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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】リアクトルの製造方法及びリアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20220713BHJP
   H01F 41/12 20060101ALI20220713BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
H01F37/00 J
H01F37/00 M
H01F41/12 C
H01F27/32 170
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018065178
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019176095
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】青木 庄治
(72)【発明者】
【氏名】海部 宏昌
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-045112(JP,A)
【文献】特開2012-238659(JP,A)
【文献】特開2013-038244(JP,A)
【文献】特開2018-133461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 41/12
H01F 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に延びる複数の内側コア部と、前記第一方向と交差する第二方向に延びて前記第二方向で隣り合う内側コア部同士を繋ぐ二つの外側コア部と、を備えたリアクトルコアと、前記内側コア部の周りに隙間をあけて配置可能とされ、前記第一方向に延びる筒状に巻回されたコイルと、を備え、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向における前記コイルの外形寸法が、前記第三方向における前記外側コア部の外形寸法に対応する寸法とされたコアコイル組立体を製造する組立体製造工程と、
前記第三方向における前記コイルの最下部の位置と前記外側コア部の最下部の位置とが一致するように、前記コアコイル組立体を前記第三方向が上下を向く姿勢で型内に設置する設置工程と、
射出成形によって少なくとも前記隙間に絶縁材を充填する射出成型工程と、
を含むリアクトルの製造方法。
【請求項2】
前記組立体製造工程では、
前記第三方向における前記内側コア部の中心位置が、前記第三方向における前記外側コア部の中心位置と対応した位置に配置されるように前記内側コア部を配置する前記請求項1に記載のリアクトルの製造方法。
【請求項3】
前記設置工程では、
前記型内に形成された平面上に前記コアコイル組立体を設置する請求項1又は2に記載のリアクトルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアクトルの製造方法及びリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車に搭載されるリアクトルが記載されている。このリアクトルは、軟磁性粉末を含む原料粉末を加圧成形してなる圧粉成形体からなるコアと、このコアの外面を覆う樹脂モールドと、樹脂モールドの上からコアに巻回されたコイルと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-131200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車に用いるため、大量生産を前提とした設計になっている。このようにリアクトルを大量生産する場合、製造ラインにおけるタクトタイムを低減することが望まれる。
そのため、特許文献1に記載のリアクトルの製造方法は、コア用の樹脂カバーとコイル用の樹脂カバーとを予め成形してストックしている。この特許文献1においては、コア用の樹脂カバーがコアに被せられてからコイルが組み付けられ、その後、コイル用の樹脂カバーが装着される。
しかし、大量生産ではない場合、複数種類の樹脂カバーをストックしておく必要があるとともに、複数種類の樹脂カバーを成形するために複数種類の金型を用意する必要があるため金型のコストの比率が大きくなり生産性が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、生産性が低下することを抑制することができるリアクトルの製造方法及びリアクトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るリアクトルの製造方法は、第一方向に延びる複数の内側コア部と、前記第一方向と交差する第二方向に延びて前記第二方向で隣り合う内側コア部同士を繋ぐ二つの外側コア部と、を備えたリアクトルコアと、前記内側コア部の周りに隙間をあけて配置可能とされ、前記第一方向に延びる筒状に巻回されたコイルと、を備え、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向における前記コイルの外形寸法が、前記第三方向における前記外側コア部の外形寸法に対応する寸法とされたコアコイル組立体を製造する組立体製造工程と、前記第三方向における前記コイルの最下部の位置と前記外側コア部の最下部の位置とが一致するように、前記コアコイル組立体を前記第三方向が上下を向く姿勢で型内に設置する設置工程と、射出成形によって少なくとも前記隙間に絶縁材を充填する射出成型工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記態様のリアクトルコアによれば、生産性が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る昇圧回路の回路図である。
図2】本発明の一実施形態に係るリアクトルの平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るリアクトルコアの平面図である。
図4】上記リアクトルコアを第二方向から見た側面図である。
図5】上記リアクトルコアに装着されたコイルの平面図である。
図6】上記リアクトルコアに装着されたコイルを第二方向から見た側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るリアクトルコアの製造方法及びリアクトルの製造方法のフローチャートである。
図8】上記コイルに内側コア部を挿入する直前の状態を示す斜視図である。
図9】上記内側コア部の第二端部に外側コア部を固定する直前の状態を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係る金型内にコイル及びリアクトルコアを載置した状態を示す断面図である。
図11】上記金型内に射出成型により絶縁材を充填した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図1図11を参照して詳細に説明する。
<昇圧回路>
図1に示すように、本実施形態のリアクトル10は、昇圧回路100の一部を構成する。昇圧回路100は、チョッパ式の昇圧回路であり、リアクトル10と、コンデンサ11と、IGBT等のパワー半導体12とを備えている。本実施形態の昇圧回路100は、ハイブリッド油圧ショベル等に搭載された電動機を駆動するインバーターに内蔵されて、キャパシタ等の端子電圧V1をインバーターで必要な電圧V2まで昇圧する。なお、図1中、符号「13」は、還流ダイオードである。
【0010】
<リアクトル>
図2に示すように、リアクトル10は、リアクトルコア20と、コイル30と、絶縁材40と、を備えている。本実施形態のリアクトル10は、ハイブリッド油圧ショベル等に用いるリアクトルであるため、自動車等の車両に用いるリアクトルと比較して大電流が流れる。そのため、本実施形態のリアクトル10は、自動車等の車両に用いるリアクトルと比較して大型である。以下の説明において、第一方向を「Dx」、第一方向と交差する第二方向を「Dy」とする。第一方向Dx及び第二方向Dyに交差する第三方向を「Dz」とする。
【0011】
<リアクトルコア>
図3図4に示すように、リアクトルコア20は、二つの内側コア部21と、二つの外側コア部22とを備えている。リアクトルコア20は、これら二つの内側コア部21と二つの外側コア部22とによって、平面視で矩形の環状をなしている。
【0012】
二つの内側コア部21は、第一方向Dxに延びている。内側コア部21は、第一方向Dxの両側に第一端面21taと第二端面21tbとを備えている。二つの内側コア部21は、第一方向Dxと交差する第二方向Dyに互いに間隔をあけて配置されている。
【0013】
内側コア部21は、複数の第一磁心23と、複数のギャップ材24とを有している。図3に示す内側コア部21は、内側コア部21一つ当たり、三つの第一磁心23と、四つのギャップ材24とを有している。
【0014】
第一磁心23は、直方体をなしている。具体的には、第一磁心23は、第一方向Dx方向に延びる四つの角部23gを、それぞれ面取りの如く外側に凸となる曲面状に形成した直方体状に形成されている。本実施形態で例示する第一磁心23の第三方向の厚さ寸法Lz1は、第一方向の寸法Lx1及び第二方向の寸法Ly1よりも小さい。これら第一方向Dxに並んで配置された第一磁心23は、第一方向に延びる軸線周りの四つの外面が、それぞれ面一に配置されている。本実施形態の第一磁心23は、鉄等の軟磁性粉末を含む原料粉末を加圧成形して形成されている。
【0015】
ギャップ材24は、第一方向Dxで隣り合う第一磁心23の間にそれぞれ配置されている。ギャップ材24は、第一方向Dxで隣り合う第一磁心23の間に所定の間隙を形成するスペーサである。ギャップ材24は、例えば、セラミックス、酸化アルミニウム(アルミナ)、合成樹脂等、絶縁性や耐熱性等に優れた非磁性材料で形成されている。ギャップ材24は、平板状に形成されるとともに、第一方向Dxと垂直な第一磁心23の断面形状と同一か又は僅かに小さい外形を有している。
【0016】
本実施形態で例示するギャップ材24は、内側コア部21と外側コア部22との間にも配置されている。ギャップ材24は、それぞれ接着等により第一磁心23や、後述する第二磁心26に固定されている。複数のギャップ材24により形成されるリアクトルコア20の総ギャップ長は、例えば、リアクトルコア20の飽和電流値、コイル30に流す電流の最大値等の条件に応じて算出できる。総ギャップ長が一定の場合、ギャップ材24の設置枚数が多いほど、ギャップ材24一枚当たりの厚さが小さくなる。
【0017】
二つの外側コア部22は、第二方向Dyに延び、第一方向Dxに互いに間隔をあけて配置されている。外側コア部22は、第二方向Dyで隣り合う第一端面21taの間に渡って配置されるとともに、第二方向Dyで隣り合う第二端面21tbの間に渡って配置されている。外側コア部22は、第二磁心26を有している。図3に示す外側コア部22は、外側コア部22一つ当たりに、二つの第二磁心26を有している。
【0018】
第二磁心26は、直方体をなしている。二つの第二磁心26は、第二方向Dyに並べて配置されている。本実施形態における第二磁心26は、第一磁心23と対応した形状(実質的に同一形状)をなす。第二方向Dyで隣り合う第二磁心26同士は、接着等により固定されている。これら第二方向Dyで隣り合う第二磁心26の間に、上述したギャップ材24に相当するものは配置されていない。
【0019】
本実施形態の第二磁心26は、第一磁心23と配置される向きが異なるだけであり、第一磁心23と外形寸法が対応している。言い換えれば、第二磁心26は、第一磁心23と実質的に同一形状をなしている。本実施形態で例示する第二磁心26の第二方向の寸法Ly2(図3参照)は、第一方向Dxの寸法Lx2(図4参照)及び第三方向Dzの厚さ寸法Lz2(図4参照)よりも大きい。第一方向Dxにおける第二磁心26の厚さ寸法Lx2は、第三方向Dzにおける第一磁心23の厚さ寸法Lz1(図4参照)と実質的に同一になっている。つまり、第三方向Dzにおける第二磁心26の厚さ寸法Lz2は、第一磁心23の厚さ寸法Lz1よりも大きい。
【0020】
図4に示すように、第三方向Dzにおける内側コア部21の中心位置C1と、第三方向Dzにおける外側コア部22の中心位置C2とは、一致している。上述したように、厚さ寸法Lz2は、厚さ寸法Lz1よりも大きいため、第三方向Dzにおける内側コア部21の外面21aは、第三方向Dzにおける外側コア部22の外面22aよりも内側(言い換えれば、中心位置C1に近い側)に配置されている。
【0021】
本実施形態における第二磁心26は、第一磁心23と同様に、鉄等の軟磁性粉末を含む原料粉末を加圧成形して形成されている。本実施形態における第二磁心26は、第一磁心23を形成する型材と同一の型材、又は、第一磁心23を形成する型材と同一形状の型材を用いてそれぞれ形成されている。本実施形態では、第一方向Dxに並べて配置される第一磁心23の個数(三個)が、第二方向Dyに並べて配置される第二磁心26の個数(二個)よりも多くなっている。
【0022】
<コイル>
図5図6に示すように、コイル30は、銅線等の線材をソレノイド状に巻回して形成されている。コイル30は、平行に並んで形成された二つの筒状部30a,30bを備えている。これら筒状部30a,30bは、電気的に直列接続され、平行配置された二つの内側コア部21にそれぞれ装着される。筒状部30a,30bの軸線Oa,Obは、それぞれ第一方向Dxに延びている。コイル30の引き出し線30c,30dは、何れも第一方向Dxにおける一方側に配置されている。筒状部30a,30bの間を渡る線材30eは、第一方向Dxで引き出し線30c,30dとは反対側に配置されている。これら二つの筒状部30a,30bは、内側コア部21をそれぞれ挿入することで、内側コア部21周りに巻回された状態となる。二つの筒状部30a,30bを構成する線材は、コイル30に通電された際に環状に形成されたリアクトルコア20内部の磁力線の向きが同一方向となる向きで巻回されている。
【0023】
図6に示すように、第三方向Dzにおけるコイル30の外形寸法Lczは、第三方向Dzにおける外側コア部22の外形寸法Lzに対応した寸法(言い換えれば、実質的に同一の寸法)とされている。第三方向Dzが上下方向となるようにコイル30を平面上に載置すると、第三方向Dzにおけるコイル30の中心Ocと、第三方向Dzにおける内側コア部21の中心位置C1と、第三方向Dzにおける外側コア部22の中心位置C2とが、実質的に同一平面上に配置される。筒状部30aと筒状部30aの内側に配置される内側コア部21との間、及び、筒状部30bと筒状部30bの内側に配置される内側コア部21との間には、それぞれ内側コア部21周りの全周に隙間Crが形成されている。
【0024】
<絶縁材>
図2に示す絶縁材40は、リアクトルコア20とコイル30との間を電気的に絶縁する。絶縁材40としては、絶縁性や耐熱性に優れた合成樹脂を用いることができる。この絶縁材40の厚さや材質は、必要となる絶縁性能や耐熱性能に応じて選定すればよい。本実施形態の絶縁材40は、リアクトルコア20の全体を覆うように形成されている。
【0025】
<リアクトルの製造方法>
次に、図7から図11を参照しながらリアクトルコアの製造方法について説明する。
まず、リアクトルコア20とコイル30とを備えるコアコイル組立体As(図5図6参照)を製造する(ステップS01;組立体製造工程)。具体的には、同一の型材、又は、同一形状の複数の型材(何れも図示せず)を用いて、同一の軟磁性粉末を含む原料粉末を加圧成形して、複数の第一磁心23、及び、複数の第二磁心26を形成する。
【0026】
上記型材によって成形された全ての圧粉磁心は、実質的に同一形状(外形寸法が対応する)となっている。そのため、型材によって成形された直後の圧粉磁心は、コア部品として第一磁心23と第二磁心26とに区別されない場合がある。本実施形態では、型材によって成形された直後の圧粉磁心が第一磁心23と第二磁心26とに区別されずに管理・保管されている。なお、同一の型材や同一形状の型材を用いたとしても、第一磁心23と第二磁心26とには、微小な形状の違いが生じる場合がある。上記「実質的に同一形状」、「外形寸法が対応する」とは、このような微小な形状の違いが生じている場合も、同一形状とみなすことを意味している。
【0027】
次に、上記型材により成形した圧粉磁心を第一磁心23として用いて、二つの内側コア部21を組み立てる。この際、第一磁心23の間にギャップ材24を挟み込んで接着等により固定する。同様に、上記型材により成形した圧粉磁心を第二磁心26として用いて、外側コア部22を組み立てる。この際、第二方向Dyで対向配置される二つの第二磁心26の端面26tの間にはギャップ材24を挟まずに、これら二つの端面26tを接着等により直接固定する。
【0028】
次いで、二つの内側コア部21と二つの外側コア部22とによりリアクトルコア20を組み立てる。このリアクトルコア20の組立途中で、コイル30を装着する。図8図9に示すように、本実施形態では、二つの内側コア部21の第二端面21tbを一つの外側コア部22に接着等により固定してU字状のコア部品Cpを形成する。そして、図9に示すように、U字状に形成されたコア部品Cpの内側コア部21をそれぞれコイル30の二つの筒状部30a,30bに挿入する。その後、二つの内側コア部21の開放されている側の第一端面21taに、もう一つの外側コア部22を接着等により固定する。
【0029】
これら内側コア部21と外側コア部22とを固定することでリアクトルコア20が環状に形成され、内側コア部21にコイル30が装着されたコアコイル組立体Asが完成する。本実施形態で説明したコイル30の装着手順は一例であって、上記手順に限られない。
【0030】
次に、図10図11に示すように、第三方向Dzが上下を向くようにコアコイル組立体Asを射出成型用の金型Md内に設置する(ステップS02;設置工程)。
【0031】
金型Mdは、コイル30を下方から支持する第一支持面BS1と、リアクトルコア20の外側コア部22を下方から支持する第二支持面BS2と、を備えている。これら第一支持面BS1と、第二支持面BS2とは、第三方向Dzにおける位置が実質的に同一の平面となっている。本実施形態における金型Mdの底面BSは、第一支持面BS1と第二支持面BS2とを含む実質的に連続する水平面とされている。
【0032】
第一支持面BS1上にコイル30を載置し、第二支持面BS2上にリアクトルコア20の外側コア部22を載置することで、コイル30の最下部の位置と外側コア部22の最下部の位置とが一致する。そのため、コイル30の中心Ocと、外側コア部22の中心位置C2とが、実質的に同一平面上に配置される。本実施形態では、外側コア部22の中心位置C2と内側コア部21の中心位置C1と、が第三方向Dzで実質的に同一位置に配置されるため、筒状部30aと内側コア部21との隙間Cr(図6参照)は、内側コア部21の中心位置C1を基準にして第三方向Dzで対称に形成される。
【0033】
次に、金型Mdを閉じて、図11に示すように、金型Md内に加熱溶融させた絶縁材40の材料を射出し、少なくともリアクトルコア20とコイル30との隙間Crに絶縁材40の材料を充填させる(ステップS03;射出成型工程)。本実施形態の絶縁材40は、リアクトルコア20とコイル30との隙間Crに加え、コイル30の周囲に配置されたリアクトルコア20の外面を全て覆うように形成される。図2に示すように、本実施形態の絶縁材40は、第三方向Dzから見た四隅に、取付孔形成部41を有している。これら取付孔形成部41は、リアクトル10をインバーター等のケースに固定したり、ヒートシンクを取り付けたりするための取付孔hを有している。
【0034】
図10図11において、符号「51a」は、コイル30が金型Md内で動かないように押さえる押さえ部材である。符号「51b」は、リアクトルコア20が金型Md内で動かないように押さえる押さえ部材である。符号「52」は、取付孔hを形成するためのカラーである。符号「53」は、カラー押えである。符号「54」は、コイル30の引き出し線30c,30dを逃がすための溝である。押さえ部材51a,51b、カラー52、及び、カラー押え53は、上記形状や配置に限られない。押さえ部材51a,51b、カラー52、及び、カラー押え53は、リアクトル10の仕様や金型Mdの形状等の種々条件に応じて決定すればよい。
【0035】
次に、絶縁材40を冷却、固化させ(ステップS04;冷却固化工程)、金型Mdを開放してリアクトル10を取り出す(ステップS05;離形工程)。
【0036】
<作用効果>
以上のように、本実施形態の組立体製造工程(ステップS01)では、第三方向Dzにおけるコイル30の外形寸法Lczが、第三方向Dzにおける外側コア部22の外形寸法Lzに対応する寸法とされたコアコイル組立体Asを製造する。設置工程(ステップS02)では、第三方向Dzにおけるコイル30の最下部の位置と外側コア部22の最下部の位置とが一致するように、コアコイル組立体Asを第三方向Dzが上下を向く姿勢で金型Md内に設置する。射出成型工程(ステップS03)では、射出成形によって少なくとも隙間Crに絶縁材40を充填する。そのため、コアコイル組立体Asを金型Mdに設置するだけで、リアクトルコア20に対してコイル30が位置決めされて、内側コア部21とコイル30との間に隙間Crを適切に形成することができる。このように隙間Crが適切に形成されることで、射出成型により隙間Crに絶縁材40を充填することができる。したがって、絶縁材40を予め成形しておくための金型を複数種類用意したり、成形済みの絶縁材40をストックしたりする必要が無いため、大量生産でない場合であっても生産性が低下することを抑制できる。
【0037】
本実施形態では、更に、組立体製造工程(ステップS01)において、第三方向Dzにおける内側コア部21の中心位置C1が、第三方向Dzにおける外側コア部22の中心位置C2と対応する位置に配置されるように内側コア部21を配置している。そのため、金型Md内にコアコイル組立体Asを設置した際に、第三方向Dzにおける内側コア部21の中心位置C1と、コイル30の中心Ocの位置とを一致させることができる。このように中心位置C1と、中心Ocの位置とが一致するので、筒状部30aと内側コア部21との間の隙間Crを、内側コア部21の中心位置C1を基準にして第三方向Dzで対称に形成することができる。したがって、射出成型工程(ステップS03)において、隙間Crに絶縁材40を安定的に充填することができる。
【0038】
本実施形態のリアクトル10において、第三方向Dzにおけるコイル30の外形寸法Lczは、第三方向Dzにおける外側コア部22の外形寸法Lz2に対応した寸法とされている。そのため、リアクトル10を製造する際に、第三方向Dzが上下を向く姿勢で、リアクトルコア20及びコイル30を平面状に載置するだけで、リアクトルコア20に対してコイル30を位置決めすることができる。
この姿勢において、外側コア部22は、内側コア部21よりも上下に突出する。そのため、内側コア部21と外側コア部22との磁路の断面積を同等にする場合、外側コア部22の第一方向Dxの寸法を低減できる。したがって、リアクトル10の第一方向Dxの寸法を小さくすることができる。
【0039】
本実施形態におけるリアクトル10は、第三方向Dzにおける内側コア部21の中心位置C1は、第三方向Dzにおける外側コア部22の中心位置C2と対応した位置に配置されている。このように中心位置C1と中心位置C2との第三方向Dzの位置が一致していることで、内側コア部21の中心位置C1を基準として対称に隙間Crを形成できる。そのため、絶縁材40が射出成型により隙間Crに充填される場合であっても、絶縁材40による絶縁性能を安定的に発揮させることができる。
【0040】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0041】
実施形態では、本発明をハイブリッド油圧ショベルの昇圧回路100に適用した例について説明したが、他の昇圧回路に適用してもよい。
実施形態のリアクトルコア20は、二つの内側コア部21を有するものとしたが、三つ以上の内側コア部21を有するようにしても良い。
【0042】
実施形態では、第二方向Dyにおいて、平行に配置された二つの内側コア部21の外側の面と外側コア部22の端面26tとが面一に配置されていた。しかし、第二方向Dyにおける内側コア部21の外側の面と端面26tは、それぞれ面一に配置されていなくても良い。
【0043】
実施形態のリアクトルコア20として、実質的に同一形状の圧粉磁心を用いて組み立てたリアクトルコア20を説明した。しかし、リアクトルコア20は、圧粉磁心を用いて組み立てたリアクトルコアや、実質的に同一形状の磁心を用いて組み立てたリアクトルコアに限られない。例えば、リアクトルコアは、I型のコアとU型のコアとを組み合わせて構成しても良い。
【0044】
実施形態の第二磁心26に形成されている面取りの如く外側に凸となる曲面は、必要に応じて設ければ良く、省略しても良い。
【符号の説明】
【0045】
10…リアクトル 11…コンデンサ 12…パワー半導体 20…リアクトルコア 21…内側コア部 21ta…第一端面 21tb…第二端面 22…外側コア部 23…第一磁心 23g…角部 24…ギャップ材 26…第二磁心 30…コイル 30a,30b…筒状部 30c,30d…引き出し線 40…絶縁材 41…取付孔形成部 100…昇圧回路 h…取付孔 Md…金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11