(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】空調服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20220712BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20220712BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20220712BHJP
A41D 31/14 20190101ALI20220712BHJP
A41D 31/18 20190101ALI20220712BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D31/00 502B
A41D31/00 502M
A41D31/02 A
A41D31/14
A41D31/18
A41D31/00 503E
(21)【出願番号】P 2021107405
(22)【出願日】2021-06-29
(62)【分割の表示】P 2017064771の分割
【原出願日】2017-03-29
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 信義
(72)【発明者】
【氏名】松本 昇久
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-36535(JP,A)
【文献】特開2008-240214(JP,A)
【文献】特開2015-92036(JP,A)
【文献】特開平8-144152(JP,A)
【文献】特開2010-189795(JP,A)
【文献】特開2006-77338(JP,A)
【文献】特開2016-223020(JP,A)
【文献】国際公開第2013/105478(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0242147(US,A1)
【文献】特開平11-323626(JP,A)
【文献】特開2012-219410(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009511(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/145666(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/002
A41D 31/00
A41D 31/02
A41D 31/14
A41D 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の空気を取り込むファンを備えてなる空調服であって、空調服が表地と裏地を有しており、空調服の表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることが可能であり、
前記表地および裏地において、タテ方向またはヨコ方向のJIS L1096-2010 8.16.1 B法にて測定した伸び率が1%以上であり、
前記表地および裏地が捲縮繊維を含み、
前記表地が織物組織を有し、前記裏地が織物組織を有し、
前記表地および裏地の目付けが50~250g/m
2の範囲内であり、
前記表地において、JIS L1096-
1990 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度が300cc/cm
2/s以下であり、
かつ前記裏地において、JIS L1096-
1990 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度が300cc/cm
2/s以下であることを特徴とする空調服。
【請求項2】
前記表地および/または裏地が排気口を有する、請求項1に記載の空調服。
【請求項3】
前記排気口にフラップまたはフィルターまたはメッシュ生地またはチャックが取り付けられてなる、請求項2に記載の空調服。
【請求項4】
空気流通路用スペーサを有する、請求項1~3のいずれかに記載の空調服。
【請求項5】
空調服が、ワーキングウエア、ベスト、スポーツウエア、消防服、防火服、執務服、防護服、放射線防護服、手術衣、モータースポーツ用レーシングスーツ、高輝度ウエアからなる群より選択されるいずれかである、請求項1~4のいずれかに記載の空調服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効果的に身体を冷却可能な空調服に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外部の空気を取り込むファンを備えてなる空調服が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、かかる空調服において、外部から取り込まれた空気は、身体と空調服との間を経由して袖口や襟口から排気され、身体を冷却する上で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は効果的に身体を冷却可能な空調服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、空調服に裏地を取付け、表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることにより、効果的に身体を冷却することができることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば「外部の空気を取り込むファンを備えてなる空調服であって、空調服が表地と裏地を有しており、空調服の表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることが可能であり、
前記表地および裏地において、タテ方向またはヨコ方向のJIS L1096-2010 8.16.1 B法にて測定した伸び率が1%以上であり、
前記表地および裏地が捲縮繊維を含み、
前記表地が織物組織を有し、前記裏地が織物組織を有し、
前記表地および裏地の目付けが50~250g/m2の範囲内であり、
前記表地において、JIS L1096-1990 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度が300cc/cm2/s以下であり、
かつ前記裏地において、JIS L1096-1990 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度が300cc/cm2/s以下であることを特徴とする空調服。」が提供される。
【0007】
その際、前記表地および/または裏地が排気口を有することが好ましい。また、前記排気口にフラップまたはフィルターまたはメッシュ生地またはチャックが取り付けられていることが好ましい。また、空気流通路用スペーサを有することが好ましい。また、空調服が、空調服が、ワーキングウエア、ベスト、スポーツウエア、消防服、防火服、執務服、防護服、放射線防護服、手術衣、モータースポーツ用レーシングスーツ、高輝度ウエアからなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効果的に身体を冷却可能な空調服が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の空調服の背面を例示する図であり、背部に裏地が縫着され(破線部)、背部にファンと排気口が取り付けられた様子を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明は、外部の空気を取り込むファンを備えてなる空調服であって、空調服が表地と裏地を有しており、空調服の表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることが可能であることを特徴とする空調服である。
【0011】
ここで、前記表地および/または裏地において、目付けが300g/m2以下(好ましくは50~250g/m2)であることが好ましい。該目付けが300g/m2より大きいと、空調服の重量が重くなり着用快適性が低下するおそれがある。逆に、該目付けが50g/m2より小さいと、布帛強度が低下したり、吸水性が低下するおそれがある。
【0012】
また、空調服の表地および/または裏地において、タテ方向またはヨコ方向のJIS L1096-2010 8.16.1 B法にて測定した伸び率が1%以上(より好ましくは10~40%)であることが好ましい。かかる伸び率が1%未満の場合、シワが発生しやすくなり局所的に力がかかり肌を傷つけるおそれがある。
【0013】
また、前記表地および/または裏地が、捲縮繊維または弾性繊維または2成分がサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に貼り合わされた複合繊維を含むとストレッチ性が向上し好ましい。その際、捲縮繊維としては仮撚捲縮加工糸が特に好ましい。弾性繊維としてはポリウレタン繊維やポリエーテルエステル繊維などが好ましい。
【0014】
ここで、仮撚捲縮加工糸には第1ヒーター域で仮撚をセットした、いわゆるone heater仮撚捲縮加工糸と、該糸をさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理した、いわゆるsecond heater仮撚捲縮加工糸とがあり、どちらを用いてもよい。
前記捲縮繊維において、捲縮率が2%以上(より好ましくは10~30%)であることが好ましい。該捲縮率が2%未満では十分なストレッチ性が得られないおそれがある。
【0015】
また、前記捲縮繊維または弾性繊維または2成分がサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に貼り合わされた複合繊維において、単繊維繊度が2.3dtex以下(好ましくは0.00002~2.0dtex、特に好ましくは0.1~2.0dtex)であることが好ましい。該単繊維繊度は小さいほどよく、ナノファイバーと称せられる単繊維径が1000nm以下のものでもよい。また、かかる繊維が、総繊度33~220dtex、フィラメント数50~300本(より好ましくは100~300本)のマルチフィラメントであることが好ましい。
【0016】
また、前記捲縮繊維または弾性繊維または2成分がサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に貼り合わされた複合繊維の単繊維横断面形状としては、通常の丸断面でもよいが、丸断面以外の異型断面形状であってもよい。かかる異型断面形状としては、三角、四角、十字、扁平、くびれ付扁平、H型、W型などが例示される。その際、扁平な断面形状の、長手中心線方向の長さBの、この長手中心線方向に直角をなして交差する方向における最大幅C1に対する比B/C1により表される断面扁平度が2~6(より好ましくは3.1~5.0)の範囲内であることが、布帛のソフト性の点で好ましい。また、その幅の最大値C1の、最小値C2に対する比C1/C2が、1.05~4.00(より好ましくは1.1~1.5)の範囲内であることが、布帛の吸水性の点で好ましい。
【0017】
前記捲縮繊維または弾性繊維または2成分がサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に貼り合わされた複合繊維を構成する繊維としては特に制限されず、ポリエステル繊維、アラミド繊維(メタ系アラミド繊維またはパラ系アラミド繊維)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、さらには、綿、ウール、絹などの天然繊維やこれらを複合したものが使用可能である。特にポリエステル繊維が好ましい。かかるポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2~6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルが好ましい。なかでも、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)またはトリメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリトリメチレンテレフタレート)が特に好ましい。
【0018】
かかるポリエステルには、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよい。その際、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β-ヒドロキシエトキシ安息香酸、p-オキシ安息香酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のごとき芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
【0019】
前記ポリエステルは任意の方法によって合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものでよい。また、前記ポリエステルは、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステル、または、特開2004-270097号公報や特開2004-211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルであってもよい。さらには、ポリ乳酸やステレオコンプレックスポリ乳酸などの生分解性を有するポリエステルでもよい。
【0020】
前記ポリエステルに紫外線吸収剤がポリエステル重量対比0.1重量%以上(好ましくは0.1~5.0重量%)含まれていると、布帛に紫外線遮蔽性が付加され好ましい。かかる紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系有機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系有機紫外線吸収剤、サリチル酸系有機紫外線吸収剤などが例示される。なかでも、紡糸の段階で分解しないという点からベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0021】
かかるベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤としては、特開昭62-11744号公報に開示されたものが好適に例示される。すなわち、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2,2’-エチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレンなどである。
【0022】
また、前記ポリエステルに艶消し剤(二酸化チタン)がポリエステル重量対比0.2重量%以上(好ましくは0.3~2.0重量%)含まれていると、布帛に防透性が付加され好ましい。
【0023】
さらに前記ポリエステルには、必要に応じて、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
【0024】
また、前記複合繊維を構成する2成分としては、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとの組合せ、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとの組合せ、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとの組合せなどが好ましく、2成分をこれらのポリマーで構成することにより、潜在捲縮性を有することになり、布帛に染色加工等の熱処理を施すと潜在捲縮が顕在化する。
【0025】
また、これらの伸縮性を有する繊維を芯部に配し、他の繊維を鞘部に配した芯鞘型複合糸(空気混繊糸、カバリング糸、合撚糸、複合紡績糸など)として布帛に含ませてもよい。
【0026】
前記表地および/または裏地において、布帛の組織は特に限定されず、編物、織物、不織布いずれでもよい。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織を有する織物や、天竺、スムース、フライス、鹿の子、そえ糸編、デンビー、ハーフなどの編組織を有する編物、不織布などが好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。なかでも優れたストレッチ性を得る上で編物が好ましい。特に経編または緯編(丸編)組織を有する編物が好ましい。
【0027】
その際、前記編物において、編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmであることが好ましい。また、前記編物に吸水加工が施されていることが好ましい。布帛に吸水加工が施されることにより、その布帛を含む衣料の吸汗性が向上し、優れた着用快適性が得られる。
【0028】
前記布帛に、防汚剤、常法の染色加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、防蚊剤、防水材、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤、撥水剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0029】
また、前記表地において、JIS L1096-1990 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度が300cc/cm2/s以下(より好ましくは0.001~40cc/cm2/s)であることが好ましい。該通気度が300cc/cm2/sより大きいと空気が表地を通して漏れてしまい、効果的に身体を冷却できないおそれがある。
【0030】
また、前記の裏地において、JIS L1096-1990 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度が300cc/cm2/s以下(より好ましくは0.001~150cc/cm2/s)であることが好ましい。
【0031】
ここで、裏地の通気度は使用態様に応じて適宜選定される。例えば、裏地に排気口を形成する場合は裏地の通気度は低めのほうが好ましい。逆に、裏地に排気口を形成しない場
合は、通気度を高めにし、裏地の生地を通して排気して空気を身体に充てることが好ましい。
【0032】
かかる排気口は裏地および/または表地に形成してもよい。その際、前記排気口にフラップ(開口部を覆う生地)、フィルター、メッシュ生地、チャック(ジッパー)などが取り付けられていてもよい。例えば、排気口を表地にのみ形成すると、異臭や粉じんを含んだ空気が顔にあたらないよう排気することができ好ましい。
【0033】
また、本発明の空調服において、空調服が、ワーキングウエア、ベスト、スポーツウエア、消防服、防火服、執務服、防護服、放射線防護服、手術衣、モータースポーツ用レーシングスーツ、高輝度ウエアからなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。なお、高輝度ウエアとは、蛍光染料または蛍光顔料で着色されてなる蛍光色を有する衣服や再帰反射型反射テープ材部が設けられている衣服などである。
【0034】
なお、特開2005-54299号公報に記載されているように、ファンの電源やファンガードを取付けてもよい。かかるファンは着脱自在としてもよい。さらには、体温などの生体情報を検知してファンの風量や風の方向等を自動制御してもよい。また、国際公開第2007/094130号パンフレットに記載されているように空気流通路用スペーサを備えていることが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
【0036】
(1)捲縮率
供試糸条を、周長が1.125mの検尺機のまわりに巻きつけて、乾繊度が3333dtexのかせを調製した。前記かせを、スケール板の吊り釘に懸垂して、その下部分に6gの初荷重を付加し、さらに600gの荷重を付加したときのかせの長さL0を測定する。その後、直ちに、前記かせから荷重を除き、スケール板の吊り釘から外し、このかせを沸騰水中に30分間浸漬して、捲縮を発現させる。沸騰水処理後のかせを沸騰水から取り出し、かせに含まれる水分をろ紙により吸収除去し、室温において24時間風乾する。この風乾されたかせを、スケール板の吊り釘に懸垂し、その下部分に、600gの荷重をかけ、1分後にかせの長さL1aを測定し、その後かせから荷重を外し、1分後にかせの長さL2aを測定する。供試フィラメント糸条の捲縮率(CP)を、下記式により算出する。
CP(%)=((L1a-L2a)/L0)×100
【0037】
(2)ストレッチ性
JIS L1096-2010 8.16.1 B法にて伸び率を測定した。
【0038】
(3)目付けの測定方法
JIS L1018-1990 6.4により目付け(g/m2)を測定した。
【0039】
(4)カバーファクターCF
下記式により算出した。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
【0040】
(5)通気度
JIS L1096-1990 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した。
【0041】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(56dtex/144fil)を経糸に用い、緯糸としてポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸56dtex/72filを用い、ツイル組織により常法の製織により経密度175本/2.54cm、緯密度134本/2.54cmの織物を得て表地とした。織物のカバーファクターCFは2510であった。また、目付けは76g/m2であった。伸び率は経方向4.3%、緯方向11.5%であった。通気度は10cc/cm2/sであった。
【0042】
一方、ポリエチレンテレフタレートからなる仮撚捲縮加工糸(167dtex/144fil、捲縮率14%)を用い、28Gシングル丸編機を使用して天竺組織の丸編物を編成した。そして、該編物に通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施し裏地とした。かかる編物において、目付け130g/m2、密度42コース/2.54cm、41ウエール/2.54cm、ヨコ方向の伸び率50%であった。120cc/cm2/sであった。
【0043】
次いで、前記表地と裏地を用いて、
図1に示すような空調服(背部に裏地を縫着した。)を縫製した。その際、背部の下方にファンを取付けた。
該空調服を着用したところ、空調服の表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることにより、効果的に身体を冷却することができた。
【0044】
[実施例2]
実施例1において、
図1に示すように表地の背部上方に排気口を1ケ所形成すること以外は実施例1と同様にした。
該空調服を着用したところ、空調服の表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることにより、効果的に身体を冷却することができた。
【0045】
[実施例3]
実施例1において、裏地の上方に排気口を1ケ所形成すること以外は実施例1と同様にした。
該空調服を着用したところ、空調服の表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることにより、効果的に身体を冷却することができた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、効果的に身体を冷却可能な空調服が提供され、その工業的価値は極めて大である。
【符号の説明】
【0047】
1:空調服
2:表地
3:排気口
4:ファン