(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】次亜塩素酸ナトリウム活性化装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/50 20060101AFI20220713BHJP
C02F 1/76 20060101ALI20220713BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220713BHJP
A01N 59/08 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
C02F1/50 531P
C02F1/50 540B
C02F1/50 550H
C02F1/50 550L
C02F1/50 560Z
C02F1/76 A
A01P3/00
A01N59/08 A
(21)【出願番号】P 2018152715
(22)【出願日】2018-08-14
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀樹
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-236556(JP,A)
【文献】特開2004-181445(JP,A)
【文献】特開2003-164883(JP,A)
【文献】特開2007-301479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0200685(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/50
C02F 1/70- 1/78
A01N 1/00- 65/48
A01P 1/00- 23/00
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00- 12/14
A61M 1/00- 1/38
A61M 60/00- 60/90
B01J 4/00- 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液をそれぞれ貯留する次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び酸原液タンクと、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク内の原液及び前記酸原液タンク内の原液を希釈用原水と混合してそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液を生成するために前記各原液を対応の希釈混合手段に送給する次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造と、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液及び前記酸原液、並びに、前記希釈用原水の送給を制御する制御手段と、
を備え、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する次亜塩素酸ナトリウム活性化装置において、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び前記酸原液タンクは、各々、
交換自在とされた開放容器であるメインタンクと、
前記メインタンクの重力方向下方位置に固定して設置され、連通管により前記メインタンクと原液にて連通された密閉容器であるサブタンクと、
を有しており、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び前記酸原液供給配管構造は、各々、
一端が前記サブタンクに接続され、他端は前記希釈混合手段に接続された原液送給管路と、
前記原液送給管路に設置された送液ポンプと、
前記送液ポンプの下流側にて前記原液送給管路に一端が接続され、他端は前記原液タンクの前記メインタンクに接続され、前記原液送給管路を流動する原液を前記メインタンクに還流することのできる原液還流管路と、
前記原液還流管路に設置された還流送液ポンプと、
を有し、
前記制御手段は、
前記各原液タンクから前記各原液供給配管構造を介して前記希釈混合手段へと原液を送給して前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を生成し、前記両希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常動作モード、
交換された新品のメインタンクを使用可能状態とするメインタンク交換動作モード、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路に設置した前記送液ポンプに発生したエアロックを解除するためのエアロック解除動作モード、又は、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの蓄積を防止するためのスラッジ除去動作モード、
による運転を可能と
し、
前記原液タンクの前記メインタンク内の原液が消費されたことを検知するタンク残量検知手段を前記サブタンクに設け、
前記制御手段は、前記タンク残量検知手段が前記原液タンク内の原液が消費されたことを検知すると、前記通常動作モードによる運転を停止し、交換された前記新品のメインタンクに対する前記メインタンク交換動作モードによる運転を開始し、前記タンク残量検知手段が前記新品のメインタンクの使用が可能となったことを検知すると、前記メインタンク交換動作モードによる運転を終了し、前記通常動作モードによる運転を再開する、
ことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム活性化装置。
【請求項2】
次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液をそれぞれ貯留する次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び酸原液タンクと、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク内の原液及び前記酸原液タンク内の原液を希釈用原水と混合してそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液を生成するために前記各原液を対応の希釈混合手段に送給する次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造と、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液及び前記酸原液、並びに、前記希釈用原水の送給を制御する制御手段と、
を備え、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する次亜塩素酸ナトリウム活性化装置において、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び前記酸原液タンクは、各々、
交換自在とされた開放容器であるメインタンクと、
前記メインタンクの重力方向下方位置に固定して設置され、連通管により前記メインタンクと原液にて連通された密閉容器であるサブタンクと、
を有しており、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び前記酸原液供給配管構造は、各々、
一端が前記サブタンクに接続され、他端は前記希釈混合手段に接続された原液送給管路と、
前記原液送給管路に設置された送液ポンプと、
前記送液ポンプの下流側にて前記原液送給管路に一端が接続され、他端は前記原液タンクの前記メインタンクに接続され、前記原液送給管路を流動する原液を前記メインタンクに還流することのできる原液還流管路と、
前記原液還流管路に設置された還流送液ポンプと、
を有し、
前記制御手段は、
前記各原液タンクから前記各原液供給配管構造を介して前記希釈混合手段へと原液を送給して前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を生成し、前記両希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常動作モード、
交換された新品のメインタンクを使用可能状態とするメインタンク交換動作モード、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路に設置した前記送液ポンプに発生したエアロックを解除するためのエアロック解除動作モード、又は、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの蓄積を防止するためのスラッジ除去動作モード、
による運転を可能とし、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液を前記希釈用原水と混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液を生成する前記希釈混合手段に濃度センサを設け、
前記制御手段は、前記濃度センサにより前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度が設定値を外れていることを検知すると、前記通常動作モードによる運転を停止し、前記エアロック解除動作モードによる運転を所定時間実施し、前記濃度センサが次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度が設定値となったことを検知すると、前記エアロック解除動作モードによる運転を終了して前記通常動作モードによる運転を行
う、
ことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム活性化装置。
【請求項3】
次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液をそれぞれ貯留する次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び酸原液タンクと、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク内の原液及び前記酸原液タンク内の原液を希釈用原水と混合してそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液を生成するために前記各原液を対応の希釈混合手段に送給する次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造と、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液及び前記酸原液、並びに、前記希釈用原水の送給を制御する制御手段と、
を備え、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する次亜塩素酸ナトリウム活性化装置において、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び前記酸原液タンクは、各々、
交換自在とされた開放容器であるメインタンクと、
前記メインタンクの重力方向下方位置に固定して設置され、連通管により前記メインタンクと原液にて連通された密閉容器であるサブタンクと、
を有しており、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び前記酸原液供給配管構造は、各々、
一端が前記サブタンクに接続され、他端は前記希釈混合手段に接続された原液送給管路と、
前記原液送給管路に設置された送液ポンプと、
前記送液ポンプの下流側にて前記原液送給管路に一端が接続され、他端は前記原液タンクの前記メインタンクに接続され、前記原液送給管路を流動する原液を前記メインタンクに還流することのできる原液還流管路と、
前記原液還流管路に設置された還流送液ポンプと、
を有し、
前記制御手段は、
前記各原液タンクから前記各原液供給配管構造を介して前記希釈混合手段へと原液を送給して前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を生成し、前記両希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常動作モード、
交換された新品のメインタンクを使用可能状態とするメインタンク交換動作モード、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路に設置した前記送液ポンプに発生したエアロックを解除するためのエアロック解除動作モード、又は、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの蓄積を防止するためのスラッジ除去動作モード、
による運転を可能とし、
前記制御手段は、前記通常動作モードによる運転を開始した後、所定時間毎に前記通常動作モードによる運転を停止し、前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの貯留を防止するための前記スラッジ除去動作モードによる運転を所定時間実施し、その後、前記スラッジ除去動作モードによる運転を終了して前記通常動作モードによる運転を再開す
る、
ことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム活性化装置。
【請求項4】
前記サブタンクには、一端が前記サブタンクに開口して取り付けられ、他端が上方に延在して泡消しチャンバ及びエアー抜き弁を介して排出容器に開口しているエアー抜き管を備えていることを特徴とする請求項1~
3のいずれかの項に記載の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置。
【請求項5】
前記原液送給管路は、前記送液ポンプの下流側に原液を前記原液還流管路へと分流するための流路分岐部を有し、前記流路分岐部と前記希釈混合手段との間に,前記希釈混合手段から前記原液送給管路への液体の流入を防止する逆止弁を設
け、
前記原液還流管路は、前記還流送液ポンプと前記流路分岐部との間に電磁弁を設けたことを特徴とする請求項1~
4のいずれかの項に記載の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置。
【請求項6】
前記還流送液ポンプは、前記送液ポンプよりも吐出量、吸込量が大とされることを特徴とする請求項1~
5のいずれかの項に記載の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置。
【請求項7】
次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液をそれぞれ貯留する次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び酸原液タンクと、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク内の原液及び前記酸原液タンク内の原液を希釈用原水と混合してそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液を生成するために前記各原液を対応の希釈混合手段に送給する次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造と、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液及び前記酸原液、並びに、前記希釈用原水の送給を制御する制御手段と、
を備え、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する次亜塩素酸ナトリウム活性化装置において、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び前記酸原液タンクは、各々、
交換自在とされた開放容器であるメインタンクと、
前記メインタンクの重力方向下方位置に固定して設置され、連通管により前記メインタンクと原液にて連通された密閉容器であるサブタンクと、
を有しており、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び前記酸原液供給配管構造は、各々、
一端が前記サブタンクに接続され、他端は前記希釈混合手段に接続された原液送給管路と、
前記原液送給管路に設置された送液ポンプと、
前記送液ポンプの下流側にて前記原液送給管路に一端が接続され、他端は前記原液タンクの前記メインタンクに接続され、前記原液送給管路を流動する原液を前記メインタンクに還流することのできる原液還流管路と、
前記原液還流管路に設置された還流送液ポンプと、
を有し、
前記制御手段は、
前記各原液タンクから前記各原液供給配管構造を介して前記希釈混合手段へと原液を送給して前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を生成し、前記両希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常動作モード、
交換された新品のメインタンクを使用可能状態とするメインタンク交換動作モード、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路に設置した前記送液ポンプに発生したエアロックを解除するためのエアロック解除動作モード、又は、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの蓄積を防止するためのスラッジ除去動作モード、
による運転を可能とし、
前記還流送液ポンプは、前記送液ポンプよりも吐出量、吸込量が大とされ
る、
ことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム活性化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、食品加工、農水産業、医療など様々の分野における各種機器或いは食料品を汚染する微生物の殺菌、消毒、洗浄をするために利用することのできる次亜塩素酸ナトリウム活性水(以下、単に「活性水」ということもある。)を製造するための次亜塩素酸ナトリウム活性化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、医療分野において、血液透析用機器の殺菌、消毒、洗浄のために、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置にて次亜塩素酸ナトリウムに、酢酸などの酸を添加して作製された次亜塩素酸ナトリウム活性水を使用することが行われている。
【0003】
現在、透析施設においては、例えば、
図6に示すような、少なくとも2人以上、通常、20人から50人程度の多くの患者に対して同時に透析治療ができるようにした透析液供給システム100が採用されている。
【0004】
本例における透析液供給システム100について説明すると、多人数用透析液供給装置110は、エンドトキシンフィルタ120を備えた多人数用透析液配管130により同時に、患者のベッドサイドに患者毎に設置された透析用監視装置140へと透析液を供給する。患者のベッドサイドに配置された透析用監視装置140は、透析器が接続されており、透析器に透析液を供給すると共に、透析器の監視を行っている。
【0005】
透析液供給システム100は、RO装置(逆浸透法精製水製造装置)60、粉末溶解装置70(例えば、A剤溶解装置70a、B剤溶解装置70b)、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置(消毒液作製装置)1などを備えており、各装置が連携して動作している。透析液供給システム100を構成する諸装置は、頻繁に殺菌、消毒、洗浄等が行われている。
【0006】
つまり、多人数用透析液供給装置110は、RO装置60と粉末溶解装置70(A剤溶解装置70a、B剤溶解装置70b)を作動させることにより、透析液を多人数用透析液配管130に送給し、また、必要に応じて、RO装置60と次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1を作動して逆浸透水(RO水)、活性水等を多人数用透析液配管130内へと送給して多人数用透析液配管130に接続された透析用監視装置140内の殺菌、消毒、洗浄(以下、単に「殺菌」、「消毒」、又は、「洗浄」ということもある。)等を行う。
【0007】
次亜塩素酸ナトリウム活性化装置は、例えば、特許文献1、2、3などにその構成、機能などが記載されているが、透析施設において使用されている一般的な次亜塩素酸ナトリウム活性化装置を、本願に添付した
図7を参照して説明する。
【0008】
次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1は、希釈用原水(通常、「RO水」が使用されるので、以下、「RO水」ということもある。)を供給するRO装置60から装置内にRO水を取り込み、次亜塩素酸ナトリウムが活性化されて殺菌力が増強した活性水(次亜塩素酸ナトリウム活性水)を調製する。
【0009】
つまり、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1には、RO装置60からのRO水がRO水供給管路61に接続されたRO水供給流路L1を介して次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1内へと供給される。RO水供給流路L1には電磁弁31が設けられ、この電磁弁31の開閉によってRO水の供給が制御される。電磁弁31の開閉は、通常、制御手段としての制御装置(制御回路)200に操作部(図示せず)から作業者の指示が入力されることによって、制御装置200により行われる。又、制御装置200が次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の異常を検知した場合には電磁弁31が閉じられ、RO水の供給が停止される。
【0010】
RO水供給流路L1の下流側は、第1、第2の方向へと分岐され、それぞれ、RO水流量調整手段としての第1、第2の定流量弁2、3を介して、第1、第2の希釈混合手段としての、第1、第2混合器7、11を備えた次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路(第1の希釈混合流路)L2、酸希釈混合流路(第2の希釈混合流路)L3へとRO水が供給される。
【0011】
第1の希釈混合流路L2への次亜塩素酸ナトリウム原液の供給は、第1の定流量弁2の下流に位置して設けられた第1の注入部4にて行われている。つまり、この第1の注入部4において、次亜塩素酸ナトリウム添加手段として第1の原液タンク5から第1の送液ポンプ6により次亜塩素酸ナトリウム原液が希釈用原水であるRO水流中に注入される。第1の送液ポンプ6は、制御装置200の制御により作動し、次亜塩素酸ナトリウム原液の注入量が調整される。
【0012】
希釈用RO水中に注入された次亜塩素酸ナトリウム原液は、第1の注入部4より下流に設けられた第1の混合器7にて十分に希釈用RO水と撹拌混合される。例えば、次亜塩素酸ナトリウム原液の濃度は6w/w%であり、そのpHは12.4とされる。また、第1の混合器7の下流側に、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度を検知するための濃度センサ(例えば、導電率センサ)13が設置されている。
【0013】
第2の希釈混合流路L3には、第2の定流量弁3の下流に位置して第2の注入部8が設けられている。この第2の注入部8において、酸添加手段として第2の原液タンク9から第2の送液ポンプ10により酸原液が希釈用原水であるRO水流中に注入される。第2の送液ポンプ10は、第1の送液ポンプ6と同様、制御装置200の制御により作動し、酸原液の注入量が調整される。pH調整用の酸としては酢酸が好ましく、従って、以下単に「酢酸」ということもある。例えば、酸原液として濃度30w/w%の酢酸を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0014】
希釈用RO水中に注入された酢酸は、第2の注入部8より下流に設けられた第2の混合器11にて十分に希釈用RO水と撹拌混合される。例えば、酸原液の供給量は、活性水貯留槽20に設置されたpHセンサ21により、活性水SのpHが検知され、酸の供給量が制御される。
【0015】
混合器7、11を通過した次亜塩素酸ナトリウム希釈液流及び酸希釈液流は、更に下流側にて合流し、両希釈液の混合手段としての第3の混合器12を備えた希釈液混合流路L4に導入され、十分に撹拌混合される。
【0016】
上述のように、各々単独で希釈用RO水中に希釈混合された次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合することによって、最終的に生成される活性水Sの次亜塩素酸ナトリウム濃度が10ppm、pHが5.0となるように設定されている。このようにして次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1により作製された活性水Sは活性水送出流路L5、電磁弁32を介して、また、RO装置60からのRO水はRO水供給管路61、電磁弁62を介して、多人数用透析液供給装置110に送給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2001-321778号公報
【文献】特開2004-351037号公報
【文献】特開2003-236556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記構成の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1における、薬液(次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液)タンクから希釈混合流路に至る配管構成の一例について説明する。従来、原液タンク5、9は、上記特許文献3にも記載されるように、又、本願添付の
図7に図示するように、利用上の便宜さから交換自在に装置に設置された開放容器である大容量のメインタンク5a、9aと、このメインタンク5a、9aの重力方向下方位置に固定して設置された密閉容器であるサブタンク5b、9bとを有している。
【0019】
原液タンク5、9から希釈混合流路L2、L3に至る原液の供給配管構造50(50A、50B)は、同じ構成とされるので、
図8を参照して次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5から希釈混合流路L2に至る次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造50Aについて説明する。
【0020】
次亜塩素酸ナトリウム原液のための第1の原液タンク5を構成するメインタンク5aとサブタンク5bは、連通管(所謂、サイホン管)41により接続されている。連通管41の一端41aは、メインタンク5aの上部開口5a1からタンク内へと挿入して取付具5a2にてメインタンク5aに着脱自在に取付けられている。また、連通管41の他端41bは、サブタンク5bに挿入され、第1の取付部5b1によりサブタンク5bの上部に気密、液密に取り付けられている。
【0021】
更に、サブタンク5bには、第2の取付部5b2によりエアー抜き管42の一端42aが気密、液密に取り付けられ、また、他端42bは、上方へと延在して、泡消しチャンバ43及びエアー抜き弁(電磁弁)44を介して排出容器45に開口している。
【0022】
斯かる構成にて、連通管41によりメインタンク5aとサブタンク5bとは原液で連通しており、メインタンク5a内の原液はサイホンの原理により連通管41にてサブタンク5bへと供給され、従って、サブタンク5b内は原液で充満され、サブタンク5bの液面は、エアー抜き管42を上昇してメインタンク5aの液面と同じ液面Hに維持されている。
【0023】
上記構成にて、サブタンク5b内の原液は、送液ポンプ6を備えた原液送給管路51を有する原液供給配管構造50Aにより、注入部4にて希釈混合流路L2に所定量の原液が注入される。従って、メインタンク5aからは、サブタンク5bにて消費された量の原液が連通管41を通して自動的に補給される。メインタンク5aからの原液に空気が含まれている場合には、斯かる空気は、エアー抜き管42を介して排気される。斯かる次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造50Aの構成は、酸原液タンク9に対する酸希釈混合流路L3に至る酸原液供給配管構造50B(
図7参照)に対しても同様に採用されている。
【0024】
上記構成の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1においては、メインタンク5a(9a)内の原液が消費されて枯渇すると、次いで、サブタンク5b(9b)内の原液が徐々に消費されてくる。サブタンク5b(9b)の残量が所定量以下となると、サブタンク5b(9b)に設置された残量検知手段、例えば、フロートスイッチ46が作動して、原液が消費されたメインタンク5a(9a)を新しいタンクに交換することが必要であることを制御装置200に送信する。制御装置200は、このことを操作部のディスプレーに表示したり、スピーカにより警報を発する。
【0025】
従来、次亜塩素酸ナトリウム原液、酸原液などのメインタンクの交換作業は、メインタンクを新しいタンクに交換した後、新品のメインタンクをサブタンクと連通管41にて連通させる作業が必要となる。そのために、古いメインタンクから連通管41の一端41aを取り外し、この取り外した連通管の一端41aを新品のメインタンクに挿入し、その後、サイホンの原理を利用するため連通管41の内部を原液で満たし、メインタンク内の原液をサブタンク内へと連通させる作業が必要である。新品のメインタンクとサブタンクとを原液で連通状態とする作業は、煩雑で、時間を要した。更に、従来の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1は、次のような問題も有していた。
【0026】
特に、上記構成の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造50Aにおいては、メインタンク5a内に次亜塩素酸ナトリウム原液が十分に存在しているにも拘らず、原液供給配管構造50Aに異常が生じて、所定量の原液の供給が行われず、結果として、活性水の次亜塩素酸ナトリウム濃度、pHが設定値に適合しなくなることがあった。
【0027】
特に、監視者による監視が行われていない夜間においては、透析液供給システム100は、自動運転によりRO装置60及び次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1からそれぞれRO水及び次亜塩素酸ナトリウム活性水の供給を受けて、透析用監視装置140内に設置されている配管、機器等の洗浄、消毒、殺菌が行われている。従って、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1が生成する活性水の濃度、pH値が設定値を外れた場合には、透析用監視装置140内の洗浄、消毒、殺菌等が不可或いは不十分とされる。また、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の作動が停止した場合などには、監視者がいない夜間時の消毒作業等は中断されたままとなり、時間の浪費となる。
【0028】
本発明者の研究、実験によると、上述のような原液供給配管構造50Aの異常は、次のようなことが原因であることが分かった。
【0029】
つまり、原液供給配管構造50Aに設置された送液ポンプ6として、通常、ダイヤフラム式のポンプが使用されており、また、次亜塩素酸ナトリウムは、原液送給管路51を流動中に分解してガスが発生し易いという特性があり、そのため、送液ポンプ6にエアロックが発生することがある。エアロックが発生すると、ポンプは機能しなくなり、送液ポンプ6による原液の希釈混合流路L2への供給は停止するか、又は極めて少量となる。
【0030】
更には、次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5から希釈混合流路L2への原液送給管路51においては、炭酸カルシウム、食塩、錆などがスラッジとして蓄積される傾向があり、このスラッジにより、原液タンクから希釈混合流路への原液の供給が少なくなったり、或いは、最悪時には停止することとなる。この場合には、当然に、活性水の次亜塩素酸ナトリウム濃度、pHが設定値に適合しなくなる。
【0031】
そこで、本発明の目的は、上記諸問題を解決した次亜塩素酸ナトリウム活性化装置を提供することである。
【0032】
つまり、本発明の目的は、
(1)次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液を貯留したメインタンクの交換を容易とし、
(2)送液ポンプに発生したエアロック、或いは、原液送給管路内にスラッジが蓄積されることによる次亜塩素酸ナトリウム活性化装置の不測の作動停止を回避する、
ことのできる次亜塩素酸ナトリウム活性化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記目的は本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置にて達成される。要約すれば、本発明は、第1の態様によると、
次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液をそれぞれ貯留する次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び酸原液タンクと、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク内の原液及び前記酸原液タンク内の原液を希釈用原水と混合してそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液を生成するために前記各原液を対応の希釈混合手段に送給する次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造と、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液及び前記酸原液、並びに、前記希釈用原水の送給を制御する制御手段と、
を備え、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する次亜塩素酸ナトリウム活性化装置において、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び前記酸原液タンクは、各々、
交換自在とされた開放容器であるメインタンクと、
前記メインタンクの重力方向下方位置に固定して設置され、連通管により前記メインタンクと原液にて連通された密閉容器であるサブタンクと、
を有しており、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び前記酸原液供給配管構造は、各々、
一端が前記サブタンクに接続され、他端は前記希釈混合手段に接続された原液送給管路と、
前記原液送給管路に設置された送液ポンプと、
前記送液ポンプの下流側にて前記原液送給管路に一端が接続され、他端は前記原液タンクの前記メインタンクに接続され、前記原液送給管路を流動する原液を前記メインタンクに還流することのできる原液還流管路と、
前記原液還流管路に設置された還流送液ポンプと、
を有し、
前記制御手段は、
前記各原液タンクから前記各原液供給配管構造を介して前記希釈混合手段へと原液を送給して前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を生成し、前記両希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常動作モード、
交換された新品のメインタンクを使用可能状態とするメインタンク交換動作モード、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路に設置した前記送液ポンプに発生したエアロックを解除するためのエアロック解除動作モード、又は、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの蓄積を防止するためのスラッジ除去動作モード、
による運転を可能とし、
前記原液タンクの前記メインタンク内の原液が消費されたことを検知するタンク残量検知手段を前記サブタンクに設け、
前記制御手段は、前記タンク残量検知手段が前記原液タンク内の原液が消費されたことを検知すると、前記通常動作モードによる運転を停止し、交換された前記新品のメインタンクに対する前記メインタンク交換動作モードによる運転を開始し、前記タンク残量検知手段が前記新品のメインタンクの使用が可能となったことを検知すると、前記メインタンク交換動作モードによる運転を終了し、前記通常動作モードによる運転を再開する、
ことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム活性化装置が提供される。
【0035】
本発明の第2の態様によると、次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液をそれぞれ貯留する次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び酸原液タンクと、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク内の原液及び前記酸原液タンク内の原液を希釈用原水と混合してそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液を生成するために前記各原液を対応の希釈混合手段に送給する次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造と、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液及び前記酸原液、並びに、前記希釈用原水の送給を制御する制御手段と、
を備え、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する次亜塩素酸ナトリウム活性化装置において、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び前記酸原液タンクは、各々、
交換自在とされた開放容器であるメインタンクと、
前記メインタンクの重力方向下方位置に固定して設置され、連通管により前記メインタンクと原液にて連通された密閉容器であるサブタンクと、
を有しており、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び前記酸原液供給配管構造は、各々、
一端が前記サブタンクに接続され、他端は前記希釈混合手段に接続された原液送給管路と、
前記原液送給管路に設置された送液ポンプと、
前記送液ポンプの下流側にて前記原液送給管路に一端が接続され、他端は前記原液タンクの前記メインタンクに接続され、前記原液送給管路を流動する原液を前記メインタンクに還流することのできる原液還流管路と、
前記原液還流管路に設置された還流送液ポンプと、
を有し、
前記制御手段は、
前記各原液タンクから前記各原液供給配管構造を介して前記希釈混合手段へと原液を送給して前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を生成し、前記両希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常動作モード、
交換された新品のメインタンクを使用可能状態とするメインタンク交換動作モード、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路に設置した前記送液ポンプに発生したエアロックを解除するためのエアロック解除動作モード、又は、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの蓄積を防止するためのスラッジ除去動作モード、
による運転を可能とし、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液を前記希釈用原水と混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液を生成する前記希釈混合手段に濃度センサを設け、
前記制御手段は、前記濃度センサにより前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度が設定値を外れていることを検知すると、前記通常動作モードによる運転を停止し、前記エアロック解除動作モードによる運転を所定時間実施し、前記濃度センサが次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度が設定値となったことを検知すると、前記エアロック解除動作モードによる運転を終了して前記通常動作モードによる運転を行う、
ことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム活性化装置が提供される。
【0036】
本発明の第3の態様によると、次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液をそれぞれ貯留する次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び酸原液タンクと、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク内の原液及び前記酸原液タンク内の原液を希釈用原水と混合してそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液を生成するために前記各原液を対応の希釈混合手段に送給する次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造と、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液及び前記酸原液、並びに、前記希釈用原水の送給を制御する制御手段と、
を備え、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する次亜塩素酸ナトリウム活性化装置において、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び前記酸原液タンクは、各々、
交換自在とされた開放容器であるメインタンクと、
前記メインタンクの重力方向下方位置に固定して設置され、連通管により前記メインタンクと原液にて連通された密閉容器であるサブタンクと、
を有しており、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び前記酸原液供給配管構造は、各々、
一端が前記サブタンクに接続され、他端は前記希釈混合手段に接続された原液送給管路と、
前記原液送給管路に設置された送液ポンプと、
前記送液ポンプの下流側にて前記原液送給管路に一端が接続され、他端は前記原液タンクの前記メインタンクに接続され、前記原液送給管路を流動する原液を前記メインタンクに還流することのできる原液還流管路と、
前記原液還流管路に設置された還流送液ポンプと、
を有し、
前記制御手段は、
前記各原液タンクから前記各原液供給配管構造を介して前記希釈混合手段へと原液を送給して前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を生成し、前記両希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常動作モード、
交換された新品のメインタンクを使用可能状態とするメインタンク交換動作モード、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路に設置した前記送液ポンプに発生したエアロックを解除するためのエアロック解除動作モード、又は、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの蓄積を防止するためのスラッジ除去動作モード、
による運転を可能とし、
前記制御手段は、前記通常動作モードによる運転を開始した後、所定時間毎に前記通常動作モードによる運転を停止し、前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの貯留を防止するための前記スラッジ除去動作モードによる運転を所定時間実施し、その後、前記スラッジ除去動作モードによる運転を終了して前記通常動作モードによる運転を再開する、
ことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム活性化装置が提供される。
【0037】
本発明の一実施態様によると、前記サブタンクには、一端が前記サブタンクに開口して取り付けられ、他端が上方に延在して泡消しチャンバ及びエアー抜き弁を介して排出容器に開口しているエアー抜き管を備えている。
【0038】
本発明の他の施態様によると、前記原液送給管路は、前記送液ポンプの下流側に原液を前記原液還流管路へと分流するための流路分岐部を有し、前記流路分岐部と前記希釈混合手段との間に,前記希釈混合手段から前記原液送給管路への液体の流入を防止する逆止弁を設け、
前記原液還流管路は、前記還流送液ポンプと前記流路分岐部との間に電磁弁を設ける。
【0039】
本発明の他の実施態様によると、前記還流送液ポンプは、前記送液ポンプよりも吐出量、吸込量が大とされる。
本発明の第4の態様によると、次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液をそれぞれ貯留する次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び酸原液タンクと、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク内の原液及び前記酸原液タンク内の原液を希釈用原水と混合してそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液を生成するために前記各原液を対応の希釈混合手段に送給する次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造と、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液及び前記酸原液、並びに、前記希釈用原水の送給を制御する制御手段と、
を備え、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する次亜塩素酸ナトリウム活性化装置において、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液タンク及び前記酸原液タンクは、各々、
交換自在とされた開放容器であるメインタンクと、
前記メインタンクの重力方向下方位置に固定して設置され、連通管により前記メインタンクと原液にて連通された密閉容器であるサブタンクと、
を有しており、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び前記酸原液供給配管構造は、各々、
一端が前記サブタンクに接続され、他端は前記希釈混合手段に接続された原液送給管路と、
前記原液送給管路に設置された送液ポンプと、
前記送液ポンプの下流側にて前記原液送給管路に一端が接続され、他端は前記原液タンクの前記メインタンクに接続され、前記原液送給管路を流動する原液を前記メインタンクに還流することのできる原液還流管路と、
前記原液還流管路に設置された還流送液ポンプと、
を有し、
前記制御手段は、
前記各原液タンクから前記各原液供給配管構造を介して前記希釈混合手段へと原液を送給して前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び前記酸希釈液を生成し、前記両希釈液を混合して次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常動作モード、
交換された新品のメインタンクを使用可能状態とするメインタンク交換動作モード、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路に設置した前記送液ポンプに発生したエアロックを解除するためのエアロック解除動作モード、又は、
前記次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の前記原液送給管路におけるスラッジの蓄積を防止するためのスラッジ除去動作モード、
による運転を可能とし、
前記還流送液ポンプは、前記送液ポンプよりも吐出量、吸込量が大とされる、
ことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム活性化装置が提供される。
【発明の効果】
【0040】
本発明の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置によれば、
(1)次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液を貯留するメインタンクの交換を容易とし、
(2)送液ポンプに発生したエアロック、或いは、原液送給管路内にスラッジが蓄積されることによる次亜塩素酸ナトリウム活性化装置の不測の作動停止を回避する、
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1(a)、(b)は、それぞれ、本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置における次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造及び酸原液供給配管構造の一実施例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2(a)、(b)は、それぞれ、本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置の原液タンク内の原液が消費された時の状態及びメインタンクを交換した時の状態を示す次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の一実施例を示す概略構成図である。
【
図3】本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置のメインタンク交換動作モードの作動態様を説明する一実施例のフロー図である。
【
図4】本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置のエアロック解除動作モードの作動態様を説明する一実施例のフロー図である。
【
図5】本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置のスラッジ除去動作モードの作動態様を説明する一実施例のフロー図である。
【
図6】本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置が使用される透析液供給システムの一実施例を示す概略構成図である。
【
図7】従来の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置の一例を示す概略構成図である。
【
図8】従来の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置の次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0043】
実施例1
本発明に係る次亜塩素酸ナトリウム活性化装置は、全体構成及び機能においては、先に
図7、
図8を参照して説明した従来の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1と同様とされ、本発明の特徴構成は、薬液(次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液)タンク5、9から希釈混合流路L2、L3に至る原液供給配管構造50(50A、50B)の構成、機能、及び、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の作動態様にある。従って、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の全体の構成、機能についての説明は
図7、
図8を参照してなした上記説明を援用し、以下、
図1(a)、(b)~
図5を参照して、本発明の特徴をなす薬液(次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液)タンク5、9から希釈混合手段としての希釈混合流路L2、L3に至る原液供給配管構造50(50A、50B)の構成、機能、及び、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の作動態様について詳しく説明する。
【0044】
本実施例の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1において、次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液の原液タンク5、9は、開放容器である大容量のメインタンク5a、9aと、このメインタンク5a、9aの重力方向下方位置に固定して設置された密閉容器であるサブタンク5b、9bとを有している。また、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1において、次亜塩素酸ナトリウム原液及び酸原液の原液タンク5、9から希釈混合流路L2、L3に至る次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造50A及び酸原液供給配管構造50Bは、同じ構成とされるので、先ず、
図1(a)を参照して次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5から希釈混合流路L2に至る次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造50Aについて説明する。
【0045】
(次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造50A)
本実施例の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1においても従来の装置と同様に、次亜塩素酸ナトリウム原液のための次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5を構成するメインタンク5aとサブタンク5bは、連通管(サイホン管)41により接続されている。連通管41の一端41aは、メインタンク5aの上部開口5a1からタンク内へと挿入して取付具5a2にてメインタンク5aに着脱自在に取付けられている。また、連通管41の他端41bは、サブタンク5bに挿入され、第1の取付部5b1によりサブタンク5bの上部に気密、液密に取り付けられている。
【0046】
更に、サブタンク5bには、第2の取付部5b2によりエアー抜き管42の一端42aがサブタンク5b内に開口して気密、液密に取り付けられ、また、他端42bは、上方へと延在して泡消しチャンバ43及びエアー抜き弁44を介して排出容器45に開口している。
【0047】
斯かる構成にて、連通管41によりサイホンの原理にてメインタンク5aとサブタンク5bとは原液で連通しており、メインタンク5a内の原液はサブタンク5bへと供給され、サブタンク5b内は原液で充満され、サブタンク5bの液面は、エアー抜き管42を上昇してメインタンク5aの液面と同じ液面Hを維持している。斯かる構成は、従来と同様とされ、サブタンク5b内の原液は、原液送給管路51に設置された送液ポンプ6により、希釈混合流路L2に所定量にて注入される。
【0048】
ここで、本発明の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の原液供給配管構造50Aによれば、原液送給管路51には、送液ポンプ6と、原液の希釈混合流路L2への注入部4との間に、流路分岐部52と、逆止弁56とが直列に配置されている。更に、流路分岐部52と、メインタンク5aとの間に原液還流管路53が設けられる。原液還流管路53の流入口53aは、流路分岐部52に接続され、原液還流管路53の流出口53bは、メインタンク5aの上部開口5a1からタンク内へと挿入して取付具5a2にてメインタンク5aに取付けられている。原液還流管路53には、流入口53aから流出口53bへと直列に電磁弁54、還流送液ポンプ55が設置されている。還流送液ポンプ55としては、本実施例では、エアロックに強いという理由からペリスタルチックポンプ(蠕動ポンプ)を使用したが、これに限定されるものではない。ただ、本実施例では、還流送液ポンプ55は、送液ポンプ6よりもポンプ性能(吐出量、吸込量)が大とされることが重要で、例えば、還流送液ポンプ55の吐出量、吸込量は、送液ポンプ6の2~50倍程度とするのが好ましい。本実施例では、還流送液ポンプ55としては、株式会社ウエルコ製の商品名「チューブポンプWP1000」を使用した。このポンプ55の吐出量、吸込量は、それぞれ、700mL/分であった。また、送液ポンプ6としては、株式会社イワキ製の商品名「イワキ電磁定量ポンプEHN-B11VC1R」を使用した。このポンプ6の吐出量、吸込量は、それぞれ、27cc/分であった。
【0049】
(酸原液供給配管構造50B)
次に、
図1(b)を参照して酸原液タンク9から希釈混合流路L3に至る酸原液供給配管構造50Bについて説明する。上述したように、本実施例にて、酸原液タンク9から希釈混合流路L3に至る原液供給配管構造50Bは、上述の
図1(a)を参照して説明した次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5から希釈混合流路L2に至る原液供給配管構造50Aと同様の構成とされる。
【0050】
つまり、本実施例の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1において、酸原液のための第2の原液タンク9を構成するメインタンク9aとサブタンク9bは、連通管41(サイホン管)により接続されている。連通管41の一端41aは、メインタンク9aの上部開口9a1からタンク内へと挿入して取付具9a2にてメインタンク9aに着脱自在に取付けられている。また、連通管41の他端41bは、サブタンク9bに挿入され、第1の取付部9b1によりサブタンク9bの上部に気密、液密に取り付けられている。
【0051】
更に、サブタンク9bには、第2の取付部9b2によりエアー抜き管42の一端42aが気密、液密に取り付けられ、また、他端42bは、上方へと延在して、泡消しチャンバ43及びエアー抜き弁44を介して排出容器45に開口している。
【0052】
斯かる構成にて、連通管41によりサイホンの原理によりメインタンク9aとサブタンク9bとは原液で連通しており、メインタンク9a内の原液はサブタンク9bへと供給され、サブタンク9b内は原液で充満され、サブタンク9bの液面は、エアー抜き管42を上昇してメインタンク9aの液面と同じ液面Hを維持している。サブタンク9b内の原液は、原液送給管路51に設置された送液ポンプ10により、希釈混合流路L3に所定量にて注入される。
【0053】
ここで、本発明の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の原液供給配管構造50Bは、原液供給配管構造50Aと同様に、原液送給管路51には、送液ポンプ10と、原液の希釈混合流路L3への注入部8との間に、流路分岐部52と、逆止弁56とが直列に配置されている。更に、流路分岐部52と、メインタンク9aとの間に原液還流管路53が設けられる。原液還流管路53の流入口53aは、流路分岐部52に接続され、原液還流管路53の流出口53bは、メインタンク9aの上部開口9a1からタンク内へと挿入して取付具9a2にてメインタンク9aに取付けられている。原液還流管路53には、流入口53aから流出口53bへと直列に電磁弁54、還流送液ポンプ55が設置されている。
【0054】
原液供給配管構造50Bにおける還流送液ポンプ55及び送液ポンプ10は、上記原液供給配管構造50Aにおける還流送液ポンプ55及び送液ポンプ6と同様の構成とすることができる。
【0055】
(次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の作動態様)
次に、上記特徴ある原液供給配管構造50(50A、50B)を有した次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の作動態様の一実施例について説明する。
図3~
図5に、本実施例における次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の作動態様の概略をフロー図で示すが、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の作動態様は、これらフロー図に示す態様に限定されるものではない。これらのフローに従う動作は、制御手段としての制御装置200の制御により実行される。
【0056】
1.活性水生成のための通常動作モード及び原液タンクの交換時のメインタンク交換動作モード
本実施例の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1における次亜塩素酸ナトリウム活性水を製造する通常の動作モードによる作動態様と、原液タンク交換時のメインタンク交換動作モードによる作動態様について説明する。なお、原液供給配管構造50(50A、50B)における原液タンク5、9のメインタンク5a、9aの交換時の作動態様は同じとされるので、以下に、次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造50Aにおける原液タンク5のメインタンク5aの交換時の作動態様について、
図1(a)、
図2(a)、(b)、及び、
図3を参照して説明する。
【0057】
本発明の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1において、次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5のメインタンク5a内の残量は、サブタンク5bに設置されたフロートスイッチ46により検知される。従って、
図1(a)に図示するように、スイッチ46がオンの時、即ち、メインタンク5a内に十分に原液が存在しており、従って、サブタンク5bが次亜塩素酸ナトリウム原液で十分に満たされており、スイッチ46がオンとされている場合は、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1は、次亜塩素酸ナトリウム活性水を生成するための通常動作モードでの運転が可能とされる。
【0058】
つまり、
図1(a)に示す次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1は運転開始(電源オン)により、
図3に示すように、活性水生成のための通常動作モードでの運転を行う(ステップS1)。この通常動作モード時には、原液還流管路53は使用されることはなく、電磁弁54は閉成され、還流送液ポンプ55は駆動が停止され、また、エアー抜き管42のエアー抜き弁44は開成されている。従って、希釈用原水であるRO水の供給流路L1におけるRO水電磁弁31が開とされてRO水の供給が開始されると、原液送給管路51にて送液ポンプ6を駆動することにより、送液ポンプ6はサブタンク5bから原液を吸引して、サブタンク5b内の原液を流路分岐部52、逆止弁56を経て次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路L2の注入部4へと送液する(ステップS1、S2)。酸原液供給配管構造50Bにおいても同様の運転が行われることは、上述の通りである。
【0059】
サブタンク5b内の原液が送液ポンプ6により吸引されると、その量に応じてメインタンク5aから原液がサブタンク5bに連通管41により自動的に供給され、サブタンク5b内は常時、原液で充満されている。もし、連通管41を介してメインタンク5aからサブタンク5bへと空気(ガス)が流れ込んだ場合は、空気(ガス)は、エアー抜き管42を上方へと流動し、泡消しチャンバ43、エアー抜き弁44を介して排出容器45へと排出される。
【0060】
次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1にて上記の通常動作モードが継続され、
図2(a)に示すように、次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5のメインタンク5a内の原液の残量が略ゼロとされると、メインタンク5aからサブタンク5bへの原液の供給がなくなり、それによって、サブタンク5b内の原液が消費されるようになる。ここで、サブタンク5b内の原液の残量が所定量以下となった時点でフロートスイッチ46がオフとされる(ステップS2でNO)。
【0061】
これにより、制御装置200は、メインタンク5aを新しいタンクに交換する必要があることをディスプレー表示するか、或いは、警報にて作業者に知らせ、更に、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の通常動作モードによる運転を停止する(ステップS3)。つまり、RO水電磁弁31を閉成し、原液供給配管構造50Aにおいては、送液ポンプ6の駆動を停止する。また、このとき、酸原液供給配管構造50Bにおいても送液ポンプ10の駆動は停止される。
【0062】
そこで、作業者は、メインタンク5aを新品のタンクに交換し、古いメインタンク5aから取付具5a2と共に連通管41の一端41aを取り外し、この取り外した連通管41の一端41aを新品のメインタンク5aに挿入し、取付具5a2にて新品のメインタンク5aに取付ける(ステップS4)。新品のメインタンク5aを装置本体に設置した状態、即ち、新品のメインタンクへの交換後の状態を
図2(b)に示す。この時、新品のメインタンク5aとサブタンク5bとの流体連通は達成されていないが、本発明では、新品のメインタンク5aとサブタンク5bとの連通管41による流体連通は作業者が行うのではなく、メインタンク交換動作モードで次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1を作動させることにより、自動的に行う。
【0063】
つまり、本発明によれば、ステップS4で作業者による新品メインタンク5aを装置に設置する交換作業が終了すると、メインタンク交換動作モードでの運転が開始される(ステップS5)。交換作業が終了したことは、例えば作業者が操作部から入力することにより制御装置200に通知される。
図2(b)にて、このメインタンク交換動作モードでは、上述したように、原液還流管路53にて通常動作モード時には閉成されている電磁弁54を開とし、通常動作モード時には駆動が停止されている還流送液ポンプ55を駆動し、且つ、通常動作モード時には開成されているエアー抜き弁44を閉とする。更に、通常動作モードによる運転停止により駆動が停止されている原液送給管路51の送液ポンプ6を駆動する。なお、RO水電磁弁31は、通常動作モードが停止されることにより、閉成状態のままである。
【0064】
図2(b)を参照すると理解されるように、送液ポンプ6を駆動することにより、送液ポンプ6はサブタンク5bに残留している原液を吸引することとなり、サブタンク5b内の原液を次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路L2の方向へと送液する。
【0065】
一方、還流送液ポンプ55が駆動されており、また、上述したように、還流送液ポンプ55の流路分岐部52位置における原液還流管路53への吸込量は送液ポンプ6の流路分岐部52位置における吐出量より大とされており、従って、送液ポンプ6により原液送給管路51を流れる原液は、略全て還流送液ポンプ55により原液還流管路53へと吸引される。なお、このとき、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路L2から原液還流管路53への希釈液、RO水等の液体の流れは逆止弁56により阻止される。
【0066】
これにより、原液送給管路51と原液還流管路53とにより形成された原液供給配管構造50Aにより、サブタンク5b内の原液は、送液ポンプ6及び還流送液ポンプ55により吸引されてメインタンク5aへと還流される。更に、サブタンク5bが送液ポンプ6及び還流送液ポンプ55により吸引されることにより、サブタンク5b内の空間部の圧力が低下し、サブタンク5bに連通した連通管41を介して新品のメインタンク5a内の原液がサブタンク5bへと真空引きされる。従って、メインタンク5a内の原液は、連通管41を経てサブタンク5bへと流動し、連通管41は、メインタンク5aとサブタンク5bとが原液で連通される。また、エアー抜き弁44が閉成されていることにより、サブタンク5b内へとエアー抜き管42を介して空気が流入することは無い。
【0067】
このようにしてサブタンク5bが原液で充満されると、フロートスイッチ46がオンとされ(ステップS6でYES)、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1は、
図1(a)に図示する状態となる。オンとなったフロートスイッチ46は、メインタンク5aの交換が終了して運転開始状態となったことを制御装置200に通知する。制御装置200は、必要によりメインタンクの交換が終了したことを表示し、メインタンク交換動作モードを終了して通常動作モード(
図1(a))に変更する(ステップS7)。すなわち、通常動作モードの運転再開に当り、RO水電磁弁31を開とし、メインタンク交換動作モードの終了により駆動が停止された送液ポンプ6は駆動を再開し、更に、原液還流管路53における電磁弁54を閉成し、還流送液ポンプ55の駆動を停止し、且つ、エアー抜き弁44を開とする。これにより、原液タンク5(5a、5b)から原液送給管路51への原液の送給作動が自動的に開始され、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1は通常動作モードにて運転を再開する。次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の通常動作モードによる運転停止により不使用状態とされていた酸原液のための原液供給配管構造50Bをも作動状態とするべく送液ポンプ10が駆動される。
【0068】
本実施例では、酸原液のための原液供給配管構造50Bにおいても、酸原液タンク9のメインタンク9a内の原液が消費されると、上述した次亜塩素酸ナトリウム原液のための原液供給配管構造50Aにおけると同様にしてメインタンク9aの交換が行われ、引き続いて、メインタンク交換動作モードが実施される。
【0069】
つまり、本発明の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1における、酸原液のための原液供給配管構造50Bにおいても、メインタンク9a内の酸原液が消費されると、サブタンク9bに設置されたフロートスイッチ46によりそのことが検知され、上記次亜塩素酸ナトリウム原液のための原液供給配管構造50Aにおけると同様にしてメインタンク9aの交換が行われ、次いで、メインタンク交換動作モードが実施される。斯かる作動態様は、上記次亜塩素酸ナトリウム原液のための原液供給配管構造50Aに関連してなした作動態様と同様であり、
図2(a)、(b)及び
図3の説明を参照すれば十分に理解し得ることと考える。
【0070】
2.送液ポンプのエアロック解除動作モード
上述したように、
図1(a)に示す本発明の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1において次亜塩素酸ナトリウム原液を送給する原液供給配管構造50Aにおいては、上述したように、通常、送液ポンプ6としてダイヤフラム式のポンプが使用されており、また、次亜塩素酸ナトリウム原液の特性に起因して、送液ポンプ6の異常としてエアロックが発生することがある。送液ポンプ6のエアロック解除動作モードによる作動態様を、
図1(a)及び
図4を参照して説明する。
【0071】
図4にて、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の運転開始(電源オン)により、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1は活性水生成のための通常動作モードでの運転が行われる(ステップS1)。通常動作モードによる運転時の作動態様については上述した通りである。
【0072】
通常動作モードでの運転中にエアロックが発生すると、送液ポンプ6は駆動されていても原液送給は機能しなくなり、送液ポンプ6による原液の希釈混合流路L2への供給は停止、又は、大幅に低下する。従って、希釈混合流路L2に配置された濃度センサ、例えば、導電率センサ13の導電率は設定値を大幅に外れることとなる(ステップS2)。斯かる現象が生じた場合には、制御装置200は、次亜塩素酸ナトリウム原液の送液ポンプ6にエアロックが発生したと判断し(ステップS3)、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の通常動作モードによる運転を停止し(ステップS4)、原液還流管路53を使用して、以下の手順にて送液ポンプ6のエアロック解除動作モードによる運転を行う。
【0073】
エアロック解除動作モードでは、RO水電磁弁31は閉成状態にて、通常動作モードによる運転停止により駆動が停止されている送液ポンプ6の駆動を再開する。更に、原液還流管路53にて通常動作モード時には閉成されている電磁弁54を開とし、通常動作モード時には駆動が停止されている還流送液ポンプ55を駆動して、また、エアー抜き弁44は、通常動作モード時と同じく開とする。エアロック解除動作モードでは、送液ポンプ6及び還流送液ポンプ55を所定時間(T1)、例えば、10秒~60秒間作動させ、還流送液ポンプ55により送液ポンプ6内に滞留されている空気(ガス)を強制的に吸引する(ステップS5)。このとき、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路L2から原液還流管路53への希釈液、RO水等の液体の流れは逆止弁56により阻止される。
【0074】
エアロック解除動作モードでの運転を所定時間(T1)行った後、エアロック解除動作モードを通常動作モードに変更して運転を行う(ステップS5)。通常動作モード運転では、上述したように、RO水電磁弁31を開とし、電磁弁54を閉成し、還流送液ポンプ55の駆動を停止し、送液ポンプ6を駆動する。この通常動作モードによる運転にて、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度検知を行い、その結果、濃度値が設定値に戻らない場合は、エアロックが解除されていないと判断し(ステップS6)、再度、上記ステップS5に戻り、エアロック解除動作モードによる作動を行う。送液ポンプ6のエアロックが解除されるまで、上記手順(ステップS5、S6)によるエアロック解除動作モードによる運転を繰り返し行う。斯かるエアロック解除動作モードによる運転の間、酸原液供給配管構造50Bの送液ポンプ10は駆動が停止される。
【0075】
通常動作モードによる運転にて、導電率センサ13により次亜塩素酸ナトリウム希釈液が設定値に戻ったことが確認された場合には、エアロックが解除されたと判断し(ステップS6でYES)、エアロック解除動作モードによる運転を終了して通常の原液供給動作のための通常動作モードによる運転を行う(ステップS7)。次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の通常動作モードによる運転停止により不使用状態とされていた酸原液のための原液供給配管構造50Bをも作動状態とするべく送液ポンプ10が駆動される。
【0076】
3.原液送給管路のスラッジ除去動作モード
本発明の次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1においては、特に、次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5から希釈混合流路L2への原液送給管路51においては、炭酸カルシウム、食塩、錆などがスラッジとして蓄積される傾向がある。もし、スラッジが原液送給管路51内に蓄積されると、送液ポンプ6による原液の希釈混合流路L2への供給は次第に低下し、その結果、次亜塩素酸ナトリウムが所定濃度とされる活性水を得ることができなくなる。そこで、斯かる管路内におけるスラッジの蓄積の問題を未然に解決するために、通常の動作モードによる運転中に定期的に原液送給管路51のスラッジ除去動作モードによる運転を実施する。
【0077】
原液送給管路51のスラッジ除去動作モードによる作動態様を、
図1(a)及び
図5を参照して説明する。
【0078】
次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1の運転開始(電源オン)により、次亜塩素酸ナトリウム活性化装置1は活性水生成のための通常動作モードでの運転が行われる(ステップS1)。
【0079】
本実施例によると、原液送給管路51内におけるスラッジの蓄積を未然に防止するために、通常動作モードによる運転中において、所定時間(T2)毎に、例えば、24日~1ケ月間隔にて、次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5のサブタンク5bから希釈混合流路L2に至る原液送給管路51内のスラッジの除去を行う(ステップS2、S3)。このスラッジ除去動作モードによる作動態様は、上述の送液ポンプ6にエアロックが発生した場合と同様の作動態様とされる。
【0080】
つまり、次亜塩素酸ナトリウム原液供給配管構造50Aにおいて、次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5(5a、5b)から希釈混合流路L2への原液送給管路51内のスラッジの除去動作モードによる運転を開始するに当たり、通常の活性水生成のための通常動作モードによる運転を停止し、原液還流管路53を使用してスラッジ除去動作モードによる運転を行う。
【0081】
スラッジ除去動作モードでは、RO水電磁弁31は閉成状態にて、通常動作モードによる運転停止により駆動が停止とされている送液ポンプ6を駆動し、更に、原液還流管路53にて通常動作モード時には閉成されている電磁弁54を開とし、通常動作モード時には駆動が停止されている還流送液ポンプ55を駆動し、また、エアー抜き弁44は、通常動作モード時と同じく開とする。スラッジ除去動作モードでは、送液ポンプ6及び還流送液ポンプ55を所定時間(T3)、例えば、1~10分間作動させ、送液ポンプ6及び還流送液ポンプ55により原液送給管路51内に蓄積したスラッジを強制的に吸引する(ステップS4)。これにより、原液送給管路51内に滞留したスラッジは、原液の流動と共に除去され、メインタンク5a内へと還流され、メインタンク5a内に滞留することとなる。なお、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路L2から原液還流管路53への希釈液、RO水等の液体の流れは逆止弁56により阻止される。
【0082】
スラッジ除去動作モードでの運転を所定時間(T3)行った後、スラッジ除去動作モードによる運転を終了して、作動態様を通常動作モードに変更して運転を行う(ステップS5、S6)。通常動作モード運転では、上述したように、RO水電磁弁31を開とし、電磁弁54を閉成し、還流送液ポンプ55の駆動を停止し、送液ポンプ6を駆動する。斯かるスラッジ除去動作モードによる運転の間、酸原液供給配管構造50Bの送液ポンプ10は駆動が停止される。
【0083】
本発明者の実験結果によれば、次亜塩素酸ナトリウム原液送給管路51内のスラッジの除去作動を所定時間(T2)間隔にて行うことにより、次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5から希釈混合流路L2への原液送給管路51内にスラッジが蓄積されることはなかった。
【0084】
なお、別法として、スラッジ除去は、上述のように、ステップS2にて通常動作モードによる運転時に所定時間(T2)毎に行うのに加えて、又は、変更して、ステップS2にて導電率センサ13による導電率の計測を行い、その計測値が徐々に低下する傾向が検知された場合には、次亜塩素酸ナトリウム原液タンク5から希釈混合流路L2への供給量が減少していること、即ち、配管路内にスラッジが滞留していると判断し、原液還流管路53を使用して、上記手順のステップS3~S5を実施して原液送給管路51内のスラッジの除去作動を行うこともできる。
【0085】
なお、本発明者の研究、実験の結果によると、酸原液のための原液供給配管構造50Bにおいては、酸原液タンク9から希釈混合流路L3への原液送給管路51内にスラッジが滞留する可能性は低い。従って、管路内のスラッジの除去作動を行う必要性は低いが、原液供給配管構造50Aと同様にして行ってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 次亜塩素酸ナトリウム活性化装置
5、9 原液タンク
5a、9a メインタンク
5b、9b サブタンク
6、10 送液ポンプ
13 濃度センサ(導電率センサ)
20 活性水貯留槽
21 pHセンサ
41 連通管(サイホン管)
42 エアー抜き管
43 泡消しチャンバ
44 エアー抜き弁
46 タンク残量検知手段(フロートスイッチ)
50(50A、50B) 原液供給配管構造
51 原液送給管路
52 流路分岐部
53 原液還流管路
54 電磁弁
55 還流送液ポンプ
56 逆止弁
L2、L3 希釈混合手段(希釈混合流路)
L4 希釈液混合手段(希釈液混合流路)