(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】成形された不織布の形成ベルト
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20220713BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20220713BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20220713BHJP
D04H 1/736 20120101ALI20220713BHJP
D04H 13/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
D04H3/16
A61F13/511 300
A61F13/514 100
A61F13/514 210
A61F13/511 100
D04H1/736
D04H13/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020146891
(22)【出願日】2020-09-01
(62)【分割の表示】P 2018525510の分割
【原出願日】2016-07-28
【審査請求日】2020-10-01
(32)【優先日】2015-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーマン アシュラフ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド マーク ラッシュ
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0203196(US,A1)
【文献】特開昭48-053061(JP,A)
【文献】特開昭48-027070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面の平面、及び使用時の縦方向に一致する長手方向に平行な軸を規定する第1の表面と、
前記長手方向に対して連続的な関係で配列された少なくとも2つの個別のベルトパター
ンと
を含む、不織布基材の製造に使用するための形成ベルトであって、
前記少なくとも2つの個別のベルトパターンのそれぞれが、
個別のベルトパターンの全体の面積と、
前記第1の表面の前記平面から外側に延びる三次元隆起要素の第1のパターンを有する第1の形成区域と、
前記第1の表面の前記平面から外側に延びる三次元隆起要素の第2のパターンを有する第2の形成区域と
を含み、
前記第1の形成区域が第1の空気透過率の値を有し、
前記第2の形成区域が第2の空気透過率の値を有し、
前記第1の空気透過率の値が前記第2の空気透過率の値と異なり、
第1の個別のベルトパターン上の前記三次元隆起要素の第1のパターンが、第2の個別のベルトパターン上の前記三次元隆起要素の第1のパターンと異なっている、
形成ベルト。
【請求項2】
前記第1及び第2の形成区域の1つにおいて、空気透過率の値が前記第1の表面の少なくとも横断方向に変化する、請求項1に記載の形成ベルト。
【請求項3】
前記第1の空気透過率の値が前記第2の空気透過率の値と1.2倍異なっている、請求項1に記載の形成ベルト。
【請求項4】
前記第1の空気透過率の値が前記第2の空気透過率の値と2倍異なっている、請求項1に記載の形成ベルト。
【請求項5】
各個別のベルトパターンの前記個別のベルトパターンの全体の面積が、150cm
2~500cm
2である、請求項1に記載の形成ベルト。
【請求項6】
前記第1の表面の前記平面から外側に延びる三次元形成要素の第3のパターンを有する第3の形成区域を含み、第3の形成区域は第3の空気透過率の値を有する、請求項1に記載の形成ベルト。
【請求項7】
不織布基材の製造に使用するための形成ベルトであって、
第1の表面の平面、及び使用時の横断方向に一致する横方向に平行な軸を規定する第1の表面と、
前記横方向に対して連続的な関係で配列された第1及び第2の個別のベルトパターンであって、前記個別のベルトパターンのそれぞれが、個別のベルトパターンの全体の面積と、前記第1の表面の前記平面から外側に延びる三次元隆起要素の第1のパターンを有する第
1の形成区域と、前記第1の表面の前記平面から外側に延びる三次元隆起要素の第2のパターンを有する第2の形成区域とを有し、前記第1及び第2の個別のベルトパターンの両方について、前記第1の形成区域が第1の空気透過率の値を有し、前記第2の形成区域が第2の空気透過率の値を有し、前記第1の空気透過率の値が前記第2の空気透過率の値と異なり、前記第1の個別のベルトパターンが前記第2の個別のベルトパターンと同じ視覚的外観を有する、第1及び第2の個別のベルトパターンを含む、
形成ベルト。
【請求項8】
前記第1又は第2の個別のベルトパターンのいずれかの空気透過率の値が前記第1の表面の横断方向に変化する、請求項7に記載の形成ベルト。
【請求項9】
前記第1の個別のベルトパターンの前記第1の空気透過率の値が、前記第2の空気透過率の値と1.2倍異なっている、請求項7に記載の形成ベルト。
【請求項10】
前記第1の個別のベルトパターンの前記第1の空気透過率の値が、前記第2の空気透過率の値と2倍異なっている、請求項7に記載の形成ベルト。
【請求項11】
各個別のベルトパターンの前記個別のベルトパターンの全体の面積が、150cm
2~500cm
2である、請求項7に記載の形成ベルト。
【請求項12】
各個別のベルトパターンが、前記第1の表面の前記平面から外側に延びる三次元形成要素の第3のパターンを有する第3の形成区域を含み、第3の形成区域は第3の空気透過率の値を有する、請求項7に記載の形成ベルト。
【請求項13】
不織布基材の製造に使用するためのエンドレス形成ベルトであって、
第1の表面の平面、及び使用時の縦方向に一致する長手方向に平行な軸を規定する第1の表面と、
前記長手方向に対して連続的な関係で配列された少なくとも2つの個別のベルトパターンであって、前記少なくとも2つの個別のベルトパターンのそれぞれが、個別のベルトパターンの長さ、第1の形成区域、及び第2の形成区域を有し、前記第1の形成区域が第1の空気透過率の値を有し、前記第2の形成区域が第2の空気透過率の値を有し、前記第1の空気透過率の値が前記第2の空気透過率の値と異なり、前記個別のベルトパターンの長さの合計が、前記長手方向に平行な前記軸に平行に測定した場合に前記エンドレス形成ベルトの長さに等しい、少なくとも2つの個別のベルトパターンと、を備え、
第1の個別のベルトパターン上の三次元隆起要素の第1のパターンが、第2の個別のベルトパターン上の三次元隆起要素の第1のパターンと異なっている、
エンドレス形成ベルト。
【請求項14】
前記空気透過率が前記第1の表面の横断方向に変化する、請求項13に記載の形成ベルト。
【請求項15】
前記第1の空気透過率の値が、前記第2の空気透過率の値と1.2倍異なっている、請求項13に記載の形成ベルト。
【請求項16】
前記第1の空気透過率の値が、前記第2の空気透過率の値と2倍異なっている、請求項13に記載の形成ベルト。
【請求項17】
個別のベルトパターンが幅を有し、前記長さ及び前記幅が全体の面積を決定し、各個別のベルトパターンの前記全体の面積が、150cm
2~500cm
2である、請求項13に記載の形成ベルト。
【請求項18】
前記第1の表面の前記平面から外側に延びる三次元形成要素の第3のパターンを有する第3の形成区域を含み、前記第3の形成区域は第3の空気透過率の値を有する、請求項13に記載の形成ベルト。
【請求項19】
織フィラメントの強化要素を有し、その上で前記三次元隆起要素が硬化される、請求項13に記載の形成ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形された三次元不織布及び成形された三次元不織布で形成された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、吸収性パーソナルケア製品、衣類、医療用途、及びクリーニング用途をはじめとする様々な用途において有用である。不織布パーソナルケア製品としては、おむつなどの乳幼児用ケア用品、トレーニングパンツなどの小児用ケア用品、生理用ナプキンなどの女性用ケア用品、並びに失禁製品、パッド、及びパンツなどの成人用ケア用品が挙げられる。不織布製の衣類としては、保護作業着及び手術衣などの医療用衣料品が挙げられる。他の不織布の医療用途としては、不織布製の創口ドレッシング材及び外科用ドレッシング材が挙げられる。不織布のクリーニング用途としては、タオル及び拭き取り布が挙げられる。不織布の更に他の用途もよく知られている。上記の一覧は網羅的なものとはみなされない。
【0003】
不織布の様々な特性によって、異なる用途における不織布の適合性が決まる。不織布は、異なるニーズに合わせて異なる特性の組み合わせを有するように設計することができる。不織布の可変特性としては、濡れ性、分配性、及び吸収性などの液体処理特性、引っ張り強さ、及び引き裂き強さなどの強度特性、柔軟性特性、耐摩耗性などの耐久性特性、並びに美的特性が挙げられる。不織布の物理的形状も、不織布の機能性及び美的特性に影響する。不織布は、平坦な表面上に置かれる場合にほぼ平面状の凹凸のない表面を有するか、又は穴、若しくは突起、若しくはその両方といった表面の形成要素の配列を有し得るシートとして最初に形成される。穴及び突起を有する不織布は、三次元成形不織布としばしば呼ばれている。本開示は、三次元成形不織布に関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不織布の技術分野におけるこれまでの進歩にもかかわらず、三次元表面形成要素を有する改良された不織布が依然求められている。
【0005】
更に、三次元表面形成要素を有する改良された不織布を製造するための方法及び装置が依然求められている。
【0006】
更に、三次元表面形成要素を有する改良された不織布を使用した、吸収性物品などの物品が依然求められている。
【0007】
更に、三次元表面形成要素を有する不織布を使用した吸収性物品であって、圧縮された形態でパッケージングすることができる一方で、パッケージから解かれる際の三次元表面形成要素の喪失が最小限に抑えられた吸収性物品が依然求められている。
【0008】
更に、使用時の毛羽立ち特性が低減された三次元表面形成要素を有する柔軟なスパンボンド不織布を使用した吸収性物品が依然求められている。
【0009】
更に、従来の吸収性物品パッケージと比較してバッグ内スタック高さが低減されていることにより、パッケージが介護者が取扱い、保管するうえで便宜がよく、製造者が製造時の吸収性物品の美的明確性、吸収性、又は柔軟性を損なうことなく低い流通コストを享受することができるような、柔軟な不織布材料で構成された吸収性物品のパッケージが依然求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
不織布基材の製造に使用するための形成ベルトが開示される。形成ベルトは、第1の表面の平面、及び使用時の縦方向に一致する長手方向に平行な軸を規定する第1の表面を有する。複数の個別のベルトパターンを、長手方向に対して連続的な関係で配列することができる。複数の個別のベルトパターンの少なくとも大多数は、個別のベルトパターンの全体の面積と、第1の表面の平面から外側に延びる三次元隆起要素の第1のパターンを有する第1の形成区域と、第1の表面の平面から外側に延びる三次元隆起要素の第2のパターンを有する第2の形成区域とを含むことができる。第1の形成区域は第1の空気透過率の値を有することができ、第2の形成区域は第2の空気透過率の値を有することができる。第1の空気透過率の値は、第2の空気透過率の値と異なってよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】
図1に示される本開示の布地の一部の断面図である。
【
図5A】横並びの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図5B】偏心したシース/コアの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図5C】同心状のシース/コアの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図7】本開示の布地を製造するための装置の概略図である。
【
図8】本開示の布地の一部を結合するための装置の一部の詳細図である。
【
図9】本開示の布地の一部を結合するための装置の一部の更なる詳細図である。
【
図10】本開示の布地の一部を必要に応じて更に結合するための装置の一部の詳細図である。
【
図12】本開示で有用な形成ベルトの一部の写真図である。
【
図14】
図12に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部のイメージ図である。
【
図15】
図16に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部のイメージ図である。
【
図16】本開示で有用な形成ベルトの一部の写真図である。
【
図17】
図18に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部のイメージ図である。
【
図18】本開示で有用な形成ベルトの一部の写真図である。
【
図19】本開示で有用な形成ベルトの一部の写真図である。
【
図20】
図19に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクのイメージ図である。
【
図21】
図19に示される形成ベルト上に形成された本開示の布地の写真図である。
【
図23】本開示の不織布を含む不織布基材の平面図である。
【
図24】本開示の不織布を含む不織布基材の平面図である。
【
図25A】局所坪量を測定するために部分が切り取られた本開示の布地の平面図である。
【
図25B】局所坪量を測定するために部分が切り取られた本開示の布地の平面図である。
【
図26】本開示の布地の坪量の横断方向の変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、1回の形成プロセスで連続したスパンボンドフィラメントによって成形される、形成ベルト上に直接形成された成形不織布を提供する。本開示の布地は、形成ベルトの形状に対応した形状を取ることができる。本開示の方法により本開示の形成ベルト上に形成される本開示の布地は、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品に使用するうえで特に有用であり得る。
【0013】
不織布の有用な特徴を、本明細書のいくつかの実施形態において、不織布の全体の面積に関連して説明する。全体の面積とは、本明細書の様々な特徴が有用な特性を与える、特定の用途に適した寸法によって決められる面積とすることができる。例えば、布地の全体の面積は、布地を、おむつのトップシート、バックシートの不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層、又は生理用ナプキンのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層、成人用失禁パッド若しくはパンツのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層、又は床クリーニング器具のパッドとしての使用に適したものとするような寸法を有する布地の全体の面積であってよい。したがって、全体の面積は、幅10cm~幅50cm及び長さ15cm~長さ100cmの範囲の幅及び長さの寸法に基づいたものであってよく、150cm2~500cm2の全体の面積を与える。上記の範囲には、範囲の境界の間のすべての整数の寸法が、恰もはっきりと記載されているものと同様にして含まれる。例として、11cmの幅及び16cmの長さによって規定される176cm2の全体の面積は、上記の範囲内で開示される。本明細書の記載から理解されるように、成形不織布の全体の面積は、商業的に製造されるときに不織布がその一部となっている不織布のウェブの面積よりも小さい面積であり得る。すなわち、商業的に製造される特定の不織布のウェブには、それぞれの本発明の成形不織布が、形成されるウェブの面積よりも小さい全体の面積を有する、複数の本発明の成形不織布が含まれ得る。
【0014】
成形不織布10の代表的な実施形態の写真が
図1~3に示されている。成形不織布10は、第1の表面12及び第2の表面14を有するスパンボンド不織布基材であってよい。
図1~3では、第2の表面14が観測者に面していて、第1の表面12の反対側であり、第1の表面12は見えていないが
図4に示されている。「表面」なる用語は、説明の目的でウェブの両面のことを指して広い意味で用いられており、いっさいの必要な平坦度又は平滑度を示唆することも意図していない。成形不織布10は柔軟かつ可撓性であるが、
図1~3に示されるように、平坦な状態に平行な、ウェブ製造技術においてはそれぞれ横断方向(CD)及び縦方向(MD)の平面に対応する1つ以上のXY平面に関連して平坦な状態で説明する。MD方向の長さL及びCD方向の幅Wにより、布地10の全体の面積Aが決まる。
図1に示される布地10の一部の断面である
図4に示されるように、説明の目的で、成形不織布の三次元形成要素は、第1の表面16のXY平面からZ方向に外側に延在するものとして説明されている(
図4を参照)。一実施形態では、Z方向の三次元形成要素の最大寸法は、第1の表面16の平面と第2の表面18のXY平面との間の最大距離として定義され、この距離は成形不織布10の平均厚さACとして測定することができる。平均厚さは光学的な非接触的手段によって測定するか、又は間隔を空けて配置された平坦なプレート間に所定の圧力下で置かれた不織布の厚さを測定する器具によって測定することができる。すべての三次元形成要素が同じZ方向の最大寸法を有する必要はないが、複数の三次元形成要素は、下記に述べる紡糸プロセス及び形成ベルトの特性によって決まるほぼ同じZ方向の最大寸法を有することができる。
【0015】
図1~4に示されるように、布地10は、
図2及び3に示されるように第1の三次元形成要素20及び第2の三次元形成要素22、並びに第3の三次元形成要素24を含む、複数の個別の認識可能な程度に異なる三次元形成要素の規則的な繰り返しパターンを有することができる。例えば
図1では、ハート形の第1の三次元形成要素20が、より小さい概ね三角形の第2の三次元形成要素22と認識可能な程度に異なっている。認識可能な程度の相違は、認識可能な程度に異なる大きさ及び/又は形状といった視覚的なものであってよい。
【0016】
布地10の三次元形成要素は、対応する三次元形成要素のパターンを有する形成ベルト上に繊維を直接紡糸することによって形成される。1つの面では、布地10は、布地10の三次元形成要素の形状を決定する形成ベルト上に成形される。しかしながら、重要な点として、本明細書で述べられるように、本発明の装置及び方法は、形成ベルトの形状を取ること以外に、形成ベルト、及び布地を形成する装置の特質のために、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品に使用するうえで有用な特性が付与されるように、布地10を製造する。詳細には、下記に述べるような形成ベルト及び他の装置要素の性質のため、布地10の三次元形成要素は、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品に使用される場合に布地10の有用な特性を与えるように、形成要素ごとに異なり得る示強的性質を有する。例えば第1の三次元形成要素20は、第2の三次元形成要素22の坪量又は密度とは異なる坪量又は密度を有してよく、更に、どちらも第3の三次元形成要素24の坪量又は密度と異なる坪量又は密度を有してよく、これにより、おむつ又は生理用ナプキンにおける流体捕捉性、分配性及び/又は吸収性に関する有用な美的及び機能的特性を与える。
【0017】
布地10の異なる三次元形成要素間の示強的性質の差は、下記に述べる装置及び方法から生じる繊維の分布及び圧縮によるものと考えられる。繊維の分布は、例えば水流交絡法又はエンボス法のような製造後プロセスと異なり、繊維の紡糸プロセスの間に生じる。繊維は紡糸プロセスの間に自由に動くことができ、その運動は形成ベルトの形成要素の性質及び空気透過性、並びに他の処理加工パラメータによって決まるため、繊維は布地10内でより安定し、永久的に形成されるものと考えられる。
【0018】
図1~3に見られ、本明細書の記載から理解されるように、異なる三次元形成要素は、閉じた図形の形(
図1及び3のハート形、並びに
図2及び3の菱形)であってよい比較的密度の高い領域(三次元形成要素の内部に対して)によってその境界が画定され得る。このような閉じた図形は、
図1及び3のハート形などの曲線を含んだ閉じた図形とすることができる。比較的密度の高い領域は、
図4に示される領域21のような、Z方向で第1の表面12に最も近接した布地10の領域であり、平坦な状態にある場合に第1の平面16内、又は平面16上に少なくとも部分的に位置し得る領域とすることができる。 例えば
図1に示されるように、第1の三次元形成要素20はハート形をしており、図に示されるような例示的な1つの第1の三次元形成要素20Aは、曲線を含んだ閉じたハート側の要素として画定されている。曲線を含んだ要素とは、その長さに沿った任意の点に接線ベクトルVを有する直線状要素として理解することができ、閉じた形状は、接線ベクトルVが、閉じた図形の直線状要素の長さの50%を上回る部分にわたって値が変化するMD及びCD方向の両方の成分を有するようなものである。図形は100%完全に閉じている必要がないことは言うまでもないが、直線状要素は、閉じた図形の全体の印象を損なわない破断部を有してもよい。形成ベルトに関連して下記に述べるように、比較的密度の高い、曲線を含んだ閉じたハート形要素は、対応した閉じたハート形の隆起した要素によって形成ベルト上に形成されることで、布地10上にハートの閉じた図形を形成する。繰り返しパターンにおいて、個々の形状(
図1の第1の三次元形成要素の場合、ハート形)は布、地10の第2の表面14の全体の面積OAにわたって美的に心地よい、柔らかな、へこみやすい形状要素を与えることができる。布地10がおむつ又は生理用ナプキンのトップシートとして使用される実施形態では、布地10の第2の表面14を身体に面する側とすることで、優れた美的効果、並びに柔軟性、圧縮耐性、及び流体吸収性に関して性能効果を与えることができる。
【0019】
詳細には、
図1~3に示される閉じた三次元形成要素の規則的な繰り返しパターンでは、理論に束縛されるものではないが、異なる形状要素の寸法、全体の面積にわたった布地10全体の平均坪量、及び異なる示強的性質を定義する下記に述べられる他の処理加工パラメータが、圧縮回復率の効果的改善に寄与するものと考えられる。複数の比較的近い間隔で配された、比較的小さく、比較的にへこみやすい三次元形成要素は、圧縮に抗し、圧縮力が除かれると回復するばねとして機能するものと考えられる。圧縮回復は、例えば、おむつ、生理用ナプキン、又は成人用失禁パッド、おむつ、又はパンツなどのパーソナルケア物品のトップシート、バックシートの不織布、捕捉層、分配層、又は構成層において、これらの物品は一般的に圧縮された状態でパッケージング及び折り畳まれることから重要である。パーソナルケア製品の製造者によれば、美的及び性能的な目的で製造時の厚さのすべてではないにしても大部分を維持することが望まれる。形成された形状要素の三次元性は、柔らかそうな外見及び感触、並びに
図2に示される小さなハートのような極めて小さい形状を含むはっきりとした明瞭な形状の心地よい外観のため、重要な美的効果を与えるものである。このような三次元形成要素は、使用時の柔軟性、向上した吸収性、漏れの少なさ、及び全体的に改善された使用体験も与えるものである。しかしながら、パーソナルケア物品の折り畳み、パッケージング、出荷、及び保管時に必要とされる圧縮により、吸収性物品のトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成層の厚さが永久的に失われ、これにより、製造時の機能的利点が損なわれ得る。本発明者らは、本開示の不織布が、圧縮パッケージングされ、圧縮パッケージングされた状態で流通させられた後にもその製造時の三次元形成要素を相当程度に維持することを期せずして見出したものである。
【0020】
下記表1に、本開示の2つの実施形態について圧縮回復率のデータを示す。実施例1は、
図1に示され、
図12及び14を参照して説明される形成ベルト上で形成される布地10に相当する。実施例2は、
図2に示され、
図15及び16を参照して説明される形成ベルト上で形成される布地10に相当する。データから分かるように、本発明の布地10は、圧縮エイジング試験により測定した場合の圧縮回復率に関して有意な効果を示している。1つの形態では、本開示の圧縮回復特性を有する吸収性物品のパッケージは、低減されたバッグ内スタック高さを有し得る一方で、製造時のおむつの、又は恰もおむつが一度も圧縮パッケージングされていないのと同様の美的、吸収性、及び柔軟性効果を与えることができる。本発明は、介護者によるパッケージの取扱い及び保管を容易とする一方で、製造者の流通コストを低減させ、吸収性物品の製造時の美的明瞭性、吸収性、又は柔軟性性能を維持しつつ両者を実現する、バッグ内スタック高さが低減されたパッケージを提供するものである。
【0021】
実施例1:
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、
図6に示されるような2成分スパンボンド不織布を製造した。なお、
図6は、2成分三葉型繊維の断面を示した走査型電子顕微鏡写真である。不織布は、
図12で述べるような繰り返しパターンを有する形成ベルト上に、
図7及び8に関連して下記に述べるようにして約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に30g/m
2の平均坪量で、
図1に示されるハート形の繰り返しパターンで紡糸した。布地の繊維を、130℃に加熱した圧密ロール70、72(後述する)により第1の面12上で更に結合させ、巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【0022】
実施例2:
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)、及びポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)を、50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、
図6に示されるような2成分スパンボンド不織布を製造した。なお、
図6は、2成分三葉型繊維の断面を示した走査型電子顕微鏡写真である。不織布は、
図16で述べるような繰り返しパターンを有する形成ベルト上に、
図7及び8に関連して下記に述べるようにして約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に紡糸して、30g/m
2の平均坪量で、
図2に示される菱形の繰り返しパターンを有する布地10を形成した。布地の繊維を、130℃に加熱した圧密ロール70、72(後述する)により第1の面12上で更に結合させた。
【0023】
【0024】
表1から分かるように、本発明の布地10は、比較的高い圧力での圧縮後に相当量の厚さを保持している。例えば、実施例1及び実施例2の試料は、35KPaの圧力での圧縮エイジング試験により試験した後、それらの最初の平均厚さの70%よりも大きな厚さを保持している。圧縮エイジング試験は、不織布がおむつの高圧縮パッケージ内にパッケージングされた後、消費者に流通される間、その状態に維持され、その後、パッケージが最終的に消費者によって開封される場合に曝される条件のシミュレーションである。
【0025】
本開示では溶融紡糸法を用いることができる。溶融紡糸法では、押出品における質量の損失が生じない。溶融紡糸法は、溶媒が押出品からの揮発又は拡散によって除去されるために質量の損失につながる、溶液からの湿式又は乾式紡糸法などの他の紡糸法とは区別される。
【0026】
紡糸は、約150℃~約280℃、又はいくつかの実施形態では約190℃~約230℃で行うことができる。繊維の紡糸速度は、100m/分よりも大きくてよく、約1,000~約10,000m/分であってよく、約2,000~約7,000m/分であってよく、約2,500~約5,000m/分であってよい。紡糸速度は紡糸繊維の脆性に影響し得るが、一般的には紡糸速度が高いほど繊維の脆性は低くなる。連続繊維は、スパンボンド法又はメルトブローン処理によって製造することができる。
【0027】
本開示の布地は、一次ポリマー成分と二次ポリマー成分とを含む連続的な多成分ポリマーフィラメントを含むことができる。フィラメントは、一次ポリマー成分Aと二次ポリマー成分Bとから構成される連続的な2成分フィラメントとすることができる。2成分フィラメントは、断面、長さ、及び外周表面を有する。成分A及びBは、2成分フィラメントの断面にわたって実質的に別個の区域に配置することができ、2成分フィラメントの長さに沿って連続的に延びることができる。二次成分Bは、2成分フィラメントの長さに沿って連続的に2成分フィラメントの外周表面の少なくとも一部を構成する。ポリマー成分A及びBは、従来の溶融紡糸装置で多成分繊維に溶融紡糸することができる。装置は、多成分の所望の形態に基づいて選択される。市販の溶融紡糸装置は、フロリダ州メルボルン所在のヒルズ社(Hills,Inc.)より販売されている。紡糸の温度は、約180℃~約230℃の範囲である。処理温度は、各成分の化学的性質、分子量、及び濃度によって決まる。2成分スパンボンドフィラメントは、約6~40μm、好ましくは約12~約40μmの平均直径を有することができる。
【0028】
成分A及びBは、
図5Aに示されるような隣り合った配置で、又は
図5Bに示されるような偏心したシース/コア配置で配置することで、自然に螺旋状の捲縮を生じるフィラメントを得ることができる。また、成分A及びBは、
図5Cに示されるような同心状のシースコア配置に配置することもできる。更に、成分A及びBは、
図6に示されるような多葉型のシースコア配置に配置することもできる。他の多成分繊維も、本開示の組成物及び方法を使用して製造することができる。2成分繊維及び多成分繊維は、分割パイ型の構成、リボン型の構成、海島型の構成、又はこれらの組み合わせであってよい。シースは、コアの周囲で連続的であっても不連続的であってもよい。シースとコアとの重量比は、約5:95~約95:5である。本開示の繊維は、円形、楕円形、星形、矩形、及び他の様々な偏心形状を含む異なる幾何学形を有することができる。
【0029】
多成分ポリマーフィラメントをこうした配置に押出す方法は、当業者には周知のものである。
【0030】
ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンなど)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エラストマー材料などを含む様々なポリマーが、本開示を実施するうえで適当である。フィラメントに紡糸することができるポリマー材料の非限定的な例としては、天然ポリマー(デンプン、デンプン誘導体、セルロース及びセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、キチン、キトサン、ポリイソプレン(cis及びtrans)、ペプチド、ポリヒドロキシアルカノエートなど)、並びに合成ポリマー(ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体など)、ポリアクリル酸ナトリウム(吸収性ゲル材)、並びにポリエチレン-オクテンのようなポリオレフィンのコポリマーなどの熱可塑性ポリマー、又はプロピレンとエチレンとのモノマーブレンドからなるポリマー、並びにポリ乳酸フィラメント、ポリビニルアルコールフィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメントなどの生分解性又は堆肥化可能な熱可塑性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。1つの例では、熱可塑性ポリウレタンは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の例では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。また、ポリマーは、バイオポリエチレン又はバイオポリプロピレンなど生物由来のモノマーから誘導されたものを含んでもよい。
【0031】
一次成分A及び二次成分Bは、得られる2成分フィラメントが改善された不織布の結合及び基材の柔軟性を与えるように選択することができる。一次ポリマー成分Aは、二次ポリマー成分Bの融点よりも低い融点を有する。
【0032】
一次ポリマー成分Aは、ポリエチレン、又はプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーを含み得る。二次ポリマー成分Bは、ポリプロピレン、又はプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーを含み得る。ポリエチレンには、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンが含まれる。更に、二次ポリマー成分Bは、フィラメントの天然の螺旋状捲縮性を向上させ、フィラメントの結合温度を低下させ、得られる布地の耐摩耗性、強度及び柔軟性を高めるための添加剤を含むことができる。
【0033】
マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、及びチタンの酸化物などの無機充填剤を、安価な充填剤又は加工助剤として添加してもよい。他の無機材料としては、水和ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、粘土、チョーク、窒化ホウ素、石灰石、珪藻土、雲母、ガラス、石英、及びセラミックスが挙げられる。
【0034】
また、本発明のフィラメントは、繊維に望ましい触感を付与するうえで充分な量のスリップ添加剤も含有する。本明細書で使用するところの「スリップ添加剤」又は「スリップ剤」とは、外部の潤滑剤を意味する。「スリップ剤」は、樹脂と溶融混合されると、冷却中又は製造後に徐々に表面に滲出又は移動することで均一で目に見えないほど薄いコーティングを形成し、これにより持続的な潤滑作用を与える。スリップ剤は、好ましくは即効性(fast bloob)のスリップ剤であり、ヒドロキシド、アリール及び置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボキシレート、エステル、不飽和炭素、アクリレート、酸素、窒素、カルボキシル、サルフェート、及びホスフェートから選択される1以上の官能基を有する炭化水素であってよい。
【0035】
製造時、又は後処理において、又は更にはその両方で、本発明の三次元不織布を界面活性剤又は他の剤で処理することによって、ウェブを親水性化するか又はウェブを疎水性化することができる。これは、吸収性物品に使用される不織布では標準的な技法である。例えば、トップシートとして使用されるウェブを親水性化材料又は界面活性剤で処理することによって、ウェブを尿などの身体排出物に対して透過性とすることができる。他の吸収性物品では、トップシートはその天然の疎水性状態に保たれるか、又は疎水性化材料若しくは界面活性剤を添加することで更により疎水性とすることができる。
【0036】
本開示の布地の多成分フィラメントの調製に適した材料としては、ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手されるPH-835ポリプロピレン及びダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手されるAspun-6850-Aポリエチレンが挙げられる。
【0037】
ポリエチレンが成分A(シース)であり、ポリプロピレンが成分B(コア)である場合、2成分フィラメントは、約5~95重量%のポリエチレンと約95~約5重量%のポリプロピレンとから構成され得る。フィラメントは、約40~60重量%のポリエチレンと約60~約40重量%のポリプロピレンとから構成されてもよい。
【0038】
図7を参照すると、本開示の布地10を調製するための代表的なプロセスライン30が開示されている。プロセスライン30は2成分連続フィラメントの布地を製造するように構成されているが、本開示は、1成分、又は2種類よりも多い成分を有する多成分フィラメントで形成された不織布も包含する点は理解されるべきである。2成分フィラメントは三葉型であり得る。
【0039】
プロセスライン30は、一次ポリマー成分A及び二次ポリマー成分Bを別々に押出すための一対の押出成形機32及び34を含んでいる。ポリマー成分Aは第1のホッパ36から対応する押出成形機32に供給され、ポリマー成分Bは第2のホッパ38から対応する押出成形機34に供給される。ポリマー成分A及びBは、押出成形機32及び34からそれぞれのポリマー導管40及び42を通ってフィルタ44及び45並びに溶融ポンプ46及び47に供給されてもよく、溶融ポンプ46及び47はポリマーを紡糸パック48に圧送する。2成分フィラメントを押出すための紡糸口金は当業者には周知のものであり、ここで詳細に述べることはしない。
【0040】
一般的に述べると、紡糸パック48はハウジングを有しており、ハウジングは、ポリマー成分A及びBを紡糸口金を通じて別々に案内するための流路を形成するように配置された所定のパターンの開口部を有する、互いに積層された複数のプレートを含んでいる。紡糸パック48は、1本以上の列に配列された開口部を有している。紡糸口金の開口部は、ポリマーが紡糸口金から押出されるときに、下方に延びるフィラメントのカーテンを形成する。本開示の目的では、紡糸口金は、
図5A、5B及び5Cに示されるシース/コア型、又はサイドバイサイド型の2成分フィラメント、並びに
図6に示される三葉型繊維のような非円形繊維を形成するように構成することができる。更に、繊維は、ポリプロピレンなどの1種類のポリマー成分からなる1成分型であってもよい。
【0041】
プロセスライン30は、紡糸口金から延びるフィラメントのカーテンに隣接して位置付けられる急冷ブロワ50も含んでいる。急冷ブロワ50からの空気は、紡糸口金から延びるフィラメントを急冷する。急冷空気は、フィラメントカーテンの片側又はフィラメントカーテンの両側から送ることができる。
【0042】
アテニュエータ52が紡糸口金の下に位置付けられ、急冷されたフィラメントを受けるようになっている。ポリマーの溶融紡糸においてアテニュエータとして使用される繊維ドロー装置又は吸引機は周知のものである。本開示のプロセスで使用するのに適した繊維ドロー装置としては、米国特許第3,802,817号に示されるタイプの直線状繊維アテニュエータ、並びに米国特許第3,692,618号及び同第3,423,266号に示されるタイプのエダクティブガン(eductive gun)が挙げられる。なお、これらの特許の開示内容を参照によって本明細書に援用する。
【0043】
一般的に述べると、アテニュエータ52は、細長い垂直の通路を有し、この通路を通じて、通路の側面から流入し、通路を下方に流れる空気を吸引することによってフィラメントが引き出される。形状が形成された、エンドレスで、少なくとも部分的に小孔が形成された形成ベルト60がアテニュエータ52の下に位置付けられ、アテニュエータ52の出口開口部からの連続フィラメントを受け取る。形成ベルト60はベルトであり、ガイドローラ62に沿って動く。形成ベルト60のフィラメントが堆積する部分の下に位置付けられた真空装置64が、形成表面に対してフィラメントを吸引する。
図8では、形成ベルト60はベルトとして示されているが、形成ベルトはドラムなどの他の形態であってもよい点は理解されるべきである。特定の形状が形成された形成ベルトの詳細を以下に説明する。
【0044】
プロセスライン30の運転時、ホッパ36及び38は、それぞれのポリマー成分A及びBで充填される。ポリマー成分A及びBは、それぞれの押出成形機32及び34によって溶融され、ポリマー導管40及び42並びに紡糸パック48を通じて押出される。溶融ポリマーの温度は、使用されるポリマーの温度に応じて異なるが、ポリマー成分A及びポリマー成分Bとしてポリエチレン及びポリプロピレンがそれぞれ使用される場合、各ポリマーの温度は約190℃~約240℃の範囲とすることができる。
【0045】
押出されたフィラメントが紡糸口金の下に延びるのに従って、急冷ブロワ50からの空気流がフィラメントを少なくとも部分的に急冷し、特定のフィラメントでは溶融フィラメントの結晶化を誘導する。急冷空気は、約0℃~約35℃の温度及び約30.5~約122m/分(100~約400フィート/分)の速度で、フィラメントの長さにほぼ垂直な方向に流れることができる。フィラメントを形成ベルト60上に回収されるよりも充分前に急冷することで、フィラメント及び形成表面を通過する強制空気によってフィラメントを配列させることができる。フィラメントを急冷することによりフィラメントの粘着性が低減されるため、フィラメント同士が結合される前に互いに密着しすぎることがなく、形成ベルト上へのフィラメントの回収及びウェブの形成の間に形成ベルト上でフィラメントを動かして配列させることができる。
【0046】
急冷後、フィラメントは、繊維ドロー装置の流れによってアテニュエータ52の垂直な通路内に引き込まれる。アテニュエータは、紡糸口金の下部の下方76~152cm(30~60インチ)に位置付けることができる。
【0047】
フィラメントは、アテニュエータ52の出口開口部から、形状形成された、動く形成ベルト60上に堆積させることができる。フィラメントが形成ベルト60の形成表面と接触するのに従って、真空装置64が空気及びフィラメントを形成ベルト60に対して引き込むことで、形成表面の形状に一致した形状を有する連続フィラメントの不織布ウェブを形成する。上記で述べたように、フィラメントが急冷されることからフィラメントの粘着性は過度とならず、フィラメントが形成ベルト60上に回収されて布地10に形成される際に、真空によって形成ベルト60上でフィラメントを動かすか又は配列することができる。
【0048】
プロセスライン30は、ニップを形成する円筒形状の圧密ロール70及び72のような1つ以上の結合装置を更に有しており、このニップを通じて布地を圧密(すなわちカレンダー加工)することができ、このニップもやはり繊維を結合させるために加熱することができる。圧密ロール70、72の一方又は両方を加熱することで、布地の部分を結合させることによって布地10に向上した特性及び効果を与えることができる。例えば、熱結合をもたらすのに充分な加熱によって布地10の引っ張り特性が向上すると考えられる。圧密ロールは、独立した加熱制御部を有する、一対の表面が滑らかなステンレス鋼製のロールであってよい。圧密ロールは、電気エレメント又は高温のオイルの循環によって加熱することができる。圧密ロール間の隙間は、布地が形成ベルト上で圧密ロールを通過する際に、布地に所望の圧力を加えるように油圧制御することができる。一実施形態では、形成ベルト60の厚さが1.4mmであり、スパンボンド不織布が30gsmの坪量を有する場合、圧密ロール70と72との間のニップ隙間は約1.4mmとすることができる。
【0049】
一実施形態では、上側圧密ロール70は、布地10の第1の表面12上の繊維を溶融結合させるだけ充分に加熱することができ、これにより布地に強度を与えることで、一体性を失わずに布地を形成ベルト60から取り外すことができる。例えば、
図8及び9に示されるように、ロール70及び72が矢印により示される方向に回転するに従って、スパンボンド布地が堆積されたベルト60が、ロール70と72とによって形成されるニップに進入する。加熱されたロール70は、ベルト60の隆起した樹脂要素によってロール70に押しつけられる布地10の部分(すなわち領域21)を加熱することで、布地10の少なくとも第1の表面12上に結合繊維80を形成することができる。本明細書の説明により理解されるように、このようにして形成された結合領域は、形成ベルト60の隆起要素のパターンを取ることができる。例えば、このようにして形成された結合領域は、
図1及び
図11のハートと同じパターンを形成する領域21の第1の表面12上の実質的に連続的な網目構造又は実質的に半連続的な網目構造となり得る。温度と滞留時間を調節することにより、主として第1の表面12に最も近い繊維に結合を限定するか、又は熱結合を
図11に示されるように第2の表面14にまで行うことができる(下記により詳しく述べる点結合部90も示されている)。結合は、例えば下記に述べる点結合部90としての不連続的な網目構造であってもよい。
【0050】
形成ベルト60の隆起要素は、形成ベルト、及び不織布基材11又は不織布10の結合領域の様々な網目構造特性を確立するように選択することができる。この網目構造は、形成ベルト60の隆起要素を構成する樹脂に対応しており、実質的に連続的、実質的に半連続的、又はこれらの選択肢の組み合わせを含むことができる。これらの網目構造は、形成ベルト60のXY平面内の網目構造の外観若しくは構成、又は本発明の不織布基材11又は不織布10を構成する三次元形成要素に関するものであるため、形成ベルト60の隆起要素を記述したものとなり得る。
【0051】
「実質的に連続的」な網目構造とは、その線の長さ全体にわたってその領域内に全体的に延びる途切れのない線によって任意の2点を結ぶことができるような領域を指す。すなわち、実質的に連続的な網目構造は、第1の平面に平行なすべての方向に実質的な「連続性」を有し、その領域の縁部においてのみ終端する。「連続的な」と組み合わされる用語「実質的に」は、絶対的連続性を実現することが可能であるけれども、絶対的連続性からの若干の逸脱が、設計及び意図される繊維構造(又は成形部材)の性能に大きく影響しない限り、そのような逸脱が許容され得ることを示すための用語である。
【0052】
「実質的に半連続的な」網目構造とは、第1の平面に平行な少なくとも1つの方向を除いたすべての方向において「連続性」を有し、その線の長さ全体にわたってその領域内に全体的に延びる途切れのない線によって任意の2点を結ぶことができない領域を指す。半連続的な網目構造は、第1の平面に平行な1つの方向でのみ連続性を有することができる。上記に述べた連続的領域と同様、少なくとも1つの方向を除くすべての方向での絶対的連続性が好ましいものの、そのような連続性からの若干の逸脱は、そのような逸脱が繊維構造の性能に大きく影響しない限り許容され得るものである。
【0053】
「不連続的な」網目構造とは、個別的であり、かつ第1の平面に平行なすべての方向において不連続である互いに分離した領域を指す。
【0054】
圧密後、布地は形成ベルト60を離れ、カレンダーロール71、73によって形成されるニップを通ってカレンダー加工された後、布地をリール上に巻き取ることができる。
図10の概略断面図に示されるように、これらのカレンダーロールは、彫刻パターンロール84及び滑らかなロール86を有するステンレス鋼ロールとすることができる。彫刻ロールは、布地10に更なる圧密及び結合を与えることができる隆起部88を有することができる。隆起部88は、カレンダーロール71及び73のニップ内に比較的小さい点結合部90のパターンを形成する、比較的小さい、間隔を置いて配された「ピン」の規則的なパターンとすることができる。布地10の点結合部の比率(%)は、3%~30%、又は7%~20%とすることができる。彫刻パターンは、複数の近い間隔で配された規則的な概ね円筒形状で、かつ概ね平坦な頂部を有するピンの形状とすることができ、ピンの高さは、0.5mm~5mm、好ましくは1mm~3mmの範囲である。ピン結合カレンダーロールは、
図11に示されるような、布地10に近い間隔で配された規則的な点結合部90を形成することができる。更なる結合を、例えば熱風接着によって行うことができる。
【0055】
図11に示されるように、一実施形態では、加熱された圧密ロール70によって、布地10の第1の表面12(
図11では観測者から離れる方向に面しているために示されていない)上に実質的に連続的な網目構造の結合パターン80(例えば相互接続されたハート形結合部)であってよい所定の結合パターンを形成することができ、彫刻カレンダーロール73によって、布地10の第2の表面14上に比較的小さい点結合部90を形成することができる。点結合部90は、布地10の使用時に毛羽立ち又はピリングを生じやすい緩い繊維を固定する。布地10の得られる構造の利点は、おむつ又は生理用ナプキンなどのパーソナルケア物品のトップシートとして使用される場合に最も明確となる。パーソナルケア物品に使用される場合、布地10の第1の表面12は比較的平坦(第2の表面14に対して)とすることができ、加熱された圧密ロールが形成ベルト60の隆起要素によって押しつけられる布地の領域に結合部80を形成するために、比較的多くの結合を有し得る。この結合は布地10に構造的一体性を与えるが、使用者の皮膚に対して比較的固いか又は粗くなり得る。したがって、布地10の第1の表面12は、おむつ又は生理用ナプキンでは、物品の内側に面して、すなわち、着用者の身体から離れる方向に向けるとよい。同様に、第2の表面14は使用時には身体に面する側で、身体と接触させることができる。比較的小さい点結合部90は使用者によって視覚的又は触覚的に知覚されにくく、比較的柔らかい三次元形成要素は、使用時に身体にとって柔らかく感じる一方で視覚的に目立つ毛羽立ち及びピリングがない状態に保たれる。上記に述べた結合の代わりに、又はそれに加えて、更なる結合を用いることもできる。
【0056】
形成ベルト60は、2003年8月26日にリンゼイ(Lindsay)らに発行された米国特許第6,610,173号、1996年5月7日にトロカーン(Trokhan)らに発行された米国特許第5,514,523号、又は2002年6月4日にブラジン(Burazin)らに発行された米国特許第6,398,910号、又は2013年8月8日にステージ(Stage)らの名義で公開された米国特許出願公開第2013/0199741号に記載される方法及びプロセスに従って作製することができる。これらの形成ベルトのそれぞれは、スパンボンド不織布ウェブを製造するための本明細書に開示される改良された形成要素及びパターンを有している。リンゼイ(Lindsay)、トロカーン(Trokhan)、ブラジン(Burazin)、及びステージ(Stage)によるこれらの開示は、織物強化部材上に硬化樹脂で形成された製紙用ベルトを代表するベルトについて記載しているが、これらのベルトは、改良を加えることで本明細書に記載されるように本開示で用いることができる。
【0057】
スパンボンド不織布ウェブを製造するための改良された三次元形成要素及びパターンを有する形成ベルト60は、以下の方法及びプロセスによって、かつ/又は以下の装置で、本明細書に教示される構造に所望の改変を加えることによって製造することもできる。すなわち、2010年9月21日にペイン(Payne)らに発行された米国特許第7,799,382号に教示される回転式スクリーンプロセス;7月26日に公開されたペイン(Payne)らによる米国特許出願公開第2007-0170610号、又は2005年12月22日に公開されたセイヤーズ(Sayers)らによる米国特許出願公開第20072005-028018号に教示されるポリマー押出法; 2006年9月12日にパテル(Patel)らに発行された米国特許第7,105,465号に教示される樹脂システムグラフティング;2014年8月26日にエバーハート(Eberhardt)らに発行された米国特許第8,815,057号に教示される穿孔フィルム;2006年1月26日に公開されたセイヤーズ(Sayers)による米国特許出願公開第2006-0019567号に教示される連続層処理;2006年2月28日にクラマー(Kramer)らに発行された米国特許第7,005,044号に教示されるポリマー液滴堆積法;2006年3月21日にクラマー(Kramer)らに発行された米国特許第7,014,735号に教示される犠牲材料によるポリマー液滴堆積法;2013年6月4日にモウラッド(Mourad)らに発行された米国特許第8,454,800号、又は2014年9月9日にリビエラ(Riviere)らに発行された米国特許第8,822,009号により教示される空気透過性フィルム技術;2016年3月31日に公開されたイーグルス(Eagles)らによる米国特許出願公開第2016-0090692号に教示される多層ベルト構造;2014年6月24日にアバーグ(Aberg)らに発行された米国特許第8,758,569号、又は2013年2月5日にクレレリド(Klerelid)らに発行された米国特許第8,366,878号により教示されるレーザーエッチング;2014年9月18日に公開されたハンセン(Hansen)による米国特許出願公開第2014-0272269号に教示される押出メッシュ技術;2008年8月21日に公開されたモネリー(Monnerie)らによる米国特許出願第2008-0199655号に記載される不織布ベルト;並びに、2015年4月16日に公開されたウォード(Ward)らによる米国特許出願公開第2015-0102526(A1)号、又は2016年6月9日に公開されたミラー(Miller)らによる米国特許出願第2016-0159007号、又は2016年11月17日に公開されたブラジン(Burazin)らによる国際公開第2016-085704号、又は2016年6月30日に公開されたリサゴール(Lisagor)らによる米国特許出願公開第2016-0185041号に記載される添加剤製造方法及びプロセス。
【0058】
本開示において有用であり、米国特許第5,514,523号の開示に従って製造することができるタイプの形成ベルト60の一例が
図12に示されている。本明細書に教示されるように、強化部材94(フィラメント96の織物ベルトなど)を、予め選択された厚さにまで液体感光性ポリマー樹脂で完全にコーティングする。所望の隆起要素パターンの繰り返し要素(例えば
図14)を有するフィルム又はネガマスクを、液体感光樹脂上に並置する。次に、フィルムを通して樹脂を適当な波長の光に曝露する(例えば紫外線硬化性樹脂では紫外線)。この光への曝露によって、曝露された領域(すなわちマスクの白い部分又は非印刷部分)の樹脂が硬化する。未硬化の樹脂(マスクの不透明部分の下の樹脂)をシステムから取り除くと、図に示されるパターンを形成する硬化樹脂が残される(例えば
図12に示される硬化樹脂要素92)。本明細書に述べられるような他のパターンを形成することもできる。
【0059】
図12は、
図1に示される布地10を製造するうえで有用な形成ベルト60の一部を示している。図に示されるように、形成ベルト60は、織物強化部材94上に硬化樹脂要素92を有することができる。織物強化部材94は、樹脂コーティングされた製紙用ベルトなどの、製紙用ベルトの技術分野では周知の織フィラメント96で形成することができる。硬化樹脂要素は、
図12に示される一般的な構造を有することができ、
図14に示される寸法を有するマスク97を使用して形成される。
図13の概略断面図に示されるように、硬化樹脂要素92は、強化部材94の周囲に流されて硬化されることで強化部材94に「固定」され、約0.051cm(0.020インチ)~約0.152cm(0.060インチ)、又は約0.064cm(0.025インチ)~約0.076cm(0.030インチ)の遠位端における幅DW、及び、約0.076cm~約0.305cm(0.030インチ~約0.120インチ)又は約1.27cm~約2.03cm(約0.50~約0.80インチ)、又は約0.15cm(約0.060インチ)のオーバーバーデン(OB)と呼ばれる織物強化部材94よりも上の全体の高さを有することができる。
図14は、
図1に示される布地10の繰り返しハート模様の1つの繰り返し単位の模様及び代表的な寸法を示すマスク97の一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、米国特許第5,514,523号に記載されるベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は硬化されて、強化部材94上に隆起要素92を形成する。未硬化の樹脂が洗い流された後、
図7に示されるような装置の設計によって決められ得るベルトの長さの両端を縫い合わせることにより、
図12に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0060】
同様に、
図15は、
図2に示される布地10の繰り返し模様の1つの繰り返し単位の模様を示すマスク97の一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、上記ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、
図7に示されるような装置の設計によって決められ得るベルトの長さの両端を縫い合わせることにより、
図16に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0061】
更に、別の非限定的な例において、
図17は、
図18に示される布地10の繰り返し模様の1つの繰り返し単位の模様を示すマスクの一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、上記ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、布地10の長さの両端を縫い合わせることにより、
図18に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0062】
本開示において有用なタイプの形成ベルト60の一部の別の例が
図19に示されている。
図19に示される形成ベルト60の部分は、不織布10の全体の面積OAの長さL及び幅Wに対応した長さL及び幅Wを有することができる個別のベルトパターン61である。すなわち、形成ベルト60は、不織布10の全体の面積OAに対応した個別のベルトパターンの全体の面積DPOAをそれぞれが有する個別のベルトパターン61(下記に
図22を参照してより詳しく述べる)を有することができる。
図20は、
図21に示される布地10の繰り返し模様の1つの繰り返し単位の模様を示すマスクの一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、上記ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、ベルトの長さの両端を縫い合わせることにより、
図19に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0063】
図19に示される形成ベルトの部分は、本開示の別の有用性を示す。
図19に示される形成ベルト60の部分は、
図21に示される布地10を形成することができる。
図21に示される布地10は、布地10を例えば使い捨ておむつのトップシートとして使用するのに適したものとする幅W及び長さLの寸法、並びに全体の面積OAを有することができる。
図19に例示される形成ベルト60上に形成される布地10は、形成ベルト60上の個別の樹脂要素92によって形成される三次元形成要素のパターンが全体の面積全体にわたって規則的な繰り返しパターンとなっていない点で、
図1~3に示される布地10と異なっている。むしろ、個別のベルトパターンの全体の面積DPOA内の三次元隆起要素のパターンは、区域と呼ばれる異なる部分を含んだ不規則なパターンとして述べることができる。各区域間の相違は、視覚的なもの、すなわち視覚的に識別可能な差であってもよく、又は布地10においては、この相違は、坪量若しくは密度のような示強的性質、又は視覚的性質と示強的性質との組み合わせの差を生じることができる。通常の条件(例えば、視力20/20、文字を読むのに充分な照明下)の観測者が、第1の区域112及び第2の区域122のような区域間のパターンの差を視覚的に識別できる場合に、視覚的に識別可能な差が存在する。
【0064】
布地10もまた、形成ベルトの各区域に対応した視覚的に識別可能な区域を有することができる。例えば、
図21に示されるように、布地10は、少なくとも2個、3個、又は4個の視覚的に識別可能な区域を有することができる。三次元形成要素の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質を有する第1の区域110は、全体の面積OA内のほぼ中央に位置する第1の領域を有することができる。三次元形成要素の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有する第2の区域120は、全体の面積OA内の第1の区域110のほぼ周囲に、一実施形態では、完全に包囲して分布する第2の領域を有することができる。三次元形成要素の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有する第3の区域130は、全体の面積OA内の第2の区域120のほぼ周囲に、一実施形態では、完全に包囲して分布する第3の領域を有することができる。三次元形成要素の第4のパターン及び第4の平均の示強的性質を有する第4の区域140は、トップシートの前部など、全体の面積OA内の任意の位置に位置付けられた、
図21に示されるハート模様のような第4の領域を有することができる。一般的に、nを正の整数として、n個の区域が存在してよい。n個の区域のそれぞれは、三次元形成要素の第n番目のパターン、並びに第n番目の領域及び第n番目の平均の示強的性質を有することができる。
【0065】
図21に示されるような視覚的に識別可能な区域は、視覚的に識別可能な三次元形成要素を含むことができる。これらの異なる三次元形成要素は、
図1及び3のハート形、並びに
図2及び3の菱形のように閉じた図形の形であってよい比較的密度の高い領域(三次元形成要素の内部に対して)によってその境界が画定され得る。
【0066】
理解されるように、本開示の形成ベルト60は、形成ベルト全体にわたって均一な一定の繰り返しパターンを有する代わりに、
図19に示される個別のベルトパターンにそれぞれが似た、不規則な個別のベルトパターン61の繰り返しを有することができる不織布ウェブの製造を可能とする。個別のベルトパターン61はそれぞれ、例えばおむつ又は生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品における使用に適した全体の面積OAを有する1つの布地10を形成するために使用することができる。布地10は、連続して(すなわちライン化して)、また、必要に応じて、各レーンが布地10の連続的なラインである複数の平行なレーンで連続して製造することができる。布地10の連続的なラインは、縦方向に平行な軸に沿って縦方向で製造することができる。次いで、この不織布ウェブを、おむつ又は生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用される布地10を製造するためのサイズとなるように、スリットを入れるか又は他の形で切断することができる。
【0067】
一実施形態では、それぞれの個別のベルトパターンの全体の面積DPOA内のパターンは、同じであっても異なってもよい。すなわち、連続的に間隔を置いて配された個別のベルトパターンは実質的に同じであってもよく、又はこれらは視覚的外観において、及び/又はベルトパターン上で製造される不織布基材に生じる示強的性質において異なってもよい。例えば、
図22に概略的に示されるように、個別のベルトパターン61Aの第1の形成区域112内の三次元隆起要素のパターンは、個別のベルトパターン61Bの第1の形成区域112内の三次元隆起要素のパターンと異なり得る。このように、形成ベルト60は、使い捨て吸収性物品をはじめとする消費者製品での使用に適した不織布ウェブ10の製造における柔軟性を与えるものである。例えば、おむつの1つのパッケージ内で、少なくとも2つのおむつのトップシートが、異なる区域のパターンを有する連続した個別のベルトパターンを使用した、本明細書に述べられるようなスパンボンドプロセスによってこれらのトップシートが連続的に製造されたことによって、異なり得るものである。一実施形態では、あるサイズのおむつのトップシート又はバックシートの不織布のパターンが、別のサイズのおむつのトップシート又はバックシートの不織布のパターンと異なってよく、これにより、介護者におむつのサイズに関する視覚的な手がかりが与えられる。同様に、生理用ナプキンのトップシートに布地10を使用することも可能であり、三次元形成要素の視覚的パターンが生理用ナプキンの吸収性を表す。いずれの場合も、個別のベルトパターンを必要に応じて異なるものとすることによって、布地10の異なるパターンを単一のベルト上で製造することが可能である。
【0068】
そのため、本発明を、
図22を参照して、縦方向である長手方向に平行な軸Aを有する形成ベルトとして説明することができる。形成ベルト60は、長手方向に対して少なくとも1つの連続的な関係で配列された複数の個別のベルトパターン61を有することができる。各個別のベルトパターン61は、個別のベルトパターン61Aに関して示したのと同様に、長さL及び幅Wによって長方形のパターンとして画定される個別のベルトパターンの全体の面積DPOAを有することができる。各個別のベルトパターンはその全体の面積DPOA内に、第1の表面の平面から外側に延びる三次元隆起要素の第1のパターンを有する第1の形成区域112と、第1の表面の平面から外側に延びる第2の三次元隆起要素を有する第2の形成区域122と、を有することができる。第1の形成区域は第1の空気透過率の値を有してよく、第2の形成区域は第2の空気透過率の値を有してよく、第1の空気透過率の値は第2の空気透過率の値と異なっていてよい。それぞれの連続的に配列された個別のベルトパターンの全体の面積DPOA内のパターンは、同じであっても異なってもよい。
【0069】
例として、
図19に示される形成ベルト60の個別のベルトパターン61及び
図21に示される布地10を参照して、以下の性質を測定した。布地10の第1の区域110は、約5gsm~約30gsmの平均坪量を有することができる。第2の区域120は、約50gsm~約70gsmの平均坪量を有してよく、第3の区域130は、約25gsm~約60gsmの平均坪量を有することができる。区域ごとの坪量の差は、形成ベルト60の空気透過率の差に起因し得る。区域110、120、及び130の坪量がそれぞれ、15gsm、53gsm、及び25gsmであるような
図20に示される布地10を製造するために使用される実施形態では、形成ベルト60のそれぞれの区域112、122、及び132の空気透過率はそれぞれ、10,732L/分、22,795L/分、及び17,698L/分(379cfm、805cfm、及び625cfm)である。したがって、形成ベルト10の各区域の空気透過率を変えることにより、各区域の平均坪量及び平均密度の示強的性質を布地10の全体の面積にわたって高めることができる。
【0070】
図22で述べた形成ベルト60の説明から、また
図23を参照することで理解され得るように、一実施形態では、ベルト60上に形成される不織布基材11は、長手方向、すなわち形成ベルト60上に形成されるときには縦方向に対して少なくとも1つの連続的な関係で配列された布地10として本明細書で述べられる複数の部分を有する不織布基材11として述べることができる。
図23は、それぞれが異なる区域内に異なるパターンを有する、連続的に配列された布地10を示すスパンボンド不織布基材11の概略図である。各布地10は、長さL及び幅Wによって長方形のパターンとして画定される全体の面積OAを有することができる。それぞれの連続的に配置された布地10は、その全体の面積OA内に、三次元形成要素の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質を有し、かつ全体の面積OA内に位置する第1の領域を有する少なくとも第1の区域110と、三次元形成要素の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有し、全体の面積OA内に位置する第2の領域を有する第2の区域120とを有することができる。必要に応じて、更なる区域、例えば、三次元形成要素の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有し、かつ全体の面積OA内に第3の領域を有する第3の区域130が存在してもよい。
図23の例示的な概略図に示されるように、布地10Aの第1のパターン110Aは、布地10Bの第1のパターン110Bと異なっていてよく、また布地10Cの第1のパターン110Cと異なっていてよい。同じことが、第2の区域120A、120B、及び120Cについてもいえる。
【0071】
一般的に、形成ベルト60上に形成された不織布基材11の連続的に配置された布地10は、それぞれの全体の面積、示強的性質、及び視覚的外観において異なり得る。共通の示強的性質とは、複数の区域(
図21に示されるような区域パターンに関して)又は領域(
図1に示されるような規則的な繰り返しパターンについて)が有する示強的性質のことである。繊維構造のこのような示強的性質は平均値であってよく、これらに限定されるものではないが、密度、秤量、高さ、不透明度が挙げられ得る。例えば、密度が、2つの異なる区域又は領域の共通の示強的性質である場合、一方の区域又は領域の密度の値は、他方の区域又は領域の密度の値と異なり得る。区域(例えば、第1の区域及び第2の区域など)とは、その区域内で平均化された異なる示強的性質によって互いに区別することが可能な識別可能な領域である。
【0072】
製造された後、個々の布地10は適当なサイズに切断され、例えば使い捨て吸収性物品のトップシートなどのそれらの意図される目的で使用することができる。例えば、使い捨ておむつ1006が平らに延ばされた向きで
図24に示されている。 1つの布地10が、当該技術分野では周知の手段によって適当な全体の面積に切断され、おむつ1006に接着される。布地10は、おむつ1006に組み付けられる前に切断してもよく、又はおむつの製造プロセスの間に、不織布基材11をウェブの形態のおむつの他の構成要素と一体に合わせ、組み立て後に適当なサイズに切断してもよい。
【0073】
図24を参照することで理解されるように、一実施形態では、ベルト60上に形成される不織布基材11は、長手方向(すなわち形成ベルト60上に形成される場合には縦方向)に対して少なくとも1つの連続的な関係で、かつ少なくとも1つの横並びの関係(すなわち形成ベルト60上に形成される場合には横断方向)で配列された複数の布地10として本明細書で述べられる複数の部分を有する不織布基材11として述べることができる。
図24は、隣接した縦方向レーン13に連続的に配列された布地10を示すスパンボンド不織布基材11の概略図であり、隣接したレーンは、
図24で10D、10E、及び10Fと称される横並びの各布地10を有している。各布地10は、長さL及び幅Wによって長方形のパターンとして画定される全体の面積OAを有することができる。それぞれの連続的に配置された布地10は、その全体の面積OA内に、三次元形成要素の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質を有し、かつ全体の面積OA内に位置する第1の領域を有する少なくとも第1の区域110と、三次元形成要素の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有し、全体の面積OA内に位置する第2の領域を有する第2の区域120とを有することができる。必要に応じて、更なる区域、例えば、三次元形成要素の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有し、かつ全体の面積OA内に第3の領域を有する第3の区域130が存在してもよい。横並びのレーンの各布地10は実質的に同じであってもよく、又は各布地10は、サイズ、視覚的外観、及び/又は示強的性質に関して異なっていてもよい。製造された後、不織布基材11は巻き取ってから各レーンへとスリットを入れて消費者製品に加工するか、又はスリットを入れてから巻き取ることができる。
【0074】
規則的な繰り返しの均一なパターンで形成された布地10と、不均一な区域パターンで形成された布地10との坪量の差を比較するための代表的な試料として、実施例1の布地10を、
図21に示されるものと似たパターンを有する、実施例3と呼ぶ布地と比較した。実施例3は、ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、本明細書に開示される装置で製造した2成分スパンボンド不織布ウェブである。このスパンボンド2成分三葉型繊維を、約25m/分の線速度で動く形成ベルト60上に、
図19に示されるような区域パターンを有する形成ベルト上で30g/m
2の平均坪量となるように堆積した。第2の基材を同じ条件下で形成したが、
図16に示される形成ベルト上の規則的な繰り返しの均一なパターンを有する少なくとも1つの部分を有するものとし、ここから坪量を求めた。繊維の紡糸条件、スループット、形成ベルトのライン速度、及び圧密ロールの結合温度は、両方の基材で同じとした。
【0075】
実施例3
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で三葉型繊維の形態に、30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造した。約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に
図7及び8に関連して述べたようにして不織布を製造し、
図20に示されるような区域化パターンを有する布地を形成した。布地の繊維を、130℃に加熱した圧密ロール70、72により第1の面12上で更に結合させ、布地を巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【0076】
実施例4
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で三葉型繊維の形態に、30gsmg/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造した。約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に
図7及び8に関連して述べたようにして不織布を製造し、
図2に示されるような繰り返し(非区域化)パターンを有する布地を形成した。布地の繊維を、130℃に加熱した圧密ロール70、72により第1の面12上で更に結合させ、巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【0077】
下記表2に、本明細書の局所坪量試験方法に従って測定し、10個の試料について平均を取った平均局所坪量を示す。測定用の試料は、
図25A及び25Bに示される布地から採取した。
図25A及び25Bで、黒い長方形は測定用に3cm
2の試料を切り取った部分である。図に見られるように、布地を横断方向(CD)にわたってA~Eとして標識している。測定値は、区域化された布地の各区域間の坪量だけでなく、
図26にグラフで示されるようにCD方向の分布にも有意差が見られることを示している。
【0078】
【0079】
表2から分かるように、空気透過性が異なる区域を有する形成ベルト60上に形成された布地10では、布地10のCD方向における繊維の堆積量、したがって坪量の大きなばらつきが示され、繊維が空気とともに透過率の高い区域に移動できることを示している。区域化されていない、規則的な繰り返しパターンの布地10は、布地のCD方向において概ね同じ坪量を示している。
【0080】
形成ベルト60の異なる区域の空気透過率の差以外に、形成ベルト60の構造は、平均の厚さ、平均の柔軟性、平均の耐圧縮性、及び流体吸収特性といった布地10の区域の他の示強的性質にも影響し得る。
【0081】
本発明の別の態様は、布地の載置不透明度(laydown opacity)及び均一性を高めるために複数のビームが用いられるスパンボンドの商業的ラインに関するものである。特定の場合では、装置は3本のスパンボンドビーム(当該技術分野では「SSS」として知られる)を含むことができ、例えば「SSMMS」スパンボンドラインとして知られる装置においてメルトブローン法(M)と組み合わせることができる。
【0082】
点結合部90を有するように布地10をカレンダー加工することにより、毛羽立ちを低減することができる。毛羽立ちとは、繊維がほつれ、布地10から分離してしまう傾向のことを指す。このようなほつれ及び分離は、使い捨て吸収性物品の製造時における製造装置との、又は布地10に接触する人の皮膚などの別の表面との摩擦接触によって生じ得るものである。使い捨て吸収性物品のトップシートにおけるようないくつかの用途では、毛羽立ちは負の消費者現象である。しかしながら、繊維同士を結合することも、それを行わなければ柔軟な不織布基材の表面に粗さを生じ得ることから消費者にとってやはり負の要素となり得る。本発明者らは、本開示の不織布基材及び不織布が、最小限の柔軟性の喪失で結合の増大(及びその結果としての毛羽立ちの低減)を可能とすることを予想に基づいて見出したものである。結合は、比較的近い間隔で配される点結合部90によって実現することができ、この間隔は所望の毛羽立ちの低減の度合いによって決められる。結合は、熱結合、超音波結合、圧力結合、ラテックス接着剤による結合、及びこれらの方法の組み合わせなどの不織布の繊維を化学的又は熱的に結合するための周知の方法によって行うこともできる。結合による毛羽立ちの低減について、以下に実施例5及び6に関して説明する。
【0083】
実施例5
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で、三葉型繊維の形態に、約25m/分の線速度で動く
図7及び8に関して述べた形成ベルト上に約30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造して、
図36に示されるような繰り返しパターンを有する布地を形成した。布地の繊維を、圧密ロール70、72により、圧密ロール70を130℃に加熱して第1の面12上で更に結合させて、実質的に連続した結合部80を形成した。
【0084】
実施例6
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で、三葉型繊維の形態に、約25m/分の線速度で動く
図7及び8に関して述べた形成ベルト上に約30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造して、
図37に関して述べたような繰り返しパターンを有する布地を形成した。布地の繊維を、圧密ロール70、72により、圧密ロール70を130℃に加熱して第1の面12上で更に結合させて、実質的に連続した結合部80を形成した。布地の繊維を、カレンダーロール71、73において更にカレンダー結合した。ここで、ロール73は、1.25mmのピン高さ及び0.62mmの開放隙間を有するピンの形態の隆起部分88を10%の点結合パターンで有する彫刻ロールとした。ロール73を135℃に加熱して、布地10の第2の面14上に
図11に示されるような点結合部90を形成した。
【0085】
実施例5と6の布地10は、点結合部90がないかあるかの点においてのみ異なっていた。布地10の第2の面14には、毛羽立ち度試験に従って毛羽立ち試験を行い、布地の表面に繊維を固定するうえでの点結合部の効果を調べた。実施例5及び6の毛羽立ち試験の結果を表3に示す。
【0086】
【0087】
上記に示したように、点結合部90によって、MD方向の毛羽立ち度の値が大幅に低下している。結合処理にもかかわらず、その柔軟性、吸収性、及び美的効果が期せずして維持され、この場合では、消費者による使用に際して所望の耐毛羽立ち性も有している。
【0088】
パッケージ
本開示の吸収性物品はパッケージに入れられてもよい。パッケージは、高分子フィルム及び/又は他の材料を含んでよい。吸収性物品の特性に関する図柄及び/又は標示は、パッケージの外側部分に形成され、印刷され、位置付けられ、及び/又は配置されてよい。各パッケージは、複数の吸収性物品を含んでよい。吸収性物品は、パッケージの寸法を縮小するように圧縮下でパッキングされて、なお、1パッケージ当たり妥当な量の吸収性物品を提供することができる。吸収性物品を圧縮下でパッケージ化することにより、介護者が容易にパッケージを扱い、保管することができると同時に、パッケージの寸法による流通コストの削減を製造者にもたらし得る。
【0089】
したがって、本開示の吸収性物品のパッケージは、本明細書に記載のバッグ内スタック高さ試験に従って、約110mm未満、約105mm未満、約100mm未満、約95mm未満、約90mm未満、約85mm未満、約80mm未満、約78mm未満、約76mm未満、約74mm未満、約72mm未満、又は約70mm未満のバッグ内スタック高さを有してよく、具体的には、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全範囲内の、全ての0.1mm刻みを含む。あるいは、本開示の吸収性物品のパッケージは、本明細書に記載のバッグ内スタック高さ試験に従って、約70mm~約110mm、約70mm~約105mm、約70mm~約100mm、約70mm~約95mm、約70mm~約90mm、約70mm~約85mm、約72mm~約80mm、又は約74mm~約78mmのバッグ内スタック高さを有してよく、具体的には、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全範囲の、全ての0.1mm刻みを含む。
【0090】
図27は、複数の吸収性物品1004を含む例示のパッケージ1000を示す。パッケージ1000は、複数の吸収性物品1004が位置する内部空間1002を画定する。複数の吸収性物品1004は、1つ以上のスタック1006に配置される。
【0091】
吸収性物品の概説
本開示の三次元不織布10は、おむつなどの吸収性物品、トレーニングパンツなどの小児用ケア用品、生理用ナプキンなどの女性用ケア用品、並びに失禁製品、パッド、及びパンツなどの成人用ケア用品の構成要素として使用することができる。おむつ220の形態の例示的な吸収性物品が
図28~30に示されている。
図28は、例示のおむつ220の平らに広げられた状態の平面図であり、おむつ220の構造をより分かりやすく示すために構造の一部分を切り欠いて示している。
図28のおむつ220の着用者に面する表面は観察者に面している。本開示の三次元不織布材料は、トップシート、捕捉層、トップシートと捕捉層、又はトップシートと捕捉及び/又は分配システム(「ADS」)など、吸収性物品の1つ以上の構成要素として使用することができることから、このおむつ220はあくまでも説明の目的で示されるにすぎない。いかなる場合でも、本開示の三次元不織布材料は液体透過性であり得る。
【0092】
吸収性物品220は、液体透過性材料又はトップシート224と、液体不透過性材料又はバックシート225と、トップシート224とバックシート225との中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コア228と、バリアレッグカフ234と、を含み得る。また、吸収性物品は、ADS 250を含むことができ、表示されている例は、分配層254及び捕捉層252を含み、これらについては以下に更に詳細に記述する。また、吸収性物品220は、典型的には、トップシート及び/又はバックシートを通して吸収性物品のシャーシと接合し、おむつのシャーシに実質的に平面である弾性体233を含む弾性ガスケットカフ232を含んでもよい。
【0093】
図28及び31また、タブ242を備える締着システムなどの典型的なテープ付きおむつ構成要素を示し、タブ242は、物品の後縁部に向かって取り付けられ、吸収性物品の前方でランディングゾーン244と協働する。吸収性物品はまた、後側弾性腰部機構、前側弾性腰部機構、横方向バリアカフ、及び/又はローションアプリケーションなど、図示されていない他の典型的な要素を含んでもよい。
【0094】
吸収性物品220は、前側腰部縁部210、前側腰部縁部210と長手方向に対向する後側腰部縁部212、第1の側縁部203、及び第1の側縁部203と横方向に対向する第2の側縁部204を含む。前側腰部縁部210は、着用時に使用者の前面に向かって配置されるように意図された物品の縁部であり、後側腰部縁部212は対向する縁部である。この吸収性物品220は、物品を平らに置き、
図28のように上から見ると、前側腰部縁部210の側面中間点から物品の後側腰部縁部212の側面中間点へと延在し、かつ、長手方向軸線280に対して、物品を実質的に対称である2つの半分に分割している長手方向軸線280を有し得る。また、吸収性物品220は、第1の側縁部203の長手方向中間点から第2の側縁部204の長手方向中間点まで延在する横方向軸線290を有してもよい。物品の長さLは、前側腰部縁部210から後側腰部縁部212へと長手方向軸線280に沿って測定され得る。吸収性物品の幅Wは、第1側縁部203から第2側縁部204へと横方向軸線290に沿って測定され得る。吸収性物品は、本明細書において、物品220の前縁部210から始まってLの5分の2(2/5)の距離に長手方向軸線上に配置された点として定義された股点Cを含み得る。本物品は、前側腰部領域205、後側腰部領域206、及び股部領域207を備え得る。前側腰部領域205、後側腰部領域206、及び股領域207は、それぞれ、吸収性物品の長手方向の長さLの1/3を画定し得る。
【0095】
トップシート224、バックシート225、吸収性コア228、及び物品のその他の構成要素は、様々な構成で、具体的には例えば糊剤結合又は熱エンボス加工によって組み立てられ得る。
【0096】
吸収性コア228は、超吸収性ポリマーの少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%を含む吸収性材料と、超吸収性ポリマーを密閉するコアラップと、を含み得る。コアラップは、典型的には、コアの上面及び底面に対して、2つの材料、基材、又は不織布材料216及び216’を含み得る。これらのタイプのコアは、エアフェルトを含まないコアとして知られる。コアは、4つのチャネル226、226’及び227、227’として
図28に示された1つ以上のチャネルを含んでもよい。チャネル226、226’、227、及び227’は任意選択的な特徴である。それどころか、コアはチャネルを全く有さずともよく、又は任意の数のチャネルを有してもよい。
【0097】
例示の吸収性物品のこれらの及び他の構成要素を、以下により詳細に考察する。
【0098】
トップシート
本開示において、トップシート(着用者の皮膚に接触し、流体を受容する吸収性物品の部分)は、本明細書に記載されている1つ以上の三次元不織布材料の一部若しくは全てで形成される、並びに/又はそこに位置付けられている、及び/若しくはそこに接合されている1つ以上の不織布材を有することができ、それによって不織布材料)は着用者の皮膚に接触する。トップシートの他の部分(三次元不織布材料以外)も着用者の皮膚に接触し得る。三次元不織布材料は、典型的なトップシート224の上面にストリップ又はパッチとして位置付けられ得る。あるいは、三次元不織布材料は、トップシートの中央のCD領域のみを形成し得る。中央のCD領域は、トップシートの全MD長又はトップシートの全MD長未満まで延在し得る。
【0099】
トップシート224は、当該技術分野で既知のように、バックシート225、吸収性コア228、及び/又は任意の他の層に接合させることができる。通常は、トップシート224とバックシート225とは、いくつかの箇所(例えば、吸収性物品の周辺部又はその付近)では互いに直接接合され、他の箇所では、トップシート24とバックシート25とを物品220の1つ以上の他の要素に直接接合することによって、間接的に接合される。
【0100】
トップシート224は、着用者の皮膚に対して順応性があり、柔軟な感触であり、非刺激性であってよい。更に、トップシート224の一部又はその全部は液体透過性であり、その厚さを通して液体を容易に浸透させることができる。更に、トップシート224の一部又はその全部を界面活性剤又は他の剤で処理することでウェブを親水性化するか又は疎水性化することができる。トップシート224の任意の部分は、当該技術分野で一般に開示されているローション及び/又はスキンケア組成物でコーティングしてもよい。トップシート224はまた、抗菌剤を含むか、又は抗菌剤で処理され得る。
【0101】
バックシート
バックシート225は、概して、吸収性コア228の衣類に面する表面に隣接して位置付けられ、その中に吸収して封じ込められた流体及び排出物がベッドシーツ及び下着などの物品を汚すのを防止する又は少なくとも阻害する、吸収性物品220の部分である。バックシート225は典型的には、流体(例えば、尿)に対して不透過性、又は少なくとも実質的に不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm~約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであるか、又はこれを含むことができる。他の好適なバックシート材料は通気性材料を含んでよく、この通気性材料は、蒸気を吸収性物品220から逃す一方で、流体がバックシート225を通過することを防止するか又は少なくとも妨げる。
【0102】
バックシート225は、当業者に既知の任意の取付方法によって、トップシート224、吸収性コア228、及び/又は吸収性物品220の任意の他の要素に接合することができる。
【0103】
吸収性物品は、外側カバー又は外側カバー不織布を含むバックシートを含むことができる。吸収性物品220の外側カバー又は外側カバー不織布は、吸収性物品の柔らかい、衣類に面する表面を形成するため、バックシート225の少なくとも一部又は全てを被覆し得る。外側カバー又は外側カバー不織布は、本明細書に記載されている高ロフトの三次元不織布材料から形成され得る。あるいは、外側カバー又は外側カバー不織布は、1つ以上の既知の外側カバー材料を含んでよい。外側カバーが、本開示の三次元不織布材料のうちの1つを含む場合、外側カバーの三次元不織布材料は、吸収性物品のトップシートとして又はトップシート及び捕捉層として使用される三次元不織布材料に一致しても一致しなくてもよい(例えば、同一材料、同一パターン)。他の場合では、外側カバーは、吸収性物品のトップシートとして又はトップシート及び捕捉層の積層体として使用される三次元不織布材料のパターンと一致する又は視覚的に似ている、印刷された、ないしは別の方法で適用されたパターンを有してよい。外側カバーは、機械的結合、超音波、熱結合、接着剤結合、又はその他の好適な取り付け方法によって、バックシート225の少なくとも一部に接合することができる。
【0104】
吸収性コア
吸収性コアは、最も吸収能力を有し、吸収性材料と、吸収性材料を封入するコアラップ又はコアバッグと、を含む、吸収性物品の構成要素である。吸収性コアは、捕捉及び/若しくは分配システムも、コアラップ若しくはコアバッグの一体部分ではないか、又はコアラップ若しくはコアバッグ内に配置されない、吸収性物品のいずれの他の構成要素も含まない。吸収性コアは、コアラップと、先に述べたような吸収性材料(例えば、セルロース繊維をほとんど又はまったく含まない超吸収性ポリマー)と、糊剤と、を含み得るか、それらから本質的になり得るか、又はそれらからなり得る。
【0105】
吸収性コア228は、コアラップ内に封入された、大量の超吸収性ポリマー(本明細書では「SAP」と略す)を有する吸収性材料を含み得る。SAP含有量は、コアラップに含有される吸収性材料の70重量%~100重量%、又は少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、99重量%、若しくは100重量%を示し得る。コアラップは、吸収性コア内のSAPの割合を評価する目的で、吸収性材料とは見なされない。吸収性コアは、超吸収性ポリマーを含むか又は含まないエアフェルトを含むことができる。
【0106】
「吸収性材料」とは、SAP、セルロース系繊維、及び合成繊維など、何らかの吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。通常、吸収性コアの作製に使用される糊剤は、吸収特性を全く又はほとんど有せず、吸収性材料とは見なされない。SAP含有量は、コアラップに収容された吸収性材料の80%重量超、例えば少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、更には最大で100%となり得る。このエアフェルトを含まないコアは、典型的に40~60重量%のSAPと高含量のセルロース繊維と、を含む従来のコアと比較して、相対的に薄い。吸収性材料は、特に、天然のセルロース系又は、合成繊維を15重量%未満、又は10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満含んでもよく、あるいは更には天然のセルロース系及び/又は合成繊維を実質的に含まなくともよい。
【0107】
上記を参照すると、天然繊維、セルロース繊維、及び/若しくは合成繊維をほとんど又はまったく含まないエアフェルトを含まないコアは、従来のコアに比べて非常に薄く、それによって、吸収性物品全体が、混合型のSAP及びセルロース繊維(例えば、40~60%のセルロース繊維)を含むコアを有する吸収性物品よりも薄くなる。このコアの薄さは、吸収力及び性能の低下という消費者知覚につながる可能性があるが、技術的には事実と異なる。現在、これらの薄いコアは通常、実質的に平面的な又は有孔のトップシートとともに使用されている。更に、これらの薄いエアフェルトを含まないコアを有する吸収性物品は、コアに天然繊維、セルロース繊維、若しくは合成繊維がほとんど又はまったく存在しないため、毛管間隙空間が減少している。したがって、時折、排泄物の複数回の放出又は1回の大きい放出を完全に受容するための十分な毛管間隙空間が、吸収性物品に存在しない場合がある。
【0108】
かかる問題を解決するため、本開示は、これらの薄いエアフェルトを含まないコアと、トップシート又はトップシートと捕捉層との積層体として本明細書に記載されている、高ロフトの三次元不織布材料のうちのいずれかとを併せ持つ吸収性物品を提供する。かかる場合には、高ロフトの三次元不織布材料がもたらす付加的な厚さによる吸収性物品の厚さの増加を通じて、吸収力及び性能の消費者知覚が向上する。更に、三次元不織布材料は、これらの薄いエアフェルトを含まないコアとともに、トップシート、又はトップシートと捕捉層との積層体として使用される場合、吸収性物品に毛管間隙空間を再び追加しながら、最小限のスタック高さを可能にすることで、消費者及び製造業者にコストの削減をもたらす。このように、本開示の吸収性物品は、この増加した毛管間隙空間のために複数回の排泄物放出又は1回の大きい放出を容易に吸収することができる。加えて、トップシート、又はトップシートと捕捉層との積層体として不織布材料を含む吸収性物品は、厚さの増した平面的なトップシート又は有孔のトップシートに関する美的に満足なトップシートと、それによる吸収力及び性能の消費者知覚と、を消費者に提供する。
【0109】
図31~32の吸収性物品220の例示的な吸収性コア228は、
図33~35に単独で示されている。吸収性コア228は、前側部480と、後側部282と、前側部480と後側部282とを接合する2つの長手方向側部284、286とを備えてもよい。吸収性コア228はまた、概ね平坦な上面、及び概ね平坦な底面を更に備え得る。コアの前側部480は、吸収性物品の前側腰部縁部210に向けて配置されるように意図されるコアの側部である。コア228は、
図28に示すような上面図で上から見ると、吸収性物品220の長手方向軸線280に実質的に対応する長手方向軸線280’を有し得る。特定の吸収性物品では、前側部にてより高い吸収性が要求され得るため、吸収性材料は、後側部282に向かうよりも前側部480に向かってより多くの量が分配されてもよい。コアの前側部及び後側部480、282は、コアの長手方向側部284及び286よりも短くてもよい。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、又はその他の材料216、216’により形成され得るが、それらは、吸収性コア228の側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止され得る。コアラップは、吸収性材料が吸収性コアラップから実質的に全く漏れ出さないように、その前側部480、後側部282、及び2つの長手方向側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止されてもよい。
図34に示されるように、第1の材料、基材、又は不織布216は、第2の材料、基材、又は不織布216’を少なくとも部分的に取り囲んで、コアラップを形成してもよい。第1の材料216は、第2の材料の216’のうち、第1及び第2の側縁部284及び286に近接した一部を取り囲んでもよい。
【0110】
吸収性コアは、コアラップ内でSAPが動かないようにするのを助けるため、かつ/又は、特にコアラップが2つ以上の基材から作られる場合にコアラップの一体性を確保するため、例えば接着剤を含み得る。接着剤は、例えばH.B.Fullerから提供されるホットメルト接着剤であってもよい。コアラップは、吸収性材料をその内部に収容するために厳密に必要とされるよりも広い面積に延在してよい。
【0111】
吸収性材料は、コアラップ内に存在する連続層であってもよい。あるいは、吸収性材料は、コアラップ内に封入された吸収性材料の個別のポケット又はストライプからなってもよい。第1の事例では、吸収性材料は、例えば、吸収性材料の単一の連続層を適用することによって得られてもよい。吸収性材料の、特にSAPの連続層は、不連続的な吸収性材料の適用パターンを有する2つの吸収性層を組み合わせることによっても得ることができ、結果として得られる層は、例えば米国特許出願公開第2008/0312622A1号(Hundorf)に開示されるように、吸収性粒状ポリマー材料領域の全体にわたって実質的に連続的に分布している。吸収性コア228は、第1の吸収性層と第2の吸収性層とを備えてもよい。第1の吸収性層は、第1の材料216と、100%以下のSAPであってもよい吸収性材料の第1の層261とを含んでもよい。第2の吸収性層は、第2の材料216’と、やはり100%以下のSAPであってもよい吸収性材料の第2の層262とを含んでもよい。吸収性コア228はまた、吸収性材料261、262の各層を、それぞれの材料216又は216’に少なくとも部分的に結合する、繊維状の熱可塑性接着剤材料251を含んでもよい。これは、一例として
図34~35例示されており、ここで、第1及び第2のSAP層は、横断ストライプつまり「ランド領域域」として適用されており、これらは、組み合される前に、それぞれの基材上の所望の吸収性材料堆積区域と同じ幅を有するものである。ストライプは、コア280の長手方向軸線に沿ってプロファイル化された坪量を提供するために、異なる量の吸収性材料(SAP)を含み得る。第1の材料216及び第2の材料216’は、コアラップを形成してもよい。
【0112】
繊維状の熱可塑性接着剤材料251は、ランド領域において吸収性材料261、262と少なくとも部分的に接触してもよく、また接合領域において材料216、216’と少なくとも部分的に接触してもよい。これによって、それ自体は長さ方向及び幅方向の寸法に比べると相対的に厚さが薄い、本質的に二次元構造である熱可塑性接着剤材料251の繊維層に、本質的に三次元の構造が付与される。それにより、繊維状の熱可塑性接着剤材料は、ランド領域において吸収性材料を被覆するキャビティを提供することができ、それによって100%以下のSAPであり得るこの吸収性材料を固定する。
【0113】
繊維層に使用される熱可塑性接着剤は、SAPが膨潤するにつれて、繊維によってSAP層上に形成されたウェブを伸長させることができるように、エラストマー特性を有してもよい。
【0114】
超吸収性ポリマー(SAP)
本開示で有用なSAPとしては、非水溶性ではあるが大量の流体を吸収することができる、種々の水膨潤性ポリマーを挙げることができる。
【0115】
超吸収性ポリマーは、乾燥状態において流動性があるように、粒子形態であってもよい。粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーで作られてもよい。しかしながら、デンプン系の粒子状吸収性ポリマー材料も使用することができ、のみならず、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーも使用することができる。
【0116】
SAPは多様な形状であり得る。用語「粒子」は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態を指す。SAP粒子は、繊維の形状、即ち細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であってもよい。繊維はまた、織布であってもよい長フィラメントの形態であってもよい。SAPは、球状粒子であってもよい。吸収性コアは、1つ以上のタイプのSAPを含んでもよい。
【0117】
大部分の吸収性物品の場合、特におむつの場合、着用者からの液体排出は、主に吸収性物品の前半部で発生する。したがって、物品の前半部(前縁部と前側腰部縁部210又は後側腰部縁部212からLの半分の距離に位置する横断線との間の領域によって画定される)は、コアの吸収能力の大半を備え得る。したがって、SAPの少なくとも60%、又はSAPの少なくとも65%、70%、75%、80%、若しくは85%が、吸収性物品の前半部に存在し得、残りのSAPが吸収性物品の後半部に配置され得る。あるいは、SAPの分布は、コア全体で均一であってもよく、又は他の適した分布を有してもよい。
【0118】
吸収性コア内に存在するSAPの合計量は、想定される使用者に応じて更に変動してもよい。新生児用のおむつは、乳幼児用、小児用、又は成人用失禁おむつと比較して、必要なSAPが少ない場合がある。コア中のSAPの量は、約5~60g、又は5~50gであり得る。SAPの(又は複数存在する場合は「少なくとも1つの」)堆積エリア8内の平均SAP坪量は、少なくとも50、100、200、300、400、500g/m2、又はそれ以上となり得る。吸収性材料の堆積領域8に存在するチャネル(例えば、226、226’227、227’)の面積を吸収性材料の堆積領域から推定して、この平均坪量を算出する。
【0119】
コアラップ
コアラップは、吸収性材料の周りに折り重ねられた単一の基材、材料、又は不織布で作られてもよく、あるいは互いに取り付けられた2つ(又はそれ以上)の基材、材料、又は不織布を備えてもよい。一般的な取り付け方法は、いわゆるCラップ及び/又はサンドイッチラップである。例えば
図29及び34に示すように、Cラップでは、一方の基材の長手方向縁部及び/又は横方向縁部を他方の基材に折り重ねてフラップを形成する。次に、これらのフラップは、一般的には糊剤接着によって、他方の基材の外表面に結合される。
【0120】
コアラップは、吸収性材料を受容し収容するのに適した任意の材料によって形成されてもよい。従来のコアを生産するのに使用される一般的な基材材料、特に紙、ティッシュ、フィルム、織布若しくは不織布、又はこれらのいずれかの積層体若しくは複合材料が使用されてもよい。
【0121】
基材は更に、通気性であってもよい(液体透過性又は流体透過性に加えて)。したがって、本明細書において有用なフィルムは微細孔を含んでもよい。
【0122】
コアラップは、吸収性材料がコアから実質的に全く漏れ出さないように、吸収性コアのすべての側部に沿って少なくとも部分的に封止されてもよい。「吸収性材料が実質的にない」とは、コアラップから逃げる吸収性材料が5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は約0重量%であることを意味する。「封止」という用語は、広義に理解されるべきである。封止は、コアラップの周辺部全体に沿って連続的である必要はなく、線上で離間された一連の封止点によって形成されるなど、その一部又は全体に沿って不連続であってもよい。封止は、糊剤接着及び/又は熱結合によって形成されてもよい。
【0123】
コアラップが2つの基材216、216’によって形成される場合、4つの封止を使用して、吸収性材料260がコアラップ内に封入されてもよい。例えば、第1の基材216は、コアの一面に(
図33~35では上面として示される)配置されていてもよく、コアの反対の底面を少なくとも部分的に包み込むようにコアの長手方向の縁部の周りに延在する。第2の基材216’は、第1の基材216の包み込まれたフラップと吸収性材料260との間に存在してもよい。強力な封止をもたらすため、第1の基材216のフラップは第2の基材216’に糊剤接着されてもよい。このいわゆるCラップ構造は、サンドイッチ式の封止と比較して、湿潤負荷状態での耐破裂性の改善などの利点を提供してもよい。次に、コアラップの前側部及び後側部も、第1の基材及び第2の基材を互いに糊剤接着することによって封止されて、コアの周辺部全体にわたる吸収性材料の完全な封入をもたらしてもよい。コアの前側部及び後側部に関しては、第1及び第2の基材が延在してもよく、また実質的に平面方向で互いに接合されて、これらの縁部にいわゆるサンドイッチ構造を形成してもよい。いわゆるサンドイッチ構造では、第1及び第2の基材はまた、コアの全側部において外側に延在してもよく、一般的には糊剤接着及び/又は熱接着/圧着によって、コアの周辺部の全体若しくは一部に沿って平坦に、又は実質的に平坦に封止されてもよい。一例では、第1及び第2の基材のどちらも特定の形状を有する必要がないため、製造を簡易にするため矩形に切断されてもよいが、その他の形状も本開示の範囲内である。
【0124】
コアラップはまた、吸収性材料を風呂敷包み状に封入して、コアの前側部及び後側部、並びに一方の長手方向封止に沿って封止され得る単一の基材によって形成されてもよい。
【0125】
SAP堆積領域
吸収性材料の堆積領域208は、吸収性コアの上面から見て分かるように、コアラップ内の吸収性材料260によって形成される層の周辺部によって画定されてもよい。吸収性材料の堆積領域208は、コアの中央又は「股部」領域に向かってその幅に沿ってテーパーを示す、様々な形状、特にいわゆる「犬の骨」又は「砂時計」形状を有してもよい。このように、吸収性材料の堆積領域8は、
図28に図示されるように、吸収性物品の股部領域内に配置されるように意図されたコアの領域で比較的狭い幅を有し得る。これにより、着用時の快適性をより高めることができる。また、吸収性材料の堆積領域8は、例えば、
図31~33に示すとおり、概ね矩形であってもよいが、矩形、「T」、「Y」「砂時計」又は「犬の骨」形状などの他の堆積領域も、本開示の範囲内である。吸収性材料は、SAPを比較的高速で比較的正確に堆積させ得る任意の好適な技術を用いて堆積することができる。
【0126】
チャネル
吸収性材料の堆積領域208は、
図28及び29に示されるように、物品280の長手方向に少なくとも部分的に配向された(すなわち、長手方向のベクトル成分を有する)少なくとも1つのチャネル226を備え得る。他のチャネルは、横方向配向されてもよく(即ち、横方向のベクトル成分を有する)、又は他の任意の方向に少なくとも部分的に配向されてもよい。以下、「チャネル」が複数形で用いられる場合は、「少なくとも1つのチャネル」を意味する。チャネルは、物品の長手方向軸線280上で突出する、物品の長さLの少なくとも10%である長さL’を有し得る。チャネルは、様々な方法で形成されてもよい。例えば、チャネルは、吸収性材料、特にSAPを実質的に含まない、又は全く含まなくてもよい、吸収性材料の堆積領域208内の区域によって形成され得る。別の例では、チャネルは、吸収性材料の堆積領域208内の区域によって形成されてよく、コアの吸収性材料は、セルロース、エアフェルト、SAP、又はこれらの組み合わせを含み、チャネルは、吸収性材料、特にSAP、セルロース、若しくはエアフェルトを実質的に含まない、又は全く含まなくてもよい。これに加えるか又はこれに代えて、チャネルは、吸収性材料の堆積領域208を通じてコアラップの上面をコアラップの底面と連続的又は不連続的に結合することによって形成することもできる。チャネルは連続的であってよいが、チャネルが断続的であり得ることも考えられる。捕捉-分配システム若しくは層250、又は物品の別の層が、吸収性コアのチャネルに対応しても又はしなくてもよいチャネルを更に備え得る。
【0127】
いくつかの場合では、長手方向に延在する2つのチャネル226、226’を有する
図28に示すように、チャネルは、吸収性物品の股部点C又は横方向軸線260と少なくとも同じ長手方向の高さに存在し得る。また、チャネルは、股部領域207から延在してもよく、又は物品の前側腰部領域205及び/若しくは後側腰部領域206内に存在してもよい。
【0128】
吸収性コア228はまた、2つを超える、例えば少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つ以上のチャネルを備えてもよい。より短いチャネルが、例えばコアの後側腰部領域206又は前側腰部領域205において、物品の前側部に向かう
図28の一対のチャネル227、227’によって表されるとおりに、更に存在してもよい。チャネルは、対称に配置されるか、ないしは別の方法で長手方向軸線280に対して配置された、1つ以上のチャネルの対を備え得る。
【0129】
チャネルは、非矩形(に形作られた)コアを使用することが不利になる程度までコアの可撓性を改善させ得るので、吸収性材料の堆積領域が矩形である場合、チャネルは吸収性コア内で特に有用となり得る。当然ながら、チャネルは、形作られた堆積領域を有するSAP層内にも存在してよい。
【0130】
チャネルは、完全に長手方向に配向されて、長手方向軸線と平行であってもよく、あるいは完全に横方向に配向されて、横方向軸線と平行であってもよいが、少なくとも部分的に湾曲してもよい。
【0131】
流体が漏出するリスクを低減するために、長手方向の主チャネルは、吸収性材料の堆積領域208の縁部のいずれにも延在し得ず、したがって、コアの吸収性材料の堆積領域208内に完全に内包され得る。チャネルと吸収性材料の堆積区領域208の最も近い縁部との間の最小距離は、少なくとも5mmであってもよい。
【0132】
チャネルはその長さの少なくとも一部に沿って、例えば少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、最大で例えば20mm、16mm、又は12mmの幅Wcを有し得る。チャネルの幅は、チャネルのほぼ全長にわたって一定であってもよく、あるいはその長さに沿って変化してもよい。チャネルが吸収性材料の堆積領域208内の吸収性材料非存在区域によって形成される場合、チャネルの幅は材料非存在区域の幅であると見なし、チャネル内に存在する可能性のあるコアラップは度外視する。チャネルが吸収性材料非存在区域によって形成されるのではなく、例えば主として、吸収性材料区域を通じたコアラップの結合によって形成される場合、チャネルの幅はこの結合部の幅となる。
【0133】
チャネルの少なくともいくつか、又はその全てが恒久的なチャネルであってもよく、これはつまり、乾燥状態及び湿潤状態の両方でその完全性が少なくとも部分的に維持されることを意味する。恒久的なチャネルは、例えば、チャネルの壁内で基材を吸収性材料と接着する助けとなる、接着剤材料の繊維層又は構造用糊剤など、1つ以上の接着剤材料を提供することによって得られてもよい。恒久的なチャネルはまた、チャネル全体を通して、コアラップの上側部及び下側部(例えば、第1の基材216及び第2の基材216’)、並びに/又はトップシート224及びバックシート225を互いに結合することによって形成されてもよい。典型的には、チャネル全体を通してコアラップの両側部、又はトップシートとバックシートとを結合するために接着剤が用いられ得るが、圧着結合、超音波結合、熱結合、又はこれらの組み合わせなどの他の既知のプロセスによる結合も可能である。コアラップ、又はトップシート224及びバックシート225は、チャネルに沿って連続的に結合されるか、又は断続的に結合されてもよい。吸収性物品が完全に流体で満たされたとき チャネルは有利には、少なくともトップシート及び/又はバックシートを通して目に見える状態を維持するか、又は目に見える状態となってもよい。これは、膨潤しないようにチャネルにSAPを実質的に含有させないか、また湿潤時に閉じることがないようにチャネルを十分に大きくすることによって得られてもよい。更に、チャネル全体を通してコアラップをそれ自体に結合させるか、又はトップシートをバックシートに結合させることが、有利なことがある。
【0134】
バリアレッグカフ
吸収性物品は、一対のバリアレッグカフ34を備え得る。それぞれのバリアレッグカフは、吸収性物品に結合される1片の材料によって形成され得るため、吸収性物品の着用者に面する表面から上方向に延在することができ、また、着用者の胴及び脚の接合部近位で液体及び他の排出物の改良された封じ込めをもたらすことができる。バリアレッグカフは、トップシート224及び/又はバックシート225と直接的又は間接的に接合された近位縁部64と、着用者の皮膚に接触して着用者の皮膚との封止を形成するように意図された自由端縁部266と、によって境界を定められてもよい。バリアレッグカフ234は、吸収性物品の長手方向軸線280の両側面上で、前側腰部縁部210と後側腰部縁部212との間に少なくとも部分的に延在し、かつ少なくとも股部点(C)又は股部領域の高さに存在する。バリアレッグカフは、糊剤接着、溶融結合、又は他の好適な結合プロセスの組み合わせによってなされ得る結合265によって、近位縁部264において物品のシャーシと接合され得る。近位縁部264での結合部265は、連続的であっても断続的であってもよい。レッグカフの隆起区間と最も近接する結合265は、レッグカフの立ち上がり区間の近位縁部264の境界を定める。
【0135】
バリアレッグカフは、トップシート224若しくはバックシート225と一体であってもよく、又は物品のシャーシに接合された別個の材料であってもよい。各バリアレッグカフ234は、より良好な封止を提供するため、自由端縁部266付近に1つ、2つ以上の弾性ストリング235を備え得る。
【0136】
バリアレッグカフ234に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシ、特にトップシート224及び/又はバックシート225に接合され、かつバリアレッグカフに対して外方に配置された、ガスケットカフ232を備え得る。ガスケットカフ232は、着用者の大腿の周りにより優れた封止をもたらすことができる。各ガスケットレッグカフは、吸収性物品のシャーシ内の脚部開口部の領域内トップシート224とバックシート225との間に、1つ以上の弾性ストリング又は弾性要素233を備え得る。バリアレッグカフ及び/又はガスケットカフの全部又は一部を、ローション又は別のスキンケア組成物で処理してもよい。
【0137】
捕捉-分配システム
本開示の吸収性物品は、捕捉-分配層又はシステム250(「ADS」)を備え得る。ADSの一機能は、流体のうちの1つ以上を迅速に捕捉して、これらを効率的に吸収性コアに分配するものである。ADSは、1つ、2つ以上の層を備えてもよく、これらの層は一体の層を形成してもよく、又は、互いに取り付けられ得る個別の層として留まっていてもよい。一例では、ADSは、2つの層、つまり吸収性コアとトップシートとの間に配置される分配層254及び捕捉層252を備え得るが、本開示はそのようには限定されない。
【0138】
一例において、本開示の高ロフトの三次元不織布材料は、トップシート及び捕捉層を積層体として含み得る。分配層はまた、トップシート/捕捉層の積層体の衣類に面する側に提供され得る。
【0139】
キャリア層
本開示の高ロフトの三次元不織布材料がトップシート及び捕捉層の積層体を包含する場合においては、分配層は、1つ以上の不織布材料又はその他の材料を含み得るキャリア層(図示せず)によって、支持される必要がある場合がある。分配層は、キャリア層に適用されるか、又はそこに位置付けられ得る。そのようなものとして、キャリア層は捕捉層と分配層との中間に位置付けられてよく、捕捉層及び分配層と面する関係にあってよい。
【0140】
分配層
ADSの分配層は、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮されても、撚り合わされても、若しくはカールされてもよく、又は捲縮される、撚り合わされる、及びカールされることを含むこれらの組み合わせであってもよい。このタイプの材料が、米国特許出願公開第2008/0312622 A1号(Hundorf)に開示されている。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージにおける、又は例えば着用者の重量下の使用条件下における圧縮に対する高い復元、ひいては高い耐性を第1の吸収性層に付与する。これによって、より高い空隙容積、透過性、及び液体吸収性がコアに付与されるため、漏れが減少して乾燥状態が改善され得る。
【0141】
本開示の架橋セルロース繊維を含む分配層は、他の繊維を含み得るが、有利には、この層は、層の重量に対して、少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は更には最大100%の架橋セルロース繊維(架橋剤を含む)を含み得る。
【0142】
捕捉層
本開示の三次元不織布材料が、吸収性物品のトップシートとしてのみ提供される場合、ADS 250は捕捉層252を含み得る。捕捉層は、分配層254とトップシート224との間に配置され得る。かかる場合において、捕捉層252は、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は、それとは代わりに、カーディングを施された短繊維の化学結合された不織布を含む、親水性のSMS又はSMMS材料など、不織布材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。不織布材料は、ラテックス結合されてもよい。
【0143】
締結システム
吸収性物品は締結システムを含んでもよい。締結システムは、テープ付きおむつでは典型的であるように、吸収性物品の外周の周りに横方向の張力を与えて、吸収性物品を着用者に対して保持するために使用され得る。トレーニングパンツ物品の腰部領域は既に結合されているので、この締結システムはこれらの物品の場合は必須ではない場合もある。締結システムは、例えば、テープタブ、フックとループの締結要素、タブ及びスロットのような係合締結具、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は雌雄同体締結要素などの締結具を含んでよいが、いかなる他の好適な締結機構も、本開示の範囲内である。通常、ランディングゾーン244は、締結具が取り外し可能に取り付けられるように、前側腰部領域205の衣類に面する表面に提供される。
【0144】
前側耳部及び後側耳部
吸収性物品は、前側耳部246と後側耳部240とを備え得る。耳部は、サイドパネルとして、トップシート224及び/又はバックシート226から形成されるような、シャーシの一体部分であり得る。あるいは、
図28に示すように、耳部は、糊剤接着、熱エンボス加工、及び/又は圧着結合により取り付けられる別個の要素であってもよい。タブ242をランディング区域244に容易に取り付け、テープ付きおむつを着用者の腰部周りの定位置に保つために、後側耳部240は伸縮可能であり得る。後側耳部240はまた、第1に吸収性物品を着用者にぴったりとフィットさせ、続いて、弾性の耳部によって吸収性物品の側部が伸縮し得るために、着用時間全体を通して、流体又は他の身体排泄物で充填されてからかなりの時間が過ぎても吸収性物品がこのフィットを維持することにより、より快適で、体に巻き付くようなフィット感を付与するように、弾性又は伸張性であってもよい。
【0145】
弾性腰部機構
吸収性物品220はまた、改善されたフィット性及び封じ込めを提供する上で役立つ、少なくとも1つの弾性腰部機構(図示せず)を備え得る。弾性腰部機構は、弾性的に伸縮して、着用者の腰部に動的に適合することが概ね意図されている。この弾性腰部機構は、吸収性コア228の少なくとも一方の腰部縁部から少なくとも長手方向に外側に延在してもよく、吸収性物品の末端縁部の少なくとも一部を概ね形成する。使い捨ておむつは、2つの弾性腰部機構を有するように構成され得るが、一方は、前側腰部領域に位置付けられ、他方は、後側腰部領域に位置付けられる。
【0146】
色シグナル
1つの形態では、本開示の吸収性物品は、異なる層、又はその部分に異なる色を有することができる(例えばトップシートと捕捉層、トップシートと不織布コアカバー、トップシートの第1の部分と第2の部分、捕捉層の第1の部分と第2の部分)。異なる色は、同じ色の濃淡(例えば、濃い青と薄い青)であってもよく、又は実際に異なる色(例えば、紫色と緑色)であってもよい。異なる色は、例えば、約1.5~約10、約2~約8、又は約2~約6の範囲のΔEを有することができる。他のΔEの範囲もまた、本開示の範囲内である。
【0147】
1つの例では、吸収性物品の異なる層同士を着色接着剤により接合することができる。着色接着剤は、任意の適当な1乃至複数の層上に所定のパターンで置くことができる。接着剤のパターンは、トップシートのパターンを補うものであってもそうでなくてもよい。そのようなパターンは、吸収性物品の視覚的な奥行きを大きくすることができる。特定の場合では、着色接着剤は青色とすることができる。
【0148】
他の場合では、いずれかの層が、吸収性物品の外見、奥行きの印象、吸収性の印象、又は品質の印象の助けとなる印刷インクなどの標示を有することができる。
【0149】
他の場合では、色は、吸収性物品の構成要素として用いられる布地10の三次元形成要素のパターンと補完的又は見当合わせされたものでもよい。例えば、三次元形成要素の視覚的に区別されるパターンの第1及び第2の区域を有する布地には、布地10の外見を強調、目立たせる、対比する、又は他の形で変えるための色が印刷されてもよい。色の強調は、吸収性物品の使用者に使用時の布地10の特定の機能特性を伝えるうえで効果的であり得る。したがって、1つの構成要素又は複数の構成要素の組み合わせにおいて、構造的な三次元形成要素と色を組み合わせて使用することによって、視覚的に目立つ吸収性物品を与えることができる。例えば、副次的なトップシート又は捕捉層に、吸収性物品のトップシートとして用いられる布地10の三次元形成要素のパターンを補う1乃至複数の色のパターンを印刷してもよい。別の例は、1)チャネルを有する吸収性コア、2)コアの1乃至複数のチャネルと位置合わせ又はチャネルを強調する三次元パターンを有するトップシート、及び3)コアの1乃至複数のチャネルの機能的特徴及び吸収性物品の全体的性能を更に強調するためにトップシート観測面(身体に接触する表面)又はバックシート観測面(衣類に面する表面)から視認される図柄、着色要素、印刷インク、又は標示を有する吸収性物品である。
【0150】
試験方法:
圧縮エイジング試験
初期厚さの測定:
・測定する不織布1枚当たり5つの8cm×8cm(3インチ×3インチ)の試料を切り出す。
・各試料に1~5まで番号を付与する。
・常法に従い、Thwing-Albert厚さ試験機を使用して標準的な65mmフットを用い、0.5kPaでの厚さを測定する。
・5つの試料のそれぞれについて、初期の厚さを報告する。
・5つの試料の平均の厚さを報告する。
【0151】
エイジング圧縮方法及びエイジング厚さ測定
・5つの試料を、それぞれをペーパータオルで分離して、それぞれ試料番号1で始まり、5で終わる積層体として交互に積層する。
・交互に積層された試料を、試料の上に適当な重り(4kPa、14kPa、又は35kPa)を載せてアルミニウム製の試料ホルダーに入れる。
・重りを載せた積層試料を40℃のオーブンの中に15時間置く。
・15時間後に重りを除き、試料を分離し、常法に従い、標準的な65mmフットのThwing-Albert厚さ試験機を用いて0.5kPaでの各試料の厚さを測定する。
・5つの試料のそれぞれについて、エイジング後の厚さの値を報告する。
・5つの試料のエイジング後の平均の厚さを報告する。
【0152】
分析結果の報告:
・位置番号別に平均の初期及びエイジング後の厚さを報告する。
・厚さ回復指数を報告する。すなわち、
(平均のエイジング後の厚さ/平均の初期の厚さ)×100
【0153】
局所坪量
不織布の局所坪量は、いくつかの利用可能な方法によって測定することができるが、簡単な代表的な1つの方法では、3.0cm2の面積を有する打ち抜き型を用い、これを使用して不織布の全体の面積から選択された領域からウェブの試料片を切り出す。次に試料片を秤量し、その面積で割ることによって、不織布の局所坪量をg/m2(gsm)の単位で得る。結果を、選択された領域当たり2個の試料の平均として報告する。
【0154】
毛羽立ち度試験
研磨材/レセプター材として酸化アルミニウム布(イリノイ州エルムハースト所在のマクマスター・カー社(McMaster-Carr)より部品番号8687A229として販売される、極滑らかな仕上げ、砥粒#320、幅5cm(2インチ)、50ヤードのロール、又はこれに相当するもの)を使用し、Sutherland研磨試験機(ニュージャージー州ウェストベルリン所在のトゥウィング・アルバート社(Thwing Albert Co)より販売されるもの)で毛羽立ち度試験を行う。試料を研磨した後、酸化アルミニウム布及び試料の表面を、繊維除去テープ(ネザーランド・ラバー社(Netherland Rubber Company)より幅5cm(2インチ)のロールとして販売される3M #3187接着テープ)を用いてテープの引き剥がしを行い、重量分析を行った。0.9kg(2ポンド)の着脱式レセプターブロック(やはりトゥウィング・アルバート社(Thwing Albert Co)より販売されるもの)を使用する。
【0155】
使用に先立って、レセプターブロック上のラバー表面仕上げ及び試料ステージを摩耗/破損について検査し、必要であれば製造者の指示に従って交換する(交換用発泡体はトゥウィング・アルバート社(Thwing Albert Co)より販売される)。
【0156】
酸化アルミニウム布を19cm×5cm(7.5インチ×2.0インチ)のストリップに切断する。レセプターブロックの側面のクリップを使用して、研磨面がブロックから離れる方向に面し、布がレセプターブロックの下面に対して平らになるように、酸化アルミニウム布を取り付ける。
【0157】
試験する不織布からの試料を、縦方向(MD)に少なくとも12cm、横断方向(CD)に6cmとなるように切り取る。試験する試料の面が下に向けられるようにして実験台の上に置く。12cm×5.1cmの大きさの両面テープ(オハイオ州シンシナティ所在のネザーランド・ラバー社(Netherland Rubber Co)より販売される、3M#409、幅5cm(2インチ)、両面の粘着性が異なるもの、又はこれに相当するもの)を取って、剥離紙を剥がす。露出させたばかりの接着面を不織布試料に貼りつけ、長辺が試料のMD方向に平行になるようにしてテープを配置する。上に向けられた接着面上に剥離紙を置く。試料/テープの積層体を、MD方向に11.0cm±0.1cm×CD方向に4.0cm±0.1cmの最終寸法に切断する。剥離紙を剥がし、幅65.5mm×長さ210mm×厚さ1.5mmのステンレス鋼プレート(研磨試験機の試料ステージに取り付けるのに適当なもの)に試料を貼りつける。試料が上に向けられた状態で、試料の上に2200gの重り(170mm×63mmの接触面)を20秒間載せた後、取り除く。
【0158】
ステンレス鋼プレートを研磨試験機の試料ステージに、試料側を上に向けて、ステージの一体型クランプを用いて固定する。着脱式レセプターブロックを、研磨面を試料に向けて、研磨試験機の往復アーム上に取り付ける。21サイクル/秒の速度で20サイクルを行うように研磨試験機を設定する。
【0159】
酸化アルミニウム布表面又は試料表面のどちらからも分離した微小繊維が失われないように注意を払いながら、研磨試験機からレセプターブロックを注意深く取り外す。酸化アルミニウム布が上を向くようにして実験台上にレセプターブロックを置く。鋼プレートを試料とともに研磨試験機から取り外し、試料側を上に向けて実験台上に置く。幅51mm×長さ65.5mmの大きさの繊維除去テープを切り取る。テープの端の約5mmの部分を両端で折り返して、接着剤に触れずにテープの扱いが容易に行えるようにする。軽坪量剥離紙(約75mm×60mm)上に置いて接着面を保護する。テープ/剥離紙の質量を測定し、0.0001g単位で記録する。これは、酸化アルミニウム布からのテープ剥離繊維用である(テープA)。同様にして、研磨された試料の表面からのテープ剥離繊維用に第2のテープ/剥離紙を作製し(テープB)、その質量を0.00001g単位で記録する。
【0160】
テープAを取り、剥離紙を剥がす。テープの両端を持って酸化アルミニウム布に静かに押しつけて、表面から不織布を除去する。酸化アルミニウム粒子を剥離させないように注意を払いながら、これを必要なだけ繰り返して繊維をすべて除去する。その剥離紙を交換し、テープ/剥離紙の質量を測定し、質量を0.00001g単位で記録する。
【0161】
最終質量から風袋質量を引く。これが繊維質量Aである。テープBを取り、剥離紙を剥がす。テープの両端を持って、試料の上に中心を合わせてテープを置く。2200gの重りをテープの上に20秒間載せた後、取り除く。テープの両端を持って、試料の表面からテープを持ち上げる。その剥離紙を交換し、テープ/剥離紙の質量を測定し、質量を0.00001g単位で記録する。
【0162】
最終質量から風袋質量を引く。これが繊維質量Bである。毛羽立ち度は、繊維質量Aと繊維質量Bとの合計である。同じ要領で、合計で10回の反復試験で試験を繰り返す。10個の試料の平均を取り、毛羽立ち質量を0.10mg単位で記録する。毛羽立ち度を、平均毛羽立ち質量(mg)/44cm2として計算し、0.01mg/cm2単位で報告する。
【0163】
空気透過率試験
空気透過率試験を用いて、形成ベルトを通過する空気流の大きさを、立方フィート/分(cfm)の単位で測定する。空気透過率試験は、スイス、シュヴェルツェンバハ、Sonnenbergstrasse 72、CH 8603所在のテクステスト社(Textest AG)より販売されるTextest InstrumentsモデルFX3360 Portair空気透過率試験機で行った。この装置は、8,495~28,316L/分(300~1000cfm)の空気透過率の範囲では20.7mmのオリフィスプレートを用いる。空気透過率が8,495L/分(300cfm)よりも低い場合にはオリフィスプレートを小さくする必要があり、28,316L/分(1000cfm)よりも高い場合にはオリフィスプレートを大きくする必要がある。形成ベルトの局所区域で空気透過率を測定することで、形成ベルトにわたった空気透過率の差を調べることができる。
【0164】
試験手順
1.FX3360装置を起動する。
2.以下の設定を有する既定の方式を選択する。
a.材料:標準
b.測定特性:空気透過率(AP)
c.試験圧力:125Pa(パスカル)
d.T係数:1.00
e.試験ポイントのピッチ:2cm(0.8インチ)
3.20.7mmのオリフィスプレートを形成ベルトの上面(三次元突起のある面)の対象とする位置に配置する。
4.試験装置のタッチスクリーンで「スポット測定」を選択する。
5.必要であれば測定の前にセンサーをリセットする。
6.リセット後、「スタート」ボタンを選択して測定を開始する。
7.測定値が安定するまで待ち、スクリーン上のcfrmの測定値を記録する。
8.再び「スタート」ボタンを選択して測定を停止する。
9.結果を3回の測定の平均として報告する。
【0165】
バッグ内スタック高さ試験
吸収性物品のパッケージのバッグ内スタック高さは、以下のとおりに判定される。
【0166】
機器
平坦な剛性の水平スライディングプレートを備えた厚さ試験機が使用される。厚さ試験機は、水平スライディングプレートが、平坦な合成の水平ベースプレートの上で直接水平方向に常に維持された状態で、水平スライディングプレートが垂直方向に自由に移動するように構成される。厚さ試験機は、水平スライディングプレートと水平ベースプレートとの間の隙間を±0.5mm以内で測定するのに好適な装置を含む。水平スライディングプレート及び水平ベースプレートは、各プレートと接触する吸収性物品パッケージの表面よりも大きい(即ち、全ての方向で各プレートは吸収性物品パッケージの接触表面を超えて延在する)。水平スライディングプレートは、吸収性物品パッケージに下方への力850±1重量グラム(8.34N)を加えるが、これはスライディングプレートの合計質量に付加重量を足して850±1グラムとなるように、水平スライディングプレートのパッケージに接触しない上面の中央に好適な重しを置くことによって達成し得る。
【0167】
試験手順
吸収性物品パッケージを、測定前に、23±2℃及び50±5%の相対湿度で平衡化する。
【0168】
水平スライディングプレートを上げ、パッケージ内の吸収性物品が水平方向になるような形で、吸収性物品パッケージを水平スライディングプレートの下で中央に配置する(
図XXを参照のこと)。プレートのいずれかに接触するパッケージの表面上の任意のハンドル又は他のパッケージング機構を、パッケージの表面に対して平坦に折り重ねることで、測定に対する影響を最小限に抑える。水平スライディングプレートを、パッケージの上面に接触するまでゆっくり下げてから、解放する。水平スライディングプレートを解放してから10秒後に、水平プレート間の隙間を±0.5mm以内で測定する。5つの同じパッケージ(同一寸法のパッケージ及び同一の吸収性物品数)を測定し、相加平均をパッケージ幅として報告する。「バッグ内スタック高さ」=(パッケージ幅/1スタック当たりの吸収性物品数)×10を算出し、±0.5mm以内で報告する。
【0169】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0170】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。
【0171】
更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0172】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。