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特許7104480メチルホスフィン酸ブチルエステルの調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】メチルホスフィン酸ブチルエステルの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/32 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
C07F9/32
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019565995
(86)(22)【出願日】2018-02-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 IB2018000222
(87)【国際公開番号】W WO2018154385
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】62/462,113
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519303690
【氏名又は名称】アダマ・アガン・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤコバン,アビハイ
(72)【発明者】
【氏名】シュテレンベルグ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】エルコフ,レオニド
(72)【発明者】
【氏名】フロントン,スベタ
(72)【発明者】
【氏名】レーシェンターラー,ゲルト-フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】シェフチュク,ミハイロ
(72)【発明者】
【氏名】シュタッブマン-カザコバ,オレスヤ
(72)【発明者】
【氏名】カリノビチ,ナターリヤ
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-502091(JP,A)
【文献】特開昭54-154715(JP,A)
【文献】特表2005-523235(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0303394(US,A1)
【文献】LAURENT GAVARA,DBU-PROMOTED ALKYLATION OF ALKYL PHOSPHINATES AND H-PHOSPHONATES,TETRAHEDRON LETTERS,NL,2012年07月16日,VOL:53, NR:37,PAGE(S):5000 - 5003,http://dx.doi.org/10.1016/j.tetlet.2012.07.019
【文献】GALLAGHER, Michael J.,Phosphorus, Sulfur, and Silicon,1996年,115,255-259
【文献】FROESTL W,PHOSPHINIC ACID ANALOGUES OF GABA. 2. SELECTIVE, ORALLY ACTIVE GABAB ANTAGONISTS,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,1995年,VOL:38, NR:17,PAGE(S):3313 - 3331,http://dx.doi.org/10.1021/jm00017a016
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルホシネートを調製するための方法であって、
次亜リン酸を、式(II):
【化1】
[式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rメチルである]
の中間体化合物に変換することを含み、前記方法は、以下のステップ:
(a)次亜リン酸から、エステル化及びアルキル化によって、式(II)の中間体化合物を調製するステップであって、
(i)前記エステル化は、次亜リン酸を、非極性溶媒中で、酸の存在下、脱水条件下で、C ~C アルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(I):
【化2】
[式中、RはC~Cアルキル又はベンジルである]
の化合物を得るステップであり、前記非極性溶媒は、シクロヘキサン、キシレン、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)の1種以上であり、及び
(ii)前記アルキル化は、少なくとも一つの塩基の存在下で、アルキル化剤と反応させて、式(II)の中間体化合物を得るステップであって、前記アルキル化剤がメチル化剤であり、
前記塩基は、水素化ナトリウム;ナトリウム金属;NaOH;K CO ;ナトリウムメトキシド(MeONa);ジイソブチルアミド塩;MeONa/MeOH(30%溶液);4-ジメチルアミノピリジン(DMAP);ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO);カリウムtert-ブトキシド(t-BuOK);ナトリウムtert-ブトキシド(t-BuONa);ピリジン;2-ピコリン;Et N;i-Pr NEt;アルキル-O金属(金属アルコキシド);KH;アルキルMgX;NaNH 、及びリチウムジイソプロピルアミド(LDA)からなる群から選択され、
前記エステル化ステップ(i)の生成物は、アルキル化ステップ(ii)の前に精製も単離もされず、
前記エステル化ステップ(i)が、前記アルキル化ステップ(ii)の直前にある場合、アルキル化ステップ(ii)は、エステル化ステップ(i)で使用された同じポット中及び同じ非極性溶媒中で実施され、並びに
(b)前記ステップ(a)で得られた式(II)の中間体化合物を、グルホシネートに変換するステップ
を含む方法。
【請求項2】
式(I)の化合物が、塩基の存在下でアルキル化剤と反応する前に非極性溶媒から単離されることなく、同じ非極性溶媒中で調製されか、又は
アルキル化反応が、式(I)の化合物を調製した反応と同じポット中及び同じ非極性溶媒中で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rがメチル又はn-ブチルである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
非極性溶媒がトルエンである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
酸が硫酸である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
メチル化剤が硫酸ジメチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
塩基が、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、及びジイソブチルアミド塩を含む群から選択される1種以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エステル化ステップ(i)において、脱水条件が、加熱、水捕捉剤の存在、又はその両方を含むか、又は
前記エステル化ステップ(i)が、ディーン-スターク条件下、還流下で実施される、
請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
水捕捉剤が、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム又はモレキュラーシーブである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記アルキル化ステップ(ii)が、相間移動剤及び/又はキレート剤の存在下で実施される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
相間移動剤が、BuNX、MeNBuX、Aliquat(登録商標) 336、OctNX、OctNMeX、MeNX、又はPhPXであり、式中、Xは、Cl、Br、I、又はHSOであり、キレート剤が、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4、又はPEG-400である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(a)が、式(IIa):
【化3】
の中間体化合物を調製するためのステップであって、以下のステップ:
)次亜リン酸の水溶液を、硫酸の存在下、脱水条件下で、n-ブチルアルコールと反応させて、式(Ia)の化合物を得るステップ、及び
【化4】
ii)ステップ()で得られた化合物を、ナトリウムメトキシドの存在下、硫酸ジメチルと反応させるステップ
を含み、各ステップはトルエン中で実施され、ステップ()の生成物はステップ(ii)の前に精製も単離もされないステップであるか;又は
前記ステップ(a)が、式(IIb):
【化5】
の中間体化合物を調製するためのステップであって、以下のステップ:
)次亜リン酸の水溶液を、硫酸の存在下、脱水条件下で、メチルアルコールと反応させて、式(Ib)の化合物を得るステップ、及び
【化6】
ii)ステップ()で得られた化合物を、ナトリウムメトキシドの存在下、硫酸ジメチルと反応させるステップ
を含み、各ステップはトルエン中で実施され、ステップ()の生成物はステップ(ii)の前に精製も単離もされないステップである、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
式(II):
【化7】
[RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rメチルである]
の中間体化合物を調製するための前記ステップ(a)が、以下のステップ:
)次亜リン酸を、非極性溶媒中で、酸の存在下、脱水条件下で、C~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(I):
【化8】
[式中、RはC~Cアルキル又はベンジルである]
の化合物を得るステップ;
ii)ステップ()で得られた化合物を、オルトギ酸トリアルキルと反応させて、式(IIIa):
【化9】
[式中、RはO-アルキルである]
の化合物を得るステップであって、前記ステップ(i)の生成物が、ステップ(ii)の前に精製も単離もされず、及び、ステップ(ii)が、ステップ(i)と同じポット中で及び同じ非極性溶媒で実施されるステップ;
iii)ステップ(ii)で得られた化合物を、少なくとも一つの塩基の存在下、アルキル化剤と反応させて、式(IIIb):
【化10】
[式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rメチルであり、RはO-アルキルである]
の化合物を得るステップであって、前記アルキル化剤がメチル化剤であるステップ
iv)ステップ(iii)で得られた化合物を、酸と反応させて、式(IV)の化合物を得るステップ;及び
【化11】
[式中、 はメチルである]
)ステップ(iv)で得られた化合物を、非極性溶媒中で、酸の存在下、脱水条件下で、 ~C アルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(II)の中間体化合物を得るステップ
を含み、
スッテプ(iv)の生成物は、ステップ(v)の前に精製も単離もされず、並びに
ステップ(i)、(ii)、及び(v)において、同じ非極性溶媒が使用される
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(iii)が、ステップ(i)及びステップ(ii)と同じポットで実施され;及び/又は
前記ステップ(iv)及びステップ(v)が、同じポットで実施される
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式(II):
【化12】
[式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rメチルである]
の中間体化合物を調製するための前記ステップ(a)が、以下のステップ:
)次亜リン酸を、オルトギ酸トリアルキルと反応させて、式(IIIc):
【化13】
[式中、各RはO-アルキルである]
の化合物を得るステップ、
ii)ステップ()で得られた化合物を、少なくとも一つの塩基の存在下、アルキル化剤と反応させて、式(IIId):
【化14】
[式中、Rメチルであり、各RはO-アルキルである]
の化合物を得るステップであって、前記アルキル化剤はメチル化剤であり、及び、前記ステップ(i)の生成物は、ステップ(ii)の前に精製も単離もされず、
iii)ステップ(ii)で得られた化合物を、酸と反応させて、式(IV):
【化15】
[式中、 はメチルである]
の化合物を得るステップ;及び
iv)ステップ(iii)で得られた化合物を、非極性溶媒中で、酸の存在下、脱水条件下で、C~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(II)の化合物を得るステップ
を含み、
スッテプ(iii)の生成物は、ステップ(iv)の前に精製も単離もされない、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(i)及びステップ(ii)が、同じポットで実施され;及び/又は
ステップ(iii)及びステップ(iv)は、同じポットで実施される
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式(II):
【化16】
[式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rメチルである]
の中間体化合物を調製するための前記ステップ(a)が、以下のステップ:
)次亜リン酸を、非極性溶媒中で、酸の存在下、脱水条件下で、C~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(I)の化合物を得るステップ、及び
【化17】
[式中、RはC~Cアルキル又はベンジルである]
ii)ステップ()で得られた化合物を、少なくとも一つの塩基の存在下、アルキル化剤と反応させて、式(II)の中間体化合物を得るステップであって、前記アルキル化剤がメチル化剤であるステップ
を含み、
アルキル化ステップ(ii)が、エステル化ステップ(ii)と同じポット及び同じ非極性溶媒で実施される、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
Rがメチル又はn-ブチルである、請求項1317のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
式(II)の中間体化合物が、以下の構造を有する、請求項1~11及び13~18のいずれか一項に記載の方法。
【化18】
【請求項20】
前記ステップ(b)が、
(b-i)ステップ(a)で得られた式(II)の中間体化合物を、以下の構造を有する化合物と反応させて
【化19】
[式中、Rはアミン保護基であり、Rはカルボン酸保護基である]
以下の構造を有する化合物を得ること;及び
【化20】
b-ii)Rアミン保護基を脱保護し、Rカルボン酸保護基を脱保護し、C~Cアルキル又はベンジルであるR基を加水分解して、グルホシネートを生成すること
を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
式(II):
【化21】
[式中、Rはブチルであり、R はメチルである]
の中間体化合物を調製するための前記ステップ(a)が
(i)次亜リン酸を、非極性溶媒中で、脱水条件下で、n-ブタノールを反応させて、式(I):
【化22】
[式中、Rはブチルである]
の化合物を得るステップ、及び
(ii)ステップ(i)で得られた化合物を、少なくとも一つの塩基の存在下で、塩化メチルであるアルキル化剤と反応させて、前記式(II)の中間体化合物を得るステップを含み、
前記塩基が、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、及びジイソブチルアミド塩を含む群から選択される1つ以上である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
非極性溶媒がトルエンである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(i)及びステップ(ii)が、同じポットで実施される、請求項21又は22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年2月22日に出願された米国仮出願第62/462,113号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願全体を通して、種々の刊行物が参照される。これらの文献の開示は、本発明が関係する技術水準をより完全に説明するために、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0003】
本主題は、除草剤グルホシネートの調製に有用な中間体であるアルキルホスフィン酸アルキルエステルの調製方法及び使用方法に関する。そのような方法の1つは、アルキル化ステップの前にアルキルホスフィン酸エステルを単離することなく、非極性溶媒中でアルキルホスフィン酸エステルを調製し、次いでアルキル化することを含む。特に、本主題は、ブチルホスフィン酸エステルを単離することなく、非極性溶媒中でブチルホスフィン酸エステルを調製し、次いでアルキル化することによる、メチルホスフィン酸ブチルエステルの調製方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
グルホシネートは、アンモニウムイオンの蓄積及び光合成の阻害をもたらすグルタミン合成酵素阻害剤として機能する、製造された広域スペクトルの全身性除草剤である。
【0005】
式(I)の化合物メチルホスフィン酸アルキルエステルは、US5420329号及びUS4168963号に記載されているように、除草活性成分であるグルホシネート、RS)-2-アミノ-4-(ヒドロキシ(メチル)ホスホノイル)ブタン酸を調製するための重要な中間体である。
【0006】
【化1】
【0007】
様々な製造方法が文献で知られている。
【0008】
US5734072号は、ジクロロホスフィンからモノアルキルホスフィネートを調製することを記載している。
【0009】
US9035083号は、塩素の使用を回避しながらH-ホスホネートを製造する方法を記載している。この方法は、次亜リン酸をアルコールと反応させてホスフィネート及び過剰のアルコールを生成させるステップ、次いで過剰のアルコールの存在下でホスフィネートを金属触媒と反応させてH-ホスホネートを生成させるステップを含む。
【0010】
CN102351900号には、モノアルキルホスホネートの合成方法が記載されている。この方法は、アルキルホスフィンジハライドを原料とし、これを加水分解反応させてアルキルホスフィン酸を得ることを特徴とする。アルキルホスフィン酸は、R-OHの構造を有する化合物との脱水エステル化反応を受け、Rがアルキル、不飽和アルキレン、又はアリールであるアルキルホスホン酸塩を得る。水素化ハロゲン副産物又はその水溶液を調製するための方法の経路は、通常の工業化製造方法として使用することができる。エステル化処理の反応は、穏和な条件下で、複雑な装置を必要とせずに起こり、製造コストを低く保つ。
【0011】
CN103435643号には、モノヒドロキシジアルキルホスフィン酸金属塩難燃剤の調製方法が記載されている。この調製方法は、アルキルホスホニウムジクロリドとアルコールとを反応させてモノアルキルホスホネートを得るステップを含む。
【0012】
US6815558号は、炭酸塩、重炭酸塩、アミド、アルコラート、アミノ塩基及び/又は固体水酸化物から選択される塩基の存在下での元素黄リンとハロゲン化アルキルとの反応を含む、アルキル亜ホスホン酸の(金属)塩の調製を記載する。
【0013】
US6806383号は、アルキル亜ホスホン酸の(金属)塩の調製方法について記載しており、この方法は、少なくとも1種の塩基の存在下で元素黄リンを、ハロゲンを含まないアルキル化剤と反応させることを含む。また、この方法で調整されたアルキル亜ホスホン酸の(金属)塩の使用についても考察する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第5420329号明細書
【文献】米国特許第4168963号明細書
【文献】米国特許第5734072号明細書
【文献】米国特許第9035083号明細書
【文献】中国特許出願公開第102351900号明細書
【文献】中国特許出願公開第103435643号明細書
【文献】米国特許第6815558号明細書
【文献】米国特許第6806383号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、高効率、低コスト、及び環境に優しい方法において、市販の簡単に取り扱える材料から反応が始まる合成経路を、開発する必要があった。これらの利点は、従来技術の方法では示されていない。本主題は、そのような方法を提供する。
【0016】
したがって、本主題の目的は、既知の技術の欠点を克服する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法であって、
【0018】
【化2】
【0019】
非極性溶媒中で式(I)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルである)を
【0020】
【化3】
【0021】
塩基の存在下でアルキル化剤と反応させることを含む方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法を提供し、
【0023】
【化4】
【0024】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸を酸の存在下、脱水条件下でC~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて式(I)の化合物(RはC~Cアルキル又はベンジルである)を得るステップ、及び
【0025】
【化5】
【0026】
(b)ステップ(a)で得られた式(I)の化合物を塩基の存在下でアルキル化剤と反応させるステップを含み、
各ステップは非極性溶媒中で同じポット中で実施され、ステップ(a)の生成物はステップ(b)の前に精製も単離もされない。
【0027】
本発明はさらに、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法を提供し、
【0028】
【化6】
【0029】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸を、酸の存在下、脱水条件下で非極性溶媒中で、C~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(I)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルである)を得るステップ、
【0030】
【化7】
【0031】
(b)ステップ(a)で得られた化合物をオルトギ酸トリアルキルと反応させて、式(IIIa)の化合物(式中、RはO-アルキルである)を得るステップ、
【0032】
【化8】
【0033】
(c)ステップ(b)で得られた化合物を塩基の存在下でアルキル化剤と反応させて、式(IIIb)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルであり、RはO-アルキルである)を得るステップ、
【0034】
【化9】
【0035】
(d)ステップ(c)で得られた化合物を酸と反応させて、式(IV)の化合物(式中、RはC~Cアルキルである)を得るステップ、
【0036】
【化10】
【0037】
(e)ステップ(d)で得られた化合物を、酸の存在下、脱水条件下で非極性溶媒中で、アルキルアルコールと反応させて、式(II)の化合物を得るステップ
を含む。
【0038】
本発明はさらに、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法を提供し、
【0039】
【化11】
【0040】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸をオルトギ酸トリアルキルと反応させて式(IIIc)の化合物(式中、各RはO-アルキルである)を得るステップ、
【0041】
【化12】
【0042】
(b)ステップ(a)で得られた化合物を塩基の存在下でアルキル化剤と反応させて、式(IIId)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、各RはO-アルキルである)を得るステップ、
【0043】
【化13】
【0044】
(c)ステップ(b)で得られた化合物を酸と反応させて、式(IV)の化合物を(式中、RはC~Cアルキルである)を得るステップ、
【0045】
【化14】
【0046】
(d)ステップ(c)で得られた化合物を、酸の存在下、脱水条件下で非極性溶媒中で、C~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(IV)の化合物を得るステップ
を含む。
【0047】
本発明はまた、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法を提供し、
【0048】
【化15】
【0049】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸を、酸の存在下、脱水条件下で反応させて、C~Cアルキル又はベンジルアルコールと式(I)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルである)を得るステップ、及び
【0050】
【化16】
【0051】
(b)ステップ(a)で得られた化合物を塩基の存在下でアルキル化剤と反応させて、式(II)の化合物を得るステップ
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0052】
[定義]
本主題を詳細に記載する前に、本明細書において使用される特定の用語の定義を提供することが有用であり得る。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本主題が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0053】
本明細書において使用される場合、「混合物」又は「組み合わせ」という用語は、任意の物理的形態の組み合わせ、例えば、ブレンド、溶液、合金などを指すが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書で使用する「一つの(a)」又は「一つの(an)」という用語は、特に指定のない限り、単数及び複数を含む。したがって、「一つの(a)」、「一つの(an)」、又は「少なくとも1つの」という用語は、本願において互換的に使用することができる。本願を通じて、様々な実施形態の説明は、「含む」という用語を使用するが、一部の特定の例において、その代わりに「から本質的になる」又は「からなる」という言葉を使用して実施形態を説明することができることは、当業者には理解されるであろう。そのような各事例において、「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」という用語は、特許の請求項の移行語として使用される場合に、そのような各用語が有するであろうものと同じ意味を有することが意図される。
【0055】
本教示をより良く理解し、教示の範囲を決して限定しないことを目的として、特に指定のない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用される量、パーセント、又は比率、及び他の数値を表す全ての数値は、全ての例において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対に示さない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得られることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低限、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数を考慮し、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。この点に関して、本明細書で使用する「約」という用語の使用は、特に、その範囲内の示された値から±10%を包含する。さらに、本明細書中の同じ成分又は特性に向けられた全ての範囲の端点は、端点を含み、独立して組み合わせ可能であり、全ての中間点及び範囲を含む。
【0056】
次亜リン酸塩(ROP(O)H)は、湿気、空気又は熱に対して非常に敏感であり、不均衡及び分解の傾向を有する。
【0057】
本発明の方法は、非常に効率的であり、反応時間が短く、製造コストが低く、後処理が簡略化され、関連する廃液処理問題を最小限に抑えるという点で有利である。
【0058】
本方法は、方法が水希釈溶液中で実施される点で有利である。
【0059】
本発明は、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法であって、
【0060】
【化17】
【0061】
非極性溶媒中で式(I)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルである)を
【0062】
【化18】
【0063】
塩基の存在下でアルキル化剤と反応させることを含む方法を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物が、塩基の存在下で、アルキル化剤と反応させる前に、非極性溶媒から単離されることなく、同じ非極性溶媒中で調製される方法。
【0065】
いくつかの実施形態において、アルキル化反応が、式(I)の化合物を調製する反応と同じポット及び同じ非極性溶媒中で実施される方法。
【0066】
いくつかの実施形態において、Rがメチル又はn-ブチルである方法。いくつかの実施形態において、Rがメチルである方法。
【0067】
いくつかの実施形態において、非極性溶媒がトルエンである方法。
【0068】
いくつかの実施形態において、アルキル化剤がメチル化剤である方法。いくつかの実施形態において、メチル化剤が硫酸ジメチルである方法。
【0069】
いくつかの実施形態において、塩基が、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、及びジイソブチルアミド塩を含む群から選択される1種以上である方法。
【0070】
いくつかの実施形態において、塩基がナトリウムメトキシドである方法。
【0071】
いくつかの実施形態において、移動剤の存在下でアルキル化が実施される方法。
【0072】
いくつかの実施形態において、相間移動剤が、BuNX、MeNBuX、Aliquat(R) 336、OctNX、OctNMeX、MeNX、又はPhPXであり、式中X=Cl、Br、I、又はHSOである方法。
【0073】
いくつかの実施形態において、キレート剤の存在下でアルキル化が実施される方法。
【0074】
いくつかの実施形態において、キレート剤が、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4又はPEG-400である方法。
【0075】
いくつかの実施形態において、生成される化合物が以下の構造を有する方法。
【0076】
【化19】
【0077】
本発明はまた、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法を提供し、
【0078】
【化20】
【0079】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸を、酸の存在下、脱水条件下で、C~Cアルキルルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(I)の化合物(RはC~Cアルキル又はベンジルである)を得るステップ、及び
【0080】
【化21】
【0081】
(b)ステップ(a)で得られた式(I)の化合物を、塩基の存在下でアルキル化剤と反応させるステップを含み、
各ステップは非極性溶媒中で同じポット中で実施され、ステップ(a)の生成物はステップ(b)の前に精製も単離もされない。
【0082】
いくつかの実施形態において、Rがメチル又はn-ブチルである方法。いくつかの実施形態において、Rがメチルである方法。
【0083】
いくつかの実施形態において、非極性溶媒がトルエンである方法。
【0084】
いくつかの実施形態において、酸が硫酸である方法。
【0085】
いくつかの実施形態において、アルキル化剤がメチル化剤である方法。いくつかの実施形態において、メチル化剤が硫酸ジメチルである方法。
【0086】
いくつかの実施形態において、塩基が、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、及びジイソブチルアミド塩を含む群から選択される1種以上である方法。
【0087】
いくつかの実施形態において、塩基がナトリウムメトキシドである方法。
【0088】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)において、脱水条件が、加熱、水捕捉剤の存在、又はその両方を含む方法。
【0089】
いくつかの実施形態において、水捕捉剤が塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム又はモレキュラーシーブである方法。
【0090】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)がディーン-スターク条件下、還流下で実施される方法。
【0091】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)が相間移動剤の存在下で実施される方法。
【0092】
いくつかの実施形態において、相間移動剤が、BuNX、MeNBuX、Aliquat(R) 336、OctNX、OctNMeX、MeNX、又はPhPXであり、式中X=Cl、Br、I、又はHSOである方法。
【0093】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)がキレート剤の存在下で実施される方法。
【0094】
いくつかの実施形態において、キレート剤が、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4又はPEG-400である方法。
【0095】
いくつかの実施形態において、生成される化合物が以下の構造を有する方法。
【0096】
【化22】
【0097】
いくつかの実施形態において、式(IIa)の化合物の調製方法であって、
【0098】
【化23】
【0099】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸の水溶液を、硫酸の存在下、脱水条件下で、n-ブチルアルコールと反応させて、式(Ia)の化合物を得るステップ、及び
【0100】
【化24】
【0101】
(b)ステップ(a)で得られた化合物を、ナトリウムメトキシドの存在下で、硫酸ジメチルと反応させるステップ
を含み、各ステップはトルエン中で実施され、ステップ(a)の生成物はステップ(b)の前に精製も単離もされない方法。
【0102】
いくつかの実施形態において、式(IIb)の化合物の調製方法であって、
【0103】
【化25】
【0104】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸の水溶液を、硫酸の存在下、脱水条件下で、メチルアルコールと反応させて、式(Ib)の化合物を得るステップ、及び
【0105】
【化26】
【0106】
(b)ステップ(a)で得られた化合物を、ナトリウムメトキシドの存在下で、硫酸ジメチルと反応させるステップ
を含み、各ステップはトルエン中で実施され、ステップ(a)の生成物はステップ(b)の前に精製も単離もされない方法。
【0107】
グルホシネートの調製方法であって、式(I)の化合物を
【0108】
【化27】
【0109】
式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rはメチルである)
【0110】
【化28】
【0111】
に変換することを含み、その改良は、式(I)の化合物を式(II)の化合物に請求項1~15のいずれか一項に記載の方法によって変換することを含む方法。
【0112】
いくつかの実施形態において、グルホシネートの調製方法であって、式(I)の化合物を
【0113】
【化29】
【0114】
式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rはメチルである)
【0115】
【化30】
【0116】
に請求項1~15のいずれか一項に記載の方法によって変換することを含む方法。
【0117】
上記の方法のいくつかの実施形態において、さらに(b)式(II)の化合物をグルホシネートに変換することを含む。
【0118】
上記の方法のいくつかの実施形態において、さらに
(b)式(II)の化合物を以下の構造を有する化合物(式中、Rはアミン保護基であり、Rはカルボン酸保護基である)と反応させて
【0119】
【化31】
【0120】
以下の構造を有する化合物を得ること、及び
【0121】
【化32】
【0122】
(c)Rアミン保護基を脱保護し、Rカルボン酸保護基を脱保護し、ステップ(b)で得られた化合物のC~Cアルキル又はベンジルであるR基を加水分解してグルホシネートを生成すること
を含む方法。
【0123】
グルホシネートの調製方法であって、次亜リン酸を式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rはメチルである)に変換することを含み、
【0124】
【化33】
【0125】
その改良は、本発明の方法により次亜リン酸を式(II)の化合物に変換することを含む方法。
【0126】
グルホシネートの調製方法であって、本発明の方法により次亜リン酸を式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rはメチルである)に変換することを含む方法。
【0127】
【化34】
【0128】
上記の方法のいくつかの実施形態において、さらに(b)式(II)の化合物をグルホシネートに変換することを含む。
【0129】
上記の方法のいくつかの実施形態において、さらに
(b)式(II)の化合物を以下の構造を有する化合物(式中、Rはアミン保護基であり、Rはカルボン酸保護基である)と反応させて、
【0130】
【化35】
【0131】
以下の構造を有する化合物を得、及び
【0132】
【化36】
【0133】
(c)Rアミン保護基を脱保護し、Rカルボン酸保護基を脱保護し、ステップ(b)で得られた化合物のC~Cアルキル又はベンジルであるR基を加水分解してグルホシネートを生成すること
を含む方法。
【0134】
本発明はさらに、式(II)の化合物(RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法であって、
【0135】
【化37】
【0136】
以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸を、酸の存在下、脱水条件下で非極性溶媒中で、C~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(I)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルである)を得るステップ、
【0137】
【化38】
【0138】
(b)ステップ(a)で得られた化合物をオルトギ酸トリアルキルと反応させて、式(IIIa)の化合物(式中、RはO-アルキルである)を得るステップ、
【0139】
【化39】
【0140】
(c)ステップ(b)で得られた化合物を、塩基の存在下でアルキル化剤と反応させて、式(IIIb)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルであり、RはO-アルキルである)を得るステップ、
【0141】
【化40】
【0142】
(d)ステップ(c)で得られた化合物を酸と反応させて、式(IV)の化合物(式中、RはC~Cアルキルである)を得るステップ、
【0143】
【化41】
【0144】
(e)ステップ(d)で得られた化合物を、酸の存在下、脱水条件下で非極性溶媒中で、アルキルアルコールと反応させて、式(II)の化合物を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0145】
いくつかの実施形態において、Rはメチル又はn-ブチルである方法。ある実施形態において、Rはメチルである方法。
【0146】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)及び/又はステップ(e)における非極性溶媒がトルエンである方法。
【0147】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)及び/又はステップ(e)における酸が硫酸である方法。
【0148】
いくつかの実施形態において、ステップ(c)におけるアルキル化剤がジメチル硫酸又は塩化メチルである方法。
【0149】
いくつかの実施形態において、ステップ(c)における塩基が、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、及びジイソブチルアミド塩を含む群から選択される1種以上である方法。
【0150】
いくつかの実施形態において、ステップ(c)における塩基が、ナトリウムメトキシドである方法。
【0151】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)及び/又はステップ(e)において、脱水条件が、加熱、水捕捉剤の存在、又はその両方を含む方法。
【0152】
いくつかの実施形態において、水捕捉剤が、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム又はモレキュラーシーブである方法。
【0153】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)及び/又はステップ(e)が、ディーン-スターク条件下、還流下で実施される方法。
【0154】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)において、オルトギ酸トリアルキルがオルトギ酸トリメチル又はオルトギ酸トリエチルである方法。
【0155】
いくつかの実施形態において、ステップ(c)が極性溶媒中で実施される方法。
【0156】
いくつかの実施形態において、極性溶媒がテトラヒドロフランである方法。
【0157】
いくつかの実施形態において、ステップ(c)が相間移動剤の存在下で実施される方法。
【0158】
いくつかの実施形態において、相間移動剤が、BuNX、MeNBuX、Aliquat(R) 336、OctNX、OctNMeX、MeNX、又はPhPXであり、式中X=Cl、Br、I、又はHSOである方法。
【0159】
いくつかの実施形態において、ステップ(c)がキレート剤の存在下で実施される方法。
【0160】
いくつかの実施形態において、キレート剤が、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4又はPEG-400である方法。
【0161】
いくつかの実施形態において、生成される化合物が以下の構造を有する方法。
【0162】
【化42】
【0163】
本発明はさらに、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法を提供し、
【0164】
【化43】
【0165】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸をオルトギ酸トリアルキルと反応させて式(IIIc)の化合物(式中、各RはO-アルキルである)を得るステップ、
【0166】
【化44】
【0167】
(b)ステップ(a)で得られた化合物を、塩基の存在下でアルキル化剤と反応させて、式(IIId)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、各RはO-アルキルである)を得るステップ、
【0168】
【化45】
【0169】
(c)ステップ(b)で得られた化合物を酸と反応させて、式(IV)の化合物を(式中、RはC~Cアルキルである)を得るステップ、
【0170】
【化46】
【0171】
(d)ステップ(c)で得られた化合物を、酸の存在下、脱水条件下で非極性溶媒中で、C~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて、式(IV)の化合物を得るステップ
を含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、Rがメチル又はn-ブチルである方法。ある実施形態において、Rがメチルである方法。
【0173】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)において、オルトギ酸トリアルキルがオルトギ酸トリメチル又はオルトギ酸トリエチルである方法。
【0174】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)における塩基が、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、及びジイソブチルアミド塩を含む群から選択される1種以上である方法。
【0175】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)におけるアルキル化剤が硫酸ジメチルである方法。
【0176】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)が非極性溶媒中で実施される方法。
【0177】
いくつかの実施形態において、非極性溶媒がトルエンである方法。
【0178】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)におけるアルキル化剤が塩化メチルである方法。
【0179】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)が極性溶媒中で実施される方法。
【0180】
いくつかの実施形態において、極性溶媒がテトラヒドロフランである方法。
【0181】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)が相間移動剤の存在下で実施される方法。
【0182】
いくつかの実施形態において、相間移動剤が、BuNX、MeNBuX、Aliquat(R) 336、OctNX、OctNMeX、MeNX、又はPhPXであり、式中X=Cl、Br、I、又はHSOである方法。
【0183】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)がキレート剤の存在下で実施される方法。
【0184】
いくつかの実施形態において、キレート剤が、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4又はPEG-400である方法。
【0185】
いくつかの実施形態において、ステップ(d)における酸が硫酸である方法。
【0186】
いくつかの実施形態において、ステップ(d)における非極性溶媒がトルエンである方法。
【0187】
いくつかの実施形態において、ステップ(d)において、脱水条件が、加熱、水捕捉剤の存在、又はその両方を含む方法。
【0188】
いくつかの実施形態において、水捕捉剤が、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム又はモレキュラーシーブである方法。
【0189】
いくつかの実施形態において、ステップ(d)が、ディーン-スターク条件下、還流下で実施される方法。
【0190】
いくつかの実施形態において、生成される化合物が以下の構造を有する方法。
【0191】
【化47】
【0192】
本発明はまた、式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、RはC~Cアルキルである)の調製方法を提供し、
【0193】
【化48】
【0194】
該方法は、以下のステップ、すなわち
(a)次亜リン酸を、酸の存在下、脱水条件下で、C~Cアルキルアルコール又はベンジルアルコールと反応させて式(I)の化合物(RはC~Cアルキル又はベンジルである)を得るステップ、及び
【0195】
【化49】
【0196】
(b)ステップ(a)で得られた化合物を、塩基の存在下でアルキル化剤と反応させて、式(II)の化合物を得るステップ
を含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、Rはメチル又はn-ブチルである方法。いくつかの実施形態において、Rはメチルである方法。
【0198】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)における溶媒が非極性溶媒である方法。
【0199】
いくつかの実施形態において、非極性溶媒がトルエンである方法。
【0200】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)における酸が硫酸である方法。
【0201】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)において、アルキル化剤がメチル化剤である方法。
【0202】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)におけるアルキル化剤が硫酸ジメチルである方法。
【0203】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)が非極性溶媒中で実施される方法。
【0204】
いくつかの実施形態において、非極性溶媒がトルエンである方法。
【0205】
いくつかの実施形態において、アルキル化剤が塩化メチルである方法。
【0206】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)が極性溶媒中で実施される方法。
【0207】
いくつかの実施形態において、極性溶媒がテトラヒドロフランである方法。
【0208】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)において、塩基が、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム、及びジイソブチルアミド塩を含む群から選択される1種以上である方法。
【0209】
いくつかの実施形態において、塩基がナトリウムメトキシドである方法。
【0210】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)において、脱水条件が、加熱、水捕捉剤の存在、又はその両方を含む方法。
【0211】
いくつかの実施形態において、水捕捉剤が、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム又はモレキュラーシーブである方法。
【0212】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)がディーン-スターク条件下、還流下で実施される方法。
【0213】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)が相間移動剤の存在下で実施される方法。
【0214】
いくつかの実施形態において、相間移動剤が、BuNX、MeNBuX、Aliquat(R) 336、OctNX、OctNMeX、MeNX、又はPhPXであり、式中X=Cl、Br、I、又はHSOである方法。
【0215】
いくつかの実施形態において、ステップ(b)がキレート剤の存在下で実施される方法。
【0216】
いくつかの実施形態において、キレート剤が、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4又はPEG-400である方法。
【0217】
いくつかの実施形態において、生成される化合物が以下の構造を有する方法。
【0218】
【化50】
【0219】
グルホシネートの調製方法であって、次亜リン酸を式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rはメチルである)
【0220】
【化51】
【0221】
に変換することを含み、その改良は、次亜リン酸を本発明の方法により式(II)の化合物に変換することを含む方法。
【0222】
次亜リン酸を本発明の方法により式(II)の化合物(式中、RはC~Cアルキル又はベンジルであり、Rはメチルである)に変換することを含むグルホシネートの調製方法。
【0223】
【化52】
【0224】
上記の方法のいくつかの実施形態において、さらに(b)式(II)の化合物をグルホシネートに変換することを含む。
【0225】
上記の方法のいくつかの実施形態において、さらに
(b)式(II)の化合物を以下の構造を有する化合物(式中、Rはアミン保護基であり、Rはカルボン酸保護基である)
【0226】
【化53】
【0227】
と反応させて、以下の構造を有する化合物を得ること、及び
【0228】
【化54】
【0229】
(c)Rアミン保護基を脱保護し、Rカルボン酸保護基を脱保護し、C-Cアルキル又はベンジルであるR基を加水分解してグルホシネートを生成すること
を含む方法。
【0230】
一実施形態において、エステル化ステップは、約25℃~約50℃、より好ましくは約25℃~約35℃の温度で実施される。
【0231】
一実施形態において、エステル化反応は、約25℃~約50℃、より好ましくは約25℃~約35℃の温度で実施される。
【0232】
一実施形態において、次亜リン酸とアルコールとの反応は、約25℃~約50℃、より好ましくは約25℃~約35℃の温度で実施される。
【0233】
一実施形態において、本発明の方法は、次亜リン酸を保護するステップを含む。
【0234】
一実施形態において、本発明の方法は、次亜リン酸アルキルエステルを保護するステップを含む。
【0235】
エステル化ステップがアルキル化ステップの直前にある、方法の一実施形態において、アルキル化反応は、エステル化ステップで使用されるのと同じ溶媒中で実施される。
【0236】
エステル化ステップがアルキル化ステップの直前にある、方法の一実施形態において、アルキル化ステップは、エステル化ステップで使用されるのと同じ溶媒中で実施される。
【0237】
エステル化ステップがアルキル化ステップの直前にある、方法の一実施形態において、アルキル化剤との反応は、エステル化ステップで使用されるのと同じ溶媒中で実施される。
【0238】
一実施形態において、次亜リン酸とアルコールとの反応から得られる生成物は、アルキル化剤と反応する前に単離されない。
【0239】
一実施形態において、エステル化反応によって得られる生成物は、アルキル化反応の前に単離されない。
【0240】
ある実施形態において、アルキル化剤との反応は、キレート剤の存在下で実施される。
【0241】
一実施形態において、アルキル化反応は、キレート剤の存在下で実施される。
【0242】
いくつかの実施形態において、アルキル化反応は、1種以上の相間移動剤の存在下で実施される。
【0243】
上記で開示された方法のいずれかにおいて使用されるアルキル化剤としては、硫酸ジメチル、ハロカーボン、ヨードメタン、クロロメタン、ブロモメタン及びハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0244】
一実施形態において、アルキル化剤との反応は、塩基の存在下で実施される。一実施形態において、アルキル化反応は、塩基の存在下で実施される。
【0245】
一実施形態において、塩基は、少なくとも1種の有機塩基、又は少なくとも1種の無機塩基を含む。
【0246】
無機塩基としては、水素化ナトリウム、Na[ナトリウム金属]、NaOH、及びKCOが挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
有機塩基としては、MeONa、MeONa/MeOH(30%溶液)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、カリウムtert-ブトキシド(t-BuOK)、ナトリウムtert-ブトキシド(t-BuONa)、ピリジン、2-ピコリン、NaH、EtN、i-PrNEt、アルキル-O金属、KH、アルキルリチウム、アルキルMgX、NaNH、及びリチウムジイソプロピルアミド(LDA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0248】
一実施形態において、次亜リン酸とアルコールとの反応は、酸の存在下で実施される。
【0249】
一実施形態において、エステル化処理/ステップは、酸の存在下で実施される。
【0250】
一実施形態において、酸は、少なくとも1種の有機酸、又は少なくとも1種の無機酸を含む。
【0251】
無機酸としては、硫酸、塩酸及び臭化水素酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
有機酸としては、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0253】
本明細書において有用な例示的キレート剤としては、限定するものではないが、クラウンエーテルが挙げられる。
【0254】
アルキルアルコールとしては、限定するものではないが、1種以上のメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールヘキサノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0255】
一実施形態において、次亜リン酸とアルコールとの反応は、非極性溶媒中で反応させる。
【0256】
一実施形態において、エステル化処理/ステップは、非極性溶媒中で実施される。
【0257】
一実施形態において、次亜リン酸とアルコールとの反応は、水脱水成分の存在下で反応させる。
【0258】
一実施形態において、エステル化処理/ステップは、水脱水成分の存在下で実施される。
【0259】
一実施形態において、脱水成分は、非極性溶媒と水との共沸混合物である。
【0260】
一実施形態において、非極性溶媒は、限定するものではないが、シクロヘキサン、キシレン、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)のうちの1種以上を含み得る。
【0261】
一実施形態において、反応から抽出された水は、過剰のトルエンで満たされたディーン-スタークトラップに集められる。
【0262】
一実施形態において、水捕捉剤は乾燥剤である。
【0263】
本明細書において有用な乾燥剤の例としては、限定するものではないが、塩化カルシウム(CaCl)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO、ドライエライトとしても知られる)、硫酸マグネシウム(MgSO)又はモレキュラーシーブが挙げられる。
【0264】
一実施形態において、次亜リン酸とアルコールとの反応は、水中の次亜リン酸の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%又は10%溶液中で実施される。
【0265】
一実施形態において、エステル化処理/ステップは、水中の次亜リン酸の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%又は10%溶液中で実施される。
【0266】
一実施形態において、エステル化処理/ステップは、無水次亜リン酸を用いて実施される。
【0267】
一実施形態において、次亜リン酸は無水形態である。
【0268】
開示された方法のいずれかの一実施形態において、次亜リン酸の反応は、水中の次亜リン酸の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%又は10%溶液である。
【0269】
開示された方法のいずれかの一実施形態において、次亜リン酸は無水形態である。
【0270】
一実施形態において、非極性溶媒は、水酸基保護のための試薬の存在下でトルエンを含む。
【0271】
いくつかの実施形態において、オルトギ酸アルキルとの反応は、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸アルキルエステルの保護のためである。
【0272】
保護基としては、オルトギ酸アルキル、オルト酢酸アルキル、MeOH、EtOH、PrOH、i-PrOH、BuOH、i-BuOH、sec-BuOH、t-BuOHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0273】
保護基としては、Me、Et、Pr、i-Pr、BuO、i-Bu、sec-Bu、t-Bu、又はCH(OMe)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0274】
一実施形態において、次亜リン酸とアルキルアルコール又はベンジルアルコールとの反応は、約-60℃~約100℃、より好ましくは約70℃~約90℃の温度で実施される。
【0275】
一実施形態において、エステル化ステップ/反応は、約-60℃~約100℃、より好ましくは約70℃~約90℃の温度で実施される。
【0276】
一実施形態において、アルキル化ステップは、約-75℃~約15℃、より好ましくは約-15℃~約0℃の温度で実施される。
【0277】
一実施形態において、エステル化ステップは、約275mbar~約630mbarの圧力で実施される。
【0278】
一実施形態において、次亜リン酸とアルコールとのモル比は、約1:4~1:10である。
【0279】
ある実施形態において、アルキル化剤との反応は、共溶媒の使用を含む。
【0280】
一実施形態において、アルキル化ステップ/反応は、共溶媒の使用を含む。
【0281】
共溶媒としては、n-BuOH、Me-テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、ジオキサン、及びジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0282】
ある実施形態において、アルキル化反応は極性溶媒中で実施される。
【0283】
極性溶媒としては、n-BuOH、Me-テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル、ジオキサン及びジメチルホルムアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0284】
いくつかの実施形態において、アルキル化剤との反応は、キレート剤及び1種以上の相間移動剤を含む。
【0285】
一実施形態において、アルキル化ステップ/反応は、キレート剤及び1種以上の相間移動剤を含む。
【0286】
本明細書において有用なキレート剤及び相間移動剤の例としては、限定するものではないが、BuNX、MeNBuX、Aliquat(R) 336、OctNX、OctNMeX、MeNX、PhPX、PEG-400、及び18-クラウン-6(式中X=Cl、Br、I、又はHSOである)のうちの1種以上が挙げられる。
【0287】
一実施形態において、グルホシネートは、グルホシネートを得るための化合物(II)の加水分解、エステル化、又はアルキル化によって得られる。
【0288】
さらに別の実施形態では、開示された方法のいずれかの生成物は、当技術分野で周知の任意の従来技術によって反応混合物から単離することができる。このような単離技術には、限定するものではないが、濃縮、抽出、沈殿、冷却、濾過、結晶化、及び遠心分離、その後の乾燥のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0289】
さらに別の実施形態では、開示された方法のいずれかの生成物は、当技術分野で周知の任意の従来技術によって任意に精製することができる。そのような精製技術は、限定するものではないが、沈殿、結晶化、スラリー化、適切な溶媒中での洗浄、充填層カラムを通した濾過、適切な溶媒中での溶解、及び化合物が不溶性である第2の溶媒の添加による再沈殿、又はそれらの任意の組合せの1つ以上を含み得る。
【0290】
以下の実施例は、その実施形態のいくつかにおける本主題の実施を例示するが、本主題の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。他の実施形態は、明細書及び実施例の考察から当業者に明らかであろう。実施例を含む明細書は、例示に過ぎず、本主題の範囲及び精神を限定するものではないと考えられることが意図される。
【実施例
【0291】
[実施例1:ワンポットエステル化-アルキル化合成]
【0292】
【化55】
【0293】
[エステル化反応]
次亜リン酸[HPA](水中51.3%(重量比))48.0g(0.374モル、1.0当量)、n-ブタノール123.0g(173モル、4.63当量)、246mlトルエン及び0.192g硫酸を混合し、真空下で還流し、ディーン-スターク装置により12時間連続して水を除去した。反応の終了は、水分離の停止及び1を超える以下の比で示された。
【0294】
【数1】
【0295】
試料の面積をGCクロマトグラムから採取する。試料の重量は約600~800mgである。
【0296】
次のステップ(アルキル化)を同じ反応容器中で直接実施する。
【0297】
[アルキル化反応]
乾燥Nガスの雰囲気下で、34.1g(0.271モル、1.5当量)の硫酸ジメチルを反応容器に加えた。反応混合物を-10℃に冷却し、267mlのトルエン中に調製したナトリウムメトキシド26.7g(0.469モル、1.3当量)の懸濁液を-5~-10℃の間で少しずつ加えた。添加後、反応混合物をさらに30分間-5℃に維持した。水(80ml)を、温度を-5~0℃に保ちながら、撹拌した反応混合物に滴下した。得られた2層を分離した。水層を3×80ml=240mlのトルエンで抽出した。合わせた有機相中の残留水を減圧下、ディーン-スターク共沸蒸留により除去し、水分含量が0.4%未満になるまで反応混合物の温度を30℃未満に維持した。
【0298】
反応混合物を、ローター-エバポレーター中で真空(10mbar)下30℃で濃縮した。濃縮物をビグリューカラムを用いて減圧(8mbar)下で分別蒸留した:48℃(蒸留混合物中)の1-留分(前操作);71~81℃(蒸気中)の2-留分(生成物)。残留生成物をGCを用いて無色の液体として得た;純度>90%。
【0299】
MPEの単離された収率=40%(HPA由来)。
【0300】
[実施例2:保護-アルキル化-エステル化合成]
【0301】
【化56】
【0302】
[純粋なHPA[次亜リン酸]からのMPE[ブチルメタンホスフィナイト]の調製]
【0303】
[第一のステップの手順[エステル化/保護]]
メタノール5mLを入れたフラスコに発煙硫酸1滴(約0.05g)を加えた後、無水HPA4.0gを加えた。得られた溶液を30分間撹拌した後、オルトギ酸トリメチル[TMOF](12.7g)をシリンジで加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。粗反応混合物の31P NMRスペクトルは、出発物質の完全な変換及び主生成物1(メチル(ジメトキシメチル)-H-ホスフィネート)の92%の存在を示した。
【0304】
[第二のステップの手順[アルキル化]]
メチル(ジメトキシメチル)-H-ホスフィネート1を調製した後、高真空中、室温(22℃)で3時間すべての揮発性物質を除去した。次いで、THF(0.2mL)を加え、反応容器を液体窒素で冷却した。MeCl(3当量)を凝縮してフラスコに入れ、固体MeONa(1.05当量)を1度に加えた。反応容器をテフロンタップで密封し、室温まで温めた。冷却を中止した直後に白色の沈殿が出現し、発熱反応により反応混合物を30~40℃まで温めた。室温で16時間撹拌を続け、反応混合物を31P NMRで分析したところ、H-ホスフィネート1が事実上定量的に目的のメチル化生成物2に変換され、純度92~94%であることが示された。
【0305】
[第3のステップの手順[加水分解]]
メチル(ジメトキシメチル)メチルホスフィネート(2、0.3g)を濃6M HCl(0.5mL)中で1時間加熱還流した。31P NMRは、出発物質の完全な加水分解及び収率96%での3の形成を示した。
【0306】
[第4のステップの手順[エステル化]]
加水分解ステップ後の反応混合物をアルコール[メタノール又はn-ブタノール](最大1:10)で希釈し、トルエン(アルコールの2倍量)を加えた。得られた混合物をディーン-スターク装置で最大8時間還流した。対応するメチルエステルは20%の収率で得られ、一方n-ブチルエステルMPEは70%の収率で得られた。
【0307】
[実施例3:2-ポットエステル化-アルキル化合成]
【0308】
【化57】
【0309】
[水中の50%のHPA[次亜リン酸]からのMPE[ブチルメタンホスフィナイト]の調製]
【0310】
[第一のステップの手順[エステル化]]
二首丸底フラスコに、ゴム隔壁、マグネチックスターラー、並びに凝縮器及びアルゴン注入口を上部に有するディーン-スタークヘッドを装備した。フラスコに次亜リン酸(19.8g、0.15モル、1当量)の50%水溶液、n-ブタノール(55mL、0.6モル、4当量)及びトルエン(100mL)を仕込み、ゴム隔壁をガラス栓に置き換えた。反応混合物を4時間加熱還流した。次に反応混合物を室温まで冷却し、ディーン-スターク装置をストッパーに置き換え、得られた溶液を冷蔵庫に入れた。31P NMRは、90%の収率でブチルH,H-ホスフィネート1を示し、約10%の出発物質(HPA)が混合物中に残存していた。
【0311】
[第二のステップの手順[アルキル化]]
ブチルH,H-ホスフィネート1(37.0ml、約36ミリモル、1当量)の(PhMe/n-BuOH)原液を、真空中(0.05mmHg)周囲温度で2時間かけて濃縮した。残渣を無水THF(20mL)に溶解し、KI(0.60g、0.1当量)を反応容器に加え、続いて18-クラウン-6(0.19g、0.02当量)を加えた。次いで、得られた混合物を-80℃に冷却し、MeCl(5.5g、3当量)を凝縮してフラスコに入れた。反応混合物を-50℃に温め、THF20mL中のMeONa(0.32g、1.2当量)の懸濁液を1度で添加した。得られた混合物を密封し、一夜撹拌したままにした(混合物が0℃まで温まるのに約3~4時間を要した)。翌日(約18時間後)、反応フラスコをMeClの過剰圧力を減少させるために-20℃に冷却し、NMR測定のためにアリコートを採取した。次いで飽和NHCl水溶液(10mL)及び水(10mL)を加えて反応を停止させた。水層を分離し、エーテル(15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO水溶液(2×15mL)及び食塩水(15mL)で洗浄し、MgSOで脱水した。2時間後、固体を濾過し、エーテルで十分に洗浄した。エーテル溶液を真空(20mmHg)中で濃縮し、微量の溶媒を除去するためにn-ペンタンと数回共蒸発させた。得られた粗生成物を淡黄色液体(4.15g)として得た。31P NMRはMPEの収率48%を示した。
【0312】
[第2のステップの代替手順[アルキル化]]
メチル(ジメトキシメチル)-H-ホスフィネート1を調製した後、高真空中、室温(22℃)で3時間、すべての揮発性物質を除去した。次いで、THF(0.2mL/1ミリモル)を加え、反応容器を液体窒素で冷却した。MeCl(3当量)を凝縮してフラスコに入れ、固体MeONa(1.05当量)を1度に加えた。反応容器をテフロンタップで密封し、室温まで温めた。冷却を中止した直後、白色沈殿が出現し、反応混合物を発熱反応により30~40℃に温めた。室温で16時間撹拌を続け、反応混合物を31P NMRで分析したところ、H-ホスフィネート1が事実上定量的に目的のメチル化生成物2に変換され、純度92~94%であることが示された。
【0313】
[実施例4:エステル化-アルキル化-再エステル化]
【0314】
【化58】
【0315】
[水中の50%のHPA[次亜リン酸]からのMPE[ブチルメタンホスフィナイト]の調製]
【0316】
[第一のステップの手順[エステル化]]
二首丸底フラスコに、ゴム隔壁、マグネチックスターラー、並びに凝縮器及びアルゴン注入口を上部に有するディーン-スタークヘッドを装備した。フラスコに次亜リン酸(19.8g、0.15モル、1当量)の50%水溶液、n-ブタノール(55mL、0.6モル、4当量)及びトルエン(100mL)を仕込み、ゴム隔壁をガラス栓に置き換えた。反応混合物を4時間かけて加熱還流した。次に反応混合物を室温まで冷却し、ディーン-スターク装置をストッパーに置き換え、得られた溶液を冷蔵庫に入れた。31P NMRは、90%の収率のブチルH,H-ホスフィネート1を示し、約10%の出発物質(HPA)が混合物中に残存していた。
【0317】
[第2のステップの手順[保護]]
ブチルH,H-ホスフィネート1(70.0ml、0.07モル、1当量)の(PhMe/n-BuOH)溶液を入れたフラスコに、乾燥Nガス雰囲気下、オルトギ酸トリメチル[TMOF](12g、1.6当量)をシリンジで加えた。反応混合物を室温で10時間撹拌した。粗混合物の31P NMRスペクトルは、ブチルH,H-ホスフィネート1が目的の物質ブチルジメトキシメチル-H-ホスフィネート2に完全に変換され、純度が94%であることを示した。
【0318】
[第3のステップの手順[アルキル化]]
ブチル(ジメトキシメチル)-H-ホスフィネート2を調製した後、高真空中、室温(24℃)で4時間、すべての揮発性物質を除去した。残渣を無水THF(40mL)に溶解し、反応容器を液体窒素で冷却した。MeCl(3当量)を凝縮してフラスコに入れ、固体MeONa(1.05当量)を1度で加えた。反応容器をテフロンタップで密封し、室温まで温めた。冷却を中止した直後、白色沈殿が出現し、反応混合物を発熱反応により30~40℃に温めた。室温で16時間撹拌を続け、反応混合物を31P NMRで分析したところ、H-ホスフィネート2が事実上定量的に目的のメチル化生成物3に変換され、純度93%であることが示された。
【0319】
[第4のステップの手順[加水分解]]
ジメトキシメチル-メチル-ホスフィン酸ブチルエステル(3、13g)を濃6M HCl(50mL)中で1時間加熱還流した。31P NMRは、出発物質の完全な加水分解及び96%の収率でのメチルホスフィン酸4の形成を示した。
【0320】
[第5のステップの手順[エステル化]]
加水分解ステップ後の反応混合物をn-ブタノール(70ml)で希釈し、トルエン(アルコールの2倍量)を加えた。得られた混合物をディーン-スターク装置で最大8時間還流した。対応するブチルエステルMPEが65%の収率で得られた。
【0321】
[実施例5:MPEからのグルホシネートの合成]
グルホシネートアンモニウムをメチルホスフィン酸ブチルエステル(MPE)から以下の一般スキームにより調製する。
【0322】
【化59】
【0323】
まず、MPEはアクロレインシアンヒドリンアセテートと反応し(例えば、EP0011245号、US4521348号、US4599207号参照)、次いで、得られた生成物ACMをアンモニアとさらに反応させ、続いて酸加水分解及びアンモニウム塩生成物の生成を行う。
【0324】
本主題は、その好ましい実施形態を参照して示され、説明されてきたが、その精神及び範囲から逸脱することなく、多くの代替、修正、及び変更がなされ得ることが、当業者によって理解される。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広範な範囲内に入る、そのような代替、修正、及び変形をすべて包含することが意図される。
【0325】
この明細書で言及されたすべての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許又は特許出願が、参照によってここに組み込まれるように具体的かつ個々に示されるのと同じ程度まで、参照によってその全体が明細書に組み込まれる。
【0326】
[考察]
除草剤グルホシネートの合成に有用なメチル-ホスフィン酸アルキルエステル中間体を製造するための、改良された合成方法を開発する必要がある。
【0327】
上記の経路はすべて同じ共通の出発物質-HPAを有し、これは安価で非常に一般的で、扱いやすい(水溶液中50%)。
【0328】
本明細書に記載した方法は、安価で市販の簡単な出発物質に基づき、複雑な装置を必要とせずに簡便で簡単な合成経路を利用する。提案した合成は工業規模でのグルホシネートの製造に容易に応用できた。本明細書で記載した方法は、廃棄物の製造とその処理を最小限に抑えるために環境的に有利である。記載した方法で利用される試薬は、取り扱いが非常に容易であり、したがって製造施設での危険を減らし、工場で危険な化学物質を取り扱うために必要とされる経済的投資を減らす。本発明の方法によるメチル-ホスフィン酸アルキルエステルの合成は、所望の生成物の変換及び単離収率を有意に改善し得ることが見出された。
【0329】
ワンポットエステル化-アルキル化合成における非極性溶媒の使用は、合成が安価で扱いやすいHPA水溶液から始まるので、非常に効果的である。このようにして、不安定で危険な純粋なHPAを準備する必要はない。水は反応の過程で共沸的に除去され、反応は円滑に進行する。最初のエステル化ステップの生成物を単離する必要はなく、アルキル化ステップは同じ容器内で同じ溶媒系を用いて実施される。上記溶媒の回収は非常に簡単に行うことができ、したがって製造コストを低減することができる。
【0330】
記載された経路に関与する反応は、実施が容易であり、いかなる複雑な設備をも必要としない。記載された方法は、製造規模まで容易にスケールアップすることができる。合成中間体及びそれらの混合物は比較的無害であり、取扱いに便利である。
【0331】
[参考文献]
2015年5月19日に発行された米国特許第9,035,083B2号(Montchampら);
2004年11月9日に発行された米国特許第6,815,558B1号(Weferlingら);
2004年10月19日に発行された米国特許第6,806,383B1号(Weferlingら);
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1986年7月8日に発行された米国特許第4,599,207号(Lachheinら);
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1983年9月14日に許可された欧州特許第0011245B1号(Hoechst Aktiengesellschaft);
2012年2月15日に公開された中国特許出願公開番号CN102351900A号(JIANGSU YOUTH CHEMICAL CO LTDら);
2013年12月11日に公開された中国特許出願公開第CN103435643A号(PRESAFER QINGYUAN PHOSPHOR CHEMICAL COMPANY LTD.)。