(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】噴霧ノズル
(51)【国際特許分類】
B05B 1/26 20060101AFI20220713BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20220713BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B05B1/26 A
B05B1/14 Z
A01M7/00 J
(21)【出願番号】P 2021112047
(22)【出願日】2021-07-06
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2021033198
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-534124(JP,A)
【文献】特開平10-085631(JP,A)
【文献】特開2001-286790(JP,A)
【文献】米国特許第09138753(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面側から供給される液体を通す液体通路と、前記液体通路と連通して前面側に開口する一対の噴出口を有するノズル本体を備え、前記ノズル本体の一対の噴出口は、それぞれの中心線どうしがノズル本体の前方で交差するように設けられており、
前記ノズル本体の後面側から供給されて液体通路を通り、前記一対の噴出口から噴出された液体が、前記ノズル本体の前方で互いに衝突して霧化し、扁平な扇形の噴霧パターンを形成するようになっている噴霧ノズルにおいて、
前記一対の噴出口は、両噴出口を結ぶ方向と直交する方向で互いに平行に延びる
同一形状の長孔であ
って、それぞれの中心線どうしがなす角度が60~80度となるように設けられており、
前記噴霧パターンは、前記一対の噴出口の延びる方向に薄く、その方向と直交する平面に沿って扇形に拡がるものである
ことを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項2】
前記ノズル本体の液体通路は、前記各噴出口に対して1つずつ別々に設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の噴霧ノズル。
【請求項3】
前記ノズル本体の一対の噴出口は、両噴出口の長手方向の両側または片側において、互いに対応する片端の位置が長手方向にずれるように設けられていることを特徴とする請求項1
または2に記載の噴霧ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬や水等の液体の散布に用いられる噴霧ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
農薬等の液体を散布するための噴霧ノズルとしては、従来、後面側が開口し、閉じられた前面の中央部に噴出口を有する円筒状のノズル本体と、ノズル本体の内部に収容され、外周に複数の傾斜溝を有する中子とを備え、ノズル本体の後面側から供給された液体が、中子の傾斜溝を通り、中子とノズル本体の前面との間の空間を旋回して噴出口から噴出され、中空円錐状の噴霧パターンを形成するようにしたもの(一般に旋回型と呼ばれるもの)があった。
【0003】
ところが、上記のような旋回型の噴霧ノズルは、液体を旋回させながら噴出させることによって霧化しており、霧粒が細かくなるとともに比較的広い角度で拡散するので、農作物等の対象物への付着性は良いが、霧粒を遠い場所まで到達させようとするような使い方にはあまり適していない。一方、噴出口の寸法変更等によって霧粒の粒径が大きくなるようにすれば、霧粒の到達性は向上するが、付着性が低下してしまう。
【0004】
これに対し、背丈の高い農作物への農薬や水の散布等、遠い場所への霧粒の到達性が重視される用途に適した噴霧ノズルとして、ノズル本体の前面に、一対の噴出口をそれぞれの中心線どうしがノズル本体の前方で交差するように設けた構造のものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
上記特許文献1で提案されている噴霧ノズルでは、ノズル本体の後面側から供給されて液体通路を通り各噴出口から噴出された液体が、ノズル本体の前方の所定位置で互いに衝突して霧化し、両噴出口を結ぶ方向に薄く、その方向と直交する平面に沿って扇形に拡がる噴霧パターンを形成することにより、旋回型の噴霧ノズルに比べると、粗い霧粒が狭い範囲に噴霧されて遠い場所まで到達するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように一対の噴出口から噴出した液体を衝突させて噴霧する方式の噴霧ノズルは、円形の噴出口から噴出された液体が噴出口の直径よりも僅かに小さい直径の噴水流となるため、使用条件等によってはその2つの噴水流を所定の位置で衝突させることができず、噴霧パターンが乱れて霧粒の到達性が低下するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、一対の噴出口から噴出した液体を衝突させて噴霧する方式の噴霧ノズルにおいて、衝突した液体の霧化によって生じる霧粒の到達性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、後面側から供給される液体を通す液体通路と、前記液体通路と連通して前面側に開口する一対の噴出口を有するノズル本体を備え、前記ノズル本体の一対の噴出口は、それぞれの中心線どうしがノズル本体の前方で交差するように設けられており、前記ノズル本体の後面側から供給されて液体通路を通り、前記一対の噴出口から噴出された液体が、前記ノズル本体の前方で互いに衝突して霧化し、扁平な扇形の噴霧パターンを形成するようになっている噴霧ノズルにおいて、前記一対の噴出口は、両噴出口を結ぶ方向と直交する方向で互いに平行に延びる長孔となっている構成を採用した。
【0010】
上記の構成によれば、ノズル本体の前面側に開口する一対の噴出口から噴出された液体が、噴出口と同じ方向に拡がる扁平な噴流となり、従来のように噴出口を円形とした場合よりも確実に所定の位置で衝突して霧化し、各噴出口の延びる方向に薄く、その方向と直交する平面に沿って扇形に拡がる噴霧パターンを形成するようになるとともに、噴霧パターンの扇形の両側部を形成する霧粒の粒径が大きくなり、その粒径の大きい霧粒に小さい粒径の霧粒が引き寄せられるようになるので、霧粒の到達性を向上させることができる。
【0011】
ここで、前記ノズル本体の一対の噴出口は、それぞれの中心線どうしがなす角度(交角)が60~80度となるように設けることが好ましい。これは、2つの噴出口の中心線の交角が60度よりも小さいと、噴霧パターンの扇形の中心角(噴霧角度)が小さくなって霧粒の到達性は高まるが、勢いが強くなりすぎて対象物(例えば農作物の葉面)を傷めたりするおそれがある一方、交角が80度よりも大きいと、噴霧角度が大きくなりすぎて霧粒の到達性が所望のレベルに達しなくなるおそれがあるからである。
【0012】
また、前記ノズル本体の液体通路を、前記各噴出口に対して1つずつ別々に設けるようにすれば、ノズル本体の後面側から各噴出口までの液体の流れが安定し、各噴出口から噴出された液体が直進性の高い噴流となって互いに衝突するようになるので、霧粒の到達性を一層向上させることができる。
【0013】
さらに、前記ノズル本体の一対の噴出口を、両噴出口の長手方向の両側または片側において、互いに対応する片端の位置が長手方向にずれるように設けることにより、霧粒の到達性をより一層向上させることができる。すなわち、一対の噴出口を長手方向にずらして設ければ、噴霧パターンの扇形の少なくとも片側には、一方の噴出口から噴出された液体が、もう一方の噴出口から噴出された液体と衝突せず、扇形の内側の霧粒に比べて粒径の大きい霧粒となって大きい速度で直進する領域が生ずるので、その直進する霧粒に引き寄せられた扇形の内側の細かい霧粒も、より遠い場所まで到達するようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の噴霧ノズルは、上述したように、ノズル本体の前面側に開口する一対の噴出口を長孔とすることにより、各噴出口から噴出された液体どうしが確実に衝突するようにしたものであるから、従来のように噴出口を円形としたものに比べて、霧粒の到達性の向上が図れる。また、細かい霧粒も遠い場所まで到達させることができるので、対象物への付着性も確保される。したがって、この噴霧ノズルを霧粒の到達性が重視される用途、例えば背丈の高い農作物への農薬の散布等に用いれば、その散布作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】
図2のノズル本体の要部を拡大して示す縦断正面図
【
図5】(a)、(b)はそれぞれ
図1の噴霧ノズルによる噴霧パターンの説明図
【
図7】(a)、(b)はそれぞれ
図6のノズル本体から噴出された液体の衝突前後の挙動の説明図
【
図8】
図6のノズル本体を用いた場合の液体衝突直後の噴霧状態の説明図(前方側から見た図)
【
図9】(a)、(b)はそれぞれ
図6のノズル本体を用いた場合の噴霧パターンの説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1乃至
図9に基づき、本発明の実施形態を説明する。この噴霧ノズルは、
図1乃至
図3に示すように、2つのノズル片1a、1bからなるノズル本体1と、ノズル本体1を通す状態で支持するノズル受け2と、ノズル本体1の後面側開口部を塞ぐノズルガイド3と、ノズル受け2およびノズルガイド3の後端面と密着するように配される円筒状のパッキン4と、パッキン4の内側に配されるフィルタ5と、ノズル受け2の後半部およびパッキン4に外嵌される保持部6aと外部の液体供給源に接続される接続部6bとからなるホルダ6と、ノズル受け2の前半部に外嵌される状態で、ホルダ6の保持部6aとねじ結合されるキャップ7とを備えている。なお、これらの各図および
図4では、上方が噴霧ノズルの前方(液体が噴出される方向)となっている。
【0017】
前記ノズル本体1は、樹脂製であり、本体部11の外形が前端から後端近傍まで断面略小判形に形成されており、その後端の円筒部にフランジ12が設けられている。また、本体部11の前面側には、側面の二面幅部と直交する一対の傾斜面13からなるV字溝が形成され、本体部11の内部には、後面側の開口から別々に各傾斜面13の裏側面に至る一対の液体通路14が設けられている。そして、本体部11のV字溝には、それぞれ液体通路14と連通して傾斜面13に開口する一対の噴出口15が設けられている。
【0018】
ここで、
図4に示すように、ノズル本体1の前面側の一対の傾斜面13は、互いのなす角度が110度となるように形成されており、各傾斜面13と直交する方向に設けられた一対の噴出口15の中心線Cどうしがノズル本体1の前方の所定位置で交差している。すなわち、一対の噴出口15はそれぞれの中心線Cどうしの交角θが70度となるように設けられており、ノズル本体1の後面側から供給されて各液体通路14を通り、各噴出口15から噴出された液体が、ノズル本体1の前方において70度の交角で互いに衝突するようになっている。
【0019】
また、
図1および
図2に示すように、各噴出口15は、両者を結ぶ方向と直交する方向で互いに平行に延びる長孔とされており、両者と平行なノズル本体1の中心線に対して対称に設けられている。その長孔の具体的な形状は、長手方向両端の孔縁が半円形で中央部の両側の孔縁が平行な長円形である。
【0020】
そして、このノズル本体1は、液体通路14と傾斜面13(および噴出口15)をそれぞれ1つずつ有する2つのノズル片1a、1bに分割されており、一方のノズル片1aの両側の二面幅部から他方のノズル片1bに向かって延びる係合爪16が、他方のノズル片1bの両側の二面幅部に形成された係合凹部17に係合することにより一体化されるようになっている。その係合爪16と係合凹部17の係合はスナップフィットによって容易に行うことができる。なお、このノズル本体1を形成する樹脂としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPOM(ポリアセタール)等の摩耗性に優れたものが好ましい。
【0021】
また、
図1および
図3に示すように、前記ノズル受け2は、内周および外周にそれぞれ後方を向く段差面を有する円筒状部材である。そして、その内周の段差面がノズル本体1のフランジ12の前面と当接する状態で、ノズル本体1の本体部11に外嵌され、外周の段差面から突出する複数の突起21により、後述するようにホルダ6に対して位置決め固定されている。
【0022】
前記ノズルガイド3は、後面側が開口し、前面が閉じられた円筒部31の後端部分にフランジ32が設けられている。また、その円筒部31の前面から一対の小径筒部33が突出しており、各小径筒部33を貫通する孔が後面側の開口部に連通している。そして、各小径筒部33がそれぞれノズル本体1の液体通路14に挿入される状態で、フランジ32がノズル受け2の後端部の内周に嵌め込まれ、後面側から供給される液体をノズル本体1の各液体通路14に均等に送り出すようになっている。なお、各小径筒部33の外周面とノズル本体1の後端部の内周面との間、および円筒部31の外周面とノズル受け2の内周面との間には、それぞれOリング8、9が組み込まれている。
【0023】
前記パッキン4は、その前端面がノズル受け2およびノズルガイド3の後端面に当接する状態で、ホルダ6の保持部6aの内周に嵌め込まれている。
【0024】
前記フィルタ5は、半球面状に形成された網状部51と、網状部51の周縁から径方向外側に張り出す取付部52とからなり、その取付部52がパッキン4後端の環状凹部41に嵌め込まれる状態で、パッキン4とホルダ6の接続部6bによって固定されている。
【0025】
前記ホルダ6は、その保持部6aの内側にパッキン4とフィルタ5とノズル受け2およびノズルガイド3の後端側部分を収納した状態で、保持部6aの前端に設けられた複数の切り欠き61がノズル受け2の突起21と嵌まり合うことにより、ノズル受け2と位置決め固定され、保持部6aの外周に設けられたおねじでキャップ7の内周のめねじとねじ結合している。そして、接続部6bを貫通する孔の後端側内周に設けられためねじで液体供給源側の管等(図示省略)の先端部に設けられたおねじとねじ結合し、パッキン4の内側へ液体を送り出すようになっている。
【0026】
前記キャップ7は、前面側の開口にノズル本体1の本体部11を通される円筒状部材である。そして、その内周に設けられた段差面がノズル受け2の前端面に当接する状態で、後端側内周に設けられためねじでホルダ6の保持部6aのおねじとねじ結合されることにより、ノズル受け2を介してノズル本体1を抜け止め固定している。
【0027】
この噴霧ノズルは、上記の構成であり、前記液体供給源から供給された液体が、ホルダ6の接続部6bからパッキン4の内側へ送られてフィルタ5を通過し、ノズルガイド3を介してノズル本体1の一対の液体通路14に送り込まれて噴出口15から噴出される。そして、各噴出口15から噴出された液体が、
図5(a)、(b)に示すように、ノズル本体1の前方で互いに衝突して霧化し、各噴出口15の延びる方向に薄く、その方向と直交する平面に沿って扇形に拡がる噴霧パターンを形成するようになっている。
【0028】
ここで、ノズル本体1の一対の噴出口15は、両噴出口15を結ぶ方向と直交する方向で互いに平行に延びる長孔としているので、各噴出口15から噴出された液体は、噴出口15と同じ方向に拡がる扁平な噴流となる。そして、その扁平な噴流どうしは、従来のような円形の噴出口から噴出される断面円形の噴流よりも確実に所定の位置で衝突することになる。また、衝突後の液体の噴霧パターンは、噴出口を円形とした場合とは扇形の拡がる方向が異なり、扇形の両側部を形成する霧粒の粒径が大きくなって、その粒径の大きい霧粒に小さい粒径の霧粒が引き寄せられるようになる。これにより、この噴霧ノズルは、従来よりも霧粒が全体として遠い場所まで到達する、すなわち霧粒の到達性に優れたものとなっている。しかも、粒径の小さい霧粒も遠い場所まで到達するので、対象物への付着性も確保される。
【0029】
また、ノズル本体1の液体通路14を各噴出口15に対して1つずつ別々に設けているので、ノズル本体1の後面側から各噴出口15までの液体の流れが安定し、各噴出口15から噴出された液体が直進性の高い噴流となって互いに衝突するようになっており、このことも霧粒の到達性を高める要因の一つとなっている。
【0030】
そして、ノズル本体1の一対の噴出口15の中心線Cどうしの交角θを70度としたことにより、霧粒の到達性を十分に確保しつつ、霧粒を適度な勢いで農作物等の対象物に噴霧できるようになっている。なお、その交角θは70度が最も好ましいが、60~80度の範囲であれば70度の場合とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0031】
さらに、この噴霧ノズルでは、全体としてやや複雑な形状となっているノズル本体1を2つのノズル片1a、1bに分割し、スナップフィットによって一体化できるようにしているので、ノズル本体を一体成形する場合に比べて容易に製作できるという特長もある。
【0032】
図6はノズル本体1の噴出口15の配置を変えた例を示す。この変形例では、一対の噴出口15を、両噴出口15の長手方向の両側において、互いに対応する片端の位置が長手方向にずれるように設けている。このように両噴出口15の配置を長手方向にずらすと、
図7(a)、(b)および
図8に示すように、両噴出口15から噴出された液体Aの多くは、ノズル本体1の前方の所定位置で互いに衝突し、粒径の小さい霧粒Bとなって扇形に拡がっていくが、各噴出口15の長手方向にずれた側の端部から噴出されたものは、所定位置で衝突せずに直進するようになる。そして、衝突せずに直進する液体Aは、その後、扇形の内側の霧粒に比べて大きい粒径と大きい速度をもつ霧粒となって、わずかに拡がりながら直進する。これにより、
図9(a)、(b)に示すように、粒径の大きい霧粒が扇形の両側部を形成するようになり、その粗い霧粒に引き寄せられた細かい霧粒が、
図1乃至
図5で示した例よりも遠い場所まで到達するようになるので、霧粒の到達性をより一層向上させることができる。
【0033】
なお、
図6乃至
図9に示した例では、各噴出口15を互いに対応する両端の位置が長手方向にずれるように配置したが、各噴出口の配置は、長手方向の片側だけで、互いに対応する片端の位置が長手方向にずれるようにすることもできる。
【0034】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0035】
例えば、ノズル本体の噴出口の形状は、実施形態のような長円形に限らず、楕円形や矩形等の長孔としてもよい。また、各噴出口の中心線どうしの交角は、実施形態で示した範囲外でも用途等に応じて適宜設定することができる。
【0036】
さらに、ノズル本体は、製作しやすさの点から、実施形態のように2分割された樹脂製のものとすることが好ましいが、一体成形されたものや、金属製のものを採用することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 ノズル本体
1a、1b ノズル片
2 ノズル受け
3 ノズルガイド
4 パッキン
5 フィルタ
6 ホルダ
6a 保持部
6b 接続部
7 キャップ
13 傾斜面
14 液体通路
15 噴出口
16 係合爪
17 係合凹部
【要約】
【課題】一対の噴出口から噴出した液体を衝突させて噴霧する方式の噴霧ノズルにおいて、衝突した液体の霧化によって生じる霧粒の到達性を向上させる。
【解決手段】ノズル本体1の一対の噴出口15を、両噴出口15を結ぶ方向と直交する方向で互いに平行に延びる長孔とすることにより、ノズル本体1の後面側から供給されて液体通路14を通り噴出口15から噴出された液体が、噴出口15と同じ方向に拡がる扁平な噴流となり、従来のような円形の噴出口から噴出される噴流よりも確実に所定の位置で衝突して霧化するとともに、衝突後の液体が形成する扇形の噴霧パターンの両側部に生じる粒径の大きい霧粒に、小さい粒径の霧粒が引き寄せられるようになって、霧粒が全体として従来よりも遠い場所まで到達するようにした。
【選択図】
図3