(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】画像融合における運動誘発性誤整列を補正する超音波システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2020536842
(86)(22)【出願日】2019-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019050143
(87)【国際公開番号】W WO2019134959
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-05-11
(32)【優先日】2018-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デュフール セシル
(72)【発明者】
【氏名】タン トーマス シュ イン
(72)【発明者】
【氏名】ウン ゲイリー チェン‐ハウ
【審査官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-051817(JP,A)
【文献】国際公開第2017/046674(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/169759(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体をリアルタイムに撮像するための超音波プローブと該超音波プローブに接続された位置追跡センサとに動作的に関連した超音波撮像システムであって、
前記超音波撮像システムは、前記超音波プローブと、以前に取得された画像データのソースとに通信的に結合されたプロセッサであって、前記以前に取得された画像データが前記被検体の撮像ボリュームに対応する3Dデータセットを有する、プロセッサ
を有し、前記プロセッサが、
リアルタイム超音波画像データを受信し、
前記リアルタイム超音波画像データの現画像フレームに基づいてリアルタイム超音波画像を生成し、
前記リアルタイム超音波画像データから運動モデルを導出し、
前記運動モデルを前記被検体の解剖学的特徴構造の運動に再同期させ、
前記位置追跡センサからの位置情報及び前記運動モデルに基づいて、前記撮像ボリュームにおける動き補正された画像面を識別して、動き補償された術前画像を生成し、
前記リアルタイム超音波画像を前記動き補償された術前画像と融合させて合成画像を生成する、
超音波撮像システム
において、
前記プロセッサは、
前記リアルタイム超音波画像データの複数の到来フレームの各々に対して長期相関(LTC)データを生成し、
各到来フレームに関連するLTCデータに対応したLTC曲線の少なくとも2つの極小を識別することにより、各到来フレームに関連する周期周波数及び位相を決定する、
超音波撮像システム。
【請求項2】
前記運動モデルは、前記撮像ボリュームにおける解剖学的特徴構造の運動の周期周波数、位相及び振幅に少なくとも部分的に基づいて定義され、前記プロセッサは、1運動サイクルより大きい期間にわたり受信されたリアルタイム超音波画像データから、前記周期周波数、位相、振幅又はこれらの組合せを決定する、
請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、更に、前記運動モデルを動的に再同期させるために前記LTCデータに対して誤差最小化を実行する、
請求項
1に記載の超音波撮像システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記位置追跡センサからの前記位置情報に基づいて、前記超音波プローブが静止しているかを判定すると共に、前記超音波プローブが静止していると判定された場合にのみ前記運動モデルを動的に更新する、
請求項1から
3の何れか一項に記載の超音波撮像システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、少なくとも2運動サイクル以上の期間にわたりリアルタイムに受信された連続する画像フレームに対して動き推定を実行することにより、前記運動モデルを導出する、
請求項1から
4の何れか一項に記載の超音波撮像システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、更に、同期期間の開始及び終了を示すユーザ入力を受信し、該プロセッサが前記同期期間にわたり受信された画像フレームに対して動き推定を実行する、
請求項1から
5の何れか一項に記載の超音波撮像システム。
【請求項7】
前記運動モデルは、前記被検体の呼吸運動の呼吸レート、位相及び振幅に基づいて、前記被検体の頭尾方向に沿う解剖学的特徴構造の時間の関数としての呼吸誘発性運動を推定するように構成される、
請求項1から
6の何れか一項に記載の超音波撮像システム。
【請求項8】
前記超音波プローブは3Dプローブであり、前記プロセッサは、頭尾方向を自動的に決定し、前記3Dプローブのビームが該頭尾方向に整列されるように前記3Dプローブのビームをステアリングする、
請求項1から
7の何れか一項に記載の超音波撮像システム。
【請求項9】
前記以前に取得された画像データは、磁気共鳴(MR)撮像法、コンピュータトモグラフィ(CT)撮像法又は超音波(US)撮像法を用いて取得された3Dデータセットを有する、
請求項1から
8の何れか一項に記載の超音波撮像システム。
【請求項10】
ディスプレイユニットを更に有し、前記プロセッサは、前記位置情報及び前記運動モデルに基づいて、前記リアルタイム超音波画像データの各到来フレームを前記以前に取得された画像データに自動的に位置合わせし、前記ディスプレイユニット上に各到来フレームに関連する合成画像をリアルタイムで表記する、
請求項1から
9の何れか一項に記載の超音波撮像システム。
【請求項11】
プローブにより被検体に向けて送信される超音波に応答してリアルタイム超音波画像データを受信するステップであって、前記プローブが位置追跡センサに関連付けられているステップと、
前記リアルタイム超音波画像データの現画像フレームに基づいてリアルタイム超音波画像を生成するステップと、
前記リアルタイム超音波画像データから運動モデルを導出するステップと、
前記運動モデルを前記被検体の解剖学的特徴構造の運動に再同期させるステップと、
前記被検体の撮像ボリュームに対応する以前に取得された画像データセットにアクセスするステップと、
前記位置追跡センサからの位置情報及び前記運動モデルに基づいて、前記撮像ボリュームにおける動き補正された画像面を識別して、動き補償された術前画像を生成するステップと、
前記リアルタイム超音波画像を前記動き補償された術前画像と融合させて合成画像を生成するステップと、
を有する、撮像の方法
において、
前記運動モデルは、前記撮像ボリュームにおける解剖学的特徴構造の運動の周期周波数、位相及び振幅に少なくとも部分的に基づいて定義され、
前記リアルタイム超音波画像データから運動モデルを導出するステップは、1運動サイクルより大きい期間にわたり受信されたリアルタイム超音波画像データから、前記周期周波数、位相、振幅又はこれらの組合せを決定するステップを有し、
当該方法が、更に、
前記リアルタイム超音波画像データの複数の到来フレームの各々に対して長期相関(LTC)データを生成するステップ、及び
各到来フレームに関連するLTCデータに対応したLTC曲線の極小に基づいて、各到来フレームに関連する前記周期周波数及び位相を決定するステップ、
を有する、方法。
【請求項12】
前記運動モデルを動的に再同期させるために前記LTCデータに対して誤差最小化を実行するステップと、
前記プローブの動きを検出し、前記プローブの検出された動きに応答して、前記運動モデルの再同期を一時停止するステップと、
を更に有する、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記プローブの動きに関連する期間の間におけるリアルタイム画像フレームと前記以前に取得された画像データとの間の位置合わせを、前記運動モデルの前記プローブの動きが検出される前のバージョンに基づいて維持するステップを更に有する、
請求項
11又は12に記載の方法。
【請求項14】
医療撮像システムの1以上のプロセッサにより実行された場合に該1以上のプロセッサに請求項
11から13の何れか一項に記載の方法を実行させる、プロセッサ実行可能な命令を有する、非一時的コンピュータ読取可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、画像融合(画像フュージョン)を実行する場合、例えばリアルタイム画像(例えば、リアルタイム超音波術の間における)と術前画像(例えば、磁気共鳴(MR)若しくはコンピュータトモグラフィ(CT)等の異なる撮像方式(モダリティ)を用いて得られる、又は術前3D超音波(US)データ)とを融合する場合に運動誘発性誤整列を補正する超音波システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の生の超音波画像の、同じ患者のものであるが他の方式(限定されるものではないが、通常は、MR又はCT)の術前3Dボリュームとの融合(フュージョン)は、空間的校正を必要とする。このような目的のために、超音波プローブには、典型的に、位置追跡(例えば、電磁(EM)追跡)センサが装備される。1つの斯様な医療撮像システムが、米国特許出願公開第2011/028843号に記載されている。2つの方式(モダリティ)からの画像を空間的に整列(位置合わせ)するために、先ず追跡システムが校正される。該校正ステップは、空間的同期が自動的に維持されるように、生の超音波データと術前データセットとの間の剛体変換を提供する。しかしながら、該校正ステップが非常に正確に実行されたとしても、融合された画像は、リアルタイム追跡条件では患者の運動により(例えば、呼吸又は心臓運動により)誤整列(位置合わせ誤差)の影響を受け得る。このような融合エラーを低減するために、当該融合のために使用されるべき“デフォルトの”術前2D面を、異なる呼吸状態を表す他の面Pにより置換することができる。しかしながら、このようにするためには、この解決策を適用するために異なる呼吸状態に関連する術前データの複数のデータセットが利用可能にされねばならないであろう。単一組の術前データしか利用可能でないケースは、より頻繁である。このように、単一の利用可能な術前データセットから代替面Pを選択することが一層頻繁に必要であり、既存のシステムは、使用されるべき該代替面Pを識別する方法が様々である。例えば、既知の或るシステムにおいて、生の超音波画像及び術前CT画像は、当該2組の画像データにおける特徴構造を合致させるように該生及びCT画像に対して実行される画像処理を介して整列される。他の既知のシステムは、呼吸誘発性誤整列を補正するためのモデルを導出するために患者の胸部に配置されたセンサを備える追加の呼吸追跡システムを使用する。
【0003】
ヨーロッパ特許出願公開第3056151号は、少なくとも1つの超音波画像とCT又はMR画像等の事前記憶モダリティ画像とを融合するための方法に関するものである。該超音波融合撮像方法は、選択ステップ、位置合わせステップ及び融合ステップを含む。上記選択ステップは、少なくとも1つの面において目標被検体を取得することにより得られた超音波画像及び各超音波画像に対応する位置指示情報を含む、超音波ビデオデータの少なくとも1つの以前に記憶された部分から少なくとも1つの超音波画像を選択するためのものである。上記位置情報は、超音波プローブに固定された位置センサにより生成される。前記位置合わせステップは、選択された少なくとも1つの超音波画像をモダリティ画像と、該少なくとも1つの超音波画像の位置指示情報の位置を用いて位置合わせするためのものである。前記融合ステップは、位置合わせされた超音波画像をモダリティ画像と融合させるためのものである。
【0004】
国際特許出願公開第2017/109685号は、被検者のボリュームを調べるための医療撮像装置を開示している。該医療撮像装置は、被検者の超音波画像データを取得するための超音波プローブを含む超音波取得ユニット、被検者の医療画像データを受信するための画像インターフェース、及び超音波プローブの位置を決定するための位置決定ユニットを有する。位置合わせユニットが、超音波画像データ及び医療画像データを被検者の解剖学的特徴及び検出された超音波プローブの位置に基づいて位置合わせすると共に該超音波画像データ及び医療画像データの位置合わせを運動モデルに基づいて適応させるために設けられている。該運動モデルは、前記超音波プローブの位置、及び複数の超音波画像を通しての共通の解剖学的特徴の繰り返しパターンの変化に基づいて定められる。画像処理ユニットが、超音波画像データ及び医療画像データを処理して、該超音波画像データ及び医療画像データを合成された画像データに対する位置合わせに基づいて融合させるために設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在知られている解決策は、望まれ得るようにはロバストでない。何故なら、例えば、これら解決策は、術前の及び生の両方の超音波データの画像品質に依存し、横隔膜位置等の画像の特徴構造に依存し(横隔膜位置は、関心解剖構造(例えば、肝臓)に対するプローブの向きに依存して、良好な照合のためには常に弁別的とは限らず、画像内に存在しないことさえあり得る)、幾つかのケースでは追加のハードウェア(例えば、呼吸運動追跡器)を必要とすると共に当該システムに更なる複雑さを将来するからである。このように、運動誤整列を補正するための代替的方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による例は、画像フュージョンを実行する場合に運動誘発性誤整列を補正するための改善されたシステム及び方法を提供することができる。
【0007】
本開示の原理による超音波撮像システムは、被検体をリアルタイムに撮像するための超音波プローブ及び該プローブに接続された位置追跡センサを含むことができ、又はこれらに動作的に関連され得る。該システムは、前記超音波プローブ及び以前に取得された画像データの情報源(ソース)に通信的に結合されたプロセッサを含むことができ、前記以前に取得された画像データは前記被検体の撮像されたボリューム(撮像ボリューム)に対応する3Dデータセットを有する。該プロセッサは、リアルタイム超音波画像データを受信すると共に、該リアルタイム超音波画像データの現画像フレームに基づいてリアルタイム超音波画像(例えば、2D又は3D画像)を生成するように構成することができる。該プロセッサは、更に、前記リアルタイム超音波画像データから運動モデルを導出し、該運動モデルを前記被検体の解剖学的特徴構造の運動に再同期させる(例えば、自動的に又はユーザ入力に応答して)ように構成することができる。該プロセッサは、更に、前記撮像ボリュームにおける動き補正された画像面を前記位置追跡センサからの位置情報及び前記運動モデルに基づき識別して、動き補償された術前画像を生成すると共に、前記リアルタイム超音波画像を前記動き補償された術前画像と融合させて合成画像を生成するように構成することができる。
【0008】
本発明の原理による方法は、プローブにより被検体に向けて送信される超音波に応答してリアルタイム超音波画像データを受信するステップを含むことができ、前記プローブは位置追跡センサに関連付けられると共に、前記リアルタイム超音波画像データの現画像フレームに基づいてリアルタイム超音波画像を生成する。当該方法は、更に、前記リアルタイム超音波画像データから運動モデルを導出するステップ、該運動モデルを前記被検体の解剖学的特徴構造の運動に再同期させるステップ、前記被検体の撮像ボリュームに対応する以前に取得された画像データセットにアクセスするステップ、前記撮像ボリュームにおける動き補正された画像面を前記位置追跡センサからの位置情報及び前記運動モデルに基づき識別して、動き補償された術前画像を生成するステップ、及び前記リアルタイム超音波画像を前記動き補償された術前画像と融合させて合成画像を生成するステップを有する。
【0009】
本発明の方法に関連して本明細書に記載される好ましい実施態様の如何なるフィーチャも、本発明の超音波撮像システムに適用することができる。
【0010】
本発明の原理によれば、呼吸運動追跡器は当該超音波撮像システム及び方法の何れにも使用されることはない。即ち、当該運動モデルは呼吸運動追跡器からのデータを用いないで導出される。このことは、本発明のシステム及び方法のハードウェアの複雑さを低減する。
【0011】
更に、本発明の原理によれば、撮像ボリュームにおける動き補正された画像面は、前記位置追跡センサからの位置情報及び前記運動モデルのみに基づいて識別される。このように、好ましくも、例えばリアルタイム超音波画像と術前画像データセットとの間の解剖学的特徴構造の整列に基づく位置合わせ又は整列は実行されず、これにより、本発明はリアルタイム超音波画像及び術前画像データの画像品質とは無関係になり、従って非常にロバストになる。
【0012】
好ましい実施態様によれば、前記プロセッサは、前記リアルタイム超音波画像データの複数の到来フレームの各々に対して長期相関(LTC)データを生成し、各到来フレームに関連する前記周期周波数及び位相を、各到来フレームに関連するLTCデータに対応したLTC曲線の少なくとも2つの極小を識別することにより決定するよう構成することができる。後に式1により説明されるように、LTC曲線は到来フレームを以前のフレームの各々から(又はその逆に)減算すると共に、該減算の結果を全ピクセルにわたり合計することにより生成される。好ましくは、LTC曲線を計算するために、少なくとも前の1~2サイクルからの以前のフレームが使用されるようにする。従って、本到来フレームに関するLTC曲線は、被検者が1サイクル長前であろう同一の呼吸位置に最後にあった過去の時点において極小を有するであろうが、極小は間に、即ち被検者が現在中間の呼吸位置(即ち、各呼吸サイクルにおいて2回通過される位置)にある場合にも存在し得る。このように、運動の周期周波数及び位相に関する情報は、LTC曲線から導出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の実施態様による超音波撮像システムのブロック図を示す。
【
図2】
図2は、本開示の原理による超音波撮像装置の処理要素を示す。
【
図3】
図3は、本開示の原理によるリアルタイム及び術前データの間の画像融合を実行する場合の運動誘発性誤整列を補正するためのアルゴリズムの機能ブロック図を示す。
【
図4】
図4は、本開示の原理による運動モデルのパラメータを決定するための長期的相関曲線及び極小を示す。
【
図5】
図5は、本開示の原理によるリアルタイム超音波データから導出された肝臓に関する例示的呼吸誘発性運動モデルを示す。
【
図6】
図6は、本開示の原理による誤差最小化を実行するための誤差アレイへの長期的相関データのマッピングを示す。
【
図7】
図7は、本開示の原理による静的更新ブロックを含む、運動誘発性誤整列を補正するためのアルゴリズムの機能ブロック図を示す。
【
図8A】
図8Aは、本開示の更なる原理によるリアルタイム及び術前データの間の画像融合を実行する場合の運動誘発性誤整列を補正するための他のアルゴリズムの機能ブロック図を示す。
【
図8B】
図8Bは、本開示の原理による静的更新ブロックの追加を伴う、
図8Aのアルゴリズムの機能ブロック図を示す。
【
図9】
図9は、本開示の原理による超音波撮像システムのブロック図を示す。
【
図10】
図10は、本開示の原理によるリアルタイム撮像のための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の例示的実施態様に関する以下の説明は、性質上例示的なものに過ぎず、当該開示又は該開示の適用若しくは使用を限定することを一切意図するものではない。本システム及び方法の実施態様の以下の詳細な説明においては、当該実施態様の一部を形成する添付図面が参照され、これら図面には記載されるシステム及び方法を実施することができる特定の実施態様が図により示される。これらの実施態様は当業者が当該開示されたシステム及び方法を実施することを可能にする程度に十分に詳細に記載されている一方、他の実施態様を用いることができると共に、本システムの趣旨及び範囲を逸脱することなしに構造的及び論理的変更を行うことができると理解されるべきである。更に、明瞭化の目的で、特定のフィーチャの詳細な説明は、本システムの説明を不明瞭にすることがないように、当業者にとり自明である場合はなされないであろう。従って、以下の詳細な説明は限定する意味で解釈されるべきではなく、本システムの範囲は添付請求項によってのみ定められるものである。
【0015】
本発明の原理によれば、超音波撮像システムはリアルタイム超音波画像データの情報源(例えば、超音波プローブ)及び以前に取得された画像データ(ここでは、入れ替え可能に術前データと称される)の情報源に通信的に接続され得る。例えば、当該システムは超音波画像データをリアルタイムに取得するための超音波プローブを含み又は斯かる超音波プローブに動作的に接続され得る。当該超音波撮像システムは、術前データの情報源、例えば画像記録及び通信システム(PACS)サーバ等のデータ記憶装置、にも接続することができる。該術前データは、被検者の撮像されたボリュームに対応する3Dデータセットとすることができ、該データセットは例えばCT、MRI、PET又は3D US等の任意の撮像方式(モダリティ)を用いて取得されたものとすることができる。該システムは、更に、位置追跡システムを含み又は斯かる位置追跡システムと動作的に関連付けることができる。例えば、前記プローブは、電磁(EM)センサ又は他のタイプのセンサ等の位置追跡センサ、磁場生成器及び当該プローブの3D空間内の位置を決定するように構成されたプロセッサを備えることができる。当該システムは校正ユニット(位置合わせユニットと称することもできる)も含むことができ、該校正ユニットは超音波画像データ及び術前データを含む融合画像をユーザに対してリアルタイムに表示することができるようにリアルタイム超音波画像と術前データとの間の整列又は位置合わせを維持するように構成される。図を参照して更に説明されるように、当該システムは動き補正ユニットを含むことができ、該動き補正ユニットは、該システムが、位置追跡システムからの位置情報のみに基づいて選択されるであろうものとは異なる(動き調整された又は動き補償された)候補画像面を術前データからリアルタイムデータとの融合のために自動的に識別することを可能にすることができる。
【0016】
図1は、本開示の幾つかの実施態様によるシステム100の図を示す。システム100は、プローブ112に動作的に(即ち、有線又は無線通信リンクを介して等の様に通信的に)接続される医療撮像装置(例えば、超音波撮像装置110)を含む。プローブ112は、被検者101のボリューム(例えば、肝臓、心臓、腎臓又はこれらの一部等の解剖学的構造)を撮像するために使用することができる。撮像されるべきボリュームは、関心領域(例えば、肝臓、心臓、腎臓又は何らかの他の組織若しくは臓器等の解剖学的関心部位又は構造)を含むことができる。図示された例において、プローブ112は、撮像されるべきボリュームに向かって超音波を送信するように動作可能であると共に送信された超音波に応答したエコーを検出するように更に動作可能であるトランスジューサ素子のアレイを備えた超音波プローブである。上記トランスジューサ素子は1D又は2Dアレイで配置することができる。該超音波プローブ112はリアルタイム超音波画像データを得るために用いることができる。該リアルタイム超音波画像データは、リアルタイム超音波画像(生超音波画像とも称する)を生成するために使用することができる。リアルタイム及び生なる用語は、通常、以前に取得された画像データから生成される取得後表示及び評価とは反して、当該画像データの取得の間に生じる画像の画像データ取得及び表示を記述するために用いられる。
【0017】
撮像装置110は、超音波プローブ112に接続されて超音波データの取得を制御するための(例えばビームステアリング及び/又はビーム形成機能を提供するための)制御ユニット120を含むことができる。制御ユニット120は処理ユニット(プロセッサ)122を含むことができ、該処理ユニットは検出されたエコーに基づいて超音波画像を生成するように動作可能である。プロセッサ122は、更に、術前データを受信し、到来する生超音波画像を該術前データに対し自動的に空間的に位置合わせし、当該2つのデータセット(即ち、リアルタイム及び術前データ)の画像データを融合する前に運動誘発性誤整列を補償するために該空間的位置合わせを更に調整するように構成される。
【0018】
撮像装置110はメモリも含むことができ、該メモリは、なかでも、前記リアルタイム超音波画像データ、及び/又は空間的位置合わせ及び画像融合に関連する機能を実行するように前記プロセッサを構成するためのプロセッサ実行可能な命令を記憶するように構成することができる。前述したように、プロセッサ122は、例えば術前3Dデータセットから対応するスライスを抽出するために、前記生超音波画像を当該術前データに対して自動的に空間的に位置合わせするように(例えば、メモリに記憶されたプロセッサ実行可能な命令に応答して)構成することができる。この空間的な位置合わせは、幾つかの実施態様によれば、動き補正を含むことができる。動き補正は、当該術前データに運動モデルを適用して、該術前データにおける該運動モデルにより運動誘発性誤整列が考慮された後の当該生画像に一層良好に一致する代替スライス(位置データのみに基づいて選択されるデフォルトスライスとは異なる)を識別することにより実行することができる。
【0019】
撮像装置110は、術前データ150の情報源(ソース)、例えば記憶装置(例えば、PACSサーバ)又は他の医療撮像装置(例えば、MRIスキャナ、CTスキャナ、超音波スキャナ、又は何らかのタイプの撮像モダリティ若しくはこれらの何らかの組み合わせを用いる何からの他の装置)に通信的に接続される。当該術前データは、何れかの撮像モダリティにより取得することができる医療画像データの3Dデータセットとすることができる。幾つかの実施態様において、該術前データは超音波とは異なる撮像方式により取得することができ、例えば、該術前データは、コンピュータトモグラフィ(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)又は陽電子放射トモグラフィ(PET)により取得された3Dデータセット(各々、CTボリューム、MRIボリューム、PETボリュームとも称する)とすることができ、又は該術前データは、以前に取得された超音波データ、例えば同一の患者から取得された3D USデータセット(又は、USボリューム)とすることができる。該術前データは、名前が意味する通り、リアルタイム撮像(例えば、生の超音波撮像であり、斯かる撮像は生体組織検査等の侵襲的処置の間に行われ得る)に先行して取得される。このように、術前データは本明細書では以前に取得された画像データと入れ替え可能に参照することができる。図示された例において、プロセッサ122は、生画像を術前データに対して空間的に位置合わせするための校正モジュール124、運動誘発性誤整列を考慮に入れるために上記空間的位置合わせを調整するための動き補正ユニット126、及び動き補償された術前画像を生超音波画像と融合させて合成画像を生成するように動作可能なフュージョンユニット128を含む。撮像装置110はユーザインターフェース130と動作的に関連付けられ、該ユーザインターフェースは、例えば上記合成画像をリアルタイムに表示するためのディスプレイユニット132を含む。該ユーザインターフェースは、例えば画像取得処理を制御するためのユーザ入力を受信するためのユーザ入力装置134も含む。該入力装置134は、例えば限定なしで、キーボード、マウス、トラックボール、制御パネル上に設けられた1以上の釦、及び/又はタッチ感知性ディスプレイ上に設けられた1以上のソフト制御子を含むことができる。
【0020】
撮像装置110は、位置追跡システム140(例えば、電磁(EM)追跡、光学又は他のタイプの位置追跡システム)と動作的に関連されている。該位置追跡システム140は、前記プローブに取り付けられた位置追跡センサ142(例えば、EMセンサ)及び3D座標系に対する該センサ142の、従って当該プローブの位置を決定するように構成されたプロセッサを含むことができる。例えば、該位置追跡システムは、EMセンサの、従って当該プローブの空間位置を、EM追跡磁場生成器の座標系に関係付けることができる。この場合、校正ユニット124は、上記追跡磁場生成器の座標系を前記術前画像データの座標系に対して位置合わせし又は相関させることができ、かくして、該術前画像データと生超音波データとの間の空間的位置合わせを可能にすることができる。このようにして、超音波プローブ112の位置を、当該術前ボリューム内の対応する画像面を識別するために使用することができる。幾つかの例において、このプロセッサの機能は、校正ユニット124により実行することができ、又は一般的には当該撮像装置110のプロセッサ122内で実施することができる。
【0021】
フュージョンユニット128は、生画像を術前画像と融合させて表示用の合成画像を生成するために使用することができる。融合され又は合成された画像を生成するために、生画像を術前画像と重ね合わせることができ、代わりに、これら画像を並べて表示することもできる。しかしながら、前述したように、位置追跡情報のみに基づいたものである画像位置合わせ又は整列は運動誘発性誤整列を考慮に入れることができず、このことは画像融合処理の品質を減少させ得る。このように、プロセッサ122は、本明細書において説明されるように、更に、斯様な運動誘発性誤整列を考慮に入れて補正する追加の機能を備えて構成することができる。
【0022】
本開示の実施態様によれば、プロセッサ122は動き補正ユニット126を含むことができる。動き補正ユニット126は、生超音波画像と術前画像との間の任意の運動誘発性誤整列を補正するために運動モデルを使用することができる。該運動モデルは、撮像されたボリューム内の解剖学的関心特徴構造の運動軌跡の数学的モデル(例えば、
図5に示されるような数学的表現)とすることができる。幾つかの実施態様において、該運動モデルは、超音波画像データのみを含む画像データに基づいて、特にはリアルタイム超音波データから導出することができる。即ち、超音波及び術前(例えば、CTデータ)の両方からの画像が画像処理されて斯かる画像内の特徴を照合し、かくして位置合わせを容易にするような既存の解決策とは異なり、現運動モデルは術前データには依存しない。代わりに、例えば呼吸誘発性運動の前後関係では、被検者の1呼吸サイクルより大きな時間窓にわたりリアルタイム超音波データが取得され、該リアルタイム超音波画像データのみから呼吸サイクルパラメータが抽出される。幾つかの例では取得されたフレーム内の繰り返し特徴又はパターンを識別するために当該リアルタイム超音波データに対して画像処理を実行することができ、かくして、運動の位相(相)、率(レート)及び/又は振幅を決定することができるようにする。次いで、該運動の位相、レート及び振幅は、術前データセットから代替画像面(デフォルトの又は純粋に位置に基づく画像面とは別の)を選択するために用いることができる。このようにして、当該動き補正ユニットは、解剖学的関心特徴構造が運動中であっても(例えば、呼吸等の当該被検者の生命運動により)、生画像の当該術前画像データにおける対応する画像面に対する一層正確な整列又は位置合わせを可能にする。肝臓を撮像する場合等の幾つかの実施態様において、当該運動は一般的に頭尾方向におけるものであると見ることができ、従って、当該運動モデルは頭尾運動モデルと称することもできる。
【0023】
図2は、本開示による超音波撮像システムにおけるプロセッサ200の機能ブロック図である。該プロセッサ200は、
図1における動き補正ユニット126を実施化するために用いることができる。この例において、プロセッサ200は、ブロック208に示されるように生の又はリアルタイムな超音波データを受信すると共に、術前データセットから動き補正された画像面(ブロック220に示されるような)を抽出するために術前データセット250に運動モデル212を適用して生画像に対応する動き補正された(又は動き補償された)術前画像を生成するように構成される。該動き補正された術前画像及び生画像は、次いで、画像フュージョンユニット230により合成されて、ディスプレイユニット240で表示するための合成画像232を生成する。
【0024】
図2に示されるように、プロセッサ200はリアルタイム超音波データのソース(例えば、超音波プローブ)及び術前データのソースに通信的に結合される。プロセッサ200は、運動モデル212を、超音波データのみを含む撮像データに部分的に基づいて(例えば、如何なる他のタイプの医療撮像データを参照することなく)、且つ、好ましくは呼吸運動追跡データを参照することなく導出するように構成することができる。幾つかの実施態様において、プロセッサ200は該運動モデル212をユーザ入力に更に基づいて導出するように構成することができる。例えば、簡単な周期的呼吸誘発性運動の場合、特定の解剖学的構造(例えば、肝臓)の運動は、頭尾方向の単純な周期的運動として特徴付けられ得るものであり、従って、運動モデル212は頭尾的モデル、即ち、被検者の頭尾方向に沿う解剖学的特徴構造の呼吸誘発性運動の、呼吸サイクルの呼吸速度(レート)、位相(相)及び振幅に基づいて定義される時間の関数としての推定となり得る。このような運動モデルは運動が一定のままであると仮定するが、実際には、患者の呼吸は変化し得、従って、呼吸サイクルの1以上のパラメータ(例えば、呼吸レート、位相及び/又は振幅)は該運動モデルとの同期から外れ得る。従って、幾つかの例において、当該プロセッサは、更に、運動の如何なる乱れも考慮するために当該運動モデルを動的に更新し(ブロック214に示されるように)、これにより、該運動モデルにより推定される運動と当該解剖学的特徴構造(例えば、患者の肝臓)の実際の運動との間の同調性を維持するように構成することができる。動的なる用語は、当該プロセッサを運動モデルと臓器運動との間の同調性を維持するために該運動モデルを連続して自動的に更新する(例えば、到来フレーム毎に又は幾つかの新たなフレームの後に)ように構成することができることを意味する。幾つかの例において、当該モデルの再同期はユーザ入力に応答して(例えば、同期を開始する指示を受信することに応答して)実行することができる。
【0025】
更に、幾つかの例において、プロセッサ200はプローブの動きを監視又は検出するように構成することができる。例えば、プロセッサ200は、プローブが静止しているかを、例えば位置追跡データに基づいて、判定する(例えば、ブロック216に示されるように)ように構成することができる。プローブが静止していると判定された場合、プロセッサ200は、当該解剖学的構造の実際の動きに対する当該運動モデルの更新(ブロック218に示されるような)又は同期を行うことができる。しかしながら、プローブが静止していない(例えば、所与の閾値を超えるプローブの動きが検出された)と判定された場合、プロセッサ200は同期を一時停止し、当該プローブの動きが検出される前の最後に更新された運動モデルのバージョンを使用することができる。後者の状況において、生及び術前画像の動き補正された位置合わせ又は整列は継続するが、これは、プローブの動きがやみプロセッサ200が運動モデルの同期に戻るまで、動的に更新する運動モデルというより該運動モデルの静止バージョンに基づくものとなる。動き推定及び/又は補正に加えて、プロセッサ200は、単独で又は当該医療撮像装置の他のプロセッサとの組合せで、該医療撮像装置の他の機能(例えば、超音波画像をリアルタイムデータに基づいて生成する及び/又は術前データに基づいて画像を生成する機能)を果たすように更に構成することができる。
【0026】
図3は、超音波撮像装置110等の医療撮像装置のプロセッサにおいて実施化する(ハードウェア及び/又はソフトウェアで)ことができる動き補正を伴う空間位置合わせのための例示的アルゴリズム又は処理300の機能ブロック図を示す。
図3の例示的アルゴリズムは、1運動サイクル(例えば、1呼吸サイクル)より大きい時間量にわたる連続したフレーム又はこれらフレームの一部(画像フレームとも称する)に対して計算された長期的相関に基づくものである。
図3の実施態様を、呼吸誘発性運動に関連して説明する。しかしながら、説明される原理は他のタイプの運動に対しても適用可能であり得る。該アルゴリズム又は処理300は、運動サイクルを経る画像中で見付けられ得る繰り返しパターンを利用する。例えば、本開示の実施態様により導出される軌跡又は変位曲線504により表現された肝臓運動モデル504を示す
図5を参照すると、吸気相の間における解剖学的特徴構造の位置は呼気相の間におけるものと非常に類似し得ることが分かる。D(t)又はd(t)は、変位を時間の関数として示す。一例として、吸気における特徴構造507の位置507-Iは、呼気における特徴構造507の位置507-Eに類似し、同様に、吸気及び呼気における特徴構造509の位置509-I及び509-Eも、各々、類似する。このように、一連の時間的に連続するフレーム505を分析することにより(例えば、フレーム間の長期的相関を計算することにより、又は動き推定を実行することにより)、周期的呼吸運動を規定するパラメータを超音波データのみから抽出することができ、従って、運動モデルを超音波データから抽出されたパラメータに基づいて時間の関数として定義することができる。
【0027】
図3に戻ると、当該アルゴリズム又は処理300の開始に際して、回数範囲(frequency range)、回数状態の数(freqStateN)、位相状態の数(phaseStateN)及び累積コストの範囲等の、該アルゴリズムの特定のパラメータは初期化される。呼吸運動の場合、現実的な呼吸サイクルは、成人の場合は3~5秒の間、小児の場合は2~3秒の間であり得る。回数範囲は、例えば成人の場合は毎分約12~20サイクル、小児の場合は毎分約20~30サイクル等のデフォルト回数範囲で初期化することができ、該範囲はユーザによる入力(例えば、生の超音波を開始する前の)としての患者の年齢情報に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。幾つかの例において、当該回数範囲はユーザ入力(例えば、事前にプログラムされた範囲にデフォルト設定した後の、又は当該システムが該範囲をユーザにより入力されることを要求することができる)に応答して調整可能であり得る。同様にして、回数及び位相の状態の数は、例えば32の回数状態及び64の位相状態のように、所与の値にデフォルト設定することができる。これらの数は純粋に解説的なものであり、他の数(当該特定の例よりも小さい又は大きい)の状態も用いることができ、これらは事前にプログラムし及び/又はユーザにより調整可能とすることができる。例えば、位相状態の数は、視覚的品質を改善するために最適化することができる(例えば、視覚的ぎこちなさはサンプル不足の呼吸サイクルの結果として生じ得る)。
【0028】
一旦開始されると、位相は当該アルゴリズムによりタイミング情報を考慮に入れて更新され、各到来生US画像に対して術前3Dボリュームの新たな面が選択されることになる。更に、幾つかの事例では、解剖学的構造の位置の乱れ又はずれが生じた場合、運動の再同期が実行される。
【0029】
当該処理は、ブロック304において当該アルゴリズムが複数のフレームのリアルタイム画像データ及びタイミング情報を受信することで開始する。これらのフレームは、新たに到来するフレームのためにバッファ空間を解放すべく長期記憶部308にも結合することができる。各到来フレームに対して、プロセッサ302は、ブロック310に示されるように、長期的相関(LTC)データを生成することができる。
【0030】
各到来フレームに対する長期的相関は式1に従って計算することができる。
LongTermCorrelationFrame(i) = SUMover all pixels(Frame(i) - Frame(t)) 式1
【0031】
このように、到来フレーム(Frame(i))に対するLTC曲線は、当該到来フレームから以前のフレーム(Frame(t))の各々を減算する(又は、逆に、到来フレームを以前のフレームから減算する)と共に、該減算の結果を全てのピクセルにわたり合計することにより生成される。好ましくは、少なくとも前の1~2サイクルのフレーム(時間的に連続する)が、LTC曲線を計算するために使用されるものとする。
図4は、任意の単位対時間で与えられた2つの例示的LTC曲線を示すもので、該図において、横軸上の数は当該減算において使用された前のフレームの数を示す。
図4におけるLTC曲線403は、
図5に示された呼吸サイクルにおける位置507-Iにおいて到来フレームに対して生成されたLTC曲線に対応する。
図4におけるLTC曲線405は、
図5に示された呼吸サイクルにおける位置509-Iにおいて到来フレームに対して生成されたLTC曲線に対応する。
【0032】
幾つかの例において、LTC曲線311は各到来生フレームに対して生成することができる。所与の生フレームに関連する周期周波数及び位相は、LTCデータの極小を決定することにより識別することができる。例えば、ここでも2つのLTC曲線403及び405を示す
図4を参照すると、当該アルゴリズムは各曲線において少なくとも2つの強い極小を探すことができる。周期周波数は、各LTC曲線上の略同一の位置における強い極小M
1を探すことにより識別することができる。この極小は、完全に1サイクル前の呼吸位置又は変位d(t)は、現在における変位と同様であったので、到来フレームは1呼吸サイクル前に取得されたフレームと類似し、従って、これらフレームを互いから減算することは極小になるという事実によりもたらされる。該特定の画像フレームに関連する位相(又は該呼吸サイクルにおける位置)は、これも規則化原理(即ち、前のフレームの位相と一貫する各新フレームの位相は極小となる)に依存して、他の強い極小(例えば、M
2、M
3)を識別することにより見付けることができる。
図4及び5の例において、曲線403は約半呼吸サイクルに極小を有し、これは、該曲線403が、
図5の位置507-Iにおけるように、当該呼吸サイクルにおける中間の変位d(t)を持つ位相に対応するという指示情報である。このように、当該呼吸運動は約半サイクル前に同一の位置d(t)にあったので、極小を生じ、このことが位相に関する指示情報を提供する。曲線405の場合、第2極小M
2は該LTC曲線の原点に極めて近く、このLTC曲線が当該呼吸サイクル内のピーク変位d(t)(最大吸気又は最大呼気)に、例えば
図5における点509-Iに一層近い位置に対応することを示す。
図4における2つのLTC曲線403及び405は時間的に離れたフレームに関連するものであり、このことが、位相に対応する極小が、時間的に連続するフレームの場合にあり得るよりも遙かに隔てられている理由である。
【0033】
図3の例におけるアルゴリズムは、LTCデータから関連する極小を決定するために誤差最小化技術を利用する。例えば、ブロック312、314及び318に示されるように、ブロック310で得られたLTCデータを用いて、複数の状態(状態N)のうちの各状態に関連するコスト(又は誤差)が計算される。このことは、実質的にMxNアレイ313(例えば、freqStateN x phaseStateN)に対するLTCデータのマッピングを提供し、ここで、Mは回数状態の数であり、Nは位相状態の数である。このMxNアレイ313は、誤差アレイとも称される。このマッピングは、任意の既知の技術を用いて、例えば、設定された回数範囲内の回数に関する複数の回数状態の各増分に関してLTC曲線より下の面積を計算することにより実行することができる。言い換えると、
図6における例示的LTC曲線601も参照すれば、回数範囲609(例えば、3~5秒の間であり得る)は点線により示された等しい増分の回数状態に分割される。明瞭化のために(画像を乱雑にすることを回避するために)小さな数(この場合においては6)の回数状態が示されているが、例えば、30、32、36等の異なる数を使用することもできることが理解されるであろう。位相に関する誤差を計算するために、同様の処理を用いることができる。例えば、位相は回数に関係するので、任意の所与の回数に対して、当該曲線の時刻0から該所要の回数に対応する時刻までの部分は位相状態の数として等しい増分に分割され、各増分に関して該曲線の下の面積が計算され、かくして、誤差アレイのための誤差値を得る。
図6は、曲線601を生成するために使用された生フレームに関連する回数及び位相に各々対応する極小605及び607を示すと共に、本例に従い曲線601に関するコスト値をマッピングすることができるMxN誤差アレイ603を更に示す。
【0034】
幾つかの例において、ブロック318に示されるように最小コスト又は誤差に関連する状態が選択される前に、例えばブロック314に示されるように、データを平滑化するために複数の状態(stateN)からの各状態Sに関して累積コストを計算することができる。例えば、当該アルゴリズムは、呼吸レートはサイクルの一部(“FractionOfCycle”)にわたり(例えば、当該呼吸サイクルの四分の一(“Fraction”= 4)の間において)安定状態のままであると仮定するよう構成することができる。この場合、過去のフレームに関連するstateN誤差の各アレイを考慮に入れて、当該アルゴリズムは該“FractionOfCycle”にわたる合計を、1“Fraction”による位相の変化及び回数状態に関連する“FractionOfCycle”の持続時間を考慮にいれて計算することができる。
【0035】
各到来フレームに対して、当該アルゴリズムは、最小コストの状態に基づいて選択され得る、設定された範囲内の呼吸レート(又は回数)及び位相(0~1の間の値)をブロック322に示されるように出力する。ブロック312において計算されたコストアレイは、少なくとも1つの運動サイクルの期間にわたり取得された全フレームの部分集合のみを一時的に記憶するように構成され得るバッファ空間を解放するために、長期記憶部316にも供給することができる。
【0036】
前述したように、プロセッサ302は、例えばプローブの位置情報又はプローブが静止しているか若しくは動いているかの指示情報(例えば、ブロック306に示されるような)等のプローブ情報を受信することができる。プローブは動いているとの決定に際し、位相及びレートの各到来フレームとの同期は、例えばブロック320に示されるようにコスト値をリセットすることにより、一時停止され得る(プローブが再び静止するまで)。このような状況において、生画像と術前データとの間の空間的位置合わせは、当該運動モデルの最後の更新からのバージョンを用いて、各新フレームによる動的更新無しで行うことができる。この目的のために、
図7を参照すると、プロセッサ302’は静止更新ブロック330を含むことができる。プローブ情報及びタイミング情報を、静止更新ブロック330に追加的に結合することができる。プローブが動いているとの指示情報に応答して、静止更新ブロック330は或る期間にわたる平均回数に対応する回数を出力することができる。プローブが動いている場合、動的同期は信頼性のないものとなり得ることが予想されるからである。かくして、動的同期は休止され、プローブが動いている間の各新フレームに対しブロック322において平均回数及び次の連続する位相値が出力される。
【0037】
図5の例に示されるように、呼吸誘発性肝臓運動の場合、運動モデル(motion model)は呼吸サイクルのレート(rate)、位相(phase)及び振幅(amplitude)に基づいて、例えば式2:
motion model d(t) = amplitude * cos2(rate * t + phase) 式2
又は式3:
motion model d(t) = amplitude * cos
2(rate * t + phase) 式3
【0038】
に従って定義することができる。運動モデルは、
図3を参照して説明した動的同期アルゴリズムにより(例えば、各フレームに対してレート及び位相に関する更新された値を得ることにより)各生フレームに関してバックグラウンドで動的に更新することができる。振幅は、ユーザ入力に応答して設定することができるか、又は動き推定に基づいて(例えば、
図8Aの例に関連して後に更に説明されるように)又はデフォルト値(例えば、約20mm)若しくは一連の最適値(ユーザ入力により更に調整することができる)に基づいて等のように当該システムにより自動的に設定することができる。好ましい実施態様において、運動モデルの前記回数及び位相は、前述したように、LTC曲線から導出される。振幅は、当該システムにより、例えばデフォルト値に基づいて自動的に設定される。好ましい実施態様において、振幅は、例えば当該合成画像が視覚的に満足のゆくものでない場合、ユーザ入力により更に調整される。
【0039】
ここで
図8A及び
図8Bを参照すると、超音波データのみに基づいて(即ち、以前に取得された画像データに依存することなく)運動モデルを導出又は更新するための他の技術は、運動を推定するために超音波データに対して実行される画像処理を利用することができる。
図8A及び
図8Bの例におけるアルゴリズムは、ブロック810に示されるように、超音波ビームが運動軸(例えば、呼吸運動の場合は頭尾方向)に整列されることに依存する。このことは、手動で、プローブをビームが運動軸と整列されるように位置決めすることにより、又は斯様な整列を得るためにビームを自動的にステアリングすることにより達成することができる。例えば手動位置決めが用いられるような幾つかのケースにおいて、当該システムは、適切な整列が得られた場合を示すためにユーザにフィードバックを提供することができる。
図8A及び
図8Bの例において、同期(又はモデル更新)はユーザ入力に応答してのみ実行される。即ち、ユーザは当該システムに対して、例えば同期期間の開始の指示情報を供給することにより、再同期が望まれることを示すことができる。
図8A及び
図8Bに示されるように、プロセッサ802は同期期間の開始及び同期期間の終了の指示情報を受信する。プロセッサ802は、ブロック812に示されるように、幾つかの(2、3又はそれ以上の)呼吸サイクルにわたり画像データ取得を実行する。プロセッサ802は、ブロック812に示されるように、当該同期期間に跨がるフレームを用いて動き推定を実行する。動き推定は、ブロックマッチング動き推定アルゴリズムを使用する等のように如何なる現在既知の又は後に開発される動き推定技術により実行することもできる。ブロックマッチングアルゴリズムは、動き推定のために一連のフレームにおける合致するマクロブロックを位置特定する方法である。例えば、ブロックマッチングアルゴリズムは、一連のフレームのうちの現フレームをマクロブロックに分割すると共に、これらマクロブロックの各々を近隣フレーム(時には、直前のフレーム)における対応するブロック及び該ブロックの隣接ブロックと比較するステップを伴う。該動き推定の出力は、符号813に示されるように、当該運動の推定された軌跡である。該軌跡はブロック814に供給され、該ブロックにおいて、当該運動のレート、位相及び振幅を、符号815により示されるように、当該推定された軌跡から抽出することができる。軌跡からレート、位相及び振幅を得る1つの方法は、対{位相(phase),レート(rate)}を:
(phase,rate) = argmax(sum(abs(C[phase + k * rate] - C[phase + (k+1) * rate] * rate)))/(kmax + 1)
等により検索することである。
【0040】
合計(sum)は、[phase + (k+1) * rate]の値が当該曲線に存在する限り計算され、従って、kmaxは最後の可能性のあるk値である。最大値アーギュメントは振幅を提供する。レート、位相及び振幅を得るために、他の技術を用いることもできる。該レート(又は回数)、位相及び振幅は、ブロック816に示されるように出力され、リアルタイムフレームとの融合のための術前データから動き補償された画像面を識別するために使用される。
図8Bにおけるプロセッサ802’は、プロセッサ802に類似するが、
図7における例の静止更新ブロックと類似した静止更新ブロック830を含む点で相違する。
【0041】
図9は、本開示の原理に従って構成された超音波撮像システムのブロック図を示す。超音波撮像システム910の構成要素の幾つか又は全ては、本明細書における例の何れかによる超音波撮像システム(例えば、
図1の例示的システム100)を実施化するために用いることができる。
図9の超音波撮像システム910は、超音波プローブ912、トランスジューサアレイ914、ビームフォーマ922及びオプションとしてのマイクロビームフォーマ916、送信/受信(T/R)スイッチ918、送信コントローラ920、並びに検出されたエコーから超音波画像を生成するための1以上の処理要素を含む。例えば、システム910は、信号プロセッサ926、Bモードプロセッサ928、ドプラプロセッサ960、スキャンコンバータ930、多断面再フォーマッタ932、ボリュームレンダラ934、画像プロセッサ936、グラフィックプロセッサ940及びその他を含むことができる。当該システムはユーザインターフェース924、入力装置952及び出力装置938も含むことができる。
図9に示される構成要素は単なる例示であり、構成要素を削除し、構成要素を組み合わせ、構成要素を再構成し、及び構成要素を置換することを含む他の変形も全て想定される。
【0042】
図示されたように、超音波撮像システム910は超音波プローブ912を含み、該超音波プローブは超音波を送信すると共にエコー情報を受信するためのトランスジューサアレイ914を含む。例えば線形アレイ、湾曲アレイ又はフェーズドアレイ等の種々のトランスジューサアレイを使用することができる。トランスジューサアレイ914は、例えば、2D及び/又は3D撮像のためにエレベーション及びアジマスの両次元でスキャンすることができるトランスジューサ素子の二次元アレイ(図示略)を含むことができる。トランスジューサアレイ914はマイクロビームフォーマ916に結合することができ、該マイクロビームフォーマは当該超音波プローブ912内に配置することができる。マイクロビームフォーマ916は、アレイ914内のトランスジューサ素子による信号の送信及び受信を制御する。図示された例において、マイクロビームフォーマ916は送信/受信(T/R)スイッチ918に結合され、該T/Rスイッチは送信及び受信の間で切り換わり、主ビームフォーマ922を高エネルギ送信信号から保護する。例えば可搬型超音波システムにおける等の幾つかの実施態様において、システム内のT/Rスイッチ918及び他の要素は、別体の超音波システム基台内というより超音波プローブ912内に含めることができる。斯かる超音波システム基台は、典型的に、信号処理及び画像データ生成のための回路並びにユーザインターフェースを提供するための実行可能な命令を含むソフトウェア及びハードウェア構成要素を含む。
【0043】
マイクロビームフォーマ916の制御の下でのトランスジューサアレイ914からの超音波パルスの送信は、T/Rスイッチ918及びビームフォーマ922に結合された送信コントローラ920により指令され、これらはユーザインターフェース924のユーザ操作から入力を受けることができる。ユーザインターフェース924は制御パネル952等の1以上の入力装置を含むことができ、該制御パネルは1以上の機械式制御子(例えば、釦、エンコーダ等)、タッチ感知性制御子(例えば、トラックパッド又はタッチスクリーン等)、及び他の既知の入力装置を含むことができる。ユーザインターフェース924は、画像(例えば、リアルタイム及び術前データの融合画像)を表示するように構成されたディスプレイ938等の1以上の出力装置を含むことができる。送信コントローラ920により制御することができる他の機能は、ビームがステアリングされる方向である。ビームは、トランスジューサアレイ914から真っ直ぐ前方に(トランスジューサアレイに対して直角に)又は一層広い視野のために異なる角度でステアリングすることができる。マイクロビームフォーマ916により生成された部分的にビーム成形された信号は主ビームフォーマ922に結合され、該主ビームフォーマにおいて、トランスジューサ素子の個々のパッチのからの部分的にビーム成形された信号は完全にビーム成形された信号へと合成される。斯かるビーム成形された信号は、信号プロセッサ926に結合される。
【0044】
信号プロセッサ926は、受信されたエコー信号を、帯域通過フィルタ処理、デシメーション、I及びQ成分分離並びに高調波信号分離等の種々の方法で処理することができる。信号プロセッサ926は、スペックル低減、信号混合及びノイズ除去等の追加の信号向上処理を実行することもできる。処理された信号は、Bモード画像データを生成するためにBモードプロセッサ928に結合することができる。該Bモードプロセッサは、身体内の構造の画像化のために振幅検波を使用することができる。Bモードプロセッサ928により生成された信号は、スキャンコンバータ930及び多断面再フォーマッタ932に結合することができる。スキャンコンバータ930は、受信された空間関係のエコー信号を所望の画像フォーマットで配列するように構成される。例えば、スキャンコンバータ930は、エコー信号を、二次元(2D)扇形フォーマット、又は角錐状若しくはそれ以外の形状の三次元(3D)フォーマットに配列することができる。多断面再フォーマッタ932は、例えば米国特許第6,443,896号(Detmer)に記載されているように、身体のボリューム領域における共通面内の点から受信されるエコーを該面の超音波画像(例えば、Bモード画像)に変換することができる。ボリュームレンダラ934は、例えば米国特許第6,530,885号(Entrekin他)に記載されているように、3Dデータセットの所与の基準点から見た画像を生成することができる。
【0045】
システム910はドプラプロセッサ960も含むことができる。信号プロセッサ926からの信号はドプラプロセッサ960に結合することができ、該ドプラプロセッサはドプラシフトを推定してドプラ画像データを生成するよう構成することができる。該ドプラ画像データはカラーデータを含むことができ、該カラーデータは表示のためにBモード(又はグレイスケール)画像に重ねることができる。ドプラプロセッサ960は、既知の技術に従って速度及びパワーを推定するよう構成することができる。例えば、該ドプラプロセッサは自己相関器等のドプラ推定器を含むことができ、該推定器において、速度(ドプラ周波数)推定はラグ1自己相関関数の引数に基づくものであり、ドプラパワー推定はラグ0自己相関関数の大きさに基づくものである。動きは、既知の位相ドメイン(例えば、MUSIC、ESPRIT等のパラメトリック周波数推定器)又は時間ドメイン(例えば、相互相関)信号処理技術により推定することができる。加速度、又は時間的及び/又は空間的速度微分の推定器等の速度の時間的又は空間的分布に関する他の推定器を、速度推定器に代えて又は加えて用いることもできる。
【0046】
スキャンコンバータ930、多断面再フォーマッタ932及び/又はボリュームレンダラ934からの出力(例えば、画像)は、画像ディスプレイ938上に表示される前に、更なる向上、バッファリング及び一時的記憶のために画像プロセッサ936に結合することができる。幾つか態様において、例えば2Dリアルタイム超音波データの術前画像データとの画像融合を実行する場合、当該システムは術前データの情報源(ソース)968を含み又は斯かるソースに通信的に結合することができる。スキャンコンバータ930からの2D画像は先ず位置合わせ及びフュージョンプロセッサ964を通過させることができ、該位置合わせフュージョンプロセッサは、融合し合成された画像を下流(例えば、画像プロセッサ及び/又はグラフィックプロセッサ)に送る前に、リアルタイムで運動誘発性誤整列を補正するように構成することができる。グラフィックプロセッサ940は、画像と一緒に表示するためのグラフィックオーバーレイを生成することができる。これらのグラフィックオーバーレイは、例えば患者の名前、画像の日付及び時間、撮像パラメータ等の標準的識別情報を含むことができる。これらの目的のために、該グラフィックプロセッサはユーザインターフェース924からタイプされた患者の名前又は他の注釈等の入力を受信するように構成することができる。幾つか態様において、当該システム910は、本明細書に記載されたアルゴリズムのパラメータを設定するためにユーザインターフェース924を介してユーザ入力を受信するように構成することができる。幾つか態様において、前記グラフィックプロセッサ、画像プロセッサ、ボリュームレンダラ及び多断面再フォーマッタのうちの少なくとも1つの1以上の機能は、これら要素の各々に関して説明された特定の機能が別個の処理ユニットにより実行されるというより、統合された画像処理回路(該回路の動作は併行して動作する複数のプロセッサの間で分割することができる)内に組み合わせることができる。更に、例えばBモード画像又はドプラ画像を生成するためのエコー信号の処理はBモードプロセッサ及びドプラプロセッサに関連させて説明されているが、これらプロセッサの機能は単一のプロセッサに統合することができることが理解されるであろう。
【0047】
図10は、本開示の原理による方法1000のフローチャートを示す。該方法は、ブロック1010に示されるように、リアルタイム超音波画像データ及び術前画像データ(例えば、CT又はMRIデータ)を受信するステップを含むことができる。リアルタイム超音波画像は、各到来フレームに対して生成され、画像融合のために術前データと空間的に位置合わせすることができる。本開示の原理による空間的位置合わせは、リアルタイム画像を術前データと位置データに基づいて空間的に整列させると共に運動誘発性誤整列を更に補正するステップを含むことができる。この目的のために、方法1000は、ブロック1012に示されるように、運動モデルをリアルタイム超音波画像データに基づいて導出するステップを含むことができる。該運動モデルは、当該システムが動き補償された画像面を自動的に選択することを可能にすることにより運動誘発性誤整列を補正するために使用することができる。当該方法は、更に、ブロック1014に示されるように、例えば当該運動モデルと臓器運動との間の同期を維持するために該運動モデルを動的に更新するステップを含むことができる。該運動モデルは、ブロック1016に示されるように術前データに適用されて、ブロック1018に示されるようにリアルタイム画像データとの融合のための動き補償された術前スライスを識別することができ、次いで、合成された画像はディスプレイに供給することができる(1020)。本明細書における例による方法は、本明細書に記載されたアルゴリズムの実行により果たされる又は関連するステップ又は機能の如何なる組合せも含むことができる。
【0048】
本開示に関し、本明細書に記載された種々の方法及び装置はハードウェア、ソフトウェア及びファームウエアで実施化することができることに注意されたい。更に、斯かる種々の方法及び装置は、如何なる限定の意味ではなく、例示のみとして含まれている。本開示に関し、当業者であれば、本教示を、本開示の範囲内に留まりながら、自身の技術及び斯かる技術に影響を与えるために要する装置を決定するために実施することができる。本明細書に記載されたプロセッサの1以上の機能は、より少数の又は単一の処理ユニット(例えば、CPU又はGPU)に組み込むことができ、又は、代わりに、これらは一層多数の処理ユニットの間に分散させることができ、特定用途向け集積回路(ASIC)又は本明細書に記載される機能を果たすための実行可能な命令に応じてプログラムされた汎用処理回路を用いて実施することができる。コンピュータプログラム(例えば、実行可能な命令)は、光記憶媒体又は他のハードウェアと一緒に若しくは斯かるハードウェアの一部として供給される固体媒体等の如何なる好適なコンピュータ読取可能な媒体によっても記憶/分配するとこができるのみならず、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してのように他の形態で分配することもできる。
【0049】
本明細書に記載された例、実施態様又は処理の何れも、他の例、実施態様及び/又は処理の1以上と組み合わせることができ、又は本システム、装置及び方法による別個の装置若しくは装置部分の間で分離及び/又は実行することができると理解される。最後に、上述した説明は、本システムの単なる例示であることを意図するものであり、添付請求項を如何なる特定の実施態様又は実施態様のグループに限定するものと見なされるべきではない。このように、本システムは例示的実施態様を参照して特に詳細に説明されているが、当業者であれば、後述する請求項に記載される本システムの一層広い意図する趣旨及び範囲から逸脱することなしに多数の変形例及び代替実施態様に想到することができると理解されるべきである。従って、明細書及び図面は例示的と見なされるべきであり、添付請求項の範囲を限定することを意図するものではない。