(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】搬送方法およびコンベア
(51)【国際特許分類】
B65G 47/29 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
B65G47/29 E
(21)【出願番号】P 2020144893
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】596066024
【氏名又は名称】西部自動機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越智 研二
(72)【発明者】
【氏名】栃尾 善幸
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-047227(JP,U)
【文献】実開昭50-117579(JP,U)
【文献】特開平09-002633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環移動するベルトを有するコンベアにより断面が円形の複数の搬送物を間隔を空けて搬送する搬送方法であって、
搬送方向に伸びる一対の案内部を、上から見たときにその間に前記ベルトが露出するように前記搬送方向に直交する水平方向に間隔を有して配置して、前記搬送物の軸心を前記ベルトの移動方向に一致させて前記ベルト上に載せられ搬送されるとき前記搬送物の転がりを防止できるように前記間隔を調整し、
前記ベルトが循環移動するとき前記ベルト上の前記搬送物の移動のみを制限する整列手段を搬送
元に配し、
前記ベルトに第一搬送距離および第二搬送距離の循環移動を連続でなくこれらに間隔を設けて繰り返し行わせ、
前記第一搬送距離および前記第二搬送距離の循環移動の繰り返しにおいて、
前記ベルトが第一搬送距離を循環移動する
間は、前記整列手段
に特定位置からの前記搬送物の移動を制限
する動作を行わせ、
その後前記ベルトが前記第二搬送距離の循環移動を開始する前に前記整列手段が前記搬送物の移動の制限を解除
し、
前記第一搬送距離および前記第二搬送距離は、
前記整列手段が前記搬送物の移動を制限するための動作を行うとき前記搬送物が前記整列手段の干渉を受けることがない位置まで移送されていることを前提として、前記搬送物が前記整列手段により移動を阻止された位置から搬送先までの移動距離および前記搬送物の軸方向長さから決定される
ことを特徴とする搬送方法。
【請求項2】
前記ベルトが前記第二搬送距離の循環移動を行うときに搬送先に最も近い前記ベルト上の前記搬送物を係止してその移動のみを制限する係止手段を前記搬送先に配する
請求項1に記載の搬送方法。
【請求項3】
ベルトを循環移動させて断面が円形の搬送物を搬送するコンベアであって、
搬送方向に伸び前記搬送方向に直交する水平方向に間隔を有して配されその上を前記搬送物が移動する一対の案内部と、
前記ベルトを循環移動させて前記搬送物を搬送する搬送装置と、
搬送元に配されて前記搬送物の移動のみを制限する
整列装置と、
前記搬送装置と前記整列装置とを制御する制御装置と、を有し、
一対の前記案内部は、その間に前記ベルトを露出させ、前記ベルトが前記搬送物を支持するときにそれぞれが前記搬送物の周面に接触可能に形成されており、
前記整列装置は、前記案内部の直上とこれから離れた位置とを往復移動可能であってその往路端である前記案内部の直上で一対の前記案内部上の前記搬送物の前記搬送方向への移動を阻止するストッパーを備えて
おり、
前記制御装置は、
前記搬送装置に対して、時間を空けて前記ベルトが第一搬送距離および第二搬送距離の循環移動を繰り返し行わせ、
前記整列装置に対して、前記ベルトが前記第一搬送距離を循環移動した後に前記ストッパーを前記案内部の直上から復路端に移動させ、前記ベルトが前記第二搬送距離を循環移動した後に前記ストッパーを前記往路端に移動させるように構成され、
前記第一搬送距離および前記第二搬送距離は、
前記ストッパーが前記搬送物の移動を制限するための動作を行うとき前記搬送物が前記ストッパーの干渉を受けることがない位置まで移送されていることを前提として、前記搬送物が前記ストッパーにより移動を阻止された位置から搬送先までの移動距離および前記搬送物の軸方向長さから決定される
ことを特徴とするコンベア。
【請求項4】
一対の前記案内部における前記搬送方向の端に、前記ベルトとともに移動する前記搬送物のみを係止してその移動を制限する係止部が設けられた
請求項3に記載のコンベア。
【請求項5】
一対の前記案内部は、前記水平方向の前記間隔が変更可能である
請求項3または請求項4に記載のコンベア。
【請求項6】
前記ストッパーは、前記案内部の直上と前記搬送方向に対し傾斜する上方とを往復移動する
請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のコンベア。
【請求項7】
前記ストッパーが前記往路端に位置するときに前記ストッパーに移動を阻止された前記搬送物の有無を検出するセンサが設けられた
請求項
6に記載のコンベア。
【請求項8】
前記搬送物の搬送先に前記搬送物の存在の有無を検出するセンサが設けられた
請求項7に記載のコンベア。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記第一搬送距離および前記第二搬送距離の算出を、
前記搬送物が、前記ストッパーによりその移動を阻止された状態から移動阻止が解除され前記第二搬送距離を移動したときに前記ストッパーの移動阻止動作により干渉を受けない位置まで搬送されていることを前提として、
入力されまたは記憶する、
前記搬送物が前記ストッパーにより移動を阻止された位置から前記搬送先までの移動距離と、
前記搬送物の軸方向長さと、
に基づいて行うように構成された
請求項3ないし請求項8のいずれか1項
に記載のコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面形状が円形の搬送対象物を一定の位置まで搬送する搬送方法およびコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば 周面が超仕上等の鏡面処理がなされた加工物は、コンベア等で搬送する際の表面のキズ発生を防止するために、互いの接触を避けるのが好ましい。コンベアでの搬送時におけるこの加工物のような搬送物相互の接触を避けるために、ベルトコンベアのベルトの外周面に、外方に起立する板状の桟を周方向に間隔を設けて複数配する技術が提案されている。この技術では、搬送方向のいずれかにベルトの外周面を傾斜させて、桟の間に円柱状または円錐台状の搬送物を一つ載せる。搬送物は、傾斜するベルトの下方側の桟まで転がり、これより搬送物相互に一定の間隔が生じて、互いに接触することなく搬送される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に提案された搬送技術は、搬送対象を外径が異なる円柱状または円錐台状の搬送物に変更する場合に、搬送装置の構成部品を交換することなく容易に対応することができる。
しかし、特許文献1に提案された搬送技術は、高さ(長さ)が異なる搬送物に対応可能とするため、搬送物の高さ(長さ)に比べてベルトの幅が大きく、搬送先での(ベルト幅方向における)搬送物の位置にばらつきの生ずる可能性がある。搬送先の搬送物の位置のばらつきは、搬送物が例えば次工程の部品であれば、次工程への移送機械、ロボット等によるハンドリング(部品における掴まれる位置、部品の姿勢等)に微妙な差が生じ、次工程における適切な組み入れ位置まで部品が搬送されない虞がある。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、断面形状が円形の搬送物をコンベア上における同じ位置に搬送できる搬送方法およびこれを実現するコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る搬送方法は、循環移動するベルトを有するコンベアにより断面が円形の搬送物を搬送する方法に関する。
その方法は、搬送方向に伸びる一対の案内部を、上から見たときにその間にベルトが露出するように搬送方向に直交する水平方向に間隔を有して配置する。一対の案内部は、搬送物の軸心をベルトの移動方向に一致させてベルト上に載せられ搬送されるとき搬送物の転がりを防止できるように間隔を調整する。
【0007】
搬送元には、ベルトが循環移動するときベルト上の搬送物の移動のみを制限する整列手段を配する。
搬送物の搬送時に、ベルトに第一搬送距離および第二搬送距離の移動を連続ではなくこれらに間隔を設けて繰り返し行わせる。この繰り返しにおいて、ベルトが第一搬送距離を移動する間は、整列手段に特定位置からの搬送物の移動を制限する動作を行わせ、その後ベルトが第二搬送距離の循環移動を開始する前に整列手段が搬送物の移動の制限を解除する。
第一搬送距離および第二搬送距離は、整列手段が搬送物の移動を制限するための動作を行うとき搬送物が整列手段の干渉を受けることがない位置まで移送されていることを前提として、搬送物が整列手段により移動を阻止された位置から搬送先までの移動距離および搬送物の軸方向長さから決定される。
【0008】
したがって、この方法では、ベルトが第一搬送距離を移動したとき、搬送物はこの距離よりも短い距離を移動する。
断面が円形の搬送物の搬送を、ベルトが第二搬送距離の循環移動を行うときに搬送先に最も近いベルト上の搬送物を係止してその移動のみを制限する係止手段を搬送先に配して行うことができる。
【0009】
本発明に係るコンベアは、ベルトを循環移動させて断面が円形の搬送物を搬送するコンベアである。コンベアは、一対の案内部、ベルトを循環移動させて搬送物を搬送する搬送装置、搬送元に配されて搬送物の移動のみを制限する整列装置、および搬送装置と整列装置とを制御する制御装置を有する。
一対の案内部は、搬送方向に伸び、搬送方向に直交する水平方向に間隔を有して配され、その上を搬送物が移動する。搬送装置は、ベルトを循環移動させて搬送物を搬送する。整列装置は、ベルト上に複数の搬送物を整列させるためのものである。制御装置は、搬送装置および整列装置を制御するものである。
【0010】
コンベアにおいて、一対の案内部は、その間にベルトを露出させ、ベルトが搬送物を支持するときにそれぞれが搬送物の周面に接触可能に形成されている。整列装置は、前記案内部の直上とこれから離れた位置とを往復移動可能であってその往路端である案内部の直上で一対の案内部上の搬送物の搬送方向への移動を阻止するストッパーを備えている。
制御装置は、搬送装置に対して、時間を空けてベルトが第一搬送距離および第二搬送距離の循環移動を繰り返し行わせ、整列装置に対して、ベルトが第一搬送距離を循環移動した後にストッパーを案内部の直上から復路端に移動させ、ベルトが第二搬送距離を循環移動した後にストッパーを往路端に移動させるように構成されている。
第一搬送距離および第二搬送距離は、ストッパーが搬送物の移動を制限するための動作を行うとき搬送物がストッパーの干渉を受けることがない位置まで移送されていることを前提として、搬送物がストッパーにより移動を阻止された位置から搬送先までの移動距離および搬送物の軸方向長さから決定される。
【0011】
好ましくは、一対の案内部は、円形断面の径が異なる搬送物を搬送できるよう水平方向の間隔が変更可能である。
ストッパーは、案内部の直上と搬送方向に対し傾斜する上方とを往復移動する。
【0012】
好ましくは、ストッパーが前記往路端に位置するときにストッパーに移動を阻止された搬送物の有無を検出するセンサが設けられる。
また、好ましくは、搬送物の搬送先に搬送物の存在の有無を検出するセンサが設けられる。
コンベアにおける制御装置は、第一搬送距離および第二搬送距離の算出を、搬送物が、ストッパーによりその移動を阻止された状態から移動阻止が解除され第二搬送距離を移動したときにストッパーの移動阻止動作により干渉を受けない位置まで搬送されていることを前提として、入力されまたは記憶する、搬送物が前記ストッパーにより移動を阻止された位置から搬送先までの移動距離、および搬送物の軸方向長さに基づいて行うように構成される。
【0013】
ここで、「第一搬送距離」とは本発明の実施例における「予備距離S」と「第一移動距離T1」との和であり、「第二搬送距離」とは本発明の実施例における「第二移動距離T2」を言う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、断面形状が円形の搬送物をコンベア上における同じ位置に搬送できる搬送方法およびこれを実現するコンベアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図7】
図7は搬送元センサの高さ変更および進退の様子を示す図である。
【
図8】
図8は搬送元センサの高さと円すい台形搬送物との関係を示す図である。
【
図11】
図11は搬送装置と整列装置とが連携する動作を示す図である。
【
図12】
図12はコンベア上における搬送物の間隔を説明する図である。
【
図15】
図15は他のコンベアの動作を示すダイアグラムである。
【
図16】
図16は他のコンベア上における搬送物の間隔を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1はコンベア1の正面図、
図2はコンベア1の平面図、
図3はコンベア1の左側面図、
図4はコンベア1の斜視図、
図5は
図1におけるA-A矢視断面図、
図6は搬路幅調整部19の機能を示す図、
図7は搬送元センサ43の高さ変更および進退の様子を示す図、
図8は搬送元センサ43の高さと円すい台形搬送物との関係を示す図、
図9は整列装置6の動作を示す図である。
【0017】
コンベア1は、基部2、搬路形成部3、搬送装置4、検知装置5および整列装置6を有する。
基部2は、搬路形成部3、搬送装置4、検知装置5および整列装置6を支え、コンベア1全体を設置場所に一体化するためのものである。基部2は設置場所に置かれて一体化するための台部11および台部11に一体化された搬路支持部12を備える。搬路支持部12は、正面視(
図1)略逆台形の板材が上方に拡がり、その下方が台部11から上方に起立する板状部分に固定されている。台部11と搬路支持部12との固着は、リブにより補強される。
【0018】
基部2は、2つのアジャストボルト13,14により、水平面における直交する2方向に位置を変えることができる。
搬路形成部3は、保持板15、ベルト支持板16、右案内部17、左案内部18および搬路幅調整部19等からなる。
保持板15は、幅に比べて長さが極めて長く全体として板状であるが、平面視(
図2)において長手方向の搬送先から約三分の一が、他の約三分の二の部分よりも幅が狭い。これは、このコンベア1が設置される場所の周囲に配された他の機器との干渉を防ぐためであり、他の機器に制約を受けなければ、長手方向全体の幅を同一としてもよい。
【0019】
なお、
図2には搬路として右案内部17および左案内部18が図示されるが、保持板15の平面視における形状もこれらを併せた形状に近似する。「搬路」とは、その上で搬送物が搬送される経路をいう。
保持板15は、その上面で、右案内部17および左案内部18を搬路の幅方向に移動可能に保持する。保持板15は、搬路支持部12に固定されている。
【0020】
以後、単に「幅方向」と記す場合は「搬路の幅方向」をいう。
ベルト支持板16は、長さが保持板15に略等しく幅が保持板15より狭く厚さも小さな、帯状の板である。ベルト支持板16は、保持板15の上面に保持板15に平行に固着されている。ベルト支持板16は、その上で循環するベルト31を支持する。ベルト支持板16は、その幅がベルト31の幅よりも大きい。
【0021】
右案内部17および左案内部18は、平面視においていずれも搬送方向に極めて長く、搬送方向に拡がる鉛直面に直交するどの部分の断面形状も面対称である。平面視において右案内部17は搬送方向の右に配され、左案内部18は搬送方向の左に配されている。右案内部17および左案内部18は、平面視において搬送先から長手方向内方の約三分の一が内方に偏った狭い幅となっている。この平面視における形状は保持板15と同じである。
【0022】
右案内部17は、
図5を参照して、幅方向内方側の上面が幅方向の内方に向かうに伴い高さが小さくなっている。この内方に向け低くなって傾斜する面を右案内面21という。右案内部17は、右案内面21の下方に長手方向に伸びた右切り欠き23が設けられている。右切り欠き23は、
図5において直角台形の長底辺の鋭角部分が矩形状に欠落した、その欠落した部分である。
【0023】
右案内部17および左案内部18は面対称であるから、左案内部18も左案内面22および左切り欠き24を備える。右切り欠き23および左切り欠き24は、右案内部17および左案内部18が幅方向に並んだとき、その中にベルト支持板16およびベルト31を収容できる大きさである。右案内部17および左案内部18は、幅方向に間隔を有し、平面視においてこれらの間にベルト31が露出する。
【0024】
右案内部17および左案内部18は、摩擦係数が低く自己潤滑性を有する樹脂、例えばU-PE(超高分子ポリエチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、POM
(ポリアセタール)、MCナイロン(登録商標)等の素材で形成される。
搬路幅調整部19は、4組のブラケット25、アジャストボルト26、および6つのローレット付きノブ27,…,27で構成される。
【0025】
ブラケット25は、搬路の長手方向を3分割したときの分割位置付近の幅方向両側に2つずつ配される。ブラケット25は、幅方向の鉛直断面における形状が「L」字状である。ブラケット25は、「L」字の長い厚板部分が、保持板15の下方で保持板15にまたは搬路支持部12に一体化されている。ブラケット25は、「L」字の他方の部分に、上方に開口し幅方向に伸びた溝が設けられ、この溝にアジャストボルト26が嵌め入れられている。
【0026】
それぞれのアジャストボルト26は、その雄ねじが、右案内部17および左案内部18の幅方向外方を向く側面に設けられた雌ねじに螺合されている。
6つのローレット付きノブ27,…,27は、右案内部17および左案内部18の上面に搬路の長手方向に並べて3つずつ間隔を空けて配される。ローレット付きノブ27,…,27は、その雄ねじ部分が、右案内部17および左案内部18を鉛直方向に貫通する断面が長円形の穴を経て、保持板15に設けられた雌ねじに螺合される。
【0027】
搬路幅調整部19は、例えば4つのアジャストボルト26,…,26が緩められると右案内部17および左案内部18が互いに離れるよう幅方向に移動する。ローレット付きノブ27,…,27は、堅く締め付けられることにより、移動後の右案内部17および左案内部18をその位置に固定する。
コンベア1は、搬路幅調整部19により右案内部17と左案内部18との間隔を任意に変更できる。右案内部17と左案内部18との間隔は、搬送対象物の円形断面の径の大小に応じて変更される(
図6参照)。
【0028】
右案内部17および左案内部18は、搬送対象物の円形断面の径の大小に応じた適切な間隔とすることにより、いずれも幅方向内方に傾斜するこれらの右案内面21および左案内面22が、ベルト31上の断面円形の搬送物に対して幅方向への転がりを防止する。
コンベア1は、搬路幅調整部19を備えることにより、異なる大きさの搬送対象物の搬送に対して柔軟に対応することができる。
【0029】
搬送装置4は、サーボモータ30、ベルト31、駆動プーリ32、2つのベンドプーリ33,34および2つのアイドラ35,36を有する。
サーボモータ30は、回転軸が搬路に直交しかつ水平となるように搬路支持部12に取り付けられている。サーボモータ30の回転軸には駆動プーリ32が取り付けられている。
【0030】
2つのベンドプーリ33,34は、駆動プーリ32の上方の同じ高さに、駆動プーリ32の径と略同じ間隔をあけて水平に並べて搬路支持部12に取り付けられている。ベンドプーリ33,34の回転軸は、搬路に直交する。
2つのアイドラ35,36は、搬路の長手方向のそれぞれ異なる端において、その回転軸を搬路に直交させて搬路形成部3に取り付けられている。
【0031】
循環移動するベルト31は、駆動プーリ32で移動方向が反転し、2つのベンドプーリ33により90度方向を変え、アイドラ35に向かう。その後、ベルト31は、アイドラ35で移動方向を反転させ、ベルト支持板16の上をアイドラ36に向けて移動する。つまり、ベルト31は、コンベア1稼働時には、駆動プーリ32、ベンドプーリ33、アイドラ35、アイドラ36およびベンドプーリ34を循環する。ベルト31は、表面がポリウレタンの平ベルトである。
【0032】
図1において、ベンドプーリ33,34および駆動プーリ32を囲む二点鎖線は、コンベア1稼働時にこれらを覆うカバーである。
検知装置5は、搬送元検知装置7および搬送先検知装置8に分けられる。
搬送元検知装置7は、搬送元側(
図1,2における左側)の端近傍に設けられる。搬送元検知装置7は、搬送元センサ43、検知部上下動装置41および検知部進退装置42からなる。搬送元センサ43には、投光器43aおよび受光器43bが組み合わされた透過型のファイバーセンサーが用いられる。
【0033】
検知部上下動装置41は、搬送元センサ43の高さを調節する装置である。検知部上下動装置41は、センサ保持部44およびアジャストボルト45を備える。
センサ保持部44は、側面視(
図3)の形状が、右案内部17および左案内部18を幅方向に跨ぐ略アーチ状である。センサ保持部44における形状アーチ状の両端の一方には投光器43aが他方には受光器43bが、その投光部と受光部とを対向させて取り付けられている。
【0034】
アジャストボルト45は、センサ保持部44の上部から幅方向に伸びた調整ブロック50に下向きに回転自在に嵌め入れられ、その雄ねじは、検知部進退装置42の移動部48に設けられた雌ねじに螺合されている。センサ保持部44に取り付けられた搬送元センサ43はアジャストボルト45の回転により上下し、2つのクランプレバー46,46により、その高さが固定される(
図7(a))。
【0035】
検知部上下動装置41は、搬送元センサ43が、特に円すい台形の搬送物Gがその大底面側を搬送先側にして搬路の搬送元に載せられたか否を検出するとき、次のように調整される。すなわち、検知部上下動装置41は、搬送元センサ43の高さを、搬送物Gの大底面がストッパー58に当接したとき(
図8(a))搬送物Gの存在を検出する高さであって、かつ搬送物Gの小底面がストッパー58に当接したとき(
図8(b))搬送物Gの存在を検出しない高さに調整される。
【0036】
搬送元センサ43の高さをこのように調整することで、円すい台形の搬送物Gが意図した姿勢で搬送路に載せられたか否かを判別することができる。意図した姿勢で搬送物Gが載せられていないことを検出したときは、アラームを発して作業者に姿勢異常を知らせる。
検知部進退装置42は、連結部47、移動部48およびアジャストボルト49を有する。連結部47は、厚板で形成され、搬路支持部12に固定される。移動部48は、連結部47に一体化され、保持板15の長手方向に移動可能である。移動部48には、水平方向に長い長円形の案内孔51が2つ上下に平行に設けられている。連結部47に対する移動部48の移動は、案内孔51,51と、これを貫通して連結部47の雌ねじに螺合する2つのクランプレバー52,52と、により制限される。
【0037】
移動部48には、検知部上下動装置41のアジャストボルト45が螺合する雌ねじが設けられている。
アジャストボルト49は、保持板15の長手方向に伸び、連結部47に固定された調整ブロック53に回転自在に保持されている。アジャストボルト49の雄ねじは、移動部48における調整ブロック53に対向する側面に設けられた雌ねじに螺合されている。アジャストボルト49は、その回転により移動部48を保持板15の長手方向に移動させる(
図7(b))。
【0038】
搬送先検知装置8は、搬送
先側(
図1,2における右側)の端に設けられる。搬送先検知装置8は、近接センサ8である。近接センサ8は検知部を搬送元側に向けて、左案内部18の上方に取り付けられている。
整列装置6は、シリンダ固定部55、テーブル付きシリンダ(エアスライドテーブル)56、ストッパー支持板57およびストッパー58からなる。
【0039】
シリンダ固定部55は、
図3および
図5を参照して、左側面視において「L」字状の形状の厚板で形成される。シリンダ固定部55は、その下方が基部2の搬路支持部12に固定され、左案内部18の幅方向外方を上に伸びている。ただし、シリンダ固定部55は、上方に鉛直に伸びるのではなく、少しだけ搬送先に傾斜する(
図1、
図9(b)参照)。
テーブル付きシリンダ56はテーブル61が上下に移動するように、そのシリンダ62が、左案内部18の幅方向外方においてシリンダ固定部55に固定される。テーブル付きシリンダ56は、シリンダ固定部55が傾斜するためこれと同様に少し(角度α)だけ搬送先に傾斜する。
【0040】
ストッパー支持板57は、略矩形の板材で形成され、長手方向の一方がテーブル付きシリンダ56のテーブル61に一体化されている。ストッパー支持板57は、テーブル61との連結部分から右案内部17の上方に向けて水平に伸び、その長手方向の他方の端近傍
は、搬路におけるベルト31の真上に位置する。ストッパー支持板57も、シリンダ固定部55およびテーブル付きシリンダ56と同様に、少しだけ搬送先に傾斜する。
【0041】
ストッパー58は、板材で形成され、その形状は2つの線対称である直角台形のそれぞれの長底辺を重ねた五角形である。ストッパー58は、直角台形の鋭角の頂点を下にして、直角の頂点側がストッパー支持板57に固定されている。ストッパー58は、最下部の頂角が右案内部17および左案内部18の間の真上に位置し、幅方向に拡がる。
コンベア1において、ストッパー58は、シリンダ固定部55等と異なり、真っ直ぐに(鉛直になるように)ストッパー支持板57に固定される。ストッパー58は、シリンダ固定部55の傾斜と同じ傾き(=ストッパー支持板の傾き)でストッパー支持板57に取り付けても良い。
【0042】
ストッパー58は、テーブル付きシリンダ56が伸張すると、鉛直な姿勢のままで搬送先側斜め上方に上昇する(
図9参照)。
次に、コンベア1が搬送物Gを移動させる動作を説明する。
図10はコンベア1の動作を示すダイアグラム、
図11は搬送装置4と整列装置6とが連携する動作を示す図、
図12はコンベア1上における搬送物の間隔を説明する図である。
【0043】
コンベア1の動作(前進、循環移動)は、マイクロコンピュータ、メモリ、記憶装置および入力装置等を備えた制御装置がサーボモータ30の回転を制御して行われる。
コンベア1では、断面円形の搬送物G搬送物Gは、その軸心を搬送方向に一致させて、右案内部17および左案内部18の間をベルト31とともに搬送先まで移動する。このとき、断面円形の搬送物Gは、右案内面21および左案内面22によりベルト31上における幅方向の移動が制限され、搬送過程においてその幅方向の位置は変わらない(
図6)。
【0044】
コンベア1における搬送装置4のベルト31は、3つのステップで前進(搬送方向に移動)する。3つのステップとは、準備ステップS6、位置決めステップS7および送りステップS4である(
図10参照)。
準備ステップS6は、コンベア1のストッパー58の搬送元側に載せられた搬送物G2(
図11(a)、
図12(a))を、ストッパー58から予備距離S内(ストッパー58の手前の距離S内)に移動させる過程である(
図11(b)、
図12(b))。
【0045】
搬送物G2が載せられる「ストッパー58の搬送元側」とは、
図11,11においてストッパー58の左側をいう。
ここで、準備ステップS6の前に、搬送物G2は、ベルト31上のストッパー58から特定の範囲内に載せられる。ここで、「特定の範囲」とは、第一移動距離T1と予備距離Sとの和であり、搬送物G2はその搬送先を向く面(底面)がこの範囲内となるようにベルト31上に載せられる(
図11(a)、
図12(a))。「第一移動距離T1」とは、準備ステップS6でベルト31が移動する距離である。「予備距離S」とは、位置決めステップS7でベルト31が移動する距離である。
【0046】
以後、搬送物Gの「位置」を説明するときは、その搬送先を向く面(底面)を基準とする。
位置決めステップS7では、ベルト31を一定距離(予備距離S)前進させ、前進中に搬送物G2をストッパー58に当接させて、ベルト31上の搬送物G2の位置を確定させる(
図11(c)、
図12(c))。準備ステップS6後に搬送物G2はストッパー58からの距離がS以下となっているので、位置決めステップS7では、ベルト31が予備距離S移動しても搬送物G2はストッパー58に当接してその位置に留まる。制御装置は、第一移動距離T1と予備距離Sとを途切れることなく連続させてベルト31を移動させる。
【0047】
例えばコンベア1の始動直後において既に搬送された搬送物が無いために搬送先検知装置(近接センサ)8が搬送先の搬送物を検出せず(S1でNO)、搬送元に載せられた搬送物G2を搬送元検知装置7(搬送元センサ43)が検出すると(S2でYES)、制御機器はテーブル付きシリンダ56を動作させてストッパー58を上昇させる(S4)。ストッパー58が上昇すると、送りステップS4によりベルト31は第二移動距離T2移動
し、搬送物G2はストッパー58の下を通過して搬送先側に移動する(
図11(d))。これらの動作は、新たな搬送物をベルト31上の滞留物に加え、搬送先に搬送物を送るものである。
【0048】
第二移動距離T2は、搬送物G2が完全にストッパー58を通過するように、搬送物の長さWLとストッパー58の厚みFとの和を超える距離が設定される。
なお、ストッパー58はベルト31の移動方向に傾斜して上昇する。そのため、上昇動作時に搬送物の位置の変化を生じさせない。ベルト31は、ストッパー58の上昇動作からわずかに遅れて移動を開始するのが好ましい。
【0049】
コンベア1が以上の動作を繰り返し続けると、搬路上には搬送物Gが一定間隔で並び、最も搬送先側の搬送物Gは、搬路長手方向において同じ位置に搬送される(
図11(d)、
図12(d))。
搬送先検知装置8が搬路上における搬送先の搬送物を検出したとき(S1でYES)は、搬送先の搬送物が次工程に移送される等して取り去られるまでコンベア1は動作を停止する。
【0050】
搬送元検知装置7(搬送元センサ43)が搬送物G2を検出しない(S2でNO)とき、(S1でNOを条件に)ベルト31を一間隔分(T1+S+T2)前進させる。これは、例えば搬路上の搬送物を最後に搬送動作を終了する場合等の動作である。
上述したように、制御装置は、第一移動距離T1と予備距離Sとを途切れることなく連続させてベルト31を移動させる。コンベア1の動作上は第一移動距離T1と予備距離Sとを区別する必要が無いため、本発明においては、第一移動距離T1と予備距離Sとを併せた距離を「第一搬送距離」と言い、第二移動距離T2を本発明においては「第二搬送距離」と言い換える。
【0051】
図10は、搬送物が円柱形を想定している。搬送物が円すい台形の場合には、大底面が搬送先側および搬送元側のいずれを向くかにより、
図10は変更される。例えば、大底面を搬送先側に向けて搬送したいとき、誤って小底面を搬送先側に向けて搬路に載せられた場合(
図10のS2にてNO)にも
図10のステップS8でストッパー58を上昇させ、ベルト31が移動を開始した直後に搬送元センサ43が搬送物の存在を検出したとき、制御装置は警報を発し、ベルト31を停止させる。
【0052】
この逆に、搬送物が円すい台形であってその小底面を搬送先側に向けて搬送したいときは、先の場合と同様に搬送元センサ43を大底面のみ検出できる高さとする。制御装置は、搬送物がストッパー58に当接したときに搬送物を検出した場合を姿勢異常と判断する。
ストッパー58に当接する搬送物が有るときと無いときとの判別は、ストッパー58が上昇してベルト31が移動開始した後短時間に搬送元センサ43が搬送物の存在を検出するか否かにより行われる。
【0053】
各ステップにおけるベルト31の移動距離は、搬路の長さL、搬送物の長さWLおよびストッパー58の厚みFから制御装置が自動計算して決定し、決定結果をコンベア1の稼働に反映させる。
コンベア1は、ベルト31上の複数の搬送物相互の間隔を正確に同じとすることができ、ベルト31上の搬送先の搬送物の(搬送方向における)位置が一定である。
【0054】
搬送元で搬送物をコンベア1に載せる場所のばらつきが大きく、当初設定した「特定の範囲(T1+S)」内を外れる搬送物があるときは、「特定の範囲(T1+S)」を拡げて対応する。「特定の範囲(T1+S)」の設定の仕方は後述する。
コンベア1では、搬路上の円形断面を有する搬送物は、その軸心を含む鉛直面とその周面との交線である母線がベルト31に接し、この母線の両側の周面が、搬路形成部3における右案内面21および左案内面22のいずれかに接する。すなわち、円形断面の搬送物は、側面視(
図3、
図6)において搬路に3点(3箇所)で接する。そのため、搬送物は幅方向のいずれにも転がることができず、搬送過程における幅方向の位置は一定である。
【0055】
コンベア1は、搬送物を一定の間隔で搬送する搬送装置4、および搬送過程における幅方向の位置を一定とする搬路形成部3の機能により、円形断面の搬送物を同じ位置に搬送
することができる。
搬送元で搬送物をコンベア1に載せる場所のばらつきが小さく、ストッパー58の前(搬送元側)における予備距離S内に常に搬送物を載せることができれば、T1を零とすることができる。
【0056】
次に、
図12を参照して、各ステップにおけるベルト31の各移動距離の算出について説明する。
コンベア1における搬送長さ(コンベア長さ)Lは、降下したときのストッパー58の搬送元側表面から、搬送先に搬送された搬送物(の配送方向端面)までの距離である。搬送先における搬送物の位置は、近接センサ8が感度良く搬送物Gを検出できる位置が選択される。この長さは、コンベア1ごとに特有な値となる。予備距離Sは、ベルト31上における搬送物の位置を確定させるために、ストッパー58で搬送物の移動を止めてベルト31のみ移動させるときの最大距離である。予備距離Sは、例えば5mmに設定される。
【0057】
ベルト31の各移動距離の算出のために、仮の搬送物間距離(仮定搬送物間距離)DTとして「搬送物の長さWLとストッパー58の厚みFとの和」を超える値(の具体的な数値)を仮決めする。仮決めする数値DTは、例えば搬送物の長さWLとストッパー58の厚みFとの和に3mmを加えた値とする。
仮定搬送物間距離DTの値は任意に仮定できるが、ステップS7でストッパー58に当接した搬送物が、ステップS3,S4で上昇したストッパー58下を通過し、ステップS5で降下するストッパー58に当たらない大きさ以上が条件となる。
【0058】
搬送物間距離をDTとすると、長さLの搬路上に載せることができる搬送物の数Nは、
N=INT{L÷(S+DT+WL)} ・・・ (1)
となる。INT(引数)は、引数の小数点以下を切り捨てた整数を戻り値とする関数である。切り捨てた小数点以下をN個の搬送物間に(2)式で割り振ると、前後する2つの搬送物間距離から予備距離Sを減算した距離Dが求められる。
D=[{L÷(S+DT+WL)-N}×(S+DT+WL)]÷N+DT
・・・ (2)
また、
図12から
D=T1+T2-WL ・・・ (3)
【0059】
距離Dは、第一移動距離T1と第二移動距離T2との和から搬送物の長さWLを減算した距離(長さ)であり、第二移動距離T2は搬送物の長さWLとストッパー58の厚みFとの和以上という制約がある。そこで、例えば第二移動距離T2を、搬送物の長さWLとストッパー58の厚みFとの和よりも3mm長い距離と予め設定しておけば(T2=WL+F+3)、第一移動距離T1は、
T1=D-F-3 ・・・ (4)
により算出される。
【0060】
以上の第一移動距離T1および第二移動距離T2の算出は、入力された搬送物の長さWLに基づいて制御装置が行い、この算出結果を用いて制御装置はサーボモータ30およびテーブル付きシリンダ56を動作させ、例えば
図10の手順に従いコンベア1を稼働させる。
コンベア1は
、搬路全長の途中における任意の位置に搬送物を搬送することができる。例えば
図12において、搬送物Gの搬送先を搬路の搬送先末端ではなく、搬路の途中(例えば
図12中のP)に設定しても、上記と同様に設定位置に繰り返し搬送物をこの位置に搬送することができる。この場合のT1,T2の算出は、式(1),(2)におけるLをL1に置き換えて求める。位置Pにセンサを設置すれば、位置Pにおける搬送物の有無が検出できる。
【0061】
コンベア1は、制御装置に搬送距離L(L1)、搬送物の長さWL、予備距離S等を入力等することにより、1台でその搬路の任意の一定の位置に搬送物を繰り返し搬送することができる。
円形断面の搬送物をベルト31とともに(側面視において)3点で支持できる搬路形成部を形成すれば、搬路形成部は、コンベア1における形態に限られず他の形態とすること
ができる。
図13は他の形態の搬路形成部3Bを示す図である。
【0062】
搬路形成部3Bは、
図6に示される右案内部17および左案内部18に換えて、搬送方向に長く伸びた一対の丸棒で右案内部17Bおよび左案内部18Bを形成したものである。右案内部17Bおよび左案内部18Bは、金属の心材の表面が自己潤滑性を有する高分子樹脂でコーティング等されたものである。
このような右案内部17Bおよび左案内部18Bも、断面円形の搬送物Gのベルト31上における幅方向の移動を制限することができる。また、右案内部17Bおよび左案内部18Bの間隔を変えることにより、円形断面の径が異なる搬送物の搬送も可能である。
【0063】
ストッパー58の側面視の形状を右案内部17Bおよび左案内部18Bの側面断面の形状に適合したものに変更することで、右案内部17Bおよび左案内部18Bに置き換えても搬送先における一定の位置に搬送物を移動させることができる。
図14は他のコンベア1Bの係止部28Bの正面図、
図15はコンベア1Bの動作を示すダイアグラム、
図16はコンベア1B上における搬送物の間隔を説明する図である。
【0064】
コンベア1Bは、搬路の搬送先の先端に係止部28Bを備える。係止部28Bは、搬路の搬送先の先端から上方に突出し、搬路を移動する最先の搬送物Gfを係止してその位置を確定させる。
コンベア1Bは、係止部28Bを備える点を除き、その形状、構成等はコンベア1と同じである。以下の説明におけるコンベア1Bのコンベア1と共通する各部の動作等の説明では、コンベア1と同じ符合を付す。
【0065】
コンベア1Bにおけるベルトは、準備ステップS17、送りステップS14および位置決めステップS15の3つのステップで前進移動する(
図14参照)。送りステップS14および位置決めステップS15は連続して行われる。
準備ステップS17は、コンベア1Bの(下降状態の)ストッパー58における搬送元側の表面から第一移動距離T1内(ストッパー58の手前の距離T1内)に載せられた搬送物G2(
図16(a))を、ストッパー58に当接させる過程である(
図16(b))。
【0066】
準備ステップS17の前に、搬送物G2は、ベルト31上のストッパー58から特定の範囲内に載せられる。コンベア1Bにおける「特定の範囲」とは、第一移動距離T1をいい、搬送物G2はその搬送先を向く面(底面)がこの範囲内となるようにベルト31上に載せられる(
図16(a))。「第一移動距離T1」とは、準備ステップS17でベルト31が移動する距離である。
【0067】
準備ステップS17では、搬送物Gfがストッパー58に当接後もしばらくベルト31のみが移動してT1移動後に停止する。搬送物G2は、ストッパー58の手前の距離T1内の搬路に載せれば足りるが、ストッパー58に接しさせて搬路に載せても良い。
準備ステップS17が終了すると、搬送先の搬送物が搬路から取り除かれたことを判別し(ステップS11でNO)、ストッパー58手前に搬送物が準備されていることを検出した(ステップS12でYES)後に、ストッパー58が上昇してベルト31を第二移動距離T2移動させる。これが送りステップS14である。
【0068】
後に説明するように、コンベア1Bにおける第一移動距離T1、第二移動距離T2および予備距離Sは、搬路の長さL、搬送物の長さWL等により求められる。その求め方によれば、最先の搬送物Gfは、送りステップS14により係止部28Bに接する位置またはこれに極めて近い位置まで搬送される。このとき、搬路上の複数の搬送物の間隔は、全て第一移動距離T1、第二移動距離T2および予備距離Sの和である。
【0069】
位置決めステップS15は、最先の搬送物Gfを確実に係止部28Bに当接させるため(目的とする搬送位置に存在させるため)に、ベルト31を予備距離S移動させる。搬送元において搬送物がストッパー58の手前の距離T1外に載せられたとき、そのずれが予備距離S以内であれば、コンベア1Bは搬送物が距離T1内に載せられたのと同じように、その搬送物を係止部28Bに当接するまで搬送することができる。予備距離Sは、搬送物を搬路に載せる位置に想定外の大きなばらつきが生じたとき、搬送先の位置の乱れを防止する役割も果たす。
【0070】
図16(d)は、送りステップS14直後の状態を示す。最先の搬送物Dfはこのとき搬路から取り除かれて実際には存在しないので、二点鎖線で示される。
コンベア1Bにおける第一移動距離T1は、本発明における「第一搬送距離」に該当し、第二移動距離T2と予備距離Sの和は、本発明における「第二搬送距離」に該当する。
次に、コンベア1Bにおける各ステップのベルト31の移動距離の算出について説明する。
【0071】
コンベア1Bにおける搬送長さ(コンベア長さ)Lは、降下したときのストッパー58の搬送元側表面から、係止部28Bにおける搬送物Gfを係止する面までの距離である。予備距離Sは任意に設定できる。コンベア1Bでは例えば5mmに設定される。
仮の搬送物間距離(仮定搬送物間距離)DTの仮決めの方法、条件等は、前述したコンベア1と同じである。
【0072】
搬送物間距離をDTとすると、長さLの搬路上に載せることができる搬送物の数Nは、
N=INT{(L+S)÷(S+DT+WL)} ・・・ (5)
となる。INT(引数)は、引数の小数点以下を切り捨てた整数を戻り値とする関数である。切り捨てた小数点以下をN個の搬送物間に(2)式で割り振ると、前後する2つの搬送物間距離から予備距離Sを減算した距離Dが求められる。
(2つの搬送物間距離は、D+Sである(
図12参照)。)
【0073】
D=[{(L+S)÷(S+DT+WL)-N}×(S+DT+WL)]÷N+DT
・・・ (6)
また、
図16から
D=T1+T2-WL ・・・ (7)
【0074】
距離Dは、第一移動距離T1と第二移動距離T2との和から搬送物の長さWLを減算した距離(長さ)であり、第二移動距離T2は搬送物の長さWLとストッパー58の厚みFとの和以上という制約がある。そこで、例えば第二移動距離T2を、搬送物の長さWLとストッパー58の厚みFとの和よりも3mm長い距離と予め設定しておけば(T2=WL+F+3)、第一移動距離T1は、
T1=D-F-3 ・・・ (8)
により算出される。
【0075】
コンベア1,1Bにおいて、斜め上搬送先側に上昇するストッパー58に換えて、幅方向において斜め横搬送先側に移動するストッパーを採用することができる。このようにストッパーを構成しても、
図10の「ストッパー上昇S3」、
図15の「ストッパー上昇S13」に相当する過程で当接する搬送物の位置を変えずにストッパーを搬路から待避させることができる。
【0076】
上述の実施形態において、コンベア1,1B、およびコンベア1,1Bの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
なお、「断面が円形の搬送物」とは、円柱形、円すい台形の搬送物をいう。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、断面円形の搬送物を一定の場所にまで搬送するコンベアに利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1,1B コンベア
4 搬送装置
6 整列装置
8 搬送先検知装置(センサ)
17,17B 右案内部(一対の案内部の一方)
18,18B 左案内部(一対の案内部の他方)
28B 係止部
31 ベルト
43 搬送元センサ(センサ)
58 ストッパー(整列手段)
F ストッパーの搬送方向における寸法
G 搬送物
L 搬送物の搬送距離
S 予備距離
S+T1 第一搬送距離
S+T2 第二搬送距離
T1 第一移動距離(第一搬送距離)
T2 第二移動距離(第二搬送距離)
WL 搬送物の長さ