(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】部品実装機、部品実装システム、部品実装機管理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020569255
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2019003312
(87)【国際公開番号】W WO2020157889
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】三輪 猛
(72)【発明者】
【氏名】寺田 和広
(72)【発明者】
【氏名】上杉 明靖
(72)【発明者】
【氏名】谷口 謙
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/037926(WO,A1)
【文献】特開2003-204199(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130345(WO,A1)
【文献】特開2005-235942(JP,A)
【文献】国際公開第2002/056662(WO,A1)
【文献】特開2012-129434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、前記部品供給部からピックアップした部品を前記実装作業位置の基板に移載する部品実装機構と、
開閉可能な扉を有し、前記部品実装機構を収容するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたカメラユニットと、
前記カメラユニットを着脱可能に保持するカメラステーションと、
外部の管理装置からのカメラ制御指令を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記カメラ制御指令に基づき前記カメラユニットを制御することで、前記カメラ制御指令に応じた画像を前記カメラユニットに撮像させる制御部と
を備え、
前記制御部は、前記カメラユニットを前記カメラステーションからピックアップして運搬する運搬作業を、前記カメラ制御指令に応じて前記実装ヘッドに実行させることで、前記カメラユニットにより撮像する範囲を調整し、
前記通信部は、前記カメラユニットにより撮像された前記画像を前記管理装置に送信する部品実装機。
【請求項2】
部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、前記部品供給部からピックアップした部品を前記実装作業位置の基板に移載する部品実装機構と、
開閉可能な扉を有し、前記部品実装機構を収容するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたカメラユニットと、
前記カメラユニットを着脱可能に保持するカメラステーションと、
外部の管理装置からのカメラ制御指令を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記カメラ制御指令に基づき前記カメラユニットを制御することで、前記カメラ制御指令に応じた画像を前記カメラユニットに撮像させる制御部と
を備え、
前記制御部は、前記カメラユニットを前記カメラステーションからピックアップして運搬する運搬作業を、前記カメラ制御指令に応じて前記実装ヘッドに実行させることで、前記カメラユニットにより撮像する範囲を調整し、
前記制御部は、前記カメラユニットのフォーカス、ズームおよび照明の少なくとも1つを前記カメラ制御指令に応じてさらに調整し、
前記通信部は、前記カメラユニットにより撮像された前記画像を前記管理装置に送信する部品実装機。
【請求項3】
前記制御部は、前記扉が閉じられている状態において前記実装ヘッドによる前記運搬作業の実行を許可する一方、前記扉が開かれている状態において前記実装ヘッドによる前記運搬作業の実行を禁止する請求項
1または2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記カメラユニットは、蓄電池を有し、前記蓄電池が供給する電力を用いて前記画像を撮像し、
前記カメラステーションは、装着された前記カメラユニットの前記蓄電池を充電する請求項
1ないし3のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記カメラステーションは、前記実装ヘッドにより前記カメラステーションからピックアップされた前記カメラユニットから前記画像を無線により受信して、前記通信部に転送し、
前記通信部は、前記カメラステーションから受信した前記画像を前記管理装置に送信する請求項
1ないし4のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記カメラユニットは、全天球カメラによって前記画像を撮像する請求項1ないし
5のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記通信部は、前記部品実装機構のうち、前記カメラユニットによる撮像対象部分を動作させる動作指令を前記管理装置から受信し、
前記制御部は、前記動作指令を前記撮像対象部分に与えつつ前記撮像対象部分を含む前記画像を撮像する請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記カメラユニットは、開かれた前記扉を介して前記ハウジングの外部を撮像可能である請求項1ないし
7のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項9】
部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、前記部品供給部からピックアップした部品を前記実装作業位置の基板に移載する部品実装機構と、
開閉可能な扉を有し、前記部品実装機構を収容するハウジングと、
前記ハウジング内に配置され
て、開かれた前記扉を介して前記ハウジングの外部を撮像可能であるカメラユニットと、
外部の管理装置からのカメラ制御指令を受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記カメラ制御指令に基づき前記カメラユニットを制御することで、前記カメラ制御指令に応じた画像を前記カメラユニットに撮像させる制御部と
を備え、
前記扉が開くと、前記カメラユニットによる前記画像の撮像が開始され、
前記通信部は、前記カメラユニットにより撮像された前記画像を前記管理装置に送信する部品実装機。
【請求項10】
部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、前記部品供給部からピックアップした部品を前記実装作業位置の基板に移載する部品実装機と、
カメラ制御指令を前記部品実装機に送信する管理装置と
を備え、
前記部品実装機は、カメラユニットを有し、前記管理装置から受信した前記カメラ制御指令に基づき前記カメラユニットを制御することで、前記カメラ制御指令に応じた画像を前記カメラユニットにより撮像し、前記画像を前記管理装置に送信
し、
前記部品実装機は、前記カメラユニットを着脱可能に保持するカメラステーションと、前記カメラユニットにより撮像する範囲を前記カメラ制御指令に応じて調整する制御部とをさらに有し、
前記制御部は、前記カメラユニットを前記カメラステーションからピックアップして運搬する運搬作業を、前記カメラ制御指令に応じて前記実装ヘッドに実行させることで、前記カメラユニットにより撮像する範囲を調整する部品実装システム。
【請求項11】
部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、前記部品供給部からピックアップした部品を前記実装作業位置の基板に移載する部品実装機と、
カメラ制御指令を前記部品実装機に送信する管理装置と
を備え、
前記部品実装機は、カメラユニットを有し、前記管理装置から受信した前記カメラ制御指令に基づき前記カメラユニットを制御することで、前記カメラ制御指令に応じた画像を前記カメラユニットにより撮像し、前記画像を前記管理装置に送信
し、
前記部品実装機は、前記カメラユニットを着脱可能に保持するカメラステーションと、前記カメラユニットのフォーカス、ズームおよび照明の少なくとも1つを前記カメラ制御指令に応じて調整する制御部とをさらに有し、
前記制御部は、前記カメラユニットを前記カメラステーションからピックアップして運搬する運搬作業を、前記カメラ制御指令に応じて前記実装ヘッドに実行させることで、前記カメラユニットにより撮像する範囲を調整する部品実装システム。
【請求項12】
部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、前記部品供給部からピックアップした部品を前記実装作業位置の基板に移載する部品実装機に対して、前記部品実装機の外部の管理装置からカメラ制御指令を送信する工程と、
前記部品実装機が受信した前記カメラ制御指令に基づき、前記部品実装機内に配置されたカメラユニットを制御することで、前記カメラ制御指令に応じた画像を前記カメラユニットに撮像させる工程と、
前記カメラユニットにより撮像された前記画像を前記部品実装機から前記管理装置に送信する工程と
を備え
、
前記部品実装機は、前記カメラユニットを着脱可能に保持するカメラステーションと、前記カメラユニットにより撮像する範囲を前記カメラ制御指令に応じて調整する制御部とを有し、
前記制御部は、前記カメラユニットを前記カメラステーションからピックアップして運搬する運搬作業を、前記カメラ制御指令に応じて前記実装ヘッドに実行させることで、前記カメラユニットにより撮像する範囲を調整する部品実装機管理方法。
【請求項13】
部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、前記部品供給部からピックアップした部品を前記実装作業位置の基板に移載する部品実装機に対して、前記部品実装機の外部の管理装置からカメラ制御指令を送信する工程と、
前記部品実装機が受信した前記カメラ制御指令に基づき、前記部品実装機内に配置されたカメラユニットを制御することで、前記カメラ制御指令に応じた画像を前記カメラユニットに撮像させる工程と、
前記カメラユニットにより撮像された前記画像を前記部品実装機から前記管理装置に送信する工程と
を備え
、
前記部品実装機は、前記カメラユニットを着脱可能に保持するカメラステーションと、前記カメラユニットのフォーカス、ズームおよび照明の少なくとも1つを前記カメラ制御指令に応じてさらに調整する制御部とを備え、
前記制御部は、前記カメラユニットを前記カメラステーションからピックアップして運搬する運搬作業を、前記カメラ制御指令に応じて前記実装ヘッドに実行させることで、前記カメラユニットにより撮像する範囲を調整する部品実装機管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に部品を実装する部品実装機を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダー等の部品供給部により供給された部品を、部品供給部と基板との間を移動する実装ヘッドにより基板に移載する部品実装機では、種々のエラーが生じうる。また、特許文献1、2では、このようなエラーに対して、部品実装機の外部に設けられた管理装置からの遠隔操作に対応するため、エラーに関する情報を部品実装機から管理装置に送信する技術が示されている。特許文献1では、例えば基板認識や部品認識にエラーが生じると、これらの認識のために撮像された画像が部品実装機から管理装置に送信される。また、特許文献2では、部品実装機の運転中に種々の情報をログファイルとして予め記録しておき、エラーが生じると、このログファイルが部品実装機から管理装置に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-143169号公報
【文献】特開2000-236197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、管理装置により遠隔で管理を行う管理者にしてみると、特許文献1、2で部品実装機から管理装置に送信される情報では、エラーの原因を特定するのが困難な場合がある。そこで、部品実装機が設置された現場の作業者に、写真の撮像を依頼して、この写真を入手するといった運用が行われることがある。しかしながら、管理者から作業者への連絡が正確に伝わらないために写真がエラーの原因特定に資するものではなかったり、写真の入手に時間を要したりといった問題があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品実装機を管理装置により遠隔管理する管理者が、部品実装機のエラーの原因を特定するのに資する画像を簡便に取得することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、部品供給部からピックアップした部品を実装作業位置の基板に移載する部品実装機構と、開閉可能な扉を有し、部品実装機構を収容するハウジングと、ハウジング内に配置されたカメラユニットと、外部の管理装置からのカメラ制御指令を受信する通信部と、通信部が受信したカメラ制御指令に基づきカメラユニットを制御することで、カメラ制御指令に応じた画像をカメラユニットに撮像させる制御部とを備え、通信部は、カメラユニットにより撮像された画像を管理装置に送信する。
【0007】
本発明に係る部品実装システムは、部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、部品供給部からピックアップした部品を実装作業位置の基板に移載する部品実装機と、カメラ制御指令を部品実装機に送信する管理装置とを備え、 部品実装機は、カメラユニットを有し、管理装置から受信したカメラ制御指令に基づきカメラユニットを制御することで、カメラ制御指令に応じた画像をカメラユニットにより撮像し、画像を管理装置に送信する。
【0008】
本発明に係る部品実装機管理方法は、部品を供給する部品供給部と実装作業位置との間を移動する実装ヘッドを用いて、部品供給部からピックアップした部品を実装作業位置の基板に移載する部品実装機に対して、部品実装機の外部の管理装置からカメラ制御指令を送信する工程と、部品実装機が受信したカメラ制御指令に基づき、部品実装機内に配置されたカメラユニットを制御することで、カメラ制御指令に応じた画像をカメラユニットに撮像させる工程と、カメラユニットにより撮像された画像を部品実装機から管理装置に送信する工程とを備える。
【0009】
このように構成された発明(部品実装機、部品実装システム、部品実装機管理方法)では、カメラユニットが部品実装機内に設けられ、管理装置から部品実装機に送信されたカメラ制御指令に応じた画像がカメラユニットにより撮像される。そして、この画像が部品実装機から管理装置に送信される。したがって、管理者は、管理装置を操作することで所望のカメラ制御指令を作成して、このカメラ制御指令を部品実装機に送信することで、このカメラ制御指令に応じた画像を入手できる。こうして、部品実装機のエラーの原因を特定するのに資する画像を簡便に取得することが可能となっている。
【0010】
また、制御部は、カメラユニットにより撮像する範囲をカメラ制御指令に応じて調整するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、作業者は、部品実装機のエラーの原因を特定するのに資する所望の範囲を撮像した画像を簡便に入手することができる。
【0011】
また、制御部は、カメラユニットのフォーカス、ズームおよび照明の少なくとも1つをカメラ制御指令に応じてさらに調整するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、作業者は、カメラユニットのフォーカス、ズームおよび照明の少なくとも1つを適切に調整しつつ、部品実装機のエラーの原因を特定するのに資する画像を簡便に入手することができる。
【0012】
また、カメラユニットを着脱可能に保持するカメラステーションをさらに備え、制御部は、カメラユニットをカメラステーションからピックアップして運搬する運搬作業を、カメラ制御指令に応じて実装ヘッドに実行させることで、カメラユニットにより撮像する範囲を調整するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、実装ヘッドにカメラユニットを運搬させることで、作業者は、部品実装機のエラーの原因を特定するのに資する所望の範囲を撮像した画像を簡便に入手することができる。
【0013】
また、制御部は、扉が閉じられている状態において実装ヘッドによる運搬作業の実行を許可する一方、扉が開かれている状態において実装ヘッドによる運搬作業の実行を禁止するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、ハウジングの扉が閉じられている適切な期間に限定して、実装ヘッドによるカメラユニットの運搬作業を実行することができる。
【0014】
また、カメラユニットは、蓄電池を有し、蓄電池が供給する電力を用いて画像を撮像し、カメラステーションは、装着されたカメラユニットの蓄電池を充電するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、カメラユニットがカメラステーションに装着されている期間を利用して、カメラユニットの蓄電池を充電しておくことができる。
【0015】
また、カメラステーションは、実装ヘッドによりカメラステーションからピックアップされたカメラユニットから画像を無線により受信して、通信部に転送し、通信部は、カメラステーションから受信した画像を管理装置に送信するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、カメラステーションとカメラユニットとの間の配線を排除することができるため、配線による制限を受けることなく、実装ヘッドによるカメラユニットの運搬作業を実行できる。
【0016】
また、カメラユニットは、全天球カメラによって画像を撮像するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、広い範囲の画像を一度に撮像することができる。
【0017】
また、通信部は、部品実装機構のうち、カメラユニットによる撮像対象部分を動作させる動作指令を管理装置から受信し、制御部は、動作指令を撮像対象部分に与えつつ撮像対象部分を含む画像を撮像するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、管理者は、カメラユニットによる撮像対象部分が正常に動作するかを簡便に確認することができる。
【0018】
また、カメラユニットは、開かれた扉を介してハウジングの外部を撮像可能であるように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、管理者は、ハウジングの扉の開口を介して実行される作業者の作業を撮像した画像を簡便に入手でき、作業者の作業が適切であるかを確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品実装機を管理装置により遠隔管理する管理者が、部品実装機のエラーの原因を特定するのに資する画像を簡便に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る部品実装機と当該部品実装機を管理する管理装置との関係を示すブロック図。
【
図2】部品実装機が備える電気的構成の一例を示すブロック図。
【
図3】部品実装機の機械的構成の一例を模式的に示す平面図。
【
図8】実装ヘッドによりカメラユニットを保持した状態を示す側面図。
【
図9】部品実装機で実行されるエラー監視の一例を示すフローチャート。
【
図10】管理装置でのエラー管理の一例を示すフローチャート。
【
図11】部品実装機で実行される画像撮像の一例を示すフローチャート。
【
図12】部品実装機で実行される移動撮像の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係る部品実装機と当該部品実装機を管理する管理装置との関係を示すブロック図である。管理装置1は、インターネットIを介して複数の部品実装機2と通信すすることで、各部品実装機2の管理を遠隔から実行する。なお、管理装置1が管理する管理装置1の台数は
図1の例に限られず、1台でも構わない。この管理装置1は、例えばパーソナルコンピューターであり、通信部11、演算部12、記憶部13、入力操作部14および表示部15を備える。
【0022】
通信部11は、インターネットIを介して部品実装機2の通信を行う。演算部12は、CPU(Central Processing Unit) やRAM(Random Access Memory)で構成されたプロセッサーであり、管理装置1における演算機能を担う。記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶装置であり、通信部11が部品実装機2から受信した各種データを記憶する。入力操作部14は、キーボード、マウスおよびジョイスティックを有し、管理者はこれらを操作することで所望の指令を入力操作部14に入力することができる。表示部15は、通信部11が部品実装機2から受信した各種データを画面に表示し、管理者は画面に表示されたこれらのデータを視認することができる。
【0023】
図2は部品実装機が備える電気的構成の一例を示すブロック図であり、
図3は部品実装機の機械的構成の一例を模式的に示す平面図である。
図3および以下の図では、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向で構成されるXYZ直交座標系を適宜示す。ここで、X方向およびY方向はそれぞれ水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。
【0024】
図2に示すように、部品実装機2は、装置全体を統括的に制御するコントローラー200を備える。コントローラー200は、通信部210、演算部220、記憶部230、入力操作部240および表示部250を有する。通信部210は、インターネットIを介して管理装置1の通信部11と通信を行う。演算部220は、CPUやRAMで構成されたプロセッサーであり、部品実装機2における演算機能を担う。記憶部230は、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶装置であり、部品実装機2の稼働状況を示すログファイル等の各種データを記憶する。入力操作部240は、キーボードおよびマウスを有し、作業者はこれらを操作することで所望の指令を入力操作部240に入力することができる。表示部250は、記憶部230に記憶された各種データを画面に表示し、作業者は画面に表示されたこれらのデータを視認することができる。
【0025】
さらに、コントローラー200は、駆動制御部260、センサー制御部270および撮像制御部280を有する。駆動制御部260は、部品実装機2の駆動系を制御し、センサー制御部270は部品実装機2の各部に取り付けられたセンサーSからの出力を監視する。そして、演算部220は、センサー制御部270が受信した各センサーSの出力に基づき、駆動制御部260に部品実装機2の駆動系を制御させることで、部品実装を実行する。また、撮像制御部280は、部品実装にエラーが生じた場合等に、後述のカメラステーション31およびカメラユニット32を制御することで、エラーの原因を特定するのに資する画像の撮像・送信を制御する。
【0026】
図3に示すように、部品実装機2は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する基板搬送部4を備える。この基板搬送部4は、X方向に並列に配置された一対のコンベア41を有し、コンベア41によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア41の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、基板搬送部4は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア41の間隔を調整する。この基板搬送部4は、基板搬送方向であるX方向の上流側から所定の実装作業位置42に搬入するとともに、実装作業位置42で部品Eが実装された基板Bを実装作業位置42からX方向の下流側に搬出する。
【0027】
基板搬送部4のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部5がX方向に並んでおり、各部品供給部5では、複数のテープフィーダー51がX方向に並ぶ。部品供給部5では、X方向に並ぶ複数の部品供給箇所52が設けられており、各部品供給箇所52に供給すべき部品Eを供給するテープフィーダー51が、各部品供給箇所52に対応付けられて着脱可能に装着される。各テープフィーダー51に対しては、集積回路、トランジスター、コンデンサー等の小片状の部品Eを所定間隔おきに収容したキャリアテープが巻き付けられた部品供給リールが配置されており、各テープフィーダー51は部品供給リールから引き出されたキャリアテープを間欠的に送り出すことで、その先端部の部品供給箇所52に部品Eを供給する。
【0028】
また、部品実装機2では、Y方向に延設された一対のY軸レール61と、Y方向に延設されたY軸ボールネジ62と、Y軸ボールネジ62を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられている。そして、X方向に延設されたX軸ビーム63が一対のY軸レール61にY方向に移動可能に支持された状態で、Y軸ボールネジ62のナットに固定されている。X軸ビーム63には、X方向に延設されたX軸ボールネジ64と、X軸ボールネジ64を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット7がX軸ビーム63にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ64のナットに固定されている。したがって、駆動制御部260は、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ62を回転させてヘッドユニット7をY方向に移動させたり、X軸モーターMxによりX軸ボールネジ64を回転させてヘッドユニット7をX方向に移動させたりすることができる。このように、Y軸レール61、Y軸ボールネジ62、Y軸モーターMy、X軸ビーム63、X軸ボールネジ64およびY軸モーターMyにより、ヘッドユニット7を駆動するヘッド駆動機構6が構成されている。
【0029】
ヘッドユニット7は、X方向に直線状に並ぶ複数の実装ヘッド71を有する。各実装ヘッド71は、互いに独立してZ方向およびR方向へ可動である。ここで、R方向はZ方向に平行な回転軸を中心に回転する方向である。したがって、駆動制御部260は、Z軸モーターMzにより実装ヘッド71をZ方向に昇降させたり、R軸モーターMrにより実装ヘッド71をR方向に回転させたりすることができる。
【0030】
これら実装ヘッド71のそれぞれは、その下端に取り付けられたノズル72により、基板Bへの部品Eの実装を行う。つまり、実装ヘッド71は、その下端のノズル72を部品供給箇所52の上方に位置させつつノズル72を下降させることで、テープフィーダー51が部品供給箇所52に供給する部品Eにノズル72を当接させる。そして、実装ヘッド71は、ノズル72内に負圧を与えてノズル72により部品Eを吸着すると、ノズル72を上昇させる。実装ヘッド71は、こうして部品供給箇所52からピックアップした部品Eをノズル72によって吸着・保持しつつ、実装作業位置42の基板Bの上方へ移動する。そして、実装ヘッド71は、ノズル72を下降させて部品Eを基板Bに接触させると、ノズル72の負圧を解除して、部品Eを基板Bに載置する。このように、部品実装機2では、 部品Eを供給する部品供給部5と実装作業位置42との間を移動する実装ヘッド71を用いて、部品供給部5からピックアップした部品Eを実装作業位置42の基板Bに移載する部品実装が実行される。なお、この部品実装は、コントローラー200の制御に基づき、規定された手順で実行される。
【0031】
また、部品実装機2は、上述の基板搬送部4、部品供給部5、ヘッド駆動機構6およびヘッドユニット7で構成された部品実装機構20を収容するハウジング8を備える。なお、
図3では、ハウジング8によって隠蔽される部分を、ハウジング8を透かして表記している。
【0032】
図4はハウジングの外観を模式的に示す斜視図である。ハウジング8は、作業開口81と、作業開口81を開閉する扉82とを、Y方向の両側に有する。したがって、作業者は、扉82が開かれた作業開口81を介して、部品実装機構20に対して保守作業を実行することができる。さらに、このハウジング8内には、上述のカメラステーション31およびカメラユニット32が配置されている。
【0033】
図5はカメラステーションの外観を斜視図であり、
図6はカメラユニットの外観を示す側面図であり、
図7はカメラユニットの外観を示す平面図である。
図2とこれらの
図5~
図7を用いて説明を続ける。
【0034】
図5に示すように、カメラステーション31は、略直方体形状を有するステーション本体311と、ステーション本体311の上面に開口する平面視で円形のユニット載置部312とを有する。ユニット載置部312は半球形状の孔として構成され、ユニット載置部312にカメラユニット32の下部を嵌めることで、カメラユニット32をユニット載置部312に載置することができる。つまり、カメラステーション31は、ユニット載置部312に載置されたカメラユニット32を支持する。さらに、カメラステーション31は、
図2に示す充電部313と通信部314とをステーション本体311に内蔵する。充電部313は、ユニット載置部312に載置されたカメラユニット32に充電を行い、通信部314は、カメラユニット32と無線により通信を行う。
【0035】
図6および
図7に示すように、カメラユニット32は、平面視で円形を有するユニット本体321と、ユニット本体321の外壁で開口する4個の円形孔322と、ユニット本体321の上端で開口する保持部323とを有する。4個の円形孔322は、それぞれの中心線が互いに等しい立体角で1点において交差するように配置されている。保持部323には、上述の実装ヘッド71の下端のノズル72が挿入可能であり、実装ヘッド71は、ノズル72を保持部323に挿入して保持部323の底面をノズル72により吸着することで、カメラユニット32を保持・運搬することができる(
図8)。ここで、
図8は実装ヘッドによりカメラユニットを保持した状態を示す側面図である。
【0036】
カメラユニット32は、
図2に示す通信部324と蓄電池325とを、ユニット本体321に内蔵する。通信部324は、カメラステーション31の通信部314と無線により通信を行う。蓄電池325は、カメラユニット32の動作に必要な電力を蓄える機能を果たし、通信部324は蓄電池325から供給された電力を利用して通信を実行する。カメラステーション31のユニット載置部312にカメラユニット32が載置された状態で、蓄電池325は、カメラステーション31の充電部313と電気的に接続され、充電部313が蓄電池325を充電する。
【0037】
また、カメラユニット32は、蓄電池325から供給された電力を利用して撮像を実行するカメラ326を有する。カメラ326は全天球カメラであり、4個の円形孔322に一対一の対応関係で設けられた4個の対物レンズ3261を有し、各対物レンズ3261は対応する円形孔322に嵌め込まれている。そして、カメラ326は、ユニット本体321に内蔵された個体撮像素子に各対物レンズ3261から入射した光を結像させることで、全天球の画像Mを撮像する。
【0038】
ちなみに、ここの例では、4個の対物レンズ3261の光軸が互いに等しい立体角で1点において交差する。かかる構成では、4個の対物レンズ3261それぞれの画角が120度以上の広角であれば全天球を撮像できる。画角がより大きく、例えば180度であればさらに良い。対物レンズ3261は4個に限らず、2個または3個でも良い。ここの例では、4つの対物レンズ3261の1つは、カメラユニット32がノズル72により保持された状態で、その光軸が鉛直真下を向くように配置されている。ただし、全天球カメラであれば、光軸の向きはいずれの方向でも構わない。
【0039】
なお、側方および下方のみを撮像できれば良い場合には、上方の3つの対物レンズ3261の光軸を水平に近づけることで、側方および下方を全方位で撮像できるようにする一方、真上を含む上方の一部は写らないように、カメラ326を構成しても良い。
【0040】
また、上述のとおり、ノズル72は、部品Eの吸着およびカメラ32の吸着の両方に用いられる。これに対して、実装ヘッド71は、ノズル72により部品Eを吸着した際に、Z軸に平行な回転軸を中心にノズル72を回転させることで、部品Eの向きを変える機構を具備する場合がある。この場合、カメラ32を吸着するノズル72を回転させて、カメラ32を回転させることで、撮像対象に対物レンズ3261を対向させた状態で、カメラ32により撮像対象を撮像しても良い。
【0041】
さらに、カメラユニット32は、蓄電池325から供給された電力を利用して光を照射する照明327を有する。これら4個の照明327は、4個の円形孔322に一対一の対応関係で設けられている。各照明327は円環形状を有するリング照明であり、対応する円形孔322内に配置されて、当該円形孔322に嵌め込まれた対物レンズ3261を囲む。つまり、対物レンズ3261は、照明327の内側に配置されている。
【0042】
かかる部品実装機2では、カメラユニット32をカメラステーション31に載置した状態でカメラユニット32により画像を撮像する「固定撮像」と、カメラユニット32を実装ヘッド71により移動させつつカメラユニット32により画像を撮像する「移動撮像」とを選択的に実行することができる。
【0043】
図9は部品実装機で実行されるエラー監視の一例を示すフローチャートである。
図9のフローチャートは、部品実装機2のコントローラー200の制御によって実行される。部品実装の開始が確認されると(ステップS101で「YES」)、ログファイルFの作成が開始される(ステップS102)。具体的には、駆動制御部260が取得した各モーターMx、My、Mz、Mrのエンコーダーの出力値や、センサー制御部270が取得した各センサーSの出力値といった、部品実装機2の稼働状況を示す情報が収集されて、ログファイルFとして記憶部230に蓄積される。
【0044】
そして、各センサーSの出力値に基づき、部品実装の実行中にエラーが発生したか否かが確認される(ステップS103)。エラーの発生が確認されない間は(ステップS103で「NO」)、部品実装の実行と並行して、部品実装機2の稼働状況を示す情報の蓄積が継続される。一方、エラーの発生が確認されると(ステップS103で「YES」)、部品実装が中断される(ステップS104)。そして、部品実装機2の通信部210から管理装置1の通信部11にログファイルFが送信され(ステップS105)、管理装置1でのエラー管理に利用される。
【0045】
図10は管理装置でのエラー管理の一例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、管理装置1の演算部12の制御によって実行される。ステップS201では通信部11が部品実装機2の通信部210からログファイルFを受信したかが確認される。ログファイルFの受信が確認されると(ステップS201で「YES」)、このログファイルFが表示部15に表示される(ステップS202)。
【0046】
したがって、管理者は、表示部15に表示されたログファイルFに基づき、エラーの原因を検討することができる。また、部品実装機2にはカメラユニット32が配置されており、カメラユニット32によって撮像した画像Mに基づき、部品実装機2における状況を把握することができる。そのため、ログファイルFのみからはエラーの原因を特定できない場合には、管理者は、カメラユニット32を制御するためのカメラ制御指令Cを管理装置1から部品実装機2に送信し、このカメラ制御指令Cに応じてカメラユニット32に撮像させた画像Mを部品実装機2から取得することで、この画像Mを参照してエラーの原因を検討できる。
【0047】
つまり、ステップS203では、管理者による入力操作部14の操作によりカメラ制御指令Cが入力されたかが確認される。カメラ制御指令Cの入力が確認されると(ステップS203で「YES」)、通信部11が部品実装機2の通信部210にカメラ制御指令Cを送信する(ステップS204)。
【0048】
カメラ制御指令Cを受信した部品実装機2は、
図11および
図12を用いて後述する画像撮像を実行することで、カメラ制御指令Cに応じた画像Mを撮像して、管理装置1に送信する。そこで、ステップS205では、通信部11が部品実装機2の通信部210から画像Mを受信したが確認される。画像Mの受信が確認されると(ステップS205で「YES」)、この画像Mが表示部15に表示される(ステップS206)。
【0049】
そして、管理者が画像撮像を終了する終了指令Ceを入力操作部14により入力するまで(ステップS207で「YES」となるまで)、ステップS203~S206が繰り返されて、部品実装機2で撮像された画像Mが取得される。
【0050】
なお、管理装置1から部品実装機2に送信されるカメラ制御指令Cは、種々の指令を含みうる。具体的には、画像撮像の開始を指示する撮像開始指令Cs、上記の移動撮像による画像撮像の実行を指示する移動撮像指令Cm、あるいは作業者による保守作業を対象とした画像撮像の実行を指示する保守作業撮像指令Co等をカメラ制御指令Cは含みうる。続いては、この点を踏まえて、部品実装機2で実行される画像撮像について説明する。
【0051】
図11は部品実装機で実行される画像撮像の一例を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、管理装置1の通信部11から通信部210が受信したカメラ制御指令Cに応じたコントローラー200の制御によって実行される。
【0052】
ステップS301では、通信部210が撮像開始指令Cs(カメラ制御指令C)を受信したかが確認される。撮像開始指令Csの受信が確認されると(ステップS301で「YES」)、撮像開始指令Csに応じて開始する画像撮像での撮像方法が、移動撮像および固定撮像のいずれであるかが判断される。具体的には、ステップS302では、通信部210が移動撮像指令Cm(カメラ制御指令C)を受信したかが判断される。
【0053】
移動撮像指令Cmの受信が確認されない場合(ステップS302で「NO」の場合)は、固定撮像の実行が指示されたと判断されるとともに、その固定撮像による撮像対象が作業者の保守作業であるかが判断される。具体的には、ステップS303では、通信部210が保守作業撮像指令Co(カメラ制御指令C)を受信したかが判断される。
【0054】
保守作業撮像指令Coの受信が確認されると(ステップS303で「YES」)、ハウジング8の作業開口81が開いたかが確認される(ステップS304)。そして、作業開口81が開くと(ステップS304で「YES」)、カメラユニット32による画像Mの撮像が開始されるとともに(ステップS305)、画像Mの管理装置1への送信が開始される(ステップS306)。かかる画像Mの撮像と送信は、所定の時間間隔で繰り返し、継続的に実行される。
【0055】
これによって、カメラステーション31に載置されたカメラユニット32は、作業開口81を介して作業者の保守作業を示す画像Mを撮像し(ステップS305)、カメラユニット32は、カメラステーション31から受信した画像Mを、通信部210を介して管理装置1に送信する(ステップS306)。
【0056】
ステップS307では、カメラユニット32の撮像条件の調整を指示する撮像条件調整指令Ca(カメラ制御指令C)を通信部210が受信したかが確認される。この撮像条件には、カメラ326のフォーカス、ズームおよび照明327の明るさが含まれる。つまり、管理装置1を操作する管理者は、入力操作部14のキーボードやマウスを操作することで撮像条件調整指令Caを管理装置1から部品実装機2に送信し、この撮像条件調整指令Caに従ってカメラユニット32に撮像条件を調整させることができる。
【0057】
ステップS307で撮像条件調整指令Caの受信が確認された場合(「YES」の場合)は、カメラユニット32が撮像条件調整指令Caに応じて撮像条件を調整する(ステップS308)。なお、カメラユニット32が撮像した画像Mは、部品実装機2から管理装置1に送信されて表示部15に表示されている。そのため、管理者は、ステップS307、S308を通じて、表示部15に表示された画像Mを確認しながら撮像条件を調整できる。
【0058】
かかるステップS308の実行後、あるいはステップS307で撮像条件調整指令Catの受信が確認されない場合(「NO」の場合)は、ステップS309に進む。そして、通信部210が画像撮像の終了を指示する終了指令Ceを受信するまで(ステップS309で「YES」となるまで)、画像Mの撮像と送信が継続されつつ、撮像条件調整指令Caの受信の度に撮像条件が調整される。
【0059】
したがって、管理装置1を操作する管理者は、部品実装機2から送信される画像Mを確認することで、作業者による保守作業が適切であるか否かを検討することができる。そして、保守作業が不適切であれば、部品実装機2で発生したエラーの原因が不適切な保守作業にあると特定できる。具体的には、保守作業の前後の画像Mの比較から、ハウジング8内に置き忘れられた工具などを見つけ出し、この工具が部品実装機構20に干渉していることでエラーが生じるといった原因を特定できる。
【0060】
また、ステップS303で保守作業撮像指令Coの受信が確認されない場合(ステップS303で「NO」の場合)は、ステップS304を経ずにステップS305~S309が実行される。これによって、カメラステーション31に載置されたカメラユニット32が周囲の部品実装機構20を示す画像Mを撮像し(ステップS305)、この画像Mが管理装置1に送信される(ステップS306)。そして、通信部210が終了指令Ceを受信するまで(ステップS309で「YES」となるまで)、画像Mの撮像と送信が継続されつつ、撮像条件調整指令Caの受信の度に撮像条件が調整される。
【0061】
したがって、管理装置1を操作する管理者は、部品実装機2から送信される画像Mを確認することで、部品実装機構20に異常箇所が含まれるか否かを検討することができる。そして、例えば異常箇所が見つかれば、部品実装機2で発生したエラーの原因がこの異常個所にあると特定できる。
【0062】
なお、上記のステップS302で移動撮像指令Cmの受信が確認された場合(「YES」の場合)は、
図12の移動撮像が実行される(ステップS308)。ここで、
図12は部品実装機で実行される移動撮像の一例を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、管理装置1の通信部11から通信部210が受信したカメラ制御指令Cに応じたコントローラー200の制御によって実行される。
【0063】
ステップS401では、実装ヘッド71は、カメラステーション31に載置されたカメラユニット32の上方に移動する。こうして実装ヘッド71は、その下端のノズル72をカメラユニット32の円形孔322の上方に位置させてからノズル72を下降させることで、円形孔322の底面にノズル72を当接させる。続いて、実装ヘッド71は、ノズル72内に負圧を与えてノズル72によりカメラユニット32を吸着すると、ノズル72を上昇させる。実装ヘッド71は、こうしてカメラステーション31からカメラユニット32をピックアップする。
【0064】
カメラユニット32がピックアップされると、カメラユニット32による画像Mの撮像が開始されるとともに(ステップS402)、画像Mの管理装置1への送信が開始される(ステップS403)。これによって、実装ヘッド71に保持されるカメラユニット32が周囲の部品実装機構20を示す画像Mを撮像し(ステップS402)、この画像Mが管理装置1に送信される(ステップS403)。かかる画像Mの撮像と送信は、所定の時間間隔で繰り返し、継続的に実行される。
【0065】
ステップS404では通信部210が運搬指令Ct(カメラ制御指令C)を受信したかが確認される。つまり、管理装置1を操作する管理者は、ジョイスティックを操作することで運搬指令Ctを管理装置1から部品実装機2に送信し、この運搬指令Ctに従って実装ヘッド71にカメラユニット32を運搬させることができる。特にカメラユニット32が撮像した画像Mは、部品実装機2から管理装置1に送信されて表示部15に表示されている。そのため、管理者は、表示部15に表示された画像Mに基づきカメラユニット32の撮像範囲を確認しつつ入力操作部14のジョイスティックを操作することで、部品実装機構20のうちの所望箇所を撮像した画像Mを取得できる。
【0066】
ステップS404で運搬指令Ctの受信が確認された場合(「YES」の場合)は、実装ヘッド71はこの運搬指令Ctに従ってカメラユニット32を運搬する。これによって、カメラユニット32は実装ヘッド71による運搬先の周囲を示す画像Mを撮像し、この画像Mが管理装置1に送信される。
【0067】
かかるステップS405の実行後、あるいはステップS404で運搬指令Ctの受信が確認されない場合(「NO」の場合)は、ステップS406に進んで、撮像条件調整指令Ca(カメラ制御指令C)を通信部210が受信したかが確認される。ステップS406で撮像条件調整指令Caの受信が確認された場合(「YES」の場合)は、カメラユニット32が撮像条件調整指令Caに応じて撮像条件を調整する(ステップS407)。なお、カメラユニット32が撮像した画像Mは、部品実装機2から管理装置1に送信されて表示部15に表示されている。そのため、管理者は、ステップS406、S407を通じて、表示部15に表示された画像Mを確認しつつ撮像条件を調整できる。
【0068】
かかるステップS407の実行後、あるいはステップS406で撮像条件調整指令Caの受信が確認されない場合(「NO」の場合)は、ステップS408に進む。そして、終了指令Ceを受信するまで(ステップS408で「YES」となるまで)、ステップS404~407が繰り返される。その結果、カメラユニット32の運搬先の画像Mの撮像と送信が継続されつつ、撮像条件調整指令Caの受信の度に撮像条件が調整される。
【0069】
また、終了指令Ceの受信が確認されると(ステップS408で「YES」)、実装ヘッド71は、カメラユニット32をカメラステーション31に戻す(ステップS409)。こうしてカメラユニット32がカメラステーション31に載置されると、カメラユニット32による画像Mの撮像が終了する(ステップS410)。
【0070】
以上に説明した実施形態では、カメラユニット32が部品実装機2内に設けられ、管理装置1から部品実装機2に送信されたカメラ制御指令Cに応じた画像Mがカメラユニット32により撮像される(ステップS305、S402)。そして、この画像Mが部品実装機2から管理装置1に送信される(ステップS306、S403)。したがって、管理者は、管理装置1を操作することで所望のカメラ制御指令Cを作成して(ステップS203)、このカメラ制御指令Cを部品実装機2に送信することで(ステップS204)、このカメラ制御指令Cに応じた画像Mを入手できる(ステップS205)。こうして、部品実装機2のエラーの原因を特定するのに資する画像Mを簡便に取得することが可能となっている。
【0071】
また、コントローラー200は、カメラユニット32により撮像する範囲をカメラ制御指令C(運搬指令Ct)に応じて調整する(ステップS405)。かかる構成では、作業者は、部品実装機2のエラーの原因を特定するのに資する所望の範囲を撮像した画像Mを簡便に入手することができる。
【0072】
また、コントローラー200は、カメラユニット32のフォーカス、ズームおよび照明の少なくとも1つをカメラ制御指令C(撮像条件調整指令Ca)に応じて調整する。かかる構成では、作業者は、カメラユニット32のフォーカス、ズームおよび照明の少なくとも1つを適切に調整しつつ、部品実装機2のエラーの原因を特定するのに資する画像Mを簡便に入手することができる。
【0073】
また、部品実装機2は、カメラユニット32を着脱可能に保持するカメラステーション31を備える。そして、コントローラー200は、カメラユニット32をカメラステーション31からピックアップして運搬する運搬作業を、カメラ制御指令C(運搬指令Ct)に応じて実装ヘッド71に実行させることで、カメラユニット32による撮像範囲を調整する(ステップS404、S405)。かかる構成では、実装ヘッド71にカメラユニット32を運搬させることで、作業者は、部品実装機2のエラーの原因を特定するのに資する所望の範囲を撮像した画像Mを簡便に入手することができる。
【0074】
また、カメラユニット32は、蓄電池325を有し、蓄電池325が供給する電力を用いて画像Mを撮像する。そして、カメラステーション31は、装着されたカメラユニット32の蓄電池325を充電する。かかる構成では、カメラユニット32がカメラステーション31に装着されている期間を利用して、カメラユニット32の蓄電池325を充電しておくことができる。
【0075】
また、カメラステーション31は、実装ヘッド71によりカメラステーション31からピックアップされたカメラユニット32から画像Mを無線により受信して、通信部210に転送する。そして、通信部210は、カメラユニット32から受信した画像Mを管理装置1に送信する。かかる構成では、カメラステーション31とカメラユニット32との間の配線を排除することができるため、配線による制限を受けることなく、実装ヘッド71によるカメラユニット32の運搬作業を実行できる。
【0076】
また、カメラユニット32は、全天球カメラ326によって画像Mを撮像する。かかる構成では、広い範囲の画像Mを一度に撮像することができる。
【0077】
また、カメラユニット32は、開かれた扉82を介してハウジング8の外部を撮像可能である。かかる構成では、管理者は、ハウジング8の扉の作業開口81を介して作業者により実行される作業を撮像した画像Mを簡便に入手でき、作業者の作業が適切であるかを確認することができる。
【0078】
このように本実施形態では、管理装置1と部品実装機2とが本発明の「部品実装システム」の一例を構成し、管理装置1が本発明の「管理装置」の一例に相当し、部品実装機2が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、コントローラー200が本発明の「制御部」の一例に相当し、通信部210が本発明の「通信部」の一例に相当し、部品実装機構20が本発明の「部品実装機構」の一例に相当し、カメラステーション31が本発明の「カメラステーション」の一例に相当し、カメラユニット32が本発明の「カメラユニット」の一例に相当し、蓄電池325が本発明の「蓄電池」の一例に相当し、部品供給部5が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、実装ヘッド71が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、ハウジング8が本発明の「ハウジング」の一例に相当し、扉82が本発明の「扉」の一例に相当し、カメラ制御指令Cが本発明の「カメラ制御指令」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、実装作業位置42が本発明の「実装作業位置」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、ステップS405が本発明の「運搬作業」の一例に相当する。
【0079】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、実装ヘッド71によるカメラユニット32の運搬作業(ステップS405)の実行を適宜制限するように変形しても良い。この変形例では、コントローラー200は、ハウジング8の扉82が閉じられている状態において実装ヘッド71による運搬作業(ステップS405)の実行を許可する一方、ハウジング8の扉82が開かれている状態において実装ヘッド71による運搬作業(ステップS405)の実行を禁止する。かかる構成では、ハウジング8の扉82が閉じられている適切な期間に限定して、実装ヘッド71によるカメラユニット32の運搬作業(ステップS405)を実行することができる。
【0080】
また、管理装置1からの遠隔操作により部品実装機構20の一部(例えば、コンベア41)の動作を試行した結果を、作業者が画像Mで確認できるように変形しても良い。この変形例では、通信部210は、コンベア41(撮像対象部分)を動作させるコンベア動作指令(動作指令)を管理装置1から受信する。そして、コントローラー200は、コンベア動作指令をコンベア41に与えつつコンベア41を含む画像Mを撮像する。かかる構成では、管理者は、カメラユニット32による撮像対象部分であるコンベア41が正常に動作するかを、画像Mに基づき簡便に確認することができる。
【0081】
また、管理装置1で表示部15に画像Mを表示する場合には、部品実装機2から取得した画像Mのうち、一部の領域のみを選択的に表示することができる。この際、表示する領域は、入力操作部14に対する管理者の操作によって選択できるように構成しても良い。これによって、画像Mのうち、管理者が必要とする領域のみを表示部15に表示することができる。
【0082】
また、カメラ326は全天球カメラではなく、限られた一方向を撮像するカメラであっても良い。かかるカメラを用いる場合、カメラのパン・チルトを変更するカメラ制御指令Cを管理装置1から部品実装機2に送信することで、カメラによる撮像範囲を変更することができる。
【0083】
また、実装ヘッド71によりカメラユニット32をピックアップする手法は吸着に限られない。したがって、対象物を掴むグリッパーを実装ヘッド71に取り付けて、このグリッパーによりカメラユニット32を掴んで、カメラユニット32をピックアップしても良い。
【0084】
また、カメラユニット32は、運搬不能にハウジング8に固定されていても良い。
【符号の説明】
【0085】
1…管理装置(部品実装システム)
2…部品実装機(部品実装システム)
20…部品実装機構
200…コントローラー(制御部)
210…通信部
31…カメラステーション
32…カメラユニット
325…蓄電池
42…実装作業位置
5…部品供給部
71…実装ヘッド
8…ハウジング
82…扉
B…基板
C…カメラ制御指令
E…部品
S405…運搬作業