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  • 特許-熱転写記録媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】熱転写記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/44 20060101AFI20220713BHJP
   B41M 5/42 20060101ALI20220713BHJP
   B41M 5/395 20060101ALI20220713BHJP
   B41J 31/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B41M5/44 310
B41M5/42 310
B41M5/395 300
B41M5/42 320
B41M5/44 320
B41J31/00 A
B41J31/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018247280
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020104465
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笠谷 隆章
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 之博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武尊
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-66530(JP,A)
【文献】特開平5-77560(JP,A)
【文献】特開平11-208110(JP,A)
【文献】特開2005-262690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00-5/52
B41J 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム上に転写制御層を積層し、前記転写制御層上に複数の筋状のワックスを主成分とするインクにより設けられた着色層を有する熱転写記録媒体であって、前記転写制御層がウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を前記転写制御層の固形分中の29~39重量%、平均粒子径が0.15μm~2.00μmである粒子を前記転写制御層の固形分中の10~30重量%、シリコーン変性ウレタン樹脂を前記転写制御層の固形分中の4~20重量%含有することを特徴とする熱転写記録媒体。
【請求項2】
前記筋状の着色層は熱転写記録媒体の走行方向を長手方向とする筋状である請求項1に記載の熱転写記録媒体。
【請求項3】
前記粒子がアルミニウムシリケート粒子である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
【請求項4】
前記着色層上に、さらに接着層を積層したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に着色層が筋状に設けられた溶融型の熱転写記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1や特許文献2で、1本のリボンで同時に複数の色を印字するために、基材上に着色した熱転写性インキ層(着色層)を、ストライプ状(筋状)で間欠的に設けた熱転写記録媒体(以下、「筋塗り熱転写記録媒体」とする。)が提案されてきた。
【0003】
このような筋塗り熱転写記録媒体は、例えば薬包用の分割分包機での印字用途などに用いられており、薬の服用方法や注意事項を赤色で、服用する患者名や薬の名前等を黒色で印字するために、赤、黒などの複数の着色層がそれぞれ筋状で間欠的に設けられた熱転写記録媒体が用いられている。現在、薬包用分割分包機では、より多くの分包作業をする為に高速化が進んでおり、薬包に印字するプリンターの高速化も要求されている。熱転写記録媒体による印字を高速化するためには、印字エネルギーの低減、すなわち高感度化する必要がある。従来、溶融型の熱転写記録媒体を高感度化するために、着色層と基材との間に低融点の離型層が設けられてきた。
【0004】
しかしながら、筋塗り熱転写記録媒体において、高感度化を目的として、着色層と基材との間に低融点の離型層を設けた場合、熱転写記録媒体を巻回したパンケーキ状態で、間欠的に設けられた着色層の未塗工部分(離型層が露出している部分)から、離型層の成分が背面側に移行する、いわゆる裏移りが発生した。このような裏移りを対策しつつ、印字の高速化を達成する方法として、特許文献2の熱転写記録媒体が提案されている。すなわち、特許文献2では、基材上に離型層、中間層、筋塗りの着色層をこの順に積層した熱転写記録媒体において、離型層中に含有される熱可塑性成分とその構成比率、及び中間層に含有される熱可塑性成分とその構成比率を特定することにより、裏移りを対策しつつ、熱転写記録媒体を高感度化して印字の高速化を達成した熱転写記録媒体が提案されている。
【0005】
特許文献2の熱転写記録媒体では、熱転写時に、下層である中間層を伴った状態で着色層が転写される形態となっている。特許文献2の熱転写記録媒体では、着色層のみを転写する形態の熱転写記録媒体に比べて感度が低下し、さらなる高感度化にも限界があることや、従来の熱転写記録媒体に比べ余分な中間層を必要とするため、下層を伴わずに着色層のみが転写される簡単な層構成の筋塗り熱転写記録媒体が望まれていた。
【0006】
筋塗り熱転写記録媒体は、例えば、上記のように薬包用の分割分包機での印字用途などに用いられており、被印字物としては、紙とプラスチックの両方を使用することが前提となる。そして、被印字物として紙を使用する場合に、熱転写された着色層が紙に定着するためには、溶融した着色層が紙の表面から、紙の内部の隙間に入り込んで、しっかりと紙に固定されることが必要である。このため、筋塗り熱転写記録媒体の着色層は、ワックスを主成分とする層が好適である。
【0007】
しかしながら、ワックスを主成分とするインクは一般的に基材などの下層に対する濡れ性が悪い。濡れ性が悪いために、ワックスを主成分とするインクを筋状に塗工すると、筋状の両端部(以下、耳部と言う)にインクが集まり易く、耳部の塗工厚みが中央部分に比べて厚くなる、所謂耳立ち現象が発生する。局部的に塗工厚みが厚い耳部は下層との密着性が悪くなるとともに、厚くなった耳部は他の部分に比べて柔軟性がなくなる。このため、熱転写記録媒体がプリンター内で搬送され、熱転写記録媒体がプリンター内のローラーなどによって、折り曲げられるように進行方向が変更されると、柔軟性がなく下層への密着性が悪い耳部は、基材などの下層の形状変化に追従することができなくなり、耳部が起点となって着色層が下層から脱落して、プリンター内部や被印字物である包装用シートなどが汚れる(所謂、粉落ち)という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開昭57-196568
【文献】特開2018-161774
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、熱転写時に筋状の着色層が下層を伴わずに転写される簡単な層構成であっても、被印字物として紙を使用した場合にも、熱転写された着色層の被印字物への定着が良好であり、筋状の着色層の耳立ちによる熱転写記録媒体からの着色層の脱落(所謂、粉落ち)がない、筋状の着色層を有する熱転写記録媒体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明は、基材フィルム上に転写制御層を積層し、前記転写制御層上に複数の筋状のワックスを主成分とするインクにより設けられた着色層を有する熱転写記録媒体であって、前記転写制御層がウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を前記転写制御層の固形分中の29~39重量%、平均粒子径が0.15μm~2.00μmである粒子を前記転写制御層の固形分中の10~30重量%、シリコーン変性ウレタン樹脂を前記転写制御層の固形分中の4~20重量%含有することを特徴とする熱転写記録媒体である。
【0011】
第2発明は、前記筋状の着色層は熱転写記録媒体の走行方向を長手方向とする筋状である第1発明に記載の熱転写記録媒体である。
【0012】
第3発明は、前記粒子がアルミニウムシリケート粒子である第1発明又は第2発明のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
【0013】
第4発明は、前記着色層上に、さらに接着層を積層したことを特徴とする第1発明~第3発明のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱転写記録媒体では、筋状の着色層の主成分をワックスにしたので、被印字物として紙を使用した場合にも、熱転写時に溶融した着色層が紙の表面から、紙の内部の隙間に入り込んで、しっかりと紙に固定され、熱転写された着色層の被印字物への定着が良好である。また、本発明の熱転写記録媒体では、着色層の下層となる転写制御層を、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を固形分中の29~39重量%、平均粒子径が0.15μm~2.00μmである粒子を固形分中の10~30重量%含有する層とすることで、熱転写時以外では筋状の着色層に対する転写制御層の保持が強固となり、筋状の着色層に耳立ちが発生しても、筋状の着色層が熱転写記録媒体から脱落(所謂、粉落ち)することがない。本発明の熱転写記録媒体では、上記の成分に加えシリコーン変性ウレタン樹脂を固形分中の4~20重量%含有した転写制御層上に、ワックスを主成分とする着色層を積層することで、熱転写時以外には筋状の着色層に対する転写制御層の保持力を低下させることなく、熱転写時には着色層に対する転写制御層の保持力が容易に失われるようにした。このため、本発明により、熱転写時に着色層が下層を伴わずに転写される簡単な層構成であっても、被印字物として紙を使用した場合にも、熱転写された着色層の被印字物への定着が良好であり、筋状の着色層の耳立ちによる熱転写記録媒体からの着色層の脱落(所謂、粉落ち)がない、熱転写記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】基材からの着色層の脱落評価方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の熱転写記録媒体を、さらに詳しく説明する。
【0017】
本発明の熱転写記録媒体は、基材の一方の面にそれ自体は転写されない転写制御層を設け、当該転写制御層上に筋状の着色層を設けた熱転写記録媒体である。
【0018】
(基材)
本発明の熱転写記録媒体の基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルムその他この種の熱転写記録媒体の基材用フィルムとして一般に使用されている各種のプラスチックフィルムが使用できる。また、コンデンサーペーパーのような高密度の薄い紙も使用できる。基材の厚さは通常は1~10μm程度であり、熱伝達を良好にするためには、1~6μmの範囲が好ましい。
【0019】
(転写制御層)
本発明の熱転写記録媒体は基材と着色層間に転写制御層を設ける。転写制御層自体は、熱転写によって転写されない層であり、熱転写時には上層の筋状の着色層を容易に離型することができるとともに、熱転写されるまでは、上層の筋状の着色層が脱落しないよう保持しておくことが要求される。
【0020】
本発明の転写制御層は、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を固形分中の29~39重量%含有することが好ましく、32~39重量%含有することがより好ましい。また、本発明の転写制御層は、平均粒子径が0.15μm~2.00μmである粒子を固形分中の10~30重量%含有することが好ましい。転写制御層は平均粒子径が0.15μm~2.00μmの粒子を含有することで、表面に凹凸を設けることができる。また、転写制御層の平均厚み(乾燥後)は0.1μm以上0.3μmが好ましい。このように、本発明の転写制御層は、当該層の平均厚みよりも、平均粒子径が大きな粒子を含有して、転写制御層の表面から突出した状態で粒子が固定される。すなわち、薄いバインダーでできた層から粒子が突出した状態となる。本発明の転写制御層ではウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を含有して、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂の接着性により、薄いバインダーでできた層に当該層から突出する粒子を固定している。また、本発明の転写制御層では、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂の強靭な膜を作る成膜性により、薄いバインダーでできた層から突出した粒子の表面にも、薄いバインダーでできた層を形成することができる。
【0021】
このように本発明の転写制御層では、薄いバインダーでできた層から突出した粒子の表面も薄いバインダーでできた層で覆われている。薄いバインダーでできた層はウレタン変性共重合ポリエステル樹脂により接着性を有しているので、転写制御層上の粒子の表面も接着性を有した状態となる。転写制御層の上に着色層が積層されると、着色層は転写制御層表面の凹凸と噛み合うようにして積層されて、広い接触面積で接着性を有する転写制御層表面と接触した状態となる。このため、着色層は転写制御層に強固に保持される。
【0022】
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂の転写制御層の固形分中の含有量が29重量%未満であると、転写制御層は十分な接着性が得られず、筋状の着色層が脱落するおそれがある。一方、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂の固形分中の含有量が39重量%を超えると、転写制御層の接着性が強くなり過ぎて、熱転写時に転写不良が発生するおそれがある。
【0023】
転写制御層に含有する粒子の平均粒径が0.15μm未満であると、転写制御層表面の凹凸が小さすぎて、転写制御層から筋状の着色層の脱落を防止する効果が十分に得られない。一方、平均粒子径が2.00μmを超えると、転写制御層に固定できない粒子が発生するおそれがあるとともに、転写制御層表面の凹凸の単位面積当たりの個数が少なくなり、転写制御層から筋状の着色層の脱落を防止する効果が十分に得られない。また、粒子の転写制御層固形分中の含有量が10重量%未満であると、転写制御層表面の凹凸の単位面積当たりの個数が少なくなり、転写制御層から筋状の着色層の脱落を防止する効果が十分に得られない。一方、粒子の含有量が30重量%を超えると、転写制御層のバインダー成分の比率が少なくなって転写制御層自身が脆くなり、着色層を保持する力が低下し着色層が脱落する。
【0024】
転写制御層の平均厚みが0.1μm未満になると、筋状の着色層に対する保持力が十分に得られず、筋状の着色層が脱落する。一方、0.3μmを超えると、筋状の着色層に対する保持力が増加しすぎて、熱転写時に筋状の着色層が転写不良になるおそれがある。なお、本発明における転写制御層の厚みは、転写制御層が0.3μmを超える粒子径の粒子を含有することがあるため、層厚みの実測値ではなく、単位面積当たりに塗工された転写制御層の固形分の体積を、当該単位面積で割った解を意味するものとする。
【0025】
上記のように、本発明では、転写制御層にウレタン変性共重合ポリエステル樹脂と粒子を含有させることで、転写制御層の筋状の着色層に対する保持力が得られ、この保持力により、転写制御層からの筋状の着色層の脱落を防止できる。そして、本発明では、さらに転写制御層へシリコーン変性ウレタン樹脂を含有させることにより、転写制御層の筋状の着色層に対する保持力を低下させることなく、熱転写時の着色層の高感度な転写が可能となる。
【0026】
シリコーン変性ウレタン樹脂の転写制御層固形分中の含有量は、4~20重量%が好ましい。転写制御層固形分中のシリコーン変性ウレタン樹脂の含有量が4重量%未満になると、熱転写時の着色層の高感度な転写が可能となる効果は得られない。一方、20重量%を超えると、筋状の着色層の脱落を防止する効果が低下する。
【0027】
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂と上記平均粒子径の粒子に加えて、シリコーン変性ウレタン樹脂を上記の好ましい割合で転写制御層に含有することによって、熱転写時以外の着色層が溶融していない状態では、転写制御層が筋状の着色層をしっかりと保持した状態が維持される。一方、熱転写時の着色層が溶融した状態になると、転写制御層にシリコーン変性ウレタン樹脂を上記の好ましい割合で含有させることにより、転写制御層が筋状の着色層を保持する力が低下し、着色層の高感度な転写が可能となる。
【0028】
転写制御層に用いる粒子は、平均粒子径が0.15μm以上2.0μm以下のものであれば、有機、無機を問わず任意のものが使用可能であるが、アルミニウムシリケート粒子などを好適に用いることができる。
【0029】
転写制御層は、その他の成分として熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂であればとくに制限はないが、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂との相溶性がよいことから、熱可塑性樹脂の中でもポリエステル樹脂が好ましい。
【0030】
(着色層)
本発明の熱転写記録媒体の着色層は、転写制御層上に筋状に設けられる層であって、熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルと着色剤とからなる熱転写される層である。着色層は、熱転写記録媒体の走行方向を長手方向とする複数の筋状でもよいし、熱転写記録媒体の走行方向と直交する方向を長手方向とする複数の筋状でもよい。本発明では、前記ビヒクルは、ワックスを主成分とするものであり、1種類のワックスを単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。また、着色層に接着性樹脂を含有させることにより、熱転写時の転写制御層からの着色層の剥離力を調整してもよく、また、種々の目的のために、添加剤を適宜使用してもよい。筋状の着色層中のビヒクルの主成分をワックスとすることにより、ワックスを主成分とする層としたので、熱転写時には着色層は確実に溶融し、下層に対する接着性が容易に失われて、高感度な転写が可能となる。なお、着色層がワックスを主成分とするとは、着色層材料のうち、最も含有比率が多い材料がワックスであることを示すものとする。
【0031】
着色層のビヒクル主成分である前記ワックスとしては、たとえばラノリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、酸化ワックス、合成エステルワックス、ポリエチレンワックス、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体ワックス、ウレタン化ワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成石油ワックスなどの合成ワックスなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ワックスの着色層固形分中における含有量は、55~85重量%が好ましい。ワックスの着色層固形分中における含有量が、55重量%未満になると、熱転写時の転写感度が低下する。一方、85重量%を超えると、着色層中に十分な量の着色剤を含有させることができず、十分な印字濃度を確保することができない。
【0032】
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン‐プロピレンゴム等のポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチルセルロース、トリ酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。熱転写時の着色層の転写制御層からの剥離力の調整が容易であるという点では、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が、好ましい。
【0033】
前記のように、本発明の熱転写記録媒体では 着色層のビヒクルはワックスを主成分とするものであるため、被印字物としてグラシン紙などの紙を用いた場合にも、溶融した着色層インクが紙表面の微細な凹凸の内部に入り込み、確実に被印字物に定着する。着色層の接着性樹脂含有割合は、着色層の固形分中の3重量%以上15重量%以下が好ましい。着色層の接着性樹脂含有割合が3重量%未満になると、ブロッキング(熱転写記録媒体が軸に巻き付けられた、所謂パンケーキ状態において、着色層が重ねあわされた耐熱滑性層などの背面側へ移行する不具合)が発生しやすくなる。着色層の接着性樹脂含有割合が15重量%を超えると、熱転写時の基材からの着色層の剥離力が大きくなって、印字による被印字物のシワが発生しやすくなるとともに、印字感度が低下する。
【0034】
前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などがあげられる。
【0035】
前記着色剤としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、ブルー、ブラックをはじめとして、すべての色の着色剤が使用可能であり、この種の熱転写される着色層で一般に使用されている有機、無機の着色顔料、染料などが使用できる。着色剤の着色層の固形分中における含有量は、10~30重量%が好ましい。着色剤の着色層の固形分中における含有量が、10重量%未満になると、色が薄くなりすぎて、転写した着色層に十分な濃度が得られない。着色剤の着色層の固形分中における含有量が30重量%を超えると、着色層が脆くなり着色層が転写制御層から剥がれ易くなって、ブロッキングが発生する。
【0036】
着色層の厚み(乾燥後厚み、以下同様)は、1.6μm以上2.4μm以下が好ましい。着色層の色にもよるが、着色層の厚みが1.6μm未満になると十分な印字濃度が得られず好ましくない他、転写時に着色層が溶融し過ぎて、印字が潰れることがある。また、着色層の厚みが2.4μmを超えると、ブロッキングが発生しやすくなるとともに、熱転写時の着色層のキレが悪くなって転写性が低下するので、好ましくない。着色層の幅は特に限定するものではないが、着色層の幅が狭くなればなるほど、転写制御層と着色層の接触面積が減少するため、着色層が転写制御層から脱落しやすくなるが、本発明の熱転写記録媒体であれば、着色層の幅が1mm以上であれば、着色層が転写制御層から脱落することはない。着色層の幅は1mm以上であれば上限は特に限定されるものではないが、使用用途から、1mm~30mmの幅の着色層が一般的である。
【0037】
(接着層)
本発明の熱転写記録媒体では、前記着色層上の最外層として、熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルとしてワックスを主成分として含有する接着層を積層してもよい。接着層のビヒクルとしてのワックスは1種を単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。また、種々の目的のために熱可塑性樹脂や、添加剤を適宜使用してもよい。着色層上に接着層を積層することにより、転写制御層からの剥離と被印字物への接着性の機能分化が図られ、それぞれの性能を個別に最適化することができるので、筋状の着色層の脱落を防止する効果がより高められるとともに、熱転写記録媒体の性能向上が容易となる。
【0038】
接着層は、着色剤を含有する必要がないため、着色層に比べ薄い層にすることができる。接着層は着色剤を含有する必要がなく無色透明の層とすることができ、かつ薄い層であるため、接着層は着色層を覆って着色層よりも広い幅で設けることができる。このように接着層を着色層より広い幅で設けても、接着層は薄い層であるので、着色層の熱転写時の転写性能に悪影響を及ぼすことはなく、かつ接着層は無色透明であるので、転写された着色層の色が予期した色とは異なる色に成ることもない。接着層は着色層よりも広い幅で設けることができるので、接着層が単独で脱落(所謂、粉落ちが発生)することはない。また、接着層を筋状の着色層よりも広い幅で設けることによって、接着層が着色層をカバーする状態となるため、転写制御層からの筋状の着色層の脱落を防止する効果も、より高めることができる。接着層は、熱転写記録媒体の全面に設けてもよい。
【0039】
接着層を設けることによって、熱転写記録媒体の性能向上が容易となる効果としては、被印字物が紙である場合に、着色層の転写制御層からの脱落を防止する効果を低下させずに、被印字物への定着性を高めることなどが挙げられる。例えば、着色層のビヒクルの融点を下げると、熱転写時に着色層が容易に溶融して、被印字物である紙の表面の隙間により浸透しやすくなり、被印字物への定着性をより高めることができる。しかしながら、着色層のビヒクルの融点を下げると、熱転写記録媒体が高温下で保存された直後に使用されることや、高温化で使用されることがあれば、着色層が軟らかくなり、着色層が転写制御層から脱落(所謂、粉落ちが発生)する可能性が大きくなる。これに対し、着色層のビヒクルの融点を変えずに、着色層上にビヒクルの融点が着色層よりも低い接着層を積層すれば、着色層の転写制御層からの脱落を防止する効果を低下させずに、被印字物への定着性を高めることができる。着色層のビヒクルの融点は変更していないので、着色層の転写制御層からの脱落を防止する効果は低下しない。一方、着色層上に、ビヒクルの融点が着色層よりも低い接着層を設けたので、熱転写時に被印字物と接触している接着層は容易に溶融して、着色層のみであった場合に比べ、溶融したビヒクルが被印字物である紙の表面の隙間により浸透し、被印字物への定着性が高められる。上記のように、接着層を着色層よりも広い幅で設けることができるので、接着層が背面側に移行する所謂ブロッキングが発生しない範囲内であれば、接着層のビヒクルの融点を低下させても、接着層が脱落(所謂、粉落ちが発生)するなどの不具合が生じるおそれはない。
【0040】
接着層に使用するワックスとしては、たとえばラノリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、酸化ワックス、合成エステルワックス、ポリエチレンワックス、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体ワックス、ウレタン化ワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成石油ワックスなどの合成ワックスなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ワックスの接着層中の固形分中における含有量は、55~100重量%が好ましく、ワックスの接着層中の固形分中における含有量が、55重量%未満になると、熱転写時の印字の感度が低下する。
【0041】
接着層の厚みは、0.3μm以上0.7μm以下が好ましい。接着層の厚みが0.3μm未満になると、接着層を設けた効果が得られない。また、接着層の厚みが、0.7μmを超えると、熱転写時に接着層中の熱伝達性が悪くなり、接着層が十分に溶融せず、被印字物への転写不良が発生し易くなる。接着層の厚みが上記範囲内であれば、接着層を熱転写記録媒体の全面に設けても、印字の転写感度が低下することはない。
【0042】
接着層には、熱可塑性樹脂(エラストマーを含む)を含有してもよい。接着層に添加する熱可塑性樹脂(エラストマーを含む)としては、着色層において接着性樹脂として例示した熱可塑性樹脂のほか、公知のものが使用可能であり、1種類の樹脂を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、接着層の融解熱量が高くなることによって、熱転写時に着色層よりも接着層が溶融し難くなって、被印字物が紙である場合の定着性が低下する程度まで、熱可塑性樹脂を含有することは好ましくない。また、接着層には、ブロッキングを防止するために粒子を含有してもよい。ブロッキング防止のために含有する粒子としては、シリカ粒子などが例示される。粒子を含有する場合には、粒子の分散をよくするために、分散剤を含有してもよい。
【0043】
また、接着層に添加する添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などがあげられる。着色層上に設けた接着層は着色剤を含有する必要がなく、主成分であるワックスのほか、熱可塑性樹脂や添加剤などの含有率の調整範囲が広がる。このため、接着層を設けることにより、ワックスのほか、熱可塑性樹脂や添加剤などの含有率を調整して、熱転写記録媒体を高感度することや、ブロッキングの防止が容易になる。
【0044】
(耐熱滑性層)
本発明の熱転写記録媒体では、基材の着色層を設けた面の反対面に耐熱滑性層を設ける。耐熱滑性層を設けることにより、印字時のプリンターの転写ヘッドによる基材のダメージを少なくすることができる。耐熱滑性層を設けることにより、基材のダメージが少なくなるので、印字時に転写ヘッドが基材に貼りついてスムーズに移動できなくなる、所謂スティックを防止することができる。
【0045】
本発明の耐熱滑性層の材料としては、熱転写記録媒体で従来から採用されているものが特に制限無く使用できる。サーマルヘッドに対する耐熱性、高温時での動摩擦係数を小さくする点やコストを考慮すると、これらの中でも、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、またはその混合物が、耐熱滑性層の材料として特に好ましい。
【0046】
本発明の耐熱滑性層には、粒子のほか、滑剤、帯電防止剤などその他の添加剤を配合してもよい。
【0047】
本発明の耐熱滑性層の厚み(乾燥後厚み、以下同様)は、良好なスティック防止効果を達成しかつ熱伝導性の悪化を防止する点から、0.05~ 0.8μmが好ましい。耐熱滑性層の厚みが0.05μm未満では、耐熱性が不十分で印字時にスティックが発生することや、基材が溶融して印字不能となることがある。0.8μmを超えると、熱伝導性が悪化して印字に支障をきたすことがある。
【0048】
本発明の熱転写記録媒体は、被印字物として、半透明のシート状の紙及び/又は透明又は半透明のシート状のプラスチックなどに使用することができる。半透明のシート状の紙及び/又は透明又は半透明のシート状のプラスチックとしては、グラシン紙、ポリエチレンラミネートグラシン紙などの紙や、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンラミネートセロファンなどフィルムである従来公知の包装用材料として使用される紙及び/又はプラスチックを挙げることができる。
【0049】
本発明の熱転写記録媒体は、半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを、二つ折りした状態で印字する薬剤分包機等にも使用することができる。なお、このような薬剤分包機等では、シートを二つ折りした状態で重ね合わせたシートの両端をシールすることによりシートを筒状として、筒の内部に薬剤などの被包装物を収納する。
【0050】
本発明の熱転写記録媒体を用いて印字される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックの引張り弾性率は、400MPa以上2000MPa以下が好ましい。引張り弾性率が400MPa未満になると、プリンターによる張力でシートが伸びることがあるため、使用できない。一方、引張弾性率が2000MPaを超えるシートは、シートが厚すぎるか硬過ぎるために、包装用途には適さない。
【実施例
【0051】
本発明を、以下の実施例1~11、比較例1~8を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。以下、各材料の配合量について、部と表示するものについては、特に断りがない限り、重量部を示すものとする。また、着色層以外の層は、特に断りがない限り、熱転写記録媒体(基材)の全面に塗工するものとする。
【0052】
(実施例1)
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%)34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0053】
(赤色着色層)
下記処方の材料を混練して赤色の着色層インクを作製し、転写制御層上に厚みが2.0μm、塗工幅7.0mmの基材の長手方向の筋状になるよう塗工して赤色着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点99℃、固形分100%) 72.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点90℃、固形分100%)
8.00部
赤色顔料(固形分100%) 15.00部
【0054】
(黒色着色層)
下記処方の材料を混練して黒色の着色層インクを作製し、転写制御層上に厚みが2.0μm、塗工幅7.0mmの基材の長手方向の筋状になるよう塗工して黒色着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点99℃、固形分100%) 72.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点89℃、固形分100%)
8.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
【0055】
(耐熱滑性層)
下記処方の材料を混練して耐熱滑性層インクを作成し、乾燥後の厚みが0.2μmになるように調整して前記着色層、前記転写制御層を積層した面の反対の基材面に塗工乾燥させて耐熱滑性層を作製し、熱転写記録媒体を作製した。
シリコーン変性ウレタン樹脂 25.00部
(大日精化工業社製 ダイアロマー、固形分20%)
イソシアネート 3.00部
溶剤(MEK) 140.00部
溶剤(トルエン) 25.00部
【0056】
(実施例2)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 38.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 30.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0057】
(実施例3)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 30.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 38.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0058】
(実施例4)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 38.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 38.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 4.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0059】
(実施例5)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 30.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 30.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 20.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0060】
(実施例6)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 39.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 39.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 10.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0061】
(実施例7)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 29.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 29.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 30.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0062】
(実施例8)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径0.15μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0063】
(実施例9)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径2.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0064】
(実施例10)
(接着層)
下記処方の材料を混練して接着層インクを作製し、乾燥後の厚みが0.5μmになるよう調整して前記着色層上に塗工、乾燥させて接着層を着色層上に積層した以外は、実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点83℃ 固形分30%水溶液) 32.75部
シリカ粒子
(平均粒子径0.5μm、固形分100%) 6.05部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
【0065】
(実施例11)
黒色着色層と赤色着色層の塗工幅を1.0mmになるよう塗工した以外は、実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
【0066】
(比較例1)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 25.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 43.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0067】
(比較例2)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂 (固形分100%) 45.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 23.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂 (固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0068】
(比較例3)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂 39.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 39.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 2.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0069】
(比較例4)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 29.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 29.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 22.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0070】
(比較例5)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 40.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 40.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 8.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0071】
(比較例6)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 28.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 28.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 32.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0072】
(比較例7)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径0.10μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0073】
(比較例8)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径2.20μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
【0074】
(基材からの着色層の脱落評価)
実施例1~11、比較例1~8で作製した熱転写記録媒体を常温、常湿で1週間放置した後、50mm幅の短冊状にカットして評価用サンプルを準備した。各サンプルにおける赤と黒の筋状の着色層の位置は、すべてのサンプルでほぼ同じ位置となるようにした。各サンプルを評価に必要な長さにしたのち、図1に示すように測定器にセットする。熱転写記録媒体のセット方法としては、まず、厚さ1.3mm、幅26mm、長さ100mmにカットしたスライドガラスの厚さ1.3mm×長さ100mmの面が重力方向と直角な面(水平面)となるようにセットする。次にセットしたスライドガラスと熱転写記録媒体の着色層側が接するように、熱転写記録媒体をセットする。この状態で、転写記録媒体の着色層側の面はスライドガラスの厚さ1.3mm×長さ100mmの面と幅26mm×長さ100mmの面と隙間なく接する状態にする。次に、図1に示すように熱転写記録媒体に784mNの重りを取り付けることによって、熱転写記録媒体に張力を負荷し、この張力を負荷した状態で、熱転写記録媒体を水平方向に20mm/secで、200mm移動させて、脱落試験を実施した。脱落試験後の各熱転写記録媒体の筋状着色層の脱落の有無を下記評価基準にて、目視確認した。評価結果を表1と表2に示す。
○:筋状着色層の浮き、脱落とも全くなかった。
△:筋状着色層の一部が浮いているものがあったが、使用上問題のないレベルであった。
×:筋状着色層が脱落し、印字には使用できないレベルであった。
【0075】
(印字感度評価)
実施例1~10、比較例1~8で作製した熱転写記録媒体を、株式会社タカゾノ製の薬剤分包装置の熱転写プリンターを使用して印字できる状態にセットした後、同プリンターを使用して印字した。被印字物としては、引張り弾性率500MPaポリエチレンラミネートグラシン紙(印字はグラシン紙側にする)を使用した。印字パターンとしては、赤色着色層、黒色着色層とも、10ポイントのアルファベット大文字AからZまでを印字した。印字スピードは180mm/secで印字した。印字の状態を下記評価基準にて、目視確認した。評価結果を表1と表2に示す。
○:印字の欠けや濃度低下はなかった。
×:印字の欠けや濃度低下があった。
【0076】
(表1)
【0077】
(表2)
図1