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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21L 4/00 20060101AFI20220713BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220713BHJP
   F21V 21/22 20060101ALI20220713BHJP
   F21W 131/10 20060101ALN20220713BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220713BHJP
【FI】
F21L4/00 553
F21S2/00 612
F21V21/22
F21S2/00 365
F21W131:10
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021124653
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】599171729
【氏名又は名称】株式会社佐藤工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】真庭 豪樹
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-287523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21L 4/00
F21S 2/00
F21V 21/22
F21W 131/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側部と背面側部とを備えた台座部と、
照明灯を備え縮小状態では前記前面側部と背面側部との間に位置する照明部と、
上端部が前記照明部と接続し下端部が前記前面側部と背面側部との間に接続し上下方向に伸縮するパンタグラフ構造の伸縮部と、を有し、
前記伸縮部は、
前記前面側部と背面側部との間に設置され左右対称に起倒動作する左アーム部と右アーム部と、
前記照明部と接続し左右対称に起倒動作する左支持アーム部と右支持アーム部と、
前記左アーム部及び右アーム部と前記左支持アーム部及び右支持アーム部との間に接続するクロスリンク部と、を備え、
前記クロスリンク部は、
一端が前記左アーム部の上端部と回動可能に接続し他端が前記右支持アーム部の下端部と回動可能に接続した第1リンク部と、
一端が前記右アーム部の上端部と回動可能に接続し他端が前記左支持アーム部の下端部と回動可能に接続した第2リンク部と、を有し、
前記第1リンク部と第2リンク部とが略中心位置で回動可能に接続していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
左アーム部及び右アーム部が前後一対のアーム部材で構成され、
第1リンク部及び第2リンク部がそれぞれ前後一対の第1のリンク部材及び第2のリンク部材で構成され、
前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材のいずれか一方が内側に位置し他方が外側に位置して接続され、さらに左支持アーム部と右支持アーム部とが内側のリンク部材の内側に位置して接続し、前記アーム部材が外側の他方のリンク部材の外側に位置してそれぞれ接続し、縮小状態では前記アーム部材の間に前記第1リンク部と第2リンク部が収容され、前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材の内側に前記左支持アーム部と右支持アーム部とが収容されることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
左アーム部と右アーム部の下端部にそれぞれ固定し互いに螺合した下部同調ギアと、
左支持アーム部と右支持アーム部の上端部にそれぞれ固定し互いに螺合した上部同調ギアと、
前記左アーム部もしくは右アーム部のいずれか一方を起倒動作させる伸縮駆動部と、を有し、
前記伸縮駆動部の動作が前記下部同調ギアと上部同調ギアにより同調して伝達され、伸縮部が左右対称に伸縮動作することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に緊急車両や特殊車両、工事用車両等に設置して屋外の工事現場や救助活動等に用いる照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夜間における工事現場や救援救助活動、消火活動等においては作業現場を照らす照明装置が必要不可欠である。そして、このような活動に用いる照明装置では、例えば下記[特許文献1]に記載の投光器のように伸縮自在な支柱を用いて照明部を高所に位置させることが必要となる。しかしながら、[特許文献1]に記載の発明は、縮小状態であってもある程度長尺な支柱を車両等に設置する必要があるとともに、照明部が露出しているため、縮小状態であっても比較的大きなスペースを要するという問題点がある。
【0003】
この問題点に対し、下記[特許文献2]では収容時には支柱を縮小させた上で横に倒す構成の投光機が開示されている。この下記[特許文献2]に記載の考案によれば、照明部及び支柱部を比較的コンパクトに収容することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-322925号公報
【文献】実用新案登録第3189159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、[特許文献2]に記載の考案は、照明部を先端に付けた状態で支柱が立ち上がるため照明部が放物線状に移動し、周囲の作業者や物に衝突したり、物を引っ掛けたりする危険性が有る。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、縮小状態がコンパクトで、且つ照明部が垂直方向に上下動する照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)前面側部14と背面側部16とを備えた台座部10と、照明灯32を備え縮小状態では前記前面側部14と背面側部16との間に位置する照明部30と、上端部が前記照明部30と接続し下端部が前記前面側部14と背面側部16との間に接続し上下方向に伸縮するパンタグラフ構造の伸縮部50と、を有し、
前記伸縮部50は、前記前面側部14と背面側部16との間に設置され左右対称に起倒動作する左アーム部52Lと右アーム部52Rと、前記照明部30と接続し左右対称に起倒動作する左支持アーム部58Lと右支持アーム部58Rと、前記左アーム部52L及び右アーム部52Rと前記左支持アーム部58L及び右支持アーム部58Rとの間に接続するクロスリンク部54と、を備え、
前記クロスリンク部54は、一端が前記左アーム部52Lの上端部と回動可能に接続し他端が前記右支持アーム部58Rの下端部と回動可能に接続した第1リンク部56aと、一端が前記右アーム部52Rの上端部と回動可能に接続し他端が前記左支持アーム部58Lの下端部と回動可能に接続した第2リンク部56bと、を有し、前記第1リンク部56aと第2リンク部56bとが略中心位置で回動可能に接続していることを特徴とする照明装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)左アーム部52L及び右アーム部52Rが前後一対のアーム部材52L’、52R’で構成され、第1リンク部56a及び第2リンク部56bがそれぞれ前後一対の第1のリンク部材56a’及び第2のリンク部材56b’で構成され、前記第1のリンク部材56a’と前記第2のリンク部材56b’のいずれか一方が内側に位置し他方が外側に位置して接続され、さらに左支持アーム部58Lと右支持アーム部58Rとが内側のリンク部材の内側に位置して接続し、前記アーム部材52L’、52R’が外側の他方のリンク部材の外側に位置してそれぞれ接続し、縮小状態では前記アーム部材52L’、52R’の間に前記第1リンク部56aと第2リンク部56bが収容され、前記第1のリンク部材56a’と前記第2のリンク部材56b’の内側に前記左支持アーム部58Lと右支持アーム部58Rとが収容されることを特徴とする上記(1)記載の照明装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)左アーム部52Lと右アーム部52Rの下端部にそれぞれ固定し互いに螺合した下部同調ギア22L、22Rと、左支持アーム部58Lと右支持アーム部58Rの上端部にそれぞれ固定し互いに螺合した上部同調ギア28L、28Rと、前記左アーム部52Lもしくは右アーム部52Rのいずれか一方を起倒動作させる伸縮駆動部24と、を有し、
前記伸縮駆動部24の動作が前記下部同調ギア22L、22Rと上部同調ギア28L、28Rにより同調して伝達され、伸縮部50が左右対称に伸縮動作することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の照明装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る照明装置は、伸縮部がパンタグラフ構造を有するため照明部を垂直方向に上下動させることができる。これにより、照明部の昇降時の安全性を向上することができる。また、本発明に係る照明装置は、台座部の前面側部と背面側部との間隙に伸縮部と照明部とが収容される。これにより、縮小状態の照明装置を省スペースで且つコンパクトに纏めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る照明装置の縮小状態を示す図である。
図2】本発明に係る照明装置の縮小状態を示す斜視図である。
図3】本発明に係る照明装置の伸長途中の状態を示す図である。
図4】本発明に係る照明装置の伸長途中の状態を示す斜視図である。
図5】本発明に係る照明装置の伸長状態を示す図である。
図6】本発明に係る照明装置の伸長状態を示す斜視図である。
図7】本発明に係る照明装置の下部同調ギアを説明する図である。
図8】本発明に係る照明装置の上部同調ギア等を説明する図である。
図9】本発明に係る照明装置の照明部の動作機構を説明する図である。
図10】本発明に係る照明装置の照明部の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る照明装置100の実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、図1(a)、(b)、(c)は本発明に係る照明装置100の縮小状態を示す側面図、正面図、上面図であり、図2は斜視図である。また、図3(a)、(b)、(c)は本発明に係る照明装置100の伸長途中の状態を示す側面図、正面図、上面図であり、図4は斜視図である。図5(a)、(b)、(c)は本発明に係る照明装置100の伸長状態を示す側面図、正面図、上面図であり、図6は斜視図である。
【0011】
先ず、本発明に係る照明装置100は、台座部10と照明部30と伸縮部50とを有している。そして、台座部10は、消防車やレスキュー車等の緊急車両や特殊車両、工事用車両等に固定され、上面視で略長方形の台座12と、この台座12の前面に設けられた前面側部14と、台座12の背面に設けられた背面側部16と、を有している。そして、前面側部14、背面側部16内には伸縮部50を伸縮動作させる後述の伸縮駆動部24等が収容される。尚、前面側部14、背面側部16は、正面視、背面視で略長方形を呈しており、また台座12は上面視で略長方形を呈しているから、よって台座部10は、正面視、背面視、上面視で略長方形を呈し、側面視では前面側部14と背面側部16との間が凹んだ略コの字形状を呈する。
【0012】
また、照明部30は、伸縮部50の上端が接続し後述の回転軸49L、49Rの軸受としても機能する接続部34と、この接続部34に対し水平方向に回転可能に接続した本体部36と、この本体部36の左右に俯仰方向に回転可能な状態で接続した照明灯32と、を有している。尚、本例では略長方形の照明灯32を本体部36の左右に2つずつ設けた例を示しているが、照明灯32の数、形状に関しては特に限定は無い。また、照明灯32としてはハロゲン灯等の周知の照明部材を用いても良いが、省エネルギーの観点から高照度LEDを用いることが特に好ましい。そして、照明部30は照明灯32を含めた全体の奥行きが前面側部14と背面側部16との間隔よりも小さくなるように形成し、また照明灯32を含めた全体の長さが台座12の長さを超えないように形成する。そして、図1図2に示すように、照明装置100の縮小状態において、台座部10の前面側部14と背面側部16との間に照明部30を収容可能とする。これにより、縮小時の照明装置100を省スペースで且つコンパクトに纏めることができる。
【0013】
また、伸縮部50は、上端部が照明部30と接続し下端部が台座部10と接続し、上下方向に伸縮することで照明部30を高所に位置させるものであり、図3(b)、図5(b)に示すように、台座部10と接続する左アーム部52Lと右アーム部52Rと、照明部30と接続する左支持アーム部58Lと右支持アーム部58Rと、これら左右アーム部52L、52Rと左右支持アーム部58L、58Rとの間に接続するクロスリンク部54と、を有している。そして、左アーム部52Lと右アーム部52Rの下端部は、台座部10の前面側部14と背面側部16との間に後述の図5(a)、図6図7に示す回転軸41L、41Rを介して回動可能に設置される。また、左支持アーム部58Lと右支持アーム部58Rの上端部は、照明部30の接続部34に設けられた回転軸49L、49Rを介して回動可能に設置される。
【0014】
また、クロスリンク部54は第1リンク部56aと第2リンク部56bとを有し、これら第1リンク部56aと第2リンク部56bとは互いの略中心位置でクロスして回転軸46により回動可能に接続している。そして、第1リンク部56aは、下端部が左アーム部52Lの上端部と回転軸42Lを介して回動可能に接続し、上端部が右支持アーム部58Rの下端部と回転軸48Rを介して回動可能に接続する。また、第2リンク部56bは、下端部が右アーム部52Rの上端部と回転軸42Rを介して回動可能に接続し、上端部が左支持アーム部58Lの下端部と回転軸48Lを介して回動可能に接続する。そして、回転軸49L、49Rから回転軸48L、48Rまでの距離と、回転軸48L、48Rから回転軸46までの距離と、回転軸46から回転軸42L、42Rまでの距離と、回転軸42L、42Rから回転軸41L、41Rまでの距離は全て同等とする。これにより、伸縮部50は、左右アーム部52L、52Rとクロスリンク部54の下半分とで構成された菱形形状のフレーム体と、クロスリンク部54の上半分と左右支持アーム部58L、58Rとで構成された菱形形状のフレーム体とが回転軸46で縦方向に繋がった形状を呈する。そして、伸縮部50はこれら2つの菱形形状のフレーム体が上下方向に伸びることで伸長し、左右方向に伸びることで縮小する所謂パンタグラフ構造をとる。
【0015】
尚、図2図4図6等に示すように、左アーム部52L及び右アーム部52Rは前後一対、即ち前面側部14側と背面側部16側とに位置する一対のアーム部材52L’、52R’で構成し、また第1リンク部56a、第2リンク部56bも同様に前後一対の第1のリンク部材56a’、第2のリンク部材56b’で構成する。そして、第1のリンク部材56a’と第2のリンク部材56b’のいずれか一方(本例では第2のリンク部材56b’)が内側に位置し、他方(本例では第1のリンク部材56a’)が外側に位置する。そして、左右支持アーム部58L、58Rが内側のリンク部材(第2のリンク部材56b’)の内側に位置して接続する。また、左アーム部52L及び右アーム部52Rの各アーム部材52L’、52R’が外側のリンク部材(第1のリンク部材56a’)の外側に位置してそれぞれ接続する。これにより、照明装置100の縮小状態では、図1(a)、図2に示すように、アーム部材52L’、52R’の間に外側の第1のリンク部材56a’が収容され、第1のリンク部材56a’の間に内側の第2のリンク部材56b’が収容され、第2のリンク部材56b’の内側に左右支持アーム部58L、58Rが収容される。これにより、縮小状態の伸縮部50は各構成部材が互いに折り重なって略平面状となり前面側部14と背面側部16との間にコンパクトに収容される。
【0016】
次に、伸縮部50の動作機構の説明を行う。ここで、図7(a)は縮小状態における前面側部14の内部を示す図であり、図7(b)は伸長状態における前面側部14の内部を示す図である。また、図8(a)は上部同調ギア28L、28Rを説明する図であり、図8(b)は背面側部16の内部を示す図である。
【0017】
先ず、左アーム部52Lと右アーム部52Rの下端部には、図7(a)、(b)に示すように、回転軸41L、41Rと同軸で回転する下部同調ギア22L、22Rが互いに螺合した状態で設けられている。また、左アーム部52Lと右アーム部52Rのいずれか一方には、接続したアーム部を起倒動作させる伸縮駆動部24が固定する。尚、本例では伸縮駆動部24として電動シリンダを用いた例を説明するが、伸縮駆動部24はこれに限定されるものではなく、モータ等、如何なる部材を用いても良い。また、本例では左アーム部52Lにプレート27を接続し、このプレート27に電動シリンダの伸縮シャフト24aを接続し、この伸縮シャフト24aの縮小動作で左アーム部52Lを起立させる例を用いて説明を行うが、伸縮駆動部24は右アーム部52R側に接続しても良いし、伸縮シャフト24aの伸長動作でアーム部を起立させるように構成しても良い。尚、伸縮駆動部24に電動シリンダを用いる場合、伸縮駆動部24は台座12に対して回動可能に設置する。また、伸縮駆動部24が接続していない他方のアーム部(本例では右アーム部52R)には、図8(b)に示すように、ガススプリングやダンパ等の緩衝部材26を設けることが好ましい。
【0018】
そして、伸縮駆動部24の伸縮シャフト24aが伸長動作するとプレート27は台座部10の中心から外側に押し出され、左アーム部52Lは図7(a)に示すように倒伏状態となる。また、伸縮駆動部24の伸縮シャフト24aが縮小動作するとプレート27は台座部10の中心側に引き寄せられ、左アーム部52Lは図7(b)に示すように起立状態となる。また、一方の左アーム部52Lが起倒動作すると、この起倒動作は下部同調ギア22L、22Rによって他方の右アーム部52Rに伝達され、右アーム部52Rが左アーム部52Lとは逆方向でかつ同一の変位量で左アーム部52Lと対称に起倒動作する。
【0019】
また、左支持アーム部58Lと右支持アーム部58Rの上端部には、図8(a)に示すように、回転軸49L、49Rと同軸で回転する上部同調ギア28L、28Rが互いに螺合した状態で設けられている。これにより、左支持アーム部58Lと右支持アーム部58Rとは同一変位で対称に回動動作する。そして、これらの上部同調ギア28L、28R、下部同調ギア22L、22Rの動作により、照明部30は水平に維持されたまま垂直方向に上下する。
【0020】
次に、照明部30の動作機構に関して説明を行う。ここで、図9(a)は照明部30の本体部36の内部構造を示す模式的な上面図であり、図9(b)は模式的な側面図である。先ず、照明部30の本体部36内には照明灯32を本体部36ごと左右方向に旋回させる旋回モータ60aと、照明灯32を俯仰方向に回転させる俯仰モータ60bと、を有している。そして、旋回用モータ60aは減速機構を介して水平回転ギア64aと螺合する。また、水平回転ギア64aは本体部36を貫通した回転軸67aを介して接続部34と固定する。尚、接続部34は、伸縮部50、台座部10を介して設置場所と固定しているから、旋回モータ60aが回転すると本体部36側が回転軸67aを軸として回転動作する。これにより、図10(a)に示すように、照明灯32が本体部36ごと左右方向に旋回し、照明灯32の光の照射方向が左右方向に変化する。
【0021】
また、俯仰モータ60bは減速機構を介して俯仰回転ギア64bと螺合する。また、俯仰回転ギア64bは本体部36を貫通した回転軸67bを介して照明灯32の保持板32aと固定する。尚、本例では左右の保持板32aのそれぞれに俯仰回転ギア64bを固定し、これらを伝達歯車65によって同期した構成を示しているが、本発明は特にこれに限定されるものではなく、俯仰モータ60b、減速機構、俯仰回転ギア64bを左右の照明灯32ごとに設け、俯仰方向を左右の照明灯32で独立して可変可能としても良い。そして、俯仰モータ60bが回転すると、この回転力は俯仰回転ギア64bに伝達し保持板32aが回転動作する。これにより、図10(b)に示すように、照明灯32が俯仰方向に回転し、照明灯32の光の照射方向が上下方向に変化する。
【0022】
次に、本発明に係る照明装置100の動作を説明する。先ず、台座部10の台座12を車両等の目的の設置場所に固定する。これにより、照明装置100が車両等の目的の場所に固定される。次に、照明装置100の電源部を設置場所側の電源と接続する。そして、照明装置100を起動する。尚、待機時の照明装置100は縮小状態にある。
【0023】
そして、使用者が図示しない操作パネルやリモートコントローラ等の周知の操作手段を介して照明装置100に対し伸長の指示を送信する。これにより、照明装置100は、伸縮駆動部24の伸縮シャフト24aを安全な速度で引き込み、縮小させる。これにより、図7(b)に示すように伸縮駆動部24と接続した左アーム部52Lが回転軸41Lを軸に上方に回動し起立動作する。また、この左アーム部52Lの起立動作は、下部同調ギア22L、22Rを介して右アーム部52Rに伝達し、右アーム部52Rが回転軸41Rを軸に左アーム部52Lと対称に起立動作する。
【0024】
そして、この左アーム部52L、右アーム部52Rの起立動作により、クロスリンク部54は図3(b)、図4に示すように、下端側が狭められ、第1リンク部56a、第2リンク部56bが回転軸46を軸に回動して上下方向に伸長する。また、第1リンク部56a、第2リンク部56bの上端が狭まり、左支持アーム部58L、右支持アーム部58Rが回転軸48L、48R、回転軸49L、49Rを軸に回動して起立動作する。このとき、上部同調ギア28L、28Rと下部同調ギア22L、22Rとがそれぞれ螺合することで、伸縮部50は左右対称に伸長動作し、照明部30(接続部34)は水平に維持された状態で台座部10に対して垂直に上昇していく。
【0025】
そして、左アーム部52L、右アーム部52Rが完全な起立状態になると、図5図6に示すように、クロスリンク部54は上下方向に最大に伸長した状態となり、これに伴って右支持アーム部58R、左支持アーム部58Lも完全な起立状態となる。これにより、伸縮部50は伸長状態となり、照明部30は高所に位置する。
【0026】
次に、使用者は操作手段を用いて俯仰モータ60bを操作して、下方を向いていた初期状態の照明灯32を目的の俯仰方向に回転させる。また、旋回モータ60aを操作して、照明灯32を本体部36ごと左右方向に回転させ目的の方向に向ける。またこれと前後して、使用者は照明灯32の点灯を指示する。これにより、照明灯32が点灯して目的の方向に光が照射される。
【0027】
また、所定の作業が終了すると、使用者は操作手段を用いて照明装置100に対して縮小動作を指示する。これにより、照明装置100は例えば照明灯32を消灯するとともに、俯仰モータ60bを制御して照明灯32を真下に向ける。また、旋回モータ60aを制御して照明部30を待機位置、即ち左右の照明灯32の長手方向が前面側部14、背面側部16と平行な状態となるように回転させる。次に照明装置100は伸縮駆動部24の伸縮シャフト24aを安全な速度で伸長させる。これにより、左アーム部52L、右アーム部52Rが同一変位で対称に倒伏動作する。この倒伏動作により、クロスリンク部54は上下方向に縮小し、左支持アーム部58L、右支持アーム部58Rは倒伏動作する。これにより、照明部30は水平に維持されたまま直下方向に下降する。そして、左アーム部52L、右アーム部52Rが完全な倒伏状態になると、クロスリンク部54は折り畳まれた縮小状態となり左アーム部52L、右アーム部52Rの内側に収容される。また、右支持アーム部58R、左支持アーム部58Lも完全な倒伏状態となって、クロスリンク部54(第1リンク部56a、第2リンク部56b)の内側に収容される。そして、照明部30が前面側部14、背面側部16の間に収容され、照明装置100は縮小状態となる。
【0028】
以上のように、本発明に係る照明装置100は、伸縮部50がパンタグラフ構造を有するため照明部30を垂直方向に上下動させることができる。これにより、照明部30の昇降時の安全性を向上することができる。また、本発明に係る照明装置100は、台座部10が前面側部14と背面側部16とを有し、また伸縮部50の各構成部材が縮小状態では互いに折り重なって略平面状となる。そして、前面側部14と背面側部16の間隙に上記の折り畳まれた伸縮部50と照明部30とが収容される。これにより、縮小状態の照明装置100を省スペースで且つコンパクトに纏めることができる。
【0029】
また、台座部10が上面視、正面視、背面視で略長方形を呈し、また前面側部14と背面側部16の間隙に伸縮部50と照明部30とが収容されることで、縮小状態の照明装置100が略直方体形状を呈する。このため、外観がスッキリとしている他、照明部30が収容されることで、不使用時に照明装置100が他の作業等の邪魔になることも無い。
【0030】
尚、本例で示した照明装置100の各部材の形状、デザイン、寸法、構成、動作機構等は一例であり、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 台座部
14 前面側部
16 背面側部
22L、22R 下部同調ギア
28L、28R 上部同調ギア
30 照明部
32 照明灯
50 伸縮部
52L 左アーム部
52R 右アーム部
52L’、52R’ アーム部材
54 クロスリンク部
56a 第1リンク部
56a’ 第1のリンク部材
56b 第2リンク部
56b’ 第2のリンク部材
58L 左支持アーム部
58R 右支持アーム部
100 照明装置
【要約】
【課題】縮小状態がコンパクトで、且つ照明部が垂直方向に上下動する照明装置を提供する。
【解決手段】この照明装置100は、伸縮部50がパンタグラフ構造を有するため照明部30を垂直方向に上下動させることができる。これにより、照明部30の昇降時の安全性を向上することができる。また、この照明装置100は、台座部10が前面側部14と背面側部16とを有し、また伸縮部50の各構成部材が縮小状態では互いに折り重なって略平面状となる。そして、前面側部14と背面側部16の間隙に上記の折り畳まれた伸縮部50と照明部30とが収容される。これにより、縮小状態の照明装置100を省スペースで且つコンパクトに纏めることができる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10