(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】工作物を金属コーティングするコーティング・デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
C23C 24/10 20060101AFI20220712BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20220712BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20220712BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220712BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20220712BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20220712BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20220712BHJP
B05D 1/34 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
C23C24/10 B
B05C5/00 101
B05C9/14
B05D7/24 303C
B05D1/02 Z
B05D3/02 Z
B05D3/06 Z
B05D1/34
B05D7/24 301A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020148723
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2020-12-25
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516381459
【氏名又は名称】シュトゥルム マシーネン ウント アラゲンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Sturm Maschinen- & Anlagenbau GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 10, 94330 Salching, Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】カルロス マーティイン
(72)【発明者】
【氏名】ローラント バイエル
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-049656(JP,A)
【文献】特開平10-098216(JP,A)
【文献】特開平04-259367(JP,A)
【文献】特開2004-122341(JP,A)
【文献】特開2007-211331(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104388929(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 24/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業スペース(23)を囲繞するハウジング(21)と、
前記作業スペース(23)内に少なくとも1つの工作物(5)を保持するための保持装置(44)と、
金属粉末をコーティングされるべき工作物表面(6)に塗布する堆積ノズル(26)、およびレーザを備え、前記工作物表面(6)の前記金属粉末を前記レーザによって局所的に溶融してコーティングを形成する少なくとも1つの堆積装置(25)と、
コーティング中、前記工作物表面(6)に対して前記少なくとも1つの堆積装置を移動可能とする少なくとも1つの作動装置(29)と、
を具備する、工作物(5)の金属コーティングのためのコーティング・デバイスにおいて、
前記保持装置(44)は、コーティングされるべき前記工作物表面(6)
を垂
直に配置
して、前記コーティング中に前記工作物(5)を回転し、
前記少なくとも2つの堆積装置(25)が、前記ハウジング(21)の前記作業スペース(23)内に配置され、コーティングを前記工作物表面(6)に同時に堆積させるように構成されること、
を特徴とするコーティング・デバイス。
【請求項2】
前記工作物(5)が、ディスク形または平面であること、および、
コーティングが、前記工作物(5)の両面である2つの相反する工作物表面(6)に行われること、
を特徴とする請求項1に記載のコーティング・デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも2つの堆積装置(25)が、互いに直接対向しており、前記コーティングが前記両面に同時に行われ得ること、
を特徴とする請求項2に記載のコーティング・デバイス。
【請求項4】
少なくとも2つの工作物(5)が、前記作業スペース(23)内に配置され、前記少なくとも2つの堆積装置(25)のうち対応する少なくとも1つの堆積装置(25)によって同時にそれぞれコーティングされ得ること、
を特徴とする請求項1に記載のコーティング・デバイス。
【請求項5】
少なくとも1つの工作物(5)が、保持装置(44)によってハウジング(21)の作業スペース(23)内で保持され、
金属粉末が、コーティングされるべき工作物表面(6)に少なくとも1つの堆積装置(25)の堆積ノズル(26)によって塗布され、塗布された前記金属粉末が、前記少なくとも1つの堆積装置(25)のレーザによって前記工作物表面(6)上で局所的に溶融され、金属コーティングが形成されて、工作物表面(6)が、少なくとも1つの堆積装置(25)によってコーティングされ、
少なくとも1つの作動装置によって、前記少なくとも1つの堆積装置(25)が、前記コーティング中、前記工作物表面(6)に対して移動される、
コーティング・デバイス(20)を用いた、工作物(5)の金属コーティングの方法であって、
前記保持装置(44)は、コーティングされるべき前記工作物表面(6)
を垂直に配置
して、前記コーティング中に前記工作物(5)を回転し、
少なくとも2つの堆積装置(25)が、前記ハウジング(21)の前記作業スペース(23)内に配置され、コーティングを前記工作物表面(6)上に同時に堆積させること、を特徴とする方法。
【請求項6】
堆積装置(25)が、互いに直接対向しており、コーティングが、前記工作物(5)の両面である2つの相反する面上で同時に行われること、
を特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの工作物(5)が、前記作業スペース(23)内に配置され、前記少なくとも2つの堆積装置(25)のうち対応する少なくとも1つの堆積装置(25)を用いて同時にそれぞれコーティングされること、
を特徴とする請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、工作物の金属コーティングのためのコーティング・デバイスであって、作業スペースを囲繞するハウジングと、作業スペース内に少なくとも1つの工作物を保持するための保持装置と、金属粉末をコーティングされるべき工作物表面に塗布するための堆積ノズルおよびコーティングを形成するように工作物表面の金属粉末を局所的に溶融させるレーザを備える少なくとも1つの堆積装置と、コーティング中、工作物表面に対して少なくとも1つの堆積装置を移動可能とする少なくとも1つの作動装置とを具備する、コーティング・デバイスに関する。
【0002】
本発明は、さらに、請求項8のプリアンブルに記載の、工作物の金属コーティングの方法であって、少なくとも1つの工作物が、保持装置によってハウジングの作業スペース内で保持され、金属粉末がコーティングされるべき工作物表面に、少なくとも1つの堆積装置の堆積ノズルによって塗布され、塗布された金属粉末が、少なくとも1つの堆積装置のレーザによって工作物表面上で局所的に溶融され、金属コーティングが形成されて、工作物表面(6)が、少なくとも1つの堆積装置(25)によってコーティングされ、および、少なくとも1つの作動装置によって、少なくとも1つの堆積装置が、コーティング中、工作物表面に対して移動され得る、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
工作物の金属コーティングのためのこの類のコーティング・デバイスおよび方法は、いわゆるレーザ堆積溶接として知られている。このプロセスでは、粉末が金属工作物に塗布され、レーザによって局所的に溶融される。溶融金属粉末は、工作物表面に、具体的には特に耐摩耗性または耐食性となり得るコーティングを形成する。ここでは、この方法は、コーティング・デバイスの閉じた作業スペース内で行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって対処される目的は、工作物を特に効率的にコーティングすることができる、工作物の金属コーティングのためのコーティング・デバイスおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するコーティング・デバイスおよび請求項8の特徴を有する方法の両方によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項で示される。
【0006】
本発明によるコーティング・デバイスは、少なくとも2つの堆積装置が、ハウジングの作業スペース内に配置され、金属粉末を同時に塗布し溶融させるように構成されることを特徴とする。
【0007】
本発明の基本的な概念は、コーティング・デバイスのハウジングによって囲繞された作業スペース内に配置された、同時にコーティングを行う2つ以上の堆積装置によって、コーティング・デバイスのアウトプットを増加させることという概念であると考えられ得る。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態は、コーティングされるべき工作物表面が水平に配置されることを含む。水平に配置された工作物表面によって、具体的には金属粉末が特に経済的に使用され得るようになる。この粉末は、水平に配置された工作物表面に最初に載ったままになるように、工作物表面上に堆積され得る。この位置で、金属粉末はレーザによって標的を定めた方法で溶融され得る。
【0009】
本発明によるコーティング・デバイスの一代替配置によれば、コーティングされるべき工作物表面が垂直に配置されることが有利である。工作物表面がほぼ重力の方向に向けられる垂直配置では、余分な金属粉末が下方に速やかに放出される。したがって、レーザによって直接溶融される金属粉末だけが工作物表面に残り、それによって非常に正確なコーティングを実現することができる。
【0010】
本発明の一展開によれば、特に効率的なコーティングは、コーティングを工作物上に同時に堆積させることができる少なくとも2つの堆積装置が設けられることによって達成され得る。工作物を同時にコーティングする2つ以上の堆積装置によって、工作物1つ当たりの特に短い処理時間を実現することができる。
【0011】
本発明によるコーティング・デバイスの一展開によれば、工作物は、ディスク形または平面であり、コーティングは、相反する2つの面上に行われることが特に有利である。工作物は、具体的には、ブレーキ・ディスクでもよく、両面にコーティングされるべき工作物表面を含み、それらが堆積装置によって同時にコーティングされる。原理上、工作物が水平に配置される場合でも、工作物表面は、工作物の中心軸周りに約180°オフセットするように互いに反対にある好ましくは2つの堆積装置によって同時にコーティングされ得る。
【0012】
本発明の一展開によれば、堆積装置が互いに直接対向しコーティングが両面で同時に行われ得ることが特に適切である。特に工作物が垂直に配置されている場合、熱応力は、垂直な工作物平面に対して少なくとも対称に工作物のどちらの側にも加わり得る。その結果、非対称の入熱による工作物の望ましくない歪みが概ね回避され得る。
【0013】
本発明によるコーティング・デバイスの他の特に経済的な実施形態は、少なくとも2つの工作物が作業スペース内に配置され、少なくとも1つの堆積装置によって同時にそれぞれコーティングされ得ることを含む。このプロセスでは、少なくとも2つの工作物は、それぞれ別個の保持装置、または少なくとも2つの工作物を一緒に支持する好ましくは共通の保持装置上に配置され得る。ここでは、保持装置は、具体的には、工作物を一緒にコーティング・デバイス内外に輸送する輸送パレット上に配置され得る。1つのコーティング・デバイスに少なくとも2つの工作物を受容することによって、そのデバイスは、金属粉末の供給および未使用の金属粉末の放出に必要な装置を含めて、特に効率的に利用され得るようになる。
【0014】
原理上、少なくとも1つの作動装置は、一部工作物の保持装置上に配置され得る。ここでは、工作物は、保持器上に可動に、特に回転可能に取り付けられることができ、例えばモータである作動装置によって動かされ、特に回転運動させられる。
【0015】
さらに、作動装置を制御し、したがって保持装置上の工作物の動きを制御し、必要に応じて工作物に対する堆積装置の動きも制御する、制御装置が設けられる。
【0016】
工作物の金属コーティングの本発明による方法は、少なくとも2つの堆積装置がハウジングの作業スペース内に配置され、金属粉末を同時に塗布し溶融させることを特徴とする。本発明による方法は、特に先述したコーティング・デバイスによって行われ得る。このプロセスにおいて、先述した利点を実現することができる。
【0017】
方法の好ましい一変形形態は、コーティング中、コーティングされるべき工作物表面が水平または垂直に配置されることを含む。水平配置によって、金属粉末を効率的に塗布することが可能になる一方、垂直配置では、未使用の金属粉末が確実に放出可能となる。
【0018】
方法の他の変形形態によれば、工作物は、工作物上にコーティングを同時に堆積させる少なくとも2つの堆積装置によって特に迅速にコーティングされ得る。工作物が水平に配置される場合、堆積装置は、工作物の円周の上に均等に配置され得る。
【0019】
本発明の一展開によれば、特に、コーティングされるべき2つの工作物表面を有するディスク形の工作物が垂直に配置される場合、少なくとも2つの堆積装置が互いに直接対向して配置され、コーティングが工作物の1つの面または相反する2つの面上に同時に行われることが有利である。互いに反対にある面が同時にコーティングされる場合、非対称の入熱による望ましくない熱歪みが特に打ち消され得る。
【0020】
高い処理効率は、さらに、少なくとも2つの工作物が作業スペース内に配置され、少なくとも1つの堆積装置を用いて同時にそれぞれコーティングされることによって実現され得る。その結果、複数の工作物をコーティング・デバイスの作業スペース内で並行して処理することができる。水平に配置される場合、工作物は、垂直方向の回転軸周りに回転され得るだけでなく水平方向の旋回軸周りにも旋回され得る。
【0021】
図面に概略的に示される好ましい実施形態をもとに、以下に本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】モジュール群を備える本発明によるシステムの概略図である。
【
図2】工作物のコーティングの第1の配置の概略図である。
【
図3】
図1による複数のモジュール群を備える、本発明による他のシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、本発明によるシステム10の第1の実施形態が示されている。前記システムは、モジュール群30を形成する互いに隣り合った並列配置の4つのコーティング・デバイス20を備える。モジュール群30の上流には、インプット測定ステーション40が配置され、そのステーション40へ工作物(ここでは図示せず)が主搬送装置60により搬送される。本実施形態では多軸ロボットのように構成されるハンドリング装置32によって、工作物は、主搬送装置60から持ち上げられ、箱形のインプット測定ステーション40に供給される。
【0024】
インプット測定ステーション40では、工作物、特にコーティングされるべき表面が測定される。このプロセスでは、特にコーティングされるべき表面の表面構造が検出され、特に表面の凹凸が検出され測定され得る。
【0025】
次いで、測定された工作物は、インプット測定ステーション40からハンドリング装置32を介して、またはインプット測定ステーション40から直接、4つのコーティング・デバイス20に沿って延びる直線搬送装置36へ移送され得る。直線コンベアとして構成された搬送装置36上には、各コーティング・デバイス20の上流に供給装置38が配置され、供給装置38によって、工作物を、選択されたコーティング・デバイス20の箱形ハウジング21の入口開口24から作業スペース23へと導入する。
【0026】
コーティング・デバイス20同士は、同じまたは実質的に同じに構成され、輸送フレーム22を備える。この輸送フレーム22により、コーティング・デバイス20を屋内クレーンまたはフォークリフト・トラックを用いて動かし、再配置することができる。それによって、例えば生産能力変更の場合、追加のコーティング・デバイス20を追加もしくは除去する、または、修理もしくは保守のために、すでにあるコーティング・デバイス20を新しいコーティング・デバイス20に取り替えることが可能になる。
【0027】
図2に関連して以下により詳細に説明するように、コーティング・デバイス20では、工作物5の少なくとも1つの表面に金属コーティングが施される。コーティング後、工作物5は、入口開口24を通って搬送装置36へ案内されて戻される。これは、供給装置38によって行われてもよい。搬送装置36によって、コーティング済みの工作物5は、共通のアウトプット測定ステーション50へと輸送され、そこで工作物5のコーティング面が測定される。アウトプット測定ステーション50でのこの最終測定後、工作物は主搬送装置60に戻され、主搬送装置60によってその工作物5はさらなる処理へ搬送され得る。工作物5はまた、
図1には示されないが、インプット測定ステーション40と同じやり方で、ハンドリング装置32によって搬送装置36からアウトプット測定ステーション50へ、さらにまた主搬送装置60へ移送されてもよい。
【0028】
指定の工作物5についてのインプット測定ステーション40で決定された測定値は、中央制御装置へ送信される。測定された工作物5がモジュール群30内の指定のコーティング・デバイス20へと対応する供給装置38により案内されるように、搬送装置36は、制御装置によってさらに制御される。それと同時に、工作物5がインプット測定値に応じてコーティングされ得るように、制御装置によって、指定の工作物5についての測定値が、選択または指定されたコーティング・デバイス20へ転送される。コーティング後、工作物は、箱形のアウトプット測定ステーション50で測定され、決定された測定値は、同様に、中央制御装置および指定の工作物についてのデータ・セットへと転送される。工作物が正しくコーティングされたかどうかを決定するために、制御装置において、インプット測定値およびアウトプット測定値ならびにコーティング・パラメータの比較が行われ得る。必要に応じて、コーティング中に制御装置によってコーティング・デバイス20の動作パラメータが再調整されてもよい。
【0029】
図2によれば、コーティングされるべき工作物5として、ディスク形要素、特にコーティングされるべき1つまたは2つの工作物表面6を有するブレーキ・ディスクが用意され得る。金属コーティングの塗布は、レーザ堆積溶接により、堆積装置25の堆積ノズル26によって実行され得る。堆積ノズル26は、キャリア27上に配置される。堆積溶接では、コーティング材料、具体的には金属粉末が最初に塗布されてからレーザによって局所的に溶融される。このプロセスにおいて、コーティングは、多段階で多層に行われ得る。具体的には、所望の特性、具体的には付着力、耐摩耗性および/または耐食性に関する特性を達成するために、複数の層はまた、様々な層厚、様々な材料および様々な方法で適用され得る。堆積装置25のレーザは、堆積ノズル26の領域内に配置され得る。
【0030】
本発明によれば、2つ以上の堆積装置25を用いてコーティングを行うことができ、複数の堆積ノズル26の各々は、作動装置29、例えばリニア・モータによって、コーティングされるべき工作物表面6に沿ってキャリア27によりそれぞれ動かされる。
図2によるレーザ堆積溶接では、2つの堆積装置25が互いに対向して配置され、垂直配置された工作物5の両面を同時にコーティングする。このプロセスでは、工作物5は、輸送パレット46の保持装置44上に回転可能に保持される。
【0031】
図3には、それぞれ4つのコーティング・デバイス20からなる全部で3つのモジュール群30を備える、本発明によるシステム10の一展開が示されている。ここでは、個々のモジュール群30は、
図1の実施形態に従って構成されており、インプット測定ステーション40およびアウトプット測定ステーション50は、各モジュール群30に割り当てられている。
【0032】
全部で3つのモジュール群30は、直線主搬送装置60に沿って配置され、したがって、この並列配置では、工作物の処理は、個々のモジュール群30内および個々の処理デバイス20内で並行して実行され得る。コーティングが終わった工作物は、それぞれのアウトプット測定ステーション50を通過後、主搬送装置60へと案内されて戻され、主搬送装置60によって後処理ステーション64に送りこまれる。
【0033】
図3により示される実施形態では、後処理ステーション64は、並列に配置された全部で4つの研削デバイス66を備える。最終工程として、研削デバイス66により、工作物の少なくとも1つのコーティング面が処理され研削され得る。効率的な後処理を確実にするために、各工作物についての検出された測定値が、工作物の処理のために制御装置によって選ばれた後処理ステーション64内の指定の研削デバイス66へと転送され得る。こうして、工作物のコーティング面の検出された最終高さに応じて、例えば、それぞれの研削デバイス66内で工作物の方に向けた研削工具の前進が効率的に実行され得る。
【0034】
具体的に
図3による例示的な実施形態から、要求される可能性のある生産能力のより大きな増加のときでも、個々のコーティング・デバイス20だけでなく、複数のコーティング・デバイス20ならびに関連のインプット測定ステーション40およびアウトプット測定ステーション50をそれぞれ備えるモジュール群30全体も、全システムに容易に加えることができることが分かる。
【0035】
図4には、本発明による他のコーティング・デバイス20が示されている。このコーティング・デバイス20では、工作物5は、コーティングされるべき環状工作物表面6が水平に配置されるように、輸送パレット46の保持装置44に回転可能に配置される。特に回転モータとリニア・モータを備える作動装置29によって、工作物5は、保持装置44上で回転運動および径方向に向けられた直線運動をさせられ得る。堆積ノズル26とレーザ28をそれぞれ備える2つの堆積装置25は、コーティングされるべき工作物表面6の上方に配置される。堆積装置25は、工作物5に対して垂直方向に調整可能であり、必要ならば、水平面内においても調整可能である。このコーティング・デバイス20において、工作物5は、2つの堆積装置25によって同時にコーティングされ得る。
【0036】
図5によれば、図面には、本発明によるコーティング・デバイス20の配置の他の変形形態が示されている。このコーティング・デバイス20では、2つの工作物5が作業スペース23内に同時に置かれる。このプロセスでは、好ましくは回転対称な各工作物5が垂直方向の各回転軸周りに回転することができるように配置され、各回転軸は、互いに平行である。各工作物5はそれぞれ対応する1つの堆積装置25によってコーティングが施される。堆積装置25は、堆積装置25の直線運動がそれに沿って行われ得る共通の支持体34上に配置され得る。支持体34はまた、作業位置において複数の工作物5を同時に保持および固定するように設けられ、支持体34自体は、矢印で示されるように調節可能、具体的には旋回可能である。
【0037】
図6によれば、図面には、本発明による他のコーティング・デバイス20が概略的に示されており、ここでは、4つの工作物がコーティング・デバイス20の作業スペース内に同時に配置される。ここで、各工作物5は、互いに平行な水平配置で、垂直方向の回転軸周りに回転可能に取り付けられる。各工作物5は、別々の堆積装置25によってコーティングされ得る。
【0038】
両面のコーティングを行うために、各工作物5は、工作物5の反対の水平面がコーティングされ得るように、水平方向の旋回軸周りに一緒または別個の動きで旋回され得る。