(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/55 20060101AFI20220713BHJP
A61Q 3/02 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A61K8/55
A61Q3/02
(21)【出願番号】P 2022098975
(22)【出願日】2022-06-20
【審査請求日】2022-06-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518332088
【氏名又は名称】株式会社コンフェスタ
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】森下 利香
(72)【発明者】
【氏名】田中 久生
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第5636533(JP,B1)
【文献】特開2010-053097(JP,A)
【文献】特開2017-066041(JP,A)
【文献】特開2017-088560(JP,A)
【文献】国際公開第2014/041692(WO,A1)
【文献】特開平07-323043(JP,A)
【文献】特開平11-209245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A45D 29/00-31/00
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)成分から(C)成分を含有する人工爪組成物。
(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物
(B)成分:以下の式で表される化合物
【化1】
(C)成分:ラジカル重合開始剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物を他の共重合可能な単量体と共重合した重合体は皮膜形成性があり、人工爪組成物として用いられる。
【0003】
人工爪組成物に求められる特性として、表面の滑らかさや光沢、及び皮膜の耐久性等が挙げられ、例えば、(A)分子鎖の両末端にラジカル重合性不飽和結合を有するポリシロキサン化合物由来の構成単位0.1~50重量%と、これと共重合可能なラジカル重合性単量体由来の構成単位50~99.9重量%とからなる、重量平均分子量30,000~1,500,000の重合体と、(B)揮発性シリコーンとを含有する皮膚用又は爪用化粧料が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人工爪組成物は、アセトン等の有機溶剤に膨潤させ、被膜硬化物を軟化させて爪甲上から除去する場合が多い。そこで、爪甲上から容易に除去可能な特性も求められる。
【0006】
本発明の目的は、天然爪と人工爪との良好な接着性と、人工爪を天然爪の爪甲から除去する際の容易な除去性とを両立した人工爪組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の酸性リン化合物を用いることで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明は、以下の(A)成分から(C)成分を含有する人工爪組成物を提供する。
(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物
(B)成分:以下の式で表される化合物
【化1】
(C)成分:ラジカル重合開始剤
【0009】
本発明によると、(A)成分による(メタ)アクリル系化合物の重合反応から得られる高い接着強度と、(B)成分の酸性リン化合物によって得られる基体との高い密着性との両方が得られるため、天然爪と人工爪との良好な接着性が得られる。
【0010】
また、(B)成分は、アクリル酸化合物であり、メタクリル酸化合物に比べてガラス転移温度Tgが低い。Tgがより低いことにより、人工爪組成物の硬化物を除去するときの有機溶剤に対する膨潤性が高く、より柔軟になる。これにより、本発明によると、有機溶剤を用いた天然爪からの除去がより容易になる。
【0011】
したがって、本発明によると、天然爪と人工爪との良好な接着性と、人工爪を天然爪の爪甲から除去する際の容易な除去性とを両立した人工爪組成物を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、天然爪と人工爪との良好な接着性と、人工爪を天然爪の爪甲から除去する際の容易な除去性とを両立した人工爪組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0014】
<人工爪組成物>
本実施形態に係る人工爪組成物は、(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物と、(B)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物と、(C)成分:ラジカル重合開始剤とを含有する。
【0015】
〔(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物〕
(A)成分の種類は、特に限定されない。例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等に例示される水酸基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー等も例示される。
【0017】
二官能以上のモノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
ポリオールのアルキレンオキサイドの(メタ)アクリレートとして、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタントリテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセンリトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
また、ビスフェノールA、F、S等のビスフェノール類のアルキレンオキサイド変性体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA、F、S等の水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA、F、S等の水添ビスフェノール類のアルキレンオキサイド変性体のジ(メタ)アクリレート、トリスフェノール類のアルキレンオキサイド変性体のジ(メタ)アクリレート等も例示される。
【0020】
また、(メタ)アクリル基とイソボルニル基(イソボルネオ―ルからOHが一つ取れたもの)とが結合したイソボルニル(メタ)アクリレート等も例示される。
【0021】
また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレングリコールのポリラクトネートジ(メタ)アクリレート、グリセリン、ジグリセン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリラクトネート(メタ)アクリレート等の多官能モノマーも例示される。
【0022】
なお、本実施形態において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、アクリロイル基含有重合性モノマーとメタクリロイル基含有重合性モノマーとのいずれも含むものとする。
【0023】
(A)成分は、1種類でなく、2種類以上の混合物であってもよい。また、人工爪組成物は、(A)成分以外に、他の重合性化合物、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有する単量体のオリゴマー又はポリマーを含んでいてもよい。また、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していてもよい。
【0024】
複数の(メタ)アクリロイル基を分子中に有するオリゴマーとしては、例えば、複数の単量体が重合して鎖状となった分子鎖構造と、複数の(メタ)アクリロイル基と、を分子中に有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。なお、(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、通常、400以上50,000以下である。
【0025】
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、複数のウレタン結合を分子鎖中に有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシドの開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、複数のエステル結合を分子鎖中に有するポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、複数のエーテル結合を分子鎖中に有するポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
【0026】
中でも、(A)成分は、(A1)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(A2)(メタ)アクリル系ビニルモノマー及び/又はイソボルニル(メタ)クリレートモノマーとの混合物であることが好ましく、(A1)ウレタンアクリレートオリゴマーと、(A2)メタクリル系ビニルモノマー及び/又はイソボルニルメタクリレートモノマーとの混合物であることがより好ましい。(A)成分がウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことにより、人工爪用組成物から形成された人工爪の割れが生じにくいという利点がある。また、人工爪用組成物から形成された人工爪が生体の爪に密着しやすいという利点がある。また、アルキル(メタ)アクリレートモノマー及び/又はイソボルニル(メタ)クリレートモノマーを含有することにより、より優れた硬度を有する人工爪を形成することができる。
【0027】
(A1)成分と(A2)成分の質量比は特に限定されないが、(A1)成分:(A2)成分=50:50~80:20の範囲内にあることが好ましく、60:40~75:25の範囲内にあることがより好ましい。
【0028】
(A)成分の含有量は特に制限されないが、人工爪組成物がジェルネイル組成物、すなわち、コーティング(表面側に塗布され、艶出しや保護のために設けられるトップジェル層としてのジェルネイル)や、接着(爪側に設けられ爪との密着性を確保するために設けられるベースジェル層としてのジェルネイル)、着色(トップジェル層とベースジェル層の間に設けられ、発色のためのカラー層としてのジェルネイル)等を用途とする場合、(A)成分の含有量の下限は、人工爪組成物100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、50質量部以上であることが特に好ましい。また、(A)成分の含有量の上限は、人工爪組成物100質量部に対して90質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましい。
【0029】
人工爪組成物がプライマー(爪の表面に塗布し、爪とジェルネイルとの間の密着性を高めるための液剤。ネイルプライマー、ジェルネイル用下地剤等とも称される。)を用途とする場合、(A)成分の含有量の下限は、人工爪組成物100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。また、(A)成分の含有量の上限は、人工爪組成物100質量部に対して40質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましく、8質量部以下であることが特に好ましい。
【0030】
〔(B)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物〕
本実施形態において、(B)成分は、以下の式で表される化合物である。
【化2】
n=1の場合:2-アクリロキシエチルフォスフェート
n=2の場合:ビス(2-アクリロキシエチル)-フォスフェート
【0031】
本実施形態によると、(A)成分による(メタ)アクリル系化合物の重合反応から得られる高い接着強度と、(B)成分の酸性リン化合物によって得られる基体との高い密着性との両方が得られるため、天然爪と人工爪との良好な接着性が得られる。
【0032】
また、(B)成分は、アクリル酸化合物であり、メタクリル酸化合物に比べてガラス転移温度Tgが低い。Tgがより低いことにより、人工爪組成物の硬化物を除去するときの有機溶剤に対する膨潤性が高く、より柔軟になる。これにより、本発明によると、有機溶剤を用いた天然爪からの除去がより容易になる。
【0033】
したがって、本実施形態によると、天然爪と人工爪との良好な接着性と、人工爪を天然爪の爪甲から除去する際の容易な除去性とを両立した人工爪組成物を提供することができる。
【0034】
(B)成分の含有量は特に制限されないが、人工爪組成物が上述したコーティング、接着、着色等を用途とする場合、(B)成分の含有量の下限は、人工爪組成物100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。また、(B)成分の含有量の上限は、人工爪組成物100質量部に対して40質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましく、8質量部以下であることが特に好ましい。
【0035】
人工爪組成物が上述したプライマーを用途とする場合、(B)成分の含有量の下限は、人工爪組成物100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、50質量部以上であることが特に好ましい。また、(B)成分の含有量の上限は、人工爪組成物100質量部に対して90質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましい。
【0036】
〔(C)成分:ラジカル重合開始剤〕
本実施形態に記載の人工爪組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する。カチオン重合開始剤の使用は、毒性の問題を生じ得るため好ましくない。
【0037】
ラジカル重合開始剤は、光硬化性であってもよく、熱硬化性であってもよいが、数10秒から数分で人工爪組成物を固められることから、ラジカル重合開始剤は、光硬化性であることが好ましい。
【0038】
[光ラジカル重合開始剤]
人工爪組成物が光硬化性である場合、(C)成分は、光の作用によりラジカル共重合を開始させる能力を有するものであれば特に限定されない。例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-フェニル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;α-アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2-エチルアントラキノン、4’,4’’-ジエチルイソフタロフェノン等のケトン系開始剤;2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-イミダゾール等のイミダゾール系開始剤;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系開始剤;カルバゾール系開始剤等が挙げられる。
【0039】
光ラジカル重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0040】
光ラジカル重合開始剤の含有量は特に限定されるものでないが、人工爪組成物100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
【0041】
[熱ラジカル重合開始剤]
人工爪組成物が熱硬化性である場合、(C)成分は、常温熱硬化性を有することが好ましい。
【0042】
常温熱硬化性を有する熱ラジカル重合開始剤として、有機過酸化物およびアゾ化合物のいずれを使用してもよい。有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3、3.5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、イソブチリルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m-トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-s-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-m-トルイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシアセテート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(m-トルイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン等が挙げられる。
【0043】
アゾ化合物の具体例として、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジンー2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。
【0044】
熱ラジカル重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0045】
熱ラジカル重合開始剤の含有量は特に限定されるものでないが、人工爪組成物100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
【0046】
なお、(C)成分は、熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤の両方を含むものであってもよい。
【0047】
〔各種添加剤〕
本実施形態の人工爪組成物には、必要に応じて、公知の各種添加剤を配合することができる。かかる添加剤の例としては、重合促進剤、重合禁止剤、着色剤、変色防止剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、揮発性有機溶媒等が挙げられる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0049】
<人工爪組成物>
〔使用した成分〕
(A)1分子中に1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物
A1:ウレタンアクリレートオリゴマー(ポリエーテル系、重量平均分子量:15000)
A2:ウレタンアクリレートオリゴマー(ポリエーテル系、重量平均分子量:4500)
A3:2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
A4:イソボルニルメタクリレート
【0050】
(B)リン酸エステル化合物
B1:2-アクリロキシエチルフォスフェート(実施例)
B2:ビス(2-アクリロキシエチル)-フォスフェート(実施例)
B3:2-メタクリロキシエチルフォスフェート(比較例)
B4:ビス(2-メタクリロキシエチル)-フォスフェート(比較例)
B5:エチルアシッドホスフェート(比較例)
【0051】
B3~B5の構造式は以下の通りである。
【化3】
n=1の場合:2-メタクリロキシエチルフォスフェート(化合物B3)
n=2の場合:ビス(2-メタクリロキシエチル)-フォスフェート(化合物B4)
【化4】
エチルアシッドホスフェート(化合物B5)
【0052】
(C)光重合開始剤
C1:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
【0053】
〔人工爪組成物の調整〕
表1-4の調整混合に従い、上記A1-A4、B1-B5、C1の成分を電子天秤により計量後、攪拌混合して実施例1-19、比較例1-14に係る人工爪組成物を調製した。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
実施例1-19は、本発明の人工爪組成物に相当する。比較例1は、本発明の(B)成分に相当する成分を含有しない人工爪組成物に相当する。比較例2-14は、本発明の(B)成分とは異なるリン酸エステル化合物を含有する人工爪組成物に相当する。以下、比較例2-14の人工爪組成物等を単に「従来技術の人工爪組成物」とも称する。
【0059】
<評価試験>
調製した人工爪組成物それぞれについて、以下に示す手順で接着性試験1及び2並びに除去性試験1及び2を行った。
【0060】
〔評価試験の手順〕
[接着性試験1]
接着性試験1では、人工爪組成物を平滑ガラス面(スライドガラス)に塗布し、硬化させた場合の接着性(接着性1)を評価した。接着性試験1の詳細な手順を以下に示す。
【0061】
(接着性試験1用サンプルの作製)
まず、スライドガラス(松浪硝子工業社製S1214)を無水エタノールで洗浄し、これを被着体とする。
【0062】
続いて、スペーサー(厚み0.1mm)を使用し、手順1-1で得られた被着体のうち、厚さ約100μm(縦20mm×横40mm)の範囲に人工爪組成物を塗布し、市販ジェルネイル専用LEDライトを使用して硬化体を得る。
【0063】
続いて、硬化体表面の未硬化層を、エタノールを含侵させたワイプでふき取り、接着性試験1用サンプルを得る。
【0064】
(接着性試験1における接着性の評価及び評価尺度)
続いて、スライドガラス上の人工爪組成物硬化体の長手方向より、カミソリ刃(フェザー社製、剃刀替刃(片刃))をガラス板に対して25°の角度で侵入させ、人工爪組成物硬化体がスライドガラス上から剥離するように押し込む。
【0065】
そして、カミソリ刃を押し込んだときのカミソリ刃の侵入状況を表5の尺度で分類したものを接着性試験1の評価点(接着性1)とする。
【0066】
【0067】
[接着性試験2]
接着性試験2では、人工爪組成物を被験者の天然爪に塗布して硬化後、一定期間の日常生活を送った後の人工爪組成物の接着性(接着性2)を評価した。接着性試験2の詳細な手順を以下に示す。
【0068】
(接着性試験2用サンプルの作製)
ジェルネイル用ネイルファイル(爪やすり、粗さ:600グリッド)を使用して、天然爪表面を削り新鮮面を得る。
【0069】
続いて、新鮮面を、エタノールを含侵させたワイプでふき取り、粉塵の除去と油分除去を行う。
【0070】
続いて、粉塵等を除去した新鮮面に人工爪組成物を塗布し、市販ジェルネイル専用LEDライトを使用して硬化させる。
【0071】
続いて、硬化させた人工爪組成物の上から市販トップジェルを塗布し、市販ジェルネイル専用LEDライトを使用して硬化させる。なお、トップジェルは、天然爪に塗布した人工爪組成物等のジェルネイルを用いた美粧の表面に塗布し、良好なツヤを得るためのジェルネイル商材である。
【0072】
(接着性試験2における接着性の評価及び評価尺度)
美粧を天然爪上に施した状態で、被験者は、14日間の日常生活を送る。そして、14日間の日常生活を送った後の天然爪上の人工爪組成物硬化体の状態を表6の尺度で分類したものを接着性試験2の評価点(接着性2)とする。
【0073】
【0074】
[除去性試験1]
除去性試験1では、スライドガラス上で硬化させた人工爪組成物の接着状態、膨潤状態、及びプラスチックバチュラ侵入時の強度を用いて、人工爪組成物の除去性(除去性1)を評価した。除去性試験1の詳細な手順を以下に示す。
【0075】
(除去性試験1用サンプルの作製)
除去性試験1用サンプルの作製手順は、接着性試験1と同様である。
【0076】
(除去性試験1における除去性の評価及び評価尺度)
作製した除去性試験1用サンプルを浸漬液(アセトン)に10分間浸漬する。そして、浸漬した除去性評価用サンプルを浸漬液から取り出し、浸漬液をふき取る。
【0077】
続いて、浸漬液をふき取った除去性試験1用サンプルの接着状態及び膨潤状態等の外観を観察する。除去性評価用サンプルがスライドガラスからはく離していない場合、接着界面にプラスチックスパチュラを侵入させて人工爪組成物硬化体を除去可能であるか否かと除去に要する侵入強度とを確認する。
【0078】
これらの観察結果を表7の尺度で分類したものを除去性試験1の評価点(除去性1)とする。
【0079】
【0080】
[除去性試験2]
除去性試験2では、接着性試験2と同様に人工爪組成物を被験者の天然爪に塗布して硬化後、一定期間の日常生活を送った後の人工爪組成物の除去性(除去性2)を評価した。除去性試験2の詳細な手順を以下に示す。
【0081】
(除去性試験2用サンプルの作製)
除去性試験2用サンプルの作製は、接着性試験2と同様である。
【0082】
(除去性試験2における除去性の評価及び評価尺度)
除去性試験2用サンプルの作製による美粧を天然爪上に施した状態で、被験者は、14日間の日常生活を送る。
【0083】
14日間の日常生活を送った後の天然爪上の人工爪組成物硬化体等の美粧に対し、ジェルネイル用ネイルファイル(爪やすり、粗さ:80グリッド)を用いて最表面のトップジェルを削り落とす。
【0084】
そして、トップジェルを削り落とした人工爪組成物硬化体上に、アセトンを含侵させたワイプを載置し、アルミホイルで指先を包み込む。これにより、アセトンの蒸発が防がれ、アセトンによって人工爪組成物硬化体が膨潤する状態となる。そして、指先を10分間静置した後にアルミホイル及びワイプを除去する。
【0085】
アルミホイル及びワイプを除去した後の人工爪組成物硬化体を天然爪から除去することを試み、その様子を観察する。この観察の結果を表8の尺度で分類したものを除去性試験2の評価点(除去性2)とする。
【0086】
【0087】
〔評価試験の結果〕
接着性試験1及び2並びに除去性試験1及び2の結果を表9に示す。
【0088】
【0089】
〔結果の考察〕
表9に示した試験結果について、考察する。
【0090】
[接着性]
接着性1が「××」「×」の人工爪組成物は、爪甲表面に対する良好な接着性がなく短期間で剥離及び/又は脱落を生じると推測される。一方、接着性1が「〇」の人工爪組成物は、爪甲表面に対する良好な接着性があり、爪甲表面に対して長期に渡り接着し、剥離及び脱落が生じないと推測される。
【0091】
接着性試験1において、実施例1-19は良好な接着性を示した一方で、比較例1、13-14は十分な接着性を得られなかった。
【0092】
接着性2が「××」「×」の人工爪組成物は、天然爪の爪甲表面に対する良好な接着性がなく、試験期間中に剥離及び/又は脱落が生じた。一方、接着性2が「〇」「◎」の人工爪組成物は、爪甲表面に対する良好な接着性があり、試験期間中において爪甲表面に接着し、剥離及び脱落が実質的に生じなかった。
【0093】
接着性試験2において、実施例1-19は良好な接着性を示した一方で、比較例1、13-14は十分な接着性を得られなかった。
【0094】
接着性試験1及び接着性試験2から、本発明の人工爪組成物は、従来技術の人工爪組成物と同等の接着性を有するものと考えられる。
【0095】
また、接着性1と接着性2とが概ね対応することから、天然爪に見立てたスライドガラスを用いる接着性試験1は、人工爪組成物の接着性試験として妥当であるものと考えられる。
【0096】
特に、実施例4、5、10-13及び19では、他の実施例に比べて接着性に優れることが確認された。これは、(A)成分と(B)成分との量比が優れ、(A)成分による(メタ)アクリル系化合物の重合反応から得られる高い接着強度と、(B)成分の酸性リン化合物によって得られる基体との高い密着性とのバランスがとれているためと推察される。
【0097】
一方、比較例1では十分な接着性を得られなかった。これは、比較例1に係る組成物は、(B)成分の酸性リン化合物を含有しておらず、接着界面において基体との十分な密着性が得られなかったためと推察される。
【0098】
比較例13-14もまた、十分な接着性を得られなかった。これは、比較例13-14に係る組成物が(B)成分として含有するエチルアシッドホスフェートは、実施例1-19のような(メタ)アクリル酸化合物でないため、接着界面において基体との十分な密着性が得られなかったためと推察される。
【0099】
[除去性]
除去性1が「××」「×」の人工爪組成物は、その硬化物を爪甲表面から容易に除去することが困難であり、無理に除去することにより爪甲表面にダメージを与える可能性があると推測される。一方、除去性1が「〇〇」「〇」「◎◎」「◎」の人工爪組成物は、爪甲表面からの硬化物の除去性が良好であり、爪甲表面にダメージを与えることなく除去可能であると推測される。
【0100】
除去性試験1において、実施例1-19は、いずれも良好な除去性を示した。一方、比較例2-12では、人工爪組成物の硬化物を爪甲表面から容易に除去することが困難であった。
【0101】
除去性2が「×」の人工爪組成物は、その硬化物を爪甲表面から容易に除去することが困難であり、無理に除去することにより爪甲表面にダメージを与える結果となった。一方で、除去性2が「〇」「◎◎」「◎」の人工爪組成物は、爪甲表面からの硬化物の除去性が良好であり、爪甲表面にダメージを与えることなく除去可能であった。
【0102】
除去性試験2において、実施例1-19は、いずれも良好な除去性を示した。一方、比較例2-12では、人工爪組成物の硬化物を爪甲表面から容易に除去することが困難であった。
【0103】
除去性試験1及び除去性試験2から、本発明の人工爪組成物は、従来技術の人工爪組成物より優れた除去性を有するものと考えられる。
【0104】
(B)成分について、B1及びB2は、アクリル酸化合物であり、B3及びB4のようなメタクリル酸化合物に比べてガラス転移温度Tgが低い。Tgがより低いことにより、実施例の人工爪組成物は、該組成物の硬化物を除去するときに、従来技術の人工爪組成物の硬化物より有機溶剤に対する膨潤性が高く、より柔軟であるものと考えられる。これにより、実施例の人工爪組成物は、有機溶剤を用いた天然爪からの除去がより容易になっているものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本実施形態に記載の発明によると、天然爪と人工爪との良好な接着性と、人工爪を天然爪の爪甲から除去する際の容易な除去性とを両立した人工爪組成物を提供できる。すなわち、本発明は、天然爪への強度付与、変形変色した天然爪の再生、及び/又は天然爪の保護の目的で使用した場合の天然爪への接着性に優れているだけでなく、使用後の除去性においても優れた人工爪組成物を提供可能である。
【要約】
【課題】天然爪と人工爪との良好な接着性と、人工爪を天然爪の爪甲から除去する際の容易な除去性とを両立した人工爪組成物を提供する。
【解決手段】本発明の人工爪組成物は、以下の(A)成分から(C)成分を含有する。
(A)成分:分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物
(B)成分:以下の式で表される化合物
【化1】
(C)成分:ラジカル重合開始剤
【選択図】なし