及びこれらの混合物から選択されるその他少量成分を更に含んでもよい。
【0096】
粘度
製品の流動曲線を、レオメーター(TAインスツルメント製。型番DHR1)、ペルチェ同心円筒温度測定システム(TAインスツルメント製)、二重ギャップカップとローター(TAインスツルメント製)を使用して測定した。当該流動曲線処理は、調整工程と、20℃でのフローランピング工程とを含む。調整工程は、10s-1の剪断速度での30秒間の前剪断工程と、その後の120秒間の剪断を行わない平衡時間とを含む。フローランピング工程は、300秒間で対数剪断速度を0.001s-1から10000s-1まで上昇させることを含む。データフィルターを、使用器具の推奨される、20μNm(最小トルク値)に設定する。
【0097】
「低剪断粘度」とは、剪断速度100s-1で測定した粘度を意味する。「高剪断粘度」とは、剪断速度10000s-1で測定した粘度を意味する。
【0098】
スプレーディスペンサ
スプレーディスペンサは、本発明の組成物を収容する筐体と、噴射手段とを有する。適切なスプレーディスペンサとしては、ハンドポンプ(「トリガー式」とも称する)装置、加圧缶装置、静電スプレー装置等が挙げられる。好ましくは、スプレーディスペンサは非加圧で、噴射手段はトリガー式噴射型であることが好ましい。
【実施例】
【0099】
(実施例1)
本発明のグリコールエーテル溶剤の範囲内外のグリコールエーテル溶剤を含む組成物について、油膜に対する溶解、拡散性能を評価した。
【0100】
試験方法
オイル調製
周囲温度21℃(±2℃)で、オイル調製を行う。この温度範囲は全ての使用される製品に適用される。
【0101】
オイル1:食物性調理油の混合物であり、トウモロコシオイル(Vandemoortele製-商品番号1001928)、ピーナツオイル(Vandemoortele製-商品番号1002974)、ヒマワリオイル(Vandemoortele製-商品番号1001926)を等重量で混ぜたものである。そこに0.05重量%の赤色着色剤(Avecia製の赤色着色剤Waxoline Red)を添加する。その後、1時間混ぜ合わせて、オイル試料上に着色剤を均等に広げる。
【0102】
オイル2:オリーブオイル(Bertoli製-商品番号L5313R HO756 MI0002)を0.05重量%の赤色着色剤(Avecia製の赤色着色剤Waxoline Red)と1時間混ぜ合わせて、オイル試料上に着色剤を均等に広げた。
【0103】
オイル3(焼いたオイル混合物):上記のとおりに調製されたオイル1を更に1%の黒色着色剤(Sigma-Aldrich製Sudan black B、商品番号MKBQ9075V)と1時間混ぜ合わせて、着色剤を均等に広げた。得られたオイル混合物20gを、パイレックスガラスオーブントレイ(Carrefour製、縦横30×24cm)に、均等に薄膜となるように広げた。そしてトレイを135℃のオーブンにて16時間焼いた。焼いたのち、オーブントレーを温度25℃、湿度70%の湿度室に一晩寝かせた。そして液体重合化オイルの小片をガラスバイアルに集めて、試験に使用した。
【0104】
試験手順
0.15%のキサンタンガム(CP-kelco製keltrol RD)を含有する水溶液35gを、光沢性のセラミック皿(Ikea製S.Pryle。商品番号13781。直径26.5cm)上に注ぎ込んだ。試験用オイル2.5gを、パスツールピペット(VWR製、5mL容量。商品番号612~1684)を使用して丁寧に水面の中心に注いで、薄い油膜を形成した。油膜の直径は、各複製において直径が平均値から20%超逸脱することがないようにする。パスツールピペット(VWR製、5mL容量。商品番号612~1684)を使用して、洗剤試料の一滴を、5mm未満の高さから、油膜の中心に丁寧に落とす。溶液を落としてから、油膜の開放までの時間を破過時間として記録する。開放は、油膜の中心に水層が出現することと定義される。各試料(溶剤種類及びオイル種類)に対して試験が8複製分行われ、平均破過時間が各溶剤種類/オイル種類の混合物に対して計算される。3種類のオイル系(オリーブオイル、混合物、混合物を調理したもの)に対して破過時間が計算され、各試験用組成物に対して記録される。尚、より短い破過時間で、より高い洗浄性能となる。
【0105】
【0106】
グリコールエーテル溶剤
グリコールエーテル溶剤は異なる4つの式で分類される。式I及びIIは、本発明の製品の溶剤に対応する。式III及びIVは、本発明の製品の溶剤の範囲外である。
【0107】
式I=R1O(R2O)nR3
式中、R1は直鎖若しくは分岐状C4、C5、若しくはC6アルキル又はフェニルであり、R2はエチル又はイソプロピルであり、R3はH又はCH3であり、nは1、2、又は3である
【0108】
式II=R4O(R5O)nR6
式中、R4はn-プロピル又はイソプロピルであり、R5はイソプロピルであり、R6はH又はCH3であり、nは1、2、又は3である
【0109】
式III=R7O(R8O)nR9
式中、R7はメチル又はエチルであり、R8はエチル又はイソプロピルであり、R9はH又はCH3であり、nは1、2、又は3である
【0110】
式IV=R10O(R11O)nR12
式中、R10は直鎖又はイソC3であり、R11はエチルであり、R12はH又はCH3であり、nは1、2、又は3である
【0111】
結果
異なるグリコールエーテル溶剤を、5重量%含む各種組成物の破過時間を比較した。
【0112】
以下の表1のデータから、本発明(式I又はII)のグリコールエーテル溶剤を含む組成物の方が、本発明(式III又はIV)の範囲外のグリコールエーテルを含む組成物よりも破過時間が短いことは明らかである。
【0113】
【0114】
界面活性剤構成が完全に異なる第2グリコールエーテル不在組成物(参照ベース2)に対しても式Iのグリコールエーテル溶剤を選択して試験を行った。表2のデータから、教示のグリコールエーテル溶剤が、様々な界面活性剤の構成に対して利用できることは明白である。
【0115】
【0116】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値とその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示した寸法は「約40mm」を意味することを意図したものである。