(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ゲームプログラムならびにコンピュータ
(51)【国際特許分類】
A63F 13/70 20140101AFI20220713BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20220713BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20220713BHJP
A63F 13/537 20140101ALI20220713BHJP
A63F 13/493 20140101ALI20220713BHJP
【FI】
A63F13/70
A63F13/45
A63F13/69
A63F13/537
A63F13/493
(21)【出願番号】P 2020124191
(22)【出願日】2020-07-21
(62)【分割の表示】P 2018129082の分割
【原出願日】2018-07-06
【審査請求日】2020-11-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津原 一成
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-128463(JP,A)
【文献】2016.10.04[追記:8/3]Ver.8.0アップデート情報を公開!,モンスターストライク(モンスト)公式サイト [online],2017年08月03日,https://www.monster-strike.com/news/20161004_3.html,2019年12月18日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザの操作に応じてゲームを実行するゲーム実行手段と、
前記ゲームの実行に応じて値が減算されるゲーム進行許容値を、時間の経過に応じて第1上限値まで増加させる許容値増加手段と、
所定期間の間、前記ゲーム実行手段による前記ゲームの実行を禁止する実行禁止手段と、
として機能させ、
前記許容値増加手段は、前記所定期間の開始時における前記ゲーム進行許容値が所定条件を満たす場合、前記所定期間の間、時間経過とともに前記ゲーム進行許容値を、前記第1上限値を超えて増加させ、
前記所定条件は、前記開始時における前記ゲーム進行許容値が所定の閾値より小さいことであるゲームプログラム。
【請求項2】
前記所定の閾値は、前記第1上限値である、請求項
1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記許容値増加手段は、前記所定期間の開始時における前記ゲーム進行許容値が前記第1上限値以上である場合、前記所定期間の間、前記ゲーム進行許容値を増加させることを禁止する、請求項
2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記許容値増加手段は、前記所定期間の開始時における前記ゲーム進行許容値が前記第1上限値以上である場合、前記所定期間の終了後から前記ユーザがログインするまでの間においても前記ゲーム進行許容値を増加させることを禁止し、前記所定期間の開始時における前記ゲーム進行許容値を、前記所定期間の終了後に前記ユーザがログインした場合の前記ゲーム進行許容値として設定する、請求項
3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記所定期間の開始時の前記ゲーム進行許容値が前記第1上限値よりも低い場合、前記許容値増加手段は、前記所定期間の開始時から前記所定期間の終了後に前記ユーザがログインするまでの間における所定時間に応じて、時間経過とともに、前記ゲーム進行許容値を、前記第1上限値を超えて増加させる、請求項1~
4のいずれか
1つのゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1つに記載のゲームプログラムを実行するコンピュータ。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか1つに記載のゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行するコンピュータとを
備えるゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンラインゲームにおいて、サーバのメンテナンス中にユーザがゲームを実行できない不利益を補填するためのゲームプログラムおよびコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバとネットワークを介して接続されたゲーム端末に配信されるいわゆる「オンラインゲーム」は、そのゲームを構成する複数のゲームステージ(いわゆる「クエスト」)からなるものがある。ユーザは各クエストの実行に何らかの必要なパラメータ(いわゆる「スタミナ」)を消費させてゲームを進行させる。
【0003】
そこで、ユーザはクエストを実行するために十分なスタミナを有している必要があるが、十分量のスタミナを有していない場合はスタミナを回復させる必要がある。その方法として例えば、時間経過により回復させる方法、または課金もしくは回復アイテムの使用により回復させる方法がある(特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6160889号
【文献】特許第6075673号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、オンラインゲームの進行処理はサーバ側で行われるため、ゲームの仕様の変更や追加、または保守点検のためにサーバ装置のメンテナンスが定期的または不定期に行われる。このメンテナンスの期間中、ゲーム装置はサーバにアクセスできないので、ユーザはゲームを進行させることができない。
【0006】
特に、前記スタミナはメンテナンスの期間中も時間経過により回復、つまり増加していくが、そのメンテナンスの期間において、ユーザはゲームを進行させることができないため損をしていると感じるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、前記メンテナンスの期間中にゲームを進行させることができないユーザの不利益を補填するゲームプログラムならびにコンピュータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、コンピュータを
ユーザの操作に応じてゲームを実行するゲーム実行手段と、
前記ゲームの実行に応じて値が減算されるゲーム進行許容値を、時間の経過に応じて第1上限値まで増加させる許容値増加手段と、
所定期間の間、前記ゲーム実行手段による前記ゲームの実行を禁止する実行禁止手段と、
として機能させ、
前記許容値増加手段は、前記所定期間の開始時における前記ゲーム進行許容値が所定条件を満たす場合、前記所定期間の間、時間経過とともに前記ゲーム進行許容値を、前記第1上限値を超えて増加させ、
前記所定条件は、前記開始時における前記ゲーム進行許容値が所定の閾値より小さいことであるゲームプログラムである。
【0009】
また、第1の発明において、
前記所定条件は、前記開始時における前記ゲーム進行許容値が所定の閾値より小さい
とすることができる。
【0010】
また、第1の発明において、
前記所定の閾値は、前記第1上限値である
とすることができる。
【0011】
また、第1の発明において、
前記許容値増加手段は、前記所定期間の開始時における前記ゲーム進行許容値が前記第1上限値以上である場合、前記所定期間の間、前記ゲーム進行許容値を増加させることを禁止する
ことができる。
【0012】
また、第1の発明において、
前記許容値増加手段は、前記所定期間の開始時における前記ゲーム進行許容値が前記第1上限値以上である場合、前記所定期間の終了後から前記ユーザがログインするまでの間においても前記ゲーム進行許容値を増加させることを禁止し、前記所定期間の開始時における前記ゲーム進行許容値を、前記所定期間の終了後に前記ユーザがログインした場合の前記ゲーム進行許容値として設定する
ことができる。
【0013】
また、第1の発明において、
前記所定期間の開始時の前記ゲーム進行許容値が前記第1上限値よりも低い場合、前記許容値増加手段は、前記所定期間の開始時から前記所定期間の終了後に前記ユーザがログインするまでの間における所定時間に応じて、時間経過とともに、前記ゲーム進行許容値を、前記第1上限値を超えて増加させる
ことができる。
【0014】
第2の発明は、
前記第1の発明のゲームプログラムを実行するコンピュータである。
【0015】
第3の発明は、
前記第1の発明のゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行するコンピュータとを
備えるゲームシステムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サーバ装置のメンテナンス期間中において、前記ゲーム進行許容値であるスタミナ値はその上限値を超えても加算される。そのため、当該メンテナンスによって生じ得るユーザの不利益や不満感を抑えられる。従って、ゲーム進行の快適性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態におけるゲームシステムのハードウェア構成および機能的構成を示すブロック図である。
【
図2A】本実施形態におけるサーバ装置およびゲーム装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図2B】本実施形態におけるサーバ装置およびゲーム装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】クエストを実行する前のゲーム画像表示例である。
【
図4】
図3においてクエストを実行した後に、スタミナ値が消費されたことを示すゲーム画像表示例である。
【
図5】クエストの実行前において、そのクエストの実行に必要なスタミナ値に満たない状態であることを示すゲーム画像表示例である。
【
図6】本実施形態におけるメンテナンス終了後にスタミナ値が加算されていることを示すゲーム画像表示例である。
【
図7】メンテナンス終了後にスタミナ値が加算されていることを示す別のゲーム画像表示例である。
【
図8】本実施形態におけるメンテナンス予告を表示するゲーム画像表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
本発明の実施形態にかかるゲームシステム1について、図面を参照して説明する。
【0019】
<ゲームの説明>
図1に示す実施形態のゲームシステム1では、サーバ装置2とゲーム装置5とが、通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されている。
【0020】
本実施形態で説明するゲームは、前記ゲームシステム1にて実行されるオンラインゲームである。前記ゲームは、例えばパズルゲームやアクションゲームで、クエストの実行と共にスタミナ値を消費させて、ゲームを進行させるものが挙げられる。
【0021】
そして、消費されたスタミナ値は、時間経過、課金またはアイテムの使用により回復されることができる。
【0022】
<ゲームシステム1の概要>
図1に示すように、ゲームシステム1は、サーバ装置2および複数のゲーム装置5にて構成される。本実施形態では、ゲームシステム1が、いわゆるネイティブアプリである場合を例示する。
【0023】
サーバ装置2は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、各ゲーム装置5(下記のアカウント情報毎)のゲームデータの管理を行う。
【0024】
ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置5は、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(具体的にはダウンロードおよびインストール)する。また、ゲーム装置5は、サーバ装置2からアップデート用のゲームプログラムおよびゲームデータを受信(具体的にはダウンロードおよびインストール)する。
【0025】
なお、ゲーム装置5は、ゲームを進行するにあたり、先ずはサーバ装置2にログインする。各ユーザには、異なるアカウント情報が割り当てられており、アカウント情報には、ユーザ毎の識別情報(ユーザID)およびパスワードが含まれる。このアカウント情報は、ログイン時、ゲーム装置5から通信ネットワーク6を介してサーバ装置2に送信される。
【0026】
サーバ装置2は、送信されたアカウント情報に基づき、アクセスのあったゲーム装置5に対してユーザ認証を行う。
【0027】
ユーザ認証が完了したゲーム装置5は、サーバ装置2と通信が可能となり、ゲーム進行に必要なデータ(ゲーム進行状況に関するデータ)がサーバ装置2から送られる。ゲーム装置5は、前記データを受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像や音声をディスプレイ61およびスピーカ62に出力しながら、ゲームを進行させる。
【0028】
このように、ゲームシステム1では、所定のタイミングでサーバ装置2とゲーム装置5とが通信ネットワーク6を介して相互に通信を行う。これにより、サーバ装置2とゲーム装置5とで同期を取りながらゲームが進行される。
【0029】
<ハードウェア構成>
以下、サーバ装置2のハードウェア構成、および、ゲーム装置5のハードウェア構成について説明する。
【0030】
<サーバ装置2の構成>
サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22および制御部23を有する。ネットワークインターフェース21および記憶部22は、バス29を有する。
【0031】
ネットワークインターフェース21は、インターネットおよびLAN等の通信ネットワーク6を介して各ゲーム装置5と通信可能に接続される。ネットワークインターフェース21を介して、ゲーム装置5へのゲームデータおよびゲームプログラム等の送信、アカウント情報のゲーム装置5からの受信が行われる。
【0032】
記憶部22は、HDD、RAMおよびROM等で構成される。具体的に記憶部22には、各ユーザを照合するためのアカウント情報、各ユーザのログイン履歴、各種プログラム等が格納されている。ゲームデータには、アカウント情報毎のゲーム進行状況に関する情報(前記スタミナ値等)が含まれる。
【0033】
制御部23は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、各々のサーバ2自身の動作を制御する。
【0034】
<サーバ装置2の制御部23の機能的構成>
制御部23は、各種プログラムを実行することにより、情報処理手段231、照合手段232、メンテナンス制御手段233、配信手段234、許容値増加手段235、として機能する。
【0035】
情報処理手段231は、ゲームプログラムの配信に必要なデータを、各ゲーム装置5との間で送受信する。情報処理手段231が受信する前記データとしては、ダウンロード要求情報およびアカウント情報が挙げられる。情報処理手段231が送信する前記データとしては、ゲームプログラムをゲーム装置5が受信したかを確認するための情報等が挙げられる。
【0036】
照合手段232は、ゲーム装置5から受信したアカウント情報を用いて、ユーザの認証処理、およびユーザがゲーム進行中であるかの認証要求をゲーム装置5へ送信する。
【0037】
メンテナンス制御手段233は、メンテナンスに関する情報の作成、メンテナンスの実行、中止、中断、終了、およびメンテナンスの開始からの所定の経過時間の計測を行う。また、前記メンテナンスに関する情報とは、例えばメンテナンスの予告情報(メンテナンス予定期間、およびその内容等)、または完了したメンテナンス情報(前記経過時間、およびその他メンテナンス結果等)をいう。
【0038】
配信手段234は、ゲームプログラムのダウンロード要求情報およびユーザのアカウント情報を情報処理手段231が受信したあと、ゲームプログラムおよび受信したアカウント情報に対応するゲームデータを、ゲーム装置5に配信(送信)する。また、配信手段234は、照合手段232より受信したログイン確認要求に対する応答をサーバ装置2へ行い、メンテナンス制御手段233により作成された前記メンテナンスの予告情報、および後述する許容値増加手段235により加算されたスタミナ値をゲーム装置5に配信(送信)する。
【0039】
許容値増加手段235は、ゲーム装置5へスタミナ値の確認要求を行う。許容値増加手段235は、記憶部22に記憶されているスタミナ値の読み込み、および前記メンテナンス制御手段233による前記「所定の経過時間」の計測結果に基づいて、加算すべきスタミナ値を算出する。つまり、許容増加手段235は、ユーザ装置2のメンテナンス中に、メンテナンスの所要時間に応じて、加算すべきスタミナ値を算出する。
【0040】
また、許容値増加手段235は、ゲームの実行中においては、スタミナ値を時間の経過に応じて上限値(第1上限値)を限度として増加させる。
【0041】
さらに、許容値増加手段235は、後述する設定手段564により、スタミナ値の上限値(第1上限値)がさらに高い上限値(第2上限値)に設定された場合において、後述するスタミナ値S0が前記第1上限値以上にあるときは、スタミナ値の増加処理を行わない。
【0042】
<ゲーム装置5の構成>
ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。ゲーム装置5では、サーバ装置2から受信したゲームプログラムおよびゲームデータに基づいてゲームが進行する。なお、ゲーム装置5同士も、通信ネットワーク6または近距離無線通信装置(図示せず)を用いて、互いにデータ通信を行うことができる。
【0043】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0044】
ネットワークインターフェース51は、各ゲーム装置5とサーバ装置2との間で各種データを送受信するために、通信ネットワーク6に通信可能に接続される。
【0045】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、プレイヤキャラクタおよびゲーム空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式または静止画形式で描画する。グラフィック処理部52はディスプレイ61と接続されており、ゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。また、グラフィック処理部52は、ゲーム画像にスタミナ値の増減による変化およびスタミナ値の上限値も含ませるとともに、そのゲーム画像をディスプレイ61上に表示させる。
【0046】
オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。オーディオ処理部53はスピーカ62と接続されており、再生および合成されたゲーム音声は、スピーカ62から出力される。
【0047】
操作部54は、コントローラ63と接続され、操作入力に関するデータをコントローラ63との間で送受信する。例えば、ユーザは、コントローラ63に設けられたボタン等の操作子(図示略)を操作することにより、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0048】
記憶部55は、HDD、RAMおよびROM等で構成される。記憶部55は、サーバ装置2からダウンロードしたゲームプログラムおよびゲームデータを記憶することができる。また、記憶部55には、他ゲーム装置5に送信するための、自装置5のユーザのアカウント情報および他ゲーム装置5から受信した他アカウント情報などが記憶される。
【0049】
制御部56は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置5の動作を制御する。
【0050】
<ゲーム装置5の制御部56の機能的構成>
制御部56は、前記ゲームプログラムを実行することにより、通信手段561、ゲーム実行手段562、実行禁止手段563、設定手段564、および報知手段565として機能する。
【0051】
通信手段561は、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2との通信を行う機能である。通信手段561は、アカウント情報、および、ユーザの操作に基づく新たなゲームデータのダウンロード要求情報を、サーバ装置2に送信する。なお、新たなゲームデータには、サーバ装置2との間で送受信されるスタミナ値が含まれる。
【0052】
ゲーム実行手段562は、ゲームデータに含まれるゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを読み出し且つゲームプログラムを実行して、二次元または三次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52によって処理されることにより、ディスプレイ61には処理後のゲーム画像が表示される。
【0053】
例えば、ゲーム実行手段562は、ゲームの進行状況の下、ユーザのコントローラ63操作の内容を表す操作信号に応じて、ゲームの開始または終了の制御を行う。また、ゲーム実行手段562は、ゲームの開始時、対象となるクエストに応じたスタミナ値を消費させる。
【0054】
実行禁止手段563は、メンテナンス制御手段233からの指示により、メンテナンスの開始前に進行中のゲームを中断させ、メンテナンス期間中はユーザの操作によるログインが行われるのを禁止する。一方、実行禁止手段563は、メンテナンス終了後、メンテナンス制御手段233の指示により前記ログインの禁止を解除すると共に、ゲームの実行を許可する。
【0055】
設定手段564は、ゲーム実行手段562によってゲームが実行された結果、所定の条件を満たした場合(例えば、クエストを実行してクリアした場合、課金を行った場合、またはゲーム媒体を消費した場合)、スタミナ値の上限値をイベント実行前の第1上限値よりも高い第2上限値に設定する。
【0056】
報知手段565は、メンテナンス終了後、サーバ装置2から受信した許容値増加手段235により演算されたメンテナンス終了後のスタミナ値を、画面上に表示または音もしくはそれら両方の方法により、ディスプレイ61およびスピーカ62の少なくとも1つを介してユーザに報知する。
【0057】
<ゲーム実行手段によるスタミナ値の消費、および許容値増加手段によるスタミナ値の増加処理について>
主に、ゲーム実行手段562によって実行されるスタミナ値の消費、および許容値増加手段235によるスタミナ値の増加処理について詳述する。
【0058】
スタミナ値はメンテナンスの期間中も経時的に回復していくので、ユーザはメンテナンスが開始される直前までゲームを進行させてスタミナ値を減らしておき、メンテナンス期間中に回復したスタミナ値をもってゲームを進行させるというユーザ心理が働く。
【0059】
ところが、スタミナ値は上限値まで回復すると、それ以上加算されないため、メンテナンス開始直前のスタミナ値によっては、メンテナンス期間の途中で上限値まで回復する場合もある。そうすると、ゲームを進行できる状態であれば本来得られるはずのスタミナ値をそれ以上得ることができず、ユーザは損をしていると感じるおそれがある。
【0060】
また、何らかの理由によりメンテナンス期間が延長された場合においても、その延長によりゲームを進行させることができない時間に応じたスタミナ値が加算されず、前記同様にユーザは損をしていると感じるおそれがある。
【0061】
そこで、本実施形態に係る許容値増加手段235は、メンテナンス制御手段233によるメンテナンス開始から所定の時間経過時までの加算すべきスタミナ値を算出し、そのスタミナ値をメンテナンス開始時のスタミナ値にその上限値を超えても加算させる処理を行う。
【0062】
図3は、ディスプレイ61にゲーム進行中に写し出される画面例であって、前記スタミナ値は、当該画面内の上部において、ゲージb1および数値b2として示される。数値b2の分母値b21はスタミナ上限値Sfullを示し、分子値b22はゲーム進行時のスタミナ値S0を表している。
図3では、クエストの実行前の初期状態において、スタミナ値S0がスタミナ上限値Sfullである場合を表している。
【0063】
ゲーム実行手段562によりクエストが開始されると、そのクエストに応じたスタミナ値が消費される。以下では、消費されたスタミナ値を、「クエスト値」と云う。例えば、
図3では、スタミナ値S0=65、スタミナ上限値Sfull=65、クエスト値=15、ゲーム実行手段562によりクエストを実行したあとのスタミナ値S0は減少して、
図4のように表示される(S0=50)。
【0064】
図5に示すように、ゲーム実行手段562によりクエストを実行させるのに必要なスタミナ値が不足していると、ゲーム実行手段562によるクエストの実行処理は制限され、ユーザはゲームを進行させることができない。しかし、スタミナ値は時間経過と共に、または課金もしくはスタミナ値回復アイテムの消費により回復させることができる。
【0065】
ここで、サーバ装置2のメンテナンスが開始される前に事前に予告画像がゲーム装置5に表示される(例えば、
図8)。予告画像に表示された期間中は、ゲーム装置5はサーバ装置2へのログインが制限され、ユーザはゲームを進行させることができない。
【0066】
しかし、許容値増加手段235によりスタミナ値はメンテナンス期間中もメンテナンス開始時から時間経過とともに回復していき、スタミナ値S0は、メンテナンス期間中にスタミナ上限値Sfullに達しても、それを超えて加算される。例えば、
図6に示すように、メンテナンス終了後にゲーム装置5がサーバ装置2へログインしたとき、ゲーム画像には、スタミナ上限値Sfull=65(分母値b21)を超えたスタミナ値S0=90(分子値b22)が表示される。
【0067】
また、図示はしないが、ゲーム進行中において、ゲーム実行手段562が前述したイベントを実行したことにより、スタミナ上限値Sfullが増加した場合、すなわち、イベント実行前のスタミナ上限値である第1上限値からイベント実行後の第2上限値へスタミナ値の上限値が設定された場合、その設定後のスタミナ上限値Sfull(つまり第2上限値)が表示される。
【0068】
<サーバ装置2とゲーム装置5が行う処理の流れについて>
上述したサーバ装置2およびゲーム装備5が行う処理の流れについて、
図2~
図8を用いて説明する。
【0069】
先ず、サーバ装置2のメンテナンスが行われる前に、予めメンテナンス制御手段233により作成されたメンテナンス予告情報が、配信手段234によりゲーム装置5へ送信(配信)される。配信された前記メンテナンス予告情報は、ログインしたゲーム装置5のディスプレイ61上に、例として
図8のように表示される。
【0070】
メンテナンス制御手段233が自装置2(サーバ装置)のメンテナンスを開始する前に、照合手段232は、各ゲーム装置5へログイン確認要求を行う(#1)。
【0071】
ゲーム装置5がログイン状態である場合(#2のYES)、サーバ装置2のメンテナンス制御手段233は、ゲーム中断指示をゲーム装置5に送信し(#3)、ゲーム装置5の実行禁止手段563はゲームを強制的に中断する(#4)。
【0072】
その後、サーバ装置2のメンテナンス制御手段233は、ゲーム装置5へログイン制限の要求を送信し(#5)、メンテナンス期間中ユーザがゲームへログインできないようにログイン制限を行う(#6)。
【0073】
サーバ装置2のメンテナンス制御手段233は、ゲーム装置5へスタミナ値の確認要求を行う(#7)。前記スタミナ値の確認要求を受けたゲーム装置5の通信手段561は、ログイン制限開始時のスタミナ値S0をサーバ装置2へ送信する(#8)。このとき、スタミナ値S0は記憶部22に記憶される(#9)。例えば、
図5では、ログイン制限開始後のスタミナ値S0が「10」である状態が記憶される。
【0074】
すべてのゲーム装置5がログアウトした状態で、メンテナンス制御手段233は、サーバ装置2のメンテナンスを開始させ(#10)、メンテナンス時間の計測を開始する(#11)。メンテナンスが完了すると、メンテナンス制御手段233は、メンテナンス終了通知をゲーム装置5に送信する(#12)。当該メンテナンス終了通知を受信したゲーム装置5の実行禁止手段563は、前記ログイン制限を解除する(#13)。
【0075】
その後、ユーザの操作によりゲーム装置5がサーバ装置2にログインしたとき(#14)、メンテナンス制御手段233は、前記ログインがメンテナンス終了から予め設けておいた一定時間内に行われたものであるか判定を行う(#15)。
【0076】
メンテナンス制御手段233は、前記ログインが一定時間内に行われたものである場合は(#15のYES)、メンテナンスの開始から前記ログイン時までの間の所定時間を計測し(#16)、スタミナ値S0に加算すべき加算用スタミナ値Saddを算出する(#18)。
【0077】
一方、前記ログインが前記一定時間の経過後にされたものである場合は(#15のNO)、メンテナンス制御手段233は、メンテナンスの開始から一定時間経過時までの間の所定時間を計測し(#17)、その時間に基づいてスタミナ値S0に加算すべき加算用スタミナ値Saddを算出する(#18)。
【0078】
ここで、許容値増加手段235は、既に記憶部22に格納されたスタミナ値S0を読み込み、スタミナ値S0がスタミナ上限値Sfull値以下であるか否か判定する(#19)。
【0079】
スタミナ値S0がスタミナ上限値Sfullと同値以上である場合(#19のNO)、当該スタミナ値S0に加算用スタミナ値Saddを加算させる必要はない。そのため、引き続きスタミナ値S0が記憶部22に記憶される(#24)。例えば、スタミナ上限値Sfullが「65」であり、スタミナ値S0が「65」であった場合、許容値増加手段235は、加算用スタミナ値Saddをスタミナ値S0「65」に加算せず、記憶部22には引き続きスタミナ値S0「65」を記憶させておく。
【0080】
ここで「スタミナ値S0がスタミナ上限値Sfullと同値以上である」とは、前述したゲーム実行手段562によるイベントの実行により、スタミナ値S0がイベント実行前のスタミナ上限値Sfullである第1上限値以上である場合をいう。言い換えると、ここでいうスタミナ上限値Sfullとは、前記イベントが実行されていない、すなわち、ランクアップや課金がなされていない、いわばデフォルト状態におけるスタミナ値S0の上限値である。
【0081】
スタミナ値S0がスタミナ上限値Sfull未満である場合(#19のYES)、許容値増加手段235は、#18において算出された加算用スタミナ値Saddをスタミナ値S0に加算する(#20)。
【0082】
次いで、許容値増加手段235は、#20による加算後のスタミナ値S1が、スタミナ値の最大値Smax未満であるかの判定を行う(#21)。
【0083】
ここで、Smaxとは、加算後のスタミナ値の最大値を示し、許容値増加手段235はSmaxを超えてスタミナ値を増加させることはない。すなわち、加算後のスタミナ値S1が最大値Smax未満であれば(#21のYES)、許容増加手段235は、加算後のスタミナ値S1を記憶部22に記憶する(#22)。一方、加算後のスタミナ値S1が最大値Smax以上であれば(#21のNO)、許容増加手段235は、スタミナ値S1ではなく前記最大値Smaxを記憶部22に記憶する(#23)。
【0084】
その後、サーバ装置2の配信手段234は、#22、#23または#24にて記憶されたスタミナ値(具体的にはS1、SmaxまたはS0)を、ゲーム装置5に送信する(#25)。ゲーム装置5の報知手段565は、サーバ装置2から受信したスタミナ値(S1、SmaxまたはS0)、即ちメンテナンス終了後のスタミナ値をディスプレイ61およびスピーカ62により、またそのいずれかにより報知する(#26)。
【0085】
以下、#21~#26の一例を簡単に述べる。例えば、ゲーム装置5におけるスタミナ値が
図5の状態(スタミナ値S0「10」)で、サーバ装置2のメンテナンスが行われたとする。そのメンテナンスによって加算用スタミナ値Saddが「80」と演算された場合、スタミナ値S0「10」に加算用スタミナ値Sadd「80」が加算され、
図6に示すように、表示されるスタミナ値は加算後のスタミナ値S1「90」となる。
【0086】
このとき、最大値Smaxが例えば「95」であるとすると、加算後のスタミナ値S1が最大値Smax未満となるため(S1<Smax)、#21が成立する。従って、加算後のスタミナ値S1「90」がゲーム装置5へ送信され、スタミナ表示部b2は「90/65」と表示される。
【0087】
一方、最大値Smaxが例えば「85」であるとすると、加算後のスタミナ値S1は最大値Smaxを超える(S1>Smax)。そのため、#23が成立し、最大値Smax「85」がゲーム装置5へ送信され、スタミナ表示部b2は「85/65」と表示される(
図7)。
【0088】
以上をまとめると、本実施形態のゲームプログラムは、ゲーム装置5の制御部56(コンピュータ)を、ユーザの操作に応じてゲームを実行するゲーム実行手段562と、所定期間の間、ゲーム実行手段562による前記ゲームの実行を禁止する実行禁止手段563と、として機能させるとともに、サーバ装置2の制御部23(コンピュータ)を、ゲームの実行に応じて値が減算されるスタミナ値(ゲーム進行許容値)が、前記所定期間の開始時において所定条件を満たす場合、前記所定期間の間、時間経過とともに、スタミナ値をゲーム進行中の上限値である第1上限値を超えて増加させる許容値増加手段235と、として機能させるものである。
【0089】
<発明の効果>
本実施形態のゲームプログラムによれば、サーバ装置2のメンテナンス期間中は、ゲームの実行が禁止されるが、前記メンテナンス期間中、許容値増加手段235はスタミナ値を、その上限値に関係なく加算させる。そのため、ゲーム進行により減算されたスタミナ値は、メンテナンス期間の途中でその上限値まで回復しても、さらにその上限値を超えて加算されることになる。従って、当該メンテナンス期間中にゲームを進行させることができないユーザの不満感は緩和される。
【0090】
また、許容値増加手段235は、メンテナンス開始から、メンテナンス終了後のログイン時までの間における、所定時間に応じたスタミナ値を加算用スタミナ値として算出する。そのため、メンテナンス終了直後にログインできない場合であっても、ログイン時までの所定の時間が加算用スタミナ値の加算対象時間となる。従って、前記と同様にユーザの不満感は緩和される。
【0091】
また、設定手段564によりスタミナ値の上限値が増加したときにおいて、メンテナンス開始時のスタミナ値が増加前の上限値以上にあった場合には、許容値増加手段235はメンテナンス期間中のスタミナ値を増加させない。そのため、ユーザに対して公平に前記メンテナンスにより生じ得るユーザの不利益を補填することができる。
【0092】
また、許容値増加手段235には加算後のスタミナ値の最大値が予め設定されている。そのため、前記同様に公平にユーザに対して前記メンテナンスにより生じ得るユーザの不利益を補填することができる。
【0093】
また、メンテナンス終了後にサーバ装置2にログインしたとき、加算されたスタミナ値を、ディスプレイ61およびスピーカ62により、またはそのいずれかにより、報知される。従って、ユーザは容易に増加されたスタミナ値を認識することができる。
【0094】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0095】
ゲーム装置5の種類は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータに限定されない。例えば、ゲーム装置5は、プレイステーション(登録商標)、Nintendo DS(登録商標)等であってもよい。
【0096】
前記ゲームは、アクションゲーム、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、パズルゲームなど、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0097】
ゲーム装置5の台数は1台であってもよい。また、サーバ装置2は複数台設けられ、協働して同様の処理を行うようにしてもよい。
【0098】
前記実施形態では、
図2Aの#9において、スタミナ値S0を記憶してからメンテナンスが開始される(#10)と説明した。しかし、スタミナ値S0の記憶(取得)はメンテナンス実行時に行われていれば良く、スタミナ値S0の記憶とメンテナンスの開始は同時であってもよい。
【0099】
前記実施形態では、
図2Aの#11に示すように、メンテナンス制御手段233はメンテナンスが開始されてから時間を計測すると説明した。しかし、メンテナンス制御手段233は、メンテナンスの開始と同時に時間計測を開始させてもよい。
【0100】
前記実施形態では、
図2Bの#18において、加算用スタミナ値Saddを算出してから、#19において、スタミナ値S0がスタミナ上限値Sfull未満であるかの判定を行うとした。しかし、#18,#19の処理は、スタミナ値S0の記憶(#9)から加算用スタミナ値Saddをスタミナ値S0に加算(#20)までの間に実施されていればよく、この順に限定されない。
【0101】
前記実施形態では、加算用スタミナ値Saddの算出対象時間が、メンテナンス開始からメンテナンスが終了してログインされるまで(#16)または一定時間経過するまで(#17)であると説明した。しかし、メンテナンスが終了してからの経過時間を加算用スタミナ値Saddの加算対象とする必要はなく、前記計測開始からメンテナンス終了時までの時間に対して加算用スタミナ値Saddを算出してもよい。
【0102】
前記実施形態では、
図2Bの#15~#17に示すように、メンテナンスが終了してからの一定時間を設け、その一定時間経過後にログインした場合はメンテナンス開始から当該一定時間の経過時までを加算用スタミナ値Saddの加算対象とすると説明した。しかし、当該一定期間を設けずに、前記計測時間開始からログインされるまでの経過時間分を加算用スタミナ値Saddの対象としてもよい。
【0103】
前記実施形態では、
図2Bの#15~#17に示すように、メンテナンス開始からメンテナンスが終了してログインされるまで(#16)、または前記一定時間を経過するまで(#17)の時間を加算用スタミナ値Saddの対象とすると説明した。しかし、当該経過時間に関係なく一律に加算用スタミナ値Saddを加算するとしてもよい。
【0104】
前記実施形態では、
図2Bの#21に示すように、加算後のスタミナ値S1がその最大値であるSmaxを超えない範囲で加算させると説明した。しかし、最大値を設けずに、すなわちSmaxを超えて加算させてもよい。
【0105】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 ゲームシステム
232 照合手段(認証手段)
235 許容値増加手段
562 ゲーム実行手段
563 実行禁止手段
564 設定手段
565 報知手段