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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】密封容器及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/12 20060101AFI20220712BHJP
   G21F 5/002 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G21F5/12 D
G21F5/002
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020153186
(22)【出願日】2020-09-11
(62)【分割の表示】P 2017514846の分割
【原出願日】2015-10-02
(65)【公開番号】P2021006815
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】62/060,291
(32)【優先日】2014-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508240937
【氏名又は名称】ランセウス メディカル イメージング, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ヘパース
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ファレラ
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-505105(JP,A)
【文献】特開2005-297173(JP,A)
【文献】特開2005-259714(JP,A)
【文献】実開昭56-124898(JP,U)
【文献】実開昭53-043197(JP,U)
【文献】特開昭62-049297(JP,A)
【文献】特開昭59-144823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性流体の容器であって、
本体と、キャップと、Oリングと、緩衝部材と、を備え、
前記本体は、放射性流体を収容するための中空の内部チャンバを備え、前記チャンバは、内部表面及び開口部を有し、前記内部表面の一部は、滑らかな研磨面を含み、
前記キャップは、前記開口部を密封するために、前記本体に脱着可能であって、前記開口部を介して前記チャンバ内に挿入可能なプラグを備え、前記プラグには、溝が設けられ、前記本体に対して前記キャップをねじりながら前記本体から引き離せることによって、前記キャップを前記本体から取り外すことができ、
前記Oリングは、前記プラグの前記溝内に配置され、
前記緩衝部材は、中空の前記チャンバの内部に設けられ、
前記プラグが前記チャンバの前記開口部内に完全に収容されたときに、前記Oリングの外縁が前記滑らかな研磨面に押しつけられ、
前記本体及び前記キャップは、実質的に放射線遮蔽材料を含む材料によって構成される、
容器。
【請求項2】
前記研磨面は、テーパ付きの研磨面を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記プラグが前記チャンバの前記開口部内に完全に収容された状態で、前記キャップは、手動で前記本体から取り外し可能である、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記プラグが前記チャンバの開口部内に完全に収容された状態で、前記チャンバ内の圧力が前記容器の外部の圧力より7~15psi高い場合、前記キャップは、前記本体に結合された状態が維持される、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記Oリングは、シリコーンゴムを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記放射線遮蔽材料は、鉛を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記放射線遮蔽材料は、実質的に鉛及びアンチモンを含む、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記プラグが前記チャンバの開口部内に完全に収容された状態で、前記容器が-40℃~70℃の範囲内の温度に曝された場合、前記キャップは、前記本体に結合された状態が維持される、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記キャップは、手動で把持可能な外側リムを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
前記溝は、周方向溝を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項11】
前記放射性流体は、放射性ガスを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項12】
中空の前記チャンバの内部にガラスバイアルを更に備え、前記ガラスバイアルが放射性流体を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項13】
放射性流体の容器であって、
本体と、キャップと、Oリングと、ガラスバイアルと、を備え、
前記本体は、放射性流体を収容するための中空の内部チャンバを備え、前記チャンバは、内部表面及び開口部を有し、前記内部表面の一部は、滑らかな研磨面を含み、
前記キャップは、前記開口部を密封するために、前記本体に脱着可能であって、前記開口部を介して前記チャンバ内に挿入可能なプラグを備え、前記プラグには、溝が設けられ、前記本体に対して前記キャップをねじりながら前記本体から引き離せることによって、前記キャップを前記本体から取り外すことができ、
前記Oリングは、前記プラグの前記溝内に配置され、
前記ガラスバイアルは、中空の前記チャンバの内部に設けられ、前記ガラスバイアルが放射性流体を含む、
前記プラグが前記チャンバの前記開口部内に完全に収容されたときに、前記Oリングの外縁が前記滑らかな研磨面に押しつけられ、
前記本体及び前記キャップは、実質的に放射線遮蔽材料を含む材料によって構成される、
容器。
【請求項14】
放射性流体の容器であって、
本体と、キャップと、Oリングと、を備え、
前記本体は、放射性流体を収容するための中空の内部チャンバを備え、前記チャンバは、内部表面及び開口部を有し、前記内部表面の一部は、滑らかな研磨面を含み、
前記キャップは、前記開口部を密封するために、前記本体に脱着可能であって、前記開口部を介して前記チャンバ内に挿入可能なプラグを備え、前記プラグには、溝が設けられ、前記プラグの直径よりも大きい直径を有するリムを含み、前記本体に対して前記キャップをねじりながら前記本体から引き離せることによって、前記キャップを前記本体から取り外すことができ、
前記Oリングは、前記プラグの前記溝内に配置され、
前記プラグが前記チャンバの前記開口部内に完全に収容されたときに、前記Oリングの外縁が前記滑らかな研磨面に押しつけられ、
前記本体及び前記キャップは、実質的に放射線遮蔽材料を含む材料によって構成される、
容器。
【請求項15】
前記リムは、テクスチャ加工された表面を含む、請求項14に記載の容器。
【請求項16】
放射性流体の容器であって、
本体と、キャップと、Oリングと、を備え、
前記本体は、放射性流体を収容するための中空の内部チャンバを備え、前記チャンバは、内部表面及び開口部を有し、前記内部表面の一部は、滑らかな研磨面を含み、
前記キャップは、前記開口部を密封するために、前記本体に脱着可能であって、前記開口部を介して前記チャンバ内に挿入可能なプラグを備え、前記プラグには、溝が設けられ、前記本体に対して前記キャップをねじりながら前記本体から引き離せることによって、前記キャップを前記本体から取り外すことができ、
前記Oリングは、前記プラグの前記溝内に配置され、
前記プラグが前記チャンバの前記開口部内に完全に収容されたときに、前記Oリングの外縁が前記滑らかな研磨面に押しつけられ、
前記本体及び前記キャップは、実質的に放射線遮蔽材料を含む材料によって構成され、
前記研磨面は、テーパ付きの研磨面を含む、
容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、放射性流体を密封及び遮蔽するための容器に関する。また、容器を使用する方法及び製造する方法がここに記載される。
【背景技術】
【0002】
放射性ガスのような放射性流体は、搬送のために容器内に配置されているバイアルにパッケージできる。従来の容器は、鉛のような放射線遮蔽材料で構成される。このような従来の装置は、放射性ガスを密封及び収容するためにバイアルに依存しているため、外部容器は、放射性ガスの漏れを防ぐためのガス密封機能を備えていない。いくつかの既存の例において、外部容器は、テープを用いて容器を封止する蓋を備えている。このような従来の例は、長期間の搬送中に放射性ガスの漏洩を常に防ぐことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一態様によれば、放射性流体用の容器が開示されている。当該容器は、放射性流体を収容するための中空の内部チャンバを備える本体を含む。チャンバは、内部表面および開口部を有し、内部表面の一部は、滑らかな研磨面を有する。容器は、開口部を密封するために本体に脱着可能なキャップを更に備え、キャップは、開口部を介してチャンバ内に挿入可能なプラグを有する。プラグには、溝が設けられ、Oリングはプラグの溝内に配置されている。プラグがチャンバの開口部内に完全に収容されると、Oリングの外縁部は、滑らかな研磨面に押しつけられる。本体及びキャップは、放射線遮蔽材料で構成されている。
【0004】
他の実施態様によれば、放射性流体用の容器を製造する方法が開示されている。当該方法は、放射性流体を収容するための中空の内部チャンバを備える本体を形成するステップを含み、チャンバは、内部表面及び開口部を有する。また、前記方法は、チャンバの内部表面の少なくとも一部を研磨して内部表面の研磨部分を形成し、開口部を密封するために、本体に脱着可能なキャップを形成するステップを含み、キャップは、開口部を介してチャンバ内に挿入可能なプラグを有し、前記プラグには、溝が設けられている。前記方法は、プラグの溝にOリングを挿入することによってOリングをキャップに結合させ、プラグがチャンバの開口部内に完全に収容され、且つOリングがチャンバの内部表面の研磨部分に押しつけられるまでチャンバの開口部にプラグを挿入して流体密封を実現するステップを更に含む。本体及びキャップは、実質的に放射線遮蔽材料を含む材料で構成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付図面は一定の縮尺で描かれているものではない。図面において、様々な図に示されている同一又はほぼ同一の構成要素は、同様の番号で表されている。明確にするために、各図面には、全ての構成要素に符号を付けなくてもよい。以下、本発明の様々な実施形態を、添付図面を参照しながら例として説明する。
【0006】
図1】本発明の一態様に係る容器の正面斜視図である。
図2図1の容器であって、キャップが容器の本体から部分的に外され、上方に傾けられた状態の正面斜視図である。
図3図1の容器のキャップの底面斜視図である。
図4図1の容器のキャップの側面図である。
図5A】容器に用いられるOリング密封部材の平面図である。
図5B図5AのOリング密封部材の側面図である。
図6A】容器の本体の断面側面図である。
図6B】容器の本体の平面図である。
図7A】容器のキャップの底面図である。
図7B図7Aの容器のキャップのB-B線に沿った断面図である。
図8A】容器のキャップの平面図である。
図8B図8Aの一部の拡大図である。
図9A】本発明の一態様に係るゴム製グリップを備えているプライヤの正面斜視図である。
図9B図9Aのプライヤであって、ゴム製グリップがプライヤから外された状態の正面斜視図である。
図10】本発明の一態様に係る研磨工具を示す正面斜視図である。
図11図10の研磨工具と共に使用されるホルダを示す正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
物質の全量又はほぼ全量を封じ込むことが可能な漏洩防止容器に放射性物質を収容して搬送する必要がある。放射性物質のパッケージは、運輸省(DOT:Department of Transportation)、又は国際航空運送協会(IATA:International Air Transport Association)等の政府機関によって定められた安全規則の規制対象となる場合がある。放射性医薬品などの物質の意図しない漏洩及び放出は、健康上のリスクを引き起こす可能性があり、診断していないなどの用量を使用して研究を行う可能性のある用量から放射能の損失をもたらすかもしれない。搬送される放射性物質の一例は、放射性ガス又は放射性液体などの放射性流体である。放射性ガスの一例はキセノンXe-133ガスである。放射性ガスの他の例には、以下に限定されないが、Xe-127、クリプトンKr-81、ヨウ素I-129及びI-131が含まれる。放射性液体の例には、以下に限定されないが、ガリウムGa-67、タリウムTl-201、インジウムI-111及びフッ素F-18が含まれる。
【0008】
また、キャップが様々な力を受けたときに流体密封を維持できる容器が求められている。例えば、航空機による輸送中において、容器は、キャップを横切る圧力差(すなわち、容器内部の圧力が容器外部の圧力よりも高い)、或いは振動又は落下のような物理的なショックを受ける場合がある。これらの力は、キャップを容器の本体から外す可能性がある。
【0009】
使用し易いために、容器は、使用者が手動で(手で、又はプライヤのような工具を用いて)キャップを容器の本体から外すことができるように構成されるべきである。ほとんどの使用者環境では、複雑な機械又は工具に頼らずにキャップを取り外す可能であることが必要とされる。
【0010】
本発明の一態様によれば、容器は、放射性流体を収容するための流体密封を形成するように構成され、特にガス密封を提供するように構成される。一実施形態において、容器は、放射性流体を収容するためのシールなどを有する中空の内部チャンバを備える本体を含む。また、容器は、開口部を密封するために本体に脱着可能な付属キャップを備えている。キャップは、密封部材と当接面との間の締りばめによって本体とのガス密封を形成する。
【0011】
別の態様によれば、容器は、圧力変化、温度変化、或いは振動又は落下のような物理的なショックの結果として望ましくない開放に対抗することと、一方使用者による手動開放を可能にすることとの間のバランスを達成するように、特別に構成される。
【0012】
多くの材料が容器の形成に使用可能である。最も一般的に使用される材料は、鉛であり、比較的安価で、容易に入手可能で、且つ放射線遮蔽材料として非常に有効のためである。しかしながら、鉛は、柔らかく、特に鋳造時に、比較的多孔質で凹凸の表面を有する。従って、キャップと鉛製容器の表面との間に流体密封を形成することは、非常に困難である。これに鑑み、本発明の別の態様において、工具を使用して容器内部の密封面を研磨し、多孔性及び他の不規則性のない滑らかな表面を提供する。
【0013】
ここで図面を参照すると、図1図8は、容器の一実施形態を示す。容器1は、本体10と、本体10に脱着可能なキャップ20とを備える。図2に示されているように、本体10の開口部12を部分的に露出させるために、キャップ20が僅かに持ち上げられて、本体10に対して傾けられた状態を示している。キャップ20は、リム22とプラグ24とを含む。キャップ20のプラグ24は、開口部12を通して本体10に挿入可能のように寸法決めされており、リム22は、本体10の外側に留まるように寸法決めされている。図2に示されているように、把持可能な表面を形成し、本体からキャップの取り外しを容易にするため、以下でより詳細に説明するように、リム22は、縁部にテクスチャ加工されたパターンを有してもよい。図3に示されているように、密封部材30は、以下でより詳細に説明するように、プラグ24に結合している。容器の本体10の内部チャンバ11は、図6Aに最もよく示されている。内部チャンバ11は、内壁14と開口部12とを有し、開口部12を通してプラグ24を挿入することができる。チャンバ11の内壁14は、開口部12からチャンバ11の底部へ下方に向かって僅かにテーパが付けられてもよく、その結果、チャンバ11は、上部付近の開口部12が底部よりも広い。チャンバ11は、チャンバ内に収容されている1つ以上のガラスバイアルのようなチャンバ内容物を保護するために、緩衝部材40を備えてもよい。キャップ20の側壁又は底面など、チャンバの他の部分を保護するために、1つ以上の緩衝部材を備えてもよい。
【0014】
典型的には、容器を搬送するときに、容器は、衝撃吸収発泡体挿入物を伴う搬送パッケージ内に配置される。
【0015】
前述したように、一態様によれば、容器は、密封要素と研磨された当接面との間の締りばめによって流体密封を形成するように構成され、特にガス密封の形成に適している。図4に示されているように、キャップ20のプラグ24は、周方向溝26を有してもよい。例えば、Oリング30を周方向溝26内に固定することによって、Oリング30のような密封部材を、プラグ24に巻き付けて結合させる。他の実施形態において、Oリング30は、溝26内に配置されることなく、プラグ24の外部表面に配置されてもよい。ストレスのない自然状態において、Oリング30の内径は、周方向溝26の直径よりも小さく、プラグ24の外径よりも小さい。従って、Oリング30が周方向溝26内に、又はプラグ24の上に装着されたとき、Oリング30が僅かに伸びて、ストレスのない自然状態に比べて張力が生じた結果、Oリングのプラグ24に結合する状態が維持される。代表的なOリング30は、図5A-5Bに示されている。一実施形態において、ストレスのない自然状態において、Oリングは、内径0.5インチ、外径0.625インチ、幅W0.0626インチである。一実施形態において、Oリング30は、シリコーンゴム製である。
【0016】
Oリング30がキャップ20のプラグ24に結合している状態で、プラグ24を開口部12に挿入することによって、キャップを容器の本体に結合させることができる。ガス密封の形成に役立つ締りばめを達成するために、プラグに取り付けられたときのOリングの外径は、容器の本体の内径よりも大きくなければならない。一実施形態において、プラグに取り付けられたときのOリングの外径は0.657インチであり、容器の本体の内径は0.640~0.645インチの範囲内である。このように、プラグに取り付けられたときのOリング30の外径は、容器の本体の内径に比べ0.012~0.017インチ大きい。
【0017】
更に密封を形成するために、内壁14の少なくとも一部分16を研磨して滑らかな表面を形成してもよい。この表面に対してOリングが封をする。Oリング30と部分16の研磨面とがガス密封を形成するために、研磨面は、多孔性及び他の不規則性が実質的にないように形成される。図6Aに最もよく示されているように、部分16は、チャンバの開口部12から下方へ底部に向かって距離D延びている。いくつかの実施形態において、Dは、実質的にチャンバ11の内壁14の全体に亘ってもよい。他の実施形態において、Dは、0.6~1インチの範囲内、又は0.6~0.7インチの範囲内であってもよい。一実施形態において、Dは、0.641インチで、寸法公差が0.01インチである。このような研磨面の作成方法は以下で検討される。
【0018】
いくつかの実施形態において、チャンバ11内の圧力が外部の圧力に比べて高く、その差が、7~13.8psi、7~15psi、4~15psiの間であり、又は13.8psi以下の場合、Oリング30と部分16との組み合わせは、容器1を密封することができる。いくつかの実施形態において、-40℃~70℃の範囲の温度に曝されたときに、Oリング30と部分16との組み合わせは、容器1を密封し、放射性物質の封じ込めを維持することができる。いくつかの実施形態において、振動などの物理的なショックを受けたときに、Oリング30と部分16との組み合わせは、容器1を密封し、放射性物質の封じ込めを維持することができる。容器1が衝撃吸収発泡体挿入物を伴う搬送パッケージ内に収容されている状態で、Oリング30と部分16との組み合わせは、搬送パッケージが最大9メートルから落下したときに、容器1内の放射性物質の封じ込めを維持することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る容器の本体及びキャップの具体的な寸法は、図6~7に表記され、以下で説明する。いくつかの実施形態において、容器の本体及びキャップは、主に鋳造鉛で作製される。比較的柔らかい材料として、鉛は、精密な形状に成形するのが難しい場合がある。従って、容器の構成要素の相対寸法が、流体密封を形成するのに重要であり、特にガス密封を形成するのに適していることは、認識されるべきである。図6Aに示されているように、容器の本体10は、深さA及び内径Bを有する中空の内部チャンバ11を備えている。いくつかの実施形態において、深さAは、7~10インチ又は1~3インチの範囲であってもよい。一実施形態において、深さAは、8.82インチである。他の実施形態において、深さAは、2.238インチで、寸法公差が0.015インチである。いくつかの実施形態において、内径Bは、0.6~0.7インチの範囲であってもよい。一実施形態において、内径Bは、0.631インチである。開口部12は、直径Cを有する。いくつかの実施形態において、直径Cは、0.6~0.7インチの範囲であってもよい。一実施形態において、直径Cは、0.641インチで、寸法公差が0.01インチである。直径Cは、内部チャンバの残りの部分の内径Bよりも僅かに大きくてもよい。また、チャンバ11は、チャンバ11の少なくとも一部に沿って、底部からチャンバの開口部12に向かう方向に、チャンバ11の内径が増加するように、テーパが付けられてもよい。図6Bに示されているように、容器の本体10は、外径Eを有する。いくつかの実施形態において、外径Eは、0.8~1.1インチの範囲であってもよい。一実施形態において、外径Eは、0.915インチで、寸法公差が0.015インチである。
【0020】
図7Aは、キャップ20の底面図であり、図7Bは、図7AのB-B線におけるキャップ20の断面図である。図7Bに示されているように、キャップは全長Iを有する。いくつかの実施形態において、長さIは、0.3~0.6インチ又は0.4~0.5インチの範囲であってもよい。一実施形態において、長さIは、0.468インチである。キャップのプラグ24は、プラグ長さH及びプラグ直径Fを有する。いくつかの実施形態において、プラグ長さHは、0.2~0.5インチ又は0.3~0.35インチの範囲であってもよい。一実施形態において、プラグ長さHは、0.318インチである。いくつかの実施形態において、プラグ直径Fは、0.4~0.8インチ又は0.6~0.7インチの範囲であってもよい。一実施形態において、プラグ直径Fは、0.635インチである。プラグ24は、周方向溝26に最小プラグ直径Gを有する。いくつかの実施形態において、プラグ直径Gは、0.4~0.7インチ又は0.5~0.6インチの範囲であってもよい。一実施形態において、プラグ直径Gは、0.530インチである。溝26は、プラグの端部から距離L離間して設けられ、溝厚さMを有する。いくつかの実施形態において、距離Lは、0.02~0.2インチ又は0.07~0.15インチの範囲であってもよい。一実施形態において、距離Lは、0.112インチである。キャップのリム22は、リム直径J及びリム厚さKを有する。いくつかの実施形態において、直径Jは、0.2~2インチ又は0.7~1.3インチの範囲であってもよい。一実施形態において、直径Jは0.965インチである。いくつかの実施形態において、リム厚さKは、0.02~0.3インチ又は0.1~0.2インチの範囲であってもよい。一実施形態において、リム厚さKは0.15インチである。
【0021】
前述したように、一態様によれば、容器は、必要に応じて、使用者が手動でキャップを容器の本体から取り外すことができるように構成されている。いくつかの実施形態において、キャップのリム22は、キャップ20の手動除去を助ける特徴を含む。図4に示されているように、キャップ20は、プラグ24の直径よりも大きい直径を有するリム22を含む。リムの拡大された直径は、テコ効果を提供し、使用者がキャップをより良く把持することを可能にすることができる。キャップの把持を更に助けるために、リムは、テクスチャ加工された表面を含んでもよい。図4及び図8Aによく示されている一実施形態において、リムは、リムの周囲に沿って配置されている一連の刻み目を有するテクスチャ加工された表面23を含む。このようなテクスチャ加工された表面は、使用者が手で、又はプライヤのような手工具を用いることによってキャップをより容易につかむことを可能にすることができる。図8Bに示されているように、刻み目は、特定の形状に従って配布されてもよく、深さNでリム内に形成される。いくつかの実施形態において、深さNは、0.01~0.05インチ又は0.03~0.035インチの範囲である。一実施形態において、深さNは0.032インチである。刻み目は、内側半径R2の湾曲の輪郭を引き、リムの外縁は、外側半径R3の湾曲の輪郭を引いている。いくつかの実施形態において、R2は、0.01~0.05インチ又は0.03~0.035インチの範囲である。一実施形態において、R2は0.032インチである。いくつかの実施形態において、R3は、0.02~0.06インチ又は0.035~0.045インチの範囲である。一実施形態において、R3は0.04インチである。Sは2つの隣接する刻み目間の弧長を表し、Qは刻み目から隣接する突起までの弧長を表す。いくつかの実施形態において、Qは、2.5~4.5度又は3~4度の範囲である。一実施形態において、R3は3.73度である。いくつかの実施形態において、Sは、6~9度又は7~8度の範囲である。一実施形態において、Sは7.5度である。図8Aに示されている刻み目は、湾曲形状である。図4に示されているように、各刻み目の湾曲の半径はR1で表す。いくつかの実施形態において、R1は約0.01~0.05インチ又は0.025~0.035インチの範囲であってもよい。一実施形態において、R1は0.03インチである。しかしながら、小さな凹み、正方形、斜線、又はジグザグの刻み目/突起のような他のテクスチャ加工された表面が使用されてもよいことは、認識されるべきである。図4に示されているように、テクスチャ加工された表面は、リムの一部のみに設けられてもよい。幅Pを有するリムの一部は未加工のままであってもよい。いくつかの実施形態において、Pは0.03~0.06インチ又は0.04~0.05インチの範囲であってもよい。一実施形態において、Pは0.045インチである。
【0022】
使用者は、手で又は手工具を用いて容器からキャップを取り外してもよい。このような手工具の一例は、図9A~9Bに示されているプライヤ70である。いくつかの場合において、キャップの表面からの鉛粒子が削られることを回避又は軽減するために、使用者は、ゴムグ製グリプ72をプライヤ70に付けってもよい。グリップ72は、典型的には、表面23とグリップ72との間にインターロックを提供するために、テクスチャ加工された表面23上の刻み目の形状及びサイズに適合される。容器の本体10に対していずれかの方向にキャップ20をねじりながら、容器の本体から引き離せることによって、キャップ20を取り外すことができる。典型的には、キャップ20を1/4回転させてキャップを取り外したり、封止したりする。
【0023】
本発明の他の態様によれば、容器1は、容器内に収容されている放射性流体によって放出される放射線を減衰させるように構成される。いくつかの実施形態において、容器10は、実質的に放射線遮蔽材料を含む材料で構成される。一実施形態において、容器の本体10及びキャップ20は、主に鉛で作製される。容器の本体10及びキャップ20は、他の材料も含んでもよい。一実施形態において、容器の本体10及びキャップ20は、約96~97.3%の鉛及び約2.5~3.5%のアンチモン、約0.1~0.3%の錫、約0.1~0.2%の砒素及び微量の銅、ビスマス、銀、ニッケルおよび硫黄によって構成される。他の実施形態において、容器の本体10及びキャップ20は、アクチニウム、アンチモン、バリウム、ビスマス、臭素、カドミウム、セリウム、セシウム、金、ヨウ素、インジウム、イリジウム、ランタン、鉛、水銀、モリブデン、オスミウム、白金、ポロニウム、レニウム、ロジウム、銀、ストロンチウム、タンタル、テルル、タリウム、トリウム、錫、タングステン、ウランまたはジルコニウムなどの他の放射線遮蔽材料で構成されてもよい。
【0024】
次に、容器の製造方法について説明する。一実施形態において、容器の本体10及びキャップ20は、鋳造プロセスを利用して形成される。他の実施形態において、容器の本体10及びキャップ20は、押出成形、鍛造、機械加工、又は任意の他の適切なプロセスを利用して形成されてもよい。キャップ20は、好ましくは周方向溝26を有するプラグ24とともに形成される。溝26は、キャップ20の形成と同時に形成されてもよく(例えば、キャップを形成するために用いられるモールドは、溝26を形成するための突出しているリング形状を備える)、又は、キャップ20が形成された後に、圧延、エッチング、若しくは他の方法によって形成されてもよい。Oリング30は、プラグ24よりも大きな直径に拡張され、プラグ24の周りに、好ましくは溝26に配置されることによって、キャップに結合する。
【0025】
いくつかの実施形態において、内壁14の部分16は、特殊な研磨工具50を使用して研磨される。一実施形態において、図10に示されているように、工具50は、チャンバ11内に挿入される研磨部52と結合部54とを備え、結合部54は、研磨工具50をその縦軸に関して高速度で回転させる機械に研磨工具50を連結させるために用いられる。研磨部52は、先端部51と後端部53とを有する。いくつかの実施形態において、研磨部52は、先端部51から後端部53に向かって直径が増加するようにテーパが付けられている。すなわち、先端部51は、後端部53よりも小さい直径を有する。テーパ付きの研磨部52は、内壁14のテーパ部分16を形成するために用いられてもよい(すなわち、すくなくとも内壁14の一部に沿って、チャンバの開口部12に向かう方向に、チャンバ11の内径が増加する)。図10に示されているように、研磨工具50は、研磨部52の後端部53に隣接する当接部56を有してもよい。当接部56は、段差であってもよく、すなわち、後端部53の直径に比べ、突然増加した直径を有する。いくつかの実施形態において、当接部56は、研磨部52が容器のチャンバに挿入される深さを制御するストッパとして機能してもよい。すなわち、研磨部52が容器のチャンバ11に挿入されるとき、当接部56は、大きな直径を有するため、チャンバ11の開口部リムに当接し、研磨工具が更にチャンバ11内に挿入されることを回避することができる。このようにすることによって、当接部56は、研磨部5のチャンバ11内に挿入される最大深さを限定し、よって、部分16の深さを設定する。
【0026】
研磨工具50は、図11に示されているホルダ60内に保持されてもよい。ホルダ60は、ドリル、旋盤又は旋盤のような機械、又はそのような高速でホルダ60および研磨工具50を回転させる機械に連結されてもよい。一部の場合において、結合部54は、研磨工具50をホルダ60に連結させる。他の場合において、結合部54は、直接に機械に連結されてもよい。一実施形態において、研磨工具は、S7工具鋼で作製される。
【0027】
Oリング30がプラグ24に結合している状態で、プラグ24がチャンバの開口部12内に完全に収容され、且つOリング30がチャンバの内壁14の研磨部分16に押しつけられるまでに、プラグ24をチャンバ11の開口部12に挿入し、流体密封を形成する。特に、ガス密封の形成に適している。一部の場合には、プラグ24をチャンバの開口部12に挿入しながら、キャップ20を容器の本体10に対して回転させる。このような動きは、容器1の蓋締めの間に、Oリング30の転がり、曲げ、ねじれ、外れ、又は他の不利の挙動を回避することに役立つ。容器の蓋締めは、手動で、手工具を用いて、又は自動的な蓋締め機械によって実行されてもよい。
【0028】
また、本明細書に記載されたように、容器1は、他の気体物質、液体、又は固体を含む他の放射性物質を収容及び遮蔽するために使用されてもよい。
【0029】
前述のように、本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明したため、当業者が様々な変更、修正、及び改良を容易に想到することは、認識されるべきである。そのような変更、修正、及び改良は、本開示の一部であることが意図されており、本発明の精神および範囲内に含まれる。なお、前述した説明及び図面は、単に例示的なものである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11