(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】セルロースの分離方法
(51)【国際特許分類】
C08B 15/08 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
C08B15/08
(21)【出願番号】P 2017215194
(22)【出願日】2017-11-08
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】597104916
【氏名又は名称】アースリサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】立花 孝
(72)【発明者】
【氏名】濱田 賢一
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-080759(JP,A)
【文献】特開2011-168651(JP,A)
【文献】特開2010-084104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0275432(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 15/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘミセルロース、セルロース及びリグニンを主成分とする木質系原料からセルロースを 分離する方法であって、
エチレングリコール類が分離剤として収蔵された溶解槽(1、100、300)に、木 質系原料を投入し、溶解槽(1、100、300)内の分離剤を常圧下で260°C~280°Cの範囲内の温度まで加熱し、
木質系原料を分離剤と反応させ、分離剤から蒸発するヘミセルロース成分を凝縮させ、 分離剤の温度上昇に伴って凝縮液のpH値が酸性から中性に向けて変化する凝縮液のpH を監視し、凝縮液の温度を凝縮液のpH値の変化が小さくなったときの温度に保持し、リグニンを分離剤に溶解させる一方、分離剤中に浮遊する粗セルロースを分離・回収するようにしたことを特徴とするセルロースの分離方法。
【請求項2】
上記分離剤から分離回収した粗セルロールを水中で回転する翼によって攪拌洗浄するとともに、切断を行って微小セルロースを得るようにした請求項1記載のセルロースの分離方法。
【請求項3】
上記微小セルロースを次亜塩素酸とカセイソーダの水溶液に浸漬して漂白するとともに 微小化するようにした請求項2記載のセルロースの分離方法。
【請求項4】
上記微小セルロースに対して
更に機械的な加圧力を与えて微細化するようにした請求項3記載のセルロースの分離方法。
【請求項5】
上記木質系原料が、竹、木及び木綿の群から選ばれる1又は複数からなる木質繊維、野 菜、果物及び穀物の群から選ばれる1又は複数からなる食物繊維、あるいは綿又はパルプ からなる再生繊維である請求項1記載のセルロースの分離方法。
【請求項6】
ヘミセルロースを含有しない原料を上記木質系原料とともに溶解槽(1、100、30 0)内の分離剤に投入するようにした請求項1記載のセルロースの分離方法。
【請求項7】
ヘミセルロース、セルロース及びリグニンを主成分とする木質系原料からセルロースを分離する方法を実施する設備であって、
エチレングリコール類又はそれを主成分とする分離剤と、
該分離剤と木質系原料とを収蔵し、加熱手段により分離剤を200°C~280°Cの範囲内の温度まで加熱して両者を反応させ、木質系原料から分離剤に溶出したヘミセルロースを分離剤から蒸発させる一方、リグニンを分離剤に溶解させて、これらと分離剤に溶解しないセルロースを分離する溶解槽(1、100、300)と、
上記分離剤から蒸発するヘミセルロースの凝縮液のpH値を測定し、pH値の変化を検出するpH検出手段と、を備え
上記pH検出手段の検出する上記凝集液のpH値の変化に基づいて分離剤の加熱温度を保持調整し、上記溶解槽中の分離剤に浮遊する粗セルロースを分離・回収することを特徴とするセルロースの分離設備。
【請求項8】
更に、上記溶解槽から回収した粗セルロースを洗浄切断して微小セルロースとする回転切断水槽9、109,309と、該槽で得られる微小セルロースを次亜塩素酸と苛性ソーダの水溶液で漂白化する漂白槽10、112,307と、を有する請求項7記載のセルロース分離設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルロースの分離方法に関し、特に短い時間で効率よく、しかも酸やアルカリを使用することなく処理してヘミセルロース、セルロース及びリグニンを分離してセルロースを回収するようにした方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、木材などの木質系バイオマスを石油代替エネルギーとして有効利用する技術が注目されている。木材を材料や燃料として利用する以外に、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどの成分を利用することが提案されている。
【0003】
例えば、木質原料中のセルロース、ヘミセルロースから糖やバイオエタノールを製造する方法である。
【0004】
具体的には、酸を用いた加水分解を主な糖化工程として糖やエタノールを製造する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
また、酵素糖化の前又は途中に機械的な微細化処理、酸、アルカリ、過酸化水素、亜塩素酸などの薬品処理による脱リグニン処理を単独で又は組み合わせて行って糖やエタノールを製造する方法が提案さている(特許文献3~5)。
【0006】
さらに、水酸化ナトリウムやアンモニアでのアルカリ処理による可溶化及び塩素や次亜塩素酸ナトリウムによるリグニン分解処理後、固体酸触媒を用いて加水分解(糖化)を行なう非硫酸・非酵素法による糖の製造方法が提案されている(特許文献6)。
【0007】
また、酵素糖化処理に先立って、加圧熱水処理と機械的な微細化処理の組み合わせによる前処理、又は加熱・加圧下において二酸化炭素溶解水に浸漬する前処理を行い、酸、アルカリ、その他薬品類を使用しないで糖やエタノールを製造する方法が提案されている(特許文献7、特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-075007号公報
【文献】特開2007-202518号公報
【文献】特開2008-043328号公報
【文献】特開2011-041493号公報
【文献】特開2006-149343号公報
【文献】特開2011-101608号公報
【文献】特開2006-136263号公報
【文献】特開2010-094095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1~6記載の方法は、例えば、酸、アルカリやその他薬品類を用いた場合では工程が煩雑で、設備腐食、廃液処理等が厄介であるだけでなく、中和による生成物が産業廃棄物となる。
また、特許文献7、6記載の方法では加圧熱水処理や機械的な微細化処理の場合ではエネルギー消費量が大きい。
【0010】
さらに、特許文献1~8記載の方法では脱リグニン効果は限定的であるので、セルロースやヘミセルロースから糖又はエタノールを製造する効率に限界がある。
【0011】
ところで、木質系バイオマス中のリグニン含有量は、通常針葉樹では約30%前後、広葉樹では約20~25%程度であるが、特許文献1~8記載の方法では糖化処理時に、リグニン及びリグニンに胞埋されたセルロースなど、糖化されない成分が残渣として約半分前後も残存し、無駄となっている。
しかも、この残渣成分は腐敗しやすいので、有効利用するためには糖液からの残渣の分離や乾燥などを必要とするが、それには相当のエネルギーとコストがかかる。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑み、短い時間で効率よく、しかも酸やアルカリを使用することなく処理してセルロースを分離し回収するようにしたセルロースの分離方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明に係るセルロースの分離方法は、ヘミセルロース、セルロース及びリグニンを主成分とする木質系原料からセルロースを分離し回収する方法であって、エチレングリコール類が分離剤として収蔵された溶解槽に、木質系原料を投入し、溶解槽内の分離剤を常圧下で260°C~280°Cの範囲内の温度まで加熱し、木質系原料を分離剤と反応させ、分離剤から蒸発するヘミセルロース成分を凝縮させ、分離剤の温度上昇に伴って凝縮液のpH値が酸性から中性に向けて変化する上記凝縮液のpHを監視し、凝縮液の温度を凝縮液のpH値の変化が小さくなったときの温度に保持し、リグニンを分離剤に溶解させる一方、分離剤中に浮遊する粗セルロースを分離・回収するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明の特徴の1つはエチレングリコール類を分離剤として用い、分離剤に投入した木質系原料を溶解槽内で所定の高温度まで加熱し、分離剤から蒸発するヘミセルロース成分を凝縮し、温度上昇に伴って強酸性から中性に向けて変化する凝縮液のpHを監視し、pHが実質的に一定となった時の温度に保持し静置し、木質系原料のリグニン成分を槽底に固形分として分離する一方、分離剤中に浮遊するセルロース成分を分離し回収するようにした点にある。
【0015】
これにより、木質系原料からヘミセルロース、セルロース及びリグニンを効率よく分離することができ、しかも温度上昇に伴って酸性から中性(又はアルカリ性)に向けて変化する凝縮液のpHを監視し、溶解槽内の分離剤をpHが実質的に一定となった時の温度に保持し静置すればよいので、短い時間で効率よく分離を行うことができる。
【0016】
しかも、エチレングリコール類を用いればよく、酸やアルカリを使用しないので、安全性に優れ、環境問題を招来することもない。
【0017】
さらには、溶解槽及び真空蒸発槽といった汎用な装置を用いればよく、装置が簡単で運転性に優れ、特殊な設備を必要としない。
【0018】
エチレングリコール類にはエチレングリコールやトリエチレングリコールを用いることができる。
【0019】
木質系原料としては竹、木及び木綿の群から選ばれる1又は複数からなる木質繊維、野菜、果物及び穀物の群から選ばれる1又は複数からなる食物繊維、あるいは綿又はパルプからなる再生繊維を用いることができる。木質系原料が竹、木、木綿、綿などの場合にはヘミセルロースが原料成分に含まれるが、麻の場合にはヘミセルロースが原料成分に含まれていないので、ヘミセルロース成分を含む木質系原料とともに処理する。ヘミセルロースは溶解槽から蒸発させて凝縮させると、ヘミセルロース液として得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のセルロースの分離方法の好ましい実施形態を示すシステムの構成図である。
【
図2】上記実施形態における粗セルロースを洗浄し微小化するシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1及び
図2は本発明のセルロースの分離方法の好ましい実施形態を示す。図において、1はトリエチレングリコール(TEG)が分離剤として収蔵された溶解槽である。
【0022】
この溶解槽1では分離剤に竹、木、木綿、綿の群から選ばれる1又は複数の木質系原料が投入された状態で、分離剤を260°C~280°Cの範囲内の温度まで加熱し、0.5~1.5時間保持し、温度上昇に伴ってヘミセルロースが蒸発し、リグニンは分離剤に溶解し、リグニンを含む分離剤が抜き出され、分離剤に浮遊する粗セルロースは槽底に残留して回収されるようになっている。なお、原料には野菜、果物及び穀物(食物繊維)やパルプ(再生繊維)を用いることもできる。
【0023】
溶解槽1には分離剤から蒸発するヘミセルロース成分を凝縮する凝縮器7が接続され、凝縮されたヘミセルロースは凝縮槽8に受けられ、そのpHが監視されるようになっている。
【0024】
また、溶解槽1は槽底から抜き出された分離剤は受槽2で受けられ、加熱炉3によって加熱され、加熱された分離剤は循環ポンプ4によって送り出され、その一部は溶解槽1に循環され、溶解槽1内の分離剤を加熱するようになっている。
【0025】
循環ポンプ4によって循環される分離剤の残部は真空蒸発槽6に送られ、分離剤が真空蒸発され、真空蒸発槽6の槽底にリグニンが分離され、リグニンは移送ポンプ16によって移送され、凝縮器19で凝縮されて受槽18で受けられるようにっている。17は加熱炉2の煙突である。
【0026】
真空蒸発された分離剤は凝縮器13で凝縮され、真空ポンプ15によって負圧とされた受槽14で受けられ、ポンプ20によって分離剤受槽2に戻されるようになっている。
【0027】
他方、溶解槽1の槽底に固形分として残った粗セルロースは洗浄と冷却が行われた後、溶解槽1から抜き出され、回転切断水槽9で繊維の切断と洗浄が行われて微小セルロース化され、漂白槽10で漂白され、さらに遠心分離機11で脱水され、その後に機械的、例えば高圧濾過機21によって加圧されて微細化、つまりセルロースナノファイバー化(CNF化)されて取り出され、排水は処理設備12で処理されるようになっている。
【0028】
ここで、分離方法について説明すると、溶解槽1では分離剤の液温が200°C~260°Cの範囲内の温度、例えば200°Cに達すると、ヘミセルロース成分が蒸発し始め、その凝縮液のpHは強酸性を示す。260°Cまでは凝縮液のpHは上昇し、275°CでpHは5~6となり、ヘミセルロース成分の留出量は低下し、留出が停止すると、加熱を停止し、0.5~1.5時間その温度に保持して静置する。
【0029】
次に、溶解槽1の分離剤を槽底から抜き、次いでスチームで溶解槽1の固形分(粗セルロース)を洗浄し、冷却を行い、回転切断水槽9に入れ、回転する攪拌翼によって粗セルロースを洗浄し、切断を行って微小セルロース化した後、
図2に示されるように、移送ポンプ21によって回転切断水槽9から抜き出し、フィルター20で濾過し、ストレーナー22で分離して受槽23が受ける。その後、微小セルロースを漂白槽10で次亜塩素酸とカセイソーダの水溶液に浸漬し、漂白するとともに微小セルロースをさらに微小化することができる。
【0030】
他方、溶解槽1から抜き出した液はこげ茶色に着色しており、これを真空蒸発槽6で蒸発気化させると、槽底に粘着物状のリグニンを回収でき、蒸発気化した蒸気を凝縮させると分離剤が回収でき、再使用ができる。
【0031】
収率は、ヘミセルロース:24wt%(溶解槽温度275°C以下)、セルロース:49wt%(溶解槽温度275°C以上)、リグニン:14wt%、その他:13wt%であった。
【0032】
図3は第2の実施形態を示す。本例では木質系原料として古着に由来する綿を分離する設備が更に設けられている。図において、20はエチレングリコール又はトリエチレングリコールを分離剤として収蔵する古着分離槽で、古着分離槽20では分離剤にポリエステル/綿/ナイロン/アクリル等の繊維を素材とする古着201が投入され、分離剤が200 °C ~280 °Cに加熱されると、綿204が分離剤上に浮上し、ポリエステル・ナイロン・アクリルが分離剤に溶解され、釦や金具が槽底に沈降して分離される。
【0033】
溶解槽100にはトリエチレングリコール(TEG)が分離剤として収蔵され、加熱炉101で加熱されるようになっている。114は加熱炉101の煙突である。溶解槽100では分離剤に竹、木、麻、木綿、綿の木質系原料120に加えて古着に由来する綿204も投入され、分離剤を260°C~280°Cの範囲内の温度、例えばヘミセルロースが溶解する温度、275°Cまで加熱して0.5~1.5時間保持し、槽底には粗セルロースを固形分として残存させる一方、リグニンは分離剤に溶解し、リグニンを含む分離剤が抜き出せるようになっている。
【0034】
溶解槽100は槽底からリグニンを溶解した分離剤を抽出できるようになっており、抽出された分離剤はポンプ102で移送され、その一部は受槽108で受けられる一方、残部はリグニン分離塔103に送られ、分離剤が真空蒸発されてリグニンが分離される一方、蒸発された分離剤は凝縮されて受槽108に戻され、循環ポンプ107によって溶解槽100に循環されるようになっている。
【0035】
また、溶解槽100から抜き出された分離剤は水分離塔104で水分が蒸発されて分離されて受槽108に戻される一方、分離された水分は凝縮されてタンク106に貯留されるようになっている。
【0036】
溶解槽100の槽底に固形分として残った粗セルロースは洗浄水121によって洗浄と冷却が行われた後、溶解槽100から抜き出され、回転切断水槽109で繊維の切断と洗浄が行われて漂白槽102で漂白されるとともに、さらに微小化され、洗浄された後、高圧濾過器113によって濾過されると、ゲル状のセルロースナノファイバー(CNF)が得られる。
【0037】
図4は第3の実施形態を示し、これは連続分離方法を示す。本例では溶解槽300にはトリエチレングリコール(TEG)が分離剤として収蔵されている。
【0038】
この溶解槽300の槽底には分離剤の抽出部が接続され、抽出部には開閉弁301が設けられて、スクリューなどの可変移送機304に接続され、可変移送機304は傾斜されてその上端部側にはローラ等による液切り領域305が設けられている。液切りされた粗セルロースは回転切断水槽306に投入されて洗浄と切断が行われて微小セルロース化され、微小セルロースは漂白槽307に送られ、次亜塩素酸とカセイソーダの水溶液によって漂白された後、上記実施形態と同様のシステムからなるCNF製造機308によってCNF化されるようになっている。
【0039】
他方、溶解槽300には竹、木、木綿、綿の群から選ばれる1又は複数の木質系原料が間欠的に投入され、ヘミセルロース成分の蒸気が凝縮器302で凝縮され、受槽303で受けられ、その受槽303の凝縮液のpHが監視されるようになっている。
【0040】
可変移送機304の最下端側からは分離剤が抜き出されて、真空蒸発塔310に移送され、分離剤が真空蒸発されて、リグニンが分離回収される一方、真空蒸発された分離剤は凝縮器311で凝縮され、真空ポンプ313によって負圧となった分離剤回収槽312に回収されるようになっている。
【0041】
分離剤回収槽312内の分離剤は循環ポンプ314によって抜き出され、循環加熱部315によって加熱されて溶解槽300に循環され、溶解槽300を加熱するようになっている。
【0042】
次に、分離方法について説明する。溶解槽300には竹などの木質系原料が投入されるとともに、溶解槽300の分離剤が加熱昇温される。分離剤の液温が200°C~260°Cの範囲内の温度、例えば200°Cに達すると、ヘミセルロース成分が蒸発し始め、その凝縮液のpHは強酸性を示す。260°Cまでは凝縮液のpHは上昇し、275°CでpHは5~6となり、ヘミセルロース成分の留出量は低下し、留出が停止すると、加熱を停止し、0.5~1.5時間その温度に保持して静置する。
【0043】
次に、溶解槽300の抽出部の開閉弁301を開き、分離剤を可変移送機304の最下端側から粗セルロースと分離して抽出し、真空蒸発塔301で分離剤を真空蒸発し、リグニンを分離回収する一方、真空蒸発された分離剤を凝縮器311で凝縮し、真空ポンプ313によって負圧となった分離剤回収槽312に回収する。
【0044】
可変移送機304では分離した粗セルロースは回転切断水槽306で洗浄し切断した後、漂白槽307で漂白し微小化した後、CNF化する。
【0045】
分離剤回収槽312に回収された分離剤を循環加熱部315で所定の温度に加熱して溶解槽300に循環させた後、竹などの木質系原料を投入し、上記と同様の作業を行うことによってセルロースが連続的に分離回収することができる。
【符号の説明】
【0046】
10、100、300 溶解槽