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特許7104468局所照射線量のレベルを測定しおよび表現するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】局所照射線量のレベルを測定しおよび表現するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
A61N5/10 Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019568820
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 FR2018050359
(87)【国際公開番号】W WO2018158518
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】1751740
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519318155
【氏名又は名称】ファイバーメトリックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メロディ ムニエル
(72)【発明者】
【氏名】ファニー カルビエ
(72)【発明者】
【氏名】ラミロ モレノ
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-517031(JP,A)
【文献】特開2016-127989(JP,A)
【文献】特表2013-538340(JP,A)
【文献】特開2014-173903(JP,A)
【文献】特表2016-533211(JP,A)
【文献】米国特許第05704890(US,A)
【文献】特表2005-512028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0105692(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
G01T 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイムで局所照射線量のレベルを少なくとも2次元で測定した上で表現するリアルタイム測定機器の作動方法であって、
前記リアルタイム測定機器は、照射されるべき標的の3次元的な形態に適合可能な支持体上に所定のトポロジーに従って配置された複数の放射線感受性プローブSiと、コンピュータコードによって制御されるコンピュータと、を含み、
前記コンピュータコードは、
前記コンピュータに、前記プローブSiが局所ゾーンZiに各々対応するように前記支持体によって位置決めされた前記プローブSiの各々によって出される照射のレベルISiを取得させ、および数値ISi(t)を周期的に記録させるステップと、
前記コンピュータに、前記数値ISi(t)を、較正表により、前記プローブSiに関連するゾーンZの各々に投与される照射線量に対応する値DSi(t)に変換させるステップと、
- 前記コンピュータに、リアルタイム測定のシークエンスの間に、前記プローブSiに関連しない少なくとも1つの仮想ゾーンZivの少なくとも1つの推定照射レベル値ISiv(t)の空間補間計算を行わせる空間補間ステップであって、前記照射されるべき標的の3次元的な形態を考慮に入れた計算処理を施すことによって行われる空間補間ステップと、
含むことを特徴とするリアルタイム測定機器の作動方法。
【請求項2】
前記コンピュータコードは、前記コンピュータに、前記 少なくとも1つの推定照射レベル値ISiv(t)を間補間関数としてさせるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム測定機器の作動方法。
【請求項3】
前記空間補間ステップは、前記プローブに対するおよび/または患者に対する源の相対位置P(t)[テーブルの位置X,Y,Z情報および/またはチューブの角度位置、またはテレメータ、またはビデオカメラおよび3つの三角点によって知られる]を考慮に入れた計算処理を施すことによって行われることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム測定機器の作動方法。
【請求項4】
前記空間補間ステップは、照射線量を投与する設備の特性C(t)を考慮に入れた計算処理を施すことによって行われることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム測定機器の作動方法。
【請求項5】
前記空間補間ステップは、患者によって受け取られる線量を1次元または多次元で推定するために臨床ルーチンにおいて使用される他の検出器または患者線量評価システムを用いて得られる結果を考慮に入れた計算処理を施すことによって行われることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイム測定機器の作動方法。
【請求項6】
リアルタイムで局所照射線量を少なくとも2次元で測定した上で表現するためのリアルタイム測定機器であって、前記リアルタイム測定機器は、照射されるべき標的の3次元的な形態に適合可能な支持体上に所定のトポロジーに従って配置された複数の放射線感受性プローブSiと、ンピュータコードによって制御されるコンピュータと、を含み、
前記コンピュータコードは、
- 前記コンピュータに、前記プローブSiが局所ゾーンZiに各々対応して位置決めされた前記プローブSiの各々によって検出される照射のレベルISiを取得させ、および数値ISi(t)を周期的に記録させるステップと、
- 前記コンピュータに、前記数値ISi(t)を、較正表により、前記プローブSiに関連するゾーンZの各々に投与される照射線量に対応する値DSi(t)に変換させるステップと、
- 前記コンピュータに、前記リアルタイム測定のシークエンスの間に、前記プローブSiに関連しない少なくとも1つの仮想ゾーンZivの少なくとも1つの推定照射レベル値ISiv(t)の空間補間計算を行わせる空間補完ステップであって、前記照射されるべき標的の3次元的な形態を考慮に入れた計算処理を施すことによって行われる空間補間ステップと、
を含むことを特徴とするリアルタイム測定機器。
【請求項7】
前記プローブSiの少なくとも一部は、放射線不透過性マーカーに関連することを特徴とする請求項に記載のリアルタイム測定機器。
【請求項8】
前記放射線不透過性マーカーの各々は、特有の識別子を有することを特徴とする請求項に記載のリアルタイム測定機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者、またはことによると、電離放射線(ionizing radiation)の流れを受ける対象によって受け取られる照射線量(radiation doses)をリアルタイムで測定するための方法に関する。
【0002】
皮膚照射は確定的影響を引き起こし得るので、検査の間、例えば介入放射線医学手順の間、患者によって受け取られる線量をリアルタイムで知ることは重要である。
【0003】
放射線防護において、吸収される線量、またはより簡潔に、線量は、電離放射線によって質量単位当たりに堆積される(deposited)エネルギーである。また、原子核物理学における照射性(radiative)線量または放射性(radioactive)線量をも指す。
【0004】
照射の確定的および確率的影響:放射線治療法または小線源治療法におけるがんの治療計画、偶発的または自発的暴露(放射線医学)の場合の疾病リスクの予測、原子力産業における安全基準の定義、等、を予測するために、線量を知ることは、生体組織内に堆積されるエネルギーを定量化することを可能にする。
【0005】
介入放射線医学は、放射線透視法(radioscopy)によって案内される診断上のおよび/または治療上の医療手順の全てを含み、
- 診断上のおよび/または治療上の侵襲的放射線案内行為(invasive radio-guided acts)、
- 手術中に(per-operatively)電離放射線を用いる外科的手順、
を含む。
【0006】
デジタル化、移植の進化、画像取得の容易性は、全て、これらの手順の数の増大に寄与する。
【0007】
2002年に、7000万件を超える放射線学的(radiological)手順がフランスで行われた。これらの手順のうちの1.5%は、介入放射線医学に関するが、総線量の20%は、医療放射線医学によって投与される(delivered)。これは、低仮説(low hypothesis)であることに留意されたい。これに反して、これらの手順のうちの幾つかは、放射線治療法のセッションと同等の線量を投与する。したがって、介入放射線医学において投与される線量を知りおよび最適化することは、特に重要である。
【0008】
線量管理を増強するために、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)は、放射線学的設備(facilities)が各検査およびこの検査(IEC規格60601-2-43:2010、2010年3月「Medical Electrical Equipment - Part 2-43: Specific Requirements for Basic Safety and Essential Performance of X-ray Equipment During Procedures」)の各シークエンスに関して線量測定データ(dosimetric data)をコンソールに表示すべきことを要求している。これは、介入放射線医学における表面線量積(PDS: Surface Doses Product)を含む可能性がある。
【0009】
吸収される線量は、コンピュータシミュレーションツールを用いて(多かれ少なかれ正確に)計算され得る。臨床診療において、これらの計算方法の最も重要な適用は、処理計画システム(processing planning systems)による放射線治療法の間に患者に投与される線量の分布の最適化である。
【0010】
しかしながら、介入放射線医学において、線量計算は、特に、照射角度の多様さおよび同一の検査の間の取得パラメータのリアルタイムの変化のために、従来の放射線医学のものの単純さを有さない。
【0011】
介入放射線医学において照射線量を客観化するために、表示器が利用可能である。
- 表面線量積(PDS):投与線量を監視するために必須。注意:それを測定する電離箱は、全ての入射(incidences)を累積する(cumulates)、
- スコピー時間(scopy time)、これもまた必須であるが、皮膚線量に不十分に相関する、
- 画像の数(情報を提供するが、投与された線量を監視するのには不十分)、
- 介入基準点(IRP:interventional reference point)における空気カーマ:設備(installations)は、IRP(多くの場合、アイソセンタの15cm上流、ビーム軸上、すなわち、チューブ焦点から約60cmに位置する)における空気カーマ値(または空間線量(air dose))を表示する。この値は、PDS測定から計算される。これは、患者の皮膚に後方散乱させられおよび患者によって生み出された放射線の寄与、テーブルおよびマットレスの減衰を考慮に入れず、およびビームを、手順を通して固定されているとみなすことによって(異なる入射を考慮に入れないで/入れて)、各暴露(造影法(graphy)およびスコピー(scopy))の値を累積する。
【0012】
表面線量積は、X線ビームの表面に一体化される空気中に吸収される平均線量と、その軸に垂直な平面内においてこのセクションの表面を通って拡散する媒体がないときは、等しく、および
【0013】
【数1】
【0014】
であるように、D(x,y)として言及される。
【0015】
線量がビームの横断面全体にわたって一定である場合、これは概して一般に正しいと考えられているが、PDSは、線量とビームの横断表面(transverse surface)Sとの積として表現され得る。
【0016】
【数2】
【0017】
単位:Gy・m2、mGy・cm2、・・・。
【0018】
この指標(index)は、「透過箱(transmission chamber)」タイプの電離箱のおかげで、空気中またはファントム内で直接的に測定され得る。
【0019】
電荷を持たない粒子(光子(photons)または中性子(neutrons))のビームの線量測定法は、カーマ(Kerma:単位質量あたりに放出される運動エネルギー(Kinetic energy released per unit mass)の頭文字)と呼ばれる重要な(great)物理的現象によって特徴付けられる。カーマは、以下のように定義され得る。
- 任意の媒体(空気、水、壁、器官、等)を通過する電荷を持たない粒子の電離ビーム(ionizing beam)を考えてみよう、
- 質量dmを有する、この環境の小さい素子(small element)を考えてみよう、
- dEtrを、物質のこの小さい素子内においてビームによって失われたエネルギー(この媒体内の荷電粒子に移動される運動エネルギーの形態の、エネルギーの移動)としよう。
【0020】
次に、カーマKは、この小さい素子内におけるエネルギー移動とこの素子の質量との間の比である。K=dEtr/dm。
【0021】
カーマの単位は、グレイであり、Gyとして言及される。1Gy=1J/kg。
【0022】
皮膚によって吸収される線量を推定することは推奨される。それは、操作の間は利用できないが、後に実行され得る。皮膚レベルにおける線量分布をマッピングすることは望ましい。
【0023】
別の解決策は、患者の皮膚上に配置されたプローブを使用して、検査の間に患者に投与されるX線線量を直接的および局所的に測定するための特定性(specificity)を有する線量計による照射線量の測定を提供することである。線量計は、電離放射線での照射の間に光子を生成するシンチレータを形成するドープファイバ(doped fibres)からなる。それは、患者に対するプローブの位置によって定義されるトポロジーによって組織化される測定点のマトリックスを形成する。デフォルトで、プローブは、あらかじめ定義された位置に配置される。
【背景技術】
【0024】
技術水準
電離放射線によってシンチレータ内に堆積される照射線量を決定するための方法の一般的原理を述べる特許文献1は、技術水準として知られている。この方法は、
- 所定の時間にわたってシンチレータを照射する工程と、
- 第1の光検出器(photodetector)を用いてシンチレータ励起の瞬間を検出する工程と、次いで、
- 単一光子計数モードで作動する第2の光検出器を用いてシンチレーション光子の受信の瞬間を検出する工程と、
- 同時発生事象における第1の光検出器による励起時検出および第2の光検出器による受信時検出からなる各シークエンスを識別する(identifying)工程と、
- 同時発生的事象の数を計数する工程と、
- 照射時間の間に堆積される照射線量を、計数される同時発生事象の数および所定の比例定数(proportionality factor)の関数として、取得する工程と、
にある。
【0025】
我々は、また、放射線学的放射の流れを受ける検査されるべき領域によって吸収される放射線学的放射の線量をリアルタイムで測定するための、
(a)前記検査されるべき領域内に配置されおよびそれが放射線学的放射を受けたときに光信号を生成するのに適合する少なくとも1本のファイバを含む、測定用光ファイバの少なくとも第1の束を用いて、検査されるべき領域内の少なくとも1つの点における入射放射を検出するステップと、
(b)測定用光ファイバに沿った伝送(transmission)の後で、検査されるべき領域の外側で、前記光信号を測定するステップと、
(c)前記光信号から前記測定用光ファイバによって受け取られる放射線学的照射線量を決定するステップと、
を含む方法を述べる特許文献2を知っている。
【0026】
使用されるデバイスは、放射線学的放射の流れを受ける検査されるべき領域によって吸収される放射線学的照射線量のリアルタイム測定のための1つの機器(a piece of equipment)であり、
- 検査されるべき領域内の少なくとも1つの点における入射放射を検出するために、前記検査されるべき領域内に配置されおよびそれが放射線学的放射を受けたときに光信号を生成するのに適合する少なくとも1本のファイバを含む、測定用光ファイバの少なくとも第1の束を含む線量計と、
- 測定用光ファイバに沿った伝送の後で、検査されるべき領域の外側で、前記光信号を測定するための手段と、
- 前記光信号から前記測定用光ファイバによって受け取られる放射線学的照射線量を決定するための手段と、
を含む。
【0027】
同様に先行技術において知られているのが、画像取得システム、患者支持テーブル、およびテーブルに関する血管造影画像化手順において患者に向けられる放射線のビームの角度を計算するコンピュータプロセッサを述べる特許文献3である。
【0028】
方法は、テーブルの角度を計算する工程と、2次元格子に関する放射線ビームの交点を計算する工程と、放射線ビームの交点において2次元格子のあらかじめ定義された領域の各々に適用される照射線量を計算する工程と、あらかじめ定義された領域の2次元格子に関する患者の配向を計算する工程と、使用者による観察(viewing)目的のために、2次元格子のあらかじめ定義された領域の各々に適用される照射線量の集合を示す図形表示を作り出す工程と、にある。
【0029】
この先行技術の解決策は、アーム/テーブル角形成(angulation)によりテーブル上で測定される線量から計算される、患者の皮膚上における照射線量を決定することを可能にする。皮膚に対するこの線量は、距離、角度、皮膚の密度/性質に依存し、および空気中で測定される線量に対応する。
【0030】
走査型画像形成デバイスによる診断上の画像取得に暴露される対象の別の器官に適用される照射線量を決定するためのシステムの別の知られている例を述べる特許文献4もまた、先行技術において知られている。登録画像(register image)から、コンピュータプロセッサは、暴露される対象の1つの端の境界を2次元の登録画像から計算すること、2次元の登録画像を含む複数のピクセルのグレースケールの強度に応じて第1の器官の境界を計算すること、第1の器官の境界に関してあらかじめ定義された幾何学的配向による少なくとも1つの解剖学的段階の境界を計算すること、およびあらかじめ定義された成長学的基準を適用して、解剖学的段階(単数または複数)の境界に関するあらかじめ定義された幾何学的配向に依存する第2の器官の境界を計算すること、および解剖学的段階の境界によって画定される領域において適用される線量測定を示す表示を作り出すこと、を可能にする。
【0031】
この先行技術の解決策の原理は、フィールド内の器官により、および器官間の寸法の比の知識により、フィールド外の器官を決定することである。
【0032】
別の先行技術の文献、特許文献5は、ビーム検出器組立品に対向して位置するX線源を支持するX線ガントリーを含むCTスキャナーを規定する。論理部分(logical part)は、対象の走査を制御して第1の走査検出画像を生成する機構を含む。第1の楕円形(elliptical)患者モデルは、走査画像から生成される。
【0033】
患者の楕円体(ellipsoidal)モデルは、制御手段(control means)に関する線量計算および表示のための対応する直径の概算である。
【0034】
特許文献6もまた、技術水準として知られている。
【0035】
非特許文献1。
【0036】
非特許文献2。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【文献】仏国特許第2981757号明細書(FR2981757)
【文献】欧州特許出願第1581824号明細書(EP1581824)
【文献】米国特許出願第14/338,464号明細書(US14/338,464)
【文献】米国特許出願第14/510,815号明細書(US14/510,815)
【文献】中国特許第1736333号明細書(CN1736333)
【文献】米国特許第2010/0320819号明細書(US20100320819)
【非特許文献】
【0038】
【文献】Nishikido, F., Moritake, T., Ito, H. & Yamaya, T. A prototype real-time dose distribution monitoring system using plastic scintillators connected to optical fiber for interventional radiology. (2013)
【文献】Chida Phd, K. et al. Real-time patient radiation dosimeter for use in interventional radiology. (2016). doi:10.1016/j.ejmp.2016.10.013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
先行技術の欠点
先行技術において提案される解決策は、幾つかの欠点を有する。
【0040】
第1に、先行技術の解決策によって提供されるデータは、放射線ビーム暴露領域に直接的に位置しないそれらの領域および器官を含む、患者の異なる身体領域の照射レベルを完全にマッピングするための解像度に欠ける。
【0041】
第2に、先行技術の解決策は、収集するのが容易ではない付加的な情報を必要とし、またはさもなければ精度に欠ける。
【0042】
第3に、今日、先行技術において知られる解決策は、皮膚に投与される最大線量がリアルタイムで決定されることまたは3D測定を提供することを可能にせず、または精度に欠ける。しかしながら、この態様は、例えば広範囲の角形成が使用され得る神経介入(neuro-intervention)において、重要である。
【0043】
幾つかの解決策は、非常に多数の検出ファイバの使用を必要とし、および患者を支持するテーブル上におけるそれらの一体化は、比較的に限定的であり、システムをセットアップすることを非常に困難にし得る。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明によって提供される解決策
これらの不利点を是正するために、本発明は、その最も広い意味において、少なくとも2次元で局所照射線量のレベルを測定しおよび表現するための方法に関し、
- 放射線の照射に感受性があるNプローブSiを、知られているテクノロジーにより、局所ゾーン(local zone)Ziに各々対応して、位置決めするステップと、
- 前記プローブの各々によって、検出される照射のレベルISiを取得し、および数値ISi(t)を周期的に記録するステップと、
- 前記数値ISi(t)を、較正表により、プローブSiに関連するゾーンZの各々に投与される照射線量に対応する値DSi(t)に変換するステップと、
を含み、それは、測定シークエンスの間に、プローブに関連しない少なくとも1つの仮想ゾーンZivの少なくとも1つの推定照射レベル値ISiv(t)の空間補間計算のステップをさらに含むことを特徴とする。
【0045】
補間関数は、例えば、
- 共通重心(barycenter)補間関数、
- モデルを持つ畳み込み補間関数、
である。
【0046】
代替的解決策によると、本発明は、また、少なくとも1つの推定照射レベル値ISiv(t)を、時間補間関数として、計算するためのステップを含む。
【0047】
別の代替的解決策によると、前記補間関数は、ヒトの形態の表現を考慮に入れた計算処理を施すことによって行われる。この表現は、一般的な形態、または半一般的なやり方で個人化され、または前記照射を受ける患者に特定の、のいずれかであり得る。
【0048】
特定の実施形態によると、前記補間ステップは、前記プローブに対するおよび/または前記患者に対する源(source)の相対位置P(t)を考慮に入れた計算処理を施すことによって行われる。患者に関する源の相対位置は、例えば、テーブルの位置X,Y,Z情報および/またはチューブの角度位置によって、またはテレメータ、またはビデオカメラまたは三角測量(triangulation)システムによって提供されるデータによって、知られる。
【0049】
有利には、前記空間補間ステップは、照射線量を投与する設備の特性C(t)を考慮に入れた計算処理を施すことによって行われる(電圧、電力、照射幅、等のような信号の発出、検出、処理および表示)。
【0050】
本発明は、また、照射の局所線量を少なくとも2次元で測定しおよび表現するための機器に関し、複数の放射線感受性プローブSiと、上述の方法を実施するためのコンピュータコードによって制御されるコンピュータと、を含む。
【0051】
代替的解決策によると、前記プローブSiの少なくとも一部は、放射線不透過性マーカー(radiopaque marker)に関連する。
【0052】
別の代替的解決策によると、これらの放射線不透過性マーカーの各々は、特有の識別子(distinctive identifier)を有する。
【0053】
有利には、前記プローブSiは、照射されるべき標的[ヒトであろうとなかろうと]の形態に適合する3次元の支持体上の所定のトポロジーに従って配置される。
【0054】
本発明の非限定的な例の詳細な説明
本発明の特徴および利点は、単に非制限的な例として与えられる以下の説明を、添付図面を参照しつつ読むに際して、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明による、線量を決定するためのデバイスの概略図である。
図2】本発明を具現化するプローブの概略的断面図である。
図3】本発明による、神経放射線医学機器の概略図である。
図4】本発明による、ベルトの形の機器1つの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の背景
本発明の目的は、より包括的な患者照射データを提供して、各暴露のよりよい分析、可能性のある変動源(possible sources of variation)の識別、ならびに改善されたプロトコルおよび検査を通して治療の質を向上させることである。本発明は、また、放射線発出デバイスの何らかの機能不全またはドリフトをリアルタイムで強調(highlight)することを可能にする。
【0057】
本発明は、概して、線量測定デバイスと組み合わされた、介入放射線医学手順の間に受け取られる線量のリアルタイムの地図的推定のための方法を提案する。
【0058】
デバイスは、リアルタイムで、3Dで、カスタマイズされたやり方でおよび介入放射線医学(神経学、血管病理学、胸部病理学、腫瘍学、婦人科学、等)の異なる分野に関して、皮膚上に堆積される線量のマッピングを可能にする。
【0059】
関係する複数の技術および分野に起因して、多くのリスク、特に、重大な放射線防護事象の形のX線の悪影響を含む様々な警戒措置(vigilance measures)が、介入放射線医学に内在する。介入放射線医学技術は、概して、以下の身体部分に関与する。
- 腹部(腸、腎臓、肝臓、胃)、
- 中枢神経系(脳、脊髄)、
- 胸郭(呼吸システム、肺)、
- 心臓血管系(動脈、静脈)、
- 筋骨格系(骨、関節、脊柱)、
- 泌尿生殖器系(生殖器、泌尿器系)。
【0060】
介入放射線医学において患者に投与される線量は、しばしば、200mGyの値、すなわち従来の「低」線量の限度を超過し、および多くの場合、数グレイに達する。可能性のある照射の影響は、もはや事実上、確率論的なだけではなく、および確定的影響もまた、観察され得る(例:放射線皮膚炎)。
【0061】
様々な器官によって吸収される線量は、機器の欠如に起因して、患者上においてリアルタイムで測定され得ないので、等価線量は、人体形状ファントム(anthropomorphic phantoms)の線量を測定することによって、または数学ファントム(mathematical phantoms)に対するまたは患者上で取得されるデータに対する放射線相互作用をシミュレートするソフトウエアによって、推定される。しかしながら、PDSは、皮膚に対する最大線量の重要性を正確には反映せず、およびその使用は、手順、設備および操作者の特別なおよび特定の条件下でのみ可能となる。その一方で、空気カーマとPDSの関係は、複雑であり、および実現の特定の条件の下でのみ適用可能である。
【0062】
ビーム配向またはその物理的特性(後方散乱成分はそれに依存する)および/またはビーム源と患者との間の実際の距離と同様に、患者の特徴(位置、厚さ、高さ、重さ)は考慮に入れられない。概して、総PDSに対するスコピーの寄与は、診断上の心臓手順に関して30%、および治療上の手順に関して50%のオーダーであり得る。スコピー時間の記録がグラフィカル画像の数および患者の体重を伴っていたとしても、この評価は、実際の線量について+130%から-70%までにわたる大きな不確実性を呈し、それは、多くの電離放射線(IR)発出デバイスが、各スコピーシークエンスに関するビーム特性を提供せずに、検査全体に関する照射時間およびスコピー線量のみを提供すると理解される。例えば、2Gyと推定される線量は、実際は、0.6から4.6Gyの間の確からしい値(probable value)を有し得る。手順の間、暴露レベルは、常に知られていなければならず、および操作者は、アラート閾値が到達されたときに通知されなければならない。
【0063】
介入放射線医学の実施は、数多くの照射事故の発覚に直面し、線量管理の改善された検討をもたらす。多くの手順は、皮膚病変を誘発する可能性があり、および確定的影響の発生率は、患者の体重、手順の性質および複雑さ、ならびに以前の暴露に伴い、増大する。手順次第で、スコピー時間は特に長くなる可能性があり、これは、全ての線量は、紅斑(erythema)から皮膚壊死(skin necrosis)まで、可能性のある皮膚病変の全範囲をカバーすることを意味する。これらの病変を診断することは、特に暴露が臨床医に知られていないときに、困難であり得る。これらは、多くの場合、背中、頭皮および胸に位置するようである。
【0064】
機器の説明
線量測定機器は、シンチレータ/光ファイバテクノロジーに基づく検出器プローブ11から14の知られているビームを含む。これらのプローブ11から14は、少なくとも1つの光検出器2と、光検出器2によって送達される信号をデジタル情報であってこの情報を処理するためのコンピュータコードを実行するコンピュータ4によって活用されるデジタル情報に活用する電子回路3と、を含む検出システム1に接続される。
【0065】
介入放射線医学手順の間、プローブ11から14はX線を受け、その作用下で、シンチレータ5は、次いで、受け取られる線量に正比例する光の量を発する。
【0066】
この光は、次いで、収集され、および1つまたは複数の光検出器2に送られる。光信号は、電気信号に変換され、および次いで、電離放射線発出装置によって投与される最終的な線量率(final dose rate)を与えるために、電子回路3によって処理される。
【0067】
プローブの実現の詳細
プローブ11から14は、放射に感受性がある少なくとも1つの有機または無機シンチレーティング光ファイバ5から構成され、および1つの端6において、非シンチレーティングプラスチックまたはシリカ光ファイバ7の1つの端に接続スリーブ8によって接続される。非シンチレーティング光ファイバ7は、シンチレーティング部内で生成された光を伝送するために使用される。
【0068】
機械的抵抗を与えるスリーブ8は、シース10の内側または外側に配置され得る。それは、プラスチックファイバ7とグリッタリングファイバ5との間の結合の機械的補強を可能にし、これは、壊すことのできる領域(frangible area)を構成する。
【0069】
非シンチレーティング光ファイバ7の他の端は、光検出器2のセルに対する最適な接続を可能にする接続システムを備えている。
【0070】
プローブ11から14の放射線透過性を大事にするために、それらは、直径において1mmの最大径、および1mmの最大厚を有する不透明シースを有する。例えばチューブタイプのシースの場合、シースの壁圧は250μmである。
【0071】
感受性領域5の即応性(punctuality)を保証するために、スリーブ8および接着剤(glue)は、それらが照射されたときに最小限の寄生光(parasitic light)を生成するように、および照射下におけるプラスチックおよび溶剤(solvents)からの寄生光の発光を制限するように、選択される。この干渉をさらに低減させるために、スリーブ8は、その機械的補強機能を実施するために必要とされる最小限のサイズのものである。同様に、使用される接着剤の量は、最小限の量に低減される。
【0072】
これは、感受性領域5が小さく、例えば3から5mm長になるしたがって、いっそう重要となる。
【0073】
検出システム
プローブ11から14は、コネクタ、例えば「クッキー(cookie)」型コネクタ(フランス国立科学研究センター(CNRS)によって無料で開発されたコネクタの構造)または単一チャネルプローブのためのSMA-905型コネクタを介して光増倍管(photomultiplier)2または光検出器に接続される。
【0074】
光検出器2は、例えば、Hamamatsu H10721-110もしくは-210(非商業的)またはマルチアノードHamamatsu H8804、H12700センサ、等からなる。
【0075】
それはまた、
- フォトダイオード(SiPM)、アバランシェフォトダイオード(APD)、マルチピクセル光子計数器(MPPC)、
- 電荷結合光検出器(CCDセンサ)、
または、同じ機能を実行する任意の他のデバイス、
から構成され得る。
【0076】
電子部品
概して言えば、光増倍管2の出力において、電気信号は、電子回路3によって、最初は、調整可能な閾値によって計数率(counting rate)(時間単位当たりの事象/光子の数)を決定することおよび特に1個の光子、2個の光子、・・・、n個の光子に対応して光検出器内に生成される信号を選択することを可能にする弁別装置によって、処理される。
【0077】
この操作を実行するための重要な部分(material part)は、2つの形態をとり得る。
- それは、ASIC技術に基づき得る。この場合において、例えば、Weeroc社によって開発された検出基板(detection board)MAROC3(商標)を使用することができる。この基板は、Hamamatsu Multianode PM(64チャンネル)の出力においてアナログ信号を並列式に(in parallel)処理することを可能にする。MAROC3基板の主な目的は、電荷を測定することであり、および光子計数ではない。それにもかかわらず、それは、FPGA内部プログラム(internal program)の変更後に光子計数において使用され得る。
- それはまた、別個の電子回路に基づき得る。基板は、我々によって開発されており、およびその構造は、スキャニング専用の製品のために開発されたものに類似しており、それが並列マルチチャンネル処理を可能にするFPGAを一体化する点が異なる。開発された基板は、1個からn個のチャンネル(nは、使用される光増倍管2のチャンネルの数である)を含み、少なくとも1つの光検出器にされ得る。
【0078】
これらの回路は、1つまたは複数の単一光検出器または1つまたは複数のマルチチャネル光検出器からの信号の並列取得を同時に可能にする。これらの回路は、検出閾値(ゲイン値と同様に)が各チャンネルに関して定義され得るようなやり方で設計される。これは、光検出器または異なる電子チャンネルに起因する変動(fluctuations)を補正(correct)することを可能にする。
【0079】
電子基板3は、2.5Vの電圧での分極を保証する抵抗ブリッジを介して、光増倍管2の出力における信号を受け取る。次いで、アナログ信号をあらかじめ定義された電圧レベルによって選択しおよびTTLデジタル信号に変換する比較器が使用される。後者は、FPGA内の計数器に直接的に送られるか、または計数される前にフォーマットされる(単安定(monostable)の生成)か、のいずれかである。
【0080】
データは、次いで、有線接続を介して、例えばフラッシュドライブまたはイーサネット(Ethernet)(登録商標)を介して、または無線で、例えばWi-Fi(登録商標)またはブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)を介して、制御および表示デバイスに送信される。
【0081】
例えば手術室内の視覚化画面上に配置される、リモートまたは非リモート画面は、患者によって受け取られる累積的線量および/または瞬間的線量のリアルタイムでの視覚化を可能にする。データは、前述のように、有線ネットワークまたは無線接続を介して、この画面に転送され得る。
【0082】
光増倍管2、電子基板3およびコンピュータ4は、X線束(flux)と干渉しないように放射線フィールド(radiation field)の外側に位置する、ハウジング内に収容される。特に、それは、患者またはラジオ操作者(radio manipulator)および/または患者と関わり合う医者を妨害しないように、テーブルの端に位置決めされ得、および電池で(on batteries)操作され得る。
【0083】
神経放射線医学への適用
介入放射線医学は、様々な医療分野(fields of medicine)で使用される。例は、神経放射線医学および介入心臓(interventional cardio)放射線医学を含む。線量測定プローブは、次いで、様々なニーズおよび各ドメインに内在する制約に対応しなければならない。それらの幾何学的形状は、したがって、例えば、それらが神経放射線医学において使用されるか心臓放射線医学において使用されるかによって、異なることとなる。
【0084】
頭蓋手順(skull procedures)(神経放射線医学)に関して、放射線医学機器は、知られているやり方で患者の頭部の周りを移動させられ得る回転ヘッド20からなり、その上にX線源21およびX線ユニット22が互いに対極的に固定される。位置決めアーム23は、患者の頭部を再現性のあるやり方で固定する。
【0085】
プローブは、所定のトポロジーに従って、または3次元の支持体上にではなく、例えばキャップ24の形で示される標的の形態学に適合して、配置され得、これは、ヘッドレスト内に一体化されまたは患者の頭蓋上に直接的に配置され得る。このキャップは、例えばファイバの数があまり大きくない場合に、マルチチャネル光検出器(好ましくはPMT)または幾つかの光検出器(好ましくはPMT(複数))のいずれかに接続される1本または複数本のファイバ11から13の端の位置決めのための支持体として使用される。
【0086】
他の適用
胸部(thorax)におけるまたは腹骨盤領域(abdo-pelvic area)上の手順に関して、3次元の支持体は、図4に示されるようにベルト30の形であり得、およびまた、均一に分布させられた(一定領域間隔の(constant area spacing))、または着目の領域によらない数本のファイバ11を支持することができる。
【0087】
ソフトウエア処理
ソフトウエア部は、患者の皮膚上に堆積される線量を、着目の領域およびセンサの数に依存する空間解像度によって、リアルタイムで(例えば、500ms毎のデータ更新によって1秒未満で)視覚化することを可能にする。
【0088】
コンピュータプログラムは、また、例えば、患者の画像、介入手順の間に堆積される線量に関するデータ(患者画像、DACSまたは製造業者からのマッピング、DICOM SR、他のリアルタイムの製造業者データ、またはgafchromic(商標)タイプの検出器)、および種々の着目の点に関してプローブ11から14によって測定された線量から、線量が、患者の3D復元(reconstruction)/モデリングを用いてマッピングされるように堆積することを可能にする。
【0089】
DICOMデータは、医療画像からのデータのコンピュータ管理に関する基準(standard)によって定義される。この基準は、一連のフィールドの組織化された構造を定義し、その画素(image pixels)は、特定のフィールドに対応する。
【0090】
各フィールドは、
a)明示的な符号化のために、
- ラベル(タグ)、
- 2文字によって符号化される値表現(VR-Value Representation)、
- 値の長さ(value length)、
- 値、
(b)黙示的な符号化のために、
- ラベル(タグ)、
- 値の長さ、
- 値
によって定義され、
ラベルは、
- 2バイトによって符号化されるグループ番号(group number)、
- 2バイトによって符号化される素子数(element number)、
から成る。
【0091】
堆積される線量に関するDICOMデータおよび機械特性(machine characteristics)は、放射線学的設備がそれを可能にするとき、リアルタイムでおよび/または遅延時間において入手できる。
【0092】
例えば、患者のモデリングは、操作の前に行われる断層撮影(scanographic)検査に基づくこととなる。
【0093】
線量マッピングは、カラーコードによって表現され得る。上に定義されたアラート閾値は、最大皮膚線量のホットスポットを報告するために使用される。
【0094】
この解決策は、それが線量分布を計算するためのソフトウエアプログラムと組み合わされ得るようなやり方で設計される。これは、
- 患者の様々な点における線量のリアル測定を提供することによって、そのようなソフトウエアを最適化すること。
- x個の点において測定された線量のマッピングをより高精度にすること(測定点の補間)。
を可能にする。
【0095】
第1の代替的解決策
設備が、介入手順の間に堆積される線量に関するデータをリアルタイムで入手可能にすることができるとき、コンピュータプログラムは、介入放射線医学手順の前に取られた患者のスキャナー画像から患者の外部境界を抽出することによって、患者の皮膚を最初にモデル化することができる。この外部境界は、次いで、所定の解像度を有する表面メッシュに変換される。コンピュータプログラムは、次いで、介入放射線医学デバイス由来のDICOM SRファイルに記載される各照射事象を(作動に対してリアルタイムでまたは遅延して)患者の外部境界のメッシュの表面上に投影する。コンピュータプログラムは、メッシュ単位当たりの異なる照射事象を累算し(accumulates)、これは、(後方散乱計数タイプの)数学的補正の後に、mGyでの累積的線量の差分マッピング(differential mapping)を有することを可能にする。この第1のマッピングはDICOM SRからの情報に基づくので、それはまた、絶対的な線量マッピングを得るために、プローブ11から14によって様々な着目の点に関して測定された実際の線量情報によって補正されなければならない。介入放射線医学デバイスからのDICOMデータに基づき、測定デバイスによって行われたスポット線量測定によって補充される、この絶対的なマッピングは、視覚化されるために、標準的な3D形式(standard 3D format)(例:vtkタイプ)に変換される。
【0096】
各患者に関して得られた結果の履歴は、測定機器に関連するデータベースに記録される。
【0097】
処理の結果は、リモート画面上に表示され、およびアラートシステムによって活用される。推奨および現行の規制(regulations in force)を前提として、システムは、2Gyの最大皮膚線量が超過されたときに、および次いでその後に続く0.5Gy毎に、アラートシステムを含む。
【0098】
第2の代替的解決策
設備が、介入手順の間に堆積される線量に関するデータをリアルタイムで提供しないとき、共通重心法によって補外された(extrapolated)、プローブ11から14によって様々な着目の点に関して実際に測定された線量の指示マップ(indicative map)は、操作の間に表示され、および検査の終わりに、より高い精度のために上記された技術のうちの1つによって補外されてもよい。
【0099】
第3の代替的解決策
また、設備が、介入手順の間に堆積される線量データをリアルタイムで提供しないとき、線量分布を計算するためのソフトウエアは、gafchromic(登録商標)フィルム、および少なくとも1つのプローブによるgafchromic(登録商標)フィルム上に位置する少なくとも1つの着目の点に関する少なくとも1つの線量測定から、線量分布を決定し、これら2つの測定方法の組み合わせは、フィルムバッチを較正しなければならないことを回避することを可能にする。
【0100】
較正方法
上に提案されたような解決策は、線量およびプローブ内に堆積される線量率を測定する。プローブの位置決定によって、これは皮膚線量測定に等しい。例えば、皮膚線量は、心臓手順、子宮塞栓術(uterine embolizations)、腎血管形成(renal angioplasty)、等に関して、背部(the back)または骨盤において測定され得、ならびに皮膚線量測定は、神経放射線医学手順(脳動静脈奇形(arteriovenous cerebral malformations)(AVM)、頭蓋内動脈瘤(intracranial aneurysms)、等の治療)に関して、頭蓋において行われ得る。
【0101】
システムは、空気カーマの観点から、参照(reference)電離箱に対して較正される。電離箱を用いて得られる結果は、mGyで与えられる。システム較正係数は、したがって、mGy/TC(TC=計数率(Count Rate))で与えられる。それはまた、TLDまたはgafchromic(登録商標)のような線量計に対して較正され得る。
【0102】
多点プローブの場合、各チャンネルは、他とは無関係に較正されることとなる。較正係数は、次いで、各チャンネルに関して定義されることとなる。
【0103】
マルチアノードPMT光検出器の場合、クロストーク効果は、製造業者のデータから、または組織内の測定によって、のいずれかを考慮に入れなければならない。
【0104】
線量補間
各検出点Siに関して、一連の測定ISi(t)、tはデータ取得の時間を示す、は、プローブ11から14によって提供されるデータから得られ、および回路3およびコンピュータ4によって処理される。そのようなデータは、較正表により、プローブSiに関連するゾーンZの各々に投与される照射線量に対応する値DSi(t)に変換される。これらの変数は、リアルタイムで処理を施して、プローブ11から14によって取得されていない点における線量を計算し、およびしたがって、患者によって受け取られる線量の高解像度地図表現を画定するために、データベースに記録される。
【0105】
コンピュータは、データベースに記録された変数を使用して、プローブに関連しない少なくとも1つの仮想領域Zivの少なくとも1つの推定照射レベル値ISiv(t)の空間補間計算を行い、およびプローブ11から14のない領域における推定照射線量に対応する値DSv(t)を記録する。
図1
図2
図3
図4